これはひどいオルタネイティヴ212001年11月18日 午前「おはよ~ございま~す」「あら白銀、丁度良かったわね」「何か用だったんですか?」「そうよ。 そろそろピアティフに連れて来させようと思ってたし」今日の朝食は まりもちゃんと摂り、昨日の感想を聞こうと執務室にやって来ると、ゆーこさんがソファーに座ってコップを片手に、何かを飲みながらリラックスしていた。視線をデスクの方に向けると珍しく霞が居て、パソコンと向き合って何か作業をしている。顔は隠れて確認できないけど、特徴的な髪が飛び出ているので、安易に彼女と特定できた。「あぁ……そう言えば、今日は霞が起こしに来てくれませんでした」「ホントは その時 連れて来させれば良かったんだけどね」「今はそれがちょっと気になってます」「……(まぁ、こんな事でコイツをからかっても無駄よね)」「ゆーこさん?」「霞はワケ有りでね、見ての通りよ」「はぁ……」――――さっきからカタカタと何かしている霞。"お仕事中"と言う事なのだろうか?「とにかく座んなさい」「は~い。……おやっ?」「どうかしたの?」「……くんくん……それってコーヒーですか?」「ふふん、本物よ~?」「俺には出ないんですか?」「欲しけりゃ自分で入れなさい」「やらいでか」できれば ゆーこさんの真横に座りたかったが、俺は素直にテーブルを挟んでいる正面のソファーに座る。すると前方から懐かしい匂いがしたので聞いてみると、どうやら"本物"のコーヒーを飲んでるらしい。今となっては希少らしいので、"モドキ"以外のコーヒー豆には初めて御目に掛かったッ!砂糖を入れれば無理矢理にでも美味くはなるんだけど、やっぱり天然モノが一番だよね?そんなワケで未だに作業している霞を気にしながらコーヒーを入れ、俺は再びソファーに着席。「それじゃあ本題に入るわ」「御願いします」コーヒーを飲みながら互いにリラックスした状況で、真面目な会話が始まる。内容として、まずは昨日の斯衛トリオとの模擬戦。 率直に言えばゆーこさんは満足してくれた様だ。結果 新OS(β版)・不知火S型による実戦データ・模擬戦データが揃ったので、後はバズーカのテストを残すのみ。 それが済めば直ぐにでも帝国軍に揺さぶりを掛けるつもりらしい。けど、これに関しては俺の理解の範囲外だ。 ……とは言え、ゆーこさんに任せておけば安心だろうね。そう考えながら貴重なコーヒー(本物)をチビチビと啜っていると、予想していた話題へと移った。「後はフォールディング・バズーカのテストなんだけど」「どうしました?」「データとは言え反応炉を"無事に破壊した事実"が欲しいわ」「あぁ~、その事なら今日済ませます」「本当?」「……えぇ。 以前一人で壊そうとしたらミスって爆風に巻き込まれちゃったんですよ。 発射直後さっさと離脱するなら普通に無事で済みそうなんですけど、 確実にクリアする為に、まりもちゃんとの2機連携で仕上げてみようと思ってます」反応炉のデータは横浜基地のモノが存在するので、耐久力等は既に解っている。だからシミュレーターではバズーカの一撃で反応炉を壊せたんだけど、威力を甘く見過ぎていた俺は、無駄に距離を詰めていた事も有って飛んで来た瓦礫に当たって大破した。BETAのカタマリに撃った時は奴らダケを巻き込む様に中心に撃ったから、まさかハイヴの壁とかもダイレクトに粉砕する威力だとは思わなかったんだよね~。一人でコッソリやってた時で良かったぜ……自分が巻き込まれる時点でS-11を使う方がマシだしな。「まぁ……その為に"盾"も強化するようにしたんだしね」「見学者は以前と同じでB分隊とA-01。 以後バズーカを使っての連携も学んで貰います」「なら皆へのフォールディング・バズーカの説明は、その時あたしがやったげるわ、 ピアティフにもまだ説明して無かったし、あんたじゃ無理だろうから」「有難う御座います」「さ~て、データを見て驚く頭の固い連中の顔が目に浮かぶわね~♪」「……ところで話は変わりますけど」「何よ?」「霞はさっきから何をしてるんですか?」これで本題は済んだし、後は適当に予定の調整を交わせば良いだろう。よって閑話休題の意味で俺は気になっていたが置いておいた事を ゆーこさんに聞いてみた。すると彼女は珍しく苦笑いしながら視線を逸らし、ポリポリと頭を掻きながら言う。「ん~……まぁ、見て貰った方が早いわね」「ぇあ?」「こっちに来なさい」「はい」ゆーこさんは立ち上がるとデスクの方へと向かったので、俺もコップを片手に続く。そんな最中でも霞は未だにカタカタとキーボードを叩いており、ようやく見えた表情も真剣だった。無表情の時と大きな差は無いけど、纏っている空気は違い、それは今の俺にでも安易に理解できる。≪カタカタカタカタッ……≫「調子はどう? 社」「……色々と出来ました」「見せてみなさい」「はい」ゆーこさんと俺が近付くと、霞は手を止めて こちらを見上げてくる。すると ゆーこさんは霞の後ろに回り込んでディスプレイを覗き込んだ。それに俺も残り少ないコーヒーを口に含みながら続くのだが――――「へぇ~、沢山新しいのが出来たわね」「どれどれ……一体何を――――ぶほォっ!?」――――迂闊にも貴重なコーヒーを盛大に吹き出してしまった。「ちょっ!? 汚いわねッ、何やってんのよ」「コーヒー……勿体無いです……」「す、すんません。 でもこれって~」「"顔文字"よ。 社ったら洒落で教えてみたら、すっかりハマっちゃったみたい」「さ、さっきから……ずっとコレをやってたんスか?」「……っ……」何と霞は"顔文字"をひたすら打ち込んでいた様で、メモ帳のようなプログラムには、彼女によって新しく作られたと思われる、かなりの量の"顔文字"が並んでおり、俺はソレを見て肩の力がモリモリと抜けてゆくのを感じていた。そんな中 霞を見てみると恥ずかしそうに頬を染めており、あぁ もう可愛いなチクショウ。……けど ゆーこさんの前なので抱きしめたい気持ちを堪え、俺は空気を読んだ話題を振る。「それにしても……た、沢山作ったモンだな~」「は……はい。 夢中になってしまいました……」「なら霞~、どれが御気に入りなんだ?」「……これです」(指差しながら)「!?」「へぇ。 なかなか良いんじゃない?」 \(^o^)/「白銀さん……ど、どうですか?」「/(^o^)\」(訳:ナンテコッタイ)「白銀?」「えっ!? あ、あぁ……なかなか可愛いんじゃないかッ?」よ……よりによって霞のお気に入りは"オワタ"かよッ、何てセンスしてやがる!?まぁ"こっちの世界"だと元ネタを知ってるのは俺ダケだろうし、普通に褒めてやる事にしたけど……霞の"お気に入り"と言ったら"アレ"しかないだろう! 顔文字とは少しズれると思うけどね。よって俺は再びキーボードを無理な姿勢で打つべく、コップを置くとズイッと霞の横に寄った。「し、白銀さん?」「こう言うのはどうだ~? 霞」≪――――カタカタカタッ≫ ∩∩ .| | | | (・x・ )「!?」×2「一応ウサギだ。 なかなか良いモンだろ?」「は、はいっ……凄く可愛いです」「まさか3行も使って作るなんて……や、やるわね白銀……」「結構 難易度は上がりますけど、同じ要領で他にも色々と作れますよ~?」「お……教えてください」「あたしにも教えて頂戴ッ!」「り、了解ッス」正直AA(アスキーアート)なんてコピペしかした事無いんだけどな~。でも霞と ゆーこさんの好感度アップの為にも、思い出しながら作ってゆくしかないね。こうして第二回顔文字講座(やっつけ)が始まり、俺の午前の時間か削られてゆくのでした。………………2001年11月18日 午後数時間後シミュレータールームにて、俺は強化装備に着替えた姿で、ゆーこさんの右斜め後ろに控え、合計19名もの女性達と向かい合っていた。榊達B分隊5名+まりもちゃん+A-01の衛士12名+CP将校の涼宮(姉)。此処まで面子が揃うのはゲームでも無かったハズだ、何だか圧巻ってヤツだよな~。ちなみにたった今は ゆーこさんによるフォールディング・バズーカの説明が済んだトコロだ。「それじゃ~まりも」「――――はっ!」「これからアンタと白銀でヴォールク・データをやって貰うわ。 条件は反応炉の破壊。 バズーカは白銀が使ってくれるから大丈夫よ」「了解しました!」階級がアレなのでA-01の娘達よりは少し距離を置いて立っていたB分隊。そんなB分隊と同じ列に立っていた エロスーツ姿の鬼軍曹こと まりもちゃん。彼女は ゆーこさんの言葉に前に出てくると、胸を張って凛々しく敬礼して応えるんだが……相変わらずのボディラインだぜッ。 ……でも、まりもちゃんのは慣れたから まだマシなんだよね。問題は まりもちゃんダケでなく、涼宮(姉)以外の全員がエロスーツ姿なのがキツ過ぎる。その御陰で俺は さっきからずっと仏頂面だ、興奮を抑えるのが非常に辛いんですよっ!だから必然的に軍服姿の涼宮(姉)に視線を向ける事が多く、何度か目が合ってしまっている。珠瀬と鎧衣あたりを見ているのが一番良いんだけど、位置的に不自然だからなァ……反面 御剣や彩峰を見なくて済むんだけど、葛城・築地あたりは極力見ない様に心掛けていた。しかしながら、シミュレーターの御披露目が始まると言う事で、ようやく回避が可能ッ。緊張するのか? ……と聞かれれば確かにしてるんだけど、実戦と比べたら断然 余裕なのは勿論の事。斯衛トリオとの戦いの時と比べるとなれば更に楽に感じるし、きっと何とかなる筈さ!!「それじゃ~軍曹。 頑張りましょうか」「はいッ」――――そう言葉を交わして筐体に入ると、直ぐ様ゆーこさんの顔が出てくる。『白銀、仕様はどうするの?』「確か……バズーカ仕様は"強襲制圧"と"制圧後衛"でしたっけ?」『そうよ』「軍曹はどっちが良いですか? 突撃前衛か迎撃後衛の2択になりますけど」『どちらでも構いません』「じゃ~突撃前衛を御願いします」『わかりました』『なら、白銀は"制圧後衛"になるわね』「そ~ッスね」此処で初めて出て来たのが"強襲制圧"と"制圧後衛"と言う単語。どちらもバズーカ仕様 専用であり、背中に折り畳んだ武器を背負うので、両手にしか他の武器が持てず、急遽 新しいポジションが必要になった事で生まれたのだ。"強襲制圧"は両手に一丁づつ87式突撃砲を持ち、出来る限りの弾倉を持つ仕様。強襲掃討と同じで弾倉は8/4だけど、前途の通り突撃砲が2丁減っている。ハイヴ外だと"制圧支援"のミサイルが有るから、地上でバズーカを持つのはこの仕様のみなんだけど、位置付けが前衛寄りだから、ほぼエースパイロット専用の仕様と言っても良い。……んで"制圧後衛"はバズーカを除くと、両手に支援突撃砲を一丁のみしか持たない仕様。機動力の低下する"制圧支援"のミサイルランチャーはハイヴ内では無意味なので、そのポジションが自動的にバズーカを背負った"制圧後衛"に変わる事になる。弾倉は砲撃支援の半分の6個で、しかも長刀が無いけどポジション的には問題ないだろう。むしろ たった4発しかない弾で、どれだけ多くのBETAを巻き込め、かつ味方を巻き込まない状況で使えるかが問題になる。 ……要は判断力が重要って事だ。『戦域管制はどうするの? 形ぐらいなら やってあげても良いわよ』「う~ん……」『何なら涼宮でも使っても構わないけど』「いや、大丈夫ッス」『そう。 なら始めるわよ~?』『了解』「何時でもどうぞ」『状況開始~』ゆーこさんの暢気な声と同時に、視界が網膜投影によってヴォールク・データに切り替わる。そして現れるのは既に見慣れたハイヴの内部。 ポジション的に まりもちゃんの機体が俺の正面に居る。これは初めてのシチュエーション……それはそうと、今回も何気に失敗は許されないんだよね。だから今回も有名なパイロットの台詞を肖ってみようかな~と今頃になって考えていると……『少佐、今回は私が先導ですか?』「えぇ。 ペースは任せますんでガンガン進んじゃって下さい」『は、はい(……私を信頼してくれるんですか? 少佐)』「軍曹?」『では――――神宮司軍曹、吶喊します!!』「!?」≪――――ゴォッ!!!!≫何と まりもちゃんが意外な言葉を叫んでハイヴの奥へと突入して行ったのだ!!まさか他の人からガン●ムの名言が聞けるとは……まりもちゃんは真面目に言ったんだろうけどね。けど御陰でテンションが上がってきたぜッ! とにかく これ肖るパイロットは決まってしまった。そうなれば もはやクリアなど出来て同然……何せ、互いに乗っている機体は……「俺の、不知火だからな」いや、俺と ゆーこさんの結晶……なんだケド、そう考えると恥ずかしくなってしまう。……って、ンな事を考えているうちに まりもちゃんのS型がどんどん先に進んで行っている。ウ●キ少尉の"あの台詞"を言った辺り、何だか凄いヤる気になってるみたいだな~。そりゃ反応炉が破壊できる初めてのシミュレーターなんだから、志を考えると当然なのかもね。筐体に入る前に見学者の娘達を見てみたら妙に期待してた様だし、皆の期待に応えてやるとするか!!「よーし、反応速度・出力共にデータ上では最適だッ」『!?』――――ぶっちゃけ良く判らないけど、肖ったパイロットに成り切ったつもりで言っちゃったんだ☆「(へぇ……初っ端に動いて無いと思ったら、やっぱり機体の目利きをしてたのね)」「始まったようですね、副司令」「伊隅? そう言えば、あんたは二人の2機連携を見るのは初めてだっけ?」「いえ……何度か訓練に付き合って頂けているので、その時に拝見しました」「ふ~ん」「それに他の者達にもログは見せておりますが、新兵器での攻略は初見になります」「そりゃそうよね」「しかし……本当に可能なのでしょうか? 反応炉の破壊は」「あら、あたしが設計した武器の性能に偽りが有るとでも言いたいワケ?」「!? そ、そう言う訳では御座いませんが――――」「まぁ……確かに今までのBETAに対する戦果を考えると話が飛躍し過ぎだし、 そ~考えるのも無理もないかもね。 ……でも、あんたは目の前で見て来たんでしょ? 新OSを積んだ不知火S型が、今までの常識を次々と覆してゆくのを」「……そうですね。 光線級のレーザーを空中で避け、3機の武御雷を相手に完勝し、 シミュレーターとは言え、ヴォールク・データにおいて2機連携で反応炉まで辿り着いた」「だったら戦術機が反応炉を破壊する武器を持ってたってオカしく無いと思わない?」「た、確かに」「とにかく、あんた達が歴史を変えるのよ? 今のは その一環なんだから、よく見ておきなさい」「――――はっ」『……っ……』「あらあら~、それにしても榊達なんて食い入るように見ちゃってるわねぇ」「それは元A分隊も同様のようですが――――」「(ねぇねぇ遙ッ、バズーカだってバズーカ~!)」「(水月ってああいう武器、好きそうだよね)」「(そりゃそうよ~、何せ一度に沢山のBETAを倒せるのよ!? でも……う~ん)」「(あっ……そうだね、使い分けが難しそうよね)」「(使うとすれば私のポジションを誰かに譲る事に事になりそうねぇ……どうしようかな~)」「(えっ? な、悩むトコ其処なんだ……)」「……全く速瀬ときたら、何時もこれだ」「まぁ、気に入って貰うに越した事は無いんだけどね~」………………ハイヴ内を問題無く進んでゆく俺と まりもちゃんの不知火S型。バズーカを除く俺の主武装が支援突撃砲のみだろうが、多く使っているのはサブ射撃の方。よって弾倉は互いに半分も減らないうちに、最後のフロアへとやって来れていた。「う~ん、少し数が多いかな……」『そうですね』「すんません、支援突撃砲には余り慣れてなくて」『そんな事は有りません、私こそ少佐が先に進むよりは遥かにペースが遅かったですから』「はははっ、お互い様って事ですね」『では少佐……どう切り抜けましょう?』「そりゃ~"コイツ"を使いますよ」『えっ』「バズーカには、こう言う使い方も有るんですッ!!」『あっ、少佐!?』≪ゴォーーッ!!≫"こう言う状況"だからこそ使うべきなんだけど、言いたいから叫んじゃったんだ☆俺は前衛の まりもちゃんの機体を飛び越えると同時に、背のバズーカを組み立てるよう入力。そして宙に浮いた状態で支援突撃砲とバズーカを入れ替えると、ソレを両手に構えて射撃する!!≪――――ボヒュッ!!≫「対ショック!!」『り、了解ッ!!』≪ドゴオオオオォォォォンッ!!!!≫十分な飛距離で着弾した弾丸は、多くのBETAを飲み込んで激しい爆音を響かせた。その際、俺は直ぐ様 逆噴射で まりもちゃんのS型の背後に降り立ち、機体を屈ませながら後方を警戒。一方 強化改造された盾を持っている彼女の機体は、俺を爆風から庇う様に踏ん張ってやり過ごす。……実を言うと俺は何度か同じ射撃を、シミュレーターで行っているので、この距離なら大した反動が来ない事は判っていたんだけど、お手本の最中と言う事から、まりもちゃんの所まで下がって、ワザワザ盾役を任せてみたのだ。バズーカの設計のついでに盾まで強化したのは、反応炉を破壊した時や今みたいな状況で、残骸等が飛んでくる事から味方守ってあげる為なんだし、実践しとかないとね~。(14話参照)「思ったより平気でしたね」『えぇ、必要無かったのかも知れません』「とにかく道は開けましたよ、同じ要領で進んじゃいましょう」『了解!』――――迫り来るBETAの壁が崩れた事で、安易に俺達は匍匐飛行によって反応炉に到達できた。「さっさと壊しますよ!? でも距離が有り過ぎると一発じゃ無理かもしれないんで……」『はいっ、任せてください!』標的(反応炉)はその場から動かないし、もはや周囲にBETAは少ない。つまり極めて安全に射撃が可能であり、俺のS型は まりもちゃんの機体を後方に地面でバズーカを構えた。ちなみに両手にバズーカを持ちながら移動するとマルチ・ランチャーが撃てないので、再度持ち替えている。「これで……ダウンだッ!」≪――――バヒュッ!!≫『対ショック入ります!!』≪ズガアアアアァァァァンッ!!!!≫念の為しっかりロックオンして射撃すると、俺は直ぐ様 数十メートル後退する。すると横から まりもちゃんのS型が割り込み、再び互いに衝撃に備えるべく身構える。ソレと同時に盛大に吹き飛ぶ反応炉と周囲のBETA。 その様子を遠目から見て俺はボヤいた。「またイチローか」『はい?』――――い、いかんいかんッ! 今はパイロットを肖ってるんだ、関係ないネタは言うべきじゃ無かった。「よ、良し! 早速今の戦闘データを、S型にフィードバックだっ!」『!?』「まさに研究の成果だな、状況予測がダイレクトォ!!」『……ふふふっ、少佐ったら。(まるで子供みたいにハシャいで……けど、少佐は本当に……)』『終わったみたいね、ご苦労様』「何とかなりましたよ」『少佐、お疲れ様でした』『それじゃ~さっさと出て来なさい』反応炉を破壊した事実が生まれた時点で、ヴォールク・データは完全に終了する。最初は反応炉にさえ辿り着けないで終わってたけど、遂に此処まで進む事ができたんだ。これは素直に嬉しいな……よって若干興奮しながらも、俺は筐体から出てきたんだが――――「少佐ッ、凄いです!」「か、感動しました~っ!」「うぉあっ!?」先にモニターの前迄 軽い足取りで進んで行っている まりもちゃんの尻……いや、背を追っていると、入れ違いで見学していたハズの涼宮(妹)と築地が近付いて来た!何やら瞳を輝かせながら……って、近付き過ぎだろうが! 抱き付いて来んばかりの勢いではないかッ。しかもエロスーツ姿だし、直視はマズいッ! このままだと興奮してたのも有っておっきしちゃうお( ^ω^)よって視線を逸らすんだけど、二人の後ろには彼女達を追って来たと思われる柏木の姿が有った。結果 必然的に目が合ってしまったので再び視線を逸らすと、自然と彼女のおっぱいを見てしまい、別の意味での興奮度が更に上昇っ! 見ちゃダメなんだろうけど、悲しい男の性なのよね……「今や少佐は、私達の目標です!」「えいっ!」≪ぴとっ≫「――――!?」「なっ!? た、たたた多恵っ! なに少佐に抱き付いてるのよ!?」「えへへ~」「失礼よッ? 離れないと――――」「別に良いんじゃないの~? 少佐は嫌ってワケじゃ無さそうだし」「少佐ぁ……だ、ダメじゃ無いですよね~?」「んっ? いや……別に構わないさ」「……だってさ。 ほら、茜も真似してみたら?」「は、晴子ッ!?」そんな事を考えているうちに忍び寄って来た築地が、何と俺の左腕に右腕を絡めて来た!見た目よりも大胆な娘なんだなぁ……それはそうと案の定、柔らかくて大きなモノが腕に当たっている。本来の感触じゃ~無いんだろうけど、軽く触れればエロスーツの上からでも それなりにリアルなんだね。その奇襲にカラダを強張らせてしまった俺に対する築地の表情も反則だ、抱き締めてキスしてぇ~。しかも、今にもムスコが立ちそうだ。 これで変態少佐の誕生か……最悪ゲームオーバーじゃね?そう洒落にならない事を思って絶望していると、顔を真っ赤にして何故かテンションが上がっている涼宮(妹)。……って事は……や、やっぱり涼宮(妹)と築地はレズなのかッ!? 築地の今の行動に妬いてたんだろうしさ。それはそれでアリなのはともかく、涼宮(妹)の御陰で何とか俺は息子の暴走を抑える事が出来た。「……ッ……」「涼宮?」≪――――ぎゅっ≫すると口を"~~"の様に結んでいた涼宮(妹)が、静かに俺の右手首を左手で握って来た。正直 意味不明だけど、築地に対抗するつもりだったんだろうか?(一方 柏木は苦笑している)……しかし涼宮(妹)は真面目だから"この程度"に留まった……ってトコかなぁ?まぁ どれにしろ男として悪い気はしないし、ゆーこさん達と再び御対面といきますか~。涼宮(妹)と築地がくっ付いている状況はヤバい気もするけど、これも良い機会かもしれない。例え女の子に抱き付かれて様が、俺が動揺しない立派な少佐である事を目に見せてやるのさッ!「やっと戻って来たの? 遅いわよ~しろが……ね"?」「(つ、築地!? 何であの娘がァ――――)」「(あっ、茜まで~……)」よって涼宮(妹)と築地をそのまま、ゆーこさん達の所へ戻って来ると、全員が俺達を見て驚愕した!B分隊の方へと戻っていた まりもちゃんと榊達も同様で、やっぱりマズかったのかな~?そう今になって後悔していると、いち早く今の状況から立ち直った神村と葛城が、以前の速瀬と似た様な不適な笑みを浮かべたと思うと、こっちに小走りで近付いて来て――――「茜ェ・築地ィ~ッ、先輩を差し置いてズルいぞぉ~?」「アタシも少佐に抱き付く~っ!」「こ、こらッ! 貴様等何を――――」「ぅえっ!? ち、ちょっと待っ……」≪――――むぎゅっ≫う、うおおおおぉぉぉぉっ!? 何やってるんですかッ、御嬢さん達!!伊隅の言葉を無視して、神村が胸に・葛城が俺の首に両腕を絡めて来たんですけど!?しかも神村はともかく……か、葛城のデカいおっぱいが当たっているッ。助走をつけられた事からフニャリとした弾力も伝わり、左腕には相変わらず築地の胸の感触。それに涼宮(妹)もドサクサに紛れて右腕に絡んで来てるし……こ、これはピンチじゃないかっ!や、ヤバい……興奮を抑えるのに必死で、遂に頭がクラクラして来たぞ~?……嗚呼ッ、オルタ世界の女の子達のスキンシップ……恐るべし精神攻撃だぜ……ガクッ。「うぅっ」「え!?」≪――――どたっ≫ンな訳で涼宮(妹)の力に押されるようにして、彼女の間の抜けた声と同時に俺は左側にブっ倒れてしまう。それダケなら まだ良かったんだけど、築地・神村・葛城を一緒に巻き込んでのダウンだ。……つまり俺は4人のおっぱいに挟まれる感じで倒れてしまったワケで、その幸せな感触を味わうのと同時に、既に朦朧としていた意識が飛んでゆくのを感じていた。「あいたたた~っ、酷いよ茜ちゃ~ん」「そ、そんな……私は別に強くは……」「……ッ……」(気絶)「あれっ、少佐ァ~?」「ヤバッ。 亜衣、後は宜しく~!」「白銀、ちょっと白銀ッ?」「…………」(気絶中)≪――――ダッ!!≫「白銀少佐! ど、どうしたんですかっ!?」「大した瞬発力ね まりも、それより白銀のバイタル・データのログの確認を急いで」「わ、判りました!」「そ……そんなッ、私の所為で……」「多分、アンタの所為じゃないわよ?」「えっ?」「しかし副司令、今の一環には繋がったのでしょう?」「まぁ そうとも言えるわね。 伊隅、一応 医療班への連絡をスタンバって置きなさい」「――――はっ!」「……涼宮・妹。 白銀少佐を敬愛するのは良いが、少し自重した方が良いぞ」「!?」「相変わらず意地悪な事を言いますね、美冴さん」「これは本心だ。 もはや白銀少佐は、我々には欠かせない方なのだからな」「す、すみませんでした……」………………「ふ~ん……思ったより大した事じゃあ無かったみたいね」「良かったです」「ど、どうだったんですか!? 神宮司軍曹ッ」「落ち着いて下さい、涼宮少尉。 恐らくは……」「"過労"ってトコかしら?」←不正解「――――!?」「だから、涼宮ダケの所為じゃないわ。 白銀本人の健康管理不足でもあるし、 何度もコイツの指導を受けた、まりもや伊隅にも責任が有るって事になるわ。 それにこの あたしにも……ね。 ……そうよね~、まりも?」「は、はい……私は白銀少佐があそこまで動けるのが普通だと思っていました。 常識的に考えてみれば、普通の衛士が訓練する度合いを大きく超えていたと言うのに……」「ソレでも"今の程度"で済んでる事 自体 異常なんだけどね~」「そうですね。 ……では、私は訓練兵達の指導に戻ろうと思います」「わッ、私は白銀少佐の様子を……」「涼宮。 それよりも今は伊隅達と同じ様に、リプレイを見ていなさい。 代わりアンタの姉の方を呼んで来てくれるかしら?」「!? は……はい」「あたしの代わりにはピアティフを呼んどいてあげるから、今のうちに勉強しときなさい」「り、了解!」「……(これで涼宮姉妹は、白銀の虜ってトコロかしらねぇ~?)」「お姉ちゃ……いえ、涼宮中尉!」「えっ?」「あのっ、副司令が御呼びでした」「な、なんだろ~?」≪ともかく……なかなか教え甲斐が有ったよ、俺も負けてられないな≫「(白銀少佐、それはこちらの台詞です。 私も頑張りますから! ……でも)」≪常識的に考えてみれば、普通の衛士が訓練する度合いを大きく超えていたと言うのに……≫「(過労になる程迄に……何が少佐を"そうさせる"んですかッ? 私は……それが知りたいです)」………………「……っ……」意識が若干 回復する。 ……俺はどれ位 気を失っていたんだろうか?何やら仰向けに寝かされていた様で、後頭部には柔らかい感触がしている。寝ているのはベッドじゃ無いな……周囲の音からしてシミュレータールームの長椅子か?だったら後頭部の感触は何なんだッ? そう思いながら瞼を開いてみると……「あっ。め、目が覚めたんですね」「えッ? 涼宮中尉!?」「き……気分は如何ですか?」「お、御陰様で良い感じッス」「そうですか……良かった」えぇ、違う意味で いいですともッ! 何せ涼宮(姉)が膝枕をしてくれてるんですから!でも俺なんかの膝枕は嫌なのか、彼女は困った顔をしながら俺を気遣ってくれる。これって絶対ゆーこさんの差し金だよな……だけど、今回ばかりは嬉しい配慮だったぜ。……とは言え、涼宮(姉)が嫌であれば何時までも感触を味わってるワケにはいかないよね。「有難う御座いました、邪魔であれば離れますけど?」「だッ、大丈夫です! みんなの訓練が終わるまでは、安静にして置いて下さい」「そ……そうッスか。だったらお言葉に甘えさえて貰います」しかァーし! 涼宮(姉)が良いと言うなら太股の感触を存分に堪能しようではないかっ。≪――――ごろりっ≫「……あっ」≪――――ぐりぐり≫「んっ……ぅ……」俺は適当に寝返りをうったり、顔を涼宮(姉)側の方に向けて股間に"もふもふ"したりして、彼女の感触を堪能しまくる。 ……時より彼女が漏らす声がたまりませんな~。そんな中 基本的に目を瞑っての行為だったけど、甘い声が気になって瞼を開いて見ると……何故か瞳をウルウルとさせながら訓練の様子(モニター)を眺めている涼宮(姉)。な……泣きたくなる程 嫌だったんですかっ!? しまった、調子に乗りすぎてしまった様だッ。よって俺は素直に寝て置く事にし、何時の間にか涼宮(姉)の代わりにオペっていると思われる、イリーナちゃんの尻を眺めながら時を過ごす事にしたのでした。「(あぅ~……恥ずかしいけど、何だか幸せだよ~)」【ヘブン状態!!】≪えっと……ど、どうやら少佐は"過労"だったみたいです≫「(それに、体が疼いちゃうなんて……少佐は疲れてるダケなのに……)」【ヘブン状態!!】……………………数時間後。 しっかりと休めた俺は、夕食後の訓練を終わらせ通路を歩いていた。今回の参加者は まりもちゃん・伊隅・涼宮姉妹。 涼宮(妹)が加わったのは正直 意外だったなあ~。ちなみに今回俺は軍服姿でアドバイスをしていたダケだ。 強化服に着替え様としたら止められたのよね。それはそうと……今日は何だかんだで、更にオカズの候補が増えてしまったZE。特に有力だったのが涼宮(姉)・葛城・築地あたり。 今となっちゃ気絶しちまったのも仕方無い気がする。「――――ちょっとッ」「!? ……速瀬」そんな事を思ってスタスタと歩いていると、俺の行く手を速瀬が塞いで来たッ!「え……え~っと……」「????」「……うッ、うぅ……」こ、こりゃ一難来たか? そう思って心の中で身構えながら足を止めたんだけど、十秒ほど経っても速瀬はモゴモゴとするダケで、ど~してか何も言って来ない。う~ん……そう言えば"あの一件"から一度もシミュレーターで相手をしてやって無かったんだよね。最近は指導やらテストやらで忙しかったから忘れてたなぁ……正直 悪い事をしたかもしれない。……だけど俺は上官なんだし、速瀬は今みたいに正面から"勝負しろ"と言い難いんだろうな。だったら速瀬を宥めるしかない。 俺は真面目な表情を維持しながら、ゆっくりと彼女に近付いた。 「……悪かったよ」「へっ?」「以前は闘(や)ってやると言いながら、なかなか相手ができなくってね」「!?!?」「でも……生憎 今日も無理なんだ。 ……許して欲しい」「んなっ、ななななな……」「????」――――今日は無理しちゃうと、後で まりもちゃん達に怒られちゃうからね。≪ね、ねぇ……茜。 アイツは……白銀少佐は平気だったの?≫≪えっと……ど、どうやら少佐は"過労"だったみたいです≫「……(考えてみれば……皆の為にも、コイツに負担を掛けるワケにはいかないのよね……)」「速瀬?」「えっ? い、いや……気にして無いわよ。 アンタが凄く忙しいのは……誰もが解ってる事だし」「そう言ってくれると助かるよ」「だ……だからッ!」「!?」"だから"と言う台詞に俺が首を傾げると同時に、速瀬が急接近して来て――――≪――――ちゅっ≫ふおおおおォォぉぉ……ッ!!(EXたま調) ……く、唇にキスされちゃいましたよっ!?ちょ、おまっ……何でチュウされたんですか!? これって"今の状況"とどう言う関係が有るんだよッ!白銀のファースト・キッスは鑑の為に極力取って置くつもりだったのに、速瀬に奪われてしまうとは……そんな彼女は俺の唇から顔を離すと、真っ赤になりながらも軍服の袖で唇をゴシゴシと拭う。……って、拭う位なら最初からキスなんてすんなよッ! 今ので全部 台無しですよ!? 「今回は……こ、コレで勘弁してあげる」「すまない」「!? な、何で謝んのよッ! そんじゃ~お休み!!」「……ッ……」う~む……良く判らないけど、シミュレーター対戦の代わりがキスって済んだって事なのかな?だったら辻褄が合うし、それで済むなら幾らでもチュッチュしてやろうではないかッ。(ヤケクソ)正直 速瀬は怖いがソレを除けば普通に可愛いから、鑑には悪いけど機会が有ったらキスOKだぜ。余談だが反射的に謝ってしまったのは、例え速瀬にキス☆されようが、既に俺の今夜のオカズは"あの娘"に決まっていたので、申し訳なく思ってしまったからだ。 ……そんなうちに速瀬は全速力で走り去ってゆき、アッと言う間に見えなくなったので、俺は舌でも入れて置けば良かったな~と、邪な事を考えながら自室を目指すのだった。………………≪し、白銀少佐っ……もっと"もふもふ"してくださ~い≫「ハァハァ……遥タン、君がナンバーワンだ……ウッ!」≪涼宮中尉ッ、君は膝枕なんぞで感じていたな!? お仕置きしてやるぞ!!≫「……少佐ぁ……こ、こんな事ダメなのにっ。でも……止まらないよぉ~」――――白銀と涼宮(姉)は我慢できなくて、つい お互いに犯っちゃったんだ☆●戯言●メインヒロインの初チョメチョメは涼宮(姉)となりました。膝枕が何故かクリティカル。次回はTEのあの人が無理矢理登場します、ちなみに日本人以外のTEキャラは出ません。そろそろ大きなイベントまで10日を切りました。コールサインも決めたので明らかになります。■これはひどいオルタネイティヴ(用語ver2)■●強襲制圧バズーカ仕様専用のポジション(その1)。武装はフォールディング・バズーカに加えて、87式突撃砲×2(36ミリ/120ミリ・予備弾倉8/4)そして65式近接戦闘短刀×2のみ。レーザー照射を回避する等 非常に高いスキルが求められる為、現在 白銀専用ポジションとも言える。●制圧後衛バズーカ仕様専用のポジション(その2)。ハイヴ攻略専用であり、制圧支援が必然的にシフトする。武装は打撃支援に酷似しており、武装はお馴染みのフォールディング・バズーカに加えて、87式支援突撃砲×1(36ミリ・予備弾倉6)そして65式近接戦闘短刀×2のみ。現段階でこのポジションが決定しているのは、風間・高原・鎧衣のみ。次点で神宮司軍曹かな?●92式多目的追加装甲・改その名の通りディフォルトの戦術機用の盾を香月副司令がハイヴ攻略専用に改造したモノ。コストが若干上がるが、強度が飛躍的に上がっている。……とは言え、レーザー照射には耐えられない。BETAの直接攻撃には多少は有効だが、バズーカの爆風から味方を守る為の存在と言える。