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No.13840の一覧
[0] 【ネタ・完結】NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~[熊雑草](2013/09/21 23:12)
[1] 第1話 八百屋のヤオ子[熊雑草](2013/09/21 21:27)
[2] 第2話 ヤオ子のチャクラ錬成[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[3] 第3話 ヤオ子の成果発表[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[4] 第4話 ヤオ子の投擲修行[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[5] 第5話 ヤオ子と第二の師匠[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[6] 第6話 ヤオ子の自主修行・豪火球編①[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[7] 第7話 ヤオ子の自主修行・豪火球編②[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[8] 第8話 ヤオ子の悲劇・サスケの帰還[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[9] 第9話 ヤオ子とサスケとサクラと[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[10] 第10話 ヤオ子と写輪眼[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[11] 第11話 ヤオ子の自主修行・必殺技編①[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[12] 第12話 ヤオ子の自主修行・必殺技編②[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[13] 第13話 ヤオ子の自主修行・必殺技編③[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[14] 第14話 ヤオ子の自主修行・必殺技編④[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[15] 第15話 ヤオ子の自主修行・必殺技編⑤[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[16] 第16話 ヤオ子とサスケと秘密基地[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[17] 第17話 幕間Ⅰ[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[18] 第18話 ヤオ子のお見舞い①[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[19] 第19話 ヤオ子のお見舞い②[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[20] 第20話 ヤオ子のお見舞い③[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[21] 第21話 ヤオ子の体術修行①[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[22] 第22話 ヤオ子の体術修行②[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[23] 第23話 ヤオ子の中忍試験本戦・観戦編[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[24] 第24話 ヤオ子の中忍試験本戦・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[25] 第25話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅護衛編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[26] 第26話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅壊滅編[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[27] 第27話 幕間Ⅱ[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[28] 第28話 ヤオ子の新生活①[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[29] 第29話 ヤオ子の新生活②[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[30] 第30話 ヤオ子の新生活③[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[31] 第31話 ヤオ子の下忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[32] 第32話 ヤオ子の下忍試験・実技試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[33] 第33話 ヤオ子の下忍試験・サバイバル試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[34] 第34話 ヤオ子の下忍試験・試験結果編[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[35] 第35話 ヤオ子とヤマトとその後サスケと[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[36] 第36話 ヤオ子の初任務[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[37] 第37話 ヤオ子の任務の傾向[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[38] 第38話 ヤオ子の任務とへばったサスケ[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[39] 第39話 ヤオ子の初Cランク任務①[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[40] 第40話 ヤオ子の初Cランク任務②[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[41] 第41話 ヤオ子の初Cランク任務③[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[42] 第42話 ヤオ子の初Cランク任務④[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[43] 第43話 ヤオ子の初Cランク任務⑤[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[44] 第44話 ヤオ子の憂鬱とサスケの復活[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[45] 第45話 ヤオ子とサスケの別れ道[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[46] 第46話 幕間Ⅲ[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[47] 第47話 ヤオ子と綱手とシズネと[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[48] 第48話 ヤオ子と、ナルトの旅立ち[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[49] 第49話 ヤオ子と第七班?①[熊雑草](2013/09/21 21:50)
[50] 第50話 ヤオ子と第七班?②[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[51] 第51話 ヤオ子の秘密[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[52] 第52話 ヤオ子とガイ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[53] 第53話 ヤオ子と紅班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[54] 第54話 ヤオ子とネジとテンテンと[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[55] 第55話 ヤオ子とアスマ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[56] 第56話 ヤオ子と綱手の顔岩[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[57] 第57話 ヤオ子とサクラの間違った二次創作[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[58] 第58話 ヤオ子とフリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[59] 第59話 ヤオ子と続・フリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[60] 第60話 ヤオ子と母の親子鷹?[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[61] 第61話 ヤオ子とヒナタ班[熊雑草](2013/09/21 21:56)
[62] 第62話 ヤオ子と一匹狼①[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[63] 第63話 ヤオ子と一匹狼②[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[64] 第64話 幕間Ⅳ[熊雑草](2013/09/21 21:59)
[65] 第65話 ヤオ子とヤマトの再会[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[66] 第66話 ヤオ子とイビキの初任務[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[67] 第67話 ヤオ子の自主修行・予定は未定①[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[68] 第68話 ヤオ子の自主修行・予定は未定②[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[69] 第69話 ヤオ子の自主修行・予定は未定③[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[70] 第70話 ヤオ子と弔いとそれから……[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[71] 第71話 ヤオ子と犬塚家の人々?[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[72] 第72話 ヤオ子とカカシの対決ごっこ?[熊雑草](2013/09/21 22:03)
[73] 第73話 ヤオ子の居場所・日常編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[74] 第74話 ヤオ子の居場所・異変編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[75] 第75話 ヤオ子の居場所・避難編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[76] 第76話 ヤオ子の居場所・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[77] 第77話 ヤオ子の居場所・救助編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[78] 第78話 ヤオ子の居場所・死守編[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[79] 第79話 ヤオ子がいない①[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[80] 第80話 ヤオ子がいない②[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[81] 第81話 幕間Ⅴ[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[82] 第82話 ヤオ子の自主修行・性質変化編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[83] 第83話 ヤオ子の自主修行・能力向上編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[84] 第84話 ヤオ子の自主修行・血の目覚め編[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[85] 第85話 ヤオ子の旅立ち・お供は一匹[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[86] 第86話 ヤオ子とタスケの口寄せ契約[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[87] 第87話 ヤオ子の復活・出入り禁止になった訳[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[88] 第88話 ヤオ子のサスケの足跡調査・天地橋を越えて[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[89] 第89話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ①[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[90] 第90話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ②[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[91] 第91話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ③[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[92] 第92話 ヤオ子のサスケの足跡調査・状況整理[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[93] 第93話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁①[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[94] 第94話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁②[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[95] 第95話 ヤオ子とサスケの新たな目的[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[96] 第96話 ヤオ子と小隊・鷹[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[97] 第97話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・マダラ接触編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[98] 第98話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[99] 第99話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・深夜の会話編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[100] 第100話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦開始編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[101] 第101話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・奪還編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[102] 第102話 ヤオ子とサスケの向かう先①[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[103] 第103話 ヤオ子とサスケの向かう先②[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[104] 第104話 ヤオ子とサスケの向かう先③[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[105] 第105話 ヤオ子とサスケの向かう先④[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[106] 第106話 ヤオ子の可能性・特殊能力編①[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[107] 第107話 ヤオ子の可能性・特殊能力編②[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[108] 第108話 ヤオ子と砂漠の模擬戦[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[109] 第109話 ヤオ子とイタチの葬儀[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[110] 第110話 ヤオ子とサスケの戦い・修行開始編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[111] 第111話 ヤオ子とサスケの戦い・修行編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[112] 第112話 ヤオ子とサスケの戦い・最後の戦い編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[113] 第113話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[114] 第114話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・サバイバルレース編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[115] 第115話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・本戦編[熊雑草](2013/09/21 22:22)
[116] 第116話 ヤオ子の八百屋[熊雑草](2013/09/22 01:07)
[117] あとがき[熊雑草](2010/07/09 23:40)
[118] 番外編・ヤオ子の???[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[119] 番外編・サスケとナルトの屋台での会話[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[120] 番外編・没ネタ・ヤオ子と秘密兵器[熊雑草](2013/09/21 22:24)
[121] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と①[熊雑草](2013/09/21 22:25)
[122] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と②[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[123] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と③[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[124] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第1話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[125] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第2話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[126] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第3話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[127] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第4話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[128] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第5話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[129] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第6話[熊雑草](2013/09/21 22:29)
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[13840] 第28話 ヤオ子の新生活①
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:9b88eec9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/21 21:40
 == NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==



 木ノ葉崩しの計画が終了した夜……。
 非難した里の人々の居る顔岩の隠れ部屋で、ヤオ子は目を覚ます。


 「……っ! 
  あの新ドSめ……!
  気を失うほど殴りやがって……!」


 薄暗い隠れ部屋の中で、悪態をついたヤオ子にグーが炸裂した。



  第28話 ヤオ子の新生活①



 ヤオ子は頭を擦ると、父親に怒鳴り返す。


 「った~~~!
  何するんですか!?」

 「何がじゃねェ!
  お前、店に居たんだってな!」

 「仕方ないでしょう!
  大事な用もあったし……。
  ・
  ・
  そんなことより!
  何で、看板仕舞ってシャッター下ろさないの!?」

 「アァ!?
  何で、そんなことするんだ!?」


 ヤオ子は父親を指差す。
 親だろうと誰だろうと気にしない。


 「あんたは馬鹿か!?
  忍者の里に店出してるくせに、
  何で、兵糧狙われるって発想に行き着かない!?」

 「知るか!?
  頭ばかりでっかくなりやがって!
  自分の命が一番大事だろうが!」

 「そんなヘマするか!」

 「お前、気絶して連れて来られたじゃねェか!」

 「あれは味方のドSにやられたんですよ!」

 「…………」


 ヤオ子の父親が首を傾げた。


 「何でだよ?」

 「自来也さんの話に割り込んだんです」


 ヤオ子に親父の鉄拳が炸裂する。


 「自来也様に何てことをするんだ!」

 「寝ぼけてんじゃないですよ!
  あのオッサンが、うちらの店を潰したんですよ!」

 「何ィ!?」

 「馬鹿みたいな、でかい蛙を呼び出して潰したんです!」

 「…………」


 ヤオ子の父親は考え込むと、静かに確認するように話す。


 「……周りに敵は居なかったか?
  特に馬鹿でかい生き物だ」

 「居ましたよ……大蛇が」

 「なら……仕方ない。
  そのまま大蛇を暴れさすわけにはいかない」

 「うちの店は?」

 「お前にくれてやるよりマシだ」

 「オイ!」


 ヤオ子は突っ込んで見せたが、やがてホッと息を吐き出す。


 「まあ、一番オタオタすると思ってたお父さんが落ち着いているなら別にいいです」

 「お前な……」


 ヤオ子の父親が脱力すると、ヤオ子は母親に向き直る。


 「お母さんもいいの?」

 「ええ。
  私達は木ノ葉の里の八百屋だからね」


 ヤオ子の母親は穏やかに笑顔をたたえていた。


 「意外と冷静ですね……。
  ・
  ・
  我が弟よ……君は?」

 「よくわからない」


 ヤオ子の弟は首を振るだけだった。


 「尤もだ。
  君の意見が一番まともだ。
  ・
  ・
  とはいえ、明日からホームレスか……」


 ヤオ子の口から出た言葉に、家族はズーンと暗くなる。


 「まあ、金庫は持って来たし、何とかなるだろう」


 ヤオ子の父親が店に備え付けの手提げの小さい金庫を置く。
 それを見てヤオ子は辺りを見回し、背負っていたデイバックを引っ張ってくる。


 「あたしも収穫ありですよ」

 「ん?」


 ヤオ子がデイバッグを開けると、中身を両手に持って家族に見せる。


 「敵の忍者を倒してホルスター×4を奪って来ました」

 「お前な……」
 「ヤオ子……」
 「お姉ちゃん……」

 「他にも起爆札を六枚……。
  売れば幾らになりますかね?」


 ヤオ子の父親は額に手を置く。


 「何て危ないことをするんだ」

 「猫に変化してたんですけどね。
  不測の事態ですよ」

 (コイツ、いつの間に戦闘向きの忍術なんて覚えたんだ?
  サスケ君……一体、何を考えているんだ?)


 既にヤオ子はサスケの手を離れ始めているが、それを家族が知ることはなかった。

 ヤオ子談:
 更に言えば、サスケさんは何も考えていないです。
 獅子は我が子を千尋の谷に突き落とす……といいますが、
 サスケさんに至っては突き落とした後にどうなろうが考えていません。
 しぶとく谷から這い上がろうが、その後は、考えていないです。
 寧ろ、ただ突き落としたいだけに違いありません。
 きっと、サスケさんは、そういうタイプのドSです。


 …


 ヤオ子、父親、母親は貧乏に対しての免疫が強いせいか、現状、それほどの危機感を感じていない。
 貧乏な日々が生活の危機と隣合わせで慣れていた。
 しかし、家族の中で唯一の思考を持つヤオ子の弟だけは、今後、どうなるかの沈黙が不安を募らせていた。
 うす暗い避難所の場に耐え切れなくなったこともあり、ヤオ子の弟が質問する。


 「このあと、どうなるの?」

 「…………」


 当然の質問に、両親は沈黙している。
 ヤオ子の両親は、今後のことなど考えてもいなかった。


 「……ねぇ、何か言いましょうよ。
  不安になるじゃないですか?」

 「お姉ちゃん……」


 ダメな両親を諦め、ヤオ子の弟がヤオ子のTシャツを引っ張る。


 「間違ってますね……この絵面。
  何故、両親は沈黙し、
  弟があたしに縋るのでしょう?」


 ヤオ子は溜息を吐くと、弟の頭を撫でる。


 「いいですか?
  直ぐにどうこうはなりません。
  周りにも同じ境遇の人は沢山います。
  きっと、暫くは仮設住宅に住むことになるでしょうね」

 「かせつ……?」

 「簡易的な家です。
  もしかしたら、あたし達が住んでいた家よりも立派かもしれません」

 「本当?」

 「はい。
  ただ、暫く八百屋の仕事を出来ないかもしれません。
  明日は瓦礫となった家から使えるものをここに運ぶので、
  ちゃんと手伝うんですよ?」

 「うん。
  お姉ちゃん」


 ヤオ子の説明で少し安心した弟。
 その二人を見て、両親は頷く。


 「さすが、オレの娘だ」

 「ええ。
  さすが、私の娘だわ」

 「あんたらは少し世間の常識を頭に詰め込んでください」


 ヤオ子は、こうして木ノ葉崩しの夜を家族で過ごしていた。


 …


 深夜……。
 ヤオ子と弟は眠りについている。
 ヤオ子の両親は、顔岩の隠れ部屋を出て夜風に当たっていた。


 「すまんな……。
  さっき、ヤオ子が敵の忍者を倒したと言った時、
  怒ることが出来なかったよ」


 父親の言葉に、母親が静かに頷く。


 「明日、怒ってくれればいいわ」

 「嬉しくなってしまってな。
  もう、忍者は辞めたのに……」

 「そう……。
  正直言うと私も嬉しかった。
  もう、くノ一は辞めたのに……」


 ヤオ子の両親は軽く笑い合うと、ヤオ子についての父親が母親に話し掛けた。


 「あの子は……ヤオは忍者になりたいのだろうか?」

 「どうでしょうね」

 「アカデミーに行きたいとは言ってないが……」

 「行きたくても言わないわ……きっと。
  優しい子ですもの」


 母親の言葉に、父親が片眉を歪める。


 「そうか?
  オレは、最近、おかしな子になって来ていると思うんだが?」

 「おかしいのは、今に始まったことじゃないでしょう?
  そして、優しいのも……」

 「そうだったな」


 ヤオ子の母親が里に目を移す。


 「大分……壊されたわね」

 「ああ。
  暗くても分かる。
  ・
  ・
  こんな時に戦えないなんてな」


 悔しそうに里を見詰める父親の背中を母親が擦る。


 「仕方ないわよ。
  あの時、背筋をやられてしまったんだから」

 「お前まで付き合うことはなかったのに……」

 「私は欲張りですから。
  欲しいと決めた男は、必ず手に入れるつもりでした」

 「いつ聞いても怖いな」


 ヤオ子の母親がクスリと笑う。
 そして、一拍空けると真剣な表情に変わる。


 「状況が変わったわ。
  里が平和なら、このままで良かったけど」

 「そうだな。
  里の力は、どれぐらい落ちたのだろうか?
  里の忍者は足りているのだろうか?」

 「…………」


 父親が母親に向き直る。


 「今からでもヤオとヤクトをアカデミーに入れるか?」

 「ええ」

 「だが……」

 「でも……」

 「「お金がない……」」


 里の状況という現実があっても、ヤオ子の両親の懐事情は切実だった。


 …


 翌日……。
 ヤオ子は弟を連れて、店のあった場所まで来ていた。
 辺りには家を形作っていた木材が散乱し、大部分はヤオ子と弟の前で無残な姿を晒していた。


 「ぺしゃんこだね」

 「でしょ?
  ここから使えるものを探すんです」

 「屋根とか普通に持ち上がらないけど?」

 「起爆札で破壊しますか……。
  いや、勿体ないです。
  そこは、後で他の人に手伝って貰いましょう。
  ・
  ・
  まあ、見たとこ。
  これ以上壊れそうにないから、物拾っても崩れないでしょう」


 弟が店先に並ぶはずだった商品のある場所へと足を向ける。


 「野菜は、ほぼ全滅だね」

 「腐ると臭いが凄いから、最後に燃やしましょう」


 弟は頷くと小さな瓦礫のある方へと歩き出だした。


 「じゃあ、ボクは使えそうな食器とか持っていくね」

 「割れてるから、気をつけるんですよ」

 「うん」


 弟が食器棚のあった台所の場所を探し、ヤオ子は自分の部屋のあった場所に向かい、本類をダンボールに詰め始めた。
 しかし、弟の声にヤオ子は直ぐに作業を中止することになった。


 「おね~ちゃ~ん!」

 「ん?」

 「全滅!」

 「…………」


 ヤオ子は弟の後ろでぶっ潰れている茶箪笥を見て、チョコチョコと頬を掻く。


 「え~と……。
  じゃあ、服類を……。
  あれは潰れても割れません」

 「わかった」


 ヤオ子は布団類を積み上げ、ダンボールにかさ張ってはいるものを探す。


 「おね~ちゃ~ん!」

 「ん?」

 「箪笥の引き出しが歪んで開かない!」


 ヤオ子は自分の作業が一向に進まないと思うと、印を組んで影分身を一人出す。


 「お願い」


 ヤオ子は影分身の一人を弟につけると、自分のものを探そうして、ふと気付く。


 「ん?
  ・
  ・
  影分身を使えばいいじゃないですか~。
  あたしのお馬鹿さん……」


 ヤオ子はチャクラを練り上げると素早く印を結び、影分身を更に四人出した。


 「じゃ、お願い」


 ヤオ子のコピー人間が瓦礫となった店に散らばると、物資の回収作業は一気に加速した。


 …


 崩壊した家でも、意外と持ち出せるものは多い。
 衣類やタオルなどの生活用品は踏みつけられても壊れないものだったので、瓦礫が貫いて破けたりしなければ、洗って再利用できる。
 また、食器類などの生活用品のいくつかも壊れないで残っていた。
 本棚の本などは表紙などが汚れた程度で、十分に使える。
 両親の箪笥は少しの破損だけで、そのまま残っていた。

 ヤオ子と弟は積み上げられた荷物を見上げる。


 「どうしよう?」

 「どうしようって……。
  持って行くしか……」

 「お姉ちゃん、さっきみたいに細胞分裂してよ」

 「単細胞生物じゃないんだから……。
  まあ、分からなくはないですけど……。
  ・
  ・
  あんたも、いらない知恵をつけ始めましたね」

 「きっと、姉弟だからだよ」

 「そうだね。
  あんたとあたしには、同じ血が流れているんだもんね。
  あたし、あんただけは、
  うちの家系の血を引いてないまともな子だと思っていたんだけど……アホで天然さんだ。
  ・
  ・
  では……。
  猛れ! あたしの妄想力!」


 本日、二度目の多重影分身を発動すると、ヤオ子が新たに四人現れた。


 「これが本日午前中の限界です。
  皆さん、頑張りましょう!」

 「「「「「しゃーんなろー!」」」」


 掛け声を張り上げた後で、ヤオ子達は荷物を運ぶ作業に移った。
 その荷物を運ぶ一列縦隊は、里の人達がみんな振り返る。
 同じ人間が五人居る光景は不気味だった。
 しかも、荷物を持っていることから、分身の術ではなく実態があるのである。


 「お姉ちゃん……。
  皆、見てる……」

 「まあ、あたしも見る方だったら凝視します。
  五つ子みたいだし……。
  ・
  ・
  どうせなら……」


 ヤオ子達は荷物を置くと、一斉に印を結ぶ。


 「変化!」


 何故か、影分身含めて全員サスケに変化した。


 「忍者じゃない人が増えるから気になるんです。
  忍者だと分かっている人なら気になりません」

 「そうなの?」

 「そうです」


 弟は半信半疑だったが、やがて効果が出て視線の雰囲気が変わり出した。


 『まあ、サスケさんが手伝ってるわ』

 『小さい子を見ていられなかったのよ』

 『優しいわね』

 「…………」


 ヤオ子は眉間に皺を寄せる。


 「何これ?
  サスケさんの評価が上がっていく……。
  シャクですね……」


 そして、そのままサスケに変化したままの状態で三往復目……。
 本人とばったり遭遇。
 サスケが六人になった。


 「ヤオ子……何をしている?」

 「あたしは、ヤオ子ではありません。
  では、アデュー!」

 「待て」


 サスケが先頭のサスケ偽の首根っこを捕まえる。


 「そこに居るのは、お前の弟だ」


 サスケ偽が頭に手を当て、笑って誤魔化す。


 「バレちゃいました?
  いや~、今日は太陽が眩しいですね!
  では、アデュー!」

 「お前の店を燃やそう……」


 いつもの脅し文句に、ヤオ子はあっけらかんに答える。


 「いいですよ、別に。
  というか、寧ろ燃やしてください」

 「何?」

 「昨日のアレで店は……ご臨終しました」

 「どういうことだ?」

 「大蛇と巨大蛙の戦いに巻き込まれてペチャンコに……。
  だから、サスケさんが燃やしたがっていた
  あたしの八百屋は、もう、ありません」


 衝撃の真実に、サスケは少し気まずい顔をする。


 「悪かった……」

 「では、アデュー!」


 が、それとこれとは話が別。
 再びサスケが、先頭のサスケ偽の首根っこを捕まえる。


 「お前の店が潰れたのは分かった。
  だが……何で、オレの格好をしている?」

 「忍者じゃない人間が増えると里の人が注目するので……。
  でも、サスケさんは有名人だから、皆、納得します」


 サスケのグーが、サスケ偽に炸裂する。
 サスケがサスケを殴るという何とも言えない絵面が作り上げられた。


 「本人の許可を取れ!」

 「じゃあ、いいですか?」

 「…………」


 サスケは周りの反応を見る。
 周りの人々は、サスケが六人居る状況を受け入れて見ていた。
 つまり、既に随分前からサスケが複数人で行動していたのを認識しているということである。


 「もう、いい……。
  後の祭りだ……」


 サスケが溜息を吐くと、そのサスケに弟が挨拶する。


 「こんにちは、サスケさん」

 「ああ。
  手伝いか?」

 「はい」

 「偉いな」

 「ありがとうございます」

 「…………」


 サスケがサスケ偽と弟を見比べる。


 「お前ら、性格は全然似てないな」

 「当たり前ですよ」

 「姉ちゃんに似なくて良かったな」

 「はい」

 「ちょっと! そこの二人!」

 「お姉ちゃんが、本……当に毎日毎日迷惑を掛けて」

 「気にしてない。
  お前こそ、毎日毎日大変だな」

 「あんたら……」

 「いえ、もう慣れっこですよ」

 「そうか」

 「ただ……最近、段々と人間の道を踏み外しているようで……」

 「オレも、そう思う……」

 「いい加減にしてください……」

 「変な奇声をあげるのは、いつものことなんだけど。
  それ以上に奇怪な行動を取るようになって……」

 「オレも変態だと分かっていれば
  関わり合いにならなかったんだがな……」

 「…………」

 「でも、ボクの負担は大分減りました。
  サスケさんが外に連れ出してくれるようになって」

 「その分、オレの負担が増えたってことだな……」

 「本当にすいません」

 「さっきも言ったが気にしてない」

 「サスケさんが真人間で良かったです」

 「オレも、お前が真人間で良かった」


 そこでさっきから沈黙してしまったサスケ偽に、二人の視線が向かった。


 「どうした? ヤオ子?」
 「どうしたの? お姉ちゃん?」


 サスケ偽はプルプルと震えている。
 そして、目が吊り上がると声を上げた。


 「黙って聞いていれば人のことを変態だ何だと!
  大体!
  あたしに忍術を覚えさせたのって
  サスケさんじゃないですか!」

 「今になっては後悔している……」

 「何!? この不遇な扱いは!?」

 「お姉ちゃんが間違ってるんだよ。
  エロ本読んでるだけでもうちの家族は頭痛いのに、おいろけの術ばっかり使って」

 「ところ構わず使うんじゃねー!」


 サスケのグーが、サスケ偽に炸裂する。


 「家以外で何処で練習するんですか!?」

 「二度と使うな!
  禁術として封印しろ!」

 「イヤです。
  これだけは譲れません」

 「そんなんだから、弟が呆れるんだ!」

 「…………」


 サスケ偽はそっぽを向くとフンと鼻を鳴らした。


 「もういいです。
  あたしの崇高な趣味を分かって貰おうとは思いません」


 サスケとヤオ子の弟が溜息を吐く。
 サスケはヤオ子の弟の肩に手を置く。


 「まあ……なんだ? 頑張れよ」

 「はい……。
  サスケさんもお姉ちゃんには気をつけてください」


 その言葉に、サスケは肩を落として去って行った。
 一方でサスケ偽はフッと息を吐いて首を振る。


 「はあ……。
  誰にあたしの崇高な趣味を理解して貰えるのか」

 「多分……誰も理解してくれないよ」


 この後、ヤオ子と弟は最後の荷物を顔岩まで運び終えた。


 …


 最後の荷物を顔岩まで運び終えた時、顔岩では同じ様にしていた人達が慌ただしくしていた。
 ヤオ子は、父親に声を掛ける。


 「どうしたの?」

 「仮設住宅が出来たんだ」

 「早っ!
  何それ!?」

 「何でも暗部の中に家を出す忍術を使える人が居たらしくてな。
  その人が長屋を作ってくれたんだ」

 「随分と便利な忍術ですね……」

 「まあな。
  荷物は、もう移した」

 「それでここにあった荷物がないんですか?」

 「そういうことだ」


 父親の説明に納得すると、ヤオ子は改めて声を掛ける。


 「ねえ。
  後で一緒に店まで来てよ」

 「何でだ?」

 「とりあえず、ヤクトと運べる物は運んだけどさ。
  下敷きになってる野菜とか……その他諸々を確認してよ。
  見落としがあるかもしれないでしょ?」

 「そうだな」

 「野菜も放っとくと腐るから、焼却しないといけないし」

 「そうだな」

 「お昼食べた後でいいからさ」


 ヤオ子の父親が頷く。


 「分かった。
  配給が向こうで始まるって言ってたから、行くか?」

 「うん」


 ヤオ子達一家は配給の列へと並び、お昼を取ることになった。


 …


 昼食後……。
 父親と一緒に店の後を確認して商品にならない野菜を焼却。
 残った瓦礫を近所の人や里から派遣された忍者の人と撤去すると、店のあった場所には更地だけが残った。


 「夢の後ですね……」

 「そうだな……」

 「保険とか下りるんですかね?」

 「まあ、自来也様が壊したって目撃証言があるから、
  近いうちに建て直してくれるだろう……。
  だが、当面の問題は、それまでの期間の生活費だな。
  その後は、店を復帰させるための用意だ。
  ザルや樽などの小物を買い揃えないといけない」

 「出費ですね……」

 「暫くは商品をダンボールに入れたまま商売だな」

 「先行き不安ですね……」


 ヤオ子の父親は腕を組む。


 「まあ、何とかなんじゃねーか?」

 「その自信は、何処から?」

 「店持つまでは、もっと酷かったからな。
  土地も買わなきゃならないし、店も建てなきゃならないしで……。
  でも、何とかこのボロ屋と土地を手に入れたんだ。
  今回は、土地が残ってるだけマシだな」

 「タフですね」

 「オレは、やる男だからな」


 その言葉にはヤオ子も納得する。
 自分の家の人間がしぶといのはよく分かっている。


 「ですね。
  うちの家族がタフだっていうのは、あたしも共通の認識です」

 「だろ?
  しかも、今、建て直して貰えれば、
  数年以内に倒れるはずだったボロ屋の建て替え費用が浮くはずだ。
  きついのは分かっているが
  今だけか後々ずっとかを考えれば、こっちの方がいいはずだ」

 「お父さんにしては、素晴らしい考えですね?」

 「母さんの受け売りだ」


 ヤオ子がこけた。


 「そうですよね……。
  お父さんみたいな馬鹿な人が考え付くわけがない……。
  ・
  ・
  そして、さすがあたしの母親ですね。
  考えがせこくて汚い。
  同じ臭いがしますよ」

 「ふっ……。
  親子だからな」


 何が親子なんだか、と、ヤオ子は溜息を吐く。


 「兎に角……当面の生活費さえゲット出来れば、
  ただで家の建て替えが出来て、
  うちは、前以上に栄えるわけですね?」

 「その通りだ」

 「手始めに、そこら辺に倒れてる敵の忍者から物品を奪おうかとも思いますが、
  もう回収されていますね?」

 「当然だ。
  忍者の体は、あまりに情報が多過ぎる。
  敵味方問わずに最優先で回収される」

 「へ~。
  その知識があるなら、
  何で、看板出しっぱなしにするか……」


 ヤオ子の悪戯っぽい視線に、父親はぶっきら棒に答える。


 「たまたま忘れたんだよ」

 (現役離れて長いんだから、仕方ないだろう)


 父親の心の声など知る由もなく、ヤオ子は両手を頭の後ろで組む。


 「明日は、どうしようかな?」

 「里をあげての葬式だ」

 「そっか……。
  沢山の人が亡くなったんですもんね」

 「それだけじゃない。
  火影様も亡くなった」

 「え?
  火影って……あのお爺ちゃん?」

 「ああ」

 「…………」

 (里は……どうなっちゃうんだろう?)


 ヤオ子の心配通りに里の力は著しく疲弊していた。
 また、火影という大黒柱をなくした木ノ葉の里は試練の時期を迎えていた。


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