これはひどいオルタネイティヴ92001年10月29日 午前「……またね。」「あぁ、またな。」"こっちの世界"に飛ばされてから、今日で一週間が過ぎた。早かったんだか長かったんだが……何だかんだで色々と有った。そのうち"新戦術機"を作って貰うって言う大きく正史を変えた事したけど、大丈夫かな~?まぁ、俺が佐官なってる時点でアレだし、今更 気にしても仕方無いんだけど……一つだけヤバいと思っているのは、俺が訓練兵じゃないから、207分隊の4名との交流が、此処一週間 正史よりも遥かに少なかったって事だ。「ん~。」だから、鎧衣が来るまでに時間を見て"好感度"上げておく必要があるかもしれない。寂しくシミュレーターでも良いんだけど、ぶっちゃけ もう"飽きた"んだよね。まりもちゃんに教えるのは別なんだけど、一人でやっても これ以上 上達できない。例えれば、一人でオンライン・ゲームをプレイしているようなもんだ。小隊を組めれば連携についての云々がこれでもかって位 学べると思うんだけど、これから当分 乗る羽目になる"不知火S型"は機密だし、今の俺には仲間さえ居ない。ヴォールク・データをやってもXM3が完成しないと、数十分掛けて集中したとは言え、記録を1mや2m伸ばす位にしかならない。つまり、俺の"操縦力"が戦術機の"限界反応"をとっくに越えてしまってるんだよね。だから朝食を終えると、俺は自室で207B分隊の情報シート(+α)を見ていた。「これかっ?」――――榊 千鶴。「これかぁ☆」――――御剣 冥夜。「こっちの方が良いかな?」――――彩峰 慧。「これもいいなぁ☆」――――珠瀬 壬姫。道化師のノリで情報シートを吟味する俺。 ……キモッ!また、少佐の特権で他の人の情報シートも持っており、そっちにも目を通す。やっぱりこっちも捨てがたい……今回は、そっちの誘惑に負けちゃったんだ☆………………「ピアティフ中尉、今日は助かりましたよ。」「恐縮です。」「ありがとう。 その見返りで、俺にできる事が有ったら何でも言ってくれませんか?」「!? いえ、そんな……私が好きでさせて頂いた事ですから。」「遠慮は要りませんよ?」「そ、そうですか? では、シミュ――――」「……っ……」ヤベ!? む、無意識のうちに嫌そうな顔をしてしまったではないかッ。ピアティフちゃんにオペって貰うのは大歓迎なんだけど、シミュレーターに飽きていた所為で、この顔……この顔が勝手に……っ!それよりも何をしてんのかって? 地下を案内して貰ってました、引き受けてくれて良かった。「――――いえ、私の独り言を聞いて頂けませんか?」「えっ? まぁ、そんな事なら。」「……少佐の過去に何が有ったかは遠く察せませんが……あまり自分を責めないで下さい。」「は?」「そ、それだけですッ。 ……では、失礼します!」「あっ。 どうもでした~!」……はて? 意味が判んないんだけど、今の"自分を責めるな"ってのは、正史じゃなくても気にするなって事か? 過去って言っても一週間しか経ってないんですけど。ピアティフちゃんがそんな事を知ってるワケないんだけど、何か今ので安心したな。けど……チクショウ、デートし損ねたな~。 いや、だから違うってッ!(いい加減にしろ)≪くっ……俺がちゃんと考えてれば"こんな事"にはっ!≫「(毎日"一人"でシミュレーターに没頭しているなんて、死に急いでいるとしか……だから。)」………………2001年10月29日 午後好感度イベント発生、夕食前 俺は何故か横浜基地の屋上にいた。目の前には彩峰の姿。 そう……俺はこれから彼女に求婚するんだ。そして今夜は初夜を……って、これってそう言うゲームじゃねぇから!「何か用?」「ゴホン。 彩峰君、キミは此処最近 頑張っているようだから、これを進呈しよう。」「!?」「――――ロードローラーだァっ!!」「どう見てもパン。」「的確なツッコミありがとう、これは"やきそばパン"だ!」「ふぉお……?」「さぁさぁ、遠慮なく貪り付くが良い!」取り出しまする、やきそばパァーン。 京塚のオバハンに言って材料を貰い、何とか5個作った。料理はヘタクソだから夕方まで掛かっちまったが、良い感じのが出来たぞ~。そんな努力の結晶をアッサリくれてやるのは若干 癪だったので、やきそばパンのサランラップ(っぽいの)を剥がすと、それを股間に持って行ったんだが……「――――ぱくっ。」「な、なんですとぉ~っ!?」ちょ……おまっ、ヤキソバ好きにも程が有るだろッ!?跪くとデカい口空けて躊躇無く"ぱっくん"と食いやがったッ! なんて芸人根性してやがる! これは流石に遣り過ぎだと思ったんだが、俺は彩峰を甘く見過ぎていたようだ。「ん……美味しかった。」「(ゴクリ)」――――上目遣いで口元を拭うと、ゆっくり立ち上がる彩峰。絶対狙ってやってるだろ? こいつ。 襲い掛かりたいんですけど。「少佐?」「!? そ、そうか……美味いか、それなら良かった。」「もっと食べたい。」「よしきた、任せておけ~ッ。」「何でチャックに手を?」「すまん、自重する。」――――よ、読まれた!? いや、当たり前だろ。見たまんまを言ったダケなんだろうから。「じ~……っ。」「見つめるな、そして口に出して言うな。」「サーセン。」「はははっ……全く、お前には負けたぜ。 全部やるから食っちまえ!」こんな遣り取りが、彩峰が全ての やきそばパンを食い終わるまで続いた。マジ潤うぜ……こんな娘が、オルタでは恋を実らせずに死ぬなんて絶対に間違ってる。白銀は気付いてすらやらねェし……ガラにも無く正義感 染みた事を思ってしまった。「(少佐……もっと早く、会いたかったな……)」………………夕食を終えると、俺はシミュレータールームに直行する。予想通り、榊達に何やら彩峰が質問攻めを受けていたようだが、俺さえ翻弄するアイツの事だ、誤魔化す事なんて朝ヤキソバ前だった だろう。んで……まりもちゃんとの訓練を終えると、軍服に着替えて再び対面する。「少佐、今日も有難う御座いました。」「お疲れ様です。」「本当に勉強になります。 この操縦が行き渡れば、戦死する衛士は明らかに減少する筈です。」「そりゃどうも。 こっちとしても軍曹は、覚えが早くて助かりますよ。 人にモノを教えるのは、あまり得意じゃないんで。」まりもちゃんは、朝は昨日の事も有ったし、少し"どよ~ん"としていた。だって榊達に情け無い姿を晒しながらも、引き続き教官をしないといけないんだからな~。すると想像した通り、夕飯時の彼女は疲れた顔をしていたので、ちょっと心配だった。けど……夜の訓練は順調。 非常に飲み込みが早いし、やはり"意気込み"が違うようだ。マニュアルでのサブ射撃の切り替えも問題無いし、俺のログで復習もしているらしい。あの情け無い姿を見た時は相当 不安だったが、流石は軍人。 立ち直りが早いぜ。「ふふ、恐縮です。 ……それに、不知火S型も素晴らしい機体ですね。」「気に入ってくれました?」「はい。 "サブ射撃"と言うモノが、こんなに戦いを楽にさせてくれるとは思いませんでした。」「えぇ。 ハイヴ攻略の時は特に重宝すると思いますよ? 常に移動し続けている必要が有りますから、両手が塞がるディレイが多いですし。」「そうですね……はぁ~。」「ど、どうしました?」「中隊長を経て教官となりながら、私も全く成長していなかったと思いまして。 ハイヴ攻略を想定した機動概念 及び新戦術機など、考えた事がありませんでしたから。」「それは大丈夫です。 皆 同じですし、知らなかったら今から知ってゆけば良いダケですよ。 あと……不知火S型は、こんなモンじゃないです。 新OSが完成すれば、 例え単機だろうと反応炉まで辿り着ける可能性を秘めていると思いますよ?」「!? それは、また……」「まぁ、単機じゃ反応炉は壊せませんから、一人や二人 頑張るダケじゃ無意味ですけどね…… だから、これから広めていくんです。 こうやってテストをしたりして。」「わ……私にも、出来るでしょうか?」「勿論です。 だから、お互い頑張りましょうね?」「は、はいっ! 少佐……このテストに参加できた事を、誇りにしようと思います!」……これなら、今月中には教える事は無くなりそうだ。しっかし、ホント上官気取りは慣れたモンじゃないな……恐縮なんてこっちの台詞なんですけど。けど これも"目的"の為。 まりもちゃんは喜んでくれてるんだし、調子に乗っちゃおうじゃないか。俺は敬礼して立ち去る まりもちゃんの尻を堪能しながら見送ると、大きな溜息を吐いて肩の力を抜き、ヤレヤレなポーズを取りながら首を捻った。≪ん……美味しかった。≫≪だが 少し零してるぞ? お仕置きだ!≫――――いいえ、ケフィアです。えっ、今日のオカズ? 彩峰に決まってるじゃないですか、当たり前でしょ?ピアティフちゃんも際どいトコロだったんだけど、また犯っちゃったんだ☆………………2001年10月30日 午前「何の用ですか? ゆーこさん。」「今日はアンタに紹介したい娘が居るのよ。」「おっ、マジですか? できればハタチ以下でポニーテールの娘とかだと嬉しいんですけど。」「バカ言ってんじゃないわよ。 それ以前に、もう後ろに居るじゃない。」「…………」「うわっ、びっくりした。 ……え~っと。」「――――は。 白銀少佐、私は伊隅 みちる大尉であります、 副司令の下、今はA-01の部隊長を務めさせて頂いております。」「お~。」「今迄 特殊任務に当たらせていたのよ。 戻ってきたし、丁度良いと思って。」「…………」霞にゆーこさんが呼んでいると言う伝達を貰うと、朝食後に俺は執務室へと赴いた。すると何時の間にか背後に居たのはヴァルキリーズの部隊長、伊隅大尉だった。……か、完璧な人 出てきちゃったよッ! なんか登場、早すぎじゃね!?しっかし、ちっとも気配を感じなかったな……いや、俺の緊張感が無さ過ぎたダケだけどね。対して軽く自己紹介を済ますと、伊隅の視線に俺を吟味するような何かを感じた。無理も無いか。 いきなり副司令に対してアホな事 言って、しかも見た目が若いんだしな。「伊隅、白銀が若いって思わなかった?」「……あっ、はい。 誠に失礼ながら。」流石 天才のゆーこさん、早くも彼女の考えを読んだらしい。まぁ、伊隅の気持ちも判らないでもないか。 むしろ妥当だろう。俺も必死に生きてる中だったら、イキナリこんなノリの上官を紹介されたら萎えるよ。「見ての通りのヤツだから、失望するのも無理もないわね。」「――――酷ッ!?」「でも、人は見掛けによらないわ。 まりもを30秒で大破させた変態よ?」「な……っ!?」「ちょっ……あの、変態って……?」「何か文句あんの? 変態さん。」「くっ、変態じゃないです……仮に変態だとしても、変態と言う名の紳士ですよ……」「は?」「流してください。」「…………」そんなバカな会話をしている中、伊隅は黙って俺を見ている。……あれっ? 何だか、俺を見る目が180°変わった気がするんですけど。あぁ……以前は自分の教官だった まりもちゃんに勝った事に驚いているのか!しかも反則技とは言え30秒だからな……彼女を尊敬する伊隅なら驚愕だろう。「大尉?」「!? あっ、失礼しました。」「ところで ゆーこさん、用ってそれダケですか?」「そうよ。 何か用事でも有るの?」「えぇ、例の如くシミュレータールームにでも行こうかと。」「ご苦労な事ね。 そんなら行って良いわよ?」「どもッス、それじゃ~大尉。 俺はこれでッ!」「――――はっ。」≪ガシュ――――ッ≫ぶっちゃけた話、俺は若干 冷や汗を感じていた。 出撃フラグだと思ったからだ。チキンと言いたければ言ってくれ、俺はXM3が完成しない限り実戦は避けたかった。戦術機の性能を活かせぬまま死んでゆけッ!? 丁重にお断り致します。だから退室したい事を促すと、嫌な予感は外れたようなので安心して執務室を出る。……まぁ、"用事" があるのは本当だけどね。 あと今A-01と関わるのも正史に反するし。「副司令、先程の話は……」「本当よ? その時、白銀は新型の不知火に乗ってたけどね。」「新型……ですか。」「気になるみたいね?」「はい。」「まぁ、新型については近いうちに判るから待ってなさい。 白銀は……とにかく"背負ってるモノ"が尋常じゃないってとこかしら?」「!? 副司令でも、計り難い衛士と言う訳ですか。」「ん~……癪だけど、そうとも言うかも。」「ふむ……」「ふふん。 案外、速瀬あたりを嗾(けしか)ければ面白いモノでも見れるかもよ?」「……!?」「あの様子だと、午後もシミュレータールームに居るんでしょうしねぇ~?」「…………」………………2001年10月30日 午後昼飯を終えると、俺は再びシミュレータールームにやって来た。……えっ? 一人で訓練するのは飽きてたんじゃないかって? その通りさ☆実を言うと、今は軍服のままで訓練せずに、衛士達の様子をひたすら見ているダケだった。長椅子に腰掛け、まるで……お小遣いが足りない子供が大人のプレイを眺めているように。べっ、別に連携 組んでる様子が羨ましいなんて思って無いんだからね!?冗談はさておき。 当然 意味は有る。 俺が"女衛士"の強化装備 仕様に慣れる為なのだッ!今は一人か二人で訓練しているけど、近いうちにエロスーツを直視しまくる時が来る。だから、今のうちに耐性を付けておく必要が有るのさ。 結構重要だよ? これ。『くッ、白銀少佐……戦死なされるとは……』『私達が不甲斐無いばっかりに……!』『……珠瀬、どう?』『す、すごく……大きいです……』……ねっ、こんな事になりたく無いでしょッ?それ以前に、場景が見えないって? 大丈夫、俺にも全く見えないから気にするな!ともかく そんなワケで女衛士達を視姦し続け今に至る。 どうせならコレ位やらないとね☆「……ん?」そんな中、遠くにどっかで見たような顔が目に入る。 しかも3人組だ。あれは伊隅と……ヴァルキリーズのメンバーかな? そうだ! 速瀬と涼宮(姉)かッ!大方 特殊任務を終えて戻って来たのは良いけど、暇になってしまい、腕が鈍るから速瀬が無理矢理 涼宮(姉)を誘って伊隅がお守り役ってトコロか?涼宮(姉)の方は軍服だが、伊隅と速瀬はエロスーツだ……たまんねぇなあ。よって訓練(?)の為ジロジロと見ていると……注意を怠り、速瀬と目が合ってしまった。――――ニコッ♪あややや。 つい、笑って誤魔化しちゃったんだ☆すると速瀬は俺を指差して、何か涼宮(姉)にベラベラと言ってる。直後、近寄って来た伊隅に殴られ、そのまま頭を擦る速瀬を無視して近付いてくる。「白銀少佐。」「なんです? 大尉。」「謝罪致します。隊の者が失礼を致しまして、申し訳ありませんでした。」「んぁ? 良いですよ、そんな事。」「痛ったぁ~。 大尉~、いきなり酷いじゃないですか~ッ。」「酷いのは貴様の方だッ、上官を指差して良い訳があるか! 恥を知れッ!」「えぇ~っ! じ、上官~ッ!?」「!? し、少佐の階級証……!」「――――敬礼ッ!」流石 真面目な伊隅だ。 まぁ、軍人の常識を考えると妥当なところか。だが場合によっては射殺だぞ速瀬……それ以前に、余り近寄って来ては欲しくなかったな……我慢するのキツいじゃないですか、これで涼宮(姉)がエロスーツ着てたら逃げ出してた所ですよ?そんな彼女は事故の所為で若干遅れてやってくると、俺の階級を理解して背筋を伸ばして直立。直後 伊隅が敬礼してくれ、その様子はA-01だけあって非常にサマになっている。それは速瀬も同様で敬礼だけはキマっており、俺も立ち上がりカチコチとした敬礼をする。嗚呼、格好良く胸を張らないで下さい……恥ずかしく無いの? そんな事 思ってるの俺だけか。「大尉……これから訓練ですか?」「はい、副司令に暇を頂きましたので。 ……では、紹介致しましょう。 まずは――――」「それは必要無いです。 既に資料で理解してますから。」「そうでしたか、失礼しました。」……嘘だけどね。 現段階でのヴァルキリーズの隊員全員は把握して無いけど、どうせ知ってる事しか言われないだろう。 スリーサイズとか教えてくれるなら話は別だが。それと……少しでも直視する時間を減らしたい事を理解して欲しいんですけど。「それにしても珍しいですよねぇ? 大尉から個人レッスンに誘ってくれるなんて~。」「さっき水月からそう誘われた時は、また何か適当に理由を付けて来たと思ったんですけどね。」「遥~、ひっどぉ~。」「ははは。 まぁ、頑張ってください。 俺は此処で見させて貰いますから。」「なんなら、少佐も一緒にどうですかぁ~?」「止めんか速瀬ッ。 白銀少佐の衛士としての腕は一流と聞く、お前の及ぶ様な方ではない!」「……ふ~ん……少佐、それってホントです~?」「み、水月! 失礼よっ。」あれ……な、なんかヤバい空気じゃないですか? どうなってんのっ?伊隅の言葉で嫌な予感がすると、直後に的中……速瀬が不敵な笑みを浮かべている。……こいつ、ぶっちゃけ白銀の事 ナメてね? 口だけじゃ信用できないってハラだろ。少佐なのに見た目が若いから、訓練を此処で見てるダケしかできない、何処かの"お偉いさん"のボンボンとでも思ってるのかもな~。「白銀少佐~。 私"一流の腕"って言うのを見せて貰いたいンですけどぉ?」「やめろ速瀬! 申し訳ありません、直ぐに黙らせますので。」「……いや、一戦ダケなら良いですよ?」「し、少佐ッ!?」「涼宮中尉……何か?」「い、いえ。」「やっりぃ~っ! 言ってみるもんですねぇー?」「とりあえず、着替えて来ます。 ……けど速瀬中尉、その前に条件が有る。」「なんですか?」「現在テスト中の、改造型不知火で相手をさせて欲しい。 構わないか?」――――まぁ、不知火S型には将来 乗って欲しい連中だし問題無いよな。「そんな事ですか~? ぜんっぜんオッケーですよォ?」「有難う、では待っていてくれ。」おっぱいおっぱい……埒があかんぜ、このままでは息子がおっきしちゃうんだお( ^ω^)よって俺は速瀬の提案を飲むと、条件付きで彼女と戦ってやる事に決める。ちなみに条件を述べた時は背を向けており、俺は我慢の為かムダに表情が硬かった。そして背を向けたままロッカーへ向かい入ると……盛大に肩の力を抜いて溜息を吐いた。「さ~て、腕が鳴るわね~っ!」「……伊隅大尉。」「なんだ? 涼宮。」「あの。 水月を煽ってませんでしたか?」「ふん……さてな。」………………『は、速瀬機……致命的損傷、大破。 状況……終了。』……十数分後、俺は速瀬に勝った。 今は涼宮(姉)が目を"まんまる"にしてオペっている。非常に可愛いが無理もない。 まりもちゃんは30秒だったが、速瀬は15秒だ。ちなみに俺は一歩も動いていない。 行動もカチカチとトリガーを引いたダケだし。「お疲れ~。」「くっ、うッ……うぅぅぅ~~……っ!!」「…………」「…………」戦闘が終わりリンクを開いた時の速瀬の表情は、放心状態。それを無視して俺は筐体から出ると、遅れて凄い勢いで出てきた速瀬。もう……顔を真っ赤にして、これでもかって位に悔しそうだ。 言葉さえ出ない様子。一方、伊隅と涼宮(姉)は口を半開きで速瀬を見ている。 まさに開いた口が塞がらない状態。ちなみに内容としては、俺は盾が欲しかったので迎撃後衛 仕様のS型を選び、状況開始直後 速瀬は射撃戦は不利と悟って長刀を片手に、水平噴射で突っ込んできた。俺が射撃すれば直ぐに跳躍で回避するつもりだったんだろうが、限界まで引き付け、無造作に放った胸部マルチ・ランチャーを直撃させる。……対して、まさにジャストミートッ! 被弾後、速瀬機はその場で仰向けにダウン。彼女にとっては、始球式でホームランをかっ飛ばされたピッチャーの心境だろう。「バアアアアァァァァルカンッ!!!!」その"ついで"に何となくノリで頭部バルカン砲をバラバラと撃っちゃったんだ☆するとアッサリと速瀬機は大破した。 ……ジャスト15秒だ。正直……これって着替える必要すら無かったんじゃないのか? 計画通り過ぎで吹きもしねぇぜ。「そ、それじゃ~俺はこれで。」……なんか……もう、どうフォローして良いのか判らない。速瀬の性格を考えれば、悪戯に傷つけてしまうダケだろう。ならばクールに去ろう、俺はクルリと背を見せて着替えに戻ろうとするのだが……「ま、待ちなさいっ!」「(やっぱり)」「あんなの卑怯じゃないッ! もう一回 勝負しなさいよォ!!」「やれやれ……一戦だけと言ったハズだろ?」「うっ……さ、さっきのは無し! もう一回ッ、もう一回だけッ!!」「ふん、出直してくるんだな。」「……っ!!」実を言うと、今の速瀬のギャップは……正直、たまりません。 すごく……可愛いです。まりもちゃんの時は情けなさが目立ってしまったが、これじゃまた股間がウズいちゃうんだ☆だから我慢するのを意識しながら、顔を強張らせて最もな意見を述べて去ろうとすると、速瀬の表情が急に涙目になる。 ……やべぇ、反則だろそれ。されど現実は非情なのだ。 俺は立ち止まり振り返ってやると上官面を維持して言う。「だが……どうしても鍛えて欲しいと言うのなら、夕食後 また此処に来るんだな。」「!? くっ、判ったわよ……覚えてなさいよぉ~~!?」「フッ……(笑)」「くっ、くううううぅぅぅぅ~~……っ!!」き、決まったZE。 ちなみに最後まで伊隅と涼宮(姉)は無言&唖然だった。速瀬の少佐に対する言葉遣いを、もはや注意する気も起きなかったみたいだね。さておき――――この後 夕食を摂ったら速瀬の相手をするつもりだったが、急に面倒臭くなった。だからつい、一緒に御飯を食べてた まりもちゃんに頼んじゃったんだ☆後から聞いた話だと、速瀬は律儀に俺が来るのを一人で待っていたらしい。「速瀬中尉、ご無沙汰してま~す。」(にっこり)「!? じ、じじじじじし神宮寺軍曹ぉぉ~~ーーッ!?」「少佐は任務の為 来れないそうなので、今夜は私が代わりに御相手させて頂く事になりました。」「あ……あんの男おおぉぉ~~っ!!」「ちなみに、貴女に拒否権は有りません。 何せ少佐からの御命令ですから。」「ちょっ!? か、勘弁してください~~っ!!」「(本当は今から少佐に教えて貰う筈だったのに……覚悟しなさいよ、速瀬~ッ!)」……だって、伊隅とかなら教え易そうなんだけど、速瀬はちょっとなぁ。俺が教えるよりも、まりもちゃんや むしろ彼女に教わった伊隅が教える方が良い気がするのさ。だから頼んだ、真面目な話。 ……でも、ちょっと勿体無い事したのかな……!? べっ、別に速瀬のフラグを立てたいと思った訳じゃ無いんだからね!?けど、どっちにしろ可愛かったのは確かだ。 考えてみれば、速瀬はハタチちょいのポニーテール。≪この単細胞が!! お前なんて性処理役で十分だァ!!≫≪くっ、悔しい……でも感じちゃう……っ!≫――――だから今日も我慢できずに、つい犯っちゃったんだ☆「あっはっはっはっ! あーーっはっはっはっはっ! 15秒ッ?15秒ーーっ!!」「……(ごめんね、速瀬。 あれだけログを消して置いてと頼まれながら……)」ついでに翌日の朝、霞から聞いた話によると。深夜の執務室に ゆーこさんの笑い声が高らかに響きまくり、なかなか寝付けなかったと言う。理由は少なくとも、俺には判った。 もはや一生 速瀬はゆーこさんに逆らえないだろう。「(速瀬が迂闊だったとは言え、白銀少佐の本当の実力は"どれ程"なのかしら? ……判らない……)」●戯言●さぁ、速瀬中尉に励ましのお便りを送ろう!嘘です、相変わらず自重できません。でも実際会話するにあたって、本当に馬鹿が砕けているのは副司令と彩峰だけですね。けど速瀬中尉あたりはこれからケンカ友達になりかもしれません。先の話ですけど。こんな主人公を憑依させた私ですが、武に対しての一方的な友情はHomeをどうぞ●追記●同日23時ごろ修正させて頂きました、申し訳ありませんorz①誤字修正②速瀬中尉の年齢設定ミス。情報有難う御座います。