----白銀宅----
「正直に吐きなさい、アンタ…何者?」
まさか行き成り銃を向けられるとは…その発想はなかった。
…ゴメン嘘、ちょっぴりありえるかなとは思ってた。
守衛に封筒を預けてから荒廃した自宅に戻り、リビングでひたすら待っていたのだが、
顔を合わせて2秒で銃を向けられるケースは可能性としては低く見ていたんだ。
「!」
ジャッ ジャキンッ カチンッ
恐らく何ら事前説明を受けていなかっただろう同伴の神宮司軍曹、伊隅大尉、月詠中尉は一瞬驚きの表情を浮かべた直後、
即座に俺を敵性と認め、今合計4丁の銃口が照準を俺に合わせている。
撃鉄を起こす音がこんなに怖いとは知らなかった。
…正直生きた心地がしない。
この世界の最も敵に回したくない女上位4人が全員揃ってこっちに敵意を向けてるっていうのは中々にシュールだ。
まるでグラウンドゼロってか。出来れば半径500km以内に居たくないねぇ。
とりあえず目標の半分は既に達成できたので後はもう思い切るしかないだろう。
さて、俺は役者になりきれるだろうか?
「まず御足労頂き感謝します、香月副司令、伊隅大尉、斯衛中尉殿、神宮司軍曹。自分は、白銀武と申します」
とりあえず挨拶をして深々と頭を下げる。もちろん腰は90度。
不敵な笑みを浮かべてちょっと首を傾げただけで済ませた場合即座に引き金を引きそうな人がいるし。
どっかの副司令とかあとどっかの博士とか。それとどっかの物理教師とか。
鎧衣の親父さんみたいな態度を取ったら確実に殺されるんじゃなかろうか。
完全に下を向いているので顔は見えないが相手全員が反応に困ってるのが解る。
言うか迷ったが「以後お見知りおきを」なんて言わなくて良かった。
多分俺の事をテロリストかどこかの組織の人間だと思い込んでただろうからまさか思い切り頭を下げられるのは想定外だったんだろう。
けどまだ顔を上げちゃダメだ。俺としては今回の接触で俺の事を信じて貰わないと速攻で詰んでしまう。
あ、下向いて気付いたけど俺以外全員土足だ。まぁ廃墟化してるからしょうがないか。
主観的に言えば俺ん家でもねーし。
コッ…コッ…コッ…
ゴリッ
痛い。
「で、だからアンタ何なのよ?あの紙の続きは?どこの天才さんが考えたのよッ?!」
頭頂部に感じるこの嫌に重厚な感触は…銃口だろうなぁやっぱり。じゅうこうなだけに。
この距離だと確実に指先一つで脳漿をブチ撒ける事になる。斗貴子さんもビックリだ。
それはイヤだ。
そんでもって多分かなり怒ってる。
まぁ先に数式送りつけるのは今回が初だしなぁ…
数式入手の可能性の喜びよりも自分以外がそこに行き着いた事に怒ってるのかな?
となると他人にじゃなくて先を越された自分に怒ってるのか。
相変わらずというか…だからこそ尊敬できるんだけど。
相手は香月博士、最低限の単語で短く言えば理解してくれる…だろう、多分。
「自分は元・因果導体です。数式の続きは約束通りすぐそこのテーブルの上に置いてあります。そしてその数式に辿り着いたのは…」
数式の場所を話した時点で銃口が俺から離れ、テーブルに向かう気配。
重要なのは、切り出すタイミング。目を瞑って…耳を澄ます。
かさ…
「辿り着いたのは別の確率世界の香月博士です」
「なっ…」
あー驚いてる驚いてる。まぁ精神的な隙を狙ったんだけど思ったより切羽詰ってるのかな、俺に驚かされるなんて。
というか残りの3人が放置喰らってるけどやっぱ今動いたら撃たれるよなぁ、俺。
「これ…は…そうゆうこと、見つけたのね…私…」
まぁ他じゃ誰も到達できないだろ。
スピンの回転の複素数平面上にある虚数軸方向の不定空間積分式を5次元平方根した波動関数なんて。
暗記こそできてるが、それ以上は記号の意味が解らなかった。
このゆとり時代にスピンの回転と積分記号の∫を理解できただけで褒めてくれ。
「はい」
数字は嘘を付かない、その数式が求めていたものかどうかは香月博士が一番解るだろう。
けどまだ頭を上げない。上げろと言われるまで上げないほうがいい筈だ。
"俺はあくまで貴女より下です"とアピールしないと。
「アンタは"シロガネタケル"なのね?」
「はい」
「証拠は?」
「自分は、"鑑純夏"の幼馴染です。純夏に呼ばれて平行世界を渡りました。純夏の存在はこの世界で香月博士と社霞しか知らない筈です。付け加えるならこれから発生する事象も知っていますので、お時間を頂ければ予知と的中と言う形で証明できます」
そして降りる沈黙。
おそらく彼女は今物凄い速さで考えている。
数式の正当性を計算して勘定し、俺の話の中の単語から事実を述べているか、また発言の中に自分しか知らない情報が含まれていないか…
5分ほど経っただろうか、1分かもしれない。
「頭を上げなさい」
「はっ」
何分か振りに見た博士の顔は…随分謙が取れているようだ。
よかった…って顔に出したら失望されるんだろうな、ほっぺたの内側を噛んで無表情、無表情。
痛ぇ、畜生。
「今回で何回目なの?」
「恐らく最低で301回目です」
実際は途中でバタバタ死んだ分を含めると多分1000回を超えてるんだろうけど、正直記憶があやふや過ぎる。
「随分具体的な数字の割りにハッキリ言い切らないのね」
やっぱそう来るよなぁ博士なら。
「前回のループで"あ号標的"の終身累積撃破数が300になったためです。他途中で死んだ分を含め記憶が風化しているため、正確な数はわかりません」
「へぇ…」
眉が上る。オリジナルハイヴの攻略数が300って事は、俺を信じた場合人類が生き残る確立がそれなりに高いって事だ。
つまりオルタネイティヴ4は発動できるし、この戦況をひっくり返せる。
「でも途中で死んだ分の記憶だけ風化したワケないわよね、その300回の出来事は全部覚てんの?」
「いえ、覚えていません。300というのは今回のループで目が覚める前に声が聞こえて…おそらく"世界"からそう言われました。ただそういった事は今回が始めてなので、正確な所は解りません」
「そう…」
絡み合う視線。再び落ちる沈黙。
「副司令、お話中申し訳ありません」
「何?伊隅」
沈黙が30秒も続いたあたりで今まで黙っていた伊隅大尉が口を開いた。
銃はまだ俺を狙っている。
「今のお話にあった"あ号標的"とは、オリジナルハイヴ反応炉の事ですか?」
オリジナルハイヴの反応炉に付けた名前はそれほど機密レベルの高いものじゃないので俺が知っていてもそれほど気にはならなかっただろうが、300回撃破したと口にし、あまつさえ博士がそれに不信を抱く素振りを見せなかったので口にせずにはいられなかったんだろう。
「そうよ」
「なっ…それは…ですが」
本当ならば「お言葉ですが副司令、妄想狂に付き合ってる暇はないのでは?」とでも言いたかったのだろう。
というか顔に書いてある。
でも立場的に抗議できるワケないよなぁ、想いっきり博士の私兵だし。
月詠中尉も神宮司軍曹もバリバリの疑いの目を向けてる。
ガンパレードマーチのゲームだったら視線ビームで俺は火達磨になってるだろう。
「そうね。伊隅には、いえ私以外の人間にとっては馬鹿の妄想に聞こえるかもしれないけどね、でも私には信じる根拠があるのよ」
残念ながらね、あと銃を下ろしなさい、と付け加えた博士の言葉に流石に驚愕の色を隠せない3人。
「で、なんで態々私だけじゃなくてこのメンバーなワケ?もちろん説明してもらえるのよね」
さらに三人の顔が強張る、香月副司令を含めた自分達4人をここに呼びつけたのは目の前にいる男なのだ。
確かに俺がここで第四計画の事をポロっと話しちゃダメなんだろう。
本来伊隅大尉ですら知らないような機密が末に今までの会話でボロボロ出ている。
ここまで話した以上、そしてこれから話す内容を考えると俺の目的は先に話しておかないと。
「まず、大前提として必要だからお呼びしました。理由は…自分、いや自分達の敵はBETAだけじゃ無かったからです。早期に横浜国連軍と帝国軍に協力体制を作れないと米国の邪魔が入ります。自分は前回、全てのハイヴを破壊した直後にG弾派による破壊工作により死亡してしまったので…で、手っ取り早く信頼できる人と…早い話がグルになって貰えないかなと。自分の話を聞いて乗ってもらえた場合、ある意味"人間やめる"事になりますから。そういう意味では香月博士には毎回人間やめて貰ってはいるのですが…」
「面白い事言うわね、まぁ私はアンタの言う意味じゃ元々人間やめてるけど?つまりこの場にいる3人にもオルタネイティブ4の全容を話すって事ね。どういう意味か解ってんの?」
ある程度予想してたんだろう、精神的な再構築が恐ろしく早い。くすくすと笑みすら浮かべてる所は流石だ。
しかし幾らなんでも信じすぎじゃないか。霞が外で待機してイヤホンか何かで連絡取ってるのか?
「えぇそうなります、話すのはこれが初めてでもありませんし。ですのでこれから自分の正体、自分の知っている事、自分の目的をお話したいと思っていますが、幾つか条件というかその…お願いがあるんです」
「言ってみなさい」
「まず自分の話を聞くか聞かないか、皆さんの意思で選んで欲しいんです。これから自分はオルタネイティブ4と5、そしてこれから起こる事象をお話します。そして自分の話がどの程度信じられるかは…香月博士が保障してもらえると思います。これから起こる事象については、小さい規模なら発生する事で後から確認が取れます。その代わり、未来を知った以上未来を変えるために協力して下さい。そしてそれは…"この世界の人間"を辞める事になります。大げさに言うと"神の視点"を得ることになるので。あと一度聞くと決めたら自分がどんな内容を話しても最後まで…聞いてください」
「だそうよ?こればかりは個人の意思で言いなさい。もちろん私は聞くわ」
そう言って後ろの3人に振るが…軽々と付いていける話ではないだろう。
第四計画、オルタネイティブ計画の名前こそ聞いたことはあるがその詳細などこの3人が知る筈も無いのだ。
それを目の前の不審者は知ってると言い、副司令がこれほど言うのならばもしかしたら本当にオルタネイティブの詳細が出てくるかもしれない。
自分はその重さに耐えられるのか?知る事の重さに。
特に月詠中尉の心境は複雑な筈だ、そもそも博士の事を人間的には信用していないのだから。
それにもし本当に第四の詳細等が出て香月博士が認めた場合、
個人的な重圧としての云々より職務意識上知った知識のやり場に頭を痛める事に成るのは明白だ。
「自分は副司令を信じています。副司令が聞くのならば、自分も聞きます」
「自分も軍曹と同じです」
「………」
「斯衛中尉殿?」
「…何だ」
急かしてると思ったのだろう月詠が声を荒げる。
このまま硬直してしまっても話が進まないため、一つ揺さ振りを掛けてみる事にした。
「お名前でお呼びしてもよろしいでしょうか?」
一瞬明らかに「(゚Д゚)ハァ?何言ってんだコイツ?」という顔をしていたが次の瞬間には合点が言ったといった表情に変わり、
「先ほどから私にだけ名前で声を掛けなかったのはそういう事か、また妙な所で…」
「いえ、"前に"いきなり月詠中尉とお呼びして半殺しにされた事があるので…」
「くっ…貴様…いいだろう、聞いてやる」
勝った。月詠中尉に俺は初戦で勝ったぞ!
熟慮した結果というか勢い感があったがまぁきっとイロイロ考えたんだろう、月詠さんだし。
「それでは、始めます」
そして話した。
>まずBETAの居ない世界に生まれた事。
「そんな天国みたいな世界があるワケ?想像も出来ないわね」
「此処と比べれば天国かもしませんが相変わらず人間同士で戦争してますし餓死者もいっぱい居ますよ。汚職とかも多いですし腐ってはいますね」
>この世界の横浜ハイヴで死んだ"もともとこの世界に居た"白銀の事。
「そう、それで鑑はアンタを…」
「俺が誇れる数少ない物の一つです。女守って素手で兵士級に殴りかかるなんて今の俺じゃやれないですしね」
>207分隊に入っての総合演習。
「それじゃああの子達受かったの?」
「えぇ、神宮司軍曹。俺が足を引っ張りすぎてそれぞれの立場所じゃ無くなったみたいで。ホントいいチームですよ。アイツ等は」
>紫の武御雷が搬入された事。
「貴様…」
「御剣訓練兵は現状では帝国からの圧力もあり、総合演習に合格する事すら誰も考えて居ない筈です。今後合格した上で、誰も殿下にお伺いを立てないまま紫の武御雷が搬入されれば、俺が未来を知っているっていう証拠の一つになるでしょう」
>そしてあのクリスマス。
「早い話、先ほどお渡しした式に辿り着けなかったのが原因ですね」
「…そう」
>10万人だけ逃げ出して、後はBETAに殺られるか、G弾で汚染された地に果てるか。
「そんな…一部の人だけで逃げ出すなんて…」
「でも神宮司軍曹、この宇宙にはオリジナルハイヴクラスの反応炉が10の37乗、つまり100億掛ける100億掛ける100億掛ける100万体存在するんですよ。人間が住める星がそもそもあるのか、あったとして辿り着けるのか、辿り着いた先でBETAに襲われないか、その途中では?資源も入手できない、部品も作れない閉鎖空間でそんな長旅…そもそも成功する可能性なんて最初から全然無いんです」
「よくよく考えれば、まだ地球に残ってG弾に賭けた方がマシかもね?まりも」
そして、歴史を変えようとした2週目。
>噴火前の住民強制退去、及びクーデターについて。
「まさか人類絶滅間際にクーデターなんてね、そんな事するバカ本当にいるのかしら?」
「人類の危機だからこそ、自分の正義に酔った恐るべき莫迦が出てくるんですよ。その内鎧衣課長から前兆を知らせる連絡が着ます。まぁもっと早く手を打つ算段ですが…月詠中尉が反論しないのも、理由を聞いたら”ありえない話じゃない”って思ったからじゃないですか?」
「殿下と冥夜様のやり取りをそこまで細かく言われればな…それにクーデターを行った者達の気持ちは…わからんでもない。手助けする気は無論無いがな。そういう意味では、逆説的にことクーデターに関する貴様の考えには賛同できん」
>数式の回収について。
「つまり最終的には夕呼先生が考え出したんですよ」
「夕呼先生?」
「あぁ、最初にお話しましたが自分の元居た世界じゃ物理の先生だったので」
>新OS、XM3の概念と実績、及びお披露目の演習について。
「死んだの…私が?」
「そうです。そしてその原因はBETA開放を命じた人でも、討ち漏らした衛士でもありません。歴史を変えた俺です」
「…続けて」
>00ユニットの完成、調律。
「アナタの幼馴染が?」
「えぇ、伊隅大尉。そして鑑が自分を呼んだから、自分はこの世界に来れたんです」
「連れてこられた、とは言わないのね」
「感謝すらしてましたから」
>佐渡島ハイヴ攻略について。
「そうか…、貴様にアイツの事まで話していたのか…」
「えぇ、ですが…ヴァルキリーズの長として立派…な最後でした。それだけは自分も確信してます」
「そうか…」
>BETA横浜基地襲撃について
「帰巣本能ね…佐渡島を叩いたからって…ド忘れしてる自分を殺してあげたいわ」
「壊滅的打撃で済んでよかったですよ、お披露目の時のBETA襲撃が無かったら壊滅的所か壊滅して横浜ハイヴが復活してましたからね」
>00ユニットの運用上の欠点、反応炉の機能とその破壊について。
「じゃあ反応炉を破壊した時点で…」
「A-01に元から居た方は全て戦死ないし入院で戦線を離れる事になります…それでも、自分達は最後まで伊隅ヴァルキリーズでした」
「喜んでいいのかわからんな」
「確かに死人が出てる以上判断は付きませんが…」
「何だ?」
「自分が言うのはおこがましいですが…誇ってもいいと思います。自分も、死んだ仲間も伊隅ヴァルキリーズに配属された事を誇りに思っていますから」
>反応炉破壊による00ユニットの活動限界、オリジナルハイヴ攻略について。
「結局生き残ったのは…」
「オリジナルハイヴから帰ったのは自分と社と鑑の3人、その内鑑は機能停止。
ヴァルキリーでは風間少尉と宗像中尉が負傷により衛士生命を断念。
事実上ヴァルキリーズとして生き残ったのは茜少尉だけですね」
「そんなに…」
「それにしてもBETAが唯の作業用有機ユニットとはね。ナメられたもんだわ、炭素生命体も」
そして3週目へ。
「因果導体じゃなくなったんじゃないの?」
「えぇ、確かに因果導体じゃ"無くなった感触"もあったんですが…どうやら"そういう存在"としてこの世界が認識してしまったようです」
「そう…2週目のアンタは元の世界をベースにさらにBETAが居る並行世界から掻き集められた。今更元の世界に戻すにも他の世界の情報が宙ぶらりん。だから世界は、最もシンプルで簡単な手段を取ったのね…」
「シロガネタケルは世界を渡る存在である。そういう事みたいです。もともと統合後の2週目という"事実"がありますから…」
そしてループは続く。
3週目、神宮司軍曹を救い、オリジナルハイヴを攻略した時点での生き残りが増えた。
だが結局攻略後白い光に包まれループした。
戦った、負けた、死んだ、死なれた、ループし、考えて、またループした。
そして終に、身近な人間を誰一人殺さずオリジナルハイヴを落とした。
白い光は、現れなかった。
「めでたしめでたし、じゃなかったのね?」
そう、この世界にスタッフロールは存在しない。
勝利、敗北、転戦に継ぐ転戦。各ハイヴ攻略、櫛の歯が抜ける様に死に行くA-01。そして白銀の死亡。ループ。
貴方が好きでした、はじめまして、せめてそなたの手で、これからよろしく頼む。
繰り返す。何度でも。
「そして前回、全部のハイヴを仲間を死なせずに落とせたんです。まぁ自分は死んじゃいましたけど」
「つまり見えない目標をクリアする毎に次の目標が増えるわけ?最短で最良の未来を選び続けて最高を出すまで?」
「その様です。そして今回の目標は…決戦存在の打倒」
「決戦存在?」
「自分にも解りません。ただそう言われたんです。ループが始まる前に」
「そう、じゃあその件については考えてあげる。とりあえず続きは基地でね、もう真っ暗だし」
気づけば話し始めて3時間。電気も通わぬ白銀宅は真っ暗になっていた。
ここまでの流れでそれなりに白銀の話を信じる気になったらしい3人からも文句は出なかった。
そしてここから始まる、今度は俺自身の物語。
"今回の白銀"は恐らく本ループの中では最後になるだろう景色、"かつて白銀武が住んでいた家"を振り返り、心の中で呟く。
「そっか…白銀、ようやくお前が消えた理由が解ったよ。
お前…
死んじまったんだな」
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冒頭の「目標の半分」について。
机の上に数式の後半が乗っているため、この時点で殺されても数式は手に入り、調律に手間取るだろうけど00ユニットは完成するだろう…多分。
という白銀モドキの甘い考えを表わしています。