これはひどいオルタネイティヴ39(後編)①2001年12月05日 午前「もう来てたみたいだな、2人とも」「と、当然ですッ」「遅い」「ですよね~、そしてスマン」「ちょっと彩峰……貴女さっきから、いい加減にしなさいよ!」「相手は少佐だから大丈夫?」「それを俺に振るのか……?」ハンガーへと走る まりもちゃんを見送り屋上へとやってくると、榊と彩峰が既に待っていた。何だか榊がイライラしているみたいだが……その理由は簡単に理解できる。自重しろヤキソバ娘。でもデータを聞くに、相性は なかなか良いらしい。これも正史の設定を変えた事になるんだろう。……そんな2人はエロスーツに専用のジャケットを着込んだ姿。別に強化装備ダケでも寒くないんだが。しっかし、こんな速い時間に既にエロスーツ着ちまってトイレとか面倒臭そうだな……関係無いけどね。「それで白銀少佐、私達に何の御用でしょうか?」「…………」「あァ、それなんだが……先ずは彩峰」「はい」「お前の父親・彩峰中将は、光州作戦での敵前逃亡で酷いレッテルを貼られちまってたんだよな?」「!?」「そんな彼の部下であった沙霧がクーデターの首謀者だったから、ソレを気にしてるんだろ?」「……バレてた?」「表情見て特定 余裕でした。それに、来てんだろ? ソイツからの手紙が何枚もさ」「……ッ!?」「な、何ですって? だったら彩峰……貴女……」「……ッ……ち、違う……手紙は来てたけど、私は……」「分かってるさ、読んでないんだろ?」「!? う、うん……」「何で分かったみたいな顔だな~?」「…………」「簡単さ。お前は父親に失望している……それなのに彼を慕う人間が訪ねて来たりしていて、 既にストレスで寿命がマッハ。しかも彼に息子の様に可愛がられていた沙霧の手紙まで来る」「……(寿命がマッハって……何?)」×2「だから、ソレまで読んだら彩峰は精神的にキツい。だから読まない……そうだな?」「……正解かも?」「そりゃ~良かった」←疑問系はスルー「けど……それがどうかしたの?」「彩峰ッ!」「いや、いい」「ですが白銀少佐――――」「いいんだ」「……くッ……」……今現在の彩峰は、色々な思考がグチャグチャになり、その結果アバウトになっているんだろう。以前 親しかった沙霧がクーデターの首謀者だったと思いきや、上官に真実を追究されている。もしかすると、手紙の件を黙っていた自分は投獄されるのではないか? ……ンな事も考えてるのかも。だから多少 敵意を感じる視線が向けられる。矛先を俺に向けるのは間違っているが、ストレスの影響か。「それなら本題だ彩峰」「何?」「――――気にするな」「!?」「そもそも彩峰中将は逃げ遅れた民間人を救う為に、BETAに背を向けて味方を見殺しにしたんだろ? ソレなのに、先日の天元山に関してはどうだ? 国が取ったのは、民間人を多少 強引だけど救い、 軍の負担も極めて低い合理的な手段だった。……コレに関しては何も問題は無いよな?」「うん」「榊は どう思う?」「えッ? その……避難した国民には申し訳無い限りですが、ソレも少しでもBETAに備える為。 今回の負担は必ず我々 全ての衛士がBETAを殲滅し、平和を齎す事で応えたいと思っています」……訓練兵で有る私が言えた事では無いですが……そう付け加えて榊は話を締めた。彼女の表情は真剣であり、心から そう思っているんだろう。やっぽ榊首相の娘と言ったところだねェ。仲が悪いらしいけど……天元山での件の決断は彼のモンだろうし、根本的な思考は一緒なのかもな。よって榊の返答に満足気な表情と気分で彩峰の方を見ると、彼女も今の言葉に異論は無い様だった。「宜しい。その一方……彩峰中将の場合は民間人を助けて味方を見殺しにするか、 味方を撤退させて民間人と自分達も死ぬかの瀬戸際に立った結果、民間人達の命を選んだ。 まぁ……俺もあんまり詳しくないから、後者の場合は中将が死ぬワケじゃ無いかもしれないけど」「……それで?」「比べてみろって。彩峰中将の場合は選択肢が2つに1つで、どっちにしろ多大な犠牲が生まれた。 対して天元山の方はどうだ? 不法帰還者の命を犠牲にするか、救助する衛士の命を危険に晒すか。 その2つダケじゃなく、民間人も衛士も危険を伴わない選択肢も有って……今回をソレを選んだんだ」「…………」×2「――――彩峰。もしオマエの親父さんだったら、どの選択肢を選んだんだ? 不法帰還した民間人を溶岩に溶かしたか? それとも衛士を戦術機ごと溶かしたのか?」「……違う」「だとしたら何だ? 沙霧みたいに、人類にとっては最善だった選択肢を批判して――――」「違うッ! 父さんは そんな事はしない!! ……あッ」「彩峰……」「そうか、だったら簡単だろ?」ワザとらしく言う俺の台詞が全て終わる前に、父親と沙霧が"同じ"である事を否定した彩峰。その自分の行動を、彼女自身も驚いている様だ。隣にいる榊も彩峰が叫んだのが意外だったらしい。まぁ、彩峰の親子の細かい事情なんて知らないけど……今の彼女の反応が見れれば十分だ。よって俺はウザそうな笑みを浮かべながら彩峰に近付くと、軽く左肩に右手を添えて言った。≪――――ポンッ≫「……っ……」「つまり沙霧はお前と親父さんとは違う。彩峰の名を免罪符に、履き違えた理想を追ってるに過ぎない」「少佐……」「……何でも知っているように見えるけど、俺は別に全て理解してるワケじゃないよ。(本音) 沙霧が何故リスクを考えて迄お前に手紙を送ってるのかも、実際の彩峰の本心がどうなのかも。 それに、沙霧が本当に自分の意思でクーデターを起こしたのか? なら影で糸を引いてたのは誰だ? 結局は何も知らない。……だけど、今 起こっている事がアホらしいって事は分かってるつもりさ」「ハッキリ言うね」「あ、アホらしいって……」「俺は素直だからよ? 言いたい事は正直に言うし、沙霧が目の前に居たら殴る」「……ふふっ」「んっ? 何か可笑しかったか?」「!? べッ、別に」「そんなら良いが……実戦 頑張れよ? ちゃんとフォローしてやるからさ」「本当?」「たぶん」「薄情者」「はははッ、冗談だよ」「……でも……有難う」「うん?」「今回の任務で、自分の気持ちにケリをつける。実際 彼と鉢合わせる可能性は低いだろうけど……」「…………」×2「国連軍の衛士として、ちゃんと仕事をこなす。それを成し遂げるのが、今回の私の戦い」「うむ、良い心意気だ」「……ども」どうやら彩峰は……現実と戦う決心がついた様子。これで彼女は安心と言ったところかな?故に満足した俺は彼女の頭をグリグリと撫で、彩峰はそれを(多分)心地良さそうに受け入れてくれた。そうなると次は榊か。首相は生きてると思うけど、完全に無事だと分かっていないぶんフォローし難いぜ。「んじゃあ、榊」「は、はいッ」「お前に関しては分かりやすいな。榊首相が心配なんだろ?」「……ッ……そ、そうですが……心配しないで下さい」「何で?」「それは……私は訓練兵だとは言え衛士だからです。私情など軍人にとっては関係有りません。 わざわざ少佐が心配してくれるのは嬉しい……ですけど、気遣って頂く必要は――――」「お前 頭悪ィな、娘が親の心配をしないのはずるい」「えぇっ?」「す、すまん。今のは聞き流してくれて構わないが……確かに榊の考えは間違ってない」「それならッ」「けどな、頭 硬過ぎなんだよ。何の為に彩峰と、榊を交えて"今の話"をしたと思ってんだ?」「!?」「凄く心配な癖に……軍人なのを理由に誤魔化すのはズルい?」「そう言う事だ」「うぐっ……」――――初っ端の反応は、予想通りと言ったところ。しかし問屋が卸さないんだZE。「んで、どうなんだ?」「……ッ……し、正直なところ……父が気になって仕方ありませんでした」「素直で宜しい」「……大丈夫なの?」「俺は生きてると思うぞ」「!? ど、どうして そう言い切れるんですかッ?」「奴等が本気なら(正史がそうだったし)本来 榊首相を斬って即 世間に知らしめたハズだ。 それなのに発表が無い。だとすれば生きてるとしか考えられないだろ、常識的に考えて」「でもッ!!」「分かった分かった、教えてやるよ。実は榊首相を生かす為に、巌谷中佐が裏で動いてくれたんだ」「い、巌谷中佐が……?」「あァ。実際に何をやったのかは知らんけど、あの人なら旨くやってくれたと思うぞ?」「進言したのは少佐?」「ちょっ……おま、何で知ってんだよ」「当たってたんだ」「か、カマ掛けられた!?」「……(白銀少佐は私が抱え込まない様に、自分にも彩峰中将の話を聞かせてくれた?)」「やっぱり何でも知ってるんじゃ」「いやいや、知らないって」「……(それ以前に、私の為に巌谷中佐に進言をしてくれるなんて……)」「妬ましい」「いや、それキャラ違うから!」「……(自惚れてるみたいだけど、少佐なら本当に"私の為"にやってくれたと思える……)」「それよりも少佐」「!? しまった、そうだった。彩峰、お前もう喋んなッ」「…………」←妬ましそうな視線榊は普通に真面目……ヘタすりゃ篁 以上だから、五月蝿くなる前に巌谷さんの名前を出した。すると黙り込んでしまった榊。こりゃ地雷でも踏んじまったか? そんなウチに彩峰との漫才開始。いかんいかん、これでは話が進まないZE。よって彼女を黙らせると榊の反応を待つんだが……「少佐っ!」「なんだい?」「御気遣い有難う御座いましたッ、大分落ち着けた気がします」「100%無事とは、まだ言い切れないけど?」「……ッ……それでも訓練兵の私に、其処まで白銀少佐が尽くしてくれたのです。 分隊長として相応の働きをしませんと、仲間達に示しが付きませんから」「なら良かった」「それに――――」≪既に全てを失いつつも尚、戦い続ける者の気持ちを……考えた事が有るのかと聞いているッ!≫「それに?」「!? い、いえ……何でも有りませんッ(少佐と比べれば私の境遇なんて、まだまだマシなのよね……)」「なら流すけど、榊くん」「は、はい?」「例え残念な結果だったとしても、俺の胸くらいなら貸してやるから安心しとけよ?」「なっ!? え、縁起でも無い事を言わないで下さいッ!」「悪い悪い、冗談だよ」「し……白銀少佐は若くあれど立派な佐官なのですから、その辺りの発言を……」「(……でも、拒否はしないんだ)」「だから悪かったって、それより彩峰に負けるなよ~?」「と、当然です!!」「……ッ……」←凄く何か言いたそうな彩峰「それなら2人とも大丈夫だな~? 任務での健闘に期待する!」「――――はっ!」×2思ったよりも榊は大丈夫だった様で、どうやら今の間で自分なりの答えを見つけたらしい。別に大して気の利いた事は言ってなかったんだけど、見るからに肩の力は抜けているみたいだ。だったら、冗談抜きで大丈夫そうかなァ~? そうなれば……早くも このイベントは終了ですね。「じゃ~急いでハンガーに行くんだ。"冥夜達"が待ってるだろうしさ」「!?」×2「んっ……ど、どうしたの?」「少佐」←武の至近距離に接近「うわっ、びっくりした。……何なんだよ?」「私も名前で呼んで良いよ」「あ、彩峰ェ!?」「……ダメ?」「いや、別に構わないが」「それなら宜しくね。……じゃ」「あァ、またな~?」原作の様に軽く手を立てて屋上を去ってゆく彩峰……いや慧。そして当然の如くケツを眺める俺。そうなると必然的に俺と榊が その場に残され……彼女は何故か俯いて震えておられます。やっぱり不安になっちまったのかな~? そう考えているうちに顔を上げた榊は何故か真っ赤だった。「……榊?」「し、ししし白銀少佐ッ! 私の事も……!!」――――んで榊が言ってきた事は言うまでも無く、正史に反し2人を名前で呼ぶ事になったのでした。……………………5分後。「アイツもまだまだガキですよ?」「も、戻って来て早々 何を言っているのだ? 彩峰」「えっと……榊さんは、まだ少佐のところなんですか~?」「もう戻ると思うよ」「それにしても慧さん、さっきより大分 覇気が戻ってるみたいだねッ」「……わかる?」「むぅ……やはり白銀少佐は、我々の事など御見通しと言う事なのか」「妬ましい」←気に入った様子●戯言●彩峰「妬ましい」……何か言わせくて書いちゃったんだ☆ 後編②は極力 早めに掲載したいと思います。そして暁せんべい氏がまた描いてくれました!! みwwなwwぎwwっwwてwwきwwたwwぜwwhttp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=4279420 ゆっくりしていってね!!!