<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

Muv-LuvSS投稿掲示板


[広告]


No.6630の一覧
[0] 日本武尊 (マブラヴオルタ) オリ主モノ [カーノン](2009/11/23 19:45)
[1] 第一話[カーノン](2009/02/21 22:05)
[2] 第二話[カーノン](2009/07/26 20:52)
[3] 第三話[カーノン](2009/07/26 21:06)
[4] 第四話[カーノン](2009/07/26 21:08)
[5] 第五話[カーノン](2009/07/26 21:09)
[6] 外伝その1[カーノン](2009/06/22 00:39)
[7] 第六話[カーノン](2009/07/26 20:36)
[8] 第七話[カーノン](2009/07/26 20:36)
[9] 第八話[カーノン](2009/06/22 00:40)
[10] 第九話[カーノン](2009/07/26 20:37)
[11] 第十話[カーノン](2009/02/24 22:35)
[12] 第十一話[カーノン](2009/05/24 23:25)
[13] 第十二話[カーノン](2009/02/26 22:18)
[14] 外伝その2[カーノン](2009/02/28 20:00)
[15] 第十三話[カーノン](2009/02/28 19:57)
[16] 第十四話[カーノン](2009/07/26 20:37)
[17] 第十五話[カーノン](2009/07/26 20:38)
[18] 第十六話[カーノン](2009/07/26 20:40)
[19] 第十七話[カーノン](2009/05/24 23:28)
[20] 第十八話[カーノン](2009/05/24 23:29)
[21] 外伝その3~ほんのりR-15?~[カーノン](2009/03/06 22:01)
[22] 第十九話[カーノン](2009/07/26 20:40)
[23] 第二十話[カーノン](2009/07/26 20:41)
[24] 第二十一話[カーノン](2009/03/09 21:59)
[25] 第二十二話[カーノン](2009/07/26 20:42)
[26] 第二十三話[カーノン](2009/03/12 21:49)
[27] 外伝その4~ほんのり香るR15~[カーノン](2009/03/12 21:53)
[28] 第二十四話[カーノン](2009/07/26 20:43)
[29] 第二十五話[カーノン](2009/06/22 00:47)
[30] 第二十六話[カーノン](2009/07/26 20:43)
[31] 第二十七話[カーノン](2009/03/30 22:38)
[32] ネタに走ってみた[カーノン](2009/03/30 22:41)
[33] 外伝その5~R15じゃない話になりました!~[カーノン](2009/04/01 22:27)
[34] 第二十八話[カーノン](2009/06/22 00:48)
[35] 外伝その6[カーノン](2009/05/24 23:31)
[36] ネタに走ってみた2[カーノン](2009/04/01 22:30)
[37] 第二十九話[カーノン](2009/06/28 23:05)
[38] 第三十話[カーノン](2009/05/24 23:33)
[39] 第三十一話[カーノン](2009/06/28 23:06)
[40] 第三十二話[カーノン](2009/05/24 23:34)
[41] 第三十三話[カーノン](2009/04/26 00:27)
[42] ネタが走り出した![カーノン](2009/04/13 01:21)
[43] 第三十四話(R-15じゃないと思いますが一応)[カーノン](2009/06/22 00:42)
[44] 第三十五話[カーノン](2009/04/26 00:17)
[45] 第三十六話[カーノン](2009/05/24 23:36)
[46] 第三十七話[カーノン](2009/06/28 23:07)
[47] 第三十八話[カーノン](2009/06/08 00:17)
[48] 外伝その7~R15の香りがするよ!~[カーノン](2009/06/08 00:20)
[49] 小ネタとかしょうもないネタとか詰め合わせで[カーノン](2009/05/24 23:44)
[50] 第三十九話[カーノン](2009/06/28 23:07)
[51] 第四十話[カーノン](2009/06/22 00:44)
[52] 第四十一話[カーノン](2009/06/22 00:46)
[53] 第四十二話[カーノン](2009/07/26 20:33)
[54] 第四十三話[カーノン](2009/06/22 00:51)
[55] 第四十四話[カーノン](2009/06/28 23:09)
[56] 第四十五話[カーノン](2009/06/28 23:12)
[57] 第四十六話[カーノン](2009/08/24 00:13)
[58] 第四十七話[カーノン](2009/07/26 20:45)
[59] 第四十八話[カーノン](2009/08/24 00:14)
[60] 第四十九話[カーノン](2009/08/24 00:15)
[61] 第五十話 ※R15?[カーノン](2009/08/24 00:17)
[62] 第五十一話[カーノン](2009/08/24 00:18)
[63] 第五十二話[カーノン](2009/08/24 00:19)
[64] 第五十三話[カーノン](2009/10/11 23:10)
[65] 第五十四話 ※R-15かと…[カーノン](2009/08/24 00:22)
[66] 第五十五話[カーノン](2009/08/24 00:24)
[67] 第五十六話[カーノン](2009/10/11 23:18)
[68] 外伝その8~丸々斉藤伝説~[カーノン](2009/10/11 23:20)
[69] 第五十七話 ※以下最新話です[カーノン](2009/11/23 19:48)
[70] 第五十八話[カーノン](2009/11/23 19:24)
[71] 第五十九話[カーノン](2009/11/23 19:24)
[72] 人物紹介とか書いてみたよ!(11月23日一部人物に所属とポジション追加)[カーノン](2009/11/24 18:01)
[73] 過去編・前[カーノン](2009/11/23 19:28)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[6630] 第五十四話 ※R-15かと…
Name: カーノン◆15995976 ID:27c694ce 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/08/24 00:22



















2001年10月22日――――



A-01 VS 殿下部隊対戦中・同時刻――――




「少佐、こちら中東連合からの申告書類です」

「あ、あぁ、後で目を通しておく…」

「少佐、この部分に対しての姿勢制御優先の調節なんですが…」

「う、うん、そこは重量の反動がダイレクトに来るからだな…」

「少佐、こちらの書類、チェックお願い出来ますか、急ぎです」

「あ、あぁ、分かった、少し待ってく――」

「少佐、ならこちらの調整も連動して行うと言う事ですか?」

「そ、そうだ、それと同時にそ――」

「少佐っ、欧州連合がJAS-39のアップグレードキットの事で至急相談したい事があるそうですっ」

「わ、分かった、時間を開けるからッ」

「少佐っ、F-22Aの近接戦闘を想定しての破損防止機構でも至急お聞きしたい事がっ」

「俺は聖徳太子じゃないぞッ!?」

左右から矢継早に告げられる言葉に、右を向いて左を向いてと対応に追われる大和。

そんな彼の右には唯依がヘッドセットからの通信を聞きながらお仕事中。

反対の左側には、ファイル片手に相談に来ているエリス。

大和は思った、なんだこの板挟み…。

先程から、唯依が仕事の話を振れば、エリスが相談をしてきて。

エリスの相談の合間に、今度は唯依が仕事の話を突っ込んでくる。

しかも、二人とも笑顔、妙に笑顔、こめかみの辺りがピクピクしてるけど笑顔。

そして唯依もエリスも、お互いに視線を合わせない、徹底的に。

対抗心バリバリなのが丸分かりな二人だ。

エリスは自分の気持ちの整理の為に、大和との時間を作ろうと必死。

唯依は唯依で、もう負けないと決意したので早速対抗中。

ここ数日間、大和と距離を取ってじっくり考えたのか、数時間前に大和に処理して欲しい案件が在ると呼び出した。

で、有能な副官として仕事をして、やはり大和の隣は心地良いと実感していたらエリス襲来。

場所が総合整備格納庫なので、出て行けとも言えないので、この状態。

武ちゃんの愛憎渦巻くコメディ系修羅場とはベクトルの異なる空気に、大和内心涙目。

エリスの背後には双頭鷲が見えるし、唯依の背後には鎧着た鬼が見える。

タリサとイーニァのファンシーなシャドウとは比べ物にならないおっかない幻影だ。

「「少佐っ!!」」

「はいッ!?」

なんだろうこの状況…と考え事していたら二人の言葉を聞き逃したのか、同時に耳元で呼ばれて背筋が伸びる大和。

そんな三人の姿を見守る、6個の視線。

「……なんなのかしら、あの米軍中尉の態度…」

「妙に親しそうですね…」

「タカムラ中尉も対抗心剥き出しだな(と言うか、何故私まで…)」

大和達が居る開発準備室の扉から、中を窺う三つ並んだ頭。

下から、崔中尉、ターシャ、ラトロワの順番、台詞はその逆並び。

顔半分を出して中を窺いながら、三人は小声で会話している。

「ここ最近、少佐はこっちに顔出さないし、中尉は妙に上の空だったから気になってたけど…あのクロフォードってのが原因っぽいわね…」

「確かに、妙にギスギスと…」

「二人に挟まれて、身動きも出来んか…(妙に疲労しているな…無理をしていなければ良いが…)」

デバガメ上等で室内を観察する崔と、何だかんだで他人の色恋に興味津々なターシャ。

ラトロワは二人に話を合わせているが、別のことを考えていたり。

「少佐とどういう関係なのかしら…もしかして元恋人とかっ!?」

「元部下という線も在ると思いますっ!」

「……お前達、仲が良いな…」

興奮してきたのか、キャーキャーと女子高生のように会話する二人に、一歩引くラトロワ。

「と言うか、崔中尉。貴官は少佐に米軍部隊の例の武器について聞きに来たのでは無いのか?」

「あ、そうでした。でも今室内に入る勇気は流石に無いですよこれ…」

ラトロワの呆れたような言葉に、ここへ来た目的を思い出した崔。

彼女はこの前、エリスに例の武器、エリミネーターで惨敗した。

その事を悔しがった彼女は、あの武器が米軍試験部隊だけで実験的に使われている武器と知って、大和へ相談に来たのだ。

色々な色物武器から彼女好みの武器まで作っている大和なら、エリミネーターの事、特に特徴や対応方法に精通していると考えて。

で、大和が開発区画に顔を出したと聞いてやってきたら室内の空気が痛かったので、出入り口で覗いていた。

そしたらラトロワとターシャがやってきて、気が付けばトーテムポールに。

「室内の関係者、居心地悪そう…」

苦笑するターシャの視線の先には、胃の辺りを押さえている技術者や、ピリピリと痛々しい空気に当てられて苦悶する整備兵。

非常にカオスな光景だった。

「まぁ、あの二人が居ない時にでも聞くことだな」

「在るのかなぁ、そんな時間…」

唯依は大和の副官だし、エリスは露骨に接触を図っている。

二人を出し抜いて大和と話し合うには、かなりの犠牲を払う必要があるかもしれない。

とりあえず、三人はこれ以上痛々しい空気はごめんだと、早々に立ち去る事にした。

ラトロワは、ヒーヒー言いながら仕事をする大和の背中に、一瞬だけ優しい視線を向けてから、踵を返した。

その事に気付いたのは、唇をきゅっと噛み締めて顔を伏せる、ターシャのみ…。







































シミュレーターデッキ――――




『ヴァルキリー02、フォックス2!』

『ヴァルキリー15、フォックス3っ!』

開戦から数分後のシミュレーター映像内。

日本の昔の合戦場をモデルにした舞台では、A-01と斯衛軍が入り乱れていた。

『速瀬中尉っ、3機抜けました…!』

『東堂っ!』

『お任せっ!!』

彩峰からの報告に、瞬時に中堅の部隊を率いる東堂の名前を叫ぶ。

それだけで自分がする事を理解した東堂が、築地達を率いて前衛を突破した3機の黒い武御雷の迎撃に入る。

『全機っ、何としても後衛を死守しろ!』

『正面から斬り合うなっ、NP機とは言え武御雷、手強いぞ!』

伊隅の指示と、まりものアドバイスに従って陣形を保ちつつ、猛攻をかける斯衛軍部隊を迎撃するA-01。

『ヴァルキリー11、フォックス1』

『ヴァルキリー14、フォックス1!』

麻倉とタマが後方からスナイプカノンで狙い撃つが、衛士の戦闘データを再現したNP機とは言え武御雷、撃破率が低く、焦りが生まれている。

彼女達は知らないが、実は現在の黒い武御雷は、斯衛軍時代の武と大和のデータを合わせて割って再現した能力。

XM3が搭載されていない為、動きに幅が無いし、二人の特徴が大きく現れるのは回避行動時に限定されているが、それでも十分脅威だ。

斯衛軍の後方、崖の上で歌っている(?)紅蓮大将の大角の歌が流れている間は、黒い武御雷は能力アップで武・大和の操縦する機体が再現される。

逆に言えば、大角さえ撃破すれば歌は止まり、黒い武御雷の性能は一般的な能力まで下がる。

とは言えその大角自体が強敵であり、その上。

『はぁっ!!』

『ぐ…っ!!』

切り掛かってきた赤い武御雷、真那が操縦するその機体の一撃を、展開した腕のブレードユニットで受け止めるまりも。

反撃として肩のガトリングユニットを向けるが、それを察して素早く離れつつ突撃砲を放ってくる。

まりももスラスター全開で回避行動を取りながら両足のファストパックからマイクロミサイルを放つ。

だがそのミサイルも突撃砲で迎撃され、さらに多目的追加装甲を持つ黒い武御雷が楯として割り込んでくる。

『くっ、全機赤と白に気をつけろ、手強いぞ…!』

『今嫌ってほど、味わってますって…っ!!』

黒い武御雷を蹴散らしながら、追撃してくる赤い機体、真耶の武御雷の脅威的な強さに軽口叩くのも一苦労な速瀬。

宗像や東堂には白い機体が襲い掛かり、新任達は黒い武御雷を捌くので精一杯。

現在、性能アップの代償として近接重視となっている黒い武御雷のお陰で、新任達は何とか生き延びている。

『ヴァルキリー06、フォックス1~っ、みんな逃げて~っ!!』

両肩の多連装ミサイル、両足のマイクロミサイル、両手腕のグレネード。

それら全てを敵が密集する場所へ撃ち込む上沼。

乱戦になり始めて敵味方入り混じっている状態で何とも無茶をする。

普通なら味方も巻き込むような攻撃だが、当たるような人間は新任も含めて誰もいない。

上沼もそれを分かっているからこそ、ここぞとばかりにぶっ放したのだ。

『はひぃ~、助かったやんす~…』

『上沼っ、あんたちょっとは狙いなさいよねっ!?』

黒い武御雷6機に追い掛けられていた築地、助かったと安堵。

逆に考えると、XM3無しとは言え武や大和の動きをする機体から逃げ続けたのだから、凄い話だ。

助かったはいいが、下手をすれば大惨事だけに文句を言う東堂。

『ごめんなさ~い、身体で償うから許してっ☆』

てへっと右手を顔の前で妙な形にしてウィンクする上沼に、思わずイラっ☆としてしまう東堂だが、今は無視。

『今ので黒い武御雷を8機撃破…いえ、9機撃破』

爆心地を警戒しながら、爆煙の中動いていた機体を正確に撃ちぬく風間。

『こいつ、しつこいっ!』

『引き剥がせない…っ』

赤い武御雷、真耶機に執拗に狙われる速瀬と、白い武御雷、こちらは凛の機体に狙われている彩峰。

高原は黒い武御雷3体を相手に逃げの一手。

なんか台詞がどうとか出番がどうとか遙に耳に届くが、管制に忙しい遙は気にする事が出来ない。

『中尉、彩峰、今助け――っ!?』

自分に襲い掛かっていた黒い武御雷を撃破し、踵を返した冥夜の響の前に、白煙の中から現れたのは、紫の武御雷。

殿下の搭乗機にして、ワンオフとすら言えるチューニングが施された、武御雷の最高機。

『真耶さん、真那さん、感謝します。さぁ冥夜、姉妹だけで一騎打ちと参りましょう…』

外部スピーカーで話しかけてくる殿下。

見渡せば、水月達は真耶達に引き止められ、後衛は黒い武御雷に邪魔されている。

まりもには真那が、伊隅と宗像、東堂にはそれぞれ白い武御雷が相対している。

気が付けば、冥夜と殿下の周りにはどちらの仲間も居ない。

『冥夜、姉の決意、しかと受け止めなさい…!』

『姉上……お相手仕るッ!!』

長刀を握る武御雷に対して、冥夜も長刀を抜く。

『いざ――――』

『尋常に―――』

『『勝負っ!!』』

双方出力全開で相手へと突っ込み、長刀を激しくぶつけ合う。

機体性能で負けるとは言え、冥夜は武の指導を受け、日々己を研磨してきた。

だが殿下も負けていない、忙しい政務の合間に、紅蓮大将や真耶に指導を受けている。

両者、実力だけで言えば互角。

機体性能で言えば当然殿下の武御雷の方が上だ。

だが冥夜の乗る響は、練習機とは言えカスタムされた火力向上機。

勝敗を決するのは、両者の判断力か。

『せいっ!』

『くぅ…っ!』

両手に持った長刀で舞うように切り掛かる武御雷の連撃を、同じく両手の長刀でいなし、弾き、逸らす。

パワーもそうだが、武御雷で恐ろしいのはその機体の体捌きだ。

国外の技術者に芸術とすら言わせる程に、柔軟な機体の動きと、それを可能とするバランス。

まるで人間のような動きを、最も素早くそして綺麗に再現できると言われるのが武御雷。

伊達に生産と整備性度外視で造っちゃいないと言うことだ。

『そこっ!』

『っ…!』

だが冥夜とて負けてはいない、響には背中に追加されたスラスターや、両肩のCWSがある。

牽制で放った両肩のガトリングの弾幕に、殿下が怯んだ一瞬の隙をついて放つ牙突が、武御雷の肩部装甲を削る。

『冥夜ぁぁぁぁぁっ!!』

『姉上ぇぇぇぇぇっ!!』

両者、他人の介入を拒むかのような気迫で、ただ目の前の相手のみを見ている。

古来の決闘のような二人に、周りも空気を読んで介入しない。

『わ~んっ、どうしてボクばっかりー!』

訂正、一人冥夜を援護しようとした美琴が、黒い武御雷8機に追い回されていた。

どうやら殿下の邪魔をする機体を優先的に襲うように命令されているようだ。

『あーもうっ、誰かあの大角どうにかしてよ! 男男五月蝿くて敵わないわよっ!』

赤い武御雷の猛攻を防ぎながら、叫ぶ水月。

先程からずっと大音響で例の歌が流れ続けているのだ。

しかもエンドレス。

『東堂っ、部隊を率いて大角を黙らせろっ!』

『了解ですっ、09・11・13付いて来なさい!』

『『『了解っ!』』』

まりもの指示で、中堅と遊撃を担当する東堂が築地達を率いて戦線から飛び出す。

目指すは、歌う大角と護衛と思われる踊っている黒い武御雷6機。

『逃がすものか…っ!』

『貴方のお相手は私よ~!』

東堂を狙っていた白い武御雷、巴機が追撃しようとするが、上沼機に邪魔される。

『くっ、誘導弾のコンテナを捨てて身軽になったのか…』

『うふふ、姿は見れないけど…貴女、美味しそうな声をしてるわ…』

警戒する巴だが、上沼の機体から発せられた言葉に背筋を凍らせる。

声だけで自分の好みかどうか判断する上沼、本当に自重しない女。

『く、来るなっ!?』

『待ってぇ子猫ちゃーん!』

感じた悪寒、衛士としての勘かそれとも貞操を守ろうとする乙女の勘か、逃げに回る巴と、それを猛追し始める上沼。

斯衛軍としてあるまじき態度だが、誰が巴を責められようか。

『やりますな、流石は白銀が自慢する衛士だ…』

『斯衛軍にそう言われるとは、光栄だ…』

機体のカメラアイを自らの目として、睨み合う真那とまりも。

『前々から、貴殿とは勝負してみたいと思っていた…!』

『それはこちらも同じ。白銀を育てた貴官の実力、是非拝見させて貰いたい…!』

お互いに突撃砲を捨て、長刀を抜き放つ真那とまりも。

どちらも思うところがあるのか、その気迫は凄まじい。

『伊隅大尉、隊の指揮は任せる…その余裕は無さそうだ…!』

『了解しました、神宮司大尉』

通信で伊隅へと部隊指揮を任せ、真那にのみ集中するまりも。

『真耶…』

『承知している、好きにやれ』

そして真那もまた、従姉妹の真耶へと許可を求め、一騎打ちへと移って行く。

『こいつら…!』

『まるで大尉と少佐ね…!』

突撃砲の4門同時展開、両手の突撃砲と肩部担架の上方展開で弾幕を張りながら、肩部CWSのシールドランチャーで確実に撃破していく茜と委員長。

そんな二人の言葉に同意見のA-01。

『00C、残り12機…!』

『もう一息だ、各自抜かるな…!』

『惨めな結果を出したら、上沼の餌にするぞ!』

遙からの報告に、宗像が新任達を注意し、伊隅が鼓舞(?)する。

すると一人を除いて全員の気迫が変わった、そんな罰は嫌だとばかりに。

『因みに築地と彩峰、そして御剣はシェスチナ少尉のもふもふだ』

『びえぇぇぇっ!?』

『マジ、勘弁…』

宗像の軽口に、本気で涙目の築地と、ゲッソリ顔の彩峰。

冥夜は殿下との一騎打ちの最中で答える余裕が無いが、それは勘弁して欲しいと内心思う。

そんな激しい戦いを、モニターで見守る武。

「………出たいかしら?」

「…正直に言えば、ですね」

椅子に座って眺めていた夕呼の問い掛けに、苦笑して答える武。

二人の前では、遙とピアティフが忙しそうに管制をしている。

特にピアティフは、テスタメントにも指示を出さねばならないので大変だ。

黒い武御雷はテスタメントが指示・制御しているが、大まかな指示をピアティフが選択して出さねばならない。

真耶や殿下からの指示を受けて、テスタメントへ入力するという作業が在るのだ。

遙は遙で、A-01全員の管制があるので、どちらも似たようなものか。

「今日は我慢しなさい、明日は嫌でもやって貰うけど」

「了解です」

夕呼が何を企んでいるのか知らないが、とりあえず今日は参加衛士の力量確認だと視線をモニターに戻す。

「それにしても、斯衛軍の腕利きと武御雷部隊を相手に善戦、未だに撃破無しなのは素直に凄い――「ヴァルキリー09、僚機を庇い胸部大破、戦闘不能!」……築地、そんなにシェスチナのもふもふが好きなのね…!」

折角気分良く褒めていたのに、ジャストなタイミングでの遙の報告に、拳プルプル。

「い、いや、でも築地のお陰で大角撃破しましたよっ?」

こりゃ不味いと思い武ちゃんがフォロー。

武ちゃんの言うとおり、築地が犠牲になった瞬間、麻倉が大角の胸部を撃ち抜いて撃破している。

その瞬間歌が止まり、黒い武御雷の動きが落ちる。

紅蓮大将の大角とは言え、所詮はデータかと、真耶達の動きに動揺は見られないが。

「……そうね、今回は大目に見るわ」

まぁ良い働きかと、もふもふの刑を撤回する夕呼先生に、ほっとする武ちゃん。

あれは酷い、色々な意味で。

あの唯依が乱れてしまうのが納得の技だ。

それを伝授された霞も、純夏相手にもふっているし。

イーニァと霞のダブルもふもふでクリスカが前後不覚に陥ったという話を聞いているだけに、恐ろしい技である。

そんな武ちゃんの心境は兎も角、大角を撃破した事で一気に猛攻をかけるA-01と、冷静に対処する殿下達。

勝負の決着は、まだ付きそうに無かった。
















































21:45――――



A-01と殿下率いる斯衛軍との勝負に決着が付いてから数時間後。

武はご機嫌に通路を歩いていた。

結局、短期決戦に出たA-01に対して斯衛軍部隊は次々に撃破され、勝負はA-01の勝利。

だが、流石は真耶と真那が率いる斯衛軍の警護部隊。

確実にA-01の機体を撃破し、結局A-01で生き残ったのは水月と宗像、風間、それに美琴と麻倉だけ。

まりもは真那との一騎打ちには勝ったものの、強襲してきた凛に撃破されてしまう。

その凛もタマに撃破されたのだが、タマは神代達に撃破されてしまう。

殿下と冥夜の勝負は、機体の差か、殿下の勝利。

その後勝負を挑んだ彩峰や高原も撃破した殿下だったが、委員長と茜の連携の前に撃破されてしまう。

殿下を撃破されてしまった斯衛軍だが、そこからの猛反撃が凄まじく、次々に撃破されてしまい、最後に残った真耶を撃破する際には上沼と伊隅が討たれた。

勝負の上ではA-01の勝利だが、まりも・伊隅という指揮官を失った為に、夕呼からは平均点と評価された。

戦闘の後、A-01と斯衛軍とで話し合いやお互いの健闘を称えあったり、握手したり。

巴が上沼に執拗に言い寄られて東堂に殴られるという事が在ったが、いつもの事と誰も気にしない。

自分でも負ける事が多々ある真耶と真那を含めた斯衛軍相手にあそこまで善戦して勝つのだから、確実に強くなっているA-01の姿に、武は喜びを覚えていた。

「た、武………ッ」

「え?――――って、どうした大和っ!!」

突然苦しげな声で名前を呼ばれて、そちらを見れば。

そこには、壁に寄り掛かり、苦しげな顔をした大和の姿。

「どうしたんだ、何か在ったのかっ!?」

慌てて駆け寄り、身体を支える。

大和の表情には脂汗が浮び、苦しそうだ。

まさか何か病気なのかと、不安を覚える武に対して、大和はガシッとその肩を掴んで顔を上げた。

「すまない武……お前の事を甘く見ていた…お前は凄い奴だ…」

「は? 何を言ってるんだお前…」

両肩を掴まれた状態で首を傾げる武ちゃんに対して、しみじみと呟く大和。

「いや、常日頃からハーレムの中で修羅場に晒されているお前を笑って煽って弄ってきたが、今日その状態を味わってきた…アレは辛い…胃が痛い…!」

思い出して苦悶する大和。

結局、つい先程まで唯依とエリスはあの張り詰めた空気を発生させ続け、大和の精神ライフを削りに削った。

最後は二人とも火花散らしてたし。

「そうか……お前も味わったか。どうだ、大変だっただろう…?」

大和にどんな修羅場が発生したのか分からないが、自分と同じに苦労したのだと感じて優しく肩を叩く武ちゃん。

「あぁ、大変だった…女って恐いな、武…」

「あぁ、恐いんだぞ、特に本気になった女は…」

純夏の色々な意味での本気を経験しているだけに、実感の篭った武ちゃんの言葉。

本人が望んだとは言え、嬉々として幼い霞を巻き込む辺りとか。

「これに懲りたら、もう俺のハーレム計画とか弄るのは止めろよ…?」

「いや、それはそれ、これはこれ。そっちは俺の趣味だから」

嗜めるように告げた言葉は、真顔の言葉で否定して返された。

「うわー、本気で殴り倒してー」

「ふぅん、これだけは止められんよ、ある種死活問題だからな」

笑顔に怒りマーク浮かべて拳を握る武ちゃん、嫌に尊大に宣言する大和。

お互いにはははははは…と笑い、武が殴りかかり、大和が逃げ出したのは言うまでも無い。

「畜生、逃げ足の速い…っ」

数十分後、結局逃げられた武ちゃんは、自分の部屋へ戻ってきた。

今度大和が修羅場で困っていても見捨ててやると思いながら部屋に入る。

普段なら仕事が無い場合に先に戻っている純夏と霞が出迎えてくれる部屋。

因みに純夏と霞はイーニァとクリスカのように二人で暮らしている別の部屋が在るが、今は殆ど武ちゃんの部屋に居るのだが――。

「お帰りなさいませ、旦那様…」

「は?」

開いた扉の先、ベッドの上で三つ指ついて頭を下げるのは、白い寝巻きの着物を着た殿下。

「むーっ、むーっ!?」

「め、冥夜っ!?」

そして、何故か芋虫状態でもがいている冥夜の姿。

「まぁ、旦那様ったら。わたくしより先に冥夜に声を掛けるなんて…わたくし悲しいですわ…」

ヨヨヨ…と泣き崩れる殿下と、もがく冥夜。

そして扉の所で何が何やらと呆然とする武ちゃん。

「ちょっとタケルちゃん、そんな場所で立ち止まらないでよね」

「っ、純夏っ!?」

呆然としていた武ちゃんの背中を押しながら声を掛けてきたのは、純夏だった。

なんだなんだ何事だと混乱する武ちゃんを他所に、殿下と純夏は親しそうに挨拶を交わしている。

「お前、相手が誰か分かってるのかっ!?」

「うん、殿下でしょう? それよりタケルちゃん、ちょっと汗臭いからシャワー浴びてきてよ」

慌てる武ちゃんを他所に、純夏はグイグイと備え付けのシャワー室へ武ちゃんを押し込む。

確り綺麗にしてねーと言って、着替えも押し付けて。

「さてと、それでは殿下、後はご自由にどうぞ!」

「ありがとうございます純夏さん。しかし、本当に宜しいのですか?」

武ちゃんが今入ったばかりのシャワー室を差し出す仕草で言う純夏に、深く頭を下げる殿下。

だが続く殿下の不安げな言葉に、少し苦笑する。

「選ぶのはタケルちゃんですし、私はタケルちゃんが本当に幸せになれるなら、それも良いかなって思ってます。私も、タケルちゃんを好きな皆が好きですから!」

そう言って笑う純夏に、殿下も微笑んでもう一度頭を下げる。

殿下に頭を下げさせる純夏に、冥夜は困惑する。

政威大将軍に頭を下げさせ、しかも感謝される純夏が誰なのかと。

「冥夜、姉は先に想いを告げさせていただきます」

嬉しそうに、楽しそうに、そして少し気恥ずかしそうに。

殿下は身に纏っていた白い着物をシュルシュルと脱ぐと、丁寧に畳んでからタオル片手にシャワー室へと入っていく。

その光景に目を見開いて唖然とする冥夜。

続くのは、武ちゃんの驚いた悲鳴とドタバタした物音だけ。

だが少しするとその音は消え、シャワーの流れる音だけが聞こえる。

「さてと、御剣さん…冥夜さんって呼んでも良いかな? 私は鑑 純夏、所属は副司令直属の技術部だよ」

そう言って自己紹介しながらベッドに転がされている冥夜の隣に腰掛け、彼女の猿轡を外してやる純夏。

「ぷはっ……鑑とやら、これは如何いう事だ、姉上と何を企んでいる!?」

混乱しているのか焦ったように問い掛けてくる冥夜に、苦笑を浮かべる純夏。

それも仕方が無いだろう、勝負が終わり、シャワーを浴びて着替え、自室へ向っていた所で突然真耶と申し訳なさで死にそうな真那に拉致され、この部屋へ連れ込まれた。

そこで待っていた姉は笑顔で今日は運命の日ですとか言っているし。

「えぇっと、何から説明しようかな…?」

「順序立てて話せ、姉上は何を考えてあのような羨ま…もとい、破廉恥な事を…!」

つい本音が出ちゃう冥夜を見て、やっぱり武ちゃん好き好きなんだなーと内心苦笑する純夏。

とりあえず、向こうの話が終わるまで簡単に説明しておこうと純夏は思うのだった。

一方の殿下と武ちゃんは、非常に大変な状態だった。

シャワーを浴びるので当然裸な武ちゃんに、これまた裸な殿下が抱き付いている。

「武様、わたくしの話を聞いて下さいますか…?」

「き、聞きます、聞きますからもう少し離れて…おうっ!?」

何とか殿下に離れてもらおうとするが、逆に密着されてむにゅりと母性が潰れる。

「武様、わたくしは、わたくしがあの世界の煌武院 悠陽では無い事は、ご理解頂いてますか…?」

「あ、あぁ、大和と先生に説明して貰った。殿下は、あの世界の殿下の記憶…と言うか、経験を追体験する夢を見た、この世界の殿下…だよな?」

「その通りです。わたくしは、かの世界のわたくしの記憶と経験、そして願いを受け取ったこの世界のわたくし…」

そっと肌を合わせ、温もりを感じながら、肌を流れるシャワーの感触に心を静める殿下。

「かの世界のわたくしは、一人の少年に少しの興味と希望を抱きました。あの痛ましい事件の折に、わたくしを守り、運び、言葉をかけてくれた一人の衛士。今まで触れ合った事のない人柄とその笑顔に、わたくしは少なからず心惹かれていました。それはこのわたくしから見てもそうと感じられた事」

冥夜へ人形を渡すように頼んだ事もまた、殿下の印象に残った。

だからこそ、夢を見た後で殿下は紅蓮大将に内密に武の事を調べるように頼んだ。

すると、斯衛軍予備軍に白銀 武という男が居る事が発覚。

それが、あの世界で“あの世界の自分”と触れ合った武であると何故か直感的に理解した時、殿下は不思議な想いが生まれるのを感じた。

大和を混ぜての話し合いや確認で、殿下が武達とは異なる状態である事は確認できた。

だがその際に、殿下は不安を抱えた。

それは、今自分が抱えている武への印象が、想いが、あの世界の自分のモノではないかという不安。

もしそうなら、この世界の自分が想いを伝えて良いものか、この世界の自分が幸せを感じて良いのかと不安が襲った。

散々言い寄った癖にと思われるだろう、だがアレは武が拒む事を、最後までしない事を確信しての行動だった。

その事を武へ説明したら、腹黒いっすねと言われたので、彼の大事な所を『きゅっ』と掴んでしまったが、悪いのは武ちゃんだろう。

「武様…わたくしは、一つの答えを出しました…」

「な、なんでせうか…おぅふ…」

悶える武ちゃんを他所にそっと目を瞑り、思い出すのは最後の夢。

あの世界で、自分がした事。

それは、ここ、横浜基地の桜、冥夜達英霊が眠る場所で、願った。

ふと頭の中に浮んだ、もしもを願い、祈り、そして涙した。

その記憶と願いが、何の偶然か、世界を超えて記憶と共にこの世界へ辿り着いた。

冥夜と、妹と触れ合えたなら、武と、不思議な恩人ともっと知り合えたなら。

そんなもしもを考え、せめて夢と願いだけはと祈ったあの世界の殿下。

その日は、数年前に明星作戦の行われた日付だった……。

もしかしたらそれは、あの場所で眠る誰かが、運んでくれたのかもしれない奇跡。

「武様、わたくしの想いと、かの世界のわたくしの願い…叶えて下さいますか…?」

今目の前に居る煌武院 悠陽の愛と、あの世界の煌武院 悠陽が小さく願った思いを。

受け取り、叶えてくれるかという、縋るような言葉。

それに対して、武は苦い表情で少し悩んだ。

頭の中で渦巻くのは、純夏は霞、そして冥夜達への想い。

暫く悩んだ武だったが、突然頭をワシャワシャと掻き毟ると、素早く殿下を抱き締めた。

「きゃっ、た、武さま――んっ!」

「―――……ぷは、……その、なんだ、良いのか、俺はもう純夏や霞と…」

「……存じております、そして純夏さんからは承諾を得ました」

脳裏でえへへ~と笑う純夏へあのバカ…と思いながら腕の中の殿下を抱き締める武ちゃん。

こんな事が真那さんに知られたら俺殺されるなぁと思いながら、もう一度殿下の唇を奪う。

「殿下…いや、悠陽。俺はバカで間抜けでお調子者だけど、それでも俺は、俺を愛してくれる、想ってくれる人をもう失いたくない。絶対に守ってみせる。一人を選べない俺を許してくれなんて言わないけど、俺は…むぐっ?」

殿下へ決意を伝える武だったが、最後の言葉は唇を奪われて言えなかった。

「分かっております。それに、英雄色を好むとも申しますし、武様はわたくし一人では満足させる自信もありませんから…」

と言って優しく武ちゃんの大事な所を指先でなぞる。

先程きゅっとされただけに、気持ちよさと恐怖が半々だが。

「武家では妾も珍しくありません。それに、副司令の計画が順調に推移すれば、法律も…」

「え、何、何を言ってるの?」

最後はボソボソと呟く程度だったのでシャワーの音で聞こえない武ちゃん。

「いいえ、なんでもありません。さ、武様、次は冥夜を口説き落として下さいまし」

武ちゃんの疑問に笑顔で恍け、さぁさぁさぁと背中を押してシャワー室を出る二人。

「た、タケルっ!? 姉上もなんとはしたない格好をっ!!」

そこには、ベッドの上でもがく冥夜だけ。

「うわっと! ……あれ、純夏は…?」

「鑑なら少し話した後、出て行ったぞ。今日は参加出来ないからとか何とか…」

「あのバカ、何を考えてるんだ…」

「まぁまぁ武様、純夏さんはわたくしたち姉妹だけで武様のモノに成れるように、配慮して下さったのですから」

頭を抱える武ちゃんをほほほほ…と笑いながらズイズイとベッドへ押す殿下。

しかしこの殿下、ノリノリである。

「さぁ冥夜、今こそ武様にその胸の中の想いを打ち明けるのです」

「あ、姉上、ちょ、何故そのような場所を触るのですっ!?」

まるで獲物を締め上げる蛇のように冥夜に絡み、縄を外しながら別の縛り方で冥夜を拘束する殿下。

冥夜は冥夜で、目の前の武ちゃんの素晴らしい裸体や、先程見てしまった臨戦態勢の部位の影響から、まともに動けない。

「冥夜、姉妹で一つとなりましょうぞ…」

「あ、姉上、ま、待ってくださ…!?」

待ちませぬと、押し倒される冥夜。

その日、帝都の殿下の部屋で、二つの花が散ったそうな……。























「あれ、今日って何か大切な日だったような……」

幸せそうに眠る姉妹に挟まれながら、少しゲッソリした武ちゃんが一人首を傾げる。

今日が始まりの日だったのだが、朝から嵐のようにやってくる展開に流されて忘れてしまったようだ。

翌日、思い出して落ち込む武ちゃんを、殿下と冥夜が慰めるのはまた別のお話。




前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.043516159057617