インド洋 マダガスカル近海
天気は晴朗なりて、雲のちぎれる空。その下に広がる海は、深く青く。広がる海原は大陸で起きている修羅場など、知らぬかのように穏やかである。
その海面に一枚の木片が漂っている。その場で10時間以上観察し続けていれば、その木片が漂流物にしては、あまりその場から離れていかないことに気づくだろう。さらに手にとって確かめみれば、その下に繋がっているブイを見つけるはずだ。
だが、このインド洋のど真ん中で、とるに足らない漂流物を観察し続けられるほど、海は穏やかとは限らないし、この世界全体に至っては穏やかなどとは到底、形容されるものではない。
こうして、人知れず敷設されたジオン公国軍の偽装通信ブイはその役目を果たす瞬間を待つことになるのだ。大海の波間にクラゲのように漂いながら…。
「予備の敷設、完了いたしました」
彼の声を聞いた瞬間に、ガトーは少しだけホッと息をついた。己に課せられた使命を両方完遂出来たという安堵だ。
横浜までの通信網の通信網の敷設は、交渉がどういう展開を迎えたにしろ、必要不可欠な事項であった。
しかも好都合であったことは横浜地下に駐屯するジオン公国軍が、地下区画の工事に携わっていたことである。
これで衛星を経由した機密回線を通してエルサレムまでのリアルタイム通信が可能になる。
一つ難点を挙げるとすれば、横浜の女狐と言われる女傑に内容を監視されてしまうということだが、それも現時点では問題ない。
ユーコン潜水艦の艦橋内にどこかリラックスした空気が流れているのは気のせいではないだろう。
地中海に駐屯する艦隊と合流し、アッコーを経由してエルサレムへと帰還する。海底センサーの類を避けるため、希望峰を回る遠回りをしてなお、数週間で到着してしまうのは、水中高速巡航性能の高さ故であろう。
なんにせよガトーはノイエンビッターへの報告が待ち遠しくて仕方がなかった。
(閣下、ジオンの旗に偽りはありませんでした)
胸の中でつぶやくとガトーは、エルサレムの地に思いを馳せた。今だ戦い続ける戦友たちの鼓動が今にも聞こえてきそうだ。
そう思えば、海水しか見えぬ水中の旅はことさらにもどかしく感じるのだった。
3年間……思えば、遠くまで来てしまったものだ。初めて、この世界に飛ばされてきたときのことは、今でも鮮明に覚えている。
異様なMS、初めて眼にするBETAという存在、そして蹂躙される人々。あの混乱と激しい戦いの中で、幾多の男たちが倒れたろうか?
彼らは今でも、自分たちが死んだ場所すら何処だかわからないのだ。
3年前のあの日。「奴ら」を一目見た瞬間から、決して相容れないものだとガトーは思った。それは生理的嫌悪感などという生易しいものではない。確かな確信であった。
いま思えば、あれこれ理屈をつけはしたが攻撃を進言した最大の理由は、そこであったと思う。そして、それが、間違いであったとは到底思えない。
大地を埋めんとする怪物の群れ。それ以上に感じたあのおぞましい感覚は、今日に至るまで決して消えたことは無かった。あれは「人間の敵」。いや、それ以上におぞましい「なにか」だ。
熱砂の舞い踊る中、散って行った戦士たち。そして絶望の中をあがき続けるものたち。そんな彼らを「重力に魂を囚われた者」と単純に見ることは、もはやガトーにはできなくなっていた。
兵士たちの中にはガトー達の事を本気で「神の御使い」であると信じているものたちさえいる。本来ならば一笑に付すような話である。えりすぐりの「人殺し」の集団である自分たちが、そんな幻想的なものではあるはずがない。しかし同時にガトーには、そう信じたくなる気持ちが理解できた。
宇宙世紀の始りは宗教の終わりだと言われていたが、そんなことは決して無く。むしろ、宇宙という過酷な地を新たな故郷とせざるを得なかった人々の中には、そういったものに頼るものたちも多い。なにより、辛い現実に立ち向かうために、寄る辺なき者たちが必死ですがりつく非現実を無碍にする気にはなれなかった。
エルサレム要塞 旧地下大聖堂 ジオン公国軍格納スペース
「もう少し右だ! そう、そのまま……よし」
誘導棒を振り回しながら、整備員がインカムに向かって怒鳴っている。クレーンで引っ掛けられた突撃級の甲殻がゆっくりと引き剥がされていく。
BETAとの戦いにおいてその死骸の処理は必ずしも憂慮すべき問題とは言えなかった。なぜならBETAの死骸を放置したとしても、ほぼ必ずといっていいほど次の襲撃で「回収」して行くからである。実際どのように回収しているかは定かではないが、BETAの襲撃後前回の襲撃から放置された死骸が減っているのは確かに報告されている事例である。
そして、もう一つには有機装甲とも言える突撃級の甲殻や要撃級・要塞級の衝角は強度・耐食性の面でも資源として有用であるというのが現場の判断であった。
国連議会によって放棄が決定され、書類上は脱走兵扱いのエルサレム要塞にこもる兵士たちもBETAの「襲撃」を受けた輸送コンボイが「仕方なく放棄した」物資を回収しているにすぎない。
ともすれば加工すれば使用でき、かつ部品の出処に困らない資材は喉から手が出るほどであるのだ。とは言え解体作業は肉屋よろしくMSや戦術機を使用せねばならないし、加工もかなり手間である。
つまりほとんどないよりマシといった状態でしかなかった。
実際MSの稼働機は8割まで減少しており、損傷機との共食いで整備するか戦術機のパーツを使用するかの2択を迫られている。
この基地の政治的立ち位置の微妙さを考えれば、「外」に対して補給の充実を求めることができない。
本来放棄されるハズだったエルサレムが侵攻を跳ね返したことにより、放棄されるハズのスエズ対岸の防衛戦が引き上げられ、放棄される予定であったメッカも皮一枚のところで永らえたのだ。
ユダヤ教長老会、イスラム教各宗派、そしてモスクワとバチカンを失ったキリスト教会にとっては喧伝すべき「奇跡」であり、かりにどこかの国の「謀略」によって陥落などという事態にあおうものであれば、関連した国家はBETAと同規模の敵を懐に抱え込むといっても過言ではない。というか3大宗教から国ごと破門されるという快挙を成し遂げてもおかしくないくらいである。 その国または政府を陥れたいも者はただ一言囁くだけですむような爆弾を懐に抱え込むほどの余裕は、現状においては米国にすらない。
というか現在勢力を伸ばしている「BETA恭順派」とも取れる各宗教の新興集団がもっとも多いのが後方国家である米国とアフリカ連合である以上、それを抑えているエルサレムが陥落するのは非常にまずいであろうというのが、ノイエンビッター少将をはじめとするエルサレム首脳陣の読みである。
なればこそ、この基地が保有するジオンという名の魔法のランプは一枚きりのエースカードであった。しかも強力すぎて相手に奪い取られる可能性の高いカードだ。
そして、もうひとつの城壁となっているのが「信仰」である。
「シオンに住まわれる主にむかってほめうたい、そのみわざをもろもろの民のなかに宣べ伝えよ。」口語訳聖書詩篇9章11節
この訳文で使われている「シオン」が「ジオニズム」の語源であることは、一般にはあまり知られていない。サイド3移民団の主体となったのが、宇宙に第二のイスラエルを求めた移民者集団であるというのは、ほぼ忘れ去られている歴史である。というのも、その頃の「地球」自体が連邦制を確立していたために、混血の坩堝状態であり、さらには宇宙移民となったことでそれがさらに混沌としたわけだ。ジオン・ダイクンがスペースノイド主義を掲げたのも「民族主義」を唱えることができる人種がほぼ消滅したためである。国号を「ZEON」(本来ならば「ZION」であった)としたのも、宇宙移民の代表者であるというスタンスをダイクンがとったためである。
聖地陥落を寸前にして現れた「ジオン」と名乗った戦士、そして同じ旗の下に戦う人種宗教もばらばらな戦士たちというのは、予想以上に彼らの心をついたようだ。
極めつけが、ガトー少佐が奪取したガンダムである。実験機ゆえの白いカラーリング、重厚な機体は荘厳な印象を与えるだろう。それが最前線を駆け抜けたのだ。
彼らが通信の中で「ガブリエル」と読んでいることからも、その感激がよくわかる。なにより、BETAの返り血や肉片を洗い流す時に「手伝いたい」と申し出てくる「有志」の多いこと、
中には先程まで出撃していたハズの衛士まで、愛おしそうに装甲を磨くのだから、正直言って傾倒ぶりには少々不安を覚えるくらいである。
あとこれは個人的な所見であるが、ガトー少佐の殉教者的な忠誠心と戦士としてのストイックなあり方がそれに拍車をかけているのではないかと思う。
「何を書いているのだ?」
見上げれば、仮面をかぶった衛士がくぐもった声で言う。整備班長はあわてて立ち上がり敬礼した。
「し、失礼いたしました参謀閣下」
「よい、楽にしろ・・・」
強化服ごしに見る肉体はよく引き締まっており、がっしりとしている。首元のシワと仮面の後ろから見える白髪混じりの髪が一応それなりの年齢であるらしいことを感じさせた。
「あ、熱くはないのですか?」
つい言ってしまって、班長は自分の愚かさを恥じた。仮面をつけているのは擬似生体でも修復できない傷跡が顔に残った為だ。
そんなことは知っていたハズなのにこもった空間特有の蒸すような暑さの中、仮面をかぶって汗一つかいてないように見える。
「私は体に汗をかく方なのでな」
心を読まれたのか、恐ろしく的確な答えが返ってきた。先ほどと寸分違わぬ苔むした巌のような声でだ。
しかし不思議と刺のあるように聞こえるわけではない。ふと仮面の奥の顔がにやりと笑ったような気がして、班長はなんとなく見逃されたような気がした。
3年の付き合いで分かったことであるが、この御仁は無愛想に見えて、実はかなり愛嬌のある性格なのだ。
「それはジョークでありますか閣下?」
「つまらなかったかな?」
先ほどより少しばかり芝居がかった、どこかおどけるような調子で言う。
「いいえ、傑作でした」
と大真面目に返せば。仮面の向こうから聞こえてきたのは低い笑い声であった。
「先程は何を書いていたのだ?」
少し砕けた調子で思い出したかのように参謀殿が聞いてくる。
「いえ、ちょっと手記のようなものを」
「手記・・・?」
くぐもった声がやや怪訝そうな調子を帯びる。
「ええ、新しい場所に来て、新しいことに飲まれないようにしているんでしょうか。自分がどこから来て、何をしていくのか。それを・・・忘れないようにです」
班長は慎重に言葉を選びながら、参謀に対して説明した。
「そうか。・・・・・・辛いか? ここの生活は」
どこか同情するような声音をありがたく思いながら、班長は素直な気持ちを口にした。
「辛くないといえば嘘になります。正直、帰りたいです。でも同時に、自分たちはここに来る前に死んだように感じているんです。
だから、なぜだか諦めがついているような気もします。それに・・・仲間がいますから」
真っ直ぐに参謀の顔を身ながら、班長は最後の言葉を口にした。
今度こそ、仮面の奥の顔が確かに笑ったようにみえた。
しばらく、間をおいて、ヨッド参謀が話しかけてきた。
「私の機体はどうなっている」
「ジェネレーター出力は60%で安定、ブースターは問題ありません。ノズルはまだ使えますが、在庫が厳しいですね」
机の上の資料を身ながら、班長はスラスラと答えた。班長を授かった以上めの前の男の機体はネジの一本まで知り尽くしているという自負がある。
「最悪、回収したスクラップを片っ端からバラしてパーツを見つけますよ」
「すまんな」
ヨッド参謀の重々しい声。班長は自分が認められているのを感じて、嬉しくなった。
この世界の住人でありながら唯一MSの騎乗を許されている理由はよくわかっていない。自分たちのBETA戦のアドバイザーとなるべく立場や国家、家族に至る全てを捨てて、この場にきたと言われている。この男は、最初ノイエンビッター閣下に「一兵卒で構わないので、戦線の端に加えていただきたい」と懇切丁寧に頭を下げたらしい。聞けば帝国軍の高官であったというが、地位も名誉も財産も、己の名前すら捨てて、この軍団に志願したという。面談ののち、彼を参謀にと迎えたのはノイエンビッター閣下の方であったという。
もっとも参謀として後方にいたのは最初の法だけで、こちらが対処を学び始めるやいなや。どんどん前に出て今や先陣を着ることも少なくないというありさまである。現にMSに早くもなれ、その陣頭指揮を取りながらの華々しい奮戦は彼らをすぐに納得させた。
機体を見れば懇切丁寧に扱いながらも、どこか死に場所を探すような戦い方が見て取れる。機体を預かる班長としては気が気ではない。この男は奴ら(BETA)を倒すためだけにこの地に立っているのだということを思い知らされた。
そんな彼がのるMSドムトローペンは重MSと呼ばれ、重厚な胸部装甲に脚部のホバーノズルによて高い機動性を発揮する機体である。背中には戦術機の可動式兵装担架を備えており、戦術機用の武装も搭載可能である。
「しかし、すごいですね参謀殿は、あれを作った甲斐があります」
そうして、整備班長が視線を向けた先にあったのは巨大な「カタナ」であった。地上に横たえられた、MSや戦術機の武装のなかでも一際おおきい。
ブレイドガードは少しスマートなものの、資料で見たスーパーカーボン製のモノより全体に身幅広く、反り浅い。切っ先諸刃の剛刀である。
それもそのはず、間に合わせやら特注品の多いこの基地でも、傑作の一つに入る品だ。
ちらりとそちらを見ると、厳かな調子でヨッド参謀は答えた。
「あれほどの業物ならば、誰しもできることだ」
謙遜と褒め言葉が嬉しくて、班長は少しだけ胸をはった。
「中東コテツとはよく言ったもんです」
参謀殿が同意するようにうなづく。
「できればカタナが欲しい」というのは「日本帝国」からきたという仮面の参謀どの、が唯一整備班にもらしたぼやきであった。
それを聞いてから、不思議と班長の中に火が付いた。気づけば武器修理担当官を抱き込み、どうにも我慢できなくなって参謀殿に「気晴らし」を持ちかけたのはいつのことだったろうか。
基地の建築材である超高スチール合金の廃材を利用した「カタナ」の開発を持ちかけたのだ。
参謀は驚いたようだったが、イスラエル人部隊でも待望しているものが多い(イアイがはやっていたらしい)ことを話すと、すぐに「非才の身ながら」と協力を確約してくれた。
そして、武装修理にあたっていた整備兵たちと連携し、さらには参謀自らMSを動かして作業を手伝った。
施設部隊によるレーザー焼入れ(ちなみに冷却水がわりにBETAの死骸に突っ込んだ)と超高圧水流研磨によって、第一本目が完成。参謀自らが試し切りに切った突撃級の甲殻は見事に真っ二つだった。
ヨッド参謀殿は気に入って、「中東コテツ」と命名したのはいい思い出である。
血脂を洗い落とした巨大な刃には曇りひとつない。覗き込めばうっすらと映る顔。その奥を覗き込めば、思わず背中に寒気が走る。あすもこの刃はBETAの腹を捌き、臓腑をえぐり、骨を断つのであろう。
いつとて、「コテツ」は血に飢えているのだ。
――― 2000年9月13日 ジオン・インダストリー本社
「こんなに大きいの、初めてです……」
消え入りそう声で、純夏がつぶやいた。
「緊張しないで、力を抜く。確かに大きいけど…そんなに痛くないわ」
隣に横臥する女性が優しい声で囁いた。柔らかな金の巻き毛と透き通るような白い肌。それに加えて、猫のように愛らしい顔立ちのなかに秘めた大人の女性を思わせる凛とした雰囲気は思わずどきりとしてしまうほど魅力的である。
「それに、新しいことをするって大切なことよ」
そう言って、リディア・リトヴァク少佐はにっこりと微笑んだ。
「……はい」
その笑顔に押されて、純夏はおぼつかない手つきで黒く光るそれをつかんだ。
「息を止めちゃだめよ。リラックスして……ゆっくり息を吐くのよ」
「はい」
硬い感触を受け止めながら、純夏はもう一度感触を確かめるように握りなおした。
「どんな感じ?」
いたずらっぽい表情でリディアがたずねてくる。
「硬いようななんとなくやわらかいような、不思議な感じです」
純夏が生真面目に答えると、リディアはおかしそうに微笑んだ。
「もっと硬いのもあるけど、これくらいのほうがあたしは好きね」
「ふえ? あ、はぁ…」
なんと答えていいかわからず、純夏はどぎまぎして言葉を濁した。
「さあ、さっさとぶち込んじゃわないと日が暮れるわよ」
とリディア。
「ぶ、ぶち込むって・・・・」
からかいだとわかってはいるのだが、純夏が反応してしまうのも無理はない。
何せ初めてのことなのだ。
「じゃあ、力を抜いて…ちゃんと見てるのよ」
「は、はい」
再び純夏が生真面目に答える。
「息を一度止めて、はきながら撃ちなさい」
「はい」
銃夏はスコープに眼を当てたまま、大きく深呼吸をした
「標的までの距離650m、風速0、湿度12%……」
純夏の耳に、リディアの言葉が入ってくる。教えられたとおりに照準を調整し、合成樹脂製のグリップを握りなおす。
「雪の晩に霜がおりていくように、引き金を引きなさい」
みょうに詩的な言い回しの言葉は純夏の心に不思議に染み渡っていった。
『雪夜に霜の降りるように……」
純夏は一瞬、自分の全身が地面になったかのうように錯覚した。じわじわとしみこんでくる霜の感触を感じながら、少女は静かに引き金を絞った。
発砲した瞬間、顔全体に薄い布ではたかれたような衝撃を感じる。後から発砲の衝撃波であることに気づいた。誰かに肩をぐっと押されたように感じたのは、狙撃銃の反動であろう。
監視用の大型スコープから目を離したリディアが、純夏の頭を優しく撫でた。
「すごいわね。初めてでど真ん中の人はあんまりいないわよ」
「…………え、あ、ありがとうございます」
しばらくほうけていた純夏が、あわてて返事をした。体に来た衝撃波には驚いたものの、肩に来た反動はマイルドで以外にあっさりと撃ててしまった事に困惑していたのだ。
「ね、思ったほど痛くなかったでしょ」
意味も無く肩をまわしていた純夏に、リディアが声をかけた。
「あ、はい」
純夏が答えると、リディアは満足そうに笑った。
そもそも純夏がこの訓練を受けているのは、地上への「派遣」が決定したことに先立って、拉致されるリスクを最小限に抑えるためであった。
彼女の場合、msのシュミレーター訓練と兵士としての基礎体力の向上が最優先されていたため小火器の扱いや近接戦闘などは必要最低限しか訓練していない。その足りない部分を補うのが今回の訓練である。
今回リディアが彼女の教官となったのは、彼女の部隊もマ・クベの指揮下で動くこととなっているからだ。もちろん潜入及び長距離偵察のエキスパートであることや、本人の希望によるものが大きい。
「重要なのは呼吸よ」
やさしさを含んだ声でリディアが言った。そうして、純夏に銃を渡すように身振りする。
「これは大概のことに対してそうね。呼吸を止めれば、体も緊張して止まるわ。本当は体を緊張させて、呼吸を止めているから逆なのだけれど…」
解説しながら、てきぱきと、銃床の具合を確かめ、弾倉を取り出して残弾をチェックする。スライドを引いて薬室に銃弾を装てんした。透き通った金属音がかすかに響く。
「まあ、そんなことはこのさいどうでもいいわ。狙いをつけるときは、深く吸って。ほそぉく、ほそぉく、蜘蛛の糸のように吐き続けるのよ」
銃を構え、狙いをつける。動作はなぜか優雅に見えていた。
「そして、引き金を引く」
銃口から吹いた閃光はハイダーに減殺されたが、それでも強装弾による銃撃のそれは凄まじいものがある。反動もそれに習うはずなのだが。彼女の体は大海の波間のように穏やかである。
「うわ、すごいです。真ん中の点が見えなくなりました」
純夏は感嘆の声を上げた。
「当然よ」
とリディアはいささかのおごりも感じさせない声音でいった。むしろ、困ったような笑みを浮かべている。
「だって、練習してるもの」
聞きようによっては嫌味とも取れる発言でもあるはずなのに、そういう意味には全く聞こえないのは彼女たちの日々の研鑽の凄まじさを知っているからだろうか。
「リディアさん・・・」
「ん?」
猫のように小首をかしげる仕草はともすれば、純夏より年下の少女のようである。すぐに花のような笑顔に変わった。
「どうしたの?」
「わたし・・・どうなるんでしょうか」
そう言って純夏は顔を伏せた。それは自分のこれからの処遇についてという意味だけではない。自分の心の中に巣食う凄まじいまでの憎悪を目の当たりにした不安が、その問を吐き出させていた。実際、純夏はどうして自分がBETAに対してあれほどの直接的な怒りを覚えたのか理解できない部分があった。
確かに家も家族も大切な幼馴染も奪われた。しかし、それは全て助けられてから人づてに聞いた話であり、家族に関してはまだ生きているのか否かもわからない状態だった。
BETAに捕まっていたときのことは全く覚えていない。しかし、原因はそこにあるような気がしてならなかった。それらのことを思い出そうとすると、途方もない寒気と吐き気に襲われる。
裏を返せば、それだけのことをされたということにほかならなかった。
「・・・いいのよ」
ふと何か柔らかいものが純夏の顔に当たった。横にいたリディアがいつしか純夏の頭を自分の胸に抱き寄せていたのだ。
「り、リディアさん」
「黙って・・・」
やさしく彼女の髪を撫でながら、リディアが諭すように言った。
「人は本当に忘れたくないことはちゃんと覚えているものなの」
「・・・・・・」
かすかに感じる甘い匂いは支給品のボディソープのものだろうか。柔らかな温もりに包まれながら純夏は小さな子供に戻ったような気分だった。
「だから、あなたが覚えてないことはあなたが忘れたいと願ったことだと思うわ」
「私が・・・」
「そう。あなたが、これからを生きいくために」
そう言ってリディアがそっと純夏の顔を起こした。彼女の目をじっと覗き込み言った。
「いつか・・・あなたが自分の記憶に立ち向かわなければならない時が来るかもしれない。でも、覚えていて」
リディアの目はこの天涯の向こうの空のように青い。あふれるような優しさの中に、芯の通った強さが見える。
「その時はきっと私たちがあなたのそばにいるわ」
溢れるような笑みと共に彼女はギュッと純夏のことを抱きしめた。
やはり甘い匂いのする胸の中で、純夏の中で張り詰めていた何かが、ぷっつりと切れたような気がした。
気づけばボロボロとこぼれ落ちる涙は止めようがなく。リディアの胸に顔をうずめて純夏は子供のように泣き声を上げた。
「しっかり泣いて。たくさん笑って。そうやって女の子はいい女になるのよ」
泣きじゃくる純夏の赤い髪を撫でながら、リディアはもう一度、彼女のことを抱きしめた。
ほの青い燐光が岩盤ををわずかに。地下であるというのに遠い天蓋が燐光を星のように錯覚させた。陰鬱な星空の下に一群の巨人が立っている。ある種の懐古主義を思わせる曲面を多用した装甲。全体的にがっしりとした印象を持つフォルム。A10用に開発された高出力ジャンプユニットEF79‐GE‐9Aがその機体の重厚さを物語っている。
だが、わけても印象的なのは頭部のモノアイシステムであろう。 額部分から伸びるブレード状のセンサーマストその直下に刻まれたスリットを薄紅色の光点がゆらりと動く。
一見時代錯誤にも見えるレールモノアイシステムだが、構造の単純化による、生産性と整備性を向上させると共に強度の高い作りになっている。丸い坊主頭のような頭部には大型ブレードアンテナが一本そそり立ち、その全身は甲冑に身を包んだ古代の戦士を思わせた。
この質実剛健を形にしたような印象は、如何にも帝國人に受けそうだ。
「HTSF-X01 紫電」ジオン・インダストリーが「ザク1」を元に作らせた局地戦闘用戦術機である。
狭い慣性ユニットの中で、まりもは網膜投影で自機のデータを映し出した。久々に身を包む強化装備の感触はわずかな違和感をもたらすが、それ以上に彼女の心に高揚感をもたらしていた。
「……すごい」
網膜に直接映し出されているそのスペックを見て彼女は言葉を失った。HTSF(重戦術機)という枕言葉の通り、機体重量は撃震の1.3倍だが、機動性は第2世代クラスである。それもさることながら、360mmという戦艦の主砲並みのバズーカ砲。いま装備しているものこそ従来型の87式突撃砲であるが、専用の突撃砲は従来のものより2回りほど大きい程度のサイズで、90mm機関砲と200mm滑腔砲いう冗談のような代物だと言う。おまけに両肩のシールドと膝にもウェポンラックがあり3連装多目的ランチャーをそれぞれ取り付け可能である。もっとも、突撃砲やバズーカなどの武器は未だに開発中であるため、今回は別の兵装を使用する。
また、他にもパーツを換装することで、砲兵・高濃度放射線地帯作業・水中作業用・建設用・など状況にあわせて改修可能であり高い汎用性を誇っている。
現在彼女の機体は新型合金を使用した専用の多目的追加装甲を装備している。
92式に比べて一回り小型のものであるが、最大の特徴は棺桶型のシールドにすえつけられたA10 用の36mmバルカン砲ユニットである。
本来はA10の肩部36mmバルカン砲ユニットを換装可能にすると言うものらしいが、そちらはフィアチャイルドと協議中であるらしく、今回はその間に合わせとして、36mmガトリングユニットを取り付けたのだという。
この「ガトリングシールド」こそ今回のもう一つの目玉と言っても差し支えない兵装である。というか間に合せにしてはカタログスペックが高い気がするのは気のせいだろうか。追加装甲に武装を搭載するなど従来ならば考えられなかったことだ(追加装甲は戦術機の兵装の中でもかなり重い方に入る)。もっとも、カタログデータというものは希望的観測が主というむきが強い。
加減速能力こそ劣るものの、総合性能を鑑みれば「紫電」は第3世代機と比較しても引けを取らない。
事実、まりももこの機体のことを気に入り始めていた。
「こんな夢みたいな機体あっていいのかしら」
チェックシートを付けたバインダーを片手に搭載武装を確認する、背中の兵装担架に長刀と突撃砲は普通だが、脚部の多目的ランチャーと肩の自立誘導弾システムがなんとも頼もしい。
僚機が持ってるMk57中隊支援砲などどうやって取って来たのやら。
中東支社?との連携を回復したと思ったら、もう試験運用の段取りが付いているのだから、手が早いドコロではない。そこが国家のしがらみのない組織ゆえの強みということか。そう、考えれば中隊支援砲の導入すらおぼつかない帝國の造兵廠のあり方に対しては含むものがある。
《神宮寺少佐、これよりJIVESによるテストを開始します。準備はよろしいですか》
通信器からの声が、独り言が少々長すぎたことを彼女に悟らせた。国連軍の駐在武官(ジオン・インダストリーが実質、治外法権であるため)として、正式にジオンインダストリー本社へと配属された彼女は正規の階級に復帰している。
これは彼女が形の上ではお目付け役であり、実質的な人質であるからだ。いざことが起きれば、彼女一人の力で止められるはずもなく。ことが起きたときに下士官であるよりも士官であったほうが、交渉を行いやすいからである。
正直に言えば、それは考えたくないところだった。
「あ、ああ、了解した。いつでも始めてくれ」
《サービスして連隊規模のBETA群です。僚機はヴィットマン大尉およびトップ少尉とルーデル少尉です。後方のラインを抜かれたら負けです。それではご武運を…》
女性オペレーターのいたずらっぽい言葉に苦笑しながら、マリモは僚機に回線を開いた。
「小隊各機 条件は聞いたな。突撃級の足を止めて妨害堤防を作った後……」
作戦の説明をしながら、彼女は自分の声が上ずらないように気をつけていなければならなかった。先の仮想演習の映像を彼女も見たからである。轡を並べる衛士たちの並々ならぬ腕前を知ればこそ、彼女の胸のうちはまさに沸き立つほどだった。
(ああ、なんて、おもしろい……)
思わず笑い出してしまうそうなほどに胸が高鳴っている。彼女は子供のように興奮する自分を抑えながら、同じ殺気を共有する僚機へ呼びかけた。
「敵軍後方の要塞級を叩くぞ、この機体の戦闘能力を余すところなく見せてやろう」
《《《了解!》》》
彼女の言葉を合図に、地獄の蓋が口を開けた。彼女の一部が狂おしいほどに血を求めていた。
A-10用に開発された高出力ジャンプユニットEF79‐GE‐9Aが唸りを上げる。滑らかに加速していく機体を肌で感じながら、彼女は自機の僅か前のポジションに滑り込んだトップ少尉に感嘆を覚えた。今日はじめて組むとは思えないエレメントだ。
何より機体の反応性はどうか。まさに吸い付くように、彼女のイメージした動きに合わせてくる。ANBACによる旋回能力は鈍重さを感じさせない。そして、同じ新型機であるはずなのに、僚機にはいささかの戸惑いも感じられなかった。
《ウォードッグ3よりウォードッグ1へ、ウォードッグ4と共に予定地点に到達。ココを射撃地点とする》
低くややかすれ気味の声が通信機から響く。片方のエレメントの長機であるヴィットマン大尉の声だ。
地を這うような低空機動で滑り込んだルーデル少尉の紫電がすばやくMK57をすえつけた。
《予定地点到達、射撃開始!》
ヴィットマン大尉の号令と共にMK57がけたたましい咆哮を上げる。空気の振動が装甲ごしに伝わるような気さえする。
57mm砲弾が吸い込まれるように突撃級の足を打ち砕き、転んだ突撃級がほかの固体を巻き込んで、玉突きを起こす。ヴィットマン大尉の紫電も負けておらず、特火点を形成した2機の紫電の砲撃によって、突撃級の隊列が崩れる。
《・・・大尉、こいつは良いですね》
ルーデル少尉が楽しそうに言う。とはいえ、少々物足りなさそうだ。本来なら輸入した雛形を元にジオンの技術で改造したMK57を持たせる予定なのだ。というのも頑強かつ重量のある重戦術機(またはMS)で運用する事を前提にしているため、既存のもの以上の反動や連射速度でも問題なく運用できるのだ。これを使わない手はない。
一応の予定としては、外観の変更はほとんどないものの構造材・内部機構等の改修によって最大連射速度を
倍にすることを念頭においているらしい。
長距離砲撃で、次々とBETAをなぎ倒すのはさぞ気持ちが良いだろう。
《そりゃギニアス閣下のてこ入りだからな》
そう、この機体はあの人の作った物だ。文字通り身を削りながら、人類のために故国を失った仲間たちの為に作り上げたものだ。
(だから絶対に無様はさらせない)
まりもは自分を奮い立たせているものが、尊敬や義務の心でないことに気づいてはいなかった。その感情はきっとかつて抱いたことのあるものだ。
しかし、同時にそれはひどく認めがたいものだった。
(なに考えているんだろう…わたし)
眼前に迫る敵影を理由に彼女は強引に頭を切り替えた。
ヴィットマンがひきつけルーデルが足を止める。急ごしらえとは思えない見事な連携だ。
そして、ルーデルやヴィットマンの手際を見て、悔しさと誇らしさを同時に感じ。
なんともなれば、次第に心中で頭をもたげるのは「戦士」であった。
歴戦の兵…その独特の雰囲気を感じ取ってから、彼女の胸は期待に震えていたのだ。
敵をほふるたびに長らく「教官」であった自分の中で眠っていた何かが、次第に目を覚ましていく。敵を見ればひた走ってその喉笛を喰いちぎりたくなる、そんな衝動を抑えてきたのだ。
理由などなんでも良い。ただ敵を求め、それを打ち砕くことに快感を覚える。
それは戦場にありがちな、一時の狂熱などではない。ひとたびフタを開ければ正気の沙汰など容易にかなぐり捨てる。その本質こそ彼女が持つ狂気の性だった。
「楽しみすぎて、BETAにむしられるんじゃないぞ」
次々とBETAを蜂の巣にしていく二人に向かってそういい捨てると、まりもはトップ少尉の紫電を共にヴィットマン達の頭上をフライパスして、間隙のできたBETA群へ踊りこんだ。
一度、ブーストを切る。慣性で下降する機体を感じて一秒。再点火しながら、まりもは操縦桿のトリガーを引いた。
巨大な蜂が羽を震わすような振動音と共に、蛍光オレンジの火線がBETAの群れへと吸い込まれていく。火線の先であがったのは血煙であった。
ガトリングシールドの射撃がもたらした弾幕はBETAをズタズタに引き裂き、まるでミートチョッパーをかけられたような有様の肉片がそこかしこに散らばる。
その光景を目の当たりにしたまりもは、危うく着地をしくじりそうになった。コクピットのなかでごくりと唾を飲んだのは、その凄惨な光景ゆえではない。
「なんて命中精度、着弾誤差がこんなになくなるなんて」
まりもは感嘆交じりの呟きをもらした 彼女の想像よりずっと集弾性が良く、懸念していたほどのぶれも無い。抜群の射撃安定性だった。すべては機体重量と新型のアクチュエーターによるものだろうが、これほどとは考えていなかった。
人間で言えば筋力が増して体重も増えている状態なので、当然の結果であるともいえるが従来の戦術歩行機の常識ではありえない結果であった。むしろ、安定性だけなら話に聞くA10もしのぐのではとさえ思える。
無論、すごいのは機体の性能ばかりではない。ヴィットマンとルーデルのエレメントはもとより、僚機のトップ少尉も冷静に食いまくっている。現在の戦況では、実戦でこれほどの錬度を持つものたちが小隊を組むということはほとんどない。
(贅沢してるわね・・・・私)
そんな考えが頭に浮かんだのをまりもは振り払った。
有頂天になるのは敵を倒してからだと己を叱咤する。
敵の群れを掻き分けながら、ついに目当ての連中を見つけた……要塞級である。
「前方600に要塞級発見。全弾発射!!」
『イエス、マム』
トップの機体とまりもの乗機の92式自立誘導弾システム、脚部ランチャー。合わせて76発のミサイルが発射される。一瞬のうちに巻き上がった発射煙が2機を包む。要塞級目指して突き進んだ誘導弾がその役目を果たすのは、わずか数秒のことだった。熱と衝撃波が一瞬のうちに地獄絵図を作り出した。
まりもはランチャーをすべてパージすると、次の地点に飛び立とうとした。
『少佐! 後ろです』
いつの間にか背後に忍び寄っていた要撃級が片腕を振り上げるのが見える。とっさに片手で衝角をそらすが、持っていた突撃砲がばらばらに飛び散った。
「なめるなっ!」
ウェポンマウントから居合い抜きに振り下ろした74式近接長刀が要撃級を真っ二つにする。切断面からこぼれた体液が地面を真っ赤に染める。
「トップ少尉、大丈夫か!?」
振り返ったまりもが見たのは、3体の要撃級に包囲されたトップの姿だった。射撃は味方を誤射する可能性が高いので出来ない。
「くそ!」
まりもが悪態をついた瞬間、トップの機体が動いた。
正面の要撃級の懐に入り込み。顎を蹴り上げたと思ったら、そのままトンボを切って背後の要撃級を踏み潰し、残った一体の頭部に掌底の連打を浴びせて前蹴りで蹴倒すと、その顔を踏み潰した。一瞬の早業である。
まりもは曲芸でもみているような気分になった。
気づけば戦車級がにじり寄ってきている。57mm機関砲を掃射しながらトップのほうへ向かうが、あちらも赤いじゅうたんのように湧き出した戦車級にたかられている。
『くっ、少佐ぁ、Sマイン!!』
「了解」
トップの機体から何かが打ち出される。空中で、傘のように散開した子弾がさらに爆発し、内蔵されていた20mmの鉄製ベアリングが雨のように降りかかる。絶え間なく装甲板をたたく甲高い音が、不気味に響く。鉄の通り雨が去った後は、まさに血の海となっていた。
コクピットを開ければ、さぞ硫黄くさいこと受けあいだ。
BETAの体液と肉片にまみれてはいるものの、トップ機は健在であった。
血濡れの機体に一本角はまるで昔話の鬼を思わせる。ゾクゾクと背筋を走るのは恐怖ではない。もっと暗く甘美な感情だ。
前方で爆発が起きる。砲撃組が自立誘導弾システムを使用したらしい。
後ろからBETAのケツを蹴り上げてやらなくてはならない。
はやる心を抑えながら、まりもはトップ機に回線をつないだ。
「それじゃあ、いくとしよう・・・・・・」
『了解』
帰った答えは単純明瞭。かつて「狂犬」と言われた女と、これから「赤鬼」と呼ばれる女は、嬉々として次の戦場へと飛び立った。
この後ばら撒かれたおびただしい量の殺戮を、あえて語る必要は無い。英知によって鍛え抜かれ、技量によって研ぎ澄まされた鋼鉄の猟犬達が縦横に駆けた後に残るものなど屍山血河以外にありはしないのだ。
約9時間後に、まりもたちはBETAの突破を許した。
嵐のような銃撃と白兵戦。そしてS11弾頭による爆破と、最後の乱戦の中、戦車級の口内に隠れていた、一体の兵士級が突破したのだ。
後に残されたのは、爆殺され、射殺され、殴殺され、斬殺されたBETAのおびただしい死骸と、中隊規模になったその残党。
返り血と臓腑にまみれながら、延々と戦い続ける4機の戦術機だった。
余談ではあるが、後にこの記録映像を見た帝國陸軍技術廠の士官が思わずつぶやいた「飛べば陽炎 撃てば海神 殴る姿は要撃級」の一言は、キャッチコピーとして日本全国にとどろくこととなった。
あとがき
※実機試験終了後のハンガーでの会話
整備班長「いや~ガトリングシールドは成功だったな」
整備員A「実弾兵器はロマンですよ」
整備員B「でもな~」
整備員A「なんだよ」
整備員B「本来は75mmガトリングと3連装35mmガトリング砲だろ…いくら長銃身たってなぁ」
整備員A「仕方ねぇだろザクより軽いし、ジェネレーター出力も弱いんだから」
整備班長「まあグフカスタムに至っては比べ物にならないな」
整備員B「そりゃ、まあ、そうですけど」
整備員A「まあ、みんなが考えたことだな」
整備班長「で、おんなじ結論に達するわけだ」
班長・A・B「「「「やっぱ火力たんねぇから連装にしよう」」」」
整備班長「まあ、安定性には余裕あるしな」
まりも「ナニソレコワイ」
結局また2ヶ月後というのがなんとも・・・ちょっくらアメリカに行ってましてこんなに遅くなってしまいました。
というかサーバーの負荷が高すぎるのかまともにつながらないorz
銃を撃つというのは本当に楽しいことです。読者の皆様も機会がありましたら是非にw
さてはて、なんだかエラーがで感想欄でのコメ返しができなかったので。ここで行いたいと思います。
あつき様
》アッガイ参入に期待
そういえば、実用化しているのに、全く出てきてないww
どこかで出せれば出します。というか、ガトーが横浜を尋ねるのに使ったきりですね。
なんだか地味なところに気づいたらあるみたいな感じででてくるかと。猫VERは・・・がんばります
帝國兵様
》美琴の父、鎧衣左近は内務省ではなく、帝国情報省の外務二課課長が肩書きの筈では?
OH内務のなの字も無い。失礼いたしました。情報省で独立してるんですよね。日本の内調と混濁しましたがあちらも、国内での防諜組織でしたね。
》口語訳聖書詩篇9章11節
「シオンに住まわれる主にむかってほめうたい、そのみわざをもろもろの民のなかに宣べ伝えよ。」
使わせていただきました(*・ω・*)
発表のタイミングですが、ジオン的にもいろいろごたごたしておりましたので(アフリカからの使者とか)ギニアス様以下が不眠不休でギリギリ間に合わせた。という感じです。
ヤマモトヤマ様
大変恐縮です。この作品からORIGINを読まれたとはありがたいことです。ばらしたリックドムは存在します。いけいけどんどんな時期に届いたものです。
もともと推進機関として熱核ロケットも考えていたのではないか、という設定です。ミノフスキークラフト技術はまだ不安定な部分が多いので、そのバックアップ。
そして、宇宙空間に脱出する際の直掩機ですね。この頃はまだ地上戦全盛期でしたので。
グフ・フライトに関しましては「作者はあの機体好き」とだけ言っておきましょうw この調子でオリジンの魅力を余すことなく吸収し、さらに面白い世界をご提供させていただければ本望です。感想どうもありがとうございました。
NNMK2様
大変お待たせいたしました。これからも複線ばら撒いて、全部拾って味のあるもの語りにしていきたいと思います。
アプサラス計画とXG70をどうするかは現在思案中です。これからの話の展開でどうなるかなので。
まあ、まだ先の話になるかとw
ブーイング737》
こちらこそ、暖かいご声援感謝です! これからもよろしくお願いします。
たくさんのコメント本当にありがとうございます。もし、このシーンが見たい。登場したなかでこのキャラクターが見たいというのが、
あれば是非書き込んでください。なるべく善処します。このキャラクターが好きですこのMSが見たいのも、今後の参考のために是非。
それでは、皆様これからもよろしくお願いします。