== NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==
一楽での昼食を終えて、ヤオ子とサスケは再び修行場に向かっている。
「サスケさん。
まだ何かあるんですか?
あたしの見せれるものは、
もう、恥ずかしいコレクションぐらいしかありませんよ」
「そんなもん……誰が見るか!」
「きっと思春期男子は釘付けです」
ヤオ子は卑下た笑いを浮かべている。
(コイツ、本当にガキなのか?)
サスケの一抹の不安を無視して、二人は修行場に戻って来た。
第10話 ヤオ子と写輪眼
サスケが咳払いを一つする。
「ヤオ子は写輪眼という言葉を知っているか?」
「しゃりんがん?
・
・
聞いたことないですね。
新しい丸薬ですか?
兵糧丸みたいな?」
「こういう字を書く」
サスケが木の棒を拾い上げ、地面に『写輪眼』と書く。
「う~ん……。
もしかして……血継限界の一つですか?」
「よく分かったな」
「サスケさんが追加でくれた本に書いてありました」
(コイツ……凄い読解力があるんじゃないか?
・
・
今度、家にある本を片っ端から読ませてみるか)
サスケのドS心に火が点いた。
「で?
その写輪眼が、どうしたんですか?」
「少しだが扱えるようになった」
「本当に人間離れして来ましたね。
サスケさんって」
「そういう例えはやめろ。
写輪眼は、ウチハの家系に稀に発生する瞳術だ」
「じゃあ、その才能が開花したんですね」
「そういうことだ。
・
・
そこでオレは、次の修行に入る」
「?」
ヤオ子は首を傾げる。
「この写輪眼を使いこなす必要がある。
特に……。
アイツに対抗するには必ず……」
(またサスケさんが怖い顔してる)
「ヤオ子……。
実験台になれ」
「…………」
ヤオ子は目を座らせ、聞き返す。
「何か、また主語が抜けた感じですね。
今、何と?」
「実験台になれ」
「念のために聞きますよ?
危なくない術ですよね?」
「安心しろ。
写輪眼を使った幻術を試すだけだ」
「幻術か……。
なら、いいですよ」
ヤオ子は安心して返事を返した。
「酷い時は精神崩壊を起こすかもしれんが、
お前なら大丈夫だろう」
「はい! ストーップ!
今、おかしなこと言ったよ! この人!
精神崩壊?
馬鹿じゃないの!?」
サスケのグーが、ヤオ子に炸裂する。
「加減すれば平気だ!」
「何言ってんですか!?
ドSのサスケさんが加減なんて出来るわけないでしょう!
絶対に調子こいて、あたしを亡き者にしようとするに決まってるじゃないですか!?」
サスケのグーが、ヤオ子に炸裂する。
「ちゃんと波の国で、
チャクラコントロールの修行を積んだ!」
「……信用していいんですね?」
「任せろ」
ヤオ子がジト目でサスケを睨む。
「……そう言って、
さっき地面にキスしたのを忘れてないですからね」
「…………」
「やるぞ」
(無視した……)
サスケが集中して目を閉じる。
暫くして目を開けると黒目が赤く変わっていた。
「まだ慣れてないから、発動まで時間が掛かる」
「カラーコンタクトみたいですね」
「いくぞ」
(また無視した……)
サスケがヤオ子の瞳を覗こうとすると、ヤオ子は両手で待ったを掛ける。
「ストーップ!」
「今度は、何だ!」
「どうせ掛けるなら、
めくるめく甘~い幻術にしてください」
「は?」
「幻術には相手を恐怖で縛るだけでなく
夢見心地にするのもあるでしょ?」
(いらない知識をつけやがって……)
「じゃあ、お願いします!
あたしにエロい一時を!」
「…………」
サスケが写輪眼でヤオ子に幻術を掛ける。
「ぎゃ~~~っ!」
ヤオ子がバタバタと悶え苦しみ出した。
「なんじゃこりゃ~~~っ!
死ぬ! 死ぬ! 死んでしまう~~~っ!
・
・
があぁぁぁ!
猛れ! あたしの妄想力! 解!」
ヤオ子が自力で幻術を解いた。
(コイツ……幻術解けるのか)
「何してくれちゃってんですかっ!?
誰がエグい一時を見せろと言った!
あたしは、エロい一時を見せろと言ったんだ!」
「もう一回やるぞ」
「やるか!
・
・
って! があぁぁぁ!
もう、掛けてやがる!
・
・
猛れ! あたしの妄想力! 解!」
ヤオ子はハアハアと地面に手を突いて息を切らす。
「油断も隙もねーです……。
何というドSっぷりなんですか……」
「お前、いつ幻術の解除を覚えた?」
「本見れば分かるでしょ……。
また大雑把に書いてありましたよ。
相手にチャクラをコントロールされるから、
自分のチャクラで引っ掻き回して解けって。
・
・
とりあえず、突っ込んどきました。
チャクラ練ってないのにコントロールするって、どういうことだって」
(本当に意味のないことに精を出す奴だな……)
「しかし、ヤオ子が幻術を解く技術を持っているなら、
オレの修行は捗るな」
「あたし、もう嫌ですよ。
そんな酷い修行。
これ以上、あたしにトラウマを刻まないでくださいよ」
「ちょっと調子に乗った……すまない」
「…………」
サスケは素直に謝り、頭を下げる。
それを見て、ヤオ子はチョコチョコと頬を掻く。
「まあ、そうやって頭下げてくれんなら手伝いますけど。
ちゃんと加減してくださいよ」
「分かった」
…
そして、数分後。
「ぎゃ~~~っ!
この人、加減って意味を全然理解してねーっ!」
ヤオ子の悲痛な叫びが響き渡った。