第七話 207部隊(仮)
武が大声を上げて訓練場へ走って行った後、夕呼と一時談笑を済ませた白面は元来た道を戻っていた。
飾り気も何もないコンクリートの通路がひたすら続いている。
この後どうしようかと、やる事のなくなった白面はPXでもらった紙パック入りの合成玉露を飲み歩きながら考える。
「……あまり美味くないな」
そう言って合成玉露を飲み終えた白面は、パックを握り潰しそこら辺のゴミ箱に投げ入れる。
衛士の個人部屋のある通路を通ると6人組みの女性陣が集っていた。
見るとその中には赤い髪に黄色いリボンが特徴の鑑純夏もいた。
いや良く見ると他の女性も全員見覚えがある。
『御剣冥夜』『榊千鶴』『珠瀬壬姫』『彩峰慧』『鎧衣美琴』の5人である。
武の前の世界での同期で記憶に残っていた女性達だ。
「ちょうど良い」
白面も彼女達と一度話しておきたかったのでそのまま近づいていった。
「あっ! 陽狐さん!」
白面に気付いた純夏が手を振って声をかける。
「あぁ、純夏か。それと……」
白面は目線を残りの5人に移す。
「あ、この人達はね……」
純夏はそう言って5人を紹介する。
この5人は今日、ここ仙台基地に来たらしいとの事。
同年代の女子のいなかった純夏は思い切って声をかけ、仙台基地を案内している内に仲良くなったらしい。
新しい友達ができた事に純夏は素直に喜んでいるが、他の5人達は少し複雑な表情を浮かべて笑っている。
まぁそれぞれ帝国と国連の間での人質やら何やらそう言った事情があって、ここ仙台基地に来た事を理解しているのだろう。
特に冥夜はこの国の征夷大将軍、煌武院悠陽と同じ顔をしている。
否が応でも察しがつくと言う物だ。
……まぁ察しの付いていない純夏がここにいるのは置いておく。
しかしこうして全員を一辺に見てみると武の記憶にあるより皆、幼い顔をしている。
もっとも年齢的に彼女らは15,6歳なのだから当然と言えるのだが。
「すまぬ鑑、この方は?」
そう言ってどこか侍を思わせる髪型が特徴の冥夜が純夏に白面の紹介を求める。
「うん! 紹介するね! この人は九尾の狐の金白陽狐さん」
「へぇ、そうなんだ……」
眼鏡をかけた委員長こと千鶴が何となしに相槌を打つ。
「「「「って、えぇぇえぇーーーー!!!」」」
ややあって純夏を除いた全員が叫ぶ。
「き、九尾の狐って横浜ハイヴのニュースでやってた……あの?」
「うん! そうだよ!」
ニッコリと笑う純夏。
ここに武が居たら「お前はバカか!」と突っ込みを入れるであろう簡潔で明瞭な紹介である。
「でも何で鑑さんが知っているんですか?」
壬姫が純夏に聞く。
「あ…… 私、横浜でBETAに捕まっちゃってそこを陽狐さんに助けてもらったから……」
「ご、ごめんなさい!!」
「ううん。いいの」
純夏の心の傷を抉ってしまったと思った珠瀬があやまる。
その様子を白面はただジッと見て笑っている。
彼女らもいきなり現れた九尾の狐であるという女性に、どうしたらいいのか分からずアタフタしている。
「……まぁそんなに硬くなる必要はない。普通に接してくれれば良い。呼び名も陽狐で構わんぞ」
「…………わかった」
そう言っていち早く復活したのは彩峰慧だった。
飄々とした彼女らしい素早い適応である。
「ちょ、ちょっと彩峰!」
彩峰の態度に千鶴は顔を赤くして注意する。
「本人が良いと言っている」
「で、でも!」
お堅い千鶴は納得できないようで彩峰に食って掛かる。
「あ、そうだ陽狐さん。タケルちゃん知りません?」
純夏が白面に話かけ話題を変える。
「おぉ、そうだそれを伝えに来たのであった。武は先ほど夕……香月副指令に呼び出されてな。この基地で正式に訓練兵として配属される事になった」
「え……えぇええーーーーーー!!!」
いきなりの武の配属に純夏は驚きの声を上げる。
「ちなみに純夏。お前も訓練兵として所属してもらう事になったぞ」
「え! そうなんですか?」
純夏のアホ毛がピンと上を向く。
やはり武と別れたくなかったのであろう。
「ちなみに武とは違う部隊だ」
「ギョバッ!!」
意味不明の叫び声を上げて純夏が石のように固まる。
「まぁこればっかりは仕方あるまい。実力、体力面的にも男のタケルは直ぐにでも正規の衛士として雇いたい所らしくてな。そなたの1期上の部隊に配属される事になった」
「あ~~、う~~~~!!」
何やら呻き声を上げて純夏はフラフラしている。
「あ、あの白面の御方様?」
そう言って恐る恐る白面に声を掛けたのは珠瀬壬姫である。
まだいきなり陽狐と呼ぶには抵抗があるようだ。
しかしすごい髪型だと白面は思う。
実は猫又か何か妖怪の類なのではと疑ったが妖気の類は感じられない。当たり前だが。
「何だ?」
「その……鑑さんの言っているタケルって誰なんです?」
「あぁ、純夏の幼馴染でな。まぁ見ての通り…………」
そういって白面は純夏に視線を移す。
皆、白面の言いたい事を察したのか「あーなるほど……」と頷く純夏の武への気持ちが分かったようだ。
まぁ幼馴染、恋人が全く別の部隊に行く事などこの世界では当たり前のことなので「絶対嫌だ!」とかわがままを言う事はできない。
軍とはそういう所なのである。
「それでだな。純夏の所属する部隊のメンバーだが、実はここにいるそなた達6人が同じ部隊に入ってもらう事になった」
「「「「「えっ!」」」」」
「その部隊名だが『207部隊(仮)』という」
「…………失礼、白面の御方殿その『(仮)』と言うのは?」
冥夜が疑問に思った所を白面に聞く。
「ウム、実はさっき香月副指令と話してた時にそなた達の事が話題に上がってな。15,6歳の女性達を仙台基地で急に預かる事になったがどうしたものかと」
コクリと全員うなずく、実は彼女らがここに来たのは急な事なのである。
『金毛白面九尾の妖狐』の登場により前の世界と違ったやり取りが帝国と国連の間であったのかもしれない。
「まぁそこで我が提案したのだ、なら部隊名に『(仮)』をつけて訓練兵として配属すれば良いのではとな。そしたら香月副指令も良いアイディアねと言って承認されたと言うわけだ」
「え? え? 結局どういう事です?」
青い髪の鎧衣美琴が白面の言った事が良く理解できなかったようで聞き返す。
「……なるほどそういう事か」
「……結構えげつないですね」
頭のキレが良い冥夜と千鶴は察したようだ。
「まぁそう言うてくれるな」
白面は2人の言葉をかわす。
つまりこういう事である。
先の話のようにこの5人は特殊な事情があってこの仙台基地に預けられる事になった。
とは言えこのまま何もしないで客人のような扱いも出来ない。
民間人として置くにも純夏や武のように横浜ハイヴの情報を聞くといった理由もなく置く事はできない。
訓練兵として配属したくても帝国の定めた『女性の徴兵対象年齢の最低年齢16歳』を満たしていない者が半分以上いる。
そこで部隊名に『(仮)』をつけて体験入隊という形で訓練兵として配属してしまおうというわけだ。
もちろん体験入隊なんて制度はこの仙台基地には存在しないので、扱いは正規の訓練兵と全く変わらない。
もし帝国側から年齢制限の事を突っ込まれても部隊名に『(仮)』が付いてる事を理由にごまかす事ができる。
名前の一部を変更して責任追及された時の逃げ道を作る…… 汚い大人の常套手段ど言うやつである。
もっとも帝国側としても彼女らは出来れば卒業させたくないので、『(仮)』を外さないでこのまま名目上体験入隊しててもらった方が都合が良く、突っ込む事はないだろうが……。
ハァなるほどと納得する彼女らをよそに、白面は未だ立ち直れていない純夏に近づく。
「まぁ純夏。そう気を落とすでない。そなたの部隊と武の部隊を教える教官は実は同じ人物でな。訓練中も一緒にいられるぞ」
「本当ですか!!」
白面の言葉を聞き素早く立ち直る純夏。
加えて言うなら武の卒業後の配属先はA-01部隊に決まってるわけで、仙台基地を出て行くわけでもないし、純夏達の卒業後も同じA-01部隊なので武と純夏が別れる事はないのだが、まぁそこまでは今は言う必要はない。
「って! ちょっと待ってください!?」
白面の言葉に千鶴が突っ込みを入れる。
「1人で同期じゃない部隊を2つ同時に教えるってすごく大変なんじゃないですか?」
「あぁ、それは我も思ってな香月副指令に聞いたら『まりもは優秀だから大丈夫よ』と言われたので我もそれで納得した」
「「「…………お気の毒に」」」
207部隊(仮)のメンバーはまだ顔も知らない『まりも』という教官に同情するのであった…………。
ちなみに白面が207部隊(仮)のアイディアを発議してから担当教官が決定するまで10秒もかかっていない。
ねじれ国会も何もない実にスムーズな審議だったという。
◆
「あ、あの! ところで!」
流れをぶった切って白面に話しかけたのは鎧衣美琴である。
「ん? なんだ?」
「白面さんが九尾の狐って事はやっぱり尾が9本あるんですか?」
「何を当たり前の事を言っている?」
「その…… 良ければ尻尾を見せてもらっても良いですか?」
美琴のその言葉に純夏を含む全員が白面の方を見る。
やはり何だかんだで彼女らも興味あるのだ。
白面自身すでに人間に獣の状態を晒しているので、別に彼女らになら見せても構わぬかと思い変化を解き、スカートから9本の尾が出して見せる。
「「「オ、オォォオオオォーーーーー!!!」」」
白面の尾を見て全員声を上げる。
「すいません! よろしければ毛を1本もらっても良いですか!?」
いきなり突飛もない事を言い出す。
だが周りも何となく物干しそうにこちらを見ている。
「……何故だ?」
「いやぁいつも父さんから変なお土産もらってるんで、僕もそういった物が欲しくって」
中々失礼な事を言ってくれる。悪気はなさそうだが……。
いやむしろその分たちが悪い。
「……変な土産と同列扱いならやらんぞ」
「この間もですね、魚だか猿だか良くわからない木彫りの置物をもらって……」
会話が噛みあってない……。そう言えば彼女はこういう人間だったという事を思い出す。
というより魚と猿じゃ全然違う生き物だが、一体どんな置物なのか……?
マイペースに勝手に話を進める美琴に白面もどうすれば良いか悩んでいると、
「ち、違うでしょ美琴ちゃん! その……できればお守りにと思って」
美琴の言葉に慌てて壬姫が訂正をいれる。
「あぁ、そう言う事か……。だがはっきり言って御利益も何もないぞ?」
「…………心の持ち用」
そういって普段あまり物事に関心を示さない彩峰も興味の目線を送る。
「フーム、そうは言ってもやはりお勧めは出来ぬな」
そう言って白面は尻尾から1本毛を手で取って彼女らに見せる。
「我の生命力は他の妖怪などにも比べても郡を抜いて高くてな……」
右手に持った毛に軽く妖気を通す。
すると白面の毛が一気に硬質、巨大化し、岩のような剣の形に変わる。
その光景をみて全員目を丸くする。
ついでに言っておくとこの光景に流石に美琴も意識が白面の方に戻った。
「このように我の体は例え毛の1本だけでも死ぬ事がなくてな。何かの拍子で一気に増殖してしまうのだ。寝てたらいつの間にやら串刺しになってる……と言う可能性もあるがそれでも構わぬのなら……いるか?」
「「「「「「いえ、結構です!!」」」」」」
全員の声がきれいにハモった。
◆
夜、人影が訓練場のトラックを走る姿があった。
8月の夜の空気は程よい風が吹きジョギングをするにもいい気温だ。
真面目なその人物は仙台基地に滞在したその日から自主鍛錬を始め、今後それをずっと続けていく事になる。
ジョギングを終え、息を切らし顔に付いた汗をタオルで拭いながら歩く。
翌日に筋肉痛を残さないように息を整えクールダウンを行う。
その人影の正体は御剣冥夜――。
日本という国の五摂家が一つ、煌武院家にその生を受けつつも古のしきたりにより忌み子として、生まれて数日で姉の悠陽と引き離された存在。
闇を意味するその名を付けられても、彼女にとってはその様な事は些細な事に過ぎない。
誇り高い彼女はただ己に課せられた天命を受け入れ、それを全うするのみである。
訓練場で呼吸を整えながら歩く彼女を白面は見つけ、近づいていく。
「もし、白面の御方様。冥夜様に何の御用でしょうか」
冥夜に近づく白面に夜の闇から現すその姿は、武の記憶にもあった赤い軍服の色が目立つ月詠真那。
月詠の後ろからも習うように現れた3人の女性はたしか三バカ…… 武の記憶が曖昧で分からない。
やつめこの3人の名前はいい加減に覚えておったななどと白面が眺めていると、
「これは白面の御方様、この様な時間にいかがなされましたか?」
白面の姿を見つけた冥夜の方から近づいてきた。
「あぁ、少しそなたと話したい事があってな」
「私に……ですか?」
「その前に……」
ちらりと月詠達に目線を送る。
「これは失礼いたしました。私は帝国斯衛軍、第19独立警護小隊に所属する月詠真那であります」
同じように後ろの三人も自己紹介を続ける。
彼女らの名前はどうやら『神代巽』『巴雪乃』『戎美凪』と言うらしい。
4人は視線を冥夜に戻し頭を下げる。
「冥夜様。就任の件おめでとうございます」
「「「おめでとうございます」」」
「……ウム。月詠、そなたには肩苦しい思いをさせるな……。苦労をかける」
「もったいなきお言葉」
彼女らは冥夜の言葉に深々と頭を下げる。
「それで、私に話しと言うのは?」
「あぁ、そなたにはこの国の征夷大将軍である煌武院悠陽という姉がいるな?」
「っ!! ……知っておられたのですか」
「まぁな。そこら辺は神通力見たいな物で調べたと思ってもらえれば良い」
婢妖を使って調べさせた事に関しては適当に言ってごまかしておく。
「ではそなたに尋ねたい。人の身でありながら『陰』という存在として生きる宿命もったそなたは何を望み、何を目的に生きる?」
「「「「「なっ!!」」」」」
白面の質問に5人は驚きの声を上げる。
一瞬後ろの斯衛の4人が怒気を表す。
自分の主が侮辱されたと思ったのだ。
「まぁそういきり立つな」
白面は斯衛の4人を手で制し話を続ける。
「……そうだな少し我の話をしてやろう。そなた達が『九尾の狐』の伝説についてどれだけ知っているかはわからんが、基本的に『九尾の狐』には人間にはろくな伝承は残っていない」
白面の言葉に月詠は相槌を打つ。
どうやら彼女は九尾の狐の伝承を調べたようだ。
「そして我はそれが具現化した存在。今は違うが……。そうだなそういった御伽の世界の話では我は『陰』の存在として扱われていた。そなたにとってわかりやすく言うと自分以外の全ての存在が『陽』の存在だったと思ってくれれば良い」
そう、実は白面は武の記憶の中で1人だけ気になった者がいた。
それがこの御剣冥夜であった。
自身と同じ『陰』として生まれたにも係わらず、気高く生き抜いた彼女の生き様は武の記憶に強く残っていた。
「それ故にかつての我と同じ様な境遇のそなたから、何を持って生きるかを直接聞きたいと思っていたのだ」
白面の言葉に冥夜だけでなく後ろの月詠を初めとする斯衛の4人も息を呑む。
少しの間を空け、冥夜は話し出す。
「……人という貴女様から見れば矮小な存在である私が、かつての貴女様の苦しみを解く事ができるとは思いませぬが」
同じ『陰』として生まれた冥夜だが彼女には白面の気持ちは理解できない。
自分以外全ての存在が『陽』である世界など人間には想像できないことなのだ。
「人には生まれながらにして天命を背負う者がいます……。」
だがそれでもと冥夜は白面の問いに答えることにした。
「そしてその中には、己が天命に殉じる事を厭わない者がいるのです。私も己が天命に殉じる事を自身の刀に誓いました」
冥夜は一呼吸をいれ、夜空の星を見上げる。
「……そして殿下は ……あの方も『陽』の存在としての天命を背負いそれに殉じている」
いや、とここで冥夜は首を振る。
事実その通りではあるが白面の求める答えはそのような物でないと思ったのだ。
何故なら今のは全部『御剣家』に生きる冥夜としての模範的な回答だ。
自分が言うべきことはそんな答えでなく御剣冥夜、個人の答えを聞いているのだと思い自身の言葉を続ける事にした。
「……そうですね。もし殿下が己が天命に殉じている時、苦しい立場にあらされる場合、その苦しみを肩代わりできるのが、私にしか出来ぬのであれば……、1人の妹として殿下の苦しみを和らげる事でせめて姉妹として心は共にありたい……。殿下の『陰』として生まれた私ですが、それが私の望みであり生きる証であります」
白面は目を瞑り冥夜の言葉を自身の中で繰り返す。
「『陽』であろうと『陰』であろうと天命を殉じる事により、生きる証を見出し、姉妹として心を共にしたい……か。なるほど……。 よく分かった」
白面と冥夜とでは事情が違うので、冥夜の答えがかつての白面にとって何がどう変わると言う事はない。
だが白面は言葉を続ける。
「我はそなたの志を『崇高』とするか『頑愚』と評することはせぬ……。だが、己の天命を貫く事で『陰』の存在でも輝きを見出す事ができるなら、それは意味のある事なのであろうな」
白面の言葉を聞いた冥夜は頭を下げる。
心なしか肩が震えている。
「最後に覚えて置くといい。そなたは間違いなく『陽』の存在だという事を」
「…………ありがとう……ございます。白面の御方様……貴女様に感謝を」
「いや、礼を言うのは我の方だ。それと今は陽狐と名乗っている」
「……はっ! 陽狐様」
敬礼して見せる冥夜の頬が涙で濡れている。
「……何だ? どうした?」
「申し訳ありませぬ。嬉しくて……つい」
冥夜の言葉を聞いて一瞬意味がわからなったが自分の言葉を振り返り、あぁなるほどと納得する。
長く生きた白面だが、今まで誰かにここまで感謝される言葉をかけた事はない。
いや、あるにしてもそれは基本的に自分の利益になるなどの打算的な思いがあってこそだ。
まぁ今回も別に冥夜に感謝されたり、慰めたりするつもりで声をかけた訳ではない。
ただ何となく思った事を口にしただけだ。
見ると後ろの月詠を初めとする神代、巴、戎も敬礼をしている。
白面は自分の頬を指で触り夜空を見上げる。
訓練場に心地よい夜風が吹く。
『陰』と『陰』、白面と冥夜との出会いが、今後の白面にどのような影響を与えるのかは……
まだ誰にもわからない――――。