「どうぞー」
トリアーエズまりも先生には中に入ってもらった。
ちなみに公私を使い分けるというか、[訓練兵:教官]の時と[ループした存在:協力者]の時でお互い話し方を使い分けてる。
といっても俺は本来の白銀じゃないから、まりも先生以外は基本的に普段と余り変わらないけど。
ちなみにこれは[未来を知ってる人間]だけの時にのみ適用されるルールだ。
しかしもう夜もいい時間だが…
とりあえずこの部屋には椅子が一つしか無いのでそっちに座って貰い、俺は何か少しでも距離を取りたくて、靴を脱いでベッドに深く座り壁に背を預けて足を投げ出した。
投げ出した足はちょっとかっこ悪いが、まぁしょうがない。
「ねぇ、白銀?」
「はい」
「アナタ…何か悩みがるんじゃないの?」
「えっ……っとー」
あれ?何で解ったんだ?
確かに悩みは一応ある。現に今まで悩んでたし、それ以外にも俺が悩んでいる事はある。
まず第一に俺の主観記憶の消失。
つまり決戦存在を倒して戻った先の人生がここより幸せであるとは限らない。「BETAは居ませんが人間同士の戦争で絶滅しかけてこことほぼ同じでした」、では立場が良いだけオルタの中の方がいいに決まってる。
それに死への恐怖。
生とは途切れない意識の連続。ループした先の俺が今の俺の記憶を持っていたとしても、それはあくまで俺のコピーなわけで、[今ここにいる俺]はほぼ間違いなく死んだらそのまま死ぬ。つまり主観的に考えれば俺もこの世界で生きてる連中と同じく、死んだら死ぬんだ。最終的に突き詰めると寝る事すら恐怖の対象になるので普段は考えないようにしているが…
さらに言えば鑑純夏。
俺は当然鑑を愛していないし、抱くつもりも無い。しかし肉体的接触が無くとも調律が出来るとは言え、今の俺の頭をリーディングさせるのは拙い。安定してからなら制限すべきだが、初期の不安定な時期を考えるとリーディングが無い場合かなりのスケジュール遅延が考えられる。だがそんな事は香月博士は許さないだろう。そしてその状態でリーディングされたら?本当の事を話すべきか?それならいつ話す?どのタイミングで?
あと俺は白銀ほど上手くこの世界をいい方向に導けるのか?って事も。ここまでやって人類滅亡なんて笑えなさ過ぎる。
しかし導くなんてこれまた随分大層な物言いだな。
そして何より決戦存在について。
情報が全く無さ過ぎる。あの『声』のヒントは『人類側の決戦存在が現われれば[あしきゆめ]の決戦存在も現われる』という事だけ。そもそも決戦存在って何だよ?俺の事なのか?でも俺がこの世界に来てから三日目だけど新種のBETAが現われたなんて話しは…つーか[あしきゆめ]ってBETAでいいんだよな?
そういうワケで悩みは一杯あるんだけど…
外には出てないと思ってたんだがなぁ。
「…顔に出てました?」
「ううん…何となくね、そんな気がしたから」
成る程なー、流石平行分岐世界で教師をしてるだけの事はある。完敗だ。
それに今のやり取りって思いっきり[悩み持ってます]って言ってるようなもんだよな…
「悩みっつーか、なんというか…まぁあるにはあるんですけどね」
バレてしまっては仕方が無いが、だからといってそう簡単に開き直れる物じゃない。ひとつひとつがヘヴィ過ぎる。
…俺なんでこんな事してんだろ。
「…ハァ」
思わず俯いてため息の一つも出てしまう。
あ、俺仕事中にもこんな事言ってた気がする。
しかも毎日。
大体開発チームに配属された時にゃ納期二ヶ月前で残ってるのはシステムテストだけってどんだけつまんねーんだよ。
リリース後もバグ対応でテストテストテスト…
「白銀?」
「っと、あ、はい」
またトリップしてしまった。どうも"元の俺"(とでも言えばいいのか?)の記憶が突発的にフラッシュするようで…
…んでなんの話しだっけ?
「白銀アナタ…本当に大丈夫?」
「ダメですとは言えないのが、正直一番辛いところですかね…」
しまった、ボケーっとしちまったか。
でもそうなんだよなぁ、ダメとは言えないんだよ。もう俺が居なくても00ユニットくらいなら作れるだろうけど、俺が頑張れば人類側の死者も減るかもしれないし、俺が知ってる人も守れるかもしれないし。
でも死ぬの怖いしなぁ。
「…ねぇ白銀?」
「何でしょう」
「アナタが私達をどう考えているかは知らないわ。けどね、そんなに一人で抱え込まないでいいのよ?」
「ふぇ?」
そう言うとまりも先生は一度立ち上がり、椅子を180度回転させて座りなおした。
背もたれが体の前側に来たので、その上に腕を組んでアゴを乗せる。
「私は例え白銀がどんな弱い面を持っていてもアナタを軽蔑したりなんてしないわ。いいえむしろ、そんな弱さを抱えたまま戦うアナタを尊敬する」
「そんなモンなんですかね」
なんというか、お互い恐ろしくラフな姿勢なんで家庭教師と生徒の人生相談みたいなノリになってきた。
「そうよ、例えば私も昔は現役の衛士だったから、仲間は沢山失ってきたわ」
知ってる。だからまりも先生は、常に訓練兵に少しでも長く生きられるように教え込んでるんだから。
「もし人生がやりなおせて、彼らを助けられたらと思った事も一度や二度じゃない、だけどね…
次は全員助けられる保障なんて無いのよね…一人二人は助けられても、また別の仲間が死ぬかもしれない。
そして助けられなかった度にまた嘆いて、後悔して、またやり直して…
それだけじゃないわ。戻る場所が彼らと出会う前だったら、また赤の他人からスタートしなきゃいけないのよね。
そんな事を永遠と、それこそヒトの本来の一生を超えてまで続けるなんて、私には…到底できないわ」
そんなまりも先生の言葉を、ただ俺は黙って聞いていた。
そして聞きながら驚いた。
まりも先生は俺の弱さを容認を容認してくれる?
これが香月博士なら「何弱音吐いてんのよ、アンタとっくに戻れない道を歩いてんでしょ?」とか言いそうだけど。
そういやどのループでもまりも先生と腹割って話した事なんて無いんだよな。
シロガネオリジナルの奴、あぁもういいや長いからシロガネで。
そのシロガネの奴どうも完全にまりも先生を女神か何かと勘違いしてて崇拝してる所あったしな。
「白銀、アナタは世界で一番強いかもしれない。けどね…その代わり、きっとアナタは世界で一番疲れていて、世界で一番傷付いているのよ」
そうなの?
いやそうなのか。あのシロガネが精神的に寿命が来て磨り減って死ぬ位だしな。
でもそうなると…また勘違いってワケじゃないけど…そこまで戦ったのは俺じゃなくて"シロガネ"なんだよな。
「気遣って貰えるのは嬉しいんですけど何か複雑ですね」
「どうしてなの?」
「あーいや、えーと…何て言ったらいいか…あぁそうだ、俺の悩みってのはもっと個人的な事なんですよ」
しまった、口に出てたか。
あんま本当の事も言えないんだけど、できれば嘘は言いたくないな…
「俺は…死ぬのが怖いんですよ」
JINGUJI
「死ぬのが…怖い?」
ちょっと待って、彼は―――白銀は、死なないんじゃないの?
「アナタ…死なないんじゃ?」
思わずそう口にすると、彼は苦虫を噛んだような顔になってしまった。
そう言われると解ってたんだろう。
「いえ…俺は死にますよ?確かに今この世界に生きる人にとっては「ふざけるな」って感じでしょうけど…俺は死ぬんです」
「ふざけるな」、確かにそうだろう。現に彼は何度も世界を繰り返してるんだから。
でもそれなら何で死ぬ事に恐怖を覚えるのだろう。
仲間と積み上げてきた物が消えるとかそういった抽象的な概念じゃなくて、本気で怖がっているように聞えた。
「俺は死んだらそこで死にます。別の世界で今の俺の記憶を持った"白銀武"は現われるでしょうけど、それはいろんな世界の"白銀武"の記録を移植して作った寄せ集め、"別の存在"なんですよ」
色々な世界の白銀を移植して集める?
それはつまり…
「統合…と関係があるの?」
「やっぱ鋭いですね、まりも先生は」
統合、それは1つの"白銀武"から始まった無数の"白銀武"を掻き集め、また1つの"白銀武"からスタートする事。
「一本の道のりなら、迷う事なんて無かった。死んでまた生き返って…寝て起きるようなモンですからね」
でも彼の場合はそうじゃなかった。
「生きてるって事は意識の連続です。寝て起きた時、一回意識が途切れても起きた自分と寝る前の自分がほぼ同一だから、人は生を実感できる」
でも"統合"された白銀は?
「けど統合は違う。世界空間から白銀武の残骸を集めて無理矢理人間の形にした存在、それは最早俺じゃない。俺と同じように考えたとしても、俺の記憶を持っていても、それはただの劣化コピーなんですよ」
つまり彼の主観は、死ねばそれで終わる。
「そして俺には"死んだ"時の記憶もあります。仲間を守れずパラポジトロニウムの光に包まれた事も有れば、BETAに殺されたり人間に殺されたりもしました…だからより解るんです」
私達の多くは仲間の死をもって初めて命の重さを知る。
「どれだけこの世界が死に満ち溢れているか、どれだけ身近に死が存在するのか…俺は知りすぎて…しまったんです」
だけど白銀は、まさしく自分の命でそれを学んだのだ。
私の死を糧に強くなってくれたと言っても、それは人間として高度な次元の認識での話し。
"自分が死ぬ"というのは、余りに原始的で、本能的で、直球過ぎる。それも…10回や20回じゃ効かない程に…
「白銀は…本当に衛士として生きているのね。アナタが死んで次に託すその想いは、仲間に生き様を残して消えてゆく衛士その物…例え想いは残っても、生き様を語り継がれても…死にたくはないものね」
「周りみんなが死を覚悟してる中で一人ビクついてるなんて…かっこ悪い所の話しじゃないですよね」
「それは違うわ!」
「え?」
自嘲気味に呟く白銀にストップを掛ける。それは違う。絶対に違う。
「確かに口で怖いって言う人なんて少ないけど、みんな死ぬのは怖いのよ?そしてアナタは世界で誰よりも死ぬのが怖いはず」
でもそれでも
「でもそれでもアナタは……戦ってくれたじゃない」
そう言って椅子から立ち上がる。
自分でも何故そうしたのかは解らないけど、今は白銀の頭を抱き締めて上げたかった。
この臆病で傷だらけの英雄さんを。
ギシッ――
「えっ…ちょっ…」
「いいのよ?白銀。私の前なら怖かったら怖いと言っても。私には解ってるから。それでもアナタは必ず立ち上がってくれるって」
白銀の頭を抱き締めながら、頭を撫でてやりながらそう言ってあげた。
いじめで相談しにきた生徒と教師ってこんな感じなのかしら?等と思いながら。
ギシッ
――――え?私何やって…
自分が動く反動で軋んだベッドの音で"教師"に酔って自分が結構トンでもない格好をしている事に気付いた。
白銀は壁に背を付けて足を投げ出して座っている。
そして私は、膝立ちで白銀の足を跨いで白銀の頭を自分の胸に…
これはその…男女の関係としてのアレと勘違いされても仕方の無い格好なのでは?
えぇぇぇええ!でも白銀は襲ってこないわよね?こないわよね?今こんな話ししてるし。
でも白銀も一応10代の体なワケじゃない?
それに私ってば思いっきり胸押し付けちゃってるじゃないの!
これじゃ押し倒されても文句は言えないわよね…って何言ってるの私?
大丈夫よ、ここで白銀が手を出してきても、ストレートを一発入れれば後頭部を壁に打ち付けて一撃で倒せる筈。
あぁでもそれに耐えられたら私もう抵抗する手段が無いじゃない…
って軍服のスカート気付かない内に結構たくしあがってる?!
「先生…」
結論から言うと。
「ありがとうございました」
彼は指一本動かさなかった。
それこそ金縛りにあったかのように。
私を押し倒す事も、どかそうとする事すらしなかった。
ただそこに居て、そう言ってくれた。
よかった。私の言った事…無駄じゃなかったのね。
ただいくら動かないといっても胸の中で喋られると流石にお姉さんくすぐったいかなー。
「後はもうちょっと…自分の中で折り合いをつけて見ます」
「うん」
ただ今急に退くのも何か不自然だし、とりあえず頭をなでてやりながらそう答えた。
「あと恥の掻きついでにひとつお願いが…」
「何?」
「流石にどうこうする積もりは無いんですけど…まりも先生くらいの美人に胸を押し付けられ続けるのは精神衛生上ちょっと…」
「えっあっゴメンなさい!…きゃあ!」
その言葉にあわてて飛び退いた私だったが、シングルのベッドは当然横方向に飛び退くほど幅に余裕が無い。
「先生!大丈夫ですか…ぁ」
私は飛び退こうとしたままお尻から床に転げおちてしまったのだ。
そしてそんな私を見て立ち上がろうとした白銀のその…ねぇ?
「いや、先生、これはですね、生理的現象というか、あの体勢でこうならない方が男性として問題があるというか先生が魅力的だったとかいやそういう話でも無くてですね…」
「ご、ごごごゴメンなさい!」
部屋から逃げ出してしまった。
最低だ、私。
SHIROGANE
いやいやいや、アレ耐えられる男なんて居るワケないだろ。居るとしたらガチホモだろうか。
まぁ、いっか。仕方ないよね。まりも先生も大人だし時間を置けば理解してくれるさ…きっと。
「寝るか、今度こそ」
コンコン―
頼む、寝かせてくれ。
コンコン―
だが断る。
俺は部屋の電気を消すべく立ち上がり…
ガチャ…
ドアを少し開けてこちらを覗き込んだ霞と目が合ってしまった。
「あがー」
パタン
あれ?俺そんな事教えてないよね?
っていうか何しにきたの?
すまん霞、追いかけもできない俺を許しておくれ。
寝る。
10月25日(木)[四日目]
----横浜基地 グラウンド----
「鎧衣美琴訓練兵、これより訓練に復帰します!」
そう元気よく挨拶をしたのは今更説明するまでもない、鎧衣だ。
ちなみに朝飯食った後に廊下でニアミスはしたんだがスルーした。
別に出会いイベントが必要なワケじゃないしね。
フツーな出会いってのも大切だと思うワケよ?ボカァ。
あと"神宮司軍曹"は昨日の事を引きずって無い…と思う。
ただ"まりも先生"の顔の時がちょっと怖いな。
「あれー?知らない人が居るけど」
「あぁ美琴よ、そこの男だがな」
「え?御剣さん僕の事名前で呼んでくれるの?嬉しいなー」
「あぁそれはその男がな」
「そういえばさっきから気になってたんだよねー皆が名前で呼び合う事増えててさ、何々?僕も名前で呼んでいいの?」
「相変わらずだな、そなたは…」
「まぁ、ああいう娘よ」
完全においていかれた俺の肩にポンと手を置き、千鶴はそう呟いた。
まぁなんとか神宮司軍曹の助けもあって自己紹介も終わり、名前で呼ぶ話もする事が出来た。
「じゃあ僕も美琴でいいよ、よろしくタケル!」
「あぁ、よろしくな、美琴」
ちなみに美琴が来てから射撃イベントをこなしたかったので"まりも先生の時"に射撃訓練を今日までやらないでおいてもらった。
まぁあのイベント自体は普通にアリだと思うんだよな。
「成る程、一度戦術機に乗った人間の言葉は違うな」
「あぁ、あと射撃以外でもこと戦闘訓練に至っては全部に言えることだけど、せっかくだからBETA相手にするのを意識した方がいいかな」
「BETAを意識?」
「例えば戦術機でBETAに殴りかかったら確実に一発で指が全部壊れる。本当にピンチならいいんだけどさ、その後補給できる可能性があっても指潰しちゃ武器持てないだろ?」
「じゃあ接近格闘…無駄?」
「無駄じゃあないよ、日本の戦術機は接近戦が出来るよう作ってあるからな。様は長刀やナイフも使い様だって事。あとナイフは相手を掠めるように浅く切る練習がされてるとベターだ」
「浅く切っても生き物は死にませんよ?」
「いや違うんだ慧、BETAにゃ戦車級つって戦術機に噛り付く小型種が居んだよ。前線じゃそいつに噛み砕かれていく仲間を助けようとして間違って殺しちまったり、見てるだけで助けれない時がある。そんな時メインでナイフを使うんだが、慣れてれば死ぬ筈の味方を助けられるんだよ」
「おおー」
「だから正直俺はお前にかなり期待してる」
「照れるぜ」
「またまたご冗談を、嬉しい癖に」
「「ハッハッハッハッハ」」
「おしゃべりはそれはまでだ!早速白銀のアドバイスを活かして射撃してみろ!」
「「「「「「はっ!」」」」」」
あぁそうだそうだ、珠瀬のイベントもあったっけか。
俺は姿勢を低くしたまま珠瀬に近づいていく。
ターンッ…ガチャッ……ターンッ…ガチャッ
「…流石だ」
「ふぇ?!」
「あぁそのまま続けてくれ」
いや、知っていたから的に当たる事には然程驚きもしなかったが、珠瀬の集中力には驚かされた。
まるで珠瀬っていう人間そのものが銃になったみたいな、精密機械っつーの?
生きた人間をそう感じさせてさせてしまうのは余程の殺気とかオーラみたいのを放つ必要があるんだけど…
それが無いんだ。
あのコロコロと猫みたいに可愛い珠瀬から、完全に生き物としての気配が消えてる。
成る程、確かにこれは、極東最高のスナイパーってだけはある。
「いやぁ…スゲェよ。雰囲気からして今まで見た誰とも違う」
「そ、そんな事ないですよー」
「あとこれで上がり症が治ればな…」
「えっ!?えっ!?」
「何で知ってるの?って顔してるけどさっき俺が来てからちょっと精度落ちたろ、それでも常人を遥かに超えてるからあんま人に言われなかったんだろうけどさ」
「バレちゃいましたか~」
「バレちゃいました」
しかしどうやってアドバイスしたもんかな、自信を着けさせてやれりゃいいんだけど。
そういや珠瀬って自分の事はどう思ってるんだ?
「ひとつ聞きたいんだけど」
「何ですか?」
「壬姫は自分の狙撃の腕はどう思ってんの?他の人と比べて」
「うーん、狙撃は私の中では得意なんですけど…他の人と比べた事が無いですから」
どうも変だな、自信とか云々じゃなくて、争うのが嫌ってのの延長でなのか?
「比べるのは嫌いか?」
「そうじゃないんですけど…なんていうか」
「自分が相手に勝つとなんか申し訳ない気分になる?」
「…そんな感じです」
「やっぱそうか…」
どうすんだコレ。
ただの上り症よりタチ悪いぞ。
ゆとりか?争わないゆとり教育の弊害か?ってここ文部省ねーだろ。
参ったな…
「壬姫」
「はい」
「俺はお前に俺たちの背中を守って欲しいと思ってる」
「私に…ですか?」
「うん、比べた事が無いなら、比べるのが嫌でも教えてやる。お前は俺が見てきたどの衛士よりも狙撃が上手い」
「え…」
「だから他の誰でもない、世界で最高だと俺が信じてる壬姫、お前に俺と仲間達を守って欲しいんだよ」
「そんな…事…」
「今は信じられなくてもいい、だけど壬姫がしてきた訓練は壬姫を決して裏切らない。それでも自分が信じられないなら…」
「信じられないなら?」
「壬姫を信じてる俺達を信じてくれ」
「タケルさん…達を?」
「そうよ、私達を信じてくれればいいわ」
「うむ、武や榊の言う通りだ」
「みなさん…」
いつの間にか榊達が集まってきてる。
そういやシロガネんときは珠瀬と射撃の腕比べやってるのを見に来るんだっけか。
「ねぇ珠瀬、私はとても射撃じゃ貴女にかなわないし、接近戦じゃ御剣に敵わないわ。でも私は貴女を信じてるって事、それだけは胸を張って言えるわ。だから、私の胸を張って言える事を信じて欲しいの」
「我々も榊と同じだ、我らが壬姫を信じる事を信じて欲しい」
「冥夜さん…みんな…あ、ありがとうございますっ!ミキ、207のみんなを信じます!」
(よかった…それにしても榊達良いタイミングで助けてくれたな。やっぱりお前らは、最高だ)
「「で」」
「…で?」
「白銀、貴方の腕はどうなの?」
「武、そなたの腕はどうなのだ?」
前言撤回。お前らやっぱそれを言いに着たのか。
とりあえず目立ち過ぎない程度にそれなりに撃っておいた。
同日1230
----PX----
「あぁそうだ、みんなに話しとく事があるんだった」
そう、これはなるべく早めに片付けないと。
遅いとそれこそ手遅れになる。
俺の真面目な雰囲気に、食事をしていた皆の手が止まり静まり返った。
「総合戦闘技術評価演習だけどな、多分前倒しになる」
「なんですって?」
「それはまことか?」
「…嘘?」
「ホントですか?タケルさん」
「僕退院したの今朝なんだけどな~」
口々に帰ってくる反応。
たしかに現状のまま演習に突っ込んだら、それこそ受からない確立が高いってみんな薄々解ってるんだろう。
でもそれは早まらなくても同じ事だ。じゃあ俺がなんとかしてやんないと。
「みんなの言いたいことも判るがちょっと聞いてくれ。まず第一にな、もう時間が無いんだよ、人類。ハイヴを抱え込む日本じゃ特に消耗が激し過ぎて、今のペースじゃ衛士の補充が間に合わないんだ。だから新戦術機の衛士育成カリュキュラムのテストも兼ねて、207Bのカリキュラムも変更になる可能性が高いって話を香月博士から昨日聞いたんだが…」
「それは…そうだけど」
「ちなみに前回の演習の検討会とかは…したんだよな?当然」
軍に関わるイベント事、特に演習等では検討会は[当然するもの]だ。
個人レベルの反省じゃ、チームとしての成果は決して改善されないのだから。
そしてそれを怠る事は、また同じミスを招く事に繋がる。
例え好成績を残したとしても、よりリスクを減らして同じ成績を取る事を目指したり、より高得点を狙うのは当然。
他の何物でもない、自分と仲間の命が掛かっているのだから。
「それは…」
「まさかして無いのか?」
「「「「「………」」」」」
皆鎮痛な面持ちをしてる。
本人達もわかってるんだろうな、やらなきゃいけないって事くらいは…
でもやらなきゃいけないなんて生易しい事を言ってる時点でおかしいんだ。やるんだよ。それが当然。
メシを食ったらトイレに行くのと同じ、演習を行ったら、それを何がなんでも血肉にしなきゃいけない。特に訓練生は。
だけど今更前回の演習を血肉にするもないだろう。
だから俺は、また一つ、コイツ等を騙す。
「よしっ、じゃあ今からやろう」
「えっ今から?今昼食よ?」
「じゃあそうやって演習日まで後回しにすんのか?」
「そうじゃなくて、夜にやるとか…」
「すまん。千鶴には悪いが後でやるとかは信じられない」
「「なっ?」」
「「えっ?」」
「…」
「うん、みんなにも悪いけどこの点についてはこれっぽっちも信じられない。だってありえねぇもん衛士になれるかどうかの演習に落ちて検討会してねぇとか。そんで半年もやらずに放置してて、せっかく今キッカケが出来たのに流すようなヤツを信じろっていうのか?できないだろ常識的に考えて。お前なら信じられんの?」
「常識的に考えて」には特に念を込めて言ってやった。
とりあえず「自分達は他と比べて異常」と気付いてもらわないと話にならない。
「昨日今日来た貴方が…随分解ったような口を利くじゃない…!」
榊や皆の視線が冷たいが、そんな事は気にもならない、どうでもいい。
「おいおい分隊長、本気か?食ったメシの栄養分がまだ頭に回ってないのか?新規隊員の俺が解らないから検討会するんだろ?それとも何か?俺に演習当日になって「この隊にこんな欠点があるなんて知らなかった」なんて言わせるつもりか?俺が間違った事を言って無いのは頭の良いお前なら解ってるんだろ?」
そう、屁でもない。コイツ等の生存率が上がるならば。コイツ等が衛士に成れるならばそんな事は苦痛でも何でも無い。
それに現時点で俺は間違った事を言ってない。
「…くっ」
「今やるべきだ。他の場所でも、他の時間でもない、今、ここで。…お前等の本気で衛士になりたいって気持ちだけは俺は一点も疑ってない。そうだろ?千鶴。お前は衛士になりたいんだよな?」
「「「「………」」」」
「…なりたいんじゃない、なるわ。私は衛士になる」
そこまで言える程芯が強いのに、何でコイツ等は…、いや人の事は言えないか。
俺だっていくらループ経験を継いでるつっても首相の息子として生まれたり征夷大将軍の双子で生まれた事なんざねーしな。
「なら聞かせてくれ、皆が何を見て、何を考えて、何をしたのか」
「そんなに難しい事じゃないわよ……チームをまとめられない無能な分隊長と指示に従わない部下、見切りをつけて独断した部下……主にこれが理由」
俺が突然暴言を吐き出してヤケになったのか、それともそれだけ根が深いのか。
榊の口からでた言葉は、やっぱり"アレ"だった。
「ちづ…るさん……」
「ど、どうしてそんなことわざわざ言い出すの?」
「……違うね。最後はあんたの指示に従って地雷原の餌食になったんだ……」
「慧さんまで?!」
「……美琴は迂回すべきだと言っていた。美琴の勘が尊重されるべきことは事前に了解済みだと思っていたのだがな……」
「冥夜さんっ!」
「お前等…」
思わず盛大にタメ息をついてしまった。
これが検討会か?そうだよな?さっきそう言ってたし。
まぁこれ以上の暴言は例え焚き付けるのが目的でも拙いだろう。
「何、白銀?何か意見でもあるの?」
逆ギレかよ…榊もこんなガキじゃない筈なんだが…
ソレだけ追い詰められてるんだろうな。他の連中も。
「あぁ、今ので大体解った」
全員「何が?」という顔をしてこっちを見てる。
そりゃそうだろう、今のやりとりを見てる限り、「あぁこのチーム仲が悪いんだな」以外の感想は普通出てこない。
「…何が?」
「だから大体だよ慧。そうだな…演習に落ちた最大原因と具体的な改善案って所かな?」
「…武…それは本気で言っているのか?」
まぁたったコレだけでそこまで解ったつっても信じられるワケないが…
「あぁ本気だよ冥夜。まぁとりあえず結論から言うとだな…」
でたー!「とりあえず結論から入りたがる」中二病デター!
「ぶっちゃけこのまま演習やっても絶対に受からん、最初から"受からないようになってる"演習だからな」
「…そなた今何と言った?」
俺の言葉を聴いた瞬間、皆の顔が引きつる。
「だからこのままじゃ絶対に受からない。受けるのが例えお前等じゃなくてもな」
「受からないって…受からないようになってるってどういうことよ!何で貴方がそんな事断言できるの?!」
千鶴のその一言は最もだが、お前等は肝心な事を忘れてる。
「そりゃお前等が全員帝国の要人の娘だからだ」
「「「「「――――ッ!?」」」」」
考えたく無かったのか、それともそこまで考えが回らなかったか。
回らなかったとしても責められるもんじゃないな、コイツ等は周りを押し切って、ようやくここまで来れたんだから。
でも人生にスタッフロールなんて流れないように、国連軍に入ったからっつってそこがゴールになるワケじゃない。
「帝国側から確実に圧力が掛かってる。"奴ら"もお前等を衛士にさせて殺させる為に国連に放り込んだんじゃないんだしな」
そう、207B分隊は言うなれば帝国が差し出した人質だ。
オルタネイティブ4を握る香月博士との関係を維持する為の…
その位は、うすうす皆も気付いてるんだろう。
「お前等の力が足りないから合格出来ないんじゃない。合格出来ない演習を最初から組んであるから、結果合格できないんだよ。原因と結果が逆なんだ。だからいくら話し合っても解決出来ない」
だから万が一こちらが合格としたとしても、任官される事は永遠に無い。
それこそオルタネイティブ5が発動するか、クーデターが起こりでもしない限りは。
「そん…な」
誰ともなく、そう呟く声が聞こえた。
「お前らの個人能力も"奴ら"に報告書で上ってんだろうな、そっから合格出来ないような無理な難題を基地司令経由で流して来るんだろう」
「じゃあ…ミキ達が今までして来た事って…全部…」
無駄だったの?なんて言わせないぜ。
お前等の歩いて来た道は確かに遠回りだけど、決して無駄じゃないからな。
「…だから俺達は"奴ら"の計算を、少しズラしてやればいい」
「えっ?」
「報告書として上ってるのは数値化された個人のデータだけ。まぁ教官の所感でチームワークに不備あり、とかも言われてるだろうな」
「くっ…」
「………」
「お前等の部屋だけが特例で個室なのも、特別待遇にさせた上でチームワーク作りの足かせになるようにと考えられての物だろうしな。全く"奴ら"も良く考えたもんだよ」
「個室が特別扱いなのは気付いてはいたが…まさか…そんな裏があったとは…」
「じゃあ俺達はどうすればいい?簡単だよ、書類に出てる数値以上の力を出せばいいんだ。"奴ら"の意表を突けばいい。早い話が…チームワークって奴でな」
「チームワーク…」
仲間を大切にしろ、仲間を守れ、チームワークが必要だ、そんな事はきっと神宮司軍曹から散々言われて来たんだろう。
でも実践で仲間を失ってない207Bの連中はイマイチ軍曹の言葉に共感できなかった。必要だと思えなかった。
なら、コイツ等に解り易い形で教えてやればいいんだ。
「逆に言えばそれが無けりゃ何がどうひっくり返っても絶対に合格しない。何度も言うが"奴ら"は演習を"絶対に合格しないように出来てる演習"にしてるんだからな」
「「「「…………」」」」
皆の表情が陰る。
無理も無いよな、じゃあ今からチームワーク作りましょ、なんて上手くいくわけが無い。
一年近く今までダメだったんだから。
「…そこまで言うからには、いや先ほども言っていたか。何か策があるのだな?」
「ある」
「あるの?そんな魔法みたいな事が?」
「要は"奴ら"がやった措置の逆をやればいいんだよ。つまり」
「「「「「つまり?」」」」」
「今日から全員同じ部屋で生活するんだ」
「「「「「えーっ!?」」」」」
自分で言ってて思った。
…それなんてエロゲ?
MEIYA
「今日から全員同じ部屋で生活するんだ」
「「「「「えーっ!?」」」」」
武、そなたの言い分も理解できる。いや、寧ろ目が開いたかのうよな感銘を受けた。
その発想は無かった。
我等の誰一人として、そこまで視野を広げて考えられた事などありはしないのだから。
だが武よ、いくらなんでもそれはあまりにもアレではないだろか…
「…同棲?」
「えっ?えっ?どどど同棲ですか?」
慧よ、そなたはちょっと待て。
「僕エプロンと包丁よりナイフ一本で外がいいなぁ」
「ちょっと!何でそうなるのよ!」
鎧衣はもっと待て。
何故エプロンとかそういう話が…いや決して私の料理スキルが低いとかそういう話では無くてだな。
いやいやそんな事より武の提案に付いてだ。確かに効果的であるようにも思えるが…
「武?誰も納得していないようだが、もしそなたがそれなりの考えを持って発言をしたのなら、きちんと説明すべきではないか?」
「あぁ、ちょっと結論を急ぎすぎたな。つまり…」
武の言う所によると、1からチームワークを作る時間が無いこと、また総合演習まで間もないことから、今日から「常時演習」として生活しよう、という事らしい。
つまり場所が基地であるだけで、24時間サバイバル演習として生活するのだ。
寝る場合も必ず2人歩哨として起き、寝るメンバーは当然寝袋で床で寝る。その他食事も移動も、何もかも「任務」として扱う。という事だった。
「まぁ[演習ごっこ]みたいなもんだな。常に誰かに襲われる可能性がある、そんな感じで考えてくれればいいよ」
と、本人はそんな事を言っているが…いくら寝袋とは言え、同じ場所で寝るというのは…
「それともお前等演習当日になって傍で俺が寝てるせいで寝不足になったりしていいのか?」
そう言われれば引き下がるワケにもゆくまい。
また彩峰が「白銀、大胆」等と発言してひと悶着あったが、どの道このままでは演習突破は難しいという事で、変な言葉だが全会一致でしぶしぶと可決された。
その後武が千鶴に何かゴニョゴニョと耳打ちをしていたが、何かまた新しい策でも考えたのだろう。
聞いた千鶴が頭を抱えていたのは少し気になるが…
「じゃあ俺午後はまたちょっと香月博士の所で準備があるからそっちに行くよ」
ふむ、また新戦術機の手伝いか。しかし準備ということは稼動が近いという事か?
全く、多忙というか仕事が速いというか…
「ま、待ちなさい白銀」
「「「「?」」」」
全員が発言者を振り向く。千鶴だ。
そうであった。まだ我等は彼に礼のひとつも…
「あぁそうだった、俺が言い出した事なのにな…。榊分隊長、副司令付きの任務に出る許可が欲しい。終了予定時刻は1900だ」
「許可します。ならランデブーポイントは1920に今と同じくここ。私達は先に場所を確保して待ってるから」
「了解した分隊長、行ってきます」「えぇ、行ってらっしゃい」
そう言ってビシッと敬礼を交わし、歩き去る白銀。
…何が起きた?
恐らく千鶴以外誰も理解できていないだろう。
「千鶴…今の武とそなたのやり取りは?」
なので皆を代表して私が聞いてみる事にした。
「さっき[これからはずっと演習のつもりで]って言ったでしょう?だから白銀は分隊長である私に別行動の内容を報告して許可を求め、私が受諾したのよ」
分隊長である自分が今の武の直属の上官って事になるからね…か、どうせならば部隊発足時に分隊長に立候補すれば…いや、何でもない。何でもないぞ。
しかし、まさか武がそこまで考えていたとは…
「分隊長、私も単独行動の許可が欲しい。5分、いや3分でいい」
よし、私も申請はした。後はホラ、その、あれだ。事後承諾というヤツだ。
そう言い残し私は武の後を追ってPSを出る。
「え?み、御剣が?えぇと、単独行動は基本的には許可できないから、トイレだったら珠瀬とエレメンツを組んで…」
「榊榊」
「何?」
「もう居ない」
「はう~」
「いやー、世界を狙えるスタートダッシュだったねぇ~」
「私、貴女の事は信じて頼りにしてたのに…」
そう呟いた榊分隊長の言葉は冥夜に届くこと無く、PXの喧騒の中に消えていった。
PXを出て最初の曲がり角を曲がった所で、武の背中を確認出来た。
「武!」
少々距離は離れていたが、此方の声が聞こえたのか、立ち止まって振り向いてくれた。
「…どうしたんだ?冥夜」
――――?
その時の武の表情に、私は違和感を覚えた。
どこか寂しげで、すまなそうな、気まずそうな、今にも消えてしまいそうなその表情に。
何故そなたがそのような顔をするのだ?
そなたはまた一つ我々の壁を破壊し、一つの目標に向かって歩く道を示してくれたではないか。
いや道を示してくれただけではない、その道を舗装した上に案内板まで付けてくれたと言うのに。
「武、そなたに言っておきたい事があったのだ」
そうだ、まずは礼を言わないと。
今言わねば駄目だと思い私は、榊に許可まで求めて此処まで走って来たのだから。
――――だから何故、その様な辛そうな顔をするのだ。
「たけ「解ってる」…え?」
どうしたと言うのだ?
武が私の話を遮る等、出会ってから三日間一度たりとも無かったと言うのに。
やはり今の武は何処か変だ。
「やっぱ冥夜には気付かれちまったか…。
解ってる。俺は…真実だけを並べて…アイツ等を騙したんだ」
―――何を
「居もしない特定の"奴ら"なんて言葉で共通の敵を意識させて」
―――言って
「個人個人の背景を無視して、共同生活なんて話を最初に持ってきて混乱してる内に無理矢理一つに纏めて」
―――いるのだ?
「コレじゃ殆ど洗脳だ…最低なのは解ってる。けど…これしか浮かばなかった。これしか出来なかった。今の…俺には」
「武…」
「お前には…その内ちゃんと話すよ…話せる範囲になっちゃうけど。じゃ俺…行くわ」
そう言って走り出した武は、今度こそ振り返る事無く、通路の先へと消えてしまった。
私は追う事も、声を掛ける事もできなかった。
我らを…騙す?聞いていて嘘は言って無いと感じたが…
事実だけ並べて騙したと言うなら、嘘を言ったのではなく、言わないで隠した事がある?
いや、確かに今になって振り返れば、我ら全員を"帝国の要人の娘"と言っていたが、武は207B全員の背景を知っている?
"個人個人の背景"とはその事か?我らを取り巻く環境がそれぞれ違うのに、それを"奴ら"とまるで一つの存在のように話したのも…
そもそも武は、何故私に話こんな話をしたのだ?
黙って居れば私も恐らく気付かなかったと思うが…
『やっぱ冥夜には気付かれちまったか…。』
いや、武は私が気付いたと思ったのだ。
だから話した。
つまり…
武が私にだけ弱さを見せている?
「ふっ、馬鹿な、あの者は強い」
そう、強い筈だ。現役の衛士なのだから。
しかし私が衛士になったら、弱さと言えるものを即座に全て切り落とせる物なのだろうか。
――――わからない。
私は頭を捻りながら、元来た道をPXへ向けて歩き始めた。
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歌アリストーリーを家に帰る途中考えてみた。
どうせ歌を使うんだから全面的に押し出したいよな。
もう「歌で勝っちゃいました」くらいの…
となるとBETAに歌が有効って設定にして…
人間を生物と認めていないから、生物だけが持つ文化を見せるってのはどうだろう。
でも建築物とか壊されてるから美術品はダメなんだよな…
そこで歌の登場ですよ!
よし、オルタネイティブ3で一人生き残りを追加で作ろう、設定上。
で、その少女(この時点で少女に大決定)はBETAに殺されそうになる瞬間、神への祈りの歌を歌うんだよ。
神様へ届くように無差別にプロジェクション能力を開放して。
そしたら少女が乗ってる複座型戦術機の周りだけBETAからの攻撃が止まって、援軍が来て殲滅、脱出。
少女はBETAに襲われたショックで廃人、病院行き。
いや、やめよう。
その時の生き残りが霞だ。
で、霞はもうBETAに対してトラウマを持ってて、それを何とかして(恋愛原子核に頼って)武と戦術機に乗る。
で、ピンチになって武を励ます為に歌うんだよ、武に教えてもらった歌を。
そしたらBETA止まる。武殺す。キタコレ!ヤックデカルチャー!
うはwwwテラチートwww
んで味方からは「何だ…歌声が…聞える?」「バカな、通信チャンネルは閉じているはず…」みたいな声が聞えてきちゃったりして。
サーセンプロジェクションだから暗号通信とか全く関係ありませんwwwみたいな。
あと00ユニットの応用で戦術機にプロジェクション能力の拡声器みたいな機能をつけよう。
じゃあじゃあその戦術機と霞を「直結」するためになんか霞にジョイントを差し込む設定にしよう。
エロイから背中か腰で!
そう、アルトリネコとかあんなかんじ!
「タケルさんに差し込んで欲しいんです」ってそれなんてエロゲ?それなんてエロゲ?
「うっ…あぁ!うくぁっ…ああっ」「ごめん、痛かったか?」「いいんです、また次もタケルさんにお(ry」
よし、その設定大採用。
ってどんだけ俺霞好きなのwwww同じ設定なら純夏でもいいじゃんwwwwwww
でも霞以外ねーよwwwwwwww俺の嫁だもんwwwwwwwwwwww
純夏はアレだ、「ぜろぜろゆにっと」ってアイドルユニット組めばいいじゃん。ソロで。(それユニットじゃないよね)
悠陽はホラ、ラクス様光臨だよ。
「ほーしのー降る場所でー」「うおぉぉぉ悠陽様ぁぁぁぁああ!」みたいな。アホスwwwwwwwww
んでそうだな、最終話一歩手前のサブタイトルは「愛覚えてますか?」、最終話は「天使のラブソング」。
これしかない!いい感じに中二病臭くて最高!映画化決定!
何してんだろうね………もう俺人としてだめかもしれんね。
あ、一つ前の話をいじって夜あのメンバーでXM3の慣熟をした事にしました。サーセン。
白銀→冥夜
過剰評価 言わなくてもいい事まで言っちゃう
冥夜→白銀
そんな白銀に戸惑う。
私にだけ教えてくれるってことはフラグ?と勘違いしそうな時がある。
あと榊との会話で出てきたけど例え本人が居なくても「武と千鶴」みたいに口に出して話す時にも武が一番最初に来る。