これはひどいオルタネイティヴ47(後編)2001年12月10日 正午――――横浜基地 地下19階・香月 副司令の執務室にて。「ふ~ん。珍しい組み合わせで何の用かと思ったら、白銀がそんな事を……ね」「は、はい」「本当なの~? まりも」「篁中尉の言った事に間違いは無いわ。それとも私達が冗談を言ってるとでも思う?」「……どうやらホントみたいね」「香月副司令ッ!」「何よ? 篁」「どうか教えてください! 武さ……白銀少佐は過去にどんな道を歩んで来られたのですか!?」「さっきの言葉からすれば過去に仲間を全て失い、以後 一人で戦う事を決めた"筈"に見受けられるけど……」「しかも"あの若さ"で……全く想像がつきません」「それなのに白銀さんは良く笑うし冗談も言う人。ひょっとして今の彼は仮面を被っているダケに過ぎないの?」「…………」「副司令!」「夕呼っ!」「――――それは教えられないわ」「!?」×2「残念だけどアンタ達2人が知れる権限は無いわ。どうしても知りたければ直接 本人に聞いてみる事ね」「うぐっ(た、武さんに断られる事を考えると……)」「くぅッ(……駄目……無理よ……聞ける筈が無いわ)」「ふふん。その度胸が無いなら諦めなさい(……そもそも、あたしが勝手に話を作るワケにはいかないし)」「……ッ……」×2≪フッ……死にそびれたか≫(42話 参照)「でもね。白銀が"此処"に来てから死に急いでいたと言うのは確かよ?」「えぇっ!?」「何せ最初は誰とも介(かい)せず一人で黙々とシミュレーターを続けてたみたいだから」「で、でもソレだけで決め付けるのは大袈裟では……?」「そうでも無いわ。篁は知らないでしょうけど、何せピアティフの……管制やらサポート云々を任せたのなら、 横浜基地じゃ右に出る者は居ない程の技量が有る"あの娘"の誘いをも断って単独で訓練を続けてたのよ? アイツなら(ループの事も有るし)ピアティフの技量は一目で測れるハズなのに、何故 受け入れなかったか?」「白銀さんが死に急(せ)いていたと言う推測が確かだったからね」「!? じ、神宮司中尉ッ!」≪初めて御会いしてから……私には少佐が死に急いでいるようにしか見えませんでした≫(13話 参照)「……(ピアティフ中尉は最初から見抜いていたみたいだけど)」「で、では今の白銀少佐は何なのですか? 私達を受け入れてくれていると踏んで良いのでしょうか?」「そうなんじゃないの?」「!?」×2「確か まりも。アンタは結構早い段階で白銀に操縦を教わってたわよね?」「え……えぇ、そうね」「(そ、そうだったのッ?)」「つまり、貴女の衛士としての技量は"初対面"で白銀の目に適ったのよ」「適った?」「そう。アイツは横浜基地に来てから最初は他人を塞ぎこむつもりだったけど、その"決意"を揺るがしてまで、 アンタは育て甲斐の有る衛士と読んだのよ。生憎30秒で殺られた事で一気に失望された可能性も有るけど」「あうッ(……今のが本当なら凄く嬉しいけど、何だか複雑ね……)」「でも最も大きいのは"あたしが"白銀の提案を飲んだ事かもね」「ど、どう言う事なのですか?」「白銀をとうとう"オモテ"出すに当たってアイツは色々と兵器やシステムについて提案をして来た。 例えばマルチ・ランチャーやらXM3やら……それは今迄の戦況を覆せる可能性を秘めたシロモノ。 アイツはその実装に希望を見出した事から、丁度良い技量を持った まりもに目を付けた可能性も有る」「……ッ……」×2≪中隊長を経て教官となりながら、私も全く成長していなかったと思いまして。 ハイヴ攻略を想定した機動概念 及び新戦術機など、考えた事がありませんでしたから≫≪それは大丈夫です。 皆 同じですし、知らなかったら今から知ってゆけば良いダケですよ。 あと……不知火S型は、こんなモンじゃないです。 新OSが完成すれば、 例え単機だろうと反応炉まで辿り着ける可能性を秘めていると思いますよ?≫(9話 参照)「……(そう言えば不知火S型について語る白銀さんの表情は本当に誇らしげだった)」「また訓練兵としては卓越した数値を出していたB分隊の連中もアイツの興味を引いたかもね」≪しかしな。 恐らく……"関係ないのに期待はしない"と言うのは彼の本心だったんだろう≫(23話 参照)「……(辛い頃の武さんは、きっと叔父様の言う通り上層に様々な案を出しても無視されていたのかもしれない)」「そんな色々な事が重なって、白銀はアンタ達を受け入れても良いんじゃないかと思ったんじゃない?」≪だからこそ自分自身の頭で考え、BETAに対抗するべき最高の手段を発案した。 その"全て"が今日 拝ませて貰った情報だったって事さ。全く 若いのに大したモンだよ、白銀少佐は≫「……(だから必死にBETAと戦い続け、やがては少佐まで登りつめ提案を通した。もはや……英雄ね)」「まあ~、どれも推測に過ぎないから間違いなく"そう"とは言い切れないけど(……一応 釘は挿して置くべきね)」「でもソレが本当ならッ」「今の白銀さんは……?」「間違いなく突撃機動部隊の面々は白銀の"仲間"って事になるわね。背中を預けられる衛士と言う意味での」「!?」×2「けど白銀も白銀で自分の気持ちの変わり様に驚いてるのかもね。……無意識で呟いてた言葉って事だし」「な、ならば白銀少佐は……もう死に急いてはいないんですね?」「ハッキリ"そう"だとは言えないわ。アンタ達を仲間とは認めていても命を投げ出す無茶をするかもしれない」「確かにクーデターでは無茶を……だったら私達の役目は……」「そうよ? まりも。ようやく念願の"仲間"になれたんだから、アイツが先走らないように助けてやんなさい」「そ、そうよね? 助けられるんじゃなくって、むしろ逆の役割を目指さないと……」「はいッ。白銀少佐は今後の世界の為にも、命に代えても私達が守ります!!」「ふふん。そう言う事だからアイツの過去を本気で知りたければ、一つや二つ借りを返してからにしなさい」「分かりました!」「確かに気が急いちゃったみたいだわ」「なら もう用は無いでしょ? あたしは忙しいんだから出て行きなさい」「――――了解ッ!」×2≪ガシュウウゥゥーーーーッ!!!!≫「やれやれ。やっと行ったわね……それにしても、白銀が"あんな事"を言ったなんて」≪……もう再度と……そう思っていたんだがな……≫「つまりアイツは自分でも気付かず"この世界"で生き延びる事を意識している可能性が高くなったわね。 アイツの"全て"は鑑なんだろうけど、まりもや篁に対しても満更じゃ無くなってるのかもしれないわ。 まあ……いっそ社でも速瀬でも構わない。精々 白銀を留めるよう頑張ってくれると良いんだけど」≪――――ギシッ≫←椅子に座る音「(……でも……)」≪だから早まらないで見てなさい? 白銀。アンタのループは必ず今回で終わりにしてやるわ……!!≫「(考えてみれば数式さえ回収すれば良いのに、何で あたし……ああも白銀に こだわってたのかしら?)」………………2001年12月10日 午後昼食を摂り終えウォーケン姉妹&元米軍3人娘と別れると、俺は予定通り唯依と合流したんだけれども。その際 何故か鼻息が荒かった唯依だったが、何だか怖かったので気にせず目的の場を目指す事にした。そうすると何時の間にか彼女の興奮も冷めていったんだが……もしかして、あの日? いや流石に無いわ。……さて置き。目的とは言うまでも無くイルマ・テスレフとの面会であり、今更ながら緊張して来ました。ともかく。独房に到着すると名無し男女の監守が"彼女"の居る場所まで案内してくれた。凄い丁寧な口調で。んで目的地の手前まで来たワケなんだが、恐らく"これから"の会話は"彼女"に聞こえてしまっているだろう。「此方になります少佐殿ッ!」「案内有難う。彼女の様子は?」「(嗚呼、噂に違わず素敵……)えっと、大人しくしており特に問題は有りませんが……」「せんが?」「食事に殆ど手を付けておりません。衰弱した様子は、まだ見えておりませんがね」「なんと~」「最悪 演技の可能性も有ります……我々も同伴 致しましょうか?(も、もう少し傍で彼の顔を……)」「いや大丈夫だよ。君達は席を外してくれ」「はっ!」「では失礼致します(うぅ……残念だわ)」「鍵は受け取ってる?」「はい。既に預かっています」――――そんな会話の遣り取りを終えると2人の監守は去ったので、鉄格子に向き直る俺と唯依。すると(夕焼けは差していないが)原作で美琴が放り込まれた独房の様な内部に、やはりイルマ少尉は居た。彼女はベッドではなく地面に体育座りをしており、背中を壁に預けている。その表情は隠れて読み取れない。また毛布を背中から被っており……うぉっ!? 長ズボンに黒いシャツを着てんだけど、ブラしてんの!? コレ。毛布の間から胸の谷間がハッキリと見えるんですけど? よってドキドキと見下ろして居ると、唯依が喋り出す。「イルマ・テスレフ少尉で間違いないですね?」「…………」「(それにしてもデケえ)」「聞こえてますかッ?」「……聞こえてますよ」「(おっぱいデケえ)」「貴女にコレから白銀少佐から話しが有ります」「そう……でもその前に……今の私は只のイルマですよ?」「(まじデケえYO!)」「そうでしたね……(多少は心が折れて居るのかしら?)……では白銀少佐ッ」「えっ? あァ……じゃあ、鍵を開けて其処から出してあげてくれる?」「!?!?」×2「あれ? どうかしたの?」「(最初から"そう来る"なんて……やっぱ武さんは考えている事が違うわ!)」「(ど、どう言う事? 小言も皮肉も偽善も言わずに、真っ先に私を外に出そうとするなんて……)」「唯依。聞いてる?」「!? か、畏まりましたッ(……ともかく考え有っての選択に違いないわね)」≪――――ガチンッ≫「えっ……嘘でしょ? ホントに……?」「さあ早く出て下さい。でも妙な気は起こさない様に」「そんな気は無いけど……えぇと」(チラッ)「……ッ……」←視線を逸らす武「(何? なんなの? こんな"選択"考えもしなかった……彼は何を考えてるのッ?)」「(意外過ぎて声も出ない見たいね。自傷気味な相手には確かな選択かもしれない)」イルマ・テスレフさん。恐らく強化装備姿のまま連行された事からブラジャーしてないっぽいです。だから此処で見下ろしながら会話をするのは得策ではない。このアングルでは谷間が深く見えてしまうのだ。つまり股間の熱に直結し交渉ドコロでは無くなってしまう。しかしデケえな、栄養は乳で補給してんですか?よって出てくる牢屋から出る彼女を直視する事が出来ない。なら興奮が冷めるまで見ないようにするに限る。くっそ~。エロスーツには慣れて来たのに、生乳ではダメみたいだ……こりゃ盲点。鍛錬の練り直しだな~。でも生乳を見れる訓練相手なんか居ないじゃんッ! そもそもラブシーン・イベント起こさないと不可能じゃん!!まあ そんな事は今は置いておくとして、交渉はジャケットとか着て貰ってから行えば良いか~。厄介だNE。……………………10分後。「…………」「…………」「…………」俺は予め要していた部屋の中央にあるテーブル越しにイルマ・テスレフと椅子に座り向かい合っていた。真横には唯依が何らかの書類を片手に立っており、俺の話の切り出しを待っている。それは"彼女"も同じ。だけど俺は中々 話を始められないでいた。彼女にジャケットを羽織らせたのに、前は締めていないからだ。しかし最初に"胸 隠してくれない?"なんて言うのはイキナリ不穏な空気になりそうだから避けたいんだよね。でも言わなかったらイルマ・オッパイが気になって集中出来そうにないし……どうする? どうしよ? マジで。≪どくんっ、どくんっ、どくんっ、どくんっ≫「(このままじゃ おっきしてしまうお……だったら最後の手段だおっ!)」「(た、武さんが無言で彼女を見たまま5分……何故 私まで"この空気"に押されているの?)」「(クッ……わ、私が こんな年下のコの沈黙に押されている……震えが止まらない……ッ!)」「――――イルマ・テスレフ"少尉"」「は、はいッ?」「単刀直入に言おう。俺達の部隊に入って、共にBETAと戦って欲しい」(キリッ)「!?!?」「(い、いきなり!?)……書類なら既に揃っておりますので、貴女のサインで直ぐ編入が決定します」「……ッ……で、でも……私には残した……」「それは問題無い。既に交渉を済ませ貴女の家族の身柄は近隣で預かっている(……遣ったの俺じゃないけど)」「え、えぇっ!?」「でも米国から日本に住まいが移って居るので、より危険な地に送られたとも言うけどね」「もし断られるのであれば内密に貴女を開放しますが……衛士としての生命は社会的に断たれる事となります」「だけど家族を本当の意味で"その手"で守りたいのであれば、俺達に協力して欲しいんですよ」「……守る……」本当はジックリ交渉するつもりだったが、デンジャラスな谷間が視界に入り続けるはキツいモンがある。目を逸らして話すと言う選択肢も礼儀的にハナから無いので、俺はさっさと交渉 自体を終わらせる事にした。だったら おっきして恥を掻く事も無いお( ^ω^) 断られたら断られたで別に良いお、家族は大切なんだお。対して問題のイルマさんなんだけど、本題に入った直後から驚きっぱなし。あまりに唐突過ぎて呆れてるのかな?「……(頷かせる為に言いたい事は多々有るけど、今の武さん以上の言葉は必要なさそうね)」「……(分からない……分からないよ。どうして説得をブチ壊そうとした私を其処まで……)」「…………」←谷間に耐え切れなくなって視線を逸らした武「(見限られる!?)わ……分かりましたッ! 私を突撃機動部隊に編入させて下さい!!」「!? ……本気なんだね?」(訳:本当に宜しいのでしょうか?)「は、はいっ! ……でも……何故"あんな事"をした私をッ?」――――此処で まさかの申し出&予想通りの質問。後者の返事は予め用意しているのでシッカリ締めよう。「俺と同じ様な道を歩んで欲しくないからですよ。それに……」「そ、それに?(だったら彼の家族は……もう?)」「貴女は"あのまま"消えゆくには余りにも惜しい女性だったからですよ」(もちろん原作の死に方 的な意味で)「え……っ!?」(ドキュン)≪つまり、貴女の衛士としての技量は"初対面"で白銀の目に適ったのよ≫「(じ、じゃあ武さんは最初からテスレフ少尉の事を……?)」「だから"あの件"に関しては気にしなくて良いです。今度は力の使い所を間違えないで下さい」「は……はい。なら怪我に関しては……」「もう治ってますし、この程度ソッチが気に病む必要は無いですよ」「(だったら私は どうだったの? す、凄く気になる……でも私は叔父様の命で此処に来た……)」「じゃあ唯依。早速書類を渡してくれる?」「(それ以前に初対面で頬を叩いてしまったから、目に適ったのは少なくとも最近かもしれない)」「唯依? 唯依ってば」「(だったら私は まだまだ……)!? す、すみませんッ! では此方にサインを――――」「了解……(何だか断れる気がしなかった……でも、彼に付いて行けば本当に人類を救えるかもしれない……)」「書き終わったら早速 強化装備に着替えて訓練に行きましょうね?」「わ、分かりました」「いや、その前に飯かな~?」「横浜基地の料理はとても美味しいんですよ? テスレフ少尉」「はあ……(い、何時の間にか雰囲気が変わった? けど懐かしいわ……この暖かさ……)」……………………1時間後。「!? い、イルマぁ~ッ?」「お前何でこんな所に居るんだよ!?」「フレア……駄目、抑えてッ」←戦術機に乗っていないので普通なブリザあれからPXでイルマ(脳内呼称決定)に食事を摂って貰いながら、横浜基地の簡単な概要などを話した後。再び着替えてライト達の訓練に合流したんだけど、ライトとフレアは思わず彼女に掴み掛かろうと動いた!でも、それも仕方ないよね……彼女等3人はイルマの所為で米軍を追い出されたと言っても良いのだから。「イルマ少尉。彼女達に貴女の故郷の事を話してあげて欲しい」「えっ? 此処で皆に……ですか?」――――されどライト達には彼女を受け入れて貰わねばならず、俺はイルマに前述の"命令"を下してみた結果。「うっ……うぅ、グスッ……イルマァ~、貴女も辛かったんだね~ズビッ」「そ、それはお互い様よ。ライトだって国をBETAに……と言うか篁中尉、ハンカチ持ってませんか?」「うくッ……悪いイルマ。私はオマエの事 誤解しちまってたみたいだ」「もし許してくれたのなら有難う……フレア」「イルマさん。今度 悩みがあったら相談してください……頑張って力になりますから……」「相変わらず優しいのね? ブリザは(……戦術機に乗ってる時は逆だけど)」話させた内容としては、思えば原作で"たま"に言ってた内容と同じフィンランド云々だったんだが……ライト達はエラく同情しアッサリとイルマの事を許してしまい、突撃機動部隊の人間関係は良好な様である。よって午後の訓練も順調に進み・締める事ができ……俺達は明日に控えるトライアルに備えるのでした。「(階級も並んでしまったし、神宮司 中尉に負けてられないわ……武さんの為にも精進しないと……!!)」●あとがき●イルマ少尉 加入。トライアルに進みたく急いで書いてしまったので今回も微妙です。話は変わりますがオルタのコミックの理不尽な乳のデカさに違和感かんじまくりです。