――――佐渡島ハイヴの最下層(反応炉)にて。「クッ……これまでか……」今回の攻略に置いて想定以上のBETAの数が居た事で、ラストは部下達の制止を振り切って単機で突入。結果フォールディング・バズーカで反応炉を破壊できた事 迄は良かったが、SⅡ型をトラブらせてしまった。な~に、実際 爆風によって飛んで来た"何か"が当たったダケなんだけど、戦術機にとっては致命傷となる。今迄 散々爆風には気をつける様に訓練して来たつもりだったんだが……実戦で活かせないとは情け無い。『そ、そんな……武さんッ! 嫌……嫌ああぁぁ!!!!』『お義兄様ああああぁぁぁぁ!!!!』『2人とも、もう無理よ!! 今は脱出する事に集中してッ!』『ボクだって嫌だよ……でも此処で無駄死にするのは もっとダメだと思うから……』癪だがBETAの死体に背を預けている不知火SⅡ型から、殆ど死に掛けている通信に耳を傾けると……唯依&七瀬の悲痛な叫びとソレを宥めつつも撤退しているっぽい まりもちゃん&伊隅(妹)の声が聴こえる。何だか危なっかしいが彼女達は勿論、イルマと米軍の3人娘も健在っぽいな……体を張って良かったZE。「……やっぱり、今回もダメだったよ……」されど俺の命は間も無く尽きる運命……今まさに迫り来ている、戦車級の餌食になってしまうのだろう。恐らく地上のBETAは反応炉の破壊により周囲のハイヴに撤退を始めていそうだが、地下は別なのだ。俺を追い掛けて来ると言うのはハイヴを破壊しても変わらず、移動が出来なくなった自機に逃れる術は無い。嗚呼……こんな羽目になるなら調子に乗って【オトリになる】【ここは任せろ】とか言うんじゃなかった。白銀(俺)が死ねば部下を生かしてもループするんだろうから、色々と積み上げて来たって言うのに台無しだ。それに白銀はともかく"俺"の意識が引き継がれる保証も無いから、きっと俺は死んでしまうんだろうな。目が覚めれば"俺の世界"に戻ってくれていれば夢で済まされるんだが……楽しめたにせよ残念 極まりない。「次はコレを見てるヤツにも、付き合って貰うよ」そんなワケで俺は死を目前にしている為か思考回路がオカしくなった様で、自然と意味不明な事を呟いていた。されど意味は無く聴こえて来るのは戦術機の装甲を食い破ってくる音ダケ……間違いなく戦車級だろうね。ならば取り除いていた自爆ボタンを押して、痛みも無く死にたかったな~とか思った瞬間、俺の意識が飛ぶ!!――――神は言っている。――――此処で死ぬ定めでは無いと。「ここでタイトルです」これはひどいオルタネイティヴ532001年12月15日 午前「……と言う夢を見たんだ」此処で一泊する事で借りた殿下城の個室で目を覚ました俺は、何やら縁起の悪い夢を見ていた様だ。それに関して七瀬の俺に対する呼び方が変わってたり、純夏が絡んでなかったりツッコミ所が多いのはさて置き。佐渡島の攻略が ようやく人類初の反撃って事になるってのに……正直 洒落にならんでしょコレは……だけど肖るネタによっては どう遣っても生きて帰れないのが分かったダケ、俺にとってはプラスと考えよう。≪コンコンッ≫「白銀少佐、いらっしゃいますか?」「お迎えに上がりました」「んっ? 七瀬と神代か……悪い今 開ける」≪――――ガチャッ≫「お、お早う御座いますッ」「お早う御座います。白銀少佐」「あァ……2人とも おはよう」色々と思うトコロ有るのだが、何時もの軍服に着替えて顔を洗った直後 七瀬と神代が迎えに来てくれた。よって扉を開けるんだが……その直前に時計を見てみると、どうやら若干 起きるのが遅かった様である。コレも"あんな夢"を見たり、寝る直前に"あんな事"をしてしまった為だ。よって俺の表情は少し硬かった。後者を詳しく述べると俺は昨夜 抜いた時、ティッシュの携帯を怠り自慰弾を布団に誤射してしまったのだ!!「(今日の白銀少佐……す、少し表情に違和感が有るわね……)」「("あの時"は豪語しちゃったけど、やっぱり昨日の操縦は白銀少佐に負担を掛けてたのかなぁ?)」「すまないな。少し寝坊をしてしまったみたいだ(5~6分 程度だけど)」「い、いえ! 気になされる程では有りませんッ」「まだ朝食の時間には余裕が有りますから……」「だったら良かった」誤射した直後の俺の動揺っぷりは半端じゃ無く、先ずは慌ててティッシュで自慰弾の全面回収に努める。だが跡は残ってしまったので水道で綺麗にした上に幸い付属して有ったドライヤーで乾かす作業を行った。その数時間に及ぶ的確な処置により痕跡を残さない事に成功したが、ゴッソリと睡眠時間が削られてしまう。コレも(妄想の中での)悠陽が魅力的だったのが全ての原因なんだ! ……と責任転嫁するのは さて置き。それに加えて"あんな夢"を見てしまったので、仏頂面していると言う自覚が十分 今の俺には有ったのである。「(やっぱり間違い無い、篁中尉の言われていた様に……命を削って迄 白銀少佐は……)」「(こんな様子だと……とてもじゃないけど"紹介"させて貰うのは無理そうだよ)」「ともかく行くとしよう。そう言えば朝食も殿下達と摂るみたいだしな」その為 俺は表情が硬いまま今の台詞を呟くと、七瀬と神代の横を素通りして言われてた場所を目指そうとする。寝坊したとは言え まだ多少時間は有るんだけど、真耶さんの事なら既に俺達を待っているに違い無いのである。しかしながら。七瀬にとって俺の態度は無視できないモノだった様で、背中越しに彼女の声が聴こえて来た。「し、白銀少佐!!」「(……七瀬少尉?)」「むっ? どうしたんだ? 七瀬」←背を向けたまま「あのッ! 何処か調子が優れない様な事は無いでしょうか!?」「俺の調子が?」「えっと、はい……少々顔色が優れない模様でしたので……」「それに白銀少佐ッ。私も七瀬少尉を同じ事を思いました!」「えぇッ? 神代もなのか?」「は、はい。余計な事だったら、すみません」ふむふむ……どうやら七瀬と神代は、俺の仏頂面を意外にも"体調不良の為"と捉えてしまった様である。ただ単に自分の"馬鹿さ加減"に呆れていた上に、追撃のネガティブ思考によるモノに過ぎないのだが……今の態度は2人(特に七瀬)に気を遣わせてしまったダケだったらしい。よって心配無い事を伝えるべく口を開く。「大丈夫だ、問題無い」「!?!?」――――振り返った俺は無駄に爽やかな笑みを作って そう告げた事で、七瀬と神代は一瞬ポカンとしたのだが。「しッ……しかし白銀少佐! 我慢されてはカラダに障ります!」「別に我慢してる訳じゃ無いんだけどなァ」「そのッ、あの……私は幾つか滋養強壮の薬を持っていますので……宜しければ……」「…………」俺が痩せ我慢をしてると思ったのか、七瀬は納得せず動揺しながら此方を気遣って下さる。仕草が可愛いZE。されど体調不良を訴えたとしても今はカラダを休ませれる状況では無いので、弱音は吐く訳にはいかない。対して七瀬も七瀬で上官を気遣う事を止めず、軍服から幾つかの錠剤のセットを取り出し此方にアピールする。ふ~む……コレすら突っぱねたら逆に不快感を与えてしまいそうだ。其処で俺は再び2人に背を向ける事にした。「白銀少佐!!」×2――――すると七瀬ダケでなく神代も俺の名を(何故か強く)叫んだので、彼女達の期待に応えて返事をする。「……七瀬」「えっ?」「一番良いのを頼む」「!?!?」×2実を言うと七瀬の提案は願っても無かったりする。"此方の世界"の薬は何気に非常に効果が高いからだ。されどオルタ世界の薬の効果など分からないし調べる余裕すら無いので、全く手を出す事が出来なかった。体調不良を訴えて医務室で薬を貰うにしても、唯依達を心配させてしまいそうでソレだと上官失格だしね。でも前から疲れは溜まっていたので此処で七瀬に薬を分けて貰えれば、今後を楽に乗り切る事が出来るだろう。よって七瀬の提案を飲む事にしたんだが、彼女は俺の言葉に驚いたと思うと表情がパア~ッと明るくなる。「で、でしたら白銀少佐ッ! お好きな薬を選ばれて下さい!!」「そう言ってくれるのは嬉しいけど、余り詳しくないんだ。良ければ効果を教えてくれないかい?」「も……勿論です!!(良かったッ、私の言葉に耳を傾けてくれるなんて……コレは大きな収穫だわ!!)」「それでは私は先に待ち合わせの場所に向っています(……此処は七瀬少尉に任せて置こう)」「あァ悪いね神代。説明して貰えたら直ぐ行くよ」「そ、それでは白銀少佐ッ。先ずこの薬の効果はですね?」……………………10分後。「すまないね。こんなに貰っちゃって」「構いません……私は以前から処方されているので、数は余っていますから」「そうか。なら良いんだけど……七瀬は以前から こんなに薬を飲んで居たのか?」「はい、当時は体が弱かったので。ですが衛士に成ってからは力も付いたのか、飲む量は減っています」「成る程。薬が余ってるのは其れが理由でも有るんだ」「そうですね」「ともかく神代を追おう。今頃 真耶さ……月詠中尉と待ってると思うしさ」「わ、分かりました」アレから七瀬に彼女が持っていた薬についての説明を受け、俺は十数個の錠剤を分けて貰えるに至った。その際メモを取っていたら七瀬は目を丸くしており、恐らく上官の記憶力の無さに呆れていたのだろう。されど今の俺にとっては意外なアイテムを得れたと言う喜びが遥かに勝っており、つい自重を怠ってしまう。よって背を向けて歩き出そうとする仕草を見せながら、俺は何時の間にか"裏声"で馬鹿な事を呟いていた。「アニノカタキヲトルノデス」(小声)「……ッ!?」≪――――びくんっ!≫「???? どうしたんだ? 七瀬」「い、いえッ(今の声は……何なの!? 白銀少佐が言ったなんて事は有り得ないから、私の幻聴ッ?)」「…………」「(白銀少佐と出会ってから"お兄様"の事は吹っ切った筈なのに……やっぱり何処かで仇に固執している!?)」対して今の台詞に七瀬がオーバーなリアクションをした事は背中越しにも伝わって来たので視線を移す。すると自分を両腕で抱きかかえる様にして周囲を見回している七瀬が居た。どう考えても俺の所為なんだ☆彼女は本気で動揺してると思うんだけど、傍から見ると唐突に"邪気眼"が発生した様に見えなくも無い。う~ん。やっぱり俺が自重を怠るとロクな事に成らないな……故に心の中で反省しつつ七瀬を宥める事にする。「七瀬(……話をしよう)」「!?!?」「どうしたんだ? いきなり険しい顔になってるけど、大丈夫か?」「えっ? そのッ……ふと兄の事を思い出してしまいまして……(この人に誤魔化しは効かないと思うから)」「そうか、まァいい」「す、すみませんッ」「だが俺達と出会う迄は、七瀬にとって兄の死は"昨日"の事だった だろうけど……」「……お兄様……」「――――今の君に取っては"明日"の出来事だ」「!?!?」≪バアアアアァァァァーーーーンッ!!!!≫此処は本当なら肩に手を当てるか抱き締める等して安心して貰うトコロなのだが、俺は特に手は出さなかった。台詞に置いては自分でも意味不明な事を言った自覚が有り、見た目は格好良く装っているが告げてから後悔する。要するに"言ってみたかったダケ"であり、そろそろ七瀬は本気で切れても良いんじゃ無いかな~と思ったが……「(つい言っちゃったんだ☆)」「(やっぱり私は……"幻聴"が聴こえる程まで お兄様の死を諦め切れていなかったのね……だけどッ…… 今は"明日の出来事"と言う事は、諦めなくても良いから昨日より明日を見る事で希望を見出せと言う事?)」「七瀬?」「(……真意は分からないけど……流石は白銀少佐、言葉に"深さ"を感じるわ)」「お~い」「!? あッ、申し訳有りません。今度は此方を気遣わせてしまって……」「大丈夫だ、問題無い」(2回目)「有難う御座います。何となくですが……私の方も気分が晴れた気がします」「大した事を言ったつもりは無かったけど、それなら良かったよ」(ニコッ)「……ぅッ……で、では いい加減 神代少尉を追いましょう」「了解~」「(やっぱり"お兄様"とは似てる様で違う……だって、こんなにも私の事を"安心"させてくれるのだもの)」こうして真耶さん&神代と合流した俺達は、再び悠陽&紅蓮中将と会いコレまた豪勢な食事を堪能した。流石に悠陽の顔を見た時は罪悪感が再発した為 表情が強張ったが、真面目な場面なので好都合だろう。そして朝食を終えると、午前の時間を使って昨日のシミュレーターでの詳しい情報を更に斯衛に提供したり、逆に武御雷(黒)についての資料を渡され頭を使う等して過ごし、何時の間にやら横浜基地に引き返していた。本当なら、もう一度 悠陽と2人っ切りになって"友達"としての会話を楽しみたかったが……仕方ないね。「(次は佐渡島ハイヴを攻略した後にでも、付き合って貰うよ)」「(武様……もう一度"お話"したかったですが、あの表情を見ると気が引けてしまいました)」………………2001年12月15日 午後――――横浜基地 内部の十字路にて。「それじゃあ七瀬、神代。今回は有難う」「と、とんでも有りませんッ!」「此方こそ色々と学ばせて頂きました!」「HAHAHA。なら俺は副司令の所に行くから、そっちの報告の方も頼んだよ?」「はいッ! それに篁中尉達への報告後は、直ぐ様 私も訓練に参加しようと思います!!」「やる気が有って結構 結構」「あの、白銀少佐。私は"どの辺り"まで喋っても良いのでしょうか?」「神代も……あの席に同伴してた時点でアソコで有った事は言って良いと思うぞ?」←投げ槍「り、了解しました(……でも慎重に言葉は選ばないと)」昨日と同様 神代の運転で横浜基地に戻って来た俺達は、伍長ズに出迎えられると内部に入って通路を歩く。そして俺・七瀬・神代は互いに帰還後の目的が違う為……途中で別れる事となり自然と敬礼をし合った。それぞれの報告する人物は聞いての通りであり、先に唯依達と会うのも良いが ゆ~こさんの方が優先される。ソレに一つ"聞きたい事"も有るしな……よって俺は2人に背を向けると、真っ先に執務室を目指すのだった。≪ガシューーーーッ≫「白銀少佐、只今 戻りました~」「お帰りなさい」「今話 大丈夫ですか?」「大丈夫よ? 問題無いわ」「――――副司令は言っている」「はぁ?」「い、いえ……何でも無いです。じゃあ早速コレを見てください」「武御雷(黒)のモノ?」「そうなりますね」静かな空間で足音を響かせつつ歩み、執務室に入ると何時もの様に ゆ~こさんがパソコンと向かい合っていた。そんな ゆ~こさんは直ぐ作業を中断し此方に注意を向けてくれた為、俺は彼女に近付き持っていた書類を渡す。対して書類を受け取った彼女はソレを広げて目を通す事 2~3分……俺は もう少し待つと思ったのだが……「へぇ……武御雷(黒)5機をくれるとは聞いたけど、専属の整備班 付きな上に損傷による負担も請け負う。 それに改造や迷彩も好きにしても構わないなんて……アンタは余程 斯衛に良い印象を与えれたみたいね」「特にヴォールク・データをクリアした時は皆 感動してたみたいスから」「一流の衛士にとってはソレが"普通"だと思うけどね。ウチの衛士達も見習うべきよ」「ま、まァ"演習の件"での対応はソレなりに柔軟でしたから、進歩してると思いますけど?」「今はアンタに免じて"そう言う事"にして置くわ」「有難う御座います」――――やはり書類に対する理解の速度が半端じゃ無い、俺は車の中で ずっと唸りながら目を通してたのに。「それで……この武御雷(黒)5機は榊達に与えるって事で構わないのね?」「はい。ソレで御願いします」「でも そうなると問題が生じるわ。分かってると思うけど、予定通りA-01に組み込むのは得策とは言えない」「ですよね~。斯衛側は"XM3搭載機の武御雷(黒)5機のみ"が叩き出した戦果とデータが欲しいんでしょうし」「そう言う事。ソレに対してアンタは どう考えてるの?」「全く別の部隊として構成するしか無いですね……今のA-01は丁度良い隊員数だったりしますし無難かと」「だったら部隊名を考えて置きなさい、最後に聞くから」「最後に? ……ってか、何で俺が決めないとダメなんですか?」「だって面倒臭いもの」「へぇあ」「それに他にも迷彩やら改造やら決めて貰いたい事が有るんだから、ちゃっちゃと行くわよ?」「だ、だから何で俺が!?」「あたしは今 結果を知った ばかりなんだから無理だし、アンタが責任を持って決めるのが普通でしょ?」「うぐッ……で、でも72通りの考えが有るから……どう纏めれば良いのか……」「(やっぱり考えてたのね……)ソレなら一個一個 決めてゆけば問題無いわ」「だったら構いませんけど、ダメだったら遠慮なく却下して下さいね?」こうして俺は ゆ~こさんと色々と打ち合わせを行い、入手した5機の武御雷(黒)の"扱い"を決める事にした。先ずは全ての武御雷(黒)に国連軍の機体と分かる様にブルーのラインを入れる事を提案すると、彼女は許容。また千鶴の機体が隊長機と一目で分かる様にブレード・アンテナっぽいのを付ける様に御願いすると其方もOK。そんでもって"改造"はS型(頭部バルカン砲+胸部マルチ・ランチャー)仕様にするとコストが高そうなので、F型(頭部バルカン砲)仕様にするのはどうかと告げてみると、コレに関してOKしてくれたのは自然だとして。調子の乗って部隊名を、FMを肖って"快速反応部隊"と名付けてみてもアッサリ許可しちまったのは意外だった。ソレによって俺は恐らく彼女は"機嫌が良い"のだろうと断定し、先程も述べた"聞きたい事"を告げる決意をした。……余談だがブレード・アンテナっぽいのに関しては、千鶴機を発端に以後 全世界で流行ってしまう羽目となる。「まァ"こんな所"かしら?」「すんません。色々と無理を聞いて貰えたみたいで」「面白そうな発想も有ったし大丈夫よ(……色々と借りも有るしね)」「……ところでイキナリ話が変わって申し訳無いんスけど」「何よ?」「――――"00ユニット"は完成したんですか?」「!?!?」「え、えっと……数式を持ち帰って1週間 経ってるんで、少し気になりまして……」(びくびく)「白銀(コレに関しては正直に言うしか無いわね)」「はい?」「00ユニットは御陰様で完成したわ……でも、同時に"鑑 純夏"は死んだ」「……ッ……」「直接 手を下したのは あたし。BETAは生きたままバラバラにしたダケ」「そうですか」「(唐突に聞かれるのは意外だったわね……でも思いの他 落ち着いてる?)」「(良かった完成してたのかッ! 今のタイミングで聞いて正解だったZE)」「どう? 白銀。あたしに殺意でも感じたかしら?」「いや全然」「なっ!?」「"純夏"が00ユニットとして生まれ変わらない限り人類は勝てないんです。文句なんて言う気は無いですよ」「そ、そう」「でも……00ユニットの名を呼ぶ時は"鑑"か"純夏"って言って貰えると、俺としては嬉しいですね」「!? ……ッ……ぷっ……ふふっ。恐れ入ったわ……アンタって、あたしが思ってた以上に"大人"だったのね」「そりゃ(永遠の)28歳ですから。最初に言ったの忘れてました?」「確かに覚えてるけど、それ以上にって事よ」「えぇ~っ、酷いなァ。だったら老けてるって事じゃないッスか」「アハハッ、御免なさい。ともかく00……鑑が完成したと知ったのなら、話は早いわね」突然 話を極めて"重要"なモノに変えた事で怒られるかと思ったけど、ゆ~こさんは普通に完成を告げてくれた。また原作通り命を奪われても良い様な台詞を言いそうだったが、その前に彼女を許してしまう事で未遂で終了。ソレに関しては彼女の方が意外だった様で、ゆ~こさんは笑みさえ浮かべており普通に見惚れてしまいました。しっかし一週間で完成させてしまう仕事の速さに感心してしまうのは さて置き。彼女は ふと表情を改めた。対して言いたい事は有る程度 予想が出来る。原作と違って、今の"純夏"は肉体を取り戻した直後だと言う事だ。「……どう言う事ですか?」「仮の肉体を得たとは言え、鑑の精神は極めて不安定。今の ままじゃ何も役目を果たせないわ」「何となく予想はつきます」「どう? 鑑に会ってみる? アンタにとっては辛い再会かもしれないけど」「……う~ん……」「別にムリに行く必要は無いわ。少しは何らかの変化が有るかも知れないけど、今 必要なのは時間よ?」「それでも……会って見ようと思います、少しでも安定して貰えれば儲けモノですし」「ふぅん。だったら止めないけど、気を付けなさい? 今は社が見てるけど、拘束を解けば手が付けられないわ」「そんなの望む所ですよ。良し……早速 行って来ますねッ?」「あっ……」「それじゃ~失礼しました!!」≪ガシューーーーッ≫「(折角だし少しは気の利いた事を言いたかったけど、やっぱり鑑か……少し妬けるわね……)」「(純夏の完全復活が早まれば、キャッキャウフフのイベントも早まるぜッ! 燃えて来た!!)」……………………数分後。以前 純夏の脳味噌が浮かんでいた"例の部屋"の前まで来ると、霞が俺の事を待ってくれていた。何故なら此処を目指す際 心の中で霞の事を強く呼んでいた為であり、即ちリーディングの有効活用である。さて置き。対面した霞は眉を落として"どよ~ん"とした表情をおり……間違いなく純夏が関わっているんだろう。「白銀さん(……私の名前を呼んだのに加えて、鑑さんの死を知った事も教えてくれました)」「霞。純夏の事なんだが……どんな感じだ?」「え、えっと……今は取り付く島が無いとしか言えません……」「そうか。だったら尚更 純夏を宥めて やらないとな」「あっ! ま、待って下さい白銀さんッ」≪ガシューーーーッ≫『うああああぁぁぁぁッ!!!!』「うわっ、びっくりした」「(白銀さんには……出来れば"こんな鑑さん"を見て欲しく無かった……)」『殺すッ! 殺してやる!! 殺す殺す殺すッ! うがああああぁぁぁぁッ!!!!』「……ッ……」『バラバラにしてやる!! 八つ裂きにしてやる!! 皆殺しにしてやる!! 死ね死ね死ねええぇぇッ!!!!』「(やっぱりショックを受けている? 無理も有りません……一番大切な人が"こんな様子"なんですから……)」入り口を潜った直後 見たのは、赤味の掛かった長髪にトレードマークのアホ毛を生やした"鑑 純夏"の姿だった。しかし彼女は悪の組織に掴まったライダーの様に大の字になって拘束され、天井に向って謎の奇声を上げている。当然 不安定な状態である純夏は俺達の来訪に気付く筈も無く、ひたすら見えぬ"何か"と戦い続けている様だ。そんな彼女の姿は灰色のスポーツブラ+パンティ姿であり……流石に軍服を着せれる状況じゃ無いってワケか。対して俺はガチャガチャと拘束に抗いながら叫び続ける純夏を見て、心配そうな様子の霞を横に次の様に呟いた。「歪みねェな」――――その台詞は"レスリングシリーズ"の巡回を欠かさなかった俺には自然な物で有った事は言うまでも無い。「???? 白銀さん?」「霞。すまないが、純夏の拘束を解いて やってくれないか?」「えっ!? そ、それは危険です……今の鑑さんは動く者 全てを敵と認識していますから……」「大丈夫だ、問題無い」(3回目)「……ぅッ……ですけど、力も尋常では無く幾ら白銀さんでも抑えきれるかどうかは……」「頼むよ霞。俺は純夏の全てを受け止めて やりたいんだ(……勿論 性的な意味で!)」「!? ……わ、分かりました……でも無理と分かったら直ぐに応援を頼みますからね?」「そう成らない様に頑張ってみるよ」其処で俺は純夏を宥める為 霞に拘束を解いて貰う様に依頼し、彼女は部屋の隅に有るスイッチに手を伸ばした。その直後の拘束娘の行動は大体 察する事ができ、少なくとも肌と肌が触れ合ってしまうのは必然となるだろう。勿論 胸が当たったり逆に尻を触ってしまう場合も有るだろうが、コレも純夏を宥めるには仕方無い事なのだ。≪――――ガチンッ≫『!?!?』「…………」≪――――ばさっ!≫霞の手によって拘束が解かれた純夏は、ガバッと上半身を起こすと俺と目を合わせ……激しい殺気を放って来る。そして立ち上がると肉食獣の様に俺を威嚇するので……それにビビりながらも俺は上半身の軍服を脱ぎ捨てた。本来で有れば今の純夏の様に下着姿になっても構わないんだけど、霞が居るので上着ダケで妥協するしか無い。そうなると、くれぐれも破られるのには注意しないとな。彼女が自分の下着に手を掛ける分には良いんだけどね!『ふうーっ、ふうーっ、ふうーっ!!』「マルチ☆ゲイ☆パンツ(やらないか?)」「(えっ? Why don''t you get fucked?)」『みんな……殺すッ……殺す殺す殺す殺す!!!!』「構わん、H行こう!!」「(Come on, let''s go? やっぱり……白銀さんは本当に鑑さんを救う気で……)」『うがああああぁぁぁぁーーーーッ!!!!』「♂いざぁ♂」――――こうして本格的マブラヴ・オルタレスリングが開始されるのでした。全ては純夏の姿が悪いんだよ!!●戯言●本来もう少し早く更新できたのですが、エルシャダイの登場により全面的に書き直す事になってしまいました。今回は遂にメインヒロイン純夏の初登場となったんだが、レスリングネタで大丈夫か? 大丈夫だ、問題無い。何せ誰でもマブラヴの女性キャラとはレスリングしたいと思いますから。また次回 冒頭もレスリングネタです。http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=12745070タニシ氏による17話での挿絵です。多謝! 差分に年齢制限が有るので御了承の上 注意して御覧下さい。