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No.34254の一覧
[0] MuvLuv Alternative Possibility (TE&Alt) オリ主[Haswell](2013/03/11 22:45)
[1] プロローグ[Haswell](2013/08/23 18:40)
[2] 横浜基地にて[Haswell](2013/08/23 18:41)
[3] 想い[Haswell](2013/08/23 18:46)
[4] MANEUVERS[Haswell](2013/08/23 18:51)
[6] War game[Haswell](2013/08/23 19:00)
[8] Alternative[Haswell](2013/08/25 16:33)
[9] 番外編 試製99式電磁投射砲[Haswell](2012/10/29 02:35)
[10] Day of Days[Haswell](2012/10/27 22:34)
[11] Project  Diver[Haswell](2012/11/06 23:11)
[12] Dog Fight[Haswell](2012/12/03 20:55)
[13] Active Control Technology[Haswell](2013/03/12 21:28)
[14] Tier1[Haswell](2013/06/13 16:56)
[15] FRONTIER WORKS[Haswell](2013/08/23 01:10)
[16] ATM[Haswell](2014/01/02 03:12)
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[34254] Dog Fight
Name: Haswell◆3614bbac ID:a910b73a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/12/03 20:55
お久しぶりの投稿となりました。
TEのアニメ21話を見てだいぶ動揺が隠せなくなっています。
TE編は現状からすれば相当先の話になるとは思いますが
どうやらTE編の結末がアニメ版とかぶってしまう可能性がありそうです。

そこに至る過程はだいぶ違ったものになりますがどうすべきか少し悩んでいます。
















帝都のバー。カウンターに佇み合成酒をあおる一人の男がいた。
男は名をグレアム・ロウズといった。昼間から酒を浴びるように飲み、髭は伸び放題。
もう何日も洗っていない上着からは悪臭が漂っている。浮浪者同然の身なりであるから当然誰もよりつこうとしなかった。
眼光だけはやけに鋭いのもその一因かもしれない。

ドアベルの甲高い音をたてながら酒場の扉が開く。グレアムの二日酔いの頭には割れんばかりに響いた。入店した男を胡乱げに睨むが男が気にしたそぶりはなかった。その男はあたりを見渡すとゆっくりとこちらに歩み寄ってきた。水色のネクタイに紺の制服、ウイングマークがきらりと光る。右腕には地球儀とオリーブの国連章が縫い付けてあった。それは男が国連軍所属の衛士であることを示していた。男はグレアムの周囲に漂う匂いに、わずかに顔をしかめたが特別に臆した様子はなく、無遠慮に隣の座席に座った。

「グレアム・ロウズだな。」

男の発した声は思っていたよりも若い。グレアムは男の問いかけを無視した。
男に特段怒った様子はない。グラスを煽った。合成酒がのどを焼いた。空になったグラスに次の一杯を注ごうとして、瓶に手を伸ばした。しかしその手は空を切った。瓶を求めて横を見れば、望みの物は男の手の中にあった。男の手から奪い返そうと手を伸ばす。
男は伸ばされた手をかわすとグレアムの手の届かないところに瓶を置いてしまう。


「いつまで酒に浸って現実逃避を続けるつもりだ。」


余計なお世話だった。

「お前に俺の何がわかる。」

男を睨む。突如として酒場の一角が殺気立ったにもかかわらず、店主たちは全く動じなかった。
グレアムが問題を起こすのはこれが初めてではない。
しょっちゅう衛士に喧嘩を売っては殴り合いの乱痴気騒ぎを起こしていた。
平時であれば厳しい処分対象である軍人と民間人とのいざこざも、今となっては場合によっては処分なしになるくらいには軍人に甘い世の中になっていた。

一触即発の雰囲気を漂わせるグレアムを見ても未だ男は動じておらず、何処かこちらを値踏みしているようにも見える。
 面白い、やってやる。グレアムは男を酒場の外、帝都の裏路地に連れ出した。男は警戒もせずのこのこついて来た。バカな奴め。
グレアムは内心ほくそ笑んだ。
グレアムは技術者ではあったが腕っ節の強さでは、現役軍人にも引けを取らなかった。
歩兵相手では少し分が悪くとも、そこいらの衛士であれば、ましてや弱腰と言われる国連軍衛士相手に後れを取る筈はない。
さあいつでも来い。しかし男は戦うといった風ではなく、完全に力を抜いて立っていた。これにはグレアムも拍子抜けする。

「航空電子工学を収めた腕利きのエンジニアを探しているんだが、心当たりはないか。」


「断る。 俺はもうアビオニクスは作らない。だが、お前が俺に勝ったら考えてやらなくもない。俺が勝てばお前の金でいい酒が飲めそうだしな。」

はなから、協力してやるつもりはない。話は終わりだとばかりに体制を整えれば、相手はどこかこちらを蔑視しているような気がした。
そうさ俺は真正のクズだよ。お前が期待するような男ではないんだ。

失意のまなざしにはなれていた。


「落ちぶれたあなたを見て、奥さんはなんて言うんだろうな。」

その一言はグレアム=ローズという男の決して触れてはならない琴線に触れた。

「お前っ!」

体が熱く沸き立つのを感じた。
頭の中が真っ白になり、戦略も何もかなぐり捨てて、目の前の軍人に殴り掛かった。
自慢の一撃はあえなく空を切った。グレアムは驚いた。今までの相手とはなにかが違う。
続く二撃三撃目も軽く躱され、すれ違いざまに腹に重い一撃を加えられる。一瞬体が浮いたかのような感覚。
 そして遅れてこみ上げる苦いものにグレアムはたまらず地に伏せた。自らの吐しゃ物に塗れ尻を突出し裏路地に倒れる様は無様だった。

霞がかった視界に不意に映る影。

「そんな目で見るなよ。千秋。」




Part Six Dog Fight



PM15:00 January 6 2000
横浜基地


その日会議室には蘇芳が集めたと思われる技術者が一堂に会し、初めての顔合わせを兼ねた会議が開かれていた。
様々な分野の専門家達が集結しその中には横浜基地ならではの人材も存在した。集められたメンバーは皆異色の出自であったが、それを知るのは本人と蘇芳のみである。
ここに集められた人員の中でその大半は計画の仔細についての説明は受けていない。 
蘇芳から口頭で説明された仕様は大まかに言ってしまえばハイヴ内での戦闘に特化した戦術機の開発であったが、それはつまるところ対BETA戦におけるあらゆる能力の向上を求めている事と同義である。
当然参考とされるのは現在ハンガー内に格納されているF-15Eの降下軌道兵団仕様機であった。当機はハイヴ内への侵攻を想定し、F-15Eをベースとして稼働時間の延長、推進剤容量の増大を図ると同時に期待制御用の着脱式スラスターが追加されている。

蘇芳は 円卓に座る一同を見渡し、全員がそろった事を確認すると、詳細な要求仕様をまとめた仕様書を各員に配布した。
記載されている数値は全て横浜のHPCC によってはじき出されたモノであり、その値には予算を獲得する名目での一切の誇張は存在していない。
仕様書に書かれているデータがハイヴ攻略に必要なスペックの全てであった。やがてプレゼンが始まる。
プロジェクタにハイヴ内の様々な画像や映像が映し出され、そのたびに蘇芳が事細かに説明を入れる。
やがてプレゼンが終わると幾人かのエンジニアたちが笑い出した。

「中尉、私は実は月まで行けるんですよ。なんだったら今度遊覧がてらに月面ハイヴを落としてきてもいいですよ。」

円卓を笑い声がつつんだ。
笑わなかったのは輪島とほんの一握りの人間だけであった。

「こんな要求仕様はめちゃくちゃだ。達成できるのであれば苦労はしませんよ。」

またしても、今度は先ほどよりも多くの人間が笑った。














「やらなければ「…何がおかしい。」」

その声は蘇芳の言葉を遮って浴びせられた。
場は静まり返った。温かみの一切を捨て去ったその声が自分たちの対面の席に座る白人の男から発せられたものであることに皆当惑していた。
眼光鋭く、エンジニアとしては太い腕っ節と歩兵のごとき図体は周りを圧倒した。
伸び放題であった髭はすべて剃られ、頭髪は国連軍整備士規定を満たす短さ、酒場で飲んだくれていた頃の面影はどこにもなかった。


「何がおかしいんだって聞いてるんだよ。」
テーブルから身を乗り出し、対面に座る男の上着に掴みかかった。
男はテーブルの上を滑るようにグレアムの面前に引きずり出される。
男の顔は青ざめている。場に緊張が走る。
喧嘩っ早いその性格は相変わらずのようだった。

「俺たちが限界に挑戦しなくて一体誰が挑むんだよ。不可能を可能にするのがエンジニアの仕事だろうが。」

グレアムの一言に一同が俯いた。露骨に目をそらすものさえいた。耳の痛い一言だった。


「その辺にしてやれ。」

今まで事態の推移を見守っていた輪島の一言で止まっていた時間が流れ始める。
グレアムは舌打ちすると男を放り出し座席に座る。
最初は最も乗り気でなかったグレアムの眼に宿る闘志を見て蘇芳は舌を巻いた。一体どんな心境の変化があったのかは知らないがなんにせよやる気になってくれたことは計画にプラスに働くだろう。
蘇芳はざっとテーブルを見渡す。消化不良になっている技術者が少なからず存在した。今日はここまでだろう。

「今日はここまでとしよう。各自仕様書を持ち帰って検討してくれ。」

その言葉に皆重い腰を上げる。
ある者は会議室を後にし、ある者は近場のメンバーと軽い会話を交わしている。

輪島はしばらくは立ち上がらず、瞑目していた。
グレアムの言葉を聞いた輪島の胸中には恩師の言葉が蘇る。
当時30代だった輪島は困難な仕様に抗議した。
皆で示し合せて実家に押し掛けた私たちを笑って出迎えながら居並ぶ私たちに彼は言ったのである。

“成功する可能性が50%あるならばやらなければいけない。30%でも挑戦する価値がある。”

眼前の男は、当時の私と同じくらいに見える。
この若さで技術者の神髄にたどり着くとは。輪島は内心で賞賛を禁じ得なかった。視線は自然と上座に座る、若い将校に向けられる。
大半の者が会議室を後にした今でさえ席を立たずに、仕様書に何事かを記載していた。どこから拾ってきたのかは知らないがなかなかに見事である。プロジェクトを任されるだけはあって人を見る目は確からしい。
ここまでお膳立てをしてもらったのだ。
あとは俺が皆を統括し開発をまとめ上げなければ。輪島は決意を新たに蘇芳に礼をして、会議室を後にした。




その日の夜、蘇芳は横浜基地の廊下を格納庫に向かって歩く。
事の発端は、夕刻に伊隅大尉に呼び出され、奇妙な命令が下されたことに起因している。
対BETA戦の夜間演習を行うため2230時に格納庫に集合せよとの命令であった。
しかし演習であるのならなぜわざわざ単独で呼び出す必要があったのか、他の隊員は演習に参加するような雰囲気ではなく、どうやら単独で呼び出されたものであるらしいことなど謎は尽きない。
しかし特殊部隊だからそういうこともあるのだろうということにして自らの疑問を無理やり飲み込んだ。
上官の命令は絶対であり疑問があったとしてもそれに従わなければならないのが軍隊というものだ。格納庫に到着した蘇芳をいつもの整備士たちが待っていた。しかしそこには他の隊員の影はなく、いよいよもって何かが怪しい。整備士たちも何事か事情は把握しているようだ。
蘇芳は知らず眉をひそめた。一人の整備士がこちらに歩み寄ってくる。
A-01専属整備士より輪島 英一整備士長を引き抜いたために繰り上がりで整備士長になった女である。名を渡辺 佳乃といった。
若干30代で整備士長に着任することとなったがその腕は確かである。
なお年齢を指摘した猛者を粛清したともっぱら噂である。

「中尉の不知火は整備を完了しています。F-15Eに比べれば戸惑うこともあるかもしれませんが…いえ中尉には余計なお世話でしたね。」

「いえ忠告感謝します。」
蘇芳はかぶりを振って彼女に答えた。
シミュレータと実機ではだいぶ感覚が違うシミュレータ通りに動くとは限らない。

「聞けば、シミュレータでは初めての不知火をまるで手足のように動かしていたとか?」

そういって彼女はこちらをじっと見つめる。
その瞳からはこちらに対する興味の色がありありとうかがえる。
周りからもどこか好奇の視線が向けられていることに気付きどことなく身じろぎをしてしまう。娯楽の少ない整備兵たちにとっては、戦術機の模擬戦と各衛士の撃墜スコアなどは格好の娯楽であった。
A-01整備士たちの間で横浜基地最強と名高い速瀬少尉を破った、ニューフェイスの襲来は整備士たちを大いに沸きかえらせた。
速瀬少尉のあまりの強さにかけが全く成立しなかったためだ。
噂の大型新人を一目見ようと整備士たちが今日を心待ちにしていたことを蘇芳は知らない。

蘇芳はできるだけ周りの整備士たちを視界に入れないよう細心の注意を払いながら、自らの戦術機が固定された整備ガントリーを見上げる。

つい昨日搬入されてきた不知火が1㎜のずれなくおさまっていた。キャットウォークへ駆け上る。真新しい戦術機からはまだ塗料の匂いがかすかに漂っていた。
渡辺整備士長はコンピュータパッドを蘇芳に手渡す。
詳細な設定データの羅列が目に飛び込んでくる。

「戦術機は新品ですので、前任の衛士の癖などは記憶されていません。
中尉の統計データを丸々積んでも良かったのですが、イーグルと不知火では動作に違いがあるのでこちらで最適化をさせていただきました。」

戦術機には戦場において円滑な動作をアシストするために学習コンピュータが搭載されている。
そのデータは衛士強化装備とも同期され衛士の癖を事細かに覚えている。 
しかしこれの厄介なところは搭乗する衛士が何らかの理由で交代したとしても前のデータが維持されてしまうところにある。
他の衛士の操縦特性を覚えている戦術機の使いにくさは半端なものではなかった。
その違和感をいかにして払拭するかは整備士の腕の見せ所と言っても過言ではない。
蘇芳はコンピュータパッドを見た。全体的にパラメータが調整されている。射撃時動作速度などはやや過敏めに設定がなされており、近接格闘動作ではその逆に動作をやや緩めてあった。
制御OS全体の反応速度は上昇するように設定されておりIMFは切られている。 
少ないデータでよくもここまで修正がなされたものだと感心してしまう。

「ああ、これでいい。ありがとう 曹長」

蘇芳は管制ユニットに乗り込むためタラップに足をかけて異変を感知する。
管制ユニットからガサゴソと物音がする。
何者かは知らないが、堂々と人の機体に細工するとはいい度胸だ。
ここで捉えてキリキリ吐いてもらおう。
蘇芳は強化装備のガンマウントに取り付けられた拳銃を音を立てずに引き抜いた。
一段一段タラップを上る。
中の人間がこちらに気付いた様子はない。
管制ユニットの前で気を引き締める。
人だかりの中を堂々と侵入してくるほどだ、腕に自信があるのは間違いない。覚悟を決めると一気に踏み込んだ。

「動くなっ。武器を捨てて頭に腕を…」

中を確認した蘇芳の声は段々と尻すぼみになっていく。

「え?」

紫色の長髪にビニールを頭からかぶった香月博士の姿がそこにはあった。
騒ぎを聞きつけた整備兵が集結し一時的に場が騒然となった。




「はぁ、あたしを諜報員と間違えたってわけ?そんなことあるわけないでしょ。」
銃口を向ける蘇芳と頭からビニールをかぶる香月 夕呼を見て、整備兵たちは大まかに事態を把握した。
来た者から一人また一人と持ち場に帰っていく。
香月博士は呆れ顔だが、正直に言えば呆れたいのはこっちであった。
何処に新しい戦術機が納入されたからと言って、わざわざその戦術機のシートに貼られたビニールを剥がしに来る副司令がいるのだろうか。
だいたい… 

「なによ。なんか文句でもあるわけ?」

―どうやら横浜の天才はその卓越した頭脳で心を読むことが出来るらしい。

博士は此方ににらみを利かせる。
決して高い戦闘能力を持っているわけではないのに、その視線には凄味があった。思わず背筋が伸びる。



「…いえ。なにも。」


「……まあいいわ。第二演習場で対BETAの夜間演習だそうね。伊隅たちは先に向かっているはずよ。
くれぐれも機体を壊さないでちょうだい。機体のおかわりはないのよ。」

そう言うと踵を返して去っていった。香月博士は去り際に人知れず笑みを浮かべていたのだが、蘇芳はそれには気づくことが出来なかった。


蘇芳は気を取り直すと今度こそタラップを駆け上がり管制ユニットに着座する。機体の最終調整を行い、機体の主機に火を入れる。
管制ユニットが自動で機体に引き込まれボルトが閉まる音がする。
真っ暗な機内に操縦桿下の計器やスイッチ類の灯りがともる。
OSが立ち上がっていき網膜投影システムが起動した。
整備ガントリーのマウントアームが解除される。 
機体を一歩前に踏み出す。管制ユニットが揺れる。
久しぶりの実機の感触に思わず笑みがこぼれた。
やはりこれでなくては。機体を格納庫端のエレベータに載せ 地表に向かう。やがて不知火はその姿を地表に表す。
フットペダルを踏み込む。
FE108-FHI-220が唸りをあげる。一気に加速しNOEで第二演習場を目指した。
唐突に無線が入る。

「ヴァルキリーマムよりヴァルキリー2へ。
間もなく作戦空域ですJIVES(統合仮想情報演習システム)を起動後、グリッド160337に向かってください。」

涼宮 遥少尉の指示に従いJIVESを起動する。 
実機での演習の際にはJIVESを使った模擬戦闘が一般的となっている。

第二演習場は静まり返っていた。
目標座標についたがあたりには不知火の影はない。

「これはいったい…」



「ご武運を。」


ヴァルキリーマムが不気味な言葉を残して、通信を途絶した。



「こちらヴァルキリー2よりヴァルキリー1へ。伊隅大尉応答願います。」



蘇芳はあたりを油断なく見渡した。
周りはビルに囲まれて視界はお世辞にも良好とはいえない。
四方に目を凝らすが夜間であるためメインカメラの効きは限りなく悪い。JIVESが稼働しているのだが一向にBETAが出てこない。
それに他の隊員とも全く連絡が取れない。何かがおかしい。
視界をナイトビジョンに切り替えたその時だった。
前方正面より照明弾が3発打ち上がる。
同時にここ最近で聞きなれた3発の36㎜TRACER弾の発砲音が聞こえる。
とっさに跳躍ユニットに点火し機体を後ろにずらす。
機体の左右と先ほどの位置に弾丸がめり込んだ。
ナイトビジョンを切る間もなく照明弾が炸裂し、網膜認証システムが許容範囲外の光量から乗員の網膜を保護するためにブラックアウトする。


「しまった。」

長年の経験から咄嗟に92式多目的装甲で機体前面を覆う。
 一拍遅れて追加装甲に重い衝撃がかかる。
主脚がやや地面にめり込んだ。
ブラックアウトが収まり視界が急速に回復する。 
前を見れば多目的追加装甲と74式近接戦闘長刀がつばぜり合いを演じている。
そして網膜投影システムに長刀を握るUNブルーの不知火の姿が鮮明に映し出されていた。


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