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No.27656の一覧
[0] もう一度ナデシコへ(ts転生 逆行 再構成)[メランド](2011/07/27 21:32)
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[7] 幕間[メランド](2011/05/12 23:44)
[8] 07[メランド](2011/05/15 23:20)
[9] 08[メランド](2011/05/18 23:23)
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[13] 12[メランド](2011/06/29 23:02)
[14] 13[メランド](2011/07/14 20:40)
[15] 14[メランド](2011/07/13 22:50)
[16] 15[メランド](2011/07/27 00:06)
[17] 最終話[メランド](2011/08/13 00:47)
[18] エピローグ[メランド](2011/10/23 20:44)
[19] 第2部~プロローグ~[メランド](2011/12/04 23:08)
[20] 番外編 01[メランド](2012/08/26 23:39)
[21] 01[メランド](2012/08/19 23:20)
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[27656] 13
Name: メランド◆1d172f11 ID:00d6c168 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/07/14 20:40


『…………まもなく、火星圏に到達します。1200を持って作戦は開始されます。ひなぎく改。準備はよろしいでしょうか?』
「こちらひなぎく改、アオイ・ジュン。進路クリアー。準備は完了しています。シークエンスどうぞ」


 ルリちゃんの静かな声に若干緊張した様子のジュンが答える。
 私はその会話を他人事のように大きく闇に映える赤い星を見ていた。


 火星。2度も失ってしまった私の故郷。
 アキトには感傷に浸るなと言いつつ、私が感傷に浸ってどうするといいたくなるが、今少しだけ眺めさせて欲しい。


 あの星から始まって、あの星で終わった。
 私の2度目の戦いもまた、あの星から始まった。
 …………今度こそ、うまくいくだろうか? 私はまた選択を間違えていないだろうか?


 ブンブンと首を振り、再び大きな赤い星を見据える。
 ユリカの幸せに火星の住民の救助は必要不可欠。A級ジャンパーの存在は多数いればそれだけユリカの負担は減るはずなのだから。
 邪まな理由で救助に行く私。私は、正しい道を選べているのだろうか?


 頭の中がグチャグチャになるように色々な考えが駆け巡る。
 そんな時、私の目の前にルリちゃんの顔がアップでウインドウに映し出された。


「…………………リンさん。何か、言うことないんですか?」
「うん? ああ、警戒を怠らないでくれ。戦闘もできるだけ避けてくれ。遅くとも一日では帰ろう。通信は必ず1時間おき。通信がない場合は――――」
「違います。そんな言うまでもない業務連絡どうでもいいです。…………その、私にその、言うこと、ないんですか?」
「ルリに? フム……………」


 何やら微妙な表情を浮かべるルリちゃん。
 正直、ルリちゃんに心配事はない。むしろユリカの暴走、アキトの暴走を押さえていてもらいたいくらいだ。
 現状把握もできてるし、通信体制も完了している。見て回る経路の確認も完了してるし、トイレもちゃんと行った。何かしてないことあったか?


「ホラ、私の夜のあれとか、朝のあれとか、昼のあれとかです。何か言うことないんですか?」
「……………??? なぞなぞか? 悪いが、作戦前だ。集中したい。また今度な」
「もういいです!! ひなぎく改、発進してください!!」


 いきなり怒るルリちゃん。1200にまだなってなくないか?
 しかしルリちゃんの怒り声に反応し、ひなぎく改は発進する。
 何を怒っていたかは知らないが、いよいよ火星だ。集中していこう。
 …………と、そうだ。


「ルリ。お前の昼だが、部屋に軽く食べれるものを作っておいた。悪いが、晩はホウメイさんに頼んでおいたからそっちで食べてくれ。あと、寝れるときはなるべく寝るように。じゃあ、頼む」
「えっ!? あ、ハイ…………」


 何やら驚いているルリちゃんを横目に、ひなぎく改は宇宙へと飛び出した。
 そしてそのまま火星へと下降していく。
 覚悟は決めた。後は、やるだけだ。


『…………気をつけて。ちゃんと、帰ってきてください』


 分かっている。
 私はまだ、こんなところでは死ねないんだから。










 第12話 『闇との再会』













 ジュンが操縦するひなぎく改はゆっくりと火星へと降下していった。
 なぜひなぎくに改の字がついたかというと、小型の重力波アンテナを付属させたからである。
 ナデシコにあるそれの10分の1の範囲ではあるがその間でのエステバリスのエネルギー効率の稼動を可能にさせた。


 とはいっても、ただでさえ狭い戦闘エリアが10分の1になったのである。
 まともに戦えばコチラの敗北は必至である。つまり、できるだけ戦闘は避けるに限る。


「……まず目的地はネルガル火星支部? ユートピアコロニーの最南端。ここでいいの?」
「はい。私どもは住民の救助と共に火星のデータも持ち帰らなくてはならなくて。ハイ」
「フン。住民の救助は二の次だろ? データの持ち帰りに……他に目的があるんだろう? プロスペクター?」
「いやはや。あくまで救助のついでですよ。それはそうとリンさん。あなたも目的があって火星に来たのでは? どこか行く予定が?」


 どことなくはぐらかすようにプロスペクター。
 ま、遺跡のデータでも欲しがっているのだろう。アカツキあたりが。
 私は鼻を鳴らしプロスの言葉に答える。


「私の目的は住民の保護だ。確かにここは私の故郷なんでな。こんな時でなければ見て回りたい場所などやまほどある。が、それではアキトに怒られるだろう? 後回しにするさ」
「では、ネルガルに行くのに文句はありませんか?」
「もちろんだ。しかし、おまえが色々データを漁ってるのをただジッと待っているのもつまらん。別行動して構わんか? 近くにあるシェルターを見て回りたい」
「ええ。私にはあなたの行動を制限できる権限はありませんでして、ハイ。いかがでしょう? 副長?」


 突然話を振られたジュンが「ええ? ボク!?」なんて言いながらうろたえる。
 ちなみにガイは一言も話さずに窓の外をジッと眺めていた。周囲の警戒をしているのだろうか?
 ジュンはコホン、と咳をし、少し考えると、


「……それって単独行動って意味かい? 正直僕は歓迎できないけど……。もし行動するなら、このひなぎく改には操縦者は必ず残らなくてはならない。ナデシコとの通信も兼ねるからね。それに、緊急時に控えてパイロットも。プロスさんが単独行動を取る以上、リン君も単独行動になる。危険じゃないかい?」


 さすがはユリカと違って安全派思考のジュン。最もな意見だ。が、


「危険というならこの作戦自体が危険だな。スピード勝負になる。とりあえず近くのシェルターをあたるだけさ。すぐに戻るし連絡もいれる。許可をくれ」
「え、ええと、リン君がそこまで言うのなら…………」
「待て、副長」


 簡単に許可を出しそうなジュンを止めたのは今まで無言を貫いていたガイだった。
 ガイは真剣な眼差しで私を見つめると、


「ブラック。それは、おまえにとって必要なことなのか?」
「…………必要だ。行動を起こさねば何も変わらない。それが、私の持論さ」
「定期連絡は10分だ。それが過ぎたら俺はひなぎく改を放ってでもおまえの元に行く。それが嫌ならこの話はなしだ。ここにいろ」


 正面から言うガイ。その顔つきは、いつになく真剣そのものだった。
 私はつい苦笑すると、


「…………わかった。必ず定期連絡は入れよう。避難民を見つけても即刻連絡を入れる。プロスもそうしろ。それで構わないか? ガイ?」


 その言葉にガイは、神妙に頷いたのであった。










「……地図によると、ここはシェルターのはずだが……」


 火星に到達して数分。
 私は言葉の通り単独行動を開始していた。


 前回ユートピアコロニーに避難民が居たことは覚えているが、前回とはチューリップが落ちた場所も違うしそもそも正確な位置が分からない。
 そもそもそこにいるかどうかも分からないのでとりあえず大きなシェルターを探していたのだが……。


「……最早ここは廃墟だな。大きなシェルターは逆に目だって真っ先に攻撃されたか。しょうがない。他に行くとしよう」


 私はひなぎく改に連絡を入れるとそのまま移動を開始する。
 シェルター跡の地下を潜り、そのまま別の場所に移動しようとしたところで…………おかしな部屋を発見した。


「……? なんだこの部屋は? シェルターの隠し部屋?」


 壁とまったく同じ模様の扉が戦争の時に壊され、中が覗ける状態になっていた。
 覗くと、どうやら更に地下に繋がっているらしい。人が入った形跡が……ある!?
 まさか、ここに避難しているのか!?
 とりあえずジュンに不審な階段があることを告げ、私はそのまま地下に降りていった。


「…………? 違う。これはシェルターではない。何かの施設? 研究所の跡か?」


 中はこじんまりとしていた。
 割れたガラスがあちらこちらに散乱し、紙やらゴミやらで辺りは散らかり放題だが、攻撃を受けた形跡はなかった。
 おそらく、ここまで木星蜥蜴はこなかったということだろう。巨大なビーカーのような装置にどことなく気分が悪くなる。
 私は散乱していた研究所の中からボロボロに煤けた紙を拾う。


「一体何を研究していたんだ? …………? 生命科学研究所?」


 今時珍しく手書きのレポートである。
 ここの研究室の物だろうか? 生命科学研究所とはここの名称か?


 内容は煤けていたり字が汚かったりであまり読めなかった。
 人の人工受精やインプラント技術。細胞の弄り方。キオクのダウンロードなど書いてあったが、そのほとんどが内容は読めなかった。


「…………何なんだこの研究所は? というかコレ、レポートというよりただの殴り書きか? 意味が分からん」


 プリントの後半には、実験の失敗についての愚痴や不満がツラツラと書かれていた。
 何やらAとかBとか書かれていたが、字が汚すぎて読めない。
 ……どことなく、気分が悪くなってきた気がする。汚い部屋に居すぎたか?


 ここにいても仕方がないと思い、私は部屋を出ようとしたところで――――人影に気付いた。


 いつの間にそこにいたのだろうか? 確かにその男はいた。


 ボロボロの埃まみれのボロを身に纏い、口元まで覆うスカーフは砂に塗れて色を変えている。
 180くらいはあるだろうか、その体躯は細身ながらどことなく芯があるように感じられる。
 男は、人がよさそうな笑みを浮かべ、今私に気がついたと言わんばかりに、


「いやいや、あなたも火星の生き残りですか? 一体どこのシェルターに避難を?」


 などと気軽に話してきた。


「いや、失礼しましたお嬢さん。私、カザミと申しまして、ここより東のシェルターに避難してまして他の生存者を探して――――」


 穏やかな声で話しかけてくる男。


 しかし、私にはわかる。


 どんなに優しく話しても。


 どんなに笑顔を浮かべても。


 例え年が、見た目が、雰囲気が、声も、顔までもが違っても。


 私には分かるのだ。おまえが誰かと言うことを。




 ――――そうだろう? 北辰?


 なぜ、おまえがココにいる?
















 あとがき


 と、いうわけで。
 第一部のクライマックスが近づいてきました。

 これより物語りは一気に加速……できたらいいなと思っています。

 誤字等ありましたら教えていただけると嬉しいです。
 それではまた、次回で。





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