これはひどいオルタネイティヴ 番外編 =白銀大佐の正体=*今回の話は本編と全く関係が有りませんので御了承ください。――――2001年12月29日。甲21号作戦の成功において、ヴァルキリーズ12名+"鑑 純夏"が全員生還したダケでなく。"白銀 武"が纏める突撃機動部隊……所属するのは白銀少佐・神宮司大尉・篁中尉。そして元B分隊の榊・御剣・彩峰・珠瀬・鎧衣、計8名も生還し互いに喜び合ったのも束の間。帰還 直後、過労により白銀少佐が倒れて数日後……大多数のBETAが横浜基地を強襲。それにより横浜基地は反応炉の機能を停止せざるを得なくなり、絶体絶命の危機に陥っている。白銀少佐は"この未来"を知っていたが、倒れてしまった結果 ソレを告げる事は叶わなかった。「くっ!? コイツらもう、こんな所にまでッ!」『涼宮が旨くやっていると信じたいが……急ぐぞ速瀬ッ!!』「はいッ、しっかり付いて来てくださいよ? 大尉ィ~っ!?」『愚問だ!!』今現在は、伊隅大尉と速瀬中尉のS型が反応炉を目指して基地内を駆け抜けていた。反応炉 停止にあたって、涼宮中尉が歩兵と共に制御室び向かってはいたが、BETAによってケーブルが食い千切られており、至急 伊隅と速瀬が向かう事となったのだ。余談だが仕様としては伊隅が迎撃後衛・速瀬が強襲制圧でバズーカを背負っている。……………………一方、横浜基地・上層では、神宮司大尉ら7機が未だに地上でBETAと交戦中だった。結果 多くのBETAを釣りながら横浜基地から離れつつ誘導しているが、状況は芳しくない。月詠中尉ら4機の武御雷も誘導役を請け負い素晴らしい戦果を上げているが、たった10数機で誘導できる数は限られており、半数以上のBETAの基地への侵攻を許している。また残りのA-01の面子も上層でBETAの進入を死守するべく、当然 奮戦中であろう。しかし彼女達の守れる場所は広くはなく、少なくとも100以上のBETAは中層を抜けた。後は他の国連軍衛士に任せるしか無いが……残念ながら過度な期待できなさそうだ。「くぅっ! 数が多すぎる!!」(まりも)『アルカディア03、フォックス1ッ!』(唯依)『アルカディア08、フォックス1~!』(美琴)『爆風が来る!? 御剣・彩峰ッ、対ショックに入って!』『了解!』×2≪ドゴオオォォッ――――ドゴオオオオォォォォンッ!!!!≫『流石の威力だが……』『今ので弾が切れちゃったよ~』『右に同じだ』『うぅ、こんな時に白銀少佐が居てくれたら……』(壬姫)『!?』×6「馬鹿者ッ、弱音を吐くな珠瀬!!」『ご、ごめんなさい~っ』「(けど……白銀さんが居ないダケでこうも旨くゆかないなんて……)」『(本当に、私達にとって白銀少佐の存在は大きかったのね……)』――――白銀少佐が居ない故に不安。そう感じたのは神宮司大尉や篁中尉とて同じだった。『まりも』「!? と、突然どうしたのですか副司令?」『白銀が目を覚ましたわ』『……ッ!?』×7『ま、誠ですかっ?』『大丈夫なのかな……?』(彩峰)『全く問題無さそうだったわ、生憎アンタ達の加勢はできないけどね』「そ、それでは……」『あと"一息"~よ? その調子で誘導を続けて。そろそろBETAは尻尾巻いて逃げると思うから』『!?』×7――――唐突に告げられた白銀少佐の復活。それにより突撃機動部隊の士気は明らかに上昇した。「皆、聞いたな!? 白銀少佐も最善を尽くしてくれているッ、私達も負けるな!!」『了解!』×6『珠瀬ッ。私が要撃級を引きつける! 狙撃砲で光線級を片付けろっ、 これ以上 基地にレーザーを撃たせるな!! 御剣・彩峰、私に続け!!』『心得ました、中尉!』『了解』『あらあら、誘導じゃなく逆に攻勢に出るだなんて……白銀も果報者ね~』「ち、茶化さないで下さい副司令ッ」………………「クソッ……急げ、急げ!!」仲間たちが奮闘する中、ようやく目覚めた白銀少佐は梯子を物凄いスピードで降りている。目指すは反応炉の制御室……彼は香月博士に涼宮中尉が地下に向かったと聞いて驚愕した。未来を知る彼には分かるのだ。放って置けば、確実に涼宮中尉の命が無くなると言う事を。それは彼にとって許せない事だった。此処まで仲間達と戦い抜いた今、最後まで守り抜きたい。≪イルマッ、プーさん蹴るなああぁぁーーっ!! 何処を撃とうとしてるううぅぅッ!!!?≫≪(ば、バレてるッ? どうして分かったの~!?)≫――――今迄 白銀少佐はクーデターでイルマ少尉・ウォーケン少佐ダケでなく、沙霧大尉をも救い。≪純夏。頑張ったら抱きしめてキスして朝まで可愛がってやるから、絶対 自閉ンなよ?≫≪えぇっ!? タケルちゃん……ほ、ほほほ本当に!? だったら頑張る頑張るーーっ!!≫――――甲21号作戦では柏木少尉と伊隅大尉の戦死を見事な采配により回避していたのだ。「涼宮(姉)の処女を奪う前に死なせてたまるかーーーーっ!!!!」故に白銀少佐はフラつく身体をなんのその。全速力で彼女の元へと急いでいた。鑑少尉とベット・インして彼女の運命を救った今、後は"ジェノサイド・ハート"を倒すのみ。そうすれば彼は"戻れれば"それで良し、ダメだったら平和になりつつあるオルタ世界を堪能する。彼は実は鑑少尉 以外の女性には好かれていないと思っているが、恋愛原子核の可能性……それを信じてヒロイン達とのフラグ頑張って立てつつ、いずれは全員の処女を奪おうと必死である。ぶっちゃけ邪な気持ちを抱く最低 野郎だが、表面上は命を掛けて戦う彼の本心に誰が気付こうか。……ちなみに"ジェノサイド・ハート"とは"あ号標的"がダサいと言う理由で白銀が付けた名前である。……………………反応炉・制御室。≪――――ぞくっ≫伊隅大尉と速瀬中尉によってケーブルが接続され、再度パスワードを入力しようとした涼宮中尉。だが後方に途轍もないプレッシャーを感じ、前進の毛が逆立つ様な危機感が全身を襲った。同時に体中の毛穴から滴りを感じる汗……涼宮中尉は自分の境遇を一瞬のうちに理解した。「!?」――――背後に歩兵を残殺した闘士級が居る。つまり、自分の命は後10秒も持たない。「ひっ」たった数秒だが、途轍もなくゆっくりと流れる錯覚を感じる涼宮中尉の残された時間。振り返った直後……彼女に見せびらかす様に歩兵の生首を長い鼻で掴み漂わせる闘士級。つい数分前までは生きていた頼もしい護衛。彼らは引き裂かれ、引き抜かれ殺害された。それを見て憎悪・恐怖・怒りなど……様々な感情が涼宮中尉の脳をグチャグチャにする。結果 導き出された答えが、自分も彼ら同じ運命を辿ると言うこと。仲間・家族・任務など全て残して。「嫌ッ」――――彼女とて、元より死ぬ覚悟はできていた。しかし、これでは"無駄死に"になる!!「(死にたくない!!)」――――故に彼女は生きたかった。もはや無駄な願いだと言う事は分かっていても。………………「うおおおおぉぉぉぉっ!!!!」……必死こいて制御室を目指す中、其処の入り口に闘士級の姿を確認した直後。俺は雄叫びを上げつつアサルトライフルを発砲しながら走り、2匹のクソ野郎を蜂の巣にした。初めて生身で遭遇した事なんぞ どうでも良い。一秒でも早く"あの中"に入らねばならない。「どけええええぇぇぇぇっ!!!!」仲間が殺られた事を妙に思ったのかどうかは知らんが、もう一匹 出てきた闘士級も仕留めた俺。同時に弾切れになったアサルトライフルを投げ捨てる。弾を込めている時間さえ惜しい!!当然 走り続けており、殺された歩兵の屍を乗り越えながらカタナを抜きつつ制御室に入った。『!?』「んなくそおおおおぉぉぉぉっ!!!!」≪――――ガシュウウゥゥッ!!!!≫直後 軽く跳躍し振り返った闘士級の頭部を、両手で振り下ろしたカタナでカラダごと二分する。闘士級は人間から見るとゾウぐらいデカいのに、全く白銀大佐の肉体ってどんだけだよ……それよりも……居た!? 後 少し遅れてたと思うとゾっとする、涼宮(姉)は生きてたようだ!!無理も無いけど状況が理解できていない様で、大きな瞳をパチパチとさせながら俺を見ていた。ふ~っ、まさに間一髪だぜ。しかし"この状況"が絶妙だったので、つい白銀は成り切っちゃったんだ☆………………「えっ、あッ……」「……間に合った」――――数え切れない世界で後悔した。『お、お姉ちゃッ』――――いつも、気づく時には手遅れだった。『遙……一緒に……孝之に逢いに行こうね……』――――俺がずっとずっと、一番 伝えたかったコトバを言うよ。「涼宮」「君を」「助けに来た!!」………………「少佐ァっ!!」「む……ッ!?」決め台詞を聞いて涼宮中尉が涙を零した直後、白銀少佐は背後に気配を感じて振り返る。すると新たに数匹の闘士級が、敵味方の死体を踏みしめながら制御室に進入して来ていた。それに臆する事無くカタナを構え直した白銀少佐は、涼宮中尉を守る様に立ちはだかる。「ま、まだこんなにッ……」「遙ッ! 伏せていろ!!」「は……はいっ!」「おおおおぉぉぉぉっ!!!!」涼宮中尉が頭を抱えて地面に伏せると……其処に残ったのは、一人の女性を守るべく数日振りに復活を遂げた、一人の男ダケであった。そんな"白銀 武"の決意は、本来 生きた18年と言う浅い年月では培えぬ重みがある。涼宮中尉 自身は知らない。しかし彼女の"別の意思"は言葉に出来ない何かで理解していた。――――これは百年にも勝る"白銀達"の"ループ"の誓い。――――そして、数十万人にも勝る"ユーザー"の哀しみ。あの日あの場所に自分が居たなら彼女をBETAから救えたのに……と後悔し続け。いずれは仲間達を救える奇跡を信じて……"白銀大佐"は我が身を鍛え続けていた。そして白銀少佐の強い意志が、奇跡を待つ白銀大佐の想いが……遂に奇跡を起こすッ!!一度しか起こらぬ奇跡が2人の男を、2001年10月22日の横浜基地に間に合わせたのだ!!「くたばれええええぇぇぇぇっ!!!!」≪――――ドシュウウゥゥッ!!!!≫そんな生身の白銀の手刀は演舞で氷柱を叩き割り、何枚も重ね合わせた瓦を粉微塵にする威力がある。………………「まァちなさぁ~いっ!!」「――――ぐぇっ!?」「まだまだ飲むのよォーッ? 付き合いなさいよぉ~」「こっ、こらッ……放せってッ!」≪――――どかっ!!≫「ぐっ!?」「!? い、1本……」「あれっ? 俺の勝ちだな~御剣」「そ……そんなッ……」「ドリャッ!!!!」「……ぅっ!?」≪――――ピタッ≫……………………しかし訓練 等での白銀大佐は、相手が怪我をしない様にする為に手加減していた。「うりゃああああぁぁぁぁっ!!!!」「す、凄い……」――――その手加減を白銀は。――――初斬から止めるッ!!!!『!!!?』≪ブシュウウゥゥッ!!!!≫――――だから一撃で撃沈する。――――微塵ほども容赦なく!!――――その威力はまさに。――――斬鉄剣ッ!!!!≪どしゃっ≫「ぜぇぜぇッ……ようやく片付いたか~」「……ッ……」「涼宮中尉、何処か怪我してないか?」「……う、うぅっ……」「おいおい、大丈夫か? マジで」……そして一分後。全ての闘士級は白銀少佐に仕留められ、制御室に静寂が戻った。よって彼は汗を拭って溜息を吐き涼宮中尉を気遣うが……彼女は立ち上がろうとしない。ひょっとして腰を抜かしてしまったのか? そう思って涼宮中尉を心配する白銀少佐だったが。「白銀少佐ぁ~っ!!」「おわあっ!?」――――どうやら大丈夫だった様で、彼女は渾身の力を込めて救世主に抱き付くのだった。……………………あれから30分後。涼宮中尉によって反応炉は停止され、横浜基地は何とか守られた。最悪 速瀬中尉がフォールディング・バズーカで反応炉を破壊する事が考えられたが、必要なし。戦死者もA-01・突撃機動部隊共におらず、正史より遙かに強力な戦力で桜花作戦に移れるだろう。「遙……ホントに良かったね、無事で」「有難う水月。これも武さんの御陰だよ?」「んなっ!?」「えっ、何?」「い、いいい今"武さん"って……」「えへへ。"あの時"これからは そう呼んで良いよって言われたんだ~♪」「うぐっ!? そ、そう言えば何だか遙が少佐に抱き付いてた様にも見えてたんだけど……?」「そ、それは秘密だよ~」実は彼女……抱き付いた直後は白銀少佐の胸で大泣きした経緯が有り、涼宮中尉に萌えた彼が自分を名前で呼ぶ事を"つい許可しちゃったんだ☆"と言うワケだ。詳細は決して語られる事は無かったが、それは女性陣に大きな衝撃を生んだのだった。よって、直ぐ様 速瀬中尉は白銀少佐に自分を名前で呼ぶように強制し……勘違いした白銀少佐は、元B分隊含めた、ほぼ全員を名前で呼んだり呼び合ったりするべきと思い実行に移してしまう。「長い事 待たせて悪かったね。これからもよろしく頼むよ? 唯依」「こ、こちらこそ……た……たける、さん」【ヘブン状態!!】――――そろそろ白銀少佐の"ハーレム"結成の日も、近いのかもしれない。●戯言●まさかの番外編(手抜き)。涼宮(姉)とのフラグは後編では大して立たないので御詫びで書きました。はっきり言って赤坂ネタをやりたかったダケで、基本的に本編とは全く関係ないので御了承ください。でも本編の白銀大佐は大体こんなカンジの理由でデタラメのスペックを持っていたりします。本編でも同じ描写が有るかもしれませんが、横浜基地ピンチの可能性が無い故での29日でした。