「会いたい……」
「どなたに、で、ございますか?」
「あの女だよ。ぜひ……」
「しかし、柾民さま――」
「鷲尾。僕は会いたい、と言ったんだ」
「……はっ」
「ああ……。まるで、童話に出てくる妖精のようなひとだ……」
<明人side>
海。
青い海。白い砂浜。輝く太陽。
こうして見てみると、どれもすばらしく見える。
「のに、お前は何をやっているんだ?」
「古典的なトラップだ」
そう言いながら手榴弾を取り出した。
おいおい、まさか……
「これで鞄を動かせば爆発する。盗難を試みた犯人は、手痛い教訓を学ぶ事になるだろう」
「その泥棒と一緒に、俺たちの財布や荷物も吹っ飛ぶとは考えなかったのか?」
こいつの表情を見ると考えてなかったな。
「お前な……」
「……だが、こうして『盗難行為は高くつく』と見せしめれば、地域の防犯対策にも貢献できるだろう。いわば大事の前の小事……」
「人がスイカ運んでる時に、何やってんのよあんたは!?」
かなめちゃんがハリセンで相良を叩いてる。
いつの間に?
と言うよりそのハリセンは何処から?
「大体あんたは……」
いかんな、説教が始まったぞ。
かわいそうだから助けてやるか……。
「まあまあ、俺が止めたから大丈夫だよ」
「すみません明人さん。ウチの宗介が迷惑をかけて……。ほら、宗介謝りなさい!!」
「迷惑ではない。これは……」
「言い訳しない!!」
なんだか子供を叱る母親みたいだ。
「……以後注意する」
「ねえねえ、カナちゃん。早くスイカ割りしようよ!」
「はいはい。よっこらしょ……っと。宗介、あんたも来なさい」
「しかし荷物が……」
「俺が見張ってるから楽しんでこい」
「明人さん、ありがとうございます。ほら、宗介来なさい」
今日はラピスのクラスメイトと共に海に来ている。
暇になったのでちょっとした休暇だ。
ちなみに俺は引率者である。
海か……。
思えば最後に行ったのはテニシアン島だった。
あの時はシビレ薬を飲まされたおかげで海を楽しむ事ができなかったが……。
「今となればいい思い出だな」
うん?なんだか眠くなってきたな……。
<ラピスside>
面白くない。
さっきから明人に向けてセクシーポーズをさりげなく決めてる。
だけど明人は無反応……。
何故?
スタイルが気に入らないの?
これでも自身あるのに……。
すべすべの肌。
すらりとした脚線。
きゅっと締まったウエスト。
胸は……かなめほどじゃないけど、かつてのストーカー(ルリ)よりはある。
水着だってこの前買ったおニューだ。
それなのになんで?
Why?
もしかして気づいてないの?
……そうだ!気づいてないんだ!!
ちゃんと見せよう。
「……ねえ明人」
あれ?返事がない……。
「明人?」
???
「すーすー」
ね、寝てる!
私がこんなに頑張ってるのに……。
「……明人のバカ」
あとがき(いいわけ)
明人とガウルンの会話が思いつかない…orz