「お前の一体何がユリカを魅了したんだ!特別な物な…」
「おそろしいことを言うなあああああぁぁぁぁぁっ!!」
ジュンが恨み言を述べようとしたその時、彼の台詞をアキトの絶叫が遮った。
アキトの叫びはナデシコのブリッジにも響き渡る。
その音量は、さしものミスマルユリカすらも耳を押さえて目を白黒させるほどだった。
「ユ…ユリカが俺に魅了されている…だと?や、やめてくれっ!」
「な…」
ジュンは一瞬わけがわからないと言う顔をした。
だが彼は次の瞬間、満面に怒りの表情を浮かべる。
それは当然のことだろう。
アキトはジュンが恋慕うユリカを侮辱したも同然なのだ。
しかしアキトはジュンに何も言わせず更に言いつのる。
「俺はっ!俺はあっ!お…大きい胸の女は駄目なんだぁっ!!目の前に立たれただけで圧倒されて…恐怖、そう恐怖だっ!萎縮してしまうんだっ!だからっ!だから頼むっ!ユリカが俺を好いているなど、恐ろしい事を言わないでくれっ!!」
彼は既に半泣き状態であった。
ジュンは点目になった。
彼はつい一瞬前まで色々文句を言おうと思っていた事もすっかり忘れて、真っ白になっている。
「それにっ!!俺はナデシコに好きな女の子がいるんだっ!お前がそんな事言っちゃって、誤解されちゃたらどうしてくれるんだっ!?」
「…あ~…え~と…て、テンカワ…。つまり…僕の今の台詞が聞かれちゃう云々ってことは…ブリッジ要員なのか?その娘」
何の気なしにジュンが言い放った台詞に、アキトは硬直した。