ついカッとなって書いた、色々と後悔している。
反省する気はあるので許して下さいorz
※このお話は本編をパロったりネタ塗れにした作品です、本編とはあんまり関係ないのでご注意下さい。
そしてここで壊れている人はこのネタ系限定ですのでご安心下さい
小ネタ1~きっと大多数の人が思ったと思う事と、誰もが予想しなかった乱入~
・クーデター軍襲撃の時に
『テメェ、さっき俺達のしてることを無駄だって笑ったな…?』
「ひ…っ!?」
通信から聞こえる低いその声に、言い様のない恐怖を覚える川本。
元々川本は、気の弱い卑屈な男だった。
それが戦術機という力を得た為に変に尊大となり、今まで生きてきた。
だから彼は、相手が、武が放つ本当に“心が強い者”の気迫に、怯えているのだ。
『なら見せてやる、俺達が造り上げてきた力を、皆を、人類を救う為の力をっ!!』
武が吼えた、そして大和から出来るなら使うなと言われていたシステムの“起動コード”を叫ぶ。
『 ト 〇 ン ザ ム っ!!』
その瞬間、武の網膜投影に一瞬『システム解放』『全出力限界解放』『機動リミッター解除』と立て続けに表示されて消えていく。
そして機体が緋色に輝き、背中のスラスターから青い色の粒子のような物を振り撒きながら戦術機とは思えないスピードで川本へと襲い掛かる!
「これはないだろぉぉぉぉぉぉぉっ!?!?」
涙目で叫ぶ川本の不知火が瞬殺される。
その光景を見て唖然としているまりもちゃん達。
そこへ、センサーに新しい反応が映る。
『よもやその機体に出会えようとは。乙女座の私には、センチメンタリズムな運命を感じずにはいられない』
『いやっ、誰だ!?』
外部スピーカーで語りながら登場したF-22Aに、本気で戸惑う武ちゃん。
『エリス・クロフォード! 君の機体に心奪われた女だ!』
『いやいやっ、本当に誰だよ!?』
突然展開とか次元とか超えて登場しちゃったエリス嬢。
もうハチャメチャが 止 ま ら な い ☆
『抱きしめたいわ!ブラックウィドウ!!まさに、未亡人ね!』
『意味分かんないってのっ、何だこの人っ!?』
『敢えて言わせてもらおう! エリス・クロフォード、ヤマトの嫁であると!!』
『えぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?!』×聞いてた人達
とんでもない発言をして周囲を驚きに包みながら、陽燕に挑むエリス嬢のF-22A、だが性能の違いか衛士の差か、それともトラ〇ザムが問題か、苦戦を強いられる。
『く…っ、どれほどの性能差であろうと! 今の私は阿修羅すら凌駕する存在だ!!』
『この人無茶苦茶強ぇぇぇぇっ!?』
なんと気合で圧倒されてしまう武ちゃん。
と、そこへ異変を感じた大和の月衡が急行してくる。
『武ッ、大丈夫か!? F-22Aがここまで侵入していたとは、迂闊だったな』
『その声…っ、会いたかった、会いたかったぞ!ヤマト中尉ッ!!』
『その声…まさか、エリスかっ!?』
『やはり私と貴方は、運命の赤い糸で結ばれていた。そうだ、結ばれる運命にあった!!』
エリスさん、ヘブン状態突入。
『貴方の圧倒的な技量に私は心を奪われた。この気持ち、まさしく愛!!』
戦闘中に堂々と愛を語るエリスさん、皆ドン引き。
『え、何この展開? 武お前何をしたッ!?』
『知らないぞっ、俺は霞に言われた通りにシステムを起動させただけで…!』
『ッてお前それトラン〇ムしてるじゃないかッ、作品って言うか能力が違うからッ!』
『えっ、じゃぁこれが原因っ!?』
『オ・ノーレ、謀ったな社嬢ぉぉぉぉぉぉッ!?』
大和と武、キャラ暴走したエリス嬢に追いかけられて戦線離脱。
「………………ぶい…」
その様子を基地司令部で眺めていた霞さんが、こちらに向ってVサイン。
続かないよ?
※本編のエリス女史はこんなキャラクターではありません。
小ネタ2~つい動画を見て妄想しちゃったんだ!~
・開発計画の開始式にて
「各国の開発に、私も少なからず協力出来れば良いと思っている。しかし私の能力や横浜基地の技術力に疑問を抱いている人間も多いことでしょう。そこで、軽いデモンストレーションを行おうと思います」
大和がそう言い切ると、会場から少し離れた場所の地面が開いて、地下格納庫から戦術機がリフトアップされて登場する。
それは、響だった。
リフトが完全に昇り切ると、どこからか音楽が流れ始める。
何となく豪華な感じの、この世界では耳にしない感じのイントロ。
その間に何故か響が気をつけの体勢になり、一度両手をパタパタと動かす。
イントロと思われる音楽の間、頭は限界まで下を向いた状態。
そしてイントロが終わって女性の声で「ら・ら・ら」と言いかけた言葉の歌詞が続いたかと思うと、機体が突然スムーズな動きで両手をクルクル回しながら胴体を左右にリズム良く振り始める。
LOVEでJOYな歌詞でこの世界ではまず耳にしないPOPな音楽に合わせて踊る響、その動きはもう恐ろしいほどスムーズ。
駆動音とか振動が凄いけど、腰と連動して両手を左右に大きく振ったり、両手をグルグル回しながら片足立ちしたりともうノリノリ。
その光景に、皆様唖然。
そんな事は気にせずに、響は左右を右手で指差すと最後に手でハートマークを作って可愛くポーズ。
一瞬ときめいてしまう整備兵が多数続出。
その後も両手両足を元気にヌルヌル動かして踊りまくる響。
歌詞が二番に入ると、先ほどと同じように地面からまた二機戦術機が出てくる。
今度は舞風が二機だ。
その二機も音楽に合わせて踊り始める。
その動きは、所々遅れたりするが、逆にそれが衛士が動かしてるという事実を知らせ、観客をさらに唖然とさせる。
さらに、観客となった衛士達の前に、動物をモチーフにした着ぐるみが多数現れて、同じ踊りを始めるではないか。
一匹、コアラ…だと辛うじて分かる奴だけが、変なオジサンと形容したくなる踊りを踊っているのがシュールだ。
しかも動きのキレが一番イイのが更に酷さを演出している。
そして三番に入ると、今度は撃震・轟が二機登場して5機で踊りだす。
振動とか音とか凄いけど、それ以上に目の前でノリノリで踊る戦術機に皆唖然として動けない。
そして最後まで踊りきると、中央の響が観客から見て右側を指差すようなポーズで停止、舞風二機が膝をついて響を左右から讃えるようなポーズに。
撃震・轟は中腰の体勢で、舞風と同じようなポーズを取る。
どこぞの世界を面白くする某少女の団体のポーズに見えなくもない。
観客の前で踊っていた着ぐるみ達も集まってポーズ。
やっぱりコアラっぽいのだけが、ガニ股で両手を激しく動かしていた。
「皆さん、ご覧頂けましたか、これが横浜基地の底力ですッ!!!」
壇上にある台に足をダンッとついてマイク片手に咆哮する大和。
全員が思った、「ダメだ横浜基地、早く何とかしないと…」と……。
勿論続かないんだ☆
語られなかった物語――――――――
別名、一部が望んだ結末――――――
要は、大和が自重しなかった結果――
TPOは大事です―――――――――
そしてまたB級映画展開――――――
2001年9月11日―――――――
開発区画総合ブリーフィングルーム
新しく増設された開発計画用の区画の中に存在する、各国の衛士や整備兵達がブリーフィングを行う為に部屋。
その中でも一番大きな総合ブリーフィングルームに、参加国の衛士が全員集まっていた。
「全員揃っていますね、では今からXM3の概要と操作説明を始めます」
時間通りに全員が揃っているのを確認して壇上へ立ったのは、何故かメガネ装備の唯依姫。
大和に説明を投げっ放しされた際に、是非メガネ装備でお願いしますと言われたのだ。
その理由は特に問わなかった唯依姫だが、やっぱりこいつメガネ萌えなんじゃ…と大和を睨んだり。
「最初に、黒金少佐が製作した映像資料でXM3の紹介を行います」
この場には唯依姫より上の階級が存在するので、言葉遣いを気をつける彼女。
彼女が手元のリモコンを操作すると、プロジェクターが天井から迫り出して、同時に背後に映す為のスクリーンが自動で下りる。
この辺りは大和が拘った設備だ、秘密基地って憧れるよね? というアレな意見に作業者が同意した結果、こんな設備が満載である。
灯りを暗くして映像が始まるのを待つ面々。
やがてタイトルの『XM3教導資料~映像編~』というタイトルと共に実機演習の映像を記録した物が流れる筈だった。
『今日から始まる故意のXM3伝説~これで貴方も私も強靭☆無敵☆最強☆DA-------っ!!』
「はぁっ!?」×唯依姫含んだ全員
なんか前よりパワーアップしたタイトルコールが響いた。
誰の声だか不明だが、何故か凄く社長と呼びたくなる声だった。
あと誤字ではないらしい。
唖然とする参加国衛士と、混乱する唯依姫。
教導資料は事前にチェックした上に、あのネタ教導資料は自分が破棄したと言うのに。
『参加国衛士のみんな、元気かな? 僕はしらぬいくん、XM3を搭載した第3世代SD戦術機だよ!』
続いて現れたのは、やっぱりしらぬいくん。
しかもボイスが付いている、聞き覚えのある声、ぶっちゃけイーニァの男声だ。
ミキサーで加工でもしたのか、本人より滑舌が良い。
『今日はみんなの為に、XM3がどんなOSか僕達が教えるよ!』
あわあわする唯依姫を放置してどんどん進む映像。
何度もストップを押しているのに映像資料は止まらない。
お~いみんな~という声に、複数の声が答えた。
そしてスクリーンにわらわらと現れるSD戦術機達。
しかも殆どが唯依姫も知らない新顔さんたちだ。
わ~っというちびっこ達の集合声と共に現れるSD戦術機達に、参加国はあんぐりと口を開く。
何故なら彼らの持って来た試験機達だからだ。
Su-37や殲撃、ミラージュ2000にF-18等など、豪華な顔ぶれ。
そんな彼らがニ頭身の可愛い姿になって登場したらそりゃ唖然とする。
何人かが「あれウチの機体か…?」と呟いているし。
あ、とーねーどくんが転んだ。
『うぅ…いちゃい…っ』
なんかえぐえぐ泣いてる。
『泣いちゃダメだよとーねどくん!』
『そうだ、立つんだとーねーど!』
励ますしらぬいくんと、応援するぐりぺんさん。
他のSD戦術機もがんばーれ、がんばーれと応援している。
なんだこれ。
「そうだ、頑張るんだトーネード!」
「お前は出来る子だっ!」
なんか欧州連合軍から来た人達が同じように励ましていた。
なんだこれ。
「……タカムラ中尉、なんだこの資料は…」
「いえ、その、少佐が仕組んだ物だと思うのですが…っ」
前の席だったので煤けた表情で問い掛けてくるラトロワ少佐に、映像を止めようと奮闘しつつ答える唯依姫。
頑張る姫だったが、映像は立ち上がったとーねーどくんが合流して自己紹介に入っていた。
大部分の衛士が唖然として固まる中、ラトロワ少佐や他の指揮官は何とか理性を取り戻し始めていた。
「ちょっと、ウチのじゃんじくんの位置おかしいわよ、前のが邪魔で顔しか見えないじゃないっ!」
訂正、横浜黒金ワールドに取り込まれたちっぱい人も居た。
『ところでしらぬいくん』
『なんですか、ちぇるみさん?』
『私のモーターブレードを知らないかい?』
『この前ベータに齧られちゃったでしょう』
『ちぇる~ん』
「………中尉、我が国の機体は少佐には“あぁ”映っているのか?」
「わ、私からは何とも…」
映像の中で愛らしいやり取りをするしらぬいくんとちぇるみさんを指差して頬をヒクつかせるラトロワさん。
いっそ電源を切ればと機械の電源を探していた唯依姫は返答に困った。
まさか少佐に掛かれば戦術機も萌え対象なんてカミングアウト出来る訳も無く。
『それじゃぁXM3の説明に入るよ!』
愛らしい仕草と声で見ている人間を和ませるSD戦術機達が交替交替で説明を始める。
キャラ付けなのか、噛んだり漢字が読めなくて他の子に聞いたり、台本丸読みだったり。
実際に台本読みながら説明するみらーじゅさんが妙にリアルで困る。
そして実際に操作で機体がどのように動くかを映像で見せる場面になったのだが、本来は実機演習の映像を使った緊迫感溢れる映像が。
『たーっ!』
『うわ~んっ』
『まてまてーーっ!』
『ぴぎゃっ!?』
メルヘンワールドと化していた。
そんな映像を止められなかった唯依姫は部屋の隅で黄昏ていた。
あぁ、終わったな横浜の開発計画…と静かに涙。
横浜黒金ワールドに巻き込まれた面々が自分たちの機体を応援したり、癒されたり和んでいたり。
これも一種のバイオハザードかなぁと遠い目で思う唯依姫、この部屋中に黒金菌が大繁殖。
「なんなのだこれは…ターシャ? どうしたのターシャっ?」
映像や周りの状態に身の危険を感じたラトロワさんが隣のターシャに話しかけるが、返答が無い。
「はぁ……ちぇるみさん…」
見れば、画面のちぇるみさんを見てうっとりしていた。
これが若さか、取り込まれるのが早かった。
「ターシャまで……もしや、横浜基地は我々を洗脳するつもりかっ!?」
長年の衛士としての直感が危険を告げているラトロワさんは現状からそう推理した。
「否定できませんっ」
唯依姫が否定できなかった。
「ラトロワ少佐、ここは危険です、直に脱出を!」
「なんだと…貴官は仕掛けた側ではないのか…?」
怪訝な視線を向けてくる彼女に、唯依姫は哀愁漂う表情で呟いた。
「私も、巻き込まれた側です…」
「そうか……兎に角、この部屋から脱出せねば…!」
唯依姫の表情と言葉から仲間だと理解した彼女は、兎に角この部屋から脱出する事を優先した。
ターシャは心配だが、今はどうする事も出来ない。
二人揃ってブリーフィングルームを出ると、何故か廊下が暗くなっている。
「どういうことだこれは!?」
「灯りが、消灯したの…?」
非常灯だけが灯っている不気味な廊下。
真新しい床や壁が、逆に恐怖を誘う。
『どこイくの…?』
「「っ!?」」
と、突然廊下の奥から声がした。
その声は、唯依姫が常日頃から聞いているイーニァの声。
しらぬいくんに当てられた声ではない。
「ねぇ…どこイくの…?」
現れたのは、テスタメントに乗って、その腕にしらぬいくんのヌイグルミを持つイーニァ。
何故か強化装備姿。
「シェスチナ少尉!」
「あの娘、確かあの時の…?」
驚く唯依姫と以前逢った事があるラトロワさん。
「ねぇ…タカムラもおいでよ…たのしいよ…?」
そう言って微笑むイーニァ、腕に抱いたしらぬいくんの手をおいでおいでと手招きさせる。
「何を言っているんだ少尉…ひっ!?」
「なんだこれは…っ!?」
イーニァに言い聞かせようとして小さな悲鳴を上げる唯依姫。
その理由は、イーニァの後ろに広がるテスタメントの群。
その本体の上には、SD戦術機達が乗っていた。
「ほら…タカムラもいっしょにあそぼう…?」
『あそぼう?』
『あそぼう!』
『あそぶっ』
『遊ぼうっ!』
『あそぼあそぼっ!』
イーニァの言葉を皮切りに、SD戦術機達が喋り出す。
正確にはテスタメントのスピーカーからだが、その光景に思わず後退する二人。
イーニァの様子やテスタメント達の状態から異常事態と感じた二人は、イーニァとは反対側へ逃げようとする。
「篁中尉、どこへ行くのですか?」
「っ、七瀬少尉っ!?」
「こちらもかっ!」
振り返った先には、胸に白いたけみかづちくんを抱いた凛。
彼女の周囲にもテスタメントとそれに乗ったSD戦術機達が…。
「はい、中尉のたけみかづちくんですよ? 駄目じゃないですか、肌身離さず持っていないと…」
そう言って部屋の置いてあった筈の山吹のたけみかづちくんを差し出す凛。
差し出されたたけみかづちくんが持つプラカードには「ずっと持っていてねっ!」と書かれている。
「しょ、少尉…!?」
「それと、そちらのソ連の方にはこの「ちぇるみさん」が在りますよ…」
震える唯依姫を尻目に、今度はちぇるみさんを取り出す凛。
クスクスと笑う彼女の雰囲気が通常とはかけ離れた事に気づいたが、どうする事も出来ない唯依姫。
ラトロワさんが強行突破しようとするが、テスタメントが対人電撃端子を準備した為動けない。
「さぁ…中尉も一緒に…」
「しあわせになろうよ…」
前から迫る凛、後ろから迫るイーニァ。
逃げ道を塞がれた二人の悲鳴が、暗い通路に響くのだった――――――。
「む……誰かが俺を呼んでいる…っ!」
どこか遠くで、横浜の方を見上げるのは、蒼いたけみかづちくん。
「主、お助けに参りました!」
主人を助けにきたのは邪魔するSD戦術機を切れない長刀でぽこぽこ倒した黒いたけみかづちくん。
「大和、何が起こっているんだ!?」
「反乱だ…」
「反乱っ!?」
「そう、産み落とされた無垢な存在に、読者の妄想が注ぎ込まれた結果、彼らは個性と存在意義を得て動き出した。彼らの目的はただ一つ、人類を―――」
「じ、人類を…?」
「萌え殺す事だ……――――ッ!!」
次回、やまとたけりゅっ!
逆襲のSD戦術機~しらぬいくんはアホウドリの夢を見るのか?~
絶賛執筆―――――――――出来るわけ無いでしょう!?(逆ギレ
ようこそ、ずいかくバーボンハウスへ。
このテキーラ巌谷スペシャルはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うむ、また作者のネタなんだ。済まないな。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。私が。
でも、このネタ文章を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」か「萌え」みたいなものを感じてくれたと思う。
「笑い」でも良い。勿論、「なんだこれ(笑」でも構わない。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思って作者はこのネタ文章を作ったんだ。
と言うことにしたいらしい。
すまないね、それじゃぁ注文を聞こうか。
※マスターの声は菅原〇志さんか小山〇也さんでどうぞ
「―――――――――という展開になっていたらどうしよう…ッ!」
「って今まで全部が大和の想像かよっ!?」
80番格納庫へ移動するエレベーターの中、妙な想像と言うか妄想に一人震える大和とツッコム武ちゃん。
その頃、ブリーフィングルームでは確りと唯依姫がXM3の説明を行っていましたとさ。
本当に終わり。
~仕事から逃げたい奴とそいつから逃げたい人の午後~
「OPとか選ぼうと思うんだ」
「なんの!?」
午後のマッタリとした大和の執務室で、コーヒーもどきを飲みながら唐突に妙な事を口走るのは大和。
「いや、だからお前の出演する映画の」
「してないよ俺!? なんだよ映画って!」
寝耳に水な大和の発言に驚き叫ぶ武ちゃん。
だが大和はしれっと爆弾発言を続ける。
「いやぁ、武主役の映像が欲しいと殿か――ゲフンゲフンッ、スポンサーにお願いされてしまってなぁ」
「今確実にお前殿下っつったろなぁ!?」
犯人はあの人だった。
「で、作ったんだよ映像」
「いつの間に!? お前仕事で忙しいってソファで不貞腐れて篁中尉に怒られてたじゃないか!」
「ふふん、俺には優秀な部下が居るからな」
主に盗撮の。
「で、これがその映画。涙あり笑いあり感動ありポロリありの超大作だ」
「最後の要らないだろう…いや、俺も興味はあるけどさ…」
その辺男の子、テレビ欄の番組タイトルで「ポロリ」という単語に反応しちゃうのは学生によくある事だ。
と思う。
「そうか、それなら吐き気を抑えて編集した甲斐が在ったな、伍長達と基地司令のポロリ」
「要らねぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」
ちょっとまりもちゃんとか真那さんとか期待しちゃった武ちゃんマジ泣き。
モニターに映る伍長達の見事なマッスルがとても眩しい(テカリ的な意味で)
「で、問題はこの映画の最初を華々しく彩り、視聴者に興味を持たせる為のOPなんだ」
「視聴者ってお前…」
殿下のみならず大多数の人間に見せる気だと、戦慄する武ちゃん。
「で、これが候補1、テーマは『大番長』、音楽的な意味で」
「どっからこの歌持って来たんだよ…なんつーか、ヒーロー物っぽいイメージだなぁ」
映像では武ちゃんや207などが映されている。
キャラクターを前面に押し出したAメロBメロ、サビは戦術機での戦闘シーン。
ただ、所々にヘタレキャラが混ざっている辺り、抜かりが無い(?)
爽やかかつ熱血なヒーロー路線と感じられるOPだった。
「次が、シリアスをふんだんに盛り込んだOPで、テーマは『喰〇-零-』」
「……いや、カッコいいけどこれ何で男性総出演?」
次の映像は男女比率が変だった。
女性は冥夜と唯依オンリー。
やたら伍長達や基地司令がカッコいい。
あとさり気無く斉藤が出演している。
サビでの涙を流しながら戦う武ちゃんの映像は、本人が何時撮影されたのか全く分からない辺り、大和の恐ろしさを現している。
「因みに俺的にお勧めなのが、この『戦国B〇☆SA☆〇A☆』イメージのOPだな、JでAでPな歌に合わせて踊る陽炎ダンサーズが最高の出来だ」
「☆を入れるな☆を! って陽炎ダンサーズ!?」
ツッコム武ちゃんを尻目にOP映像を再生する大和。
強化装備を音楽に合わせて身に纏う武ちゃん、その後ノリの良い「フゥーフゥー!」の掛け声と音楽に合わせて滑走路で踊る強化装備姿の衛士達。
カッコいい歌に合わせて何故か大和から始まり、彼の顔アップを背景に国連軍制服から強化装備へ一瞬で変化する。
次の武ちゃんも同じように、しかし左右逆でポーズも異なる。
「HEY・HEY!」の掛け声の部分では伍長達が何故か拳を突き出してノリノリ。
そしてまた人物アップに入り、何故か刀装備の唯依姫、次に同じく刀装備の冥夜。
宙返りから走り出す彩峰に、ダガーのような物を投げるステラ。
振った刀をカッコよく鞘へと戻す真那さんに、巨大な槍のような武器を地面に突き立てる紅蓮大将。
そしてサビへと入る直前で、並んだ陽炎達が腕をフリフリして上半身を下げる。
恐らくこれが大和の言う陽炎ダンサーズなのだろう、確かに見事な動きだ。
XM3入ってる。
余談だが、人物アップの時、さり気無く背景で踊っているのも陽炎だったりする。
そしてサビに入り、月衡を駆る大和が上空からBETAへ強襲、次々に切り裂いていく。
動きの止まった機体へと群がろうとする背後のBETAだが、現れた山吹の武御雷が切り捨てていく。
オーバーシステムを作動させた武の陽燕が炎を纏ったような演出と共に要塞級を薙ぎ倒し、その時発生した土煙とBETAの隙間を彩峰の駆る響がすり抜け、振り向き様にグレネードを放つ。
大爆発の中、背中合わせに立つ月衡と陽燕。
場面が切り替わり、滑走路の真ん中に立つ三人の人影、カメラが移動でそれぞれの顔アップが映り、最初に真耶、次に何故かまりも。
そして最後に何故か腕組みをして不敵な笑みを浮かべる夕呼のバストアップ。
横浜基地を背に、全力跳躍で空へと飛び上がる陽燕と月衡。
その二機が残す煙と光が天に昇り、地面へと降り立つと、その後ろには整列した陽炎が並び、「そぉい!そぉい!」の掛け声と共に右手左手と掲げて、踊り終わったかのように何故か左を見る。
その前では武器を構えてポーズを決める月衡と陽燕。
そこで音楽が終わり、映像も終わる。
「なんつーか、前のに比べて気合が入ってるなぁ…。あと、彩峰のポジション、沙霧大尉が似合う気がするのは何でだろう…」
「中の人など居ない。兎も角、他にも在るから一通り見てくれ」
「まだあるのか!?」
いつの間に作ったんだこいつと内心驚愕しつつ、逃げられない自分を恨めしく思う。
その後も『英〇』とか『青い〇実』とか『HOW〇IN〇』なOPを見せられて、ほぼ全てで主役扱いなので恥ずかしさに身悶える武ちゃん。
中には女性が主役のOPも在ったが、最後の集合シーンで彼女達に囲まれる武ちゃんが、この先の未来を暗示しているみたいで嫌だと語る。
「あとEDも作ってみた、力作だ」
「どうしてお前はそう無駄な事にまで力を注ぐのか…」
親友の奇行は理解しているが、受け入れるのは疲れる武ちゃん。
再生されたEDは、妙にポップな音楽で、何となく女の子の友情を歌った物語り的なイメージだった。
音楽は。
「なんじゃこりゃ…!」
ポップなイントロに合わせて顔アップでデフォルメされた男性陣が次々に画面に映る。
背景は夜の横浜基地だが、男性陣、伍長達が全員マッスルポーズで登場するのだ。
歌の直前で画面に映った純夏と唯依姫のデフォルメキャラが、背景の男性陣の暑苦しさに驚愕する。
それはそうだろう、ブーメランパンツ一丁でポーズを決めるアニキ達を見れば。
と言うか純夏半泣きだ。
そして歌に入ると、何故か三頭身の撃震が格納庫のような場所を横移動、昔のゲームのようだ。
と言うか、歌っているのが妙に聞き覚えのある男性陣。
そして歌詞が途轍もなく滅茶苦茶だった。
恋も夢もの部分では、男性衛士と整備兵達がマッスルポーズで登場。
歌詞が次へ移ると、何故かマッスルなポーズを決めた戦術機が、トレーラーに乗って横移動。
さり気無くスレッジハンマーやハンマーヘッドまで混ざっている。
板前の格好した撃震が長刀で突撃級捌いてたり、メイドの格好した吹雪の横で、スレッジハンマーが箒を持ってお掃除。
日焼けを表したいのか、何故かアフリカ連合のファントムが砂漠で寝そべりサングラスして装甲を焼いている。
そしてサビに入ると、男性陣がブーメランパンツでたいへんたいへんと踊り、その背景では撃震やスレッジハンマーも同じように踊っている。
男前の部分では凄い濃い顔とポーズで代表者の顔アップ。
伍長のキラリと光る歯が素敵だった。
暴れちゃうとか歌っている部分では、BETA相手に大暴れの撃震(よく見ると轟装備)やスレッジハンマー。
男性陣が手を繋ぎ、その後ろでは色々な戦術機が手を繋いでいる。
その映像の手前に、頭を押さえる唯依と苦笑いの純夏が出てきて、フェードアウト。
その後はやっぱりマッスルポーズの男性陣が出てきては消えていき、最後に「またね!」と吹き出しに書かれた大和のデフォルメ絵が。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁっ!?、って言うかポロリってこれのことか!!」
放送禁止の部分で伍長達がキャストオフしたのだ、当然モザイク入ってる。
「何って、横浜物語(男性ver)だが? ヴォーカルは『すーぱーまっするず』だ」
「伍長達かぁぁぁぁぁっ!!」
何してんのあの人達と嘆きつつ、何て映像をEDにしてるんだと猛抗議。
「仕方ないなぁ、ならこっちのコードでギ〇スなEDにするか、登場人物が嫌に少女漫画チックで豪華な貴族衣装で耽美な世界で武のもろ肌オープンだけど」
「止めてぇぇぇ、俺を曝け出さないでぇぇぇ…!!」
大和に縋り付く武ちゃん、そこに普段の彼の凛々しさは存在しない。
「ならどれが良いんだよッ!?」
「逆ギレっ!? これ俺が悪いのかよ!?」
「貴様がさっさと殿下に喰われればこんなネタ映像でご機嫌を取る必要なんて無いんだよ!」
「俺生贄かよっ、酷いにも程があるだろ!?」
ギャアギャアと言い争う二人、段々言い争う内容がずれて行くが白熱した二人は気付かない。
「………………私はこのEDでも良いと思いますよ?」
「「えぇッ!?」」
いつの間に入ってきたのか、あの男性(うほっ)verを見ていたピアティフ中尉が呟くと、同時に驚く二人。
「こちら、副司令からの書類です。それと白銀大尉、神宮寺大尉が探していましたよ? 映画、楽しみにしています、では」
スラスラと用事を終えて退室するピアティフ中尉。
流石、あの夕呼先生の秘書役でもある。
「え~っと、何を話してたんだっけ…?」
「う~む…あぁ、あれだ、劇中の武のシャワーシーンでモザイクを入れるか入れないかを…」
「何時撮ったぁぁぁぁぁぁっ!?!?」
ぎゃぁぁぁぁっと叫びながら掴みかかる武ちゃんと視線を逸らしてHAHAHAHA!と笑う大和。
因みに犯人は盗撮後衛ではないとだけ伝えておく。
如何に彼女であっても、そこまでプライベートな映像は無理だ。
「畜生っ、篁中尉に大和が月詠大尉のうなじ見て興奮していたってチクってやるぅぅぅぅぅっ!!」
「待て武ッ、俺の生命活動を停止させる気かッ!?」
飛び出す武ちゃんと慌てて追いかける大和、うなじに興奮した事は否定しないようだ。
「あとクリスカのストッキングの脚を眺めてたって報告してやるからなぁ!!」
「貴様ぁぁッ、あの美脚が分からんのかッ!!」
やっぱり否定しない大和。
興奮とかより単純に綺麗だから眺めていただけなのだが、普通に聞けばフェチ野朗だ。
その後の事は省略するが、とりあえず暇なら仕事しろとまりもと唯依に怒られる二人の姿がイーニァと霞に目撃された。
自由時間とはいえ、やる事はあるのだから遊ぶなら仕事しろと夕呼先生のお達しも出たそうな。