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No.3960の一覧
[0] これはひどいオルタネイティヴ(ぶち壊し注意)[Shinji](2008/08/24 12:52)
[1] これはひどいオルタネイティヴ2[Shinji](2008/08/25 11:13)
[2] これはひどいオルタネイティヴ3[Shinji](2008/08/25 11:11)
[3] これはひどいオルタネイティヴ4[Shinji](2008/08/26 04:35)
[4] これはひどいオルタネイティヴ5[Shinji](2008/08/26 23:24)
[5] これはひどいオルタネイティヴ6[Shinji](2008/08/27 20:54)
[6] これはひどいオルタネイティヴ7[Shinji](2008/08/28 16:19)
[7] これはひどいオルタネイティヴ8[Shinji](2008/08/29 20:22)
[8] これはひどいオルタネイティヴ9[Shinji](2008/08/30 23:24)
[9] これはひどいオルタネイティヴ10[Shinji](2008/08/31 22:48)
[10] これはひどいオルタネイティヴ11[Shinji](2008/09/01 21:59)
[11] これはひどいオルタネイティヴ12[Shinji](2008/09/03 08:21)
[12] これはひどいオルタネイティヴ13[Shinji](2008/09/05 10:13)
[13] これはひどいオルタネイティヴ14(+用語ver1)[Shinji](2008/09/07 08:57)
[14] これはひどいオルタネイティヴ15(+伊隅戦乙女隊ver1)[Shinji](2022/04/20 02:22)
[15] これはひどいオルタネイティヴ16[Shinji](2008/09/11 14:52)
[16] これはひどいオルタネイティヴ17[Shinji](2008/09/13 17:38)
[17] これはひどいオルタネイティヴ18(+伊隅戦乙女隊ver2)[Shinji](2008/09/16 23:33)
[18] これはひどいオルタネイティヴ19[Shinji](2008/09/19 22:36)
[19] これはひどいオルタネイティヴ20[Shinji](2008/09/23 02:45)
[20] これはひどいオルタネイティヴ21(+用語ver2)[Shinji](2008/09/26 21:20)
[21] これはひどいオルタネイティヴ22(+第207衛士訓練部隊)[Shinji](2008/10/02 22:28)
[22] これはひどいオルタネイティヴ23[Shinji](2008/10/09 19:42)
[23] これはひどいオルタネイティヴ24[Shinji](2008/10/23 01:55)
[24] これはひどいオルタネイティヴ25[Shinji](2008/10/31 02:49)
[25] これはひどいオルタネイティヴ26[Shinji](2008/11/22 04:34)
[26] これはひどいオルタネイティヴ27[Shinji](2008/11/25 18:05)
[27] これはひどいオルタネイティヴ28[Shinji](2008/12/14 03:54)
[28] これはひどいオルタネイティヴ29[Shinji](2009/01/11 03:35)
[29] これはひどいオルタネイティヴ30(前編)[Shinji](2009/01/17 04:11)
[30] これはひどいオルタネイティヴ30(中編)[Shinji](2009/01/21 01:11)
[31] これはひどいオルタネイティヴ30(後編)[Shinji](2009/01/28 12:16)
[32] これはひどいオルタネイティヴ31 2009/02/08 00:31[Shinji](2009/05/17 17:57)
[33] これはひどいオルタネイティヴ32[Shinji](2009/02/19 03:33)
[34] これはひどいオルタネイティヴ33[Shinji](2009/04/10 04:03)
[35] これはひどいオルタネイティヴ34[Shinji](2009/03/26 08:07)
[36] これはひどいオルタネイティヴ35[Shinji](2009/03/30 03:38)
[37] これはひどいオルタネイティヴ36(前編)[Shinji](2009/04/08 22:44)
[38] これはひどいオルタネイティヴ36(後編) 2009/04/14 04:28[Shinji](2009/05/17 17:53)
[39] これはひどいオルタネイティヴ37 2009/04/24 06:26[Shinji](2009/05/25 00:10)
[40] これはひどいオルタネイティヴ38[Shinji](2009/05/10 00:10)
[41] これはひどいオルタネイティヴ39(前編)[Shinji](2009/05/12 20:01)
[42] これはひどいオルタネイティヴ39(中編)[Shinji](2009/05/14 23:55)
[43] これはひどいオルタネイティヴ39(後編)①[Shinji](2009/05/17 05:05)
[44] これはひどいオルタネイティヴ39(後編)②[Shinji](2009/05/25 02:35)
[45] これはひどいオルタネイティヴ40①[Shinji](2009/06/01 01:54)
[46] これはひどいオルタネイティヴ40②[Shinji](2009/06/05 02:47)
[47] これはひどいオルタネイティヴ40③[Shinji](2009/06/11 02:49)
[48] これはひどいオルタネイティヴ40④[Shinji](2009/06/14 06:03)
[49] これはひどいオルタネイティヴ40⑤[Shinji](2009/07/02 03:10)
[50] これはひどいオルタネイティヴ41(前編)[Shinji](2009/07/13 01:30)
[51] これはひどいオルタネイティヴ41(中編)[Shinji](2009/07/28 19:03)
[52] これはひどいオルタネイティヴ41(後編)[Shinji](2009/08/16 04:00)
[53] これはひどいオルタネイティヴ42[Shinji](2009/08/27 00:58)
[54] これはひどいオルタネイティヴ43(前編)[Shinji](2009/09/10 23:51)
[55] これはひどいオルタネイティヴ43(中編)[Shinji](2009/09/20 09:43)
[56] これはひどいオルタネイティヴ43(後編)①[Shinji](2009/10/07 07:49)
[57] これはひどいオルタネイティヴ43(後編)②[Shinji](2009/10/10 22:26)
[58] これはひどいオルタネイティヴ44(前編)[Shinji](2009/11/11 20:38)
[59] これはひどいオルタネイティヴ44(後編)[Shinji](2009/11/17 03:24)
[60] これはひどいオルタネイティヴ45[Shinji](2009/12/04 11:35)
[61] これはひどいオルタネイティヴ46(前編)[Shinji](2009/12/07 06:52)
[62] これはひどいオルタネイティヴ46(後編)[Shinji](2009/12/20 00:54)
[63] これはひどいオルタネイティヴ47(前編)[Shinji](2010/01/26 07:13)
[64] これはひどいオルタネイティヴ47(後編)[Shinji](2010/01/29 14:19)
[65] これはひどいオルタネイティヴ48(前編) 2010/02/20 03:44[Shinji](2010/02/23 04:16)
[66] これはひどいオルタネイティヴ48(後編)[Shinji](2010/03/04 12:24)
[67] これはひどいオルタネイティヴ48.5[Shinji](2010/03/06 20:21)
[68] キャラクター注目度ランキング(~2010年03月09日)[Shinji](2010/03/09 18:23)
[69] これはひどいオルタネイティヴ49 2010/03/14 07:03[Shinji](2010/03/15 12:47)
[70] これはひどいオルタネイティヴ50 2010/04/08 07:58[Shinji](2010/04/10 03:15)
[71] これはひどいオルタネイティヴ51(前編)[Shinji](2010/04/18 14:51)
[72] これはひどいオルタネイティヴ51(中編)[Shinji](2010/05/25 05:31)
[73] これはひどいオルタネイティヴ51(後編)[Shinji](2010/06/26 00:51)
[74] これはひどいオルタネイティヴ52[Shinji](2010/07/27 04:27)
[75] これはひどいオルタネイティヴ53[Shinji](2010/10/06 05:34)
[76] これはひどいオルタネイティヴ54[Shinji](2011/03/29 08:19)
[77] これはひどいオルタネイティヴ55[Shinji](2011/04/02 07:48)
[78] これはひどいオルタネイティヴ56[Shinji](2011/05/16 11:26)
[79] これはひどいオルタネイティヴ57[Shinji](2012/08/02 01:56)
[80] これはひどいオルタネイティヴ58[Shinji](2012/09/01 14:35)
[81] これはひどいオルタネイティヴ59 2012/10/29 15:03[Shinji](2012/11/03 14:33)
[82] これはひどいオルタネイティヴ60 2012/11/02 17:30[Shinji](2012/11/03 14:34)
[83] これはひどいオルタネイティヴ61[Shinji](2012/11/07 21:35)
[84] これはひどいオルタネイティヴ62[Shinji](2013/02/17 10:44)
[85] これはひどいオルタネイティヴ番外編[Shinji](2009/04/14 02:45)
[86] これはひどいオルタネイティヴ番外編②[Shinji](2009/10/15 18:11)
[87] これはひどいオルタネイティヴ番外編③[Shinji](2010/11/04 17:45)
[88] これはひどいオルタネイティヴ(登場人物+用語)[Shinji](2010/10/10 03:07)
[89] これはひどいオルタネイティヴⅡ(原案)[Shinji](2022/03/24 21:32)
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[3960] これはひどいオルタネイティヴ40①
Name: Shinji◆9fccc648 ID:37b9b89a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/06/01 01:54
これはひどいオルタネイティヴ40①




●横浜基地・突撃機動部隊(暫定名称)●
アルカディア01 白銀 砲撃支援 不知火SⅡ型
アルカディア02 唯依 迎撃後衛 不知火S型
アルカディア03 月詠 突撃前衛 武御雷(赤)
アルカディア04 神代 突撃前衛 武御雷(白)
アルカディア05 雪乃 強襲掃討 武御雷(白)
アルカディア06 美凪 強襲掃討 武御雷(白)


●第207衛士訓練部隊●
軍曹 20700 迎撃後衛 不知火S型
千鶴 20701 強襲掃討 吹雪F型
御剣 20702 突撃前衛 吹雪F型
彩峰 20703 突撃前衛 吹雪F型
珠瀬 20704 砲撃支援 吹雪F型
鎧衣 20705 砲撃支援 吹雪F型


暁せんべい氏による白銀少佐の搭乗機"不知火SⅡ型"砲撃支援・新式仕様
http://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=4469636




2001年12月05日 午後


駆け足でハンガーに到着してからは、巌谷さんと篁を交えてSⅡ型の最終調整を済ませる。

その後 新たな愛機となったSⅡ型に乗り込むと、俺はS型に搭乗する篁と共に横浜基地を出発した。

……勿論そのままの進軍では無く"戦術機そのもの"の消費を抑える為に車両に乗ってでの移動だ。


「――――まりもちゃん」

『!? し、白銀少佐……』

「任務を共にするのは初ですね、宜しく御願いしま~す」

『えっ? はい、こちらこそ……あッ……それよりもっ!』

「うわっ、びっくりした」

『任務中はその"呼び方"で私の事を……えっ、秘匿回線……?』

「はははっ、そう言う事です」

『す、すみません。白銀さんの事ですから、その辺りは愚問でしたね』

「いやいや、買い被りすぎですって……注意はしますけど」(本音)

『……ッ……と、ところで白銀さん』

「はい?」

『不知火SⅡ型……凄いですね……』

「それほどでもない」←言いたかったダケ


当然 まりもちゃん達207B分隊&月詠さん達19警備小隊も同行しており、合計12機となっている。

1ダースとなれば中隊規模だけど、残念ながら俺達は部隊を2つの小隊に分けて作戦を行う事になる予定。

片方は まりもちゃんが纏める207B分隊。まりもちゃんを20700として榊 以下01と続いてゆく。

ちなみに、まりもちゃんを20701としないのは、コールサインがズれてしまえば俺が分かり難いから。

折角 シミュレーター訓練に付き合う事で慣らして置いたのに、コレだと呼び間違える事も有りそうだしな。

ついでに思うのは、俺がSⅡ型をトバして殿下と逃げ切っちまうならB分隊は待機で良くないかって事だ。

冥夜のフィードバック・データを蓄積させた強化装備も借りたから多少の無理は利きそうだからねェ。

……とは言え今更 言えた事でも無いし、色々な意味で成長して貰うには欠かせない任務になるだろう。

そう考えると難しいよね……相手は人間なので全く戦わせずに任務を終わらせてやりたいが、
ソレはそれで多くのイベントやフラグをスルーする事になっちまうんだから理不尽としか言えない。

だったらノロノロと逃げて囲まれて、説得してる時の空気読めない射撃を阻止する方向で行こうかな~?

だけどモタモタしてると敵味方の被害が次々と膨れ上がってしまう。敵はともかく……味方が可哀相だ。

首謀者の沙霧様 御一行や、空気の読めないイルマだっけ? ……を助ける為に犠牲を拡大させるのも癪。

そうなると即効で殿下と逃れて沙霧の戦意を喪失させた上に投降させ、敵味方 無事で済まさせるに限る。

嗚呼だけどソレだと榊達の経験が……あァんっ! 考えれば考える程、頭の中が混乱しちまうザマス!!

こ、こうなったら"行き当たりバッタリ"でゆくしかない。大丈夫さ、今迄 何とかなってたんだしね~。

選択肢 有りのADVをプレイしていれば確実にバットエンドになりそうな考えだけど、気にしないでくれ。


「……~~ッ……」

『白銀少佐。……あっ』


……こんなカンジでコックピットの中、腕を組んで瞳を閉じ考え込んで待機している俺だったが。

回線を開いたのか篁の声がしたので目を開いてみると、少し驚いた様子の彼女の姿が正面に有った。

相変わらず俺の視線は真っ先に おっぱいにいってしまうが、冷静な表情の維持も変わらず出来ている。

ちなみに俺の不知火SⅡ型の武装は"支援狙撃砲"と"74式長刀"で、篁の仕様は迎撃後衛だ。

んでもって言うまでも無いと思うけど、まりもちゃんの機体はS型で榊達が吹雪F型に乗っている。

月詠さん達4人は当然 武御雷(赤)+(白)で、仕様は以前A-01と模擬戦した時と同じなようだ。

そんな彼女達は今回 俺の指揮下に入ってくれており、模擬戦と違い篁がアルカディア02となった。

ぶっちゃけ指揮は まりもちゃんに丸投げしたいトコロだが、階級の御陰で俺は纏め役にされている。

さて置き篁さん、おっぱい凄いですね。それ程でも……有りますがなっ! ……って今は自重しよう。


「どうかしたの?」

『えっ? あっ……すみません、いきなり秘匿回線を開いてしまって』

「別に構わないよ、物凄く暇だったし」

『そ、そうでしたか(……暇と言われる割には、考え事をしている様に見えたけど……)』

「だけど流石に行動中は止めてくれよな?」

『わ……分かっています』

「それで用は何だい?」

『……(それに、今となっては凛々しく……)』

「篁~ッ?」

『!? と、特に用と言うワケでは無いのですが……雪が降って来た様なので……』

「雪? ……あァ、ホントだ」

『…………』


現在の状況だけど……箱根に位置する塔ヶ島 離城に到着した俺達12人は、戦術機を車両から降ろすと、
そのまま各機を適当に展開させて "後方警備任務"と言う名の待機をしている。

大体の時刻は22時を回って何十分か過ぎた辺りで、すこぶる暇だった為 俺は前述の考え事をしていた。

此処までの道中は適当に回線を開いて全員と話をしてたけど、警備開始となると自重せざるを得ないしな。

そんな中 降り出す雪に、篁から秘匿回線……前者はともかく彼女と会話できるのは嬉しいんだぜ?

けど正史だと今のタイミングでの会話 相手は冥夜だったと思うんだけど、内容を覚えていないのは勿論、
目の前の女性は篁だ。しかし、彼女が話したい事は雪に関しての話題じゃあ無いぐらいは分かる。

だったら何なのか迄は知らんけど……篁の視線が離城の方を向いたので、俺は瞬時にティンと来て言う。


「そう言えば」

『は、はい?』

「妙に この辺って綺麗だよな~。あの建物や民家が そのまま残ってるしさ」

『……ッ……そうですね。日本はBETAに一度 占領されていると言うのに』

「確か斯衛軍が踏み止まって其処を守ってたんだっけ?」

『はい。しかし横浜ハイヴを制圧する迄 小規模な戦闘が何回か発生したダケだったと……』

「何でBETAが寄り付かなかったんだろうな?」

『流石にBETAの考えている事など判りません』

「それは同意」

『では何故 此処を斯衛軍は守っていたのでしょう? 考えてみれば自殺行為としか思えません』

「う~ん、確かにな~。たまたまBETAが寄り付かなかったから良かったモノの、
 普通に考えれば皆殺しにされてた事は間違い無い。だとすれば其処はきっと……」

『絶望的な状況の中でも守り通す価値の有る、重要な場所だったと言う事なのでしょうか?』

「間違いないね」

『ですが……』

「流石に命を安く使い過ぎだよな、少なくとも俺はそう思うぞ?」

『……ッ……』

「まぁ、そんな事をとやかく言っても仕方ないけどね。今回の件にしてもそうだ」

『はい。今頃 帝都では……』

「戦闘中ってワケだ」

『反面、此方は静かですね』

「怖いくらいにね」

『それにしても、本当に……愚かなッ……何故 味方同士で……』

「…………」


何故かBETAが潰さなかった、箱根の芦ノ湖に突出したカタチを成している塔ヶ島に佇む離城。

もし その"理由"が分かれば凄い発見になると思うけど、少なくとも桜花作戦の後だな~言い出せるのは。

主に時間的な問題で。……まぁ、結局期待は出来そうも無いしスルーする方向で片付けてしまおう。

んでもって其処に留まった命知らずな斯衛軍に対しての皮肉も、今となっては重ねて置いておき……

御気付きだろうが既に1時間程 前に戦闘は開始されている。クーデター軍が喧嘩を売ったのだ。

聞いた話によると……正史通り帝都城を包囲していたクーデター軍の歩兵部隊のアホ達が、
斯衛軍に発砲しちまった事で、大乱闘スマッシュ・ブラザーズが開始されてしまったらしい。

言うまでも無く反オルタ4&オルタ5推進派 辺りの差し金だろうね、いい仕事してますよ全く。

ソレに対し当然 沙霧から戦闘停止命令も出されたみたいだが、帝都周辺での戦闘は留まる事を知らない。

これで彼らの理想は早くも終了ですね、余りにも利用され過ぎでしょう? 志ダケは買っても良いけど……

いや、BETAが狙ってるのにクーデター起こす時点で問題外か。……ってか、この時点で諦めろよ沙霧。

さっさと鎮圧しないで横浜基地に来た帝国軍もアホだし、ゆーこさんが凄くマトモな人に思えて来た。

そう考えれば、篁やら まりもちゃんやら……俺は非常に部下に恵まれている立場なのかもしれないね。

だとすれば今回の任務も気合が入るってモンだ。よって妙にソワソワしている篁を宥めるのも朝飯前ッ。


『……殿下は……御無事なのでしょうか……?』

「大丈夫だよ」

『そ、そうですよね。斯衛軍は精鋭揃いですから……』

「いやいや、違うって。"俺達"が守るんだし大丈夫って事だよ」

『えぇっ!? それは どう言う――――』

「すぐに解るさ」

『す……直ぐッ?』

「おっと、ちょいと長く話し過ぎたかな? そろそろ定時連絡が来そうな予感」

『……っ……』

「じゃあ切るけど……今回も期待してるぞ? 篁」

『!? は、はいっ』


≪――――プツンッ≫


「ふ~っ」


俺の言った事が言った事だったので大慌てする篁だったが、俺は半ば強引に秘匿回線を切った。

同時に溜息。今回の件は"この世界"に来てから最大のイベントとも言えるので、色々と考え過ぎて疲れる。

まぁ、今の会話でヤる気は上がったからヨシとしよう。……深く考えるのもコレっ切りにして置くか。


『白銀少佐~』

「戎か」

『定時連絡ですわ、異常 有りませんの?』

「異常なし。そっちは?」

『同じく異常なしですの』

「了解~」

『それでは、また後で――――』

「ちょっと待ってくれ」

『!? ……何か?(ま、まさか写真の件がバレてしまいましたのッ?)』

「いやゴメン……やっぱり何でも無いや、お疲れさ~ん」

『そ、そうですか? では』(ホッ)


秘匿回線を切ると、入れ替わりに戎の通信が入る。最後尾の06から01の俺に回ってきたのだ。

その際の別れ際に"戎はこんな時でもその口調なのか?"……と聞きたかったけど、其の言葉を飲み込んだ。

間違いなく性分なんだろう。しかし月詠さんさえスルーしてると言う事は、斯衛の常識では普通なのか?

いや、オルタの世界では彼女の様な口調を疑問に思うと言う概念が無いんだろう。一つ勉強したZE。


「珠瀬~」

『えっ? し、ししし白銀少佐~ッ!?』

「暇だったから秘匿回線 開いちゃいました」

『ひ、暇だったからって……』

「俺は少佐だからよ? 部下の気配りも得意だし、秘匿回線は許可無しで開く」

『あっ……(きっと、少佐は私を励まそうと思って……)』


――――そんなワケで俺は考えるのを止め自重を解き、ちょくちょく皆と話す事で時間を潰す事にした。




……




…………




2001年12月06日 深夜


「はやくきて~、はやくきて~」


……待機 開始から数時間後、時刻は1時を回って30分以上が経過していた。ぶっちゃけ暇 過ぎる。

任務と関係ない会話は道中でもしていたので1時間程でネタは尽きてしまった以前に、
流石に度が過ぎる秘匿回線は階級的にマズいので、再び自重する事となってしまったのだ。

いや……ソレは まだ良いとして、正確な時刻を微塵にも覚えていないので気を張り過ぎてたのがキツい。

無駄な考え事は止めたけど、皆(月詠さん以外)と会話する中でも離城への注意は疎かにしていなかった。

会話を完全に自重する様にしてからも日付が変わった辺りからは特に警戒していたので普通に疲れた。

よってメイン盾を求める貧弱一般人の様な心境で、キーパーソンを待ち続けているしかなかったんだが……


「んっ!?」


――――戦術機のモニターが離城から出てくる3つの人影を捉えた。これは……間違いない、殿下だ!!


「もう着いたのか!? 早いッ! 来た、メイン殿下 来た!! ……これで勝つるっ!」


俺は嬉しかったのか、別に早くも無いのに意味不明な事を叫ぶとオープン回線で篁に通信を繋ぐ。

……対して篁はイキナリ俺の顔が出て来た事に驚いた様子で、瞳を大きく見開いていた。

同時に今の直後 篁が僅かに漏らした声に対して、数人の反応が有ったみたいだがソレは些細な事。


『白銀少佐?』

「人影を複数 発見した。確認に向かうのでフォローを頼む」

『こんな所に人が? あっ!? ま、まさか――――』

『た、篁中尉……どう言う事なのですッ?』

「直ぐ解りますって軍曹。……それじゃ~皆もバックアップを宜しく」

『――――了解』×11




……




…………




……待ちに待った殿下との対面となるけど、コレはやはり出ダシが重要となるだろう。

正史通りだと彼女とは今回の作戦 限りだが、今じゃ何が起こるか分からないし追加イベントに期待だ。

故に俺は気付かれない様に3名の影と接近し……ワザと枝を踏み音を立てる事で注意を向ける。


≪――――パキッ≫


「……ッ?」

「誰ですか!?」

「殿下、私の後ろへ!」

「はい」

「(あれっ?)」

「…………」×3


直後 俺は跪いて危害を加えるつもりが皆無だと言う事をアピールするんだけど……

聞こえて来た声に違和感を感じた。何故か女性の声が3つも有り、2つは何となく予想できる。

先ず1つは殿下のモノ。もう1つは侍従のオバハン……それでも最後の1つは何なんだろう。

非常に気になるトコロだけど、面を上げては台無しになってしまう。よって俺は頭を上げずに言った。


「煌武院 悠陽 殿下ですね? お初にお目に掛かります」

「そなたは……?」

「国連軍 横浜基地所属・白銀 武 少佐と申します。お目に掛かれて光栄であります」

「国連軍の衛士ですか……まさか……」

「殿下、御注意を」

「ふむ(確かに見るからに怪しいが……この言動は……)」


殿下に対する最も畏まった方法なんぞ知らない。俺なりに勝手に考えて台詞を喋っている。

しかし"ふむ"と言った女性が誰なのかが非常に気になるZE……早く確認させてください。

だからと言って動いちまうワケにはいかんのよね。もう少しダケ我慢するしかないですな~。


「"我々"に敵意は有りません。貴女を御守りする為に此処に居ます」

「!?」×3

「詳しくは……鎧衣課長に説明して貰えれば分かって頂けると思いますが?」

「鎧衣に?」

「なっ……」


≪――――ガサッ≫


「やれやれ、香月博士はおろか……君まで全て御見通しだったと言う事かね?」

「鎧衣……」

「恐れながら殿下、彼が私の申していた衛士です。最も……こうも早く出会えるとは予想外でしたが」

「となると……」

「御安心ください。少なくとも敵では有りません」

「そうでしたか……えぇと、白銀?」

「はっ」

「其処まで畏まらずとも良いです、面をお上げなさい」

「――――ッ」


山勘で左近さんが潜んでいると踏んで彼の名前を出したら、本当に居た様だ。全然気付かなかったZE。

それはそうと……やっと許しが出たかッ! 封印が解けられた!! ……と言う心境で頭を上げる俺。

すると飛び込んで来たのは私服姿の殿下と侍従のオバハンに、苦笑しながら俺を見ている左近さん。

そして もう一人は……あれっ? どっかで見た事が有るぞ、誰だっけ? イマイチ思い出せないな~。

何故だか知らんが赤の強化装備を着ている上に、アサルトライフルを手にしながら俺を睨んでいる。

既に銃口は俺に向いていないけど……あァ、この強化服って月詠さんのと同じヤツじゃないか。

この瞬間に理解したけど、多分 マヤ……"真耶"さんじゃね? AFに出てくる"御剣 悠陽"に仕えてた人。

トレードマークの眼鏡が無くて、纏めてた髪下ろしてるから気付くのが遅れた。何で此処に居るんだよ?

そう思いながら彼女に視線を向けていると、キツそうな表情を変えずに俺を見ながら口を開いてくる。


「……私に何か?」

「あっ、いえ……誰かなァ~と」

「早くも目を付けたのかね? 白銀 武」

「違いますって!」

「それなら良いが……彼女は君も御存知な月詠中尉の従姉妹だよ」

「やっぱり」

「月詠 真耶だ。貴官と思われる者の話を鎧衣課長から聞いていたが、本人で間違い無い様だな」

「じゃあ何故 此処に?」

「わたくしの護衛ですが……何かおかしな点でも?」

「そう言う意味じゃ無いんスけど」


――――流石に"正史じゃ居なかったから登場してるのが疑問だ"とは言えないよな~。


「先日2度目のBETAの襲撃が有ったばかりだからな、彼女が護衛として選抜されたのだ」

「兵士級が潜んでいる可能性は十分に考えられるからな」

「そう言う事だよ」

「成る程~」

「しかし此処まで来れば その脅威も無いと踏んで良さそうだ」

「はい。衛士も多数 居る様ですし」

「……月詠、そなたに感謝を」

「も……勿体無い御言葉です」

「ところで、白銀 武」

「何ですか?」


真耶さんの登場の理由はBETAに対する警戒の表れか。確かに左近さんダケじゃ兵士級は危険だよな。

いや……普通に勝つかもしれないけど、殿下を守り抜く意味ではって事ですから誤解しないでね?

同様に強化装備 姿の彼女であればAFじゃ忍者みたいな動きしてたし勝てると踏んで良いだろう。

正史じゃ今BETAに襲われる可能性なんぞ微塵にも無いが、可能性が無いとは言い切れないしね~。

そんな事を思っていると左近さんにHQの場所を聞かれたので答えると、彼は暫く考え込んでしまった。

しかも険しい顔をしている。う~ん、確か俺達が居る事は知らなかったんだよな? それは好都合の筈。

だけどクーデター軍の動きが予想以上に早い事から、逃亡は難しいので俺達をアテにする様だが……

左近さんは それ以降の事も考えているんだろう。近いうちに米軍も護衛にやってくるんだしな~。

されど俺には細かい事情は理解できない。何も考えずに殿下を乗せ、沙霧達から逃げるダケなのです。


「殿下。どうか彼らと御一緒 下さい。緊急時 故に何卒ご容赦を」

「……分かりました」


んで話はドンドン進み、殿下は俺のSⅡ型のコックピットに乗って伊豆半島の端まで離脱する事となった。

続けて会話した結果 脱出をリークされた事が自演だった事も分かり、その辺りは原作通りだと思う。

んで他にも騒ぐ侍従のオバハンを宥めたり、発砲した奴の正体について話したりと会話イベントを続ける。

ソレらに関して色々と思うトコロ有ったけど……既に無駄に考え込むのは止める事にしたので流しとくか。


「さて我々3人は車両へ向かおう。殿下を頼んだぞ?」

「は~い」

「……ッ……」

「月詠。気持ちは嬉しいですが」

「心得ております。戦術機が無い私に出来る事は、もはや何も有りません」

「しかし そなたが居てくれて頼もしかった事は紛れも無い事実です」

「有難う御座います……では、白銀少佐」

「はい?」

「私からも頼む。どうか、殿下を御無事に」

「り、了解」

「……(癪では有るが、あの鎧衣課長の気配に気付く程だ……途轍もなく出来る男なのだろう)」

「白銀、世話になります」

「とんでも有りません。光栄ですよ……殿下☆」


≪――――ニコッ≫


何だか真耶さんが頼り気な視線を向けてくれた。思ったよりも印象が良かったと踏んで良いのかな?

よって誰も居なくなった事も有り、調子に乗ってしまった俺は殿下に"白銀スマイル"を披露してしまう。

キラッ☆ ……の様に痛いポーズは取っていないが、以前 鏡で見た時 自分でもウザそうなのは理解できた。


「…………」

「…………」


≪ひゅううううぅぅぅぅ~~っ……≫


――――そして塔ヶ島を駆ける一陣の疾風。"ブルーゲイル"とでも呼んで貰おうか?


「……(何と眩しい笑顔なのでしょう……)」

「殿下……どうしたんですか?」

「!? あっ、いえ……何でも有りません」

「そうですか。それでは早速 部下に連絡を入れますんで、少々時間を頂けますか?」

「どうぞ」

「篁・軍曹 聞こえるか? こちら白銀だ。見ての通り"煌武院 悠陽"殿下 以下、4名の身柄を確保」


やべっ……引かれちゃったのかな~? 俺は早くも後悔しながら殿下に待って貰うと皆に連絡を入れる。

コレに関しては全員に今の状況の監視を頼んでいたので、イチイチ説明する手間が省けて非常に良かった。

んで通信を終えると……殿下は引き続いて俺の顔を眺ており、やっぱり警戒されたかと思ったが……


「…………」


≪じ~~っ……≫


「で、殿下?」

「その……白銀」

「????」

「そなたの顔は、思ったより丸くは無かったのですね」

「まる?」

「――――この様に」

「そ、それはッ」


≪ちゃりんっ≫ ←"ゆっくりたける"キーホルダーを取り出した悠陽


「予想外です」

「ちょっ……何で殿下がソレを持っているんです!?」

「その、道中で鎧衣が そなたと思われる者の事を"コレ"を見せながら話したので、
 少々興味が湧いたところ……"欲しければ差し上げましょうか?"と申したので……」

「す、捨てたら呪われるって言ったのに」

「まあ……どうしましょう? 困りました」

「いや、嘘だったんで別に良いんスけど」

「そうなのですか」

「そうなのDeath。……まぁ、例え本当でも殿下の為に呪われるなら彼も本望ですよ」

「ふふふっ、そなたは聞いていた以上に面白い人ですね」

「鎧衣課長に聞いた事だったら本気にしちゃダメですよ?」

「そうですか。それでは、これから知ってゆく事にしましょう」

「……ッ……」

「白銀?」

「あっ……いや、殿下も想像してた方とは大分 違うなァ~と」

「それでは、お互い様のようですね」

「みたいです」


思い過ごしだったのは良いけど、殿下のイキナリの言葉に度肝を抜かされてしまった。何で持ってるの?

しかし"ゆっくり"のウザさに ゆーこさんはおろか殿下 迄 惹き付けてしまう魅力が有ったとは驚きだZE。

ソレはそれで彼女が警戒心を解いてくた様で良かったが、何だか違う意味で不安になった俺なのでした。


「(シロガネ タケル……殿下は道中、私が君の事を話した結果 非常に興味を持たれた様だ。
 そして、その相手に早くも出会えた事に喜びを感じている。……精々 気に入って頂く事だな)」

「ふむ……白銀 武……あの若さで少佐とは……」

「(しかし、もう一人 興味を持ってしまった女性が出た事は予想外だったがね)」




●戯言●
感想で真耶さんの登場を希望された方が居られたので出演して貰いました。コメント有難う御座いました。
BETA襲撃2回→もしかしたらBETAに襲われるかも?→真耶さん護衛……と言う感じで無理矢理。
設定では既に配属転換されている様ですが、今回を機に彼女が護衛に選抜され元の位置に返咲いた的で。


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