──プロローグ──
人類が、1967年のサクロボスコ事件に端を発し、BETAという地球外来生命によって脅かされ続けて、既に36年の月日が流れた。
地球に存在する26のハイブの内、すでに4つのハイブが人類の手によって陥落せしめられている。
横浜、佐渡島、カシュガル、そして、4月に落とされたばかりの鉄原。
最悪の状況はまぬがれたものの、人類を取り巻く状況は辛く、厳しい。
ユーラシア大陸を中心として、蠢動するBETAの数はあまりにも多く、人類の戦力はそれらに比してあまりにも少ない。
しかし、人類は戦い続ける。
己が愛する「モノ」のために。
愛する「モノ」、それは、
ある者にとっては「自分」であり、
ある者にとっては「家族」であり、
ある者にとっては「恋人」であり、
ある者にとっては「親友」であり、
ある者にとっては「同胞」であり、
ある者にとっては「国家」であり、
ある者にとっては「世界」であり、
ある者にとっては「人類」である。
様々な「モノ」を抱えながら、人類は戦い続けているのだ。
人類に大いなるモノを遺して、人知れず締めくくられた「あいとゆうきのおとぎばなし」。
硝煙と重金属の香りがそこかしこに漂い、死と絶望が変わらず溢れ返る世界を照らした一つの「希望」という光明は、
新たなる「ものがたり」を紡いでいくことになる。