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No.313の一覧
[0] ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/01/15 16:34)
[1] Re:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/01/28 23:08)
[2] Re[2]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/02/10 21:07)
[3] Re[3]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/04/23 09:08)
[4] Re[4]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/02/17 09:05)
[5] ナデシコ・パニック外伝[KIKI](2006/02/21 12:40)
[6] 勘違いのサマーイリュージョン-1[KIKI](2006/02/21 12:43)
[7] 勘違いのサマーイリュージョン-2[KIKI](2006/02/22 23:45)
[8] Re[5]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/03/20 19:19)
[9] Re[6]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/03/21 15:11)
[10] Re[7]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/03/22 21:47)
[11] Re[8]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/03/25 14:59)
[12] Re[9]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/03/26 22:31)
[13] Re[10]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/03/28 08:41)
[14] Re[11]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/04/01 20:27)
[15] 設定資料(ネルガル兵器)と近況[KIKI](2006/04/09 21:20)
[16] Re[12]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/04/29 12:55)
[17] Re[13]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/04/29 12:56)
[18] Re[14]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/05/04 07:28)
[19] Re[15]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/05/13 20:59)
[20] Re[16]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/07/24 10:45)
[21] Re[17]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/08/11 17:07)
[22] Re[18]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/12/22 21:51)
[23] Re[19]:ナデシコ・パニック その2[KIKI](2006/12/22 21:52)
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[313] Re[16]:ナデシコ・パニック その2
Name: KIKI 前を表示する / 次を表示する
Date: 2006/07/24 10:45
9月19日 1100時(日本標準時)
ネルガル本社


 テッサが来日――拉致とも言う――して約一週間。天河邸で行われる勝負は、ネルガル本社で開かれる事になった。
 会議場を観客席付きの立派なキッチンスタジオに作り変え、かなりお祭り気分である。ちなみに会場は、明人がヒマだった社員をかき集めて徹夜で作らせた。
 暫らくすると片手にマイクを持った二人(?)組みが現れる。

『私の記憶が確かならば、今日は女性としてのステータスが試される一日となるであろう……』
『と、言う訳で……』
『遂に始まりました“第一回チキチキお料理対決”』
『始まってしまいましたねー』
『司会進行は私バッタ、また特別ゲストの……』
『クルツ・ウィーバーです。よろしくぅ!』

 クルツはこういったイベントが好きらしく、ネルガルの主導であってもノリノリであった。

『とまあ、このようなデコボココンビでお送りしま~す』
『それでは審査員の紹介です。まず初めに審査員長の千鳥かなめー』
「ちょっと待った!!」

 ノリノリの虫型の無人兵器と金髪碧眼男。
 そんな二人組みに突っ込みを入れるのはかなめ本人である。

『おや、どうかされたのですか審査員長?』
「アタシ、こんなの聞いてないわ!」
 
 かなめは事前に明人に誘われていた。
 ところが来てみるなり審査員長と書かれた襷を渡され、訳の分からぬままその席に座らされたのである。

「何でアタシが審査員長なのよ!?」
『まあ、いいじゃないですか』
『そうそう。二人の知り合いで中立の立場はかなめちゃんしかいないんだから』
「中立って……大体アタシはっ」
「いいじゃないか千鳥。何事も挑戦するのは大切だ」

 渋るかなめに待ったのかけたのは、同じく誘いを受けた相良宗介であった。
 何故かかなめの横の席に座っている。彼も審査員をするらしい。

「ところで千鳥。俺は一体何をすればいいのだ?」
「……」

 これ以上の抗議は無駄と悟ったのか、宗介に呆れたのか、かなめはあきらめた様に席に座った。

『続けていいですか?……続きまして相良宗介ー』
「つまり旨い料理を選べばいいのだな?」

 趣旨を理解してない宗介。

「そうそう、大人しくしてんのよ」

 その宗介に説明するかなめ。

『最後にバチスト・F・ランバードー』
「休日に呼び出されて、何でこんな事を……まあ、旨いものが食えるなら別にかまわんがね」

 暇だからという理由で審査員になってしまったバチスト。

『……以上の三人が審査員となりま~す』
『そんでもって!この料理対決の主役を紹介しようか!!』
『うむ。甦るがいい、ア○アンシェフ!』

 その言葉と共に各厨房の目の前の床が開き、下からエレベーターが上がってくる。
 もちろん乗っているのはテッサとラピスだ。
 互いの目が合うなり、火花が飛び散る。

『さて、登場人物が全員揃ったところで、今回の対決のテーマを発表します』
『テーマに沿った料理を作ってもらうぞ』
『それでは……』

 バッタがなにやら紐らしきものを掴む。

『とりゃぁぁぁ!!!』

 紐を思いっきり引っ張ると、上から垂れ幕降りてきた。そしてそこに書かれたテーマは、

[ 家 庭 料 理 ]

『今回のテーマは、家庭料理だ!!』
『試合時間は1時間だぞ』
『では、存分に料理をするがいい。アレ・キュイジーヌ!』






<ラピス side>

『ラピス選手は何を作るのでしょうかね~』
『お、なんか取り出しましたよ』
『これは……小麦粉ですね。まさかラーメンでも作るのでしょうか』
『もしかしたらパンかもしれませんよ』
『(無視)ちょっと確認してみましょう。ラピス選手、何を作っているのですか』
「天河特製ラーメン」
『ブッブウゥゥゥ』

 突然、効果音を流すとバッタは×マークを作る。

『ラピス選手。残念ながらラーメンは認められません』

 思いがけない言葉にラピスは顔色が変わる。

「何でよ!!」
『何故なら、ラーメンは家庭料理ではないからです』

 家庭料理とはその名のとおり『家庭で作られる料理』の事だ。そうなると天河特製ラーメンは、いわばプロが作る料理であり家庭料理ではない。
 また、一般家庭で作るラーメンは大抵インスタントラーメンだ。コレは料理とは呼ばないのである。

『以上の理由からNGです』
「……」

 ぐうの音もでないラピスであった。






<テッサ side>

『一方のテッサ選手は……何と言うことでしょう!』

 見るとテッサは大粒の涙を流していた。

『これは……タマネギです!大量のタマネギを刻んでおります!!』
『キツイな……』
『他には、牛肉やニンジンといった具材。後赤ワインもありますね』
『ビーフシチューかな?』
『ちなみにビーフシチューは問題ありませんよ』

 テッサは刻む。ひたすら刻む。基本どおりの猫の手で。






 時計の針が12時を刺し、バッタが終了の合図を出す。

『さて、そろそろ時間なので審査に入ります』
『二人とも料理を提出してもらおうか』

 まず料理を見せたのはラピス。

「これなら大丈夫よね」

 ラピスが作ったのはあんかけチャーハン。
 本来なら『天河特製』が付くんだがそこは秘密だ。

『大丈夫です。……続いてテッサさんお願いします』

 テッサは料理をその見せるのだが、

「異議あり!!」

 テッサの料理を見るなり、ラピスは異議を申し出た。

「テッサが作ったのは火星丼よ」

 テッサの料理は皿に御飯を盛り、その上にデミグラスソースをかけた物だ。さらにはタコさんウインナーがチャッカリ乗っかっている。
 今回のお題は家庭料理、これではテッサは失格である。

『お待ちください審議いたします』

 バッタが『審議中』との表示を出している間ラピスは、

「墓穴を掘ったわね。ルールを聞いてなかったの」

 皮肉たっぷりに言い放つが、テッサには少し余裕がある。

「心配されなくても大丈夫ですよ」

 どうやら秘策があるようだ。

『審議が終了しました。結果は……問題ないとの事です!』

 会場がざわめいた。
 家庭料理でなければならないこの対決で、火星丼が認められたのである。

「何でよ!!!」
『理由は器です!』

 火星丼はいわばドンブリ物である。しかしテッサはドンブリではなく皿に盛った。皿に盛った時点でそれはドンブリ物ではない、という判断が下されたのだ。

『つまり、これはハヤシライス……です』

 ものすごい目でバッタを凝視するラピス。納得いかない様だ。

『それでは審査員の皆さん、試食をお願いします』

 宗介とバチストは黙々と、かなめはじっくり味わいながら料理を口に運ぶ。
 その姿を見ながらラピスは半ば勝利を確信していた。
 結果は投票方式。三人の審査員は美味しい方の札を出す、つまり2票取った方が勝ちとなるのである。
 宗介とバチストは、はっきり言って味の違いが分かるほどの味覚は持ち合わせていない。そうなると自分が属してる方の札を出すだろう。
 そうなると判定はかなめに掛かってくるのだが、

『それでは判定に参ります。審査員の皆さん』

 バッタが告げる。

「両方とも旨いが、どちらか選ぶならこうなるな」
「こっちもな」

 予想どおり宗介はテッサに、バチストはラピスに入れた。
 残ったのはかなめ。かなめがラピスの札を出せば問答無用の勝利である。

(よし、これなら……!)

 なにしろ、ラピスにとって彼女は親友である。きっと自分に入れてくれるという思いがあるのだ。
 そしてかなめは迷いながら札を出した。

「え……」

 かなめが出した札には――『テッサ』と書かれてあった。

「何で!?どうして!?かなめどういう事!!」
「ラピスごめん。味は貴方の方が美味しかったんだけど……」
「けど……」
「ラピスのチャーハンは明人さんのと同じ味だったから」

 つまりはラピスのあんかけチャーハンは明人が作った時と、同じ材料、手順のものでありラピスのオリジナルではない。

「じゃあテッサは?」
「材料が違う。明人さんの火星丼にはマッシュルームは入ってない」

 言い換えればテッサは火星丼をハヤシライスに合うようアレンジしたのだ。

「それに最大のポイントはタマネギよ。明人さんはタマネギを丸ごと煮詰めるけどテッサは炒めた。それにより甘みが増したの」
「で、でも……」
「ラピス」

 直も抗議するが、明人によって遮られる。

「お前の負けだ」

 確実に美味しい料理を出したラピス。
 もし審査員がかなめでなかったら勝っていただろう。しかし、テッサのオリジナリティによって粉砕されてしまった。

『という訳で軍配はテッサ嬢に上がりましたー』

 こうして“第一回チキチキお料理対決”は幕を閉じた。
 呆然とするラピスを残して……。






9月19日 2200時(日本標準時)
天河邸 ベランダ


 その日の夜、ラピスは一人ベランダで拗ねていた。
 勝てると確信していた為か今日の敗戦はショックだったのだ。
 そこにテッサがやってきた。

「ラピスさん……」
「何?」

 ラピスは赤く泣きはらした目で彼女を見た。

「今日の事でお話が……」
「いいよ別に、私は敗者、貴方は勝者。好きなだけ笑えば」
「違います。誤解です」
「じゃあ何?愚かな私を哀れんでるの?」
「いい加減にしてください!!」
「……」
「貴方はどうして私を眼の敵にするのですか?」

 ラピスは答えない。

「ラピスさん、貴方は会ったときから私に敵意を向けていました。何故ですか?」

 気まずい雰囲気の中、ラピスが口を開く、

「ストーカー」
「はい?」
「昔、明人を追いかけてたストーカーに似てるの」
「私が……ですか」
「そのストーカーは勝手に自分の妄想を明人に押し付けるの、明人の気持ちを考えないで……」

 そのストーカーが誰なのかは別にいいだろう。

「貴方はソイツに似てるの、なんていうか雰囲気が……」
「そんな理由ですか……」

 テッサは少し安堵した。
 自分に落ち度があったのではと思っていたからだ。

「だとしたらそれこそ誤解です。私は彼に自分の考えを押し付ける気はありません」
「……それだけじゃない……明人は貴方に優しくする……」

 明人にとってラピスは妹としか見ていない。
 そのため、他人であるテッサがチヤホヤされたり、料理を教わっていたのが羨ましかったのである。
 そんなラピスの言葉に聞き、テッサは何やら意を決した。

「私は……貴方が羨ましいです」
「……」
「貴方は私と違って色々な事ができる。学校に行って、勉強して、友達と遊んで……はっきり言って嫉妬してます。ここに来て一週間経ちます。ここの生活は私にとって新しい事だらけでした。この、今までにない生活を続けたい。私も貴方のように生きていけたらと……だから、だからこそ、私は貴方と仲良くなりたいのです」

 結局、テッサもラピスも互いが互いを嫉妬しあっていただけなのだ。

「……」
「ラピスさんは明人さんのことが好きなのですか」
「……うん」
「分かりました。この際です。全て正直に言います」

 テッサは自分の思いを口にした。

「私は明人さんの事が好きになったみたいです」

 思わぬ発言に唖然とするラピス。

「……えっ……」
「一応、お互い頑張りましょうとは言っておきますね?」

 するとテッサはガラス戸へ歩きながら言った。

「抜け駆けは無しですよ。正々堂々勝負です」

 あまりの出来事に思考が追いつかない。
 それでも暫らくすると、ラピスはクスリッと笑い立ち上がった。






おまけ


「アキトー。チャーハン作ったの。食べて食べて!」
「お、どれどれ……」

 一口食べる。そして後悔した。

「ッッッ!!!!!!!!!!!」

 何故ならその味は甘かったり、辛かったり、苦かったりするのだ。

「ラ……ラピス。い……一体……何を……?」
「私なりにアレンジしたんだけど……」

 どうやらオリジナリティを出したらしい。

「他にも作ったから、いっぱい食べてね♪」

 言いながら台所に戻るラピス。
 明人はそんなラピスを見ながらつぶやいた。

「あの三人の再来だ……俺はこの年になってもこんな目に会うのか……」

 どうやら、明人の不幸はまだ終わらないらしい。






あとがき
ご無沙汰です。
間が開いてしまい申し訳ありません。
夏になりやっと暇な時間が増えたので続きを書こうと思います。

今回の話は、ラピスとテッサの仲直りイベントです。
さらにテッサの宣戦布告も入れました。これは私がやりたかったネタです。
少しナデシコな要素(おまけですが)も入れてみましたが、どうでしょうか?
後1話くらいで拉……来日偏は終了です。

P.S.
料理ネタはもうやらない。


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