これはひどいオルタネイティヴ2――――前言撤回、俺は自重できなかった。「嫌っ、触らないで……やめて……」「お前……ふざけるのも大概にしろっ!」「全く、お前みたいなイカれたガキ、博士の命令じゃなきゃ~な!」「こんな冗談で怒らんといて~。 もっと肩の力を抜いて仕事しないと、 いざBETAと鉢合わせたら一瞬で首をモガれちまうよ? えっと、そのBETAって……闘士級ね。 なるほど、なるほど。」「ば、バカにするなッ、俺達だってBETAごときなぁ!」「おい……もうツッコむのも止めにしようぜ、コイツ絶対何かおかしいって……」「HAHAHA。 まぁ、香月博士の知り合いッスから。」「……あぁー……」「!? な、納得したなんて思って無いんだからなっ!」……何と言うツンデレ。まぁ、こんな感じで厳重な身体検査を受けて、俺の安全は証明された。その間でところどころ冗談を言いまくったけど、そりゃ冗談も言いたくなる。バカやってないと重苦しい雰囲気に飲まれちまいそうだったからだ。「オオゥ……」「何か?」「いえ、なんでもないッス。」「(ないッス?)……では、ご案内いたします。」そんな俺の前には、イリーナ・ピアティフ中尉が居た。思わず息を漏らしてしまったが、やっぱ可愛いなぁ……美人とは思わないのは俺の年の所為だから気にするな。さておき案の定、基地内を案内してくれ、彼女の頭越しにエレベータが見えてくる。それにしても良い形の尻だなぁ……触りたい。 だが無謀なので視姦の如く凝視する。すると2度程こちらを振り返られたが、俺は真剣な表情で首を傾げることで誤魔化した。「では、このエレベータを降りれば……」「…………」エレベータの前まで来るとピアティフちゃん(命名)は、"ゆーこせんせー"の執務室までの道のりを丁寧に説明してくれる。うぅむ……マジで凛々しい。 だが、此処で別れると暫くは見れなくなるのかなァ……今の気持ちが表情に出たのを隠す事も忘れ、俺は彼女の話が終わるとスイッチを押した。そして、同様に少しだけ彼女との"別れ"を惜しみながら、礼を言って置く事にした。≪ガシューーーーッ≫「案内……ありがとう。」「は、はぁ。」≪ウイイイイィィィィンッ……≫「……っ……」≪しーーーーん……≫「……(なんて、悲しい目をした人……)」ぶっちゃけ執務室の階すら聞き忘れていたけど、白銀が覚えていてくれた。………………「貴方がシロガネ タケル?」「ヒュウ……♪」「何っ? 今時のガキは口笛で質問に答えるの?」「あーっと、すいません。」いきなり不審者を見るような目で、白銀の名を言ってきたゆーこさん(命名)。別に俺の先生ってワケでも無いから、リアルの歳は近そうだし、ゆーこさんでいこう。それはそうと、ゆーこさんは㌧でもない美人だった。 反則だろこれは。ヘアカラー云々はゲームの世界だからスルーするが、俺は思わず口笛を吹いてしまった。いや、不可抗力ですよね? 軍人のディ●ッカも敵機を撃墜したら口笛のの1つや2つッ。けど……今の行動だけで更に警戒されてしまったようで、目が怖い。 美人は変わらんけど。「あんた……何者?」「えっと、BETAにやられて死にましたけど、何故か生き返ったスーパーマン(笑)です。」「つまらない冗談ね、此処で射殺されたいの?」≪――――チャキッ≫「怖っ! よしてくださいよ。 ……でも、事実なんです。 難しい事は良く判んないんスけど、インガ……因果……あぁ、そうそう。 "因果律量子論"って言葉で納得して貰えると思うんですけど。」「!?」「自分の事をこう言うのも何ですけど、白銀って言う事にします。 その白銀は、"元の世界"じゃ平和な世界で暮らす普通の高校生でした。 いわゆる、BETAのBの字も存在しない世界ですね。」「…………」「その世界ではゆーこさ……失礼、博士は物理の教師をやってまして、 博士の友達の神宮寺まりもさんは白銀の担任の先生でした。 でも、ある日起きたら10月22日の"こっちの世界"で目を覚まして、 ワケも判らず生き抜いていくんスけど戦死。 気付いたら、また"この日"に目を覚ましたと。」「その話を信じろって言うの?」「アッハッハー(乾いた笑い)。 正直"自分"で言ってて"何それ"って思いますよ。 泣きたいくらいに。 俺が意味も無くこんな事言われてたら、射殺してます多分。」「なら、望みを叶えて欲しい?」「まさか~。 でも、電話で"計画"について遠まわしに言いましたよね? 俺、色々と貴女が得する情報を知ってるんです。 何せ何回もループしてますからね。 もう残ってる時間は少ないんでしょう? 何せオルタ5に移行するのは……そうそう。 12月24日ですからね。 あと2ヶ月ちょいしか残ってないッスから。」「……ッ……ふん、ますます怪しいわね。 月日も今、直ぐに出て来なかったじゃない。」「ま~、記憶を全部受け継いでるってワケじゃないッスからね。 ……で、信用してくれます?」「御生憎様。」「まぁ、それなら引き金をひいて撃てば良いと思いますよ。 ど~せ俺には当たりませんから、その時は貴女をレイプでもしましょうかね。 女を殺す趣味は無いんで命は取りませんけど、此処から脱走しようとする俺を、 怒りに身に任せた貴女が部下に命令して……"射殺"ってところですか?」「!?」「でも、当然俺を殺した事から、なんだっけ……半導体150億個の並列処理回路…… それから完成する……? ――――やべっ、野郎知って無ぇや。」「このっ!」≪ドォンッ!! ――――ビシッ!!≫おいおいおいっ! 俺、凄ぇバカな事 言ってないか? いくら何でもレイプはね~だろ、レイプは。何か半分は白銀が言ってる気がする。 成る程……"黒白銀"か! それなんてR指定!?……って、それどころじゃねぇ! ゆーこさんを煽り過ぎて、発砲させちゃったよ奥さん。「だから奥さんって誰やねん。」「――――!?」≪――――ぐいっ!!≫「ふ……何と言う平和ボケ。」「ち、ちょっと! 離しなさいよっ! 何処触ってんの、アンタ!?」勿論、ド素人の発砲なんぞ当たるワケもなく、"白銀"は素早く距離を詰めると後ろに回り込む。そして拳銃を奪って正面に放り投げると、体を押さえるついでに左手を胸に伸ばす。当然 年下趣味では無いとされるゆーこさんは怒るが、無駄な抵抗でしかない。マブラヴじゃとんでもない天才だけど、思ってみりゃ俺をアッサリ通すのは無いわ~。同じような事を言ってきたヤツが居て、今 首折ったら"この話"終わりじゃね?……だが、俺も死にたくは無いので"黒白銀"に脳内で蹴りを入れつつ、耳元で囁く。未だに胸の感触を楽しんでいたりするが、役得・役得。 命張るんだ、もうちょっと揉ませろ。それはそうと……さっきは白銀に頼り過ぎていた。 アンリミの白銀が知らん事は俺が言わねば。「まるまる、いや……ぜろぜろユニット。」「!?」「どうやって作るかは謎ですけど(嘘)、それが完成しないとオルタ計画4はど~にもならないんでしょ? 結局、貴女は一人でナントカ回路を完成させるのは失敗に終わります。 その結果、 数年後 俺を殺した事を後悔しながら飛び上がるシャトルを眺める羽目になるんですよ。 ただのレイプ狂だったかもしれないのに、そんな"どうでも良い事"に可能性を感じるんです。」「……あんたは、何が目的なの?」「俺が望むのは一つだけッス。 元の世界に帰って、親父と酒を飲んでお袋のメシを食いたい。 それで、そろそろ結婚して独立……いや、そんな事よりニコ●コ動画の新作を――――」「ちょっと、何処が一つよ?」「!? あぁ、すんません。 ともかく、俺の"情報"が欠かせないのは断言しますけど、 貴女の存在も無ければ絶対にオリジナルハイヴは落ちません。 だから……マジ"こんな事"して今更アホかと思いますけど、信じてくれませんか?」「…………」「信じられないのなら、ほんのちょっとだけ待ってください。 未来は有る程度判ってますから、20日以内には決定的な証拠を出せます。」「都合の良い話ね。」「なんなら、ずっと監視を付けて、予知したのが外れたら射殺しても構いません。」「ふ~ん……心意気は買うわ。 なら一応、利害は一致しているのね?」「そりゃ~もう。」「……判ったわ、"使って"あげるから離しなさい。 何時まで胸、触ってんのよッ。」「うわっ、そうだった。 すいません。」「じゃあ、私からも色々と聞く事が有るわ。 その前に……」「――――え。」≪――――バシンッ!!!!≫……強烈な平手打ちを食らった。 マジで泣きそうになった、帰りたい。でも、オーバーアクションする俺のヘタれさを見て、ゆーさこんは少しだけ警戒心を解いてくれた。あっ……そういやウサギっ娘がどっかに居るんだったね、帰りたいとか情け無い感情はヤバい。世界の平和・世界の平和・世界の平和……!! 定期的に念じる事にしておこう、心で。………………≪――――ィィィィイン……≫「……駄目……今日も何も――――!?」≪ピクッ≫「……(今、何か……強い"意志"のようなものが……別に……)」………………≪――――ひょいっ≫「うわ、スゲー。 コレが銃かぁ~……重ッ。」「……何よ、銃なんて珍しいモンでもないでしょ?」「あ、あぁ……えっと、戦術機ばっかに乗ってると、逆にハンドガンが珍しくて。」「……(ほんと、なんなのよコイツ……)」そんな早くも墓穴を掘りかけた1時間後。色々とゆーこさんに質問され、面倒臭かったので殆どを白銀に答えさせた。原作でも白銀が"あの程度"の知識しかなかったから"利用"してくれたんだから、なるべく同じように過ごして、女の子が死ぬところをフォローする感じで行くか。……ってか、当たり前だが第一印象がオルタの時より凄ぇ悪かったっぽいし、俺の持っている情報を全部出し切っちまったら消されちまうかもしれない。あんな事しておいてアレだが、とにかく俺は死にたくない。 黒白銀、自重してくれ。んでオルタ4については、ぶっちゃけ俺が白銀の元の世界にさっさと行って、理論持ち帰って00ユニットを完成させればクリアに凄い近付くんだろうけど、それもタイミングを合わせた方が良いのかなぁ? 勿論、今のところは秘密にしてある。 何時かあんま覚えてないけど、最後に行ったのがトライアルで"ぱっくんちょ"の後か……それなら、最初に行ったのは何時だったっけ? タマパパがヤバい後あたりかなぁ?「それで終わりっすか?」「大方。 でも、あんたの事は信用したワケじゃ無いからね。」「ですよねー☆」「……なによ、そのムカつく笑顔……それより、あんたの処遇はどうしようかしらね……」「ん~。」こっちじゃ白銀は死んでるんだし、色々とヤバいんだよね? 判りますよゆーこさん。でも、どっちにしろ月詠さんとかにはバレちゃうんだよね。 だったら仕方無いね。そんなワケで俺もドナ●ドが殺人吟味するようなノリで首を傾げる。正史なら訓練兵なんだろうけど面倒だし……衛士になっても、ひょっとして"俺"が白銀を頼っても戦術機に乗れないヘタれだったらマジでヤバくね?覚悟はしてたけど、それなら訓練兵……いや、体がムキムキで恐怖が無いだけマシかぁ……「妥当に前みたいに訓練兵で――――」「いえ、待ってくださいゆーこさん。」←すでに呼称はスルーする事にした夕呼「何よ?」「ループしてきたばかりですから、まだ自分が戦術機に乗れるかさえ判らないんですよ。 "シュミレーター"ってのをやらせてください。 ヘボかったら訓練兵でお願いしまっす。」「期待外れだったら、覚悟しなさいよ?」「あはは、俺の使い道はあくまで情報って事で。 まぁ……良い感じだったらバリバリ戦いますから。」「当たり前よ。」「ともかく……これから一緒に頑張りましょうね? ゆーこさん。」「……どの口で言ってんのよ。」「(あっ、でもヤバい……戦術機に乗れなかったと思うと、恐ろしくて涙がぁっ……)」≪――――キラリ≫「……っ!?」「(おやじ、おふくろ……待っててくれ、明日の晩御飯までには帰るからさ……いや無理か。)」「…………」「あれ、どうしたんスか?」「……ん……何でも無いけど あんたさ、実年齢は幾つなの?」「28です。(白銀じゃなくて俺のね)」「……ふーん……」考えた結果、シュミレーターと言う保険を掛けて、これからの事を考える事にした。まぁ、戦術機を動かせなくても白銀の体だ。 バリバリ成長してくれるだろ。号泣したいのもヤマヤマで、目尻に涙が浮かんだけど、後は俺のやる気次第ッ! がんばるぞーっ!……と気合を入れていると、俺をじーーーーっと見ているゆーこさん。すると何故か年齢を聞かれたので、あらぬ期待をして答えると、興味が無さそうに視線を逸らす。俺……ショックッ! でも、その時のゆーこさんは結構 魅力的だったりした。「……ゆーこさん。」「何よ?」「キスして良いですか?」「殺すわよ。」――――だから嬉しくなって、つい言っちゃったんだ☆ (ドナ●ドのノリで)