これはひどいオルタネイティヴ48(前編)2001年12月11日 午前――――横浜基地 地下19階・執務室に続く通路にて。「今は ゆーこさん、何してるかな? 霞」「きっとパソコンに張り付いて居ると思います……何せ……」「とうとう数式が手に入ったんだしなァ」「はい。それに……トライアル関連での"手続き"も多く有りましたから」「此処ばかりは忙しいのも仕方ないか~」「そうかもしれません」イルマ・テスレフが加入した翌日の朝。つまり重要なイベントであるトライアルが行われる当日。先ずは霞・唯依・まりもちゃん・イリーナちゃん・ウォーケン姉妹・米軍3人娘・イルマら11名での朝食後、ウサギを除く9名と分かれ俺は2人で執務室を目指していた。偉く大所帯になってしまったが嬉しくも有る。ちなみに唯依が抜けたのは、巌谷さんとのトライアルでの打ち合わせの為。……主に不知火SⅡ型について。何故なら俺達"突撃機動部隊"は今回トライアルの選手(?)としては出場しないんだが、別の大切な役割が有り、唯依はデモンストレーター・カラー(カイゼルver)のSⅡ型に搭載して新機体の"御披露目"を行うからだ。どうしてEXのカイゼル・カラーかと言うと、俺が"戻った"際に楽しんだバルジャーノンのプレイ風景を、能力で"観ていた"霞が反映させたっぽいからであり、意図は分からないが彼女が絡んでいるのは間違い無い。≪何なの? 社……この妙なカラーリングは。何か意味が有るの?≫≪機体性能に関しての意味は全く有りません……でも……≫≪でも?≫≪白銀さんが行っていた"あちら"でのシミュレーターで見た機体のモノを真似てデザインしてみたんです≫≪ふ~ん(……もしかして、白銀が喜びそうだったから遣ったとか?)≫≪……ダメでしょうか?≫≪まぁ、悪く無いんじゃないの? 塗装はまだ だろうし、巌谷中佐に話は通しとくわ≫≪あ、有難う御座います≫……さて置き。話を戻すと唯依は"帝国技術廠"本来の仕事の為 一旦 俺の傍を離れているってワケだ。んで まりもちゃんは俺の部隊に入っては居るモノの、トライアルに参加する元B分隊の所に行っている為。イリーナちゃんは何時もの如く ゆーこさんに丸投げされたと思われる今日のイベントによる職務の為に。更に米軍3人娘は飯を食って直ぐウォーケン姉妹に連れて行かれてしまった為、彼女達も別行動となってます。そしてイルマは身柄を確保されていると言う家族に会う為に、護衛と言う名の監視付きで近隣に出向いている。≪それでは伍長。引き続き警戒を怠るなよ?≫(キリッ)≪はっ!≫≪御任せください、少佐殿!!≫≪そう言えば先日は迷惑を掛けたね?≫≪と、とんでも有りませんッ!≫≪此方こそ副司令の直属とは知らず、申し訳有りませんでした!!≫≪なんのなんの~≫≪(ま、まさか突然現れたイカれた小僧が凄腕の衛士……しかも少佐だったなんて)≫≪("アレ"は演技だったのか……ちっとも気付かなかったし、凄い人だったんだな)≫――――見送りの際 顔を合わせた伍長ズが何かボソってた気がしたけど、べべべ別に気にしてないモンねっ!≪彼女を頼んだよ? 速瀬中尉・涼宮少尉≫≪あ~あ、ホントはトライアルに出たかったんだけどなァ~≫≪生憎 彼女の事情を知っていて、手が空いてるのは私達2人しか居ないし仕方ないですよ≫≪ははは。まぁ、他のヴァルキリーズのメンバーに比べたらマシなんじゃないかい?≫≪う~ん……確かにそうかもね~。トライアルに参加するドコロか誘導や案内を遣らされるみたいだし≫≪多恵達、大丈夫なのかなぁ?≫≪それじゃあ、イルマ少尉。分かってるとは思うけど≫≪は、はい。この様な機会を頂けて感謝しています(……夢みたい)≫≪だから妙な気は起こさないでよね~?(勿論"コイツ"にもね!)≫≪白銀少佐の期待を裏切るような真似はしないでください≫≪そう苛めてやるなって。それじゃ~戻ろうか? 霞≫≪はい(……どうやらテスレフ少尉は"大丈夫"みたいです)≫察しの通りイルマの監視&護衛役は速瀬&涼宮(妹)であります。他のA-01のメンバーは実は事実を知らない。コレもテレサ少尉が手を回していたからであり、ホント最高の形でイルマを引き入れる事が出来たモンですな~。それも ともかく。俺は俺で自分の役割の確認の為に ゆーこさんが居る執務室を目指しているワケであります。何気に俺は"今回"のトライアルで何が行われるかを殆ど知らない。正史は大まかに分かるがソレだけじゃねぇ?色々と追加イベントを起こしちまってるから、ただ単にXM3の御披露目ダケじゃ無いのは確定的に明らかッ!原作ではBETA強襲で出撃したと思われるA-01が ゆーこさんの気紛れで案内役などに回されているのだ。だからイザと言う時に旨く立ち回れず誰かに死なれると困るので、忙しかろうと執務室に御邪魔しちゃうのさ!!……って思って居るウチに到着した様で、俺は霞を差し置き走り出すと遠慮する事なく自動ドアの方へと向った。「おはよ~ございまァ~す!」「……失礼します」≪ガシュウウゥゥーーッ≫「…………」「ありゃ?」「……(どうやら"忙しい状況"の博士みたいです)」≪カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ≫執務室に入ると、予想通り作業中の ゆーこさんの頭がパソコン越しに見えた。そして俺達には気付いていない。やはり数式入手が響いて居るのか極めて集中している様子。以前(26話)も似たような事が有った気がするZE。生憎その時は2時間も待たされてしまったが、今 其処まで待っていては大事なトライアルが開始されてしまう。よって見るからに"邪魔すんな"と言うオーラを漂わせている彼女の……極端な話、邪魔をしなければならないッ!「霞ッ」「え?」「GO!!」「……ッ」――――だけど怒られるのが怖いから、霞にお願いする事にしちゃったんだ☆ ファ●マ入店音の採用を要求する!………………"GO"と霞に言った時、強く頭の中で"ゆーこさんの作業を止める事"を訴えたので彼女は行動に移してくれた。しかし……5分が経過しても状況は一向に変わらなかった。声掛ける霞も大変だろうが俺も暇すぎて足がダルい。何せ見守っている間 足を微動すらさせてないからな……ってか、そろそろ諦めて俺が動くしかないのか……?「あの、香月博士」「…………」「白銀さんが話したい事が有ると……」「…………」「こっち……見てください、博士」「…………」≪カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ カタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタカタ≫「~~ッ」「(う~ん、ダメそうだな)」霞に十分頑張ったと感じた時、彼女も諦めたのか眉を落として俺の方に視線を向けて来た。ゆーこさんの真横で。早い話 肩にでも手を置いて少し揺すれば作業を中断させれたんだろうが、其処までの度胸は無かったみたいだ。まぁ、俺も以前 怖くて邪魔出来なかったから仕方無いけどね。……とは言え今回は霞の行動を無駄にしたくない。よって……以前から"遣りたかった事"も有ったので、俺は霞の視線に対し頷くと静かに ゆーこさんに近付いた。「……(良~し)」「……(今 博士がしている作業は途轍も無く重要なモノなので無理でした……それでも白銀さんはあえて?)」「……(やっちゃうぞ☆)」「……(凄い度胸です。やっぱり白銀さんは尋常じゃない器量があるんですね)」――――そして横から片手を伸ばすと、指をキーボードの[Q]と[A]に沿え。≪カタタタタンッ≫――――そのまま右にへとスライドさせた!!くぁwせdrftgyふじこlp「ふじこ?」←夕呼「ふじこ?」←霞「(ミスらなかったZE)」「……って白銀? アンタ何時から居たの?」「5分前に。さっきから其処に霞も居るじゃないスか」「すみません」「あら そうだったの? ソレより何よ? 折角 集中してたのにッ」「普通にゴメンナサイ。でも"今日"トライアル以外で何が施されるのかを教えて欲しいんですよ」「そう言えば耳に入れて無かったかしら?」「"篁"達から大体は。でも新しいS型の手配とかシンクロ・システムとか新武装やら色々と有るじゃないスか」「……ッ……」「(博士……やっぱり作業を邪魔されたのを怒っている?)」「("姉妹"の件については間に合わなかったから、此処は見返りを詳しく説明してやる必要が有りそうね)」「ゆ、ゆーこさん?」「まぁいいわ。先ず邪魔した事は多めに見てあげる」「有難う御座います」「礼はまだ早いわよ。それよりも一度しか説明しないから良く聞きなさい」「Hai!」「……ッ……(相変わらず調子 狂うわねコイツ)」「どうしかしたんスか?」「何でも無いわ。じゃあ先ずは新しくアンタ達の部隊に配備される戦術機についてだけど」どうやら例のネタはスルーされてしまった様だ。何も知らないと分かるハズないから、ま~仕方ないね。とは言え ゆーこさんは怒らなかったので安心しつつ彼女の有り難い説明を聞けるに至る。時間にして10分。流石に彼女の前ではメモなんて格好悪い真似はしたくないから、28ビットの脳で記憶するのが大変でした。自分のIQの低さに嫌悪。結局 大まかに行われている"正史と違う事"をホント大体 理解したに過ぎなかった。「ふ~む」「……と言った感じだけど、何か分からなかった事は有る?」「特に無いです」←例え聞いても理解出来ない的な意味で「流石ね(……癪だけど、あたしからの"見返り"は予想 出来る範囲だったみたいね)」「それほどでもない」「じゃあ あたしは作業に移るわよ?」「はい。詳しくは実際に見てみる事にします」――――正直 彼女の話は難しくてマジ理解 出来なかったので、これは必然的なモノだ。「そうしなさい……っと言い忘れたけど白銀」「何ですか?」「会場じゃ余り目立たない方が良いかもしれないわよ?」「それって――――ま、まさかッ」「そう言えば白銀さんは公(おおやけ)では"新OS・S型・新兵器・新システムの発案者、及び開発責任者"……」「あと"その他"諸々ね(……突撃機動部隊の隊長だとか)」「へぇあ」「ま~先日(クーデター)での噂も有って相当な人数が来るみたいだから、逆に大丈夫なんじゃない?」「どのヘンが大丈夫なんだか詳しく聞きたい気分なんですけど?」「前言撤回するつもり? さっさと行きなさい、最後に御披露目も有るんだから」「り、了解~。じゃあ失礼しま~す」「もう少しで一区切りだし、余裕が有ったら あたしも見に行くわ」「ほ~い」「……またね」「オゥ霞。また後でな~っ?」≪ガシュウウゥゥーーッ≫「行ったみたいね~」「……行かれました」「それで"読めた"の?」「相変わらず細かい感情の変化は……」「そう(……それだけ心身 共に常に冷静だと言う事ね)」「…………」「それにしても社?」「はい?」≪カタタタタンッ≫くぁwせdrftgyふじこl「……コレって何かの暗号なのかしら?」「わかりません」「意味は無いとは思うんだけど、アイツの事だし……う~ん」「……ッ……」「ふじこ?」「ふじこ~」……………………15分後。エレベータで地上エリアに戻った俺は、唯依たちと合流する事もなくトライアルの様子を見に行く事にした。たまには一人で行動するのも、目立たないし良いモンだな……さて置き、やはり正史とは違い催しが多い。ぶっちゃけた話、衛士達が競ったり戦ったりする"トライアルそのもの"ダケがメイン・イベントでは無いのだ。まるで東京・ビックサイトのイベントに参加する企業のブースの様モノが数箇所有り、各所に人が集まっている。原作では参加&見学人数が良く分からなかったが、現代のイベント程でなくとも俺が目立たないレベルの人数。よって注目を受ける事も無さそうで安心しつつ、俺はトライアル&催しの様子を眺めてゆく事が出来ていた。んで前述の通りXM3を原作と違い、格段に理解しているA-01のメンバーが催しに参加させられており……「それでは、続いて"キャンセル"を活用したクイック・ドローについてを……」「画面切り替えます」―――― 先ず涼宮(姉)が一条の補佐の元XM3全般の説明を大型モニターの画面を指しながら行っていて。「不知火S型に内装されている胸部マルチ・ランチャーは、ほぼ反動無くグレネードを放てます」「射出箇所は此処。予備弾薬が詰め込まれている場所は其方……右胸ですね」――――違う場所では風間が宗像の補佐を受けながら不知火S型の性能についての説明を行っている最中で。「次の順番待ちの方どうぞ~ッ! 通常のXM3・三次元機動 体感の筐体は此方になりまァ~す!!」「ヴォールク・データ。ハイヴ攻略シミュレーターのシンクロ・システム体感は大変混雑しておりまして、 要点ダケを抑えた約5分間となりますので御了承下さい!! ポジションは予め係の者に御報告を!!」「ハイヴ体感は1時間待ちと大変混雑しております、お急ぎの方は通常の体感コーナーに並んでくださ~いッ!」「わぁっ!? ち、ちょっと押さないで下さい!!(……と言うか何で私達がこんな事しなきゃダメなのォ!?)」「うおおぉぉっ!! な、何なんだよアレ!? 凄ェ……凄ぇよッ!!」←オランダ男「ねぇミュン、アンタも遣ってみなよ!! 絶対に度肝 抜かれるからさッ!」←ルーマニア女「そ、そんなに凄いのか……? アレ」「おう!! お前も入ってみろってッ! "柄じゃない"なんてモンじゃね~からよ!!」←ノルウェー男――――手間隙駆けて運搬されたシミュレーター筐体が並ぶ箇所では神村と葛城が案内を行っており。「……その為 爆風に巻き込まれないようにする為にも"多目的追加装甲・改"の運用も非常に重要です。 それでは……コレでフォールディング・バズーカについての解説を終わりにしたいと思いますが…… 続いて"この武装"を使用するに当たって生まれた"新しいポジション"の説明に移るので少々お待ち下さい」――――更にA-01では最もインテリとも言える伊隅が一人でバズーカの講義を行っていまして。「支援狙撃砲と拡散突撃砲は終了だな……良し篁中尉、次の画面に切り替えてくれ」「はい中佐」「では御待ちかね。不知火SⅡ型の解説に移らせて頂きましょう」「(衛士達は驚愕の連続ね。きっと他の場所でも……でも無理もないわ)」仕舞いにゃ巌谷さん&唯依が帝国技術廠が開発した兵器の説明を行っている。当然 何処も人で溢れています。うち唯依は数度の説明によるループを終えれば、俺と合流して3機の戦術機の"御披露目"に参加するのだ。ウチ1機は唯依が乗る不知火SⅡ型(カイゼル・カラー)。んでチェーンガン部分を改造した拡散突撃砲を装備。次に2機目は俺が乗る不知火・カスタム。正式名称は不知火S型・白兵改造仕様なのは さて置きまして。3機目は まりもちゃんの乗る不知火S型・砲撃支援 仕様。当然クーデターで活躍した支援狙撃砲を装備だ。……とまァ。ゆーこさんの言った通り、正史とは違って様々な催しが追加されてるみたいだな。良かったZE。トライアルも覗いたが、其方も凄い人だかりで何故か国連軍が期待値より かなり良い成績を残している様です。コレだと原作のメンバーは勿論 名無しの衛士達も"奇襲"で死ななくて済むのかな? マジそうなってクダサイ。そんな見学は2時間にも及んだんだけど、幸い誰とも目が合う事が無かったので、滞りなく全体を見渡せた。ちなみにトライアルとは少し関係 無い事だけど、先程 ゆーこさんに聞かされた事で"良い事"を挙げてみよう。≪そうそう。ラーニング・フレイドル・スリーブスのS型は既に搬入を済ませて配備させて置いたわ≫≪ま、マジっすか!? あぁ~、だから今朝2人(ウォーケン姉妹)に連れて行かれてたのかッ≫≪そう言う事。今回はトライアルとは無関係だし今頃 フィードバック・データの調整でもしてんじゃない?≫≪(……コレで無茶な提案をする手間が省けたな)≫つまり早くも米軍3人娘は愛機を入手できたワケで、ゆーこさんの素早い仕事には感心せざるを得ない。本来なら後の"強襲"を考えて撃震でも吹雪でも良いから、無理にでも機体を3機拵えて貰うつもりだった。佐渡島まで次の出撃が未定な現段階だと"今回"がライト達に初のBETA戦を経験させるのに適してるからね!……とは言え旧式の機体では不安なので当然フォローするつもりだったが、S型なら心強い事この上ないZE。流石にイルマ少尉の不知火S型は昨日の今日なので配備されていないが、そう掛からず搬入されてくるだろう。そんな事を思いながらスタスタと歩いて居ると、集まった多くの人々の案内役をしている"4人"の姿も見えた。残りのA-01のメンバー築地・柏木・麻倉・高原であり、時間が経過している今 少し暇が出来た様で……「あっ、白銀少佐だ~!」「えッ? 何処何処っ?」「え"ぇあっ!?」≪――――ザワッ!!!!≫「あ、あれがXM3を開発したシロガネ タケル!?」「今回のトライアルの主役とも言える、かの有名な……?」「世界最強の中隊・突撃機動部隊の隊長でも有るって言う?」「ず、随分と若いが……同じ名前なダケなんじゃないのォ?」「"白銀少佐"って呼んでたし間違い無いでしょ? それにアレらの性能を見せ付けられると……ねぇ?」「俺達"シロガネ少佐"に教えを受けたって言う新任の少尉らに手も足も出なかったんだよな~」目が合った築地が僅かに乳を揺らしつつ手を振り、柏木が反応すると一気に周囲から注目されてしまったッ!し、しまった!? 俺とした事が油断していたZE!! 折角ゆーこさんに釘を挿されたと言うのに……!!気がつけば……注目っ! 白銀……衛士達の……注目の的っ! 流石の白銀も今回の油断は……猛省……っ!≪……ざわ……ざわ……≫周囲の衛士達(男女比率3:7くらい)が何を言っているかは分からないが、これは恥ずかしくて敵いません。考えてみれば こんなに注目されたのは生まれて初めてじゃないだろうか? 無駄に女性が多いのも困ります。よって今の状況に(心の中で)苦笑いするしかない状況の中、俺は人ゴミの中で見知った顔を見つけた!!≪ダダダダッ!!!!≫「(来てくださいッ!!)」「(えっ? 白銀さん!?)」――――それは"まりもちゃん"であり、俺は走り出すと擦れ違い様に口パクで彼女に意図を促した。「あっ……少佐 行っちゃったね、遼子」「みたい」「多恵~、いきなりアレは不味かったんじゃないの~?」「や、やっぱり だべか? アハハハハ」……………………3分後。「ふ~っ。此処まで来れば大丈夫かな?」←息切れ無し「ハァハァ……一体……どうなされたのですか?」「ちょっと手違いで注目を受けちゃいましてね~、逃げる羽目になっちゃいました」「な、成る程(……大体 予想がつくわ)」「すみませんね、勢いダケで付いて来るように促しちゃって」「構いません。私も白銀さんに お伝えしたい事が有りましたから」「それは?」「あの娘 達の事です」場の流れで まりもちゃんと人気の無い場所まで逃れると、俺は彼女から元B分隊の戦況を聞けた。的を狙ったりする"競技"は原作との違いが良く分からないが、上位クラスと同程度。流石に大差はつかない様子。……とは言え国連軍の技量の向上が影響している様で、コレは正史には無かった様な気がしないでもない。されど模擬戦の戦果には目を見張るモノが有り、1回目と2回目は急遽 拵えられた相手とは言え中隊に圧勝。彼らは仮想敵としてXM3に始めて触れる衛士ばかりを相手にしていたが、先ず最後に当たった元B分隊に惨敗。2回目は別の仮想敵の中隊が相手だったが、前情報で1回目の元B分隊の戦果を知っていながらも完敗している。まりもちゃん曰く、彼らは今頃 空き時間で涼宮(姉)の講義を受けてるではないかと誇らしげに語ってくれた。成る程……千鶴達の訓練の成果は抜群な様で安心したZE。きっと正史じゃ最初から中隊 相手でも無いだろうし。まぁ頭部バルカン砲って言うチート武器も使ってるし妥当とは言え、頑張っているのは心より評価したいNE。「それで まりもちゃんは"御披露目"が近いから一旦 席を外したと?」「はい。後は全てが終わった後、あの娘達の評価に移ろうと思います」「ほほ~っ、ご苦労な事ですね。中尉として新しい仕事も多いってのに」「そ、そんな事は有りません。此処 最近は充実していますから」「なら良かったです」(ニコッ)「……ぅうッ……ところで……し、白銀さん」←小声そんなワケでトライアル&イベントの様子は大体 把握したし、そろそろ"奇襲"に備えるべきなのかな~?考えてみれば何時BETAを嗾けてくるか分からないし、腹減ってきたけど早く準備しておくべきかもしれん。生憎 今回は"御披露目用"の機体なので実弾を積めないから、気持ち的な意味でだけどね。変に疑われても困るし。「(……良し)」「まだ"御披露目"には時間が有りますから……よ、宜しければ一緒に催しを見て……」「まりもちゃん」「は、はいっ?」「俺そろそろ不知火・カスタムの中で待機してます。調整とか念入りに行いたいんで」「あうっ。そ……そうですか」――――あれ!? な、其処で何で悲しそうな顔をされないとダメなんですかッ? まりもちゃ~ん。「だから一人じゃ暇なんで一緒に行きませんか? 気の早い話ですけど」「!? と、とんでも有りませんッ! 参りましょう!!」「(成る程、俺と考えてる事は同じだったのか~)」「(やっぱり白銀さんは私の事を理解しているわ……その気遣いだけで十分です)」……………………2時間後。『コード991発生ッ、繰り返す!! コード991発生!!』『だ、第二演習場よりBETA出現ッ! 正面に要撃級を4体確認!!』『HQ了解。準備完了次第 即応部隊を向わせる、エリア2各機は敵の侵攻を阻止せよ』『それって何時なんだよ!? こっちは丸腰なんだぞッ!』飯は戦術機の中での栄養食で済ませ、不知火S型・カスタムの調整も終わらせ まりもちゃんと話していた最中。"御披露目"の時間が近付き、同じく強化装備に着替えてリンクに入ってきた唯依も会話に参加してたんだけど。遂に予想通り"異変"が起きる。忙しない通信内容を聞いての通り、BETAが何処からか出現したのだッ!!『来て見れば騒がしいわね……何か有ったの?』「聞いての通りですよ、ゆ~こさん」『あらあら。随分と空気を読まないBETAどもね(……相変わらず冷静なヤツだわ)』「(……自演乙)」『武さ……白銀少佐ッ! ど、どうされるのですか!?』『このままでは皆が……でも私達も実弾が無いし……』『(さあ、白銀は どう動くのかしらね~?)』「ふむ……なら此処は ひとつ」『…………』「俺がやってみるか」(既に肖り開始)『!?!?』『どう言う事よ? 白銀』「えっと……俺が単機で足止めをするんで、ライト少尉・フレア少尉・ブリザ少尉の出撃準備を急いでください」『えぇっ!?』×2『……本気なのね?』「当たり前ですよ。大した数じゃ無さそうですし、皆を下がらせてください」『聞いてたわね? ピアティフ』『は、はい……ッ……HQよりエリア2の全機、ハンガーに後退せよ!!』『了解!!』『おっ? 良いのか!? 下がるぞ!!』≪――――ヴンッ≫『白銀少佐~っ!』「あッ、テレサ中尉。カスタムに"例の兵器"は入ってるんですよね?」『は、はい……既に』「有難うセレナ中尉」『白銀少佐ッ! 無茶です!!』『いくら何でも非武装でなんてッ!』「大丈夫ですって。ガドリング・ガンがペイント弾でも"ナックル"と"パイルバンカー"が有りますから」『しかしハイヴを通り抜けるのと、基地を守るのとはワケが違いますッ!』『そ、そうです白銀さんっ! 無理ですよ、慣れてない機体で……考え直して下さい!!』「ふっ。この俺に無理なんてコトバは言っちゃいけませんよ」『――――ッ』「この男"白銀 武"……無理を通してみせるッ!!」≪バアアアアァァァァーーーーンッ!!!!≫――――正直 実戦で格闘なんてした事ないし凄い怖いんだけど、たい焼き屋さんの気合で何とかしてみせるぜ!!……………………第二演習場・エリア2。BETA出現地点にて。「ド根性ォーーーーッ!!!!」≪――――ズシンッ!!!!≫『えっ!? 白銀少佐ッ!』『な、何故ゆえ此方に!?』『(それに、その機体……)』『き、来てくれたんですね~!』『それにしても、少佐の機体が左手に持ってるモノは何なんですか?』"不知火・カスタム有る限り、俺は死んだりしねぇ!!"恥ずかしながら そんな事も豪語して唯依と まりもちゃんの心配そうな視線を背後に出撃した俺は、後退している最中だと思われる元B分隊の前に着地した。勿論BETAは間近に迫って来ている。美琴は相変わらず勘が良いのは さて置き。何故か千鶴達は他の部隊より若干 逃げ遅れている様だった。何かオカしいな……彼女達ほどの技量であれば、既にハンガーに逃れていても不思議じゃないのに。「おい皆、指示が聞こえなかったのか? 何でモタモタしてんだッ」『そ、それが――――』『彩峰が殿を務めると言って聴かないのです!』『だから私は大丈夫』『"だから"って意味 分からないですよ~』『早く逃げようよ慧さ~ん』『無理』「あ~ッ、ともかく千鶴達は下がれ!! 早くしろッ!」『わ、分かりました!!』『クッ……彩峰ッ! 少佐の足を引っ張るでないぞ!?』「お前もさっさと戻れって!!」『……駄目……私も残る』「何でなんだよ!?」『だって』≪既にラストまで進んで生きて帰るか死ぬかの瀬戸際のレベルって辺りまで鮮明に分かるぞ≫『彩峰さん~』『慧さんッ!』『此処で逃げたら……武の期待には応えられない』「なっ!?」『だから』「ざけんなッ! そんな意地にならなくてもな……一つにはなれるんだよ……」『えっ?』≪――――ズシンッ!!!!≫「そうだろ 慧ッ!!」『!?!?』「(言っちゃったぜ☆)」『……ッ……』「(しかし流石にカスタムでもバベルノン・キックは無理だな~)」『それって告白?』(ぽっ)「違うわい!! 良いからバカヤロウ逃げるぞ。いや逃げろ」『了解……チッ』「舌打ちすんな~ッ!」――――んなワケで緊張感の無い初めての不知火・カスタム(S型)の実戦テスト(+御披露目)が始まるのでした。●あとがき●一応 任官祝いでの彩峰との会話は伏線でした。MEGARO●ANIAを流せば気分が味わえるかもしれません。それと霞のブリハマチ動画は何時ニコ動にアップされるんですかねぇ? ずっと正座して待ってるんですが(チラッ)