これはひどいオルタネイティヴ172001年11月13日 早朝「……ッ……」瞼(まぶた)は開かずに、意識のみが覚醒する。 ……しかし、半分程度であり朦朧な状態。俺は何故かうつ伏せに寝ていたようで、まだ起床のラッパは鳴っていない……みたいだ。"こっち"に来てからは、起きる時間が普段 起きてた時間よりも2時間は早いんだけど、恐らく白銀の習慣のようなモノなのか……実は霞の助けが無くても大丈夫なのかもしれない。≪――――ふにゅ≫まぁ とにかく起きるか……と思い顔を右に動かそうとしたら、柔らかい弾力に阻まれた。なんだこれ、なんだこれ? 今度は左に動かそうとしても同じような弾力を感じた。次に後ろに動かそうとするモノの、"何か"が俺の頭を押さえている様で動かせなかった。「……?」≪――――むにっ、むにむに≫……何故"こうなっている"んだろうか? イマイチ思い出せない。よって俺はネボけながら何も考えず、手探りの如く両手を適当に這わせてみた。右手は上の方へ、左手は下の方へ。 すると、どちらにも柔らかい手触りが感じられた。「……んぁっ……」「????」≪――――ふにゅ、ふにゅにゅ≫「……ぁ……んっ……」う~む……何だか非常に良い手触りだな、この上ない幸せを感じる。頭の方から甘い声が聴こえた様な感じがしたけど、恐らく気のせいだろう。しっかし、まるで右手は突起からして おっぱいをモミモニしている感じで……左手には……若干ズり下りたショーツ越しにお尻を触っている様な、チカン紛いの――――って!?「…………」「…………」今 自分が"何を触っているか"に気付いてしまった俺は、ハッとなって視線を仰いだ。すると、目の前には俺を見ている速瀬さん。 視線が合わさり暫しの沈黙が続く。始めは俺と同様ネボけ顔の速瀬だったが、次第に瞳が大きく見開かれてゆき――――「きゃああああぁぁぁぁーーーーっ!!!!」「おわあーーっ!?」……案の定の悲鳴。 同時に俺の"意識"も完全に覚醒し、互いに跳び引いた。速瀬は若干ズれているショーツを戻しもせず、真っ赤な顔で枕を抱き俺を睨み付ける。対して俺も長い睡眠時間によってズれたズボンを直しながら、ベッドから距離を取った。「なッ、なななな……何でアンタが其処に居んのよぉっ!!??」「ちょっ……バカッ! デカい声出すなって!!」「……!!」「とりあえず、落ち着け……落ち着け。 ……なっ?」昨夜はワインを無理矢理飲まされて、誘惑されたと思ったら"もんじゃ焼き"を食らう。そして掃除をして帰ろうと思ったら……角に顔面を叩き付けられて捕獲されて撃沈したんだったな。速瀬が五月蝿い分 冷静になれたようだが、コイツは覚えていないんだろうか……?今現在は俺の言葉で、速瀬は左手に枕を抱きながら右手で口を塞いだトコロだった。すると数秒後……未だに顔を真っ赤にしながらも、右手を離すと俺を見て声を抑えて言う。「こ、これってどう言う状況よ? ……説明しなさいよッ」「やっぱり……覚えてないのか?」「…………」(コクリ)「えっと……昨夜は祝勝会が有ったよな? その時 酔っ払ったみたいだから、俺が送ったんだ」「そ……それは大体判るわよッ、"その後"の事を聞いてんの!」やっぱり昨夜の記憶は無い……か。 参ったな~、どう説明するべきだ?ワインを飲まされたのはともかく、"もんじゃ焼き"の事は流石に言い難いよね。弱みを握るにしてもネタとしては色々な意味でキタな過ぎるし、言わない方が幸せかもしれない。……まぁ……多少誤魔化しても、"事後"だとは絶対に思われないだろう。何せ俺はTシャツを着てズボンを履いているし、速瀬にはショーツが有るのだから。「部屋に入ってからは……先ずは無理矢理 酒を飲まされた」「…………」「それで、酒の後は……色々と"世話"を焼かされたもんだ」「……ッ!?」――――これは"もんじゃ焼き"についてだ。 隠して置くのは俺の優しさだZE?「"その後"は直ぐに帰ろうと思ったんだが……君は俺を帰さなかった」「んなっ……!?」「仕舞いにゃ さっきの様に俺の頭をガッチリ固定してたし、朝まで戻るに戻れなかったのさ」「……う、嘘よッ……嘘……なんでしょ……?」「嘘なもんかよ。 御陰で今でも体はギシギシ言ってるんだぜ?」「……っ!?」――――アーム・ロックの頭痛と角にブツけられた顔面の痛みは、正直 まだ有るのよね。「ともかく、騒ぐような事じゃない。 俺は気にして無いから、速瀬中尉も気にしないでくれ」「~~ッ……」「それじゃ~俺は失礼するよ、さっきはネボけて変な事して悪かったね」「……あっ……」≪チャッ――――バタン≫俺に暴力を振るった事に関しては、中尉の立場からしてタブーなんだし追求しない事にした。けど痛かったのは癪だったから、多少は言葉に棘を持たせちまったな~。とにかく……うむ、この事は全て忘れて貰うに限る。 さっき揉んじまった事も含めてね。だから速瀬が反論してくる前に上着を掴み、俺は上官気取りの言葉を残すとさっさと退室した。ふ~……何とか誤魔化せたぜッ! 幸い速瀬も追い駆けて来てないし大丈夫――――「…………」「……!!」――――と思って念の為 周囲を見渡して見ると、涼宮(姉)が隣の部屋のドアから顔を出していた。≪バタンッ!!≫こ、これはいかんッ! 慌てて何か声を掛けようとすると、瞬時にドアを閉じる涼宮(姉)。ヤバいな……送るのを頼まれたダケなのに、朝まで部屋に居るとか絶対 誤解されそうだッ。いや、親友の涼宮(姉)にしか見られなかったって事を幸いだと考えた方が良いか……何事にもポジティブだ。 俺は後で誤解を解こうと心に決めると、自室へと歩いていった。………………≪それで、酒の後は……色々と"世話"を焼かされたもんだ≫「そ、そんな……私……アイツに? ……でも、履いてるし……そんなワケ……!」――――だが この時、ベッドに鼻血が滲んだ事さえ忘れていた俺は判っていなかった。≪"その後"は直ぐに帰ろうと思ったんだが……君は俺を帰さなかった≫「!? ――――ち……血の跡……?」≪嘘なもんかよ。 御陰で今でも体はギシギシ言ってるぜ?≫「や、やっぱり……やっぱり……私……ッ……そんなぁ~……」――――想像以上に速瀬はデリケートであり、男性経験に疎かったと言う事を……………………≪――――カチャッ≫「朝です……白銀さん」≪――――し~ん……≫「……白銀さん?」≪――――きょろきょろ≫「…………」≪――――じ~っ……≫「……ッ」≪――――ボフッ≫「(……白銀さんの……匂い……)」≪――――ガチャッ≫「ウィーッス」「……っ!?」「あれっ? 霞、何やってんだ?」「……ッ!! ……ッ!?」憂鬱な気分で自室に部屋に戻って来ると、何故か霞が俺の枕に顔を埋めていた。対して霞はビクンッと跳ね起き、ベッドから離れると挙動不審で俺の様子を伺い始めた。しかも表情の変化は少ないが、顔をを結構 赤くしている。 はて……何が起こったんですか?あぁ……そうか、人見知りをする霞は寝顔を見られるのに抵抗が有るんだろう。物語が進むと一緒に寝たりもするんだろうけど、まだ心を開いてくれては居ないんでしょうね。「……驚かせたのなら済まなかった、今日も起こしに来てくれたんだよな?」「はっ……はい」「ありがとう、今日は軽い用が有って早起きしてたんだ」「そ、そうだったんですか」霞は未だに顔を赤くして俺の方を向いたまま、にじり にじりとドアの方へと移動する。そんなに嫌がる事だったのかなァ……俺はこの先の展開に不安を感じながら、声を掛けた。「霞……またな~?」「まままま、またね」「まままま?」「……ッ!!」≪――――バタンッ≫霞は更に顔を赤くして、彼女にしては早い勢いで部屋を出て行った。もしかしてアレだと風邪を引いている可能性が有るな……お大事にしてくれ霞。……それはそうと、霞を見送った俺は自分のベットに視線を移した。「ふんもっふ!!」≪――――ボフッ≫枕に染み付いた良い匂い……間違いなく霞のモノだ。「……霞タン……ハァハァ……」――――白銀はウサギの匂いを嗅ぎながら、朝っぱらから つい犯っちゃったんだ☆………………2001年11月13日 正午「ラーメン大盛りにしといたよ、しっかり食べなッ!」「HA☆NA☆SE」奮発して2時間ほど朝の運動に励んだ俺は、2度寝してしまうと昼前に覚醒。そして替えの軍服に着替えると、PXに向かい何時もの如く麺類を注文した。昼食を摂るのは朝と夕と違い、人によってかなりの時差が有るようで、手の空いていた京塚のオバハンにバシバシと背中を叩かれながら、俺は席の方へと向かった。「伊隅大尉」「し、白銀少佐ッ」≪――――ガタッ≫「昨夜は御世話様でした」「はははっ、俺は特に何もしてませんって。 それより隣 良いですか?」「――――はっ」適当にPX内を見渡すと人は少なく、伊隅が一人で飯を食っていた。丁度 食い始めた辺りの様で、俺は必然的に声を掛ける。 ……寂しく食うよりは良いしね。すると立ち上がって敬礼して下さり、俺も片手で敬礼すると席に着いた。「今日は一人なんスか?」「はい。 昨夜の事もあるので、今日は皆を休ませています」「大尉は今朝に何を?」「主に書類の整理を……午後はシミュレーター訓練でも行おうと思っております」「成る程」「…………」う~む……余り会話が続かないな。 妙に畏まってるみたいだし、プライベートの会話がし難い。その為 自然に沈黙が訪れてしまい……二人で黙って飯を食う流れになってしまう。其処で考えたのが、伊隅の立場。 A-01の部隊長だから、俺の知らない原作の事を聞ける筈。「大尉。 そう言えば207A分隊は、A-01に入って無いんですか?」「――――はい。 任官はしたモノの、まだまだ経験不足ですから」「指導をするのは大尉なんですよね?」「えぇ。 そうなのですが、私達の職務も有るので毎日と言う訳にはゆきません」「ふ~む……そうなると、指導する時 以外は必然的に自主練って事になってるみたいですね」「……そうですね、最近は積極的に行っていると聞くのでこちらも助かります」「むぅ……」「少佐?」正直なところ、伊隅の部隊長としての任務とA分隊の指導を両立するのは無理が有るよな。そんな状況で戦場に駆り出されると、そりゃクーデターやトライアルで死ぬハズだわ。……かと言って直ぐ様A-01に引き込んで実戦をするも、足を引っ張る可能性が否めない。教えるは教えるで即席の連携は難しい……原作ではホント良く立ち回れたモンだぜ。それでも死者は出てたし、旨くやるには ど~したもんかなぁ……と考えている俺。!? あぁ~……だったらA-01全員を同じスタートラインに立たせれば良いんだよな?XM3の存在でそ~なった様なモンだし、何で早く気付かなかったんだろうか。俺は考え込んでいた自分を見る伊隅に向き直ると、水を口に含んだ後に言った。ちなみに水なのは、合成のお茶も余り美味くは無いからなんだぜ……コーラが飲みたい。「……大尉」「はい?」「不知火S型と新OSについて、どう思ってます?」「……はっ……率直に申しますと少佐の戦いを見て、非常に素晴らしいモノだと思いました。 出来る事なら今 直ぐにでも、我々も得てみたいと言う考えが強いです」「そうッスか、聞くまでも無かったみたいですね~」「え?」「良かったら午後、教えましょうか? 俺で良ければですけど」「よ、宜しいのですかッ?」「はい。 ヴァルキリーズの質を考えると、今のOSに大尉達の腕は宝の持ち腐れですからね。 むしろ、こっちから新しい機動概念は教えてあげたいぐらいですよ」「それでは白銀少佐――――!」「OK。 先にシミュレータールームで待って居てください、副司令に許可を貰って来ますんで」「……はっ、ありがとうございますっ!」大きなイベントは まだ先だし、まりもちゃんと同じ要領で伊隅にも教えてやるとするか~。結果 伊隅が大まかにマスターしてくれれば、A-01全体の総合能力の飛躍的な向上に繋がる筈。よって先に食事を終えた俺は席を立ち、昼食の途中ながら起立して敬礼してくれる、伊隅の視線を背中に浴びながら、PXを立ち去って行った。 ……恥ずかしいんですけど。≪はははっ、俺は特に何もしてませんって≫「(昨夜は速瀬の相手が有ったでしょうに、気持ちの切り替えの早い人ね……)」←若干赤面………………2001年11月13日 午後……その後、俺はゆーこさんにA-01に対してのシミュレーターによる、不知火S型と新OS(β版)の使用許可を貰うべく、執務室に訪れるとアッサリOKを貰った。ついでに聞いた話によると、A分隊の不知火S型を組む話も既に進んでいるらしい。そう言えばS型を組んでくれた企業の"お偉いさん"っぽいオッサン、やけに興奮してたしな~。何か先行投資してくれるっぽいらしく、こちらの安い出費で早急に拵えてくれて居るらしい。確かに新OSが無いと考えても強い機体だしな……いずれ株が上がると思うのも判る気がする。「許可どもッス。 それじゃ~失礼しま~す」「はいはい」さておきOKは貰えた。 伊隅が待ってるだろうし、さっさと行くとするかな。けど 最後に振り返った時……何となく ゆーこさんが残念がっている気がしてしまった。予知は今 言うべきじゃないから、無意識のうちに彼女から逃げる様にしていたかもしれない。う~む……新武装で正史より更に世話になっている事だし、このまま立ち去るのもアレかなぁ……一瞬で そう考えると、俺は立ち止まってデスクの裏に回り込むと ゆーこさんに近付いた。「おぉっ……これってバズーカのデータですか?」「ん……そうよ、今 色々と案を考えてる所なんだけど」「お疲れ様ッス。ところで、こんなの知ってます~?」「何なのよ? 忙しいんだから……あっ」ディスプレイを覗くと、何やらバズーカっぽい画像と様々な記号や文字が並んでいた。フォールディング・バズーカを設計してくれている事は一目で判るけど、他はワケわからん。されど開発してくれるのは有り難い……が、今の目的はソレではないのだ。俺は ゆーこさんの手の上からマウスに手を掛け操作すると、メモ帳っぽいプログラムを開き、強引な姿勢でキーボードを打ちはじめた。 ……ゆーこさんの良い匂いがする。≪――――カタッ≫ ∩(≧∀≦)∩≪――――カタカタッ≫ (´・ω・`)≪――――カタカタカタッ≫ | ゚ д ゚ )「……ふぅ、こんなんだっけ」「…………」「どうですか? これ」「し……白銀。 あんた……天才?」「HAHAHA、こんなのも有りますよ?」≪――――カタッ≫ ガ━━ΣΣ(゚Д゚;)━━ン!!≪――――カタカタッ≫ ヽ(´∀`)人(・ω・)人( ゚Д゚)人(・∀・)人( ̄ー ̄)人(´_ゝ`)ノ≪――――カタカタカタッ≫ キタ━━━( ゚∀゚ )━( ゚∀)━( ゚)━( )━(゚ )━(∀゚ )━( ゚∀゚ )━━━!!!!「!? ほ、他には無いのッ?」「や、やり方によっては幾らでも簡単に作れますよ?」「そうなの? あたしにも出来る?」「勿論ですよ。 ホラ、こうやって記号を変換して……」――――唐突に始まった俺の顔文字講座(やっつけ)は、30分に渡って続いた。もしやと思ったけど、こう言うフザけた遊びの概念すら無かったのね。ゆーこさんが予想以上に驚たのは意外だったけど、気分転換になってくれて良かった~。………………――――思わぬ事で、時間をロスしてしまったZE。「んっ?」「……っ!」「涼宮中尉!!」「は、はいっ!」シミュレータールームを目指して進んでいる中、早足に角を曲がると、およそ20メートル程 前方に、涼宮(姉)がこちらの方向へと歩いて来ていた。だが目が合った直後、彼女の表情が強張ったので逃げられると思った俺は、咄嗟に彼女の名を叫んだ!すると涼宮(姉)は直立不動になったと思うと、観念したか ゆっくりと俺の方へと歩いて来る。……良~し、これで誤解が解けるぞ! 俺も涼宮(姉)に近付いて互いに距離詰めた。「何をしてたんだい?」「お、お散歩です。 なるべく足を動かして置いた方が良いそうなので……」「あぁ~……大変だね」「いえ、そんな……」う~む、何て話を切り出そう? 速瀬の部屋に朝まで居たのは紛れも無い事実だし……ヘタな事を言っても更に誤解されそうなので、つい涼宮(姉)の目の前で考え込んでしまった。すると俺を上目遣いで見上げている涼宮(姉)。 何か可愛いけど、引き続き考えている俺。「~~……」「あのっ、白銀少佐」「んっ? ゴメンゴメン、何だい?」「水月の事……有難う御座いました」「は?」「頼れる人が少佐しか居なかったんです……本当に御免なさい」何故いきなり、そんな事を? 涼宮(姉)が親友の速瀬の事で、俺に礼を言って謝るって事は……そうか、実戦で速瀬を助けた事だね。 思ってみれば祝勝会では、涼宮(姉)と話す機会が無かった。何せずっと酔っ払い(速瀬)の相手をしていたしな……アイツにも困ったモンだよ。さておき、律儀な娘だな~。 改めて礼を言われると、俺も調子に乗って上官面しちゃいますよ?「……気にしないでくれ、俺は自分の役割を果たしたダケさ」「で、ですけど――――」「もし涼宮中尉にも必要な状況だったら、当然 俺は同じ事をしたよ」「えぇ……ッ!?」ありゃま? 涼宮(姉)ってば……何で急に顔を真っ赤にされたんですか?俺って今 そんなにクサい台詞を言ったんでしょうか? ……いや、真っ赤になるんだし間違いない。"こっち"の価値観は良く判らないけど、騎士が姫を助ける様な台詞ダケでクサくなっちまうのか~?だったらガン●ムごっこは どれだけ……しかしアレだけは譲れん、俺の生命線なのだからッ!!「す、涼宮中尉?」「……あっ!? いえ、ななな何でも無いですッ」「だったら良いんだけど……俺は本気だからな?」――――そうさ、涼宮(姉)の様な可愛い娘をBETAなんぞに殺らせないぜ。「――――っ」「ちょっ……涼宮中尉!?」「……っ……ふぁ!? す、すみません白銀少佐っ!」「いや、良いんだけど……」「……ぁう~……」やっぱりキザ過ぎるんだろうか? 真面目に言ったつもりなのに、涼宮(姉)は倒れそうになった。そんなカラダを俺は咄嗟に支えると、直ぐに意識が戻った涼宮(姉)は俺から慌てて離れ、恋愛ゲー宜しく頬を真紅にして、もぢもぢしながら こちらを見ている。ついでに抱きしめようと思った衝動は我慢したので さておき、これ以上 刺激するのは避けよう。なんか俺自身も ムラムラしてきた……このままでは涼宮(姉)に襲い掛かりかねないZE。「……ところで話は変わるけど、これから訓練に付き合ってくれないか?」「くっ、訓練……ですか?」「あぁ。 伊隅大尉に不知火S型と新OS(β版)について色々と教えるんだ。 次にA-01で一番知って欲しかったのは君だからね、丁度良かった」「そ、そうですか。 では是非 私も立ち合わせて下さい」――――良い感じで空気を戻せたな、これで ようやく誤魔化しに入れるぞ。「宜しく頼むよ。 ……んでもって、今朝の事なんだが……」「(ま、またぁ~?)」「他の娘達には内緒にして置いてくれないか? 士気に関わるだろうしね」「!? わ、わかりました」「有難う。 それじゃ~行こうか?」「は……はいっ」くそっ……結局、良い誤魔化し方が浮かばなかった俺は、涼宮(姉)に内緒にして貰う事を選んだ。速瀬の親友だと言う事を考えると、いずれ俺とは何も無かった事を本人から聞くだろう。祝勝会のラストで速瀬を連れて行くのは皆に見られたが、涼宮(姉)ならフォローしてくれるだろう。だから今の判断は間違っていない。 俺はそう自分に言い聞かせると、涼宮(姉)と共にシミュレータールームを目指して通路を歩いて行くのだった。≪……気にしないでくれ、俺は自分の役割を果たしたダケさ≫「(やっぱり、白銀少佐は水月を抱いてくれたんだ……でも……)」≪もし涼宮中尉にも必要な状況だったら、当然 俺は同じ事をしたよ≫「(まさか、あんな事 言われるなんて……あうぅ、どうしよぉ~っ)」――――しっかし、何でさっきから涼宮(姉)はキョド(挙動不審の略)ってるんだ?……………………30分後。≪ドパパパパパパパパッ!!!!≫『ちぃっ!?』『伊隅機 被弾、小破! 戦闘行動には支障無し!』「はっは~! 弾幕はパワーだぜぇっ!!」今現在 俺と伊隅は、涼宮(姉)のオペレーターの元、一対一で市街戦を行っていた。機体は互いに不知火S型+新OSβ版。 仕様は俺が強襲掃討、伊隅が迎撃後衛だ。別に対戦する気は無かったんだけど、伊隅に無理に頼まれて戦う事になっていた。だが半分 お遊びの様なモノなので、互いにリンクは開き会話は全て通っている。『さ、流石です少佐……同じOSで此処まで違うとは……!』「新OSの機体の操縦は初めてなんだから無理もないですって」『私は以前 神宮司軍曹との2機連携を見せて頂いた事が有りましたけど……』「大尉に俺の機動を見せたのは実戦のみでしたよね~?」『はい……ですが、簡単に殺られる訳にはいきませんッ!』「では見せて貰おうかッ? A-01・部隊長の戦法とやらを!!」戦いは一方的。 俺は常にフワジャンをしながら両手のチェーンガンで伊隅を射撃し撒くっている。当然 着地する時は障害物の真上だったり、その陰に隠れたりするので、硬直の隙など見せない。対して障害物を盾に伊隅は逃げるのが精一杯であり、先程 既に小破している。同じ条件ながら伊隅はサブ射撃の使い方も、新OSでのみ可能な新しい起動概念も知らないのよね。……けど、流石はA-01の部隊長。 伊隅は諦めていない様で遂に攻勢に出てくる!!何と突然 伊隅の不知火S型が、障害物を跳躍噴射で飛び越えて、空中で相変わらずフワジャンをしている此方に向かって突進して来たのだッ!≪――――ブァッ!!!!≫『……ッ!!』「沈めっ!!」≪ドパパパパパパパパッ!!!!≫対して俺は両手のチェーンガンで迎撃するが、伊隅の盾に全て弾かれる。『せぇい!』≪――――ガバッ!!≫よって無駄撃ちと思い弾幕を止めると、それを好機と伊隅は盾を"投げて"来た!その発想は無かったな……顔は平然だが、内心ちょっとダケびっくりしてしまった。「なんのっ」しかし俺は盾をヒョイッと避けるが、既に目の前には長刀を振り上げる不知火S型が有った。『はああぁぁっ!!』「そうそう当たるモノでは無いッ!!」≪――――ブウウゥゥンッ!!!!≫短時間で学習した新OSの先行入力を生かしての連続攻撃……まさに素晴らしい才能を持つ伊隅。しかし、俺は長刀すらヒラリと避けてしまい、伊隅のS型は地面に着地せざる得なくなる。キャンセルを使えば俺に隙を晒さ無い事も出来るんだけど、流石に其処までは無理だったようだ。一方 俺の不知火S型は、無理な着地をした伊隅のS型の正面で、既に武器を構えて地面に立っていた。『!? し、しまったッ!』「――――恋符」(小声)≪ズドッ!! ズドオオォォォォンッ!!!!≫直後、両手の突撃砲からの120ミリ、及びマルチ・ランチャーを一発ずつ直撃させた。肖ったキャラが白黒の魔法使いからクワ●ロ大尉に代わり、再び白黒に戻っているが気にしないで下さい。これでもチェーンガンと頭部バルカン砲を撃たず、後の台詞を言わなかったダケ自重したんだよ?それはともかく、当然ながら伊隅のS型はひとたまりも無かったようで、若干吹っ飛んで大破した。『伊隅機 致命的な損傷、大破。 状況終了』『……参りました、白銀少佐』「すんません、ちょっとヤり過ぎちゃいました」『いえ、気になされないで下さい』「どもッス。 じゃあ、本題に移りましょうか。 涼宮中尉、設定の切り替えを御願いします」『はい』「そうだな~……先ずはサブ射撃について教えますから……」――――こんな感じで、俺ら3人は数時間に渡って訓練を行った。………………2001年11月13日 夕方「それじゃ~今夜は頑張って下さい」「白銀少佐、御指導 有難う御座いました」「本当に勉強になりました」「いえいえ。 お疲れ様でした~」伊隅と涼宮(姉)を前に、そんな会話を最後に俺はシミュレータールームを離れて行った。二人は まりもちゃんに匹敵する物覚えの良さで、俺も有意義な時間を過ごせたモンだ。それにしても伊隅はウェスト細かったな~……既に好きな人が居るらしいのが残念ですな。さておき、教えた事はサブ射撃のマニュアル操作から始め、3次元機動 迄と色々だ。流石に まりもちゃんの様に2機連携で、伊隅とハイヴに潜る事は出来ないが、時間の問題だろう。涼宮は涼宮で、新たな機動概念を理解して貰えればCPとして指示の幅も広がるよね。これから何やら夕食の後に、まりもちゃんと3人で夜の訓練をも始める様だし言う事無しだ。まぁ~……こんな調子で訓練を続ければ、俺が教えた事を伊隅がA-01に、そのまま教えてやる事で、クーデターやトライアルでの脱落者を確実に減らせるだろう。トライアルはともかく、クーデターだとフォローの行い様が無いので、特に頑張って貰いたい。「……げっ」「!?」そんな事を考えながら相変わらずギクシャクとPXを目指していると、運悪く脇道から一人で歩いて出て来た速瀬と遭遇してしまった!速瀬はこちらを確認するとビクリと反応したので、俺は内心ドキドキしながらも距離を詰めるが、何故か仕方無さそうな顔をしながら、立ち止まると無言で敬礼して来たではないか。……あれっ? 思ったよりも弁えてるじゃないか。 何か有ったんですか?もしかして昨夜の事を思い出したのか? ふ~む……だったら良い機会だし、言いたい事が有るなら何か言わせてやろう。 何となく今、そんな気分になってしまった。恐らく速瀬の行動で若干 安心した為か、彼女に対する警戒心を緩めてしまったんだろう。よって正面で立ち止まって速瀬を眺めていると、何やらモゴモゴと言葉を選んでいる様子だった。また何故か顔を赤くして……くっそ~、何で関わりたくないヤツなのに可愛く感じてしまうのか。「????」「……ぅッ……その~……」「……速瀬?」「いっ……1回ヤったからって、調子に乗んないでよねッ?」「はァ?」「私は……アンタなんて……す、好きじゃないんだから……」「…………」「何よ……き、聞いてんのぉ~?」いや、俺の事が嫌いってのは会った日から解ってるが……"調子に乗るな"って何なのさ?あぁ~……1回勝ったダケで調子に乗るなって事か? "ヤった"ってのが妙だが、それしか無いだろう。それは戦闘中とは言え約束したし上等だぜ。 だから上官として、今 弱気になる訳には いかないな。「……安心してくれ」「え?」「一度で満足して無かったのなら、何度でも闘(や)ってやるさ」「んなッ!?」「どうしてもって言うんなら、今からでも良いんだぞ?」「なッ、ななな、ななななな……っ!!」顔を真っ赤にして震えている速瀬。 そ、それだけドタマに来たのですかッ!?こっ……これはいかん。 殴られる前に消えた方が良いな……もう痛いのはゴメンだ。俺は懸命に余裕そうな表情だけは維持すると、速瀬の横を素通りする。殺意を堪えてくれ、速瀬。 都合の良い話だが、上官を殴るのは君の首を絞めるダケだ。「ふっ、冗談だ。 またな?」「~~……っ!!」ちなみに、俺の立ち去る方向はPXと逆なのです。 だって……速瀬さんが怖いんだもん。まぁ、一日くらい夕食を抜いても大丈夫さ……違う意味でのオカズは沢山あるけどね。俺は怒り(?)でトマトみたいに顔を真っ赤にしている速瀬をそのまま、クールに去って行った。――――何と言う典型的な逃げるが勝ちッ! だが、それが最高の選択だったようだZE。………………≪一度で満足して無かったのなら、何度でもヤってやるさ≫「あ、アイツ……信じられないッ! 私……初めてだったのに、何て身も蓋も無い事……!」≪どうしてもって言うんなら、今からでも良いんだぞ?≫「で、でも……全然 覚えてないし……また抱いてくれるなら……って、冗談じゃ無いわよォッ!!」「……(水月、少しは素直にならないとダメだよ?)」←物陰から涼宮(姉)――――余談だが今夜は、速瀬が怖くて少しチビっていたので、ヘコんでしまい普通に寝た。●戯言●何時の間にか速瀬中尉がワントップに……酒癖悪い事から思いついて、つい犯っちゃったんだ☆涼宮(姉)も妙に勘違いしています、自分で書いておきながら大丈夫なのかこれから……?最近は1話書くのに10時間くらい掛かります、ゆっくりよんでいってね!!!(意味不明)●女性→白銀●(5文字以下)副司令:????ウサギ:懐いている軍 曹:尊敬できるオペ娘:惚れている御 剣:尊敬できる 榊 :信頼できる彩 峰:理想の上官珠 瀬:格好良い人鎧 衣:優しい上官涼宮妹:興味ある人柏 木:興味ある人築 地:興味ある人伊 隅:頼れる上官速 瀬:純潔返せ涼宮姉:????宗 像:一目置ける風 間:一目置ける●追記●同日17時誤字修正を行いました