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No.34254の一覧
[0] MuvLuv Alternative Possibility (TE&Alt) オリ主[Haswell](2013/03/11 22:45)
[1] プロローグ[Haswell](2013/08/23 18:40)
[2] 横浜基地にて[Haswell](2013/08/23 18:41)
[3] 想い[Haswell](2013/08/23 18:46)
[4] MANEUVERS[Haswell](2013/08/23 18:51)
[6] War game[Haswell](2013/08/23 19:00)
[8] Alternative[Haswell](2013/08/25 16:33)
[9] 番外編 試製99式電磁投射砲[Haswell](2012/10/29 02:35)
[10] Day of Days[Haswell](2012/10/27 22:34)
[11] Project  Diver[Haswell](2012/11/06 23:11)
[12] Dog Fight[Haswell](2012/12/03 20:55)
[13] Active Control Technology[Haswell](2013/03/12 21:28)
[14] Tier1[Haswell](2013/06/13 16:56)
[15] FRONTIER WORKS[Haswell](2013/08/23 01:10)
[16] ATM[Haswell](2014/01/02 03:12)
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[34254] Day of Days
Name: Haswell◆3614bbac ID:a910b73a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/10/27 22:34
冒頭のまえがきを実験的なものにして見ました。

ようやく本編の片鱗が見えてきたような…





時代遅れの頑固者。何時しか社内ではそう呼ばれるようになっていた。
廊下を歩けば後ろ指を指されない日はなかった。輝しいキャリアも今やこの身に重くのしかかる。
次第に強くなる風当たりに何度も、何度も自問自答を繰り返す。時代が変わったのだ。お前の居場所はもうない。いやまだ若造に道を譲ってなるものか俺はまだやれる。
何時しか月日がたち社内に居場所がなくなった俺は、日本でも最も異端の地に仕事を求めていた。

Part five Day of Days

PM14:47  January 3 2000
横浜基地 

遂に極少数のエリアとはいえ横浜基地が稼働を開始し、香月 博士の計画の核となる人物は基地の移動を余儀なくされた。
A-01も当然その中に含まれており、基地到着初日はハイヴを生かして作られた基地の複雑にうねる通路で何度も迷子者が出たものである。
その日も訓練の傍らで蘇芳 林太郎は香月 夕呼から与えられた資料と格闘していた。
資料には横浜基地に在籍している研究者や整備兵はもちろんのこと、香月 夕呼が基地に入れても問題ないと判断したエンジニアや研究者たちの名前や経歴が綴られている。
蘇芳 林太郎はこの膨大なリストの中から人員を選び出し、戦術機開発を統括しなければならない。戦術機開発の経験が全くない者に主任を任せるというのは異例中の異例の人事ではあるが、ハイヴ攻略に主眼を置いた戦術機の開発であれば蘇芳以上に妥当な人物は考えられなかった。
自分のチームであるのだから当然人員の選択も自分でやれということなのだろう。リストに載せられている人物の中には国連軍所属ではない人間もちらほらと見受けることが出来る。
リストを一枚一枚丁寧に捲っていく。この作業も3日目に突入し、既にリストの4分の3は消化した。
めぼしい人物については既にリストから外して管理しており、この作業が終わり次第コンタクトを取らなければならない。
リストから人員を選抜する作業も大変ではあるが、実のところ最も厄介なのはコンタクトを取ってから人員を引き抜く段階である。
国連軍所属の人材に関しては容易に所属部署からの引き抜きが可能であるが、民間において戦術機開発のベテランといわれるような人物たちは各企業でも厚遇されており、引き抜くことは容易ではない。今の地位を捨ててまで国連軍横浜基地に組み込むことができるかははなはだ疑問であった。
ここにきて10日ほどたって知ったことなのだが、日本帝国における国連軍の立ち位置はあまりよろしくない。
何やら九州にBETAが上陸してから明星作戦までの一連の流れで多くの国民は米国に対してあまりいい感情を抱いていないようだ。
成り立ちからして米国と切っても切れないかかわりのある国連軍が歓迎されないのも無理からぬことであった。そんなことであるからファーストコンタクトは慎重にかつ静かに行わなければならない。

「中尉は今日も2重生活ですか。」

聞きなれた声に顔を上げれば、エレン少尉が私の前に立っていた。シャワーを浴びてきたのだろう金色の直ぐい髪は水に濡れていつもとは違った鈍い輝きがあった。
先ほどまで中隊でのシミュレータを使った演習を消化したのち、エレンはその後一人シミュレータに残り、不知火の慣熟訓練を黙々と履行していたのであった。エレン・エイスという衛士は決して悪くない腕を持っている。
軌道降下兵団内では十分それで通用したし、その能力は国連軍全体においても上位に入るだろう。しかし横浜基地ではそれが通用しない。A-01に所属する衛士には絶対的な操縦技量が要求される。それはすなわち技量が“他よりはうまい”では許されないことを意味する。
この非常にハイレベルな要求を突き付けてくる極東の片隅にある基地でエレンの技量は同中隊に所属する他の全ての衛士たちに劣っていた。中隊所属の最低合格ラインを割ってこそいなかったが、それは本人にとって何の慰めにもならない。
もちろん扱いなれない不知火に振り回されていることも要因の一つである。しばらくしたのち、エレンは度々中隊での訓練とは別に、自主訓練を欠かさず行うようになった。蘇芳に限らず、手漉きの中隊員達は彼女の訓練にしばしば手を貸した。
エレンは持ち前の明るさと本音でぶつかり合える訓練によって他の隊員たちとの仲を徐々に深めつつあった。
それに比べて私はどうだろうか。蘇芳は内心で溜息をついた。伊隅 大尉とは前の隊との相違に関してや、その他事務的な用事で顔を合わせて会話をすることが多く。お互いの間での連携が取れるくらいには、信頼関係があると考えてもよかった。
問題は今扉の陰からチラチラと除く青い髪の女性。またの名を 速瀬 水月ともいう。中隊での演習を除いて彼女と会話した記憶はまるでない。明らかに避けられているのは間違いないのだが、どう対処すればいいのか、その答えが見つからぬまま今に至る。
速瀬 小尉に遠慮してか涼宮 少尉が積極的にこちらに話しかけてくることはなかった。

「中尉。目の前にこんなに魅力的な美女がいるのに考え事とは感心しませんよ。」


「ああ、そうだな。」

エレンは、目を細める。心ここにあらずといった風の蘇芳だがその視線は一点に固定されている。視線をたどっていけばそこには最近話すようになった不器用な同僚の髪の毛がちらちらと覗いている。こちらを覗いている本人は気づかれていないと思っているようだがバレバレである。
へぇ 中隊内の雰囲気を悪くしていると思われる両者が互いのことを気にしているとは。
エレンにしてみればどことなく面白くない気持ちが半分、関係改善に向けて何とかしてやりたいという気持ちが半分であった。
エレンはにやりと笑った。彼女お得意の悪巧みを考えるときのいつもの癖である。ちなみにいつも犠牲者は目の前の上官であったりする。
伊隅 大尉に話をつけて…等と彼女の頭の中では今後のプランが展開されていた。


PM10:30  January 3 2000
横浜基地

整備用格納庫で新たに搬入されたF-15Eを眺める男がいた。年は60を超えたあたりであろうか。髪には白髪が混じり、定年がそろそろ見え始めたころだろう。
時折駆け寄ってくる部下にあれこれと指示を出す。衰えを感じさせないきびきびとした所作と厳しい眼光が相まって、現場には緊張が保たれていた。
男は名を輪島 英一といった。昔気質な男で、横浜基地の整備兵は彼のことを畏怖しながらも同時に尊敬もしていた。整備パレットにいる彼のもとにまだ年若い一人の男が歩いてくる。輪島はゆったりした歩調で歩いてくる男に目を向けた。
C型軍装にウイングマークを付けたまだあどけなさの残る子供はつい最近横浜基地に配属された確か名を蘇芳 林太郎といったはずだ。今眼前に横たわっている機体の片方の持ち主でもある。戦術機の操縦技術とかそういったことは全くの専門外だが今、目の前にたたずむ少年が戦術機の操縦において並々ならぬ腕を持つことは明らかであった。
ここのボスが引き抜いたのだから当然だというのも判断材料の一つだがもっと決定的な証拠がある。その証拠は今、輪島の手元にある。

「おい坊主。お前なかなかいい腕してるじゃねえか。」

そうほめてやれば少年はさも意外だといった風な顔をする。

「整備兵をなめちゃいけねえ。お前たち衛士は腕の良しあしを操縦時の軌道や、射撃スコアとかで判断するが、俺たちにはこいつがある。」

輪島は眼下のF-15Eを顎でしゃくった。

「人間は嘘をつくが、こいつは嘘をつかねえ。俺たちの知りたいことは全部此奴が教えてくれる。」

輪島は手元のデータシートを見た。機体の各部稼働状態に関して、記載されている数値のどれもが今まで見てきたF-15Eのそれを大きく上回っていた。
これは常に機体が全力で稼働していたことを意味している。あまりの数値に担当した整備兵が何度も値を取り直した末に、困惑顔でデータシートを持ってきたのを覚えている。
だが搭乗者に比べて機体の整備班はまだまだ未熟であった。

「搭乗していた衛士と違って、今までこいつを担当してきた整備の連中がいれば文句の一つでも言ってやりたいところだ。」
今までの整備担当がとりわけ下手だったわけではない。しかし腕利きの衛士が一人いるだけでも整備の手間はひと手間もふた手間もかかる。
それを画一的な整備で済ましてしまうというのは1流の整備兵の仕事ぶりではない。

「だが、ここに来たからには大丈夫だ。お前の機体はしっかりと整備させてもらう。」

蘇芳中尉は少し訝しんでいる様子であった。無理もない。今までの整備でも特別何か不満があったわけではないだろう。
だからそれ以上などと言われても実感がわかないのもうなずける。しかしA-01の整備部は他の整備班に比べて格段に整備の腕がいい。
それは機体の稼働率を見れば一目瞭然であった。“最高の部隊には最高の整備を”とは香月博士の弁だが、輪島自身その発言には共感を覚える。A-01が世界最高の特殊部隊を自負するとすれば、整備班は世界最高の職人部隊ともいえる。
A-01の衛士たちの反応速度に合わせて機体の遊びを極限まで削ることが出来るのは横浜の整備部隊だけだと言える。

蘇芳に一言、乗ればわかるとだけ言って自分も整備状況の確認のためにパレットから下に降りる。その背中に蘇芳 中尉 から待ったがかかった。


「そういや そっちの要件はまだだったな。この年になるとつい物忘れがなあ」
そういって朗らかに笑う。 それは年に数回も見せない輪島の笑顔だった。
目の前の坊主は畏まって一言告げた。

「戦術機の開発にかける情熱はまだ消えていませんか。」

その時自分が一体どんな顔をしていたのかわからないが、後ろで聞き耳を立てていた部下たちの何かをこらえるような顔から相当みっともない顔をしていたことだけは予想がついた。あとで部下を殴ることを決めた。

「言っている事の意味がよくわからねえんだが。」
 

此方が興味を引くのを待っていたのだろう。目の前の坊主は小脇に抱えた資料をこちらに差し出す。そこには新型戦術機の開発に関してのあれこれがかかれていた。
日付はつい最近の物であり、香月博士の承認印も押してある。正式なものだった。
思えばこの仕事についてからも、戦術機を作ることに対する情熱は微塵もかけていなかった。いやむしろ逆に強まったともいえる。
今までメーカーの一開発者として、最高の物を世に送り出してきた自負はあったが、現場に立てばそれは所詮幻想でしかなかったのだと気づかされたからだ。
 メーカーの開発施設にある設備は何処も最新の機材が惜しげもなく投入されており、その環境も現場に比べてはるかに良いものであった。
そのことが実感を持って感じられたのはこの基地に配属されてからであった。現場では設備に対してそれを超過する量の整備業務が割り当てられており、マニュアル通りの整備ではとても追いつくことはできなかった。
整備という仕事についてからというもの、次々に新しいアイディアが生まれ、現役時代なぜ気づかなかったのかと悔しい思いをしたことも一度や二度ではなかった。
再び戦術機の開発につく。年齢を考えればそれは輪島 英一にとって全身全霊をかけて挑む最後のプロジェクトになるだろう。そして今まで自分の感じてきたものや、技術そして経験を次の世代に受け継がせるまたとない機会ともいえた。何度も望んできた夢が今かなう。

「ぜひ私にやらせてください。」

気づけば自分よりも2回りも若い少年の前で土下座をしていた。普段は厳しく土下座などとは程遠い男の土下座に格納庫はにわかにどよめいた。目の前の少年は少し驚いたようだ。
彼に立ち上がるよう促され、体を起こした。


「ええ。そのつもりです。だからあなたに話を持ってきました。受けて頂けるのなら仔細は追って連絡します。」

言いたいことを言った中尉は格納庫を後にした。格納庫内では何とも言えない空気が漂っていた。


訓練の合間を縫って一人目の候補者と無事接触を果たし、A-01隊員達に与えられた休養施設に足を踏み入れる。 
そこではエレンと伊隅 大尉がなにやら話し込んでおり、エレンの言葉に伊隅 大尉がしきりにうなずいていた。 
私が入室したことに気付くとエレンは話を切り上げた。室内には涼宮 少尉 エレン 伊隅 大尉の3名はいたが速瀬 少尉の姿はなかった。

「3人そろって一体何の相談を?」
エレンはこちらを見て薄笑いを浮かべているし、涼宮 少尉は微笑んだまま何も言わない。 そして伊隅 大尉は思案顔で何か考え込んでいる。
 だんまりを決め込んだまま誰も教えてくれそうになかった。だが経験上エレンがああやって笑っているときは大抵碌な事を考えていない。ここは断固阻止しなければ色々危うい。

「エレン。また碌でもないことだな。大尉 此奴の言うことは気にしないでください。目を離すとあることないこと… 」

「いや、なかなかいい提案だと思っている。君は良い部下を持ったな。」

伊隅 大尉は私の肩に手を乗せ、にやりと笑った。この短時間で伊隅 大尉をも味方につけたというのか。にわかに信じがたい光景に脳が理解を拒否している。

「今日はもう遅い。早く寝ることだ。」

「そういうことですので中尉。お先に失礼します。」

伊隅 大尉、エレンが退出し、涼宮 少尉もこちらに敬礼してから二人の後を追った。

「軽く済ませてくれるといいのだが。」
そっと呟いた一言は、予想以上に部屋に反響した。

今日すべきことは全て完了している。私もそろそろ寝よう。 
蘇芳は扉を閉めて士官室に向かった。


AM 0:00  January 3 2000
横浜基地 シミュレータルーム 


網膜投影システムに映し出されるBETAを葬る。 撃墜カウンターは既に4桁を回っており、シミュレータに搭乗して長時間が経過している事を告げていた。
ここ最近眠れないことが多い。そのたびにここにきてはシミュレータに乗る日々が続いていた。
シミュレータに乗っている間だけは何も考えずにいられる。原因はわかっていた。間違いなくあの男だ。着任早々私の元から横浜最強の文字を簒奪した男。あの時演習が終わって私の不知火は無様に地べたに這いつくばっていた。
戦場にはアイツが堂々と立つ。まるで自らの勝利を誇示しているかのように。そこは私が立つはずだった場所。
しかし現実の私は地べたに無様に這いつくばったまま。指一本たりとも動かせない。惨めだった。
許せなかった。これが単なる逆恨みだと、頭では理解しているのにどうしても認めることが出来なかった。
気が付けば体が倦怠感を訴えていた。今なら何も考えずに眠れるだろう。
私はシミュレータを後にする。撃破したBETAの個体数は2000を上回っていた。



「こんな夜遅くまで精が出るな。」

私の士官室の扉に伊隅 大尉がもたれかかっている。こちらを見る目はどことなく険しい。

「訓練に励むのも結構だが、こんな夜遅くまで訓練を続けて、明日緊急出動がかかったら一体どうするつもりだ。万全の体調で実践に挑めるように体調管理をするのも隊員としての務めだろう。」


「大尉。すいません。」

ばれている。 直感的に私は悟った。私が何をしていたかも、何を考えているかもすべてがばれている。
伊隅 大尉は扉から背を離すとこちらに近づいてくる。

「ここ最近の貴様の態度はあまり宜しくないな。部隊内の不和を引き起こしている自覚はあるな。お前が努力しているのは知っているが、同じように蘇芳の奴も…」




「あんたに私の何がわかるって言うのよ。」

そういうとさすがの大尉も驚いて固まった。私はその隙をついて駆け出して部屋に飛び込んだ。こんな時部屋の扉に鍵がついていないことは恨めしい。
扉に背を預ける。大尉が私を追ってくる気配はない私はそのままずるずると床に座り込んだ。自分の感情を抑えきれずに大尉に八つ当たりをしてしまった。

ほんと最低だ。


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