これはひどいオルタネイティヴ292001年11月25日 正午「(う~む……)」模擬戦に勝てて一難 去ったワケなのに、再び俺はピンチに陥っていた。お解かりだろうけど、伊隅・速瀬・宗像・涼宮(姉)に対しての"命令"が未だに思い付かないからだ。勿論エロいのは真っ先にダメ。 つまり"少佐っぽい"命令をする必要が有るんだけど……今回 真っ先に撃墜されたのが俺なので、更に"命令"のボキャブラリーが減ってしまった気がする。だけど良い事を言えば彼女達とのフラグに繋がりそうなので、必要以上に悩んでいる俺。しかしながら、もう時間が少ない……今となっては ゆーこさんの尻を眺めさえもせず考えている。この歩行ペースだと目的地まで早くても5分は掛かるし、ソレまでに決めようと思っていると……「……(黙って歩くダケって言うのも、退屈ね)」「…………」「白銀」「はい?」――――折角 本格的に考え様と思ってたのに、話しかけられちゃったよ!?「もう模擬戦のデータは見たわよ?」「えっ、そうなんスか?」「なんかピアティフが真っ先に届けてくれてね~」「!?」「十中八九、アンタの影響だと思うけど」「じゃあ……そ、そうなると……」≪……イリーナ中尉! このデータを、副司令に届けてくれよっ?≫「何よ?」「聞いたんですね、俺の台詞……」≪これは……"いいもの"だァーーっ!!≫「そんなの、リプレイを見たら嫌でも聴こえるわよ。 それに何か問題でも有るの?」「別に無いですけど……」「それよりもピアティフったら、いきなり連絡を寄越して来たから何事かと思ったわ」「仕事熱心なんですね~」「アンタが名指し したからじゃない」「いや、別にそういう意味で言ったワケじゃ無いんスけど」……あの台詞はパイロットを肖っていたダケで、深い意味は全く無かったりする。けどイリーナちゃんは引くどころか、俺が言った通りデータを既に届けてくれてたのね。これは墓穴だ~ッ、ゆーこさんがデータを受け取って無けりゃ話し掛けても来なかったろうに!「だったら どう意味よ?」「えっと、無意識のうちに……かな?」「ふ~ん……成る程ね」「……("成る程"となッ?)」「でも、それじゃピアティフも報われないわね~」「????」俺の適当な誤魔化しに対し、それっきり口を開かず歩みだけを進めるダケになった ゆーこさん。あれっ、もしかして納得してくれたのか? ……いやいや、流石に有り得んだろ それはッ。きっと"成る程"ってのは皮肉だ。 只単に、俺との会話が時間の無駄と判断したんだろうね~。悔しいが仕方ない。 命令の事に頭が一杯で、彼女の対応にまで頭が回っていなかった俺のミスだろう。「(白銀は模擬戦に乗り気じゃ無かったみたいだけど、殺られ際のあの言葉…… "無意識のうち"に出たって事は、BETAに少しでも抗おうって決意が体に染み付いてるって事ね)」――――そんな事を考えて ゆーこさんの尻を見てるウチに、ブリーフィング・ルームに着いちゃったんだ☆「(自分じゃ判って無いみたいだけど、白銀 以上に後先 考えてる衛士なんて居んのかしら?)」――――結局"命令"は決まらなかった。 "あの台詞"を肖った事がこうも響くとは計算外だったYO!!……………………15分後。「皆、揃ったわね」『はっ!』ヒラヒラと手を振る ゆーこさんを前に、以前の7名が彼女に対して敬礼する。そんな篁・月詠さん・イリーナちゃん・伊隅・速瀬・涼宮(姉)・宗像の動作を軽く流しながら、ゆーこさんは大まかな結果を述べ始める。 皆が知っている事だけど、物事には順序ってのが有るしね。……一方、俺は ゆーこさん左斜め後ろに控えていて、未だに最期の抵抗として案を考え中だ。「結果は知っての通り白銀達の勝ち。 内容については皆 知ってるだろうし省くわ。 でもXM3を完成させるに当たっての資料としては、十分な内容だったとは言っておこうかしら」『…………』――――って省くのかよ!? 相変わらず非常識な人だな……少しは考える時間をくださいッ。ちなみに、この部屋に入った時は涼宮(姉)とイリーナちゃんしか居なくて、何故か涼宮(姉)は顔が赤かった。大方 俺の"命令"を恐れているのか、或いは以前"もふもふ"したのがトラウマになっているのか……そんな"もぢもぢ"する涼宮(姉)を見て、俺は更に葛藤する羽目になってしまう。 反則だ、普通にエロいぞ。しかもイリーナちゃんは ゆーこさんと今回のデータ云々の難しい話を始めてしまった事から、寂しく棒立ちしてたんだけど、涼宮(姉)の視線が気になって考えるドコロでは無く、邪な気持ちは無いとアピールせんが如くチラ見してくる彼女の視線を、流す術しかなく今に至る。「それじゃ、白銀」「はい」「言った通りアンタに"御褒美"よ。 伊隅達4人に好きな事を"命令"しなさい」「はぁ」「……ッ……」×4顔だけ此方に向けて言う ゆーこさんに促されて一歩前に出ると、伊隅達が明らかに動揺した。同時に篁達の顔も強張り、俺も仏頂面だった。 ……だってまだ、決まってないんだもん☆だったら もう優柔不断でも何でも良いや、フラグ成立の可能性が消えるのは残念だけど、ヘタな命令をしたら折れる可能性のほうが高そうだし、決めれなかったって事で無しにしようっと。「大抵の事は大丈夫よ? 白銀」「……いえ、やっぱ止めときます」「!?」×7「何ですって?」「だってホラ、 俺の戦果は大した事 無かったですし真っ先に撃墜されたのって自分じゃないですか。 一応 決めはしましたけど(嘘)、やっぱ無理に"言う事を聞かせる"のは――――」「ま、待ちなさいよッ!」「ままま待って下さい!」「速瀬!?」←伊隅「涼宮中尉ッ」←宗像「な、なんぞ?」――――なんだか知らんけど、突然 聞いた通りの2人が凄い剣幕で迫って来た。「"何も命令しない"なんて、それで済ませるつもりなの!?」「ダメですッ。 戦果はどう有れ白銀少佐は勝ったんですから、遠慮なく言ってください!!」「えぇっ? だけど何も言わない方が、そっちにも都合が良いんじゃ……」「それじゃダメなの!!」「駄目なんですっ!」「そ、そうなんですか……(びくびく)」「(全く……それじゃ白銀少佐に"無理な命令をされたい"って言ってる様ものじゃない……)」「(もはや2人が少佐に惹かれているのは決定的だな、私も御咎め無しと言うのは若干 癪だが)」これは予想外。 どうやら、速瀬と涼宮(姉)はちゃんと罰ゲームを受けたいらしい。顔は可愛いけど流石は軍人だな……負けは負けだって事から、命令されないと気が済まないのね。そう考えて伊隅と宗像の方を見ると同じ考えみたいだし、参ったな……続いて ゆーこさんに視線を移す。「白銀。 あたしもそんな つまんない事で済まさせないわよ? さっさと言いなさい」「は、はあ……」「……ッ……」×7だけど微塵にも助けにはならず、ゆーこさん+7名の視線が俺に集まって来てしまった。ど~する、ど~するよ? ど~すんの俺!? こんな事なら、ラ●フカードを用意しておけば良かったぜ。あああぁぁ……だったら仕方ない。 後方には最後まで有ったけど、結局はボツにした案でゆこう。俺は覚悟を決めると、キリッと真面目な表情(心は"やる男"調)を必死で装いながら口を開く。「伊隅・速瀬・宗像・涼宮」『――――ッ』「だったら命令させて貰うよ。 ……だけど、結構無茶な事になると思う」「!?」×4「(む、無茶な事……一体 何を言われるのかしら?)」←唯依「(雰囲気が変わった? だとすると過酷な……最初 少佐は指示するつもりは無かった様であったし、 ひょっとすると速瀬中尉と涼宮中尉の行動は浅はか だったのかもしれんな)」「(全く予想できないわね……やっぱり私は、ちっとも白銀少佐の事を理解できていないんだわ)」「4人とも、良いか?」『……ッ……』俺の言葉にカラダを強張らせる伊隅ら4人、篁ら3人も神妙な面持ちをする中 ぶっちゃける。「絶対に――――死なないで欲しい」「!?」×8「俺の命令は、それダケさ」「白銀……死なないでって……それだけ?」「はい、それダケです」い、言っちゃったよ。 真面目な顔して"死なないで欲しい"……だってお(笑)でもオルタの世界だとBETAと戦い続けて"絶対に死なない"なんて滅茶苦茶難しい事なんじゃなかろうか?それはそうと、自分で言ってて何て"甘い"発言かと思う。 "現実は甘くね~んだよっ!"……と一蹴されても文句は言えないだろう。 けど勘弁してくれッ、それ以外 思いつかなかったんだよぅ!期待させておいてごめんね!! そう心の中で速瀬と涼宮(姉)に詫びる事にした俺サマ。「(私たち斯衛……いえ衛士は少しでも多くのBETAを倒し、いずれ戦場で果てる存在なのに……)」「(よもや"死ぬな"とは……無茶な命令だとは思うが、白銀少佐が言われると……)」「(きっと彼は……これ以上、自分の"仲間"を失いたくはないのね。 そう考えると今回で、伊隅大尉達を認めてあげたと言う事なのかしら?)」「ふ~ん……死ぬな、ねぇ。 厄介な事を守らなくちゃならなくなったわねぇ、アンタ達」「……ッ……」×4「ちょっと、伊隅まで どうしたの?」「はっ!? い、いえ……何でも有りません」「俺が言うのもなんだけど、無理そうなら別に断ってくれても良いよ?」「!? 何 言ってんのよッ、それが命令なんでしょ? だったら何が何でも生き残ってやろうじゃない!」「そうだね。 私も頑張って死んじゃわないようにしますっ!」「涼宮~、アンタは速瀬と比べると100倍は死に難いんだから意気込むなら別の所にしなさい」「むしろ涼宮中尉はCPにおける采配で我々を死なせないようにするべきでは?」「あうッ」「それじゃ~伊隅、白銀の条件を飲むってワケね?」「元より選択権など無いでしょう?」「それもそうね」「んじゃ~俺はこれで。 疲れたんで休ませて貰いま~す!」「あっ……白銀少佐……」なんと意外にも反論が無かったので、今がチャンスッ! 俺はさっさと逃げ出す事にした。途中で篁が俺の名前を呼んだけどスルー。 うぅ……こりゃフラグ成立には結び付きそうも無いな~。でも今の命令でA-01が色々と自重してくれれば、戦死は避けられる筈だとポジティブに考えよう。≪……バタンッ≫「あ~あ、つまんない。 少しは女ったらしい命令を期待してたのに」「副司令」「どうしたのピアティフ、何か思うところでも有った?」「は、はい。 白銀少佐は以前――――」………………「まりもがシミュレーター訓練中に自爆した時、白銀が錯乱した事が有った~っ?」「御本人からは"忘れて欲しい"と言われたのですが……」(13話参照)「それって何時の事?」「2週間程 前だったかと思われます」「……(し、少佐にそんな事が……)」「……(だからこその、彼女等4人への"命令"だったと言うのだろうか?)」「ですが少佐は錯乱されながらも、BETAを蹂躙しつつ反応炉 迄 到達されていました」「その辺は、流石は白銀ってトコねぇ」≪命令だ、復唱してくれッ! 御願いしますから!!≫「(成る程……"あの時"の白銀少佐は、BETAを全滅させるダケでなく私達全員を守る事も考えていたのね)」≪良いから命令だ!! お前を死なせたくないんだ、頼むから下がってくださいッ!≫「(必死に何 言ってんだって思ったけど……ひょっとしてアイツは"仲間"を自分の命よりも大切に……)」≪もし涼宮中尉にも必要な状況だったら、当然 俺は同じ事をしたよ≫(17話参照)「(戦いダケじゃなくって少佐は水月に対してみたいに、仲間を"死なせない"為なら手段は選ばないのね。 女性として複雑だけど、私はソレでも構わ……って、どうして そんな事ばっかり思っちゃうんだろ~?)」≪……いや、断る理由は無いよ。 参加させてくれないか?≫(16話参照)「("あの時"は案外 釣れる方だと思ったが、私と祷子に対して何かを感じた訳では無く、 A-01全ての"今後"を案じて祝勝会に参じたダケに過ぎなかったと言う事か……恐れ入る)」「まぁ~、白銀の事はそれぐらいにして……とにかく解散にしようかしら。 伊隅。 午後は此処で"打ち上げ"が有るから全員に来るように言っておきなさい」「了解」「月詠中尉、あの3人の娘達も連れて来るのよ? 今回の主役みたいだし」「畏まりました」「あの」「ピアティフ、まだ何か有るの?」「白銀少佐の事はどうしましょう?」「う~ん……放って置きなさい、"疲れた"とか言ってたし」「!? ど、どうしてですかッ? それなら、私が御声掛けに――――」「篁」「は、はい?」「貴女……知ってる? 白銀が先月の22日に此処(横浜基地)に配属されてから、 合計"何百時間"戦術機での訓練や戦闘を繰り返してるのか」「……ッ……」「涼宮」「はい。 あの、白銀少佐は一週間前……過労で倒れた事が有るんです」「えぇっ!?」「ですから、無理には」「そ~言う事。 判った?」「わ、分かりました(……くっ、なんて愚かな発言をしてしまったのかしら)」――――この瞬間から、ヴァルキリーズの隊規の一つが無謀にも"決して戦死するな"に変わったらしい。………………2001年11月25日 午後今日は色々と墓穴を掘ってしまったので、俺は昼を抜いて暫くの間 自室で寝た。そして適当な時間に目を覚ますと、PXにへとやって来たんだけど……篁達やA-01の姿は一切無い。まぁ、それも良いか……今は顔を合わせ辛いしね。 時間そのものが若干遅いっても有るけど。「あれっ?」「…………」≪どよ~ん≫食事を受け取って席の方へと歩いてゆくと、一人でポツンと蕎麦を食っている女性の姿が!……地味に久しい まりもちゃんだ。 篁を紹介して以来になっちまうかな~?それはさておき、何故か暗そうにしている。 目の錯覚だろうけど、肩にキノコが生えてる様に見える程。きっと模擬戦の事は知ってたけど参加させて貰えず、自分のS型だけ ゆーこさんに持ち出された事から、仲間外れにされたと思ってヘコんでいるのかもしれない。 ……此処は声を掛けるしかね~な。俺も一人での夕食は寂しいし、周囲に人も居ないしで"例の名前"で話し掛ける事に決めた。「まりもちゃん」「えっ……あっ、白銀少佐!?」「コンバンワ、隣 座りますよ~?」「ははははいッ。 どうぞ」――――すると どうでしょう、まりもちゃんのテンションが見違えたので、調子に乗った俺は。「それじゃ~明日はB分隊の指導に付き合いますよ」「は、本当ですか? 是非 御願いします」「了解~」「(きっと篁中尉も来るでしょうけど、彼が来てくれるダケで私は……)」――――つい安請け合いしちゃったんだ☆ まぁ、最近 放置しちゃってたし丁度 良い機会かもね~。「イキナリだし、榊達 驚きそうですね」「ふふふっ、そうですね。 呆気に取られる様子が目に浮かびます」――――余談だけど後日、今日の"打ち上げ"が有った事を篁の口から聞いた俺は、地味に凹んだ。………………2001年11月26日 早朝「今回は早かったわね」「どもッス」今朝も霞と篁に起こされると、霞の口から ゆーこさんが俺を呼んでいると言う話を聞いた。その理由は想像できるので、篁に先にPXで待つように指示すると、執務室に向かう途中で未だにAAを作っているらしい霞と別れ、今は ゆーこさんと対面している。ちなみに今 結構眠い。 昨日まりもちゃんと長い事 話してた上に、日課の対象を神代達にしちまったからだ。「……で、昨日の件は"刺激"になった?」「えぇ。 なりましたよ、御陰で ひとつ思い出しました」――――別に刺激にはなってないし、思い出す以前に知ってたんだけど、俺は空気を読む。「本当? だったら教えなさいッ」「えっと……期待には副(そ)えないんで申し訳ないんスけど」「あら」「11月28日。 珠瀬事務次官が来訪して来る日に、HSSTが横浜基地に落ちて来ます」「……っ!?」「えっと、どれだっけ……エドワーズから那覇基地に向かっている、再突入型駆逐艦……かな」「……ッ……」「同時に遠隔操作による突入角の変更を試みるも駄目。 自爆コードも受け付けず、ハッキングも重ねて無理って寸法です」「ホントなの?」「勿論です」「全く、とんでもない事を"思い出した"モンねぇ」「思い出してなかったらゾっとしますよ」「折角00ユニット完成が見えたと思ったのに」「はははっ、横浜基地が消えちゃえばソレどころじゃ無いッスよ」「まぁ……"この辺"は無事でしょうけどね」「でも死にますよ? 一万人くらい」「でしょうね」「狙いは珠瀬事務次官だと思います、オルタネイティヴ5の発動を望む連中の差し金でしょ」「彼が易々と避難するような人間じゃないって事を判ってる分、タチが悪いわね」「全くッスよ」俺って頭良い~ッ! A-01との模擬戦って言う新しいイベントを経験した結果、何かを"思い出さないと"いけなくなったけど、28日の件を都合よく思い出す事にしたのだ。細かい内容は知らないから"白銀"の記憶を頼って情報を淡々と伝えたんだけど……正直、新潟の件よりも唐突過ぎるよな……でも、思ったより ゆーこさんは疑っていないみたいだね。これも"信用された"って現われなのかな? ともかく今は話を続けるとするか~。「"前の時"は、どう対応したの?」「それは……確か1200ミリOTHキャノンって有りますよね?」「そんなのも有ったわね」「確か……HSST打ち上げ用のリニアカタパルトの先端に、整備リフトを固定。 其処にアイツだったら……吹雪かな? 吹雪とOTHキャノンを配備。 んで衛星データリンク・間接標準による"極長距離狙撃"を行うって寸法です」「無茶苦茶ね……」「考えたのは ゆーこさんですけどね」「じゃあ"アイツ"って誰?」「珠瀬です」「成る程ね」「でも今回は必要無いですから、事前にサッサとブッ壊しちゃってください」「何で?」「多分 無理っぽいからですよ。 珠瀬は最初 超ビビってましたけど、 訓練兵として一緒だった"頼り無かった俺"に励まされて、何とか成功させたってトコでしたし」「ふぅん」「高度60キロ、距離500キロ。 何度も成功するモンじゃ有りませんって」まぁ、今の俺が必死に説得しても良いんだけど……良い意味での"熱い展開"にはできっこない。アニメやゲームだと効果音や音楽までもが空気を読んでるから、雰囲気が出るに過ぎない。なのに俺なんかが珠瀬をヤケになって励ましてみろ? きっと"こんな風"になっちまう。………………「何 言ってんだ珠瀬、諦めんなッ!」「そ、そんな事 言ったって……無理なモノは無理なんですっ!」「頑張れ頑張れ出来る出来る、絶対出来る!! 頑張れ、もっとやれるってッ!」「……ッ……」←ドン引き……………………そう、大方 松岡 ●造みたいなノリの励まし方しかできないだろう。このゲームの名前がマブラヴ・ヒートネイティヴとかなら別だろうケド、やっぱ正史通り壊して貰おう。アンリミなら大変なイベントなんだけど、オルタじゃ予知さえ出来れば何の問題も無いしね。「じゃあ先手を打って置くしか無いって事ね」「はい、御願いします」「全くもう……また仕事が増えたじゃない」「思い出して無かった時に起こる事態よりはマシですって」「そうなんだけど癪ね」「まぁ、そう言わないで下さいよ。 ゆーこさんが模擬戦を組んでくれた御陰でも有るんですから」「ありがと」「じゃあ話は変わりますけど、XM3については どうなってます?」「HSSTの件を優先させるから後回しになるけど、昨日のデータを元に最終調整をするつもりよ」「そうですか」「アンタから思う所は有る? 参考にしてあげても良いわよ」「う~ん……何点か有るんスけど、明日に回しても良いですかね?」「どうして?」「今日 一日、B分隊の訓練を見るんですよ。 その時、まりもちゃんや榊達の意見も取り入れようと思って」「へぇ……(やっぱ考えてんのね、こいつ)」「だから明日って事で」「分かったわ、なら午後の適当な時間に来て」「了解~」「HSSTに関しては任せときなさい」「有難う御座います。 でも、睡眠はしっかり取ってくださいね~?」「アンタから言えた口なの?」「言えた口ですよ」――――ゆーこさんの"睡眠時間"が俺よりも短いのは間違い無いだろうしね。「あたしはアンタこそ もっと休めって言いたいんだけど」「何 言ってんですか~、俺はちゃんと休んでますって」「休んでる人間が突然 倒れたりはしないものよ?」(21話参照)「あ、あれはタマタマですよ、たまたま」――――疲れてたんじゃ無くて、築地達の おっぱいに興奮して倒れたダケだし。「"たまたま"そうならないように休めって言ってるんだけど? 生憎 私は倒れた事は無いわよ」「それについては言い訳しませんけど、もう大丈夫ですって」「根拠は?」「有りませんけど、年末年始が過ぎる迄は大丈夫だと思います」「人事みたいに言われても、納得できないんだけど?」「……ッ……」「白銀?」う~ん、なんだか随分と食いついてくるなあ。 無駄に心配する俺が鬱陶しかったんだろうか?でも彼女に休んで欲しいのはマジ。対して俺は疲労で倒れたワケじゃないから、つい言い返してしまう。そんな中で ゆーこさんの口から出た"ひとごと"と言う単語を聞いて、俺は遂に自重できなくなってしまった!「……人事の様にと言ってますけどね、俺は自分自身を"客観的"に見る事が出来るんです」「えっ?」「貴女とは違うんですッ」「!?」――――アタックチャンスッ!! 後者の台詞は そんなノリで発音するのがコツなんだ☆当然 言いたくなったダケなので深い意味は全く無い。 しかも喧嘩腰な台詞なので、言ってから後悔。それはそうと、コレって"あの年"の流行語大賞でも良かったんじゃないかって思うんですけど。「だ、だから心配しないで下さいよ。 それじゃ~失礼します!」「…………」≪ガシューーーーッ≫昨日 自重しようって決めたのに、相変わらずだな俺って……もう死のうかな。何だか最初は呆気に取られてた ゆーこさんの顔が即 怖くなったし、此処は離脱するに限るッ。よって俺は執務室を出ると、全力で駆け出した。 ちゃんと結果は出すから許していってね!!≪俺は自分自身を"客観的"に見る事が出来るんです≫「アイツ……自分が倒れる事までも計算に入れて、無理に体を動かしてるとでも言いたかったの?」≪――――貴女とは違うんですッ≫「でも、あたしには"それ"が出来てないから余計な気遣いをして来た……何だか敵わないわね」……………………1時間後。「本日 御指導して下さる、白銀少佐に敬礼ッ!」『――――っ』「突然だけど、今日は俺がガンダ……教官だ。 宜しく頼むよ」『はいっ!!』「(白銀少佐……一体どんな指導をされるのかしら? それにしても突然の話だったわね)」PXで篁と合流した俺は強化装備に着替えると、予定通りシミュレータールームに赴いた。そして軍服姿の篁&まりもちゃんを左右に、凛々しく敬礼しているB分隊5名と向かい合っている。予定は主に じっくりと個人指導……そう安請け合いしたワケなんだけど、俺は再び葛藤していた。「(いきなりで焦ったけど、遂に この時が来たのね……頑張らないとッ)」「(厳しい表情をなされている。 も、もはや異性として意識している場合では無いな)」「(少佐……待ってた)」「(あわっ、あわわわわっ……どどどどうしよう~っ)」「(やけに軍曹の機嫌が良い気がするけど、どうしたのかな~?)」――――だって、榊達がスケスケ・エロスーツ姿なのを忘れてたんだもおおぉぉんっ!!!!●戯言●A-01に対しても命令は勘違いフラグのみ利用しました。期待させてごめんね!!!今回は修●と元総理の台詞云々のネタがやりたかったダケなんだ☆ だから20KBと短いです。次回、ようやくB分隊のターンです。相変わらず大したフラグは立たないと思いますけど。