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No.8836の一覧
[0] 【マブラヴ・ACFA・オリ主・ネタ】ちーとはじめました【チラ裏より移転】[ちーたー](2016/12/24 22:35)
[1] 第一話『白い部屋』[ちーたー](2009/05/23 21:10)
[2] 第二話『出撃準備』[ちーたー](2011/04/04 01:50)
[3] 第三話『初陣』[ちーたー](2009/05/23 21:10)
[4] 第四話『交渉』[ちーたー](2009/05/23 21:11)
[5] 第五話『食料調達』[ちーたー](2009/05/23 21:12)
[6] 第六話『対BETA戦闘(初陣)』[ちーたー](2009/05/23 21:14)
[7] 第七話『BETA=資源』[ちーたー](2009/05/25 21:21)
[8] 第八話『新仕様発覚』[ちーたー](2009/06/01 01:56)
[9] 第九話『コマンダーレベル』[ちーたー](2009/06/08 03:00)
[10] 第十話『新潟戦線チートあり 前編』[ちーたー](2010/01/11 01:46)
[11] 第十一話『新潟戦線チートあり 後編』[ちーたー](2009/06/17 02:43)
[12] 第十二話『鳴り止まない、電話』[ちーたー](2009/07/07 02:38)
[13] 第十三話『月月火水木金金』[ちーたー](2009/07/18 22:31)
[14] 第十四話『三周目白銀武颯爽登場!』[ちーたー](2009/07/20 03:17)
[15] 第十五話『2001年度第二次新潟防衛作戦(チートもあるよ!)前編』[ちーたー](2009/07/20 03:18)
[16] 第十六話『2001年度第二次新潟防衛作戦(チートもあるよ!)中編』[ちーたー](2009/07/20 03:15)
[17] 第十七話『2001年度第二次新潟防衛作戦(チートもあるよ!)後編』[ちーたー](2009/08/14 00:56)
[18] 第十八話『査問会』[ちーたー](2009/09/24 00:56)
[19] 第十九話『新潟地区防衛担当者』[ちーたー](2010/01/11 01:48)
[20] 第二十話『佐渡島奪還準備』[ちーたー](2009/11/19 02:09)
[21] 第二十一話『出師準備』[ちーたー](2010/01/01 02:20)
[22] 第二十二話『上陸』[ちーたー](2010/01/17 21:36)
[23] 第二十三話『横槍』[ちーたー](2010/01/15 23:24)
[24] 外伝1『とある合衆国軍将校の証言』[ちーたー](2010/01/17 21:36)
[25] 第二十四話『決戦!佐渡島ハイヴ 前編』[ちーたー](2010/02/15 01:51)
[26] 第二十五話『決戦!佐渡島ハイヴ 中編』[ちーたー](2010/03/21 10:51)
[27] 第二十六話『決戦!佐渡島ハイヴ 後編』[ちーたー](2010/04/06 00:44)
[28] 第二十七話『LevelUp』[ちーたー](2010/05/17 01:40)
[29] 第二十八話『遠足』[ちーたー](2010/05/24 01:48)
[30] 第二十九話『敵襲』[ちーたー](2010/06/14 01:43)
[31] 第三十話『反撃』[ちーたー](2010/07/18 06:35)
[32] 第三十一話『諜報担当者爆誕!』[ちーたー](2010/09/03 01:01)
[33] 第三十二話『状況開始』[ちーたー](2010/12/23 17:14)
[34] 第三十三話『戦闘開始』[ちーたー](2011/01/04 22:25)
[35] 第三十四話『防空戦闘開始』[ちーたー](2011/01/14 22:21)
[36] 第三十五話『戦場の情景 1』[ちーたー](2011/04/04 01:51)
[37] 第三十六話『戦場の情景 2』[ちーたー](2011/04/04 00:29)
[38] 第三十七話『戦場の情景 3』[ちーたー](2011/04/26 01:57)
[39] 第三十八話『宇宙での密談』[ちーたー](2012/01/04 21:46)
[40] 第三十九話『終わらない会議』※2/5 14:30一部修正[ちーたー](2012/02/05 14:29)
[41] 第四十話『最後の会議』[ちーたー](2012/02/13 00:53)
[42] 第四十一話『反撃!』[ちーたー](2012/02/23 23:11)
[43] 第四十二話『応戦』[ちーたー](2012/07/05 00:11)
[44] 第四十三話『ユーラシア方面作戦』[ちーたー](2013/05/14 00:02)
[45] 第四十四話『決戦兵器』[ちーたー](2016/08/26 00:35)
[46] 第四十五話『喪失』[ちーたー](2020/08/31 00:40)
[47] 第四十六話『物量』[ちーたー](2017/09/05 02:19)
[48] 第四十七話『桜花作戦の現在』[ちーたー](2020/08/31 01:09)
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[8836] 第二十六話『決戦!佐渡島ハイヴ 後編』
Name: ちーたー◆7e5f3190 ID:4019fd70 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/06 00:44
2001年12月8日土曜日09:35 佐渡島ハイヴ主縦口 反応炉まで200m地点

「直衛部隊五号機全弾射耗、自爆装置起動、突入しました」

 全てのBETAを飛び越えつつ前進を継続する我々だったが、さすがに限界が来ていた。
 たった今自爆装置を起動させた五号機の前に、既に三体の直衛機が特攻している。
 自己保存の本能を持たないAIたちは、常に最良の戦術的解決策を実行する。
 この場合のそれは、出来る限り深く敵陣へ飛び込み自爆する事だ。
 五号機は仲間達の列から離れ、ブースターを全力で噴射させつつBETA集団へと飛び込んでいく。
 
「道が開いた、足を止めるなよ」

 作戦は最終段階に入りつつある。
 魔改造撃震に最適化された俺とネクストの社長、第四世代戦術機を操る無人機部隊。
 これだけの戦力を用意しただけあり、突破は思いのほか順調に進んでいる。

「上方にBETA、数20、戦車級。目標4386と呼称」

 副官が報告する。
 これがハイヴの嫌なところだ。
 BETAたちは空を飛ばないが、まるでアリや蜘蛛のように天井や壁面から襲ってくる。
 水平方向に跳躍噴射をしつつ、機体の向きを天井へと変え、機関砲を一連射。
 普通の撃震には出来ない事だが、これはBKSS仕様撃震だ。
 加速を続けつつ、空中での姿勢制御をしつつ、狙撃をする事などお手の物である。
 ちなみに、BKSSとは【Bokuno Kangaeta Saikyouno Sennzyutuki】の頭文字である。
 いいだろ名前くらい。趣味なんだ。
 それに、最適化が最初に乗った戦術機に限って行われるなんて、事前に聞かされていなかったのだ。

「目標4386撃破。次、前方20m左壁面に戦車級8、目標4387と呼称。
 次、前方51m右壁面より出現中の要撃級3、目標4388と呼称。
 次、前方56m上方より出現中の戦車級16、目標4389と呼称。
 なおも増加中、以後は文字表示」

 目標数が増えてきたことにより、音声での報告が無くなる。
 今後、敵脅威情報は全て短い警告音とモニターへの表示だけに変わる。
 まったく、殺しても殺しても湧いてくるな。

<<さすがに弾薬の残量がまずいな>>

 社長とともに前線を支えていたスティレットから通信が入る。
 既に強襲型ガンタンク大隊はBETA集団へ一機残らず特攻しており、砲撃戦を行える機体は社長と彼女しか残されていない。
 いくらネクストを集中投入しているとはいえ、ちょっと荷が重いな。

<<もっ目標4388と89撃破っ!こいつらキリがない!>>

 ダンの上ずった声が聞こえる。
 無理もない。
 ネクストは確かに無数の敵軍を蹴散らす事のできる超兵器だが、無限に思える相手を想定はしていない。
 そのような戦いは、基本的に企業軍が複数のAFを持ち出して行うものとされている。
 
「とりあえずダンは落ち着け、無人機隊は援護してくれ」

 必要最小限の言葉を発し、機体を再び全速へと持っていく。
 俺が狙うことができるのは目標4390から4396までだ。
 舌を噛み切らないようにしっかりと奥歯を噛みしめ、機体を少しばかり左の壁へと向ける。
 短く射撃。
 放たれた37mm砲弾は正確に目標へと突き刺さり、複数の戦車級を粉砕した。
 続けて着地せずに地面を向き連射。
 飛び越えつつあった突撃級たちの背中に砲弾の雨を降らせて絶命させる。

「援護してくれ」

 今にも天井から飛びかかろうとしている戦車級たちの始末を任せ、今度は右の壁面を向く。
 肩に装備されたロケットランチャーを発射し、直後に射耗したランチャーを切り離す。
 放たれた無誘導弾は直進しつつ壁面から湧き出ようとしていた戦車級たちを消し飛ばす。
 そのままこちらへ駆けつける突撃級を土台に着地し、その背中と周囲にいた要撃級たちに遠慮なく砲弾と150mm手榴弾をプレゼントして跳躍噴射。
 文字にすると長いが、時間にして20秒ほどの戦闘機動により、俺は無数のBETAを撃破し、同時に戦闘可能時間を大いに減少させた。

<<4397撃破>>
<<4393撃破>>
<<4396撃破>>

 直衛機たちが短い報告を送ってくる。
 各種センサーの情報を元に、俺達は短い跳躍を繰り返しつつ攻撃を継続している。
 我々は一つのネットワークで結ばれた戦闘集団である。
 それぞれが各々の意図を把握し、最適な目標を無力化していく。
 俺の反則的な攻撃があり、無人機隊の的確な射撃があり、ネクストたちの異常な火力が投げつけられる。
 通路全周に死と破壊をばらまきつつ我々は進撃を継続する事ができる。
 これこそが、統合情報通報システムHALの魅力だ。

「回避っ!」

 暢気に解説をしていたおかげで、危うく飛んできた要撃級の腕に命中するところだった。
 社長の砲撃は強力である事が魅力だが、このような閉鎖環境ではその威力が時として凶器となる。
 たった今、30体ほどのBETAたちを消し飛ばした砲撃は、彼らの残骸を武器するほどの破壊力を持っていた。

「五号機自爆します」

 副官からの報告に視線を向けると、全速で敵軍へ突入した無人機が最後を迎えるところだった。
 最大出力での跳躍噴射を実施し、戦車級を飛び越え、要撃級の攻撃を腕一本の犠牲でしのぎ、突撃級を踏み台に更に前へと突き進む。
 その足に戦車級が喰らいつく。
 大きく重量バランスを崩した無人機は、一瞬ではあるが姿勢を大きく変える事となるが、脚部パーツを爆砕ボルトでパージ、最終突撃を敢行した。
 目標は、通路の終点からこちらへ入ろうとしてくる要塞級二体。

「自爆します」
「自爆するぞ!」

 副官の報告と俺の警告が同時になされ、8492戦闘団佐渡島ハイブ突入部隊司令部直衛部隊無人五号機は、内部に搭載されたS-11という高性能自爆装置を作動させた。
 閃光。
 超高温の火球が出現し、蒸発したBETAや通路、加熱膨張した空気が押し寄せる。
 十分に安全距離ではあるが、何度見ても緊張する一瞬である。

「目標4398から4467まで消滅、敵集団は戦闘能力を喪失と判断」

 今しがたの自爆によって遂に道が開いた。
 機関砲を放ちつつ、無人機部隊が反応炉のある広間へと飛び込んでいく。

「後続部隊へ通達、我反応炉ヘ到達セリ。以上だ」

 機体を進めつつ後続部隊へと連絡する。
 この報告に、事情を知らない友軍は大いに沸き立つだろう。
 だが、俺にとってはある意味ここからが本番である。

「プラントを運んできている部隊は到着したか?」

 後部座席の副官に尋ねる。
 攻殻機動隊のオペレーター娘を戦術機仕様にした副官を作っておいて正解だった。
 彼女は普通の人間ではありえない素早さと冷静さをもって補佐をしてくれる。

「既に視認距離まで到達、試験プログラムの実施準備に入りました。
 ルーデル大佐から通信が入っております」

 おかしいな。
 確か、先ほどの最後の戦場までにただ飛び越えただけの無傷に近いBETA三個連隊がいたはずなのだが。

<<すまない、遅くなった>>

 副座型の第四世代戦術機指揮官機を操りつつ、現代に蘇った魔王が通信を入れてくる。

「むしろ早すぎるくらいだ大佐。
 ちなみに、A-01とその他国連軍はどうした?」

 これからしようとしている事を彼らに見られるのは大変にまずい。
 まったく言い訳の仕様がない、純度百パーセントのチート行為だからな。

<<あとから追いかけてきた帝国軍部隊と共に補給と再編成を行わせている。
 時々湧いて出るBETAの残党相手に小競り合いをしているので、しばらくは時間が稼げるだろう>>

 さすがにハイヴだけはある。
 これだけ叩いてもまだ湧いて出てくる余裕があるか。
 まあ、いざとなれば階級を振りかざして止めておこう。

「直ぐにプラントの設置とBETAの回収を始めてくれ」

 ここまできて現実世界の人間は呼び出せないはずだと気が付いた方は鋭い。
 この世界に来るにあたり、俺は連れて行く仲間を『現実派』か『空想派』のどちらかしか選ぶことが出来なかった。
 そこで誰を呼ぶかについて考え抜いた挙句、機体に最適化させるためのポイントをケチって俺はリンクスたち、つまり空想世界の住人を選択した。
 彼らは大変に有能で、別にその選択自体にはなんら思うところは無い。

<<了解した。直ちに開始する>>
 
 さっそく設置作業を開始した部隊を眺めつつ、回想を続行する。
 自衛用火器を周囲に向けた輸送用多脚車両が広間に入ってくる。
 ハイヴ内での戦闘を優位に進めるためだけに開発した機体だ。
 頑丈な筐体に主力戦車を離陸させられるだけの出力を持った主機を搭載し、蹴りで要塞級を蹴散らせるような脚部を取り付けてある。
 今回は僅かな自衛火器とクレーンしか取り付けていないが、こいつにはこれから色々な事をさせてやろうと思っている。
 
 なんだったか、ああ、なぜルーデル様に光臨いただけたかだったか。
 簡単に言うと、クレートで生産ではなく、ポイントで購入したのだ。
 神様印のチートシステムで何かを手に入れる場合、二つの方法がある。
 一つは生産。
 BETAをプラントに放り込む事によって入手できるクレートを使い、それと同質量分の何かを生産することが出来る。
 まあ、プラント発展度5である現在では、必要な物資の半分、つまり50%の質量のクレートで生産が可能なのだが、とにかく生産である。

 もう一つは獲得。
 ポイントを使って何かを獲得する方法である。
 戦術機の撃破や作戦の達成、もらえる基準はよくわからないが、とにかくこれによって文字通り獲得するのだ。
 それは部隊であったり技術であったりするのだが、そんな項目の一つにルーデル様はいらっしゃったのだ。



2001年12月8日土曜日08:03 佐渡島ハイヴ主縦口前 突入部隊指揮所
 
「ええ、ええ、それでは戻った後にはそのように。
 彼らの驚く顔が目に浮かびますね。
 ご心配なく、ちゃんと生きて帰ってきますよ」 

 香月副司令からの通信を切ると、俺はチートシステムの画面へと目を落とした。
 現在、俺は50,000ポイントを所持している。
 この作戦が終わった後にはまたもらえるのだろうが、とりあえずはこれが俺の全財産だ。

「嫌だなーハイヴとか入りたくないなー
 N2爆雷の乱れ撃ちとかでハイヴごと消し飛ばして解決できないかなー」

 自分でも不自然に感じるほどの棒読み口調でぼやきつつ、新しい項目が追加されていないかを確認する。
 ちなみに大量破壊兵器で全てを消し飛ばすという方法は別に不可能ではない。
 あちらのハイヴへG弾を、こちらのハイヴにはN2爆雷を。
 せっかくなのでオリジナルハイヴにはコロニー落し。
 そんな非常識極まりない戦法を、俺はやろうと思えば直ぐに実行できる。
 別にMIDASでも反応弾(核兵器にあらず)でも構わんが、とにかく大規模な破壊が出来る兵器はいくらでもある。
 しかし、全てを破壊しつくす前にBETAが対応しないとも限らない。 
 もし対応手段を考え付いてしまったら、取り返しのつかないことになる。

「艦隊に師団に、おお、これは原作版のカプセル降下兵じゃないか。
 超至近距離で携行式核分裂弾頭を撃ちまくるってのは効果がありそうだな」

 時折伝わる整備活動の振動を味わいつつ、コクピット内部で物騒な独り言を続ける。
 オリジナルハイヴを落すためには、もう三つほどのハイヴを落しておく必要がある。
 こちらの戦略構想を国連軍上層部が受け入れてくれるかどうかはわからないが、とにかくこの作戦が終わったら会議の申請をしておかねば。

「地球連邦軍パイロット一個連隊セット(ガンダム1st最終話時点)か、セットで獲得すると洗脳と機種転換分のポイントはサービスとか、通販番組のノリだな。
 その下の国連軍衛士一個師団パック(桜花作戦参加部隊)はもっと魅力的ではあるが、どうしたものか」

 人類が優位に立つのだからいいことなのだが、しかしこのシステムは本当にチート極まりないな。
 まあ、これだけやっても楽勝で勝てるとは限らないあたり、BETAたちも随分にアレだが。
 なんにせよ、次から次へと出てくるものだ。
 まるでアンケート結果で登場人物や兵器が増えていく小説を読んでいるようだ。
 名無しの一般兵たちだけではない。
 船坂軍曹、ハルトマン、ヘイヘ、ヴィットマン、チャールズ・コマンドー・ケリーなどなど。
 名だたる戦場の英雄たち。
 前任者たちも当然思いついていたらしく、彼らは過去に呼び出された事があったようだ。
 呼び出された後、前任者たちの最後の瞬間までの経験や装備と共に購入することも出来るらしい。
 少ないもので数千、多いものでは数万。
 生涯通算撃破数を見る限り、誰も彼もが人外な戦いを見せたようだな。
 
「次で最後か。うん?」

 モニターに表示されたのは、何かのバグであった。
 ハンス=ウルリッヒ・ルーデル大佐(二周目)専用副座型第四世代戦術機バージョン。
 前任者が召喚した際には戦術機への特性付与を見落としており、初陣にて被撃墜七回。
 周辺の孤立した部隊を指揮しつつ毎回生還し、八回目の出撃で遂に戦術機の特性を自力で会得。
 通算撃破BETA数は81,564体(小型種除く)となっている。
 最後は前任者の機嫌を損ね、オリジナルハイヴ攻略作戦に単騎で陽動として出撃。
 81,564体目と相打ちになり戦死。
 気になるお値段だが、以下のようになっている。
 専用副座型第四世代戦術機+(ルーデル大佐+ガーデルマン)×81,564体のBETAを倒したという経験=50,000ポイント。
 たった五万ポイントとは、安いじゃないか。これは今すぐ買っておこう。



2001年12月8日土曜日09:37 佐渡島ハイヴ主縦口 反応炉前

「プラントの設置完了しました。いつでも始められます」

 副官の言葉に意識を戻す。
 なるほど、そういえばきちんとルーデル閣下を購入していたな。
 まるで鋭い読者の指摘に、次回の更新分を慌てて投下した作者のような表現だったが、まあいい。

「通信に問題は無いな?」

 これから始めようとする試験には、完全武装の部隊が必要だ。
 さらに、8492戦闘団の全ての部隊に事前通達をきちんと行う必要がある。

「有線回線の敷設完了。無線交信にも支障ありません」

 有能な部下達に囲まれると、楽が出来て良い。
 それはいいのだが、本当に全て蹴散らしてきたのだな。
 さすがはさすがは高名なるルーデル様だ。
 この作戦から帰還したら神社を建てておこう。

「それでは始めよう、最初は一個小隊だ」

 アホな事を考えつつ指示を出す。
 直ぐにプラントが稼動を開始し、目の前に第四世代戦術機一個小隊、反応炉の隣に少数のBETAが出現した。

「敵襲!突撃級6、戦車級20、目標4468と呼称、殲滅完了」

 すべては一瞬だった。
 あまりの事に俺が反応できていない間に、周囲の無人機隊が一斉射撃を実行。
 生まれたてホヤホヤのBETAたちは、瞬時にミンチとなった。

「周辺のBETA反応無し。異常ありません」

 副官の報告を聞きつつ、思考を巡らせる。
 こちらの増援部隊に対抗するかのように出現したBETA集団。
 俺の想定は本当にあっていたのか?

「次、中隊を出せ。全部隊警戒せよ」

 少し時間がかかったが、戦術機甲中隊が俺の眼前に出現する。
 最後の一機が登場すると同時に、反応炉の隣にBETAの集団が出現する。
 身構えていただけあり茫然自失する事は無かったが、それでもゼロコンマ以下の速さで反応した無人機隊によって俺が動く前に全てが打倒される。
 先ほどに比べて明らかに多い数量が出現していた。

「次、この空間を隔離できるだけの建設重機と資材」

 続々と物資が出現する。
 BETAの出現は無し。

「地上の部隊に通達、い号海岸に一個大隊を出現させろ」

 それに相当する量がここに出現したら厄介だが、まあ、何とかなるだろう。
 最大限の警戒態勢を整えつつ、建設重機たちが次々と地面に簡易舗装を施していく姿を眺めている。

「地上部隊より報告、い号海岸周辺に大隊規模のBETA集団出現を確認。
 すべてを殲滅完了との事です」

 これでほぼ間違いないな。
 BETAたちは、こちらが出現させた戦力に反応し、同等の戦力を出現させている。
 あのクソッタレの神様野郎は一言もいっていなかったが、この世界はそういう仕様なのだろう。
 どうりで前任者たちが最終的には負けていったはずだ。
 おそらく、このルールに気づかないまま、最終決戦までに物量で押し負けてしまったのだろう。
 あるいは師団規模をオリジナルハイヴ内に呼び出して押し潰されたかもしれない。
 敵がこちらの総数に呼応した数だけを出現させているとしても、限られた戦域に集中投入されれば局所的な劣勢は発生する。
 例えば、師団規模の長蛇の列に対し先頭へBETAの集団が際限なく押し寄せれば、そこは常に劣勢を強いられる。
 先頭が潰れればその後ろが、その後続が、さらに後続が、そこへ続く後続が、止めどなく押し寄せればいつかは負ける。
 無限の物量がなければ、弾幕とは無限に張り続けることはできないのだ。

「次、機関砲台を設置。5基ずつ、10分間隔、50基まで」

 やはり虚空から突然BETAたちが湧いてくるが、もはや意味はない。
 定期的に増加するこちらの戦力に、逐次投入されてくる彼らが勝てるはずもない。

<<これは、厄介な事になりそうだな>>

 BETAのミンチを回収する車両たちを護衛しつつ、ルーデルが声をかけてくる。
 全くもってその通りだ。
 戦力を増強すればするだけ、BETAたちは付近に同等程度の増援を得る。
 厄介どころの話ではない。
 これではせっかくのチートもプラントも、役に立たせることができない。
 だが、俺はここで一つ閃いた。

「鉄鉱石10t、鋼鉄10t、セメント10t、適当に生鮮食品10t、機関砲台1基を部品単位、戦術機も同様で10機。
 5分単位で製造しろ」

 資源、物資、建材、その他、そして建造物と兵器を部品単位。
 それぞれを作ったときの敵の挙動を目の前で確認できる貴重な機会だ。
 付き合わされる護衛部隊には申し訳ないが、お付き合いいただこう。



2001年12月8日土曜日10:15 佐渡島ハイヴ主縦口 日本帝国本土防衛軍 新潟管区方面隊佐渡島基地

「反応炉の破壊を確認、地上の部隊に連絡しろ」

 無数の砲弾を喰らって崩れ落ちる反応炉を背景に、俺は作戦完了を宣言した。
 緊張感という言葉からは程遠い試験の連続。
 負けようのない強力な友軍に囲まれてのそれは、俺に油断を抱かせるのに十分だった。

「この部屋の物理的な隔離作業は完了しました。
 以後、外部からの侵入に対しては観測が可能です」

 後部座席から副官の報告が聞こえる。
 ここはBETAたちの惑星資源採掘作戦前線基地の一つ、佐渡島ハイヴの反応炉室だったはずである。
 しかし、今は違う。
 天井から床まで、厚さ20mの強化コンクリートと装甲板で覆われた要塞である。
 別にこれでBETAたちの侵入を防げるとは思えないが、入ってこようとすれば、あるいは侵入していれば一目でわかる。
 反応炉が見た感じでは停止しているらしいこの部屋にBETAが訪れることはもうないだろうが、念には念を入れておかなければならない。
 
「とりあえず地上に戻るか、上の状況は?」

 既に撤収準備を始めた友軍機たちを見つつ副官に訪ねる。
 別に通信は途絶えていないのだから心配する必要はないのだが、何事も確認を取る事は大切だ。

「地上部隊より報告。BETA増援部隊は、に号海岸付近に上陸を継続中。
 現在三個師団にて防戦中。まもなく艦砲射撃が再開されます」

 まあ、地上はそれでいいだろう。
 これ以上増援を出すつもりはないし、つまりこの近辺に敵の増援がこれ以上来るとは考えづらい。
 既に佐渡島上には説明のしようがないほどの規模の無人機が蠢いているのだから、あとはこれをきちんと配分して戦線を構築するだけだ。
 反応炉が落ちた以上、BETAの増援も時期に途絶えるだろうし、作戦は事実上完了したな。
 貴重な実験データは手に入るし、ハイヴは落とせるし、戦力の増強はできるし、大量のクレートを入手できた。
 今後の政治的なトラブルには頭が痛いが、全体で見れば大変にお得な攻略作戦となったな。


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