これはひどいオルタネイティヴ51(前編)2001年12月14日 午前――――七瀬に続いて"伊隅 あきら"が新たな仲間として加入した翌日の朝。「さてと。それじゃ~そろそろ来る頃かな? 後の事は頼みましたよ~?」「は、はいッ」「皆の事は御任せ下さい」「伍長達も先日が先日なんで気合入れてといて下さいね?」「ははっ!」「気を引き締めて務める次第で有ります!」……今現在の俺は、横浜基地の入り口で2人の伍長を近くに唯依&まりもちゃんと向かい合っていた。御存知の通り急遽 帝都にて殿下と会う事となってしまったので、コレから出発するので御座います。ちなみに此処に来るまでの経緯としては、先ず朝に霞・唯依・イリーナちゃんの何時もの3人に加え、何故か七瀬まで霞 以外の2人と一緒に俺の部屋を訪ねて来ており……その4名の顔を朝ッぱらから拝んだ。しかし何故 4人にも……どうしてこうなった? そう霞 以外の娘らに小一時間 問い詰めたいのはさて置き。朝食は昨日と同じ13人のメンバーと食い、あの時は特にハブられる事も無く会話を弾ませる事が出来た。余談だが前回の訓練の時に、俺 不在中のカリキュラムは既に話し合っていたので今朝は必要 無かったです。何と言うか彼女達は俺が必要最低限の事を喋るダケで直ぐに話を纏めてくれるので無知な自分には本当に助かる。≪あ、あの……白銀少佐ッ≫≪んっ? あァ、神代少尉か≫≪今回は宜しく御願いします!≫≪こっちこそ≫そんで飯を終え食器を戻したタイミングで神代が声を掛けて来たので、其処で霞たちとは敬礼しあって別れ、見送りに来たいと言う唯依&まりもちゃん+同伴する七瀬&神代を連れて横浜基地の入り口まで向かい今に至る。神代は俺から受け取った"白銀が少佐に成る際に受け取っていた必要無いハズの車のキー"を手に、七瀬と一緒に一足先に車を用意しに行ってくれている最中であり、そろそろ此処にやってくると思うが……此処で待っている間、昨日ゆ~こさんと話した事をちょっとダケ説明して置こう。細かい内容は抜きにして。何とですね……彼女は俺が好きな様に交渉して良いと言ってました。"お手並み拝見ね"とニヤニヤとしながら!一応トライアルでは様々な貴重なデータを"魅せ"まくりはしたが、今後 極めて重要な交渉の材料となるので、紛れ込んでいたと思われる帝国軍の人間には、ログすら持ち出されない様に国連軍は細心の注意を払っていた。ソレをアッサリ俺に丸投げするとか……当然ゆ~こさんには問い質したけど、俺を信用してくれてる……のか?そうだったら凄く嬉しいんだけど、00ユニットは間違いなく完成するしミスした事を理由に解雇されないよな?だから俺は普通に緊張してしまっており、この気分は好きになれない。まァ……何度も経験して慣れたけどね。よって成るべく彼女が許してくれそうな情報の提示ダケで僅かであれ戦力の更なる向上を目指す必要が有る。だけど……ゆ~こさんは"武御雷の一機やニ機は貰って来い"って言ってたし"流石にキツいですよ"と問うと……≪別に無理にとは言わないわ。でも戦力は多くなるに越した事は無いでしょ~?≫≪そ、それは御最もですけどね……武御雷のS型への改造は"こっち"ですれば良いんですし≫≪分かってるじゃない。でも本来の目的は殿下との面会なんだから、気楽に行きなさい気楽に≫≪殿下と謁見する事 時点で気楽で済みませんってば≫≪それもそうね(……ま~武御雷は期待するダケ無茶な話だけど、コイツなら旨く交渉できるかもね)≫≪んじゃ~そろそろ晩飯なんで失礼しました~≫ ←逃げたダケこんなカンジで別に戦果が無くても構わない様な流れに出来たので、其処で撤退して保険を作りました。……その後 晩飯を食う際 皆が食事に手を付けずに俺の帰りを待って下さっていて感動したのも さて置き。俺に様々なデータを預けてくれたのは彼女は口を滑らせたダケと言う事にして、出し惜しみを心掛けるか。流石に武御雷(黒)12機あげるから○○のデータを頂戴! ……とか言われたら考えるかもしれないけどね。でも"どの辺り"までの情報提供が可能か分かっていそうなイリーナちゃんやウォーケン姉妹が一緒に来るなら、話は全然 違ってくる思うんだけど、神代は知識は有れど斯衛であり七瀬は加入した ばかりなので理解不足……よって結局は俺が"全て"の判断をするしか無く、考える度に頭痛を感じてしまうが深く考えるのは止めよう。≪――――ィィィィイイイインッ≫「白銀少佐~ッ!」「お待たせしました!」「おっ? ご苦労さん」……そう自己完結していると車を調達して来た七瀬が現れ、運転していたと思われる神代も近付いて来る。ありゃ? てっきり緑っぽい屋根無しのジープみたいなのを予想したんだけど、白い普通自動車じゃないか。俺なんかにタダ同然で寄越す車なんてポンコツだと思ってたけど、見た目も悪く無いしコレは意外だったZE。それにしても忘却の彼方だった一応の俺の車を、まさか殿下に会いに行く為に使う事になるとは思わなかった。「では出発 致しましょう!」「運転は私が行いますッ!」「有難う神代少尉。では行ってきま~す」「白銀少佐に対し敬礼!!」×2『――――ッ』こうして出発となり、唯依&まりもちゃんと同様 伍長ズも敬礼するので負けじと俺達側の3名も敬礼で応えた。んで車に乗り込むんだけども……七瀬は若干 動きが遅れていた。何だか唯依と視線を交わしてた気がしたな~。しかし俺の勘など当たった試しが無いので、特に気にする事もなく後部座席で七瀬が入ってくるのを待った。「(頼んだわよ? ……七瀬少尉……)」「(出来る限り務めてみます、篁中尉)」……………………昨日の午後、篁中尉の自室にて。「失礼します篁中尉……何でしょうか? 大事な話とは」「率直に言うわ。武さんについてよ」「えっ!?」「彼は明日 帝都に赴く……そのうち突撃機動部隊で行動を共にするのは貴女しか居ない」「な、何を仰りたいのですか?」「つまり武さんを支える事が出来るのは、貴女ダケなのよ」「!?!?」「そ、そんなに大袈裟に捉えなくても良いわ。それよりも貴女も知ってるでしょ? 武さんの体の事は」「あッ……はい。い、今は肉体よりも精神的な苦痛が強いと今朝 社少尉が言っていましたが……?」「そう。だから今回の謁見の合間には、武さんには出来る限り体を休めて貰いたい……ソレを貴女に頼みたいの」「頼みたい?」「きっと彼の事よ……殿下との謁見が終われば直ぐ様 横浜基地に戻ってしまって、訓練に途中参加する筈。 でも今迄はクーデターでの怪我などを理由に無理は避けて来たけれど……これ以上は彼を抑えられない」「……(お兄様に遊んで貰いたくって訓練を止めるのを促した事も有る私には耳が痛い話だわ)」「なのにクーデターは完全な無駄な戦いだった。だから激戦となるのは"コレから"と言う事になる」「!? となれば……今の時点でも無理をしていると言うのに、コレ以上 カラダに負担が掛かってしまえば……」「武さんは――――間違いなく死んでしまう」「そ……そんなッ……」「だから七瀬少尉。出来るだけ武さんに休息を促して」「私に出来るのでしょうか?」「――――御願いッ!」「!?(な、涙を……篁中尉は"それ程"白銀少佐が心配だったのね)」「勿論 武さんの"決意"には……私達の言葉など意味を成さないのは分かってる……」「……ッ……」「だけど、このまま見てるダケなんて……うぅっ……私には耐えられないッ!」「篁中尉……」「ごめんなさい。みっともない所を見せてしまったわ」←涙を拭いながら「そ、そんな事は有りませんっ! 白銀少佐を気遣う気持ちは……とても良く伝わりました!!」「あ……有難う」「ですから――――」≪何故なら君は似ていたのさ≫≪えっ?≫≪以前の俺と……ね≫≪!?!?≫×2「七瀬少尉?」「私の様な新参者の言葉に耳を傾けて頂けるか どうかは分かりませんが、白銀少佐を亡き兄と思う気持ちで、 休息を促してみようかと思います。彼に受けた恩の御陰で……今の私が有ると言っても良いのですから……」「そ、そう……其処まで考えてくれたのなら後は何も言わないわ(……何か引っ掛かるけど)」「ところで」「何かしら?」「その……篁中尉の話し方に先程から……」「やっぱり違和感が有った? 実は武さんに貴女に対する口調を変える様に言われていたの」「な、成る程……そんな事を」「武さんは そう言う少年らしい所も多いのよ?」←少し得意げに「それなら……やっぱり"あの事"は本当なのですね」「あの事?」「訓練の休憩の合間に神宮司中尉に御聞きしたのですが……衛士訓練部隊の総戦技評価演習に同伴した時、 晴れて合格が決まった訓練兵達と一緒に、日が暮れる迄 遊び続けていたと聞きました」(12話 参照)「!?!?」「始めは白銀少佐の武勇を聞くに半信半疑でしたが、今の篁中尉の話で間違い無いと――――」「七瀬少尉ッ!」「えっ!? ど、どうしましたか?」「詳しく聞かせて! その話っ!」「(篁中尉は私の目標とする衛士だと言っても良い……だけど今回で少し分からない一面も見えてしまいました)」………………――――時は戻り横浜基地近郊の道路を走る車内にて。「どうしたんだ? 七瀬。ボーッとして」「!? い、いえ……何でも有りません(……昨日の話を思い出してたとは言えないわッ)」「そうは見えないな~。やっぱり緊張してるんだろ?」「うッ(……考えてみれば白銀少佐の件ダケでなく、私などが殿下に御会いする事ができるなんて……)」「やっぱりか。まァ肩に力を入れる必要は無いさ……俺は既に例の事件の時 実際 殿下と会ってるんだけど、 普通に"話せる人"だったし硬いイメージを持ってるなら見当違いだと思うぞ? 大きな声じゃ言えないが」「そ、そうなのですかッ?」「うん。だから問題なのは周囲の人達の威圧感とかになるかな?」「はあ」「いかんせんソレに俺は慣れてるってワケじゃないけど、帝国軍に居た七瀬なら大丈夫だと思うよ」「だと良いのですが……(ひょっとしてコレは私の事を励ましてくれているの?)」「間違い無いって。そんなワケで気楽にイこう気楽に。ゆ~こさ……副司令も そう言ってたしね」「……ッ……(ダメよ! 出発早々 私が心配されてしまうなんてッ)」「んっ? 七瀬?」「いえ、お気遣い有難う御座います。ですが白銀少佐も今回を機に羽を伸ばす気持ちで――――」「羽を伸ばす?」(ピクッ)「あっ!? そ、その……すみません。今のは失言でした」「いや別に気にして無いけど」現在 神代は運転しており、七瀬は真横に座っているので自然と俺は後者の娘と会話して暇を潰す事となる。そんな話し掛けようとした時の彼女の横顔には見るからに硬さが有り、当然の如く其処を指摘したんだけども。やはり訓練兵上がりで殿下と会うのは緊張する様子。原作の白銀も同じ立場だったけど、価値観が違ったしな~。されど何故か七瀬は此方の事も気遣って下さり"羽を伸ばす"と言う台詞に つい反応してしまった。駄目な意味で。何せこの空白の数日間は前から休みたい思っており、イリーナちゃんの言ってた事を思い出してしまったのだ!≪そうです白銀さん。謁見を済ませれば何日か帝都でカラダを休めるのも良いでしょうし≫≪イリーナ中尉まで!?≫……でも彼女が冗談で"あんな事"を言うハズも無いし休んでも良いのか? 実際のトコロはどうなんだろう?だけど七瀬は直ぐに言葉を慌てて撤回したので、やっぱり自重する方が良いのかな~? なら謁見後は蜻蛉帰り?う~ん、そもそも帝都で体を休めるって事になると七瀬と神代と泊まる事にもなるし何より聞こえが悪いZE。よってソレに関しても深く考えない事にして、休めそうな空気なら便乗すれば良いか。疲れてるのはホントだし。そんな事を無表情で七瀬を見つつ考えていると……彼女は何処かしらアセアセとした様子で話題を変えて来た。「と、ともかく……私は神代少尉を見習わなくてはなりませんね」「…………」≪ブロロロロロロロロッ……≫「ソレは俺も思った」「(私もお兄様が居なければ、神代少尉くらいの年で戦場に出ていたのかしら?)」今 七瀬の言った通り、神代は先程から会話には混ざらず無言で運転を続けるという見習うべき行動をしていた。いや斯衛ならソレが普通なのかもしれない。むしろベラベラとダベっていた事と月詠さんにチクられたら困るな。だから無駄な会話は切り上げる様にして殿下と謁見する時の対応や その後の交渉について適当に考えて置こう。「(うぅ~……白銀少佐と同伴するダケじゃなく殿下に拝謁できるなんて……昨日からずっと緊張しっ放しだよ。 嗚呼 緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張 する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する白銀少佐 緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する緊張する」「ところで七瀬。帝都には後どれ位で着くカンジだい?」「間も無くかと思います」「そーなのかー」んなワケで"その会話"を最後に俺は顔を逆に方に向け、外の景色を眺めながら帝都への到着を待つ事にした。そんな目の前には見渡す限りの廃墟が広がっており……真・女神●生の世界崩壊後の音楽が脳内に響いてくる。流石に横浜基地と帝都を繋ぐ道路は多少は整備されていて、多少の車とは擦れ違ってはいるけど……酷いモンだ。訓練や実戦の時は気にする余裕は無かったけど、この視点だと実感するので何だか哀愁を感じてしまっていた。「……(す、素敵な横顔ね……って、わわわ私は何て事を考えているの!?)」「(何でエロ漫画ってツボった作品に限って一話限りなのが多いのかな~?)」――――でも白銀は"今後"の事はちっとも考えずに、つい現実逃避と洒落こんじゃってたんだ☆●戯言●今回は短くて(11KB程度)すみません。次回は成るべく早く更新しようと思います。