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No.4170の一覧
[0] Overs System -誰がための英雄-[shibamura](2009/07/25 03:07)
[1] OversSystem 01 <新たなる介入者>[shibamura](2009/06/26 01:28)
[2] OversSystem 02 <世界を救う同志募集中>[shibamura](2008/11/28 01:00)
[3] OversSystem 03 <かすみのほっぺた 商品化決定>[shibamura](2008/09/23 02:00)
[4] OversSystem 04 <鋼鉄の子宮>[shibamura](2008/09/23 02:00)
[5] OversSystem 05 <独白と誓い>[shibamura](2008/09/23 02:01)
[6] OversSystem 06 <世界を救うとは死狂いなり>[shibamura](2008/10/21 23:13)
[7] OversSystem 07 <それなんてエロゲ?>[shibamura](2008/09/23 02:02)
[8] OversSystem 08 <衛士、霞>[shibamura](2008/10/05 11:43)
[9] OversSystem 09 <失われた郷土料理>[shibamura](2008/10/05 11:43)
[10] OversSystem 10 <コンボ+先行入力=連殺>[shibamura](2009/06/26 01:30)
[11] OversSystem 11 <諦めないが英雄の条件>[shibamura](2008/11/09 02:31)
[12] OversSystem 12 <不気味な、泡>[shibamura](2008/11/09 02:33)
[13] OversSystem 13 <現実主義者>[shibamura](2008/12/10 23:07)
[14] OversSystem 14 <ガーベラの姫との再会>[shibamura](2009/01/26 23:14)
[15] OversSystem 15<彼と彼女の事情>[shibamura](2009/02/08 01:50)
[16] OversSystem 16<破壊者たちの黄昏>[shibamura](2009/06/19 17:06)
[17] OversSystem 17<暴力装置>[shibamura](2009/06/25 21:23)
[18] OversSystem 18<なまえでよんで>改[shibamura](2009/07/25 03:10)
[19] OversSystem 19<全ては生き残るために>[shibamura](2009/07/25 03:10)
[20] ネタ解説 ~10話[shibamura](2009/07/25 03:07)
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[4170] OversSystem 09 <失われた郷土料理>
Name: shibamura◆f250e2d7 ID:d801e7ad 前を表示する / 次を表示する
Date: 2008/10/05 11:43
AYAMINE

深夜
----白銀私室前----

 流石に冬の廊下は恐ろしく寒いのでズボンと同色のジャケットを着てはいるけど…やっぱり寒い。
 隣に立っているタケルも寒そうだ。
 時折足踏みをしたり、腕をさすったりしている。
 言いだしっぺだから口には出していないけど多分後悔はしているんだろうね。


(あー、クソッ。寒さ対策をしなかったのは失敗だったな…珠瀬とか大丈夫か?)
 ↑違う意味で後悔していた。


「…そろそろ小腹減ってきたし夜食でも食うか」


 ドカッと床に座りタケルはそう提案してきた。


「そだね」


 私も腰を降ろして胡坐を組み、足元に置いてあった袋を膝の上にのせる。
 宿舎での歩哨は恐ろしく暇だった。
 何せ聴覚的にも視覚的にも変化が全く起きないのだから。
 これが最初の組だったらまだ時たま通りすがる基地内の誰かを見る事もあったかもしれないが…
 そんな中唯一の楽しみがこの「夜食」だった。
 よくよく考えると確かに上手い手だと思う。
 食べてる間は気がまぎれるし、食べるまでは何が出てくるか楽しみでもある。(各自袋に入れ「食べるまで開けるな」と言われていた)
 のんびり食べれば暇つぶしにも持って来いだし、夜起きてるっていうのは意外とお腹が空く。
 日中あれだけ訓練していれば当たり前か。道理で国連軍に来てから朝食が多めに入ると思った。
(もちろんその前から彩峰は他人の1.5倍は食べていた)

 いやいや、のんびり食べれば暇つぶしになるんだ。のんびり食べれば…
 私は若干の空腹感に負けて一気に食べてしまわないよう、深呼吸してからタケルを見据えた。


「シェフ、本日のメニューは?」

「フ、フフフフフ。違う、間違っているぞ彩峰」

「は?」


 何か思うところがあるのか何処かのギアスユーザみたく不気味に笑うタケル。ちょっとキモイ。
 流石に正面からキモイと言ったら落ち込むかもしれないので。


「タケル、ちょっとキモイ?」


 夜食のお礼も兼ねてちょっとの疑問系にしておいた。
 だが私のそんな気遣いどころか、キモイすら彼の耳には全く届いていないようだ。



「他人からメニューを教わり、その味を想像する事は確かに面白いかもしれない。それは充実した、やさしい時間かもしれない。だが忘れたか彩峰よ、その袋の中身を誰が作ったかを!そう、お前の目の前に居る男、今極東で最も新しい伝説と呼ばれたこの俺だ」


 ズビシッ っと親指を立てて自分の顔に向けるタケル。


「いや、誰も呼んでないですよ?」

「そうんな事はどうでもいい。そう、その袋の中身は彩峰。お前が料理名を聞いても想像できないもの、全くの未知が詰まっている」


 全くの未知?
 いや、それはおかしい。
 だってこれはタケルと美琴が"PXで作ったもの"だ。
 いくらなんでもちょっとした夜食を作る為にオリジナルの材料を外から仕入れる筈が無い。
 ならば材料はPXでおばちゃんから提供を受けた物の組み合わせ…それが想像も着かない?


「ありえないね」

 フフン、と私は鼻で笑って答えてやった。
 そう、それはありえない。
 何故なら私は彩峰慧。
 日替わり定食は勿論全パターン完食済みだし、固定定食も日替わりがダブった時に全種制覇している。
 その私が想像できない筈がないのだ。
 だがタケルはそんな私を完全に無視する事に決め込んだようだ。ちょっとムカツク。


「それにな彩峰」

「何」

「お前の目の前に今ある物は何だ?」

「夜食の袋?」

「ならば言葉は無粋…自らの手で開けてみろ。他の誰でもない、お前の手で」


 いちいち芝居掛かっているがそんなに面白いネタがこの袋の中につまっているのだろうか。
 それなら私もリアクションの準備をしなければならない。
 さて、以外性…か。


1.弁当箱、開けてみると[ハズレ]と書かれた紙切れが一枚。
  →殴る


1.5 さらに「ハズレか、仕方が無い。俺のをやるよ」と差し出したタケルの分の弁当には
    [当たり]と書いてある紙切れが入った二段構えのギャグ
   →やっぱり殴る


2.量的な意外性で天然のゆで卵がひとつ
(卵の類は最も合成食品の味が天然に近づけないと言われている、技術がどうではなくそれだけ卵が旨いから)
  →量的な不満があるし天然の卵くらい食べた事があるので殴る


3.兎に角笑いを狙ったもの
  →私は笑いたいのでは無くお腹が空いているので殴る

4.ヤキソバがこれでもかというほど入っている
  →………どうしよう


 個人的にはネタとしておいしいのはやはり1.5なのだけど、でも本当に嬉しいのは4だ。
 でもその場合どう反応すべきかな…
 多分そうなったら今何を考えて居ても喜びのあまり体が勝手に動くだろう。
 そうなったらその時考えればいい。
 私は意を決して袋の結び目を解いた。


「あれ?」


 袋の中は…ぱっと見1枚の紙切れだった。
 ただその紙切れの下にはなにやら重量感のある物体がさらに包まれて入っている。
 何だろう…つまりタケルは「コレを見ろ」と言いたかったのか?
 つまりこの紙切れに料理名ないしはそれに順ずるものが書いてあるのだろう。
 まったくこんな物を先入観なしで見せる為とは言えこの男も中々馬鹿な男だね。
 そういう馬鹿は嫌いじゃないけど、それも結果が全て。
 もしこの紙切れの中が詰まらないものだ…った……ら……






”失われた郷土料理  やきそばぱん”






 その文字列を見た瞬間、私は声を失った。

 なんだコレは。

 やきそばぱんとは何だ?

 ヤキソバとパンなのか?

 ヤキソバがパンなのか?

 パンがヤキソバなのか?

 はたまたパンヤキソバなのか?

 パンとヤキソバが同時に存在する?

 炭水化物と炭水化物…その発想だけは…なかった…

 まさに禁断の発想。

 解らない、味どころか姿形も想像がつかない。
 確かに完全に未知の存在どころか理解の外側にある物体が今目の前に鎮座している。
 そしてその物体を包むヴェールは恐らく残る所あと一枚…

 私は恐る恐る震える手でその物体を持ち上げ、ゆっくりと、本当にゆっくりと包みを剥がした…はずだった。


「あれ?」


 ――――無い。


 気付いた時にはソコには何も存在しなかった。
 いや、何も無いわけじゃない。
 今自分が恐る恐る開けた包みが手元にある。
 ならばその中身は?
 最初から空だった…わけがない。
 あの時袋から"やきそばぱん"を出した時、それは確かな重量感を持って私のてのひらに包まれて居た筈だ。
 そして口の中に残る、ヤキソバのソースの余韻…


「スゲェな、一瞬で食べるとは思ってたけど………まさに"瞬殺"だったな」

「なっ!」


 まさか、私はもう食べてしまったのか?
 味わう事も、その見た目すら記憶に出来ぬままに。
 それってひどい。
 だって食べれたと思ったら食べた事を覚えてなくて、食べた事実だけが残っているのだ。


「タケル、おかわり」


 だけど私はこんな事ではへこたれない。
 "やきそばぱん"とのファーストコンタクトを失ってしまったのは悲しいけれど、それならまたゆっくり知り合えば、もとい味わえばいい。
 だから私は要求する。
 おかわりを。


「お前なぁ…」

「無いならタケルの貰うね」


 無いなら貰う。当然だ。
 一瞬で消えてしまう料理など作った方が悪いに決まっている。
 そうに違いない。
 そう決めた。
 今決めた。
なんだ、じゃあタケルの分は私のじゃないか。


「落ち着け、まだ慌てる時間じゃない」

「いいからそれ頂戴」


 両手を地面と水平にしてヒラヒラとこちらを制止するタケルを無視してタケルの"やきそばぱん"に狙いを定める。


「だから俺にたかる前にその袋の底を良く見てみろって」

「えっ?」


 袋の底?
 そんなものは二個目を期待した時に見た…あれ?

 また紙切れだ。
 さっきは包みが入っていないので全く気にしなかったが、また紙切れが入っている。
 最初の包みの下に敷いてあったんだろう。
 私は全ての望みを掛けてその紙切れを開いた。


"おかわりが欲しかったら隣に居る男を見てみろ"


 私は条件反射のようなスピードでタケルを見て…そして固まった。


「ほれ、あーんだ」


 そこには満面の笑顔で"やきそばぱん"をこちらに向けるタケルの姿があった。
 その神々しさ。
 パンに挟まれたヤキソバ。
 私には解る。始めて見る物体だが直感で解った。
 あのパンに与えられた"切り込み"の"深さ"こそが重要なのだ。
 正面から見ておおよそ7:3。そしてその比率は、恐らく見えない部分も均一にそうである事を一目で私に確信させた。
 つまり少なくともこの"おかわり"は美琴や社が作ったものではなく発案者のタケルが作ったもの。
 ならば私は、今度こそゆっくりと味わおうと、本当にゆっくりと口を開けた顔を近づけた。
 しかし自重を知らない私の舌が"やきそばぱん"を求め前に前に出て行こうとする。
 口の中はもう涎で一杯だ。
 舌を目一杯伸ばした状態なので呼吸も次第に荒くなってゆく。

 廊下には、私の呼吸音だけがやけに響いていた。


「あっ…」

 私の舌は、何より先にまずヤキソバに触れた。
 舌先に感じるソースの味。
 冷めてしまっているのは残念だがそこは夜食、仕方が無い。
 けどそのまま"やきそばぱん"を咥えて噛み切った時、私は知った。
 冷めているからこそいいのだ。
 確かに熱くてもおいしいかもしれないが、それだけじゃない。
 この冷えて少し硬くなったヤキソバの歯ごたえが、パンの具として見事に成立している。
 しかし冷めてからでは硬くなったヤキソバをやさしくパンに包み込む事は困難…
 つまりこの料理は、できたてもしくは一度暖めなおしたヤキソバをパンでつつみ、さらにそこから冷やす事で初めてその真価を発揮する!
 成る程、誰も思いつけないワケだ。

 何と言う手間と時間を使った贅沢――――

 それにコレは同じ炭水化物でもパンにしか出来ない芸当だろう。
 流石に今後"やきそばおにぎり"が出てきても私は今ほど感動に浸れないに違いない。


「ソバメシっつーのもあるんだけどな、あっちは熱い方がうめーから」

「む"ー!む"ぅー!!」

「興奮するのは解るが吹くなよ、頼むから」


 "ソバメシ"だって?
 何だそれは。先程思いついた"やきそばおにぎり"でさえ私にとっては"焼蕎麦鬼斬り"と名づけてもいいほどの発見だったというのに。
 この男は私のその更に斜め上を行くんだろうか?
 というか吹くわけないじゃないか、この私のヤキソバへの愛を舐めているのk「イテェ!!ちょおまっ(かろうじて小声」


「ふぁ(あ)…」


 どうやら私とした事が冷静じゃなかったみたいだ。
 気付かぬ内に体は次の一口を求め、気付けば思いっきりか噛り付いていた。
 …その、タケルの指ごと。


「だから離せぇ!前歯で噛み切ろうとするな!犬歯で噛み千切ろうとするな!ちょっと奥の歯でゴリゴリするなぁ!やめろやめろやめろあ"-!ソースが!ソースが物量作戦に!(ギリギリ小声の範囲」


 私の行為に小声で怒鳴るというちょっとした神業を見せてまで抗議するタケルだが、私の体は正直なもので、その声を無視してその場で"やきそばぱん"咀嚼していく。


「ふぅ、ごちそうさま」

「くっ、この外道め…」

「それは正直スマンかったかもしれない」


 涙目になっているタケルの指を見ると、うっすら血が出ていた。
 恐らく最初の前歯の一撃で切れてしまったのだろう…とすると途中の「ソースが!」というのは…

 彼の傷口にソースを塗りこんでいたのだ、しかも奥歯で。
 流石の私も申し訳なくなってきた。
 私は態度はデカイが、恩とアダくらいの区別は付く。

 でも言葉で謝った事なんて、もう随分無いかな。

 そう思った途端「ごめん」の一言が出てこない。
 私はこういう時に限って動いてくれない自分の口が恨めしい。

 謝罪もできずただタケルの眺めていると、彼はフーフーと指に息を吹きかけている。
 あぁそのくらいなら私にも出来るかも知れない。
 そう思った私はタケルの手を取って―――


「え?」


 ペロッ


 舐めた。いや、別にタケルの指がまだヤキソバ味かどうかを確かめたかった訳じゃない。断じて。
 けど舐めたかったかと言われると…正直難しいところかもしれない。
 しかし私の鋭敏な味覚は感じていた。
 燃えるような鉄の味とは別に、微かに感じるソースの味を。


「ちょ…彩峰おま…んっく…」
(ちょっと痛気持ちいいけどまずいんじゃないか?喜ばしてやろうかとは思ってたけどここで彩峰フラグを立てるつもりは…)


「あ…」


 そして私は当初の目的を何とか思い出して気付いた。
 彼の指は私に噛まれて傷を負った。
 つまり傷は一つではなく指の反対側にもある。
 今更てのひらをひっくり返して舐めなおすのはバツが悪いので、私は両方叶える手段を選択した。

 パクッ

 咥えた。
 決してソースの味を心行くまで楽しみたいとかそういうわけじゃない。と思う。


 チュルッ―――


「わ、何吸ってんだお前っ…」

「ふぉーふふぁなふぁにふぁいってふふぁもふぃふぇなふぃふぁらふいざす(ソースが中に入ってるかもしれないから吸い出す)」

「入らねぇよ毒蛇じゃねーんだかっらっつっ…彩峰っ…」
(ちょっこのアングル…彩峰の指ちゅぱの上目遣いもやたら淫靡でアレだがそれにプラスされて谷間が!タンクトップから谷間が!触りたい!触りたい衝動が!だっておっぱいなんだもん!だからたゆんと揺れるんじゃない!コレはもう大量破壊兵器だ!そうか、だからお前はこの寒い中ジャケットのジッパーを上まで上げないんだな!その大量破壊兵器のせいで!その大量破壊兵器のせいで!なんとけしからん大量破壊兵器だ!)


 チュパッ―――

 ん、残念。
 暫く舐めていたら直ぐにソースの味はしなくなってしまった。
 少し指の付け根に近い所も舐めてみたけどそんな所にソースが僅かでも付くはずもなく…
 残るは…さっきタケルが自分で食べていたタケル用の"やきそばぱん"の残滓!


「やっと開放されってうぉおおおっ!」

ガンッ

「痛っつ!」


 私は全速で彼の口、口内を狙ったのだけど、タケルはそれを全力で横に回避する事で避けてしまった。
 しかし彼も焦ってたんだろう、ドア側に避けて頭を強かにぶつけてしまったようだ。
 ただそこで生じた硬直は、私を前にして余りに致命的―――

 今度こそ狙いを外さない為にタケルの顔を掴んだところで…



「ほう…深夜とはいえ廊下で乳繰り合うとは、随分いい度胸だな?貴様ら」




 般若の面容を顔に張り付かせた神宮司軍曹が現われた。
 いや、突然現われたんじゃない、多分いくらか前から居たんだ。
 それにすら気付かないなんて…


 なんて迂闊―――






SHIROGANE

 さぁここで選択次第で即ティウン、恐怖のチキチキ問題レースの時間です。
 彩峰に押し倒されそうになった瞬間現われたまりも先生。
 二兎を追う白銀は一兎も得ずと言うけど君はどうするんだい?
 兎って書くと霞も居るみたいだけどどうするんだい?
 回答時間はなんとたったの3秒!
 さーんのーがー!

 はいどうぞ!


「あぁ!軍曹いいところに!助けて下さい!」


 これで「こ、これは違うんです」とか言ったら確実に死亡フラグが立つので、大人しくまりも先生に助けを求める事にした。
 俺の中では10:0(じゅーぜろ)でまりも先生派が手を上げている。
 すまん彩峰よ、ぶっちゃけお前のフラグとかどうてもいいんだ…
 敵にさえ回らなければまりも先生はやれば出来る子だから助けてくれるはず…!


「ほぉう白銀、イイトコロだったのか、それは邪魔をして悪かった」

「げ」


 悪魔の微笑で、そう仰ってくれやがりました。

 しまった、俺何か逆鱗に…触れてないよな?別に。
 となるとまさかアレか?彩峰と俺がまさかイチャついてるようにでも見えたのか?
 そして嫉妬ですか?
 あきれた。
 ごっついあきれました。
 お前どんだけ男日照りなんかと。

 じゃあ俺はこのままじゃ体育館裏に連行されてドコ中ワレのデュクシオウフですね。わかります。
 クソッこうなった場合はシロガネの経験でも打つ手なしってあるし大人しくしばかれるしか…


ドゴォッ

「ゲフッ」

「女ばかりの部隊に配属されて随分ご機嫌のようだな、いいだろう、そんなに女に興味があるなら今日は私が付き合ってやろう。泣いたり笑ったり出来なくしてやる、付いて来い」



 な、成る程。そういう事だったんですね軍曹。

 イイ感じの蹴りを入れられた俺は、襟をグイと掴まれ廊下をズルズルと引きずられていった。
 彩峰は完全にフリーズしている。
 次の冥夜珠瀬組を起こすのは30分後だから…忘れんなよ。





「本当にビックリするくらいに何もかも変えてしまうのね、白銀は…」

「いえいえそんな事は…あ、ヤキソバパンどうっすか?」


 通路を曲がってまりも先生の自室に放り込まれる形で俺は引き回しの刑から開放された。
 さっきの蹴りは足の甲で音を出すように蹴られたので実際はなんとも無い。
 あれがつま先だったら多分今頃はまだ廊下でのたうち回っているハメになっていただろう。


「……おいしいわね、貴方のオリジナル?」

「やー、"元居た世界"じゃどこにでもある食べ物なんですけどね」

「そう…ならこんな食べ物の文化すら…無くしてしまったのね…私達」

「ま、それはおいおい取り戻せばいいですよ、BETAを倒した後に」


 どうやら俺をあの場から助けてくれたらしい。
 やっぱりまりも先生はやればできる子だ。
 シロガネのヤツが頭が上がらないだけはある。
 そうだな…ここで戻るのも変だし少し時間を潰して行くのも悪くないかな。
 つってもわざわざ俺を連れてきたって事はまりも先生から何か話でもあるのか?


「ねぇ白銀」

「はい?」

「貴方が居た…BETAが居ない世界の事、教えてくれない?」


 成る程。確かに興味沸くよね。
 そんな事ならお安い御用って事で…


「俺の居た日本は経済的に豊かだったんでその余裕からか娯楽の発生の最先端でもありましたね。カラオケボックスも確か日本人の発明ですし」

「カラオケ?」

「あぁ、カラオケっていうのは…」



 そうして俺は主にこの世界で生まれる事の無かった"娯楽"についてまりも先生に話した。

 ちなみに朝部屋に帰ったら霞が俺を探してオロオロしていた。
 どうやら起こしたかったらしい。
 スマン。霞。




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