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No.28072の一覧
[0] 光菱財閥奮闘記!! 【9月25日 本編更新】[カバディ](2012/09/25 15:32)
[16] 第Ⅰ章<始動編> 2話 契約 《7/6改訂更新》[カバディ](2012/07/06 18:32)
[17] 第Ⅰ章<始動編> 3話 目標 《7/6改訂更新》[カバディ](2012/07/06 18:33)
[18] 第Ⅰ章<始動編> 4話 会議 《7/6改訂更新》[カバディ](2012/07/06 18:35)
[19] 第Ⅰ章<始動編> 5話 瑞鶴 《7/6改訂更新分》[カバディ](2012/07/06 18:36)
[20] 第Ⅰ章<始動編> 6話 初鷹 《7/6改訂更新分》[カバディ](2012/07/06 18:36)
[21] <第Ⅰ章>設定 1980年編 [カバディ](2011/10/13 18:12)
[22] 第Ⅱ章<暗躍編> 1話 商売 《10/28改訂更新分》[カバディ](2012/01/04 16:09)
[23] 第Ⅱ章<暗躍編> 2話 政治 《10/30改訂更新分》[カバディ](2011/10/30 15:50)
[24] 第Ⅱ章<暗躍編> 3話 戦況 《11/4改訂更新分》[カバディ](2011/11/12 16:50)
[25] 第Ⅱ章<暗躍編> 4話 量産 《11/8日改訂更新分》[カバディ](2011/11/19 16:59)
[26] 外伝《東欧の地獄編‐Dracula lui mormnt‐》 第1話  集結 [カバディ](2012/01/04 16:10)
[27] 外伝《東欧の地獄編‐Dracula lui mormânt‐》 第2話  東欧 [カバディ](2012/01/04 16:11)
[28] 外伝《東欧の地獄編‐Dracula lui mormânt‐》 第3話  戦場 [カバディ](2012/01/04 16:13)
[29] 第Ⅱ章<暗躍編> 5話 愚策 《11/12改訂更新分》[カバディ](2011/11/19 16:57)
[30] 外伝《東欧の地獄編‐Dracula lui mormânt‐》 第4話  場景[カバディ](2012/01/06 19:10)
[31] 外伝《東欧の地獄編‐Dracula lui mormânt‐》 第?話  日常[カバディ](2011/09/12 23:32)
[32] 第Ⅱ章<暗躍編> 6話 冷戦 《11/21改訂更新分》[カバディ](2011/12/03 14:27)
[33] 第Ⅱ章<暗躍編> 7話 現実 《12/3改訂更新分》[カバディ](2011/12/03 14:18)
[34] 第Ⅱ章<暗躍編> 8話 権威 《12/21更新分》[カバディ](2011/12/21 20:06)
[35] 第Ⅱ章<暗躍編> 9話 理由 《12/21更新分》[カバディ](2011/12/21 20:09)
[36] 外伝《東欧の地獄編‐Dracula lui mormânt‐》 第5-1話 乱戦[カバディ](2012/07/07 20:08)
[37] 外伝《東欧の地獄編‐Dracula lui mormânt‐》 第5-2話 調整 [カバディ](2011/10/26 19:36)
[38] 外伝《東欧の地獄編‐Dracula lui mormânt‐》 第5-3話 対立[カバディ](2012/01/06 16:08)
[39] 外伝《東欧の地獄編‐Dracula lui mormânt‐》 第5-4話 結末[カバディ](2012/01/06 19:29)
[40] 第Ⅲ章<奮闘編> 1話 新造 《7/8新規更新》[カバディ](2012/09/25 14:27)
[54] 第Ⅲ章<奮闘編> 2話 増援 《9/25新規更新》[カバディ](2012/09/25 15:32)
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[28072] 第Ⅱ章<暗躍編> 3話 戦況 《11/4改訂更新分》
Name: カバディ◆19e19691 ID:f630435c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/11/12 16:50
1984年1月13日日本某所


「さて、政治や民間のほうでいろいろと介入しているようだが、結果をどうなのだ?我は研究の手伝いなど今の情勢に疎くてな…」

「…焼け石に水が適切な表現かな?」
本当にそんな感じ、マジでやっている効果があるか見えないよ…鬱になるわ

「――国への根回しの方が上手くいったおかげで軌道に乗り始めたとは言え、すぐに好転するとは思ってもいなかったが…

これから先はどうするのだ?大きな変化さえ起きていないではないか。」

「無理だよ…まだ大きな行動は起こせやしない」

まぁ…残念な顔すんなや。そんな顔をするのも肯けるのだが。


「…理由を聞いても良いか?」

「知ってんじゃないの?」

「さすがにいつも主と繋がっているわけではないと言ったであろう…繋がるのは会話の理解を深める時などに限っている。」

繋がるってなんか卑猥だな♪

「お、お主よっ!!真面目に答えよっっ!!」

冗談で濁すことはできないか…まぁ仕方ない


「まぁ~もう少ししたら俺の部下、前の翔鷹発表会の時のおじさんが前線の状態を「ガチャ」あっ来たみたい。」

ちょうど来たのが最近、俺の直属?の部下になった藤崎さんというおじさんだ。

俺に対して敬いすぎず、軽んじすぎない程度に接してくれる人物で、評価報告等を任せた部署の責任者だ。


「あ、マリヱ様まで起しとは、報告については後ほどの方がよろしいでしょうか?」

あら、マリヱさん現界しちゃってる。めずらしいね。

「良いよ。ここでしちゃって。マリヱ様も報告を望んでおられるようだから。ちょうどいい。くれぐれも粗相のないようにね。」

「(お主よ…それは当てつけか、なにかと思って良いのか?)」
「(部下の前なんだ、しょうがないでしょ?)」「……」

「では失礼して――――まず始めにBETAの動向についての近況報告ですが天主様のご指摘した通り、中東にて新しいハイヴを作ろうとする動きが活発化しております。」

「やっぱりね。」

1984年1月現在、マブラヴ史実では9番目であるイラク領アンバールハイヴ(1984年9月)が建造されることが予測されている。

その事象を上手く活かすために中東に干渉していたこともあり、現在の動きについて予想するのは難しいことではなかった。

まだBETAが行動方針を変えるほど、俺がこの世界に干渉していないのだから、未だその未来の方向性は大きく変わっていないためだ。

現に中東ではその攻勢の激しさが増しており、そのための支援も国を上げて始めている。

――やっぱり未来知識は有効に使えるうちに使わないとね。


「これで、今現在BETAの勢力圏内は中東の帝政イラン、北欧のフィンランド、インド付近のネパール、ソ連のエニセイ川を結んだ範囲にまで拡大したことになり、主攻については依然と変わらず西進、欧州方面となっているのが現状となっております。」

これに加えてインド方面は以前からヒマラヤ山脈を使って戦況は比較的優位だが、中国、ソ連方面では主攻でないとはいえ、毎年国土を蝕まれている状態。

正に今現在、人と国土が喰われているのだ。



そして、BETAの主攻である西側はというと…

「次に中東方面の具体的な内容説明に移りたいと思います。

1983年より開始された各国合同軍…いわゆる国連派遣軍ですが、1982年と比較して、BETAの侵攻速度、民間被害者数、軍の死傷者数が目に見える形で減少しており、少しずつではありますが結果を出しております。

特に中東の石油、その産地が集中しているペルシア湾周辺からBETA
の攻勢を反らすことに成功しており、内陸のイラク、シリア方面に攻勢方向が変化したことは現在、国連派遣軍の最大の功績として国際社会で評価されているようです。」

これはとても大きい。世界の6割以上の石油がこのペルシア湾周辺に埋蔵されていることから、中東各国において弱い部分である海軍を国連軍が補完したことで、ペルシア湾での防備を強化した結果だ。

それ以外にも海中からイラン側の油田へと掘り進めており、陸上をBETAの勢力圏にされていながらでも、石油回収に余念がない。


「この結果からみても敵の攻勢をアラビア半島から反らす大目標は成功を収めたと光菱商事上層部共々判断しております。

また目的達成を果たしたことで、フェイズを繰り上げ後方の防衛線に随時部隊を下げると、中東の聖戦連合軍からの報告が届いております。」


「概ね予想通りの出来かな。やっぱり中東各国が後方に後退することにOK出させるにはアメリカと協力したことが大きいね。」

(主よっ!ちょっと良いか?)

(ん?脳内リンクか。どうした?)

(上手くいっているのならなぜ下がるのだ?国土を維持することは士気の面から見ても必要なものではないのか?)


(…BETAの侵攻が強い中東方向では、1970年代から日本も砂漠用の兵器を輸出して、遅滞防御に役立てていたんだ。史実でもね。

だけど…中東という土地が拙いんだ。

砂漠は、BETAの地中進行が楽な地形であり、地中の振動が吸収する効果があってBETAの有利な環境なんだよね。これに加えて光線級を遮る地形が乏しいし。

なもんで、史実では人類の奮闘むなしく蹂躙されるちゃうんだよ。だから後方の活かせる地形に防衛線を引いて、それが出来るまで遅滞防御を行ってもらうしかない。)


だが、しかしだ。今回は少し違う。

先の日本から発信された世界の動きによって年々後退してはいるが、その速度に変化が表れている。

そもそも中東は石油の宝庫であるため、今の世界情勢にのって味方を付けやすい地域だ。石油の値段があがるのは世界中の主婦の敵だからだ。

日本、この光菱にしてもその情勢に変わりなく、1980年より石油、海運事業に対し国家を含めた介入を施しており、中東への軍事用の物資輸出を行っているのだ。

そんなもんで、数多くの北アフリカをはじめとする義勇軍が中東に集結している。

主力としてアメリカ、北アフリカ各国、ブラジル、オーストラリア、インドネシア、そして日本を含む各国の義勇軍。

総数で言えば一個軍、三個艦隊に及ぶ数であり、所詮、後方支援部隊を主とした部隊であるのだが、遠征能力を持つ米軍の活躍が大きな影響を与えており、半年ほどで軍隊の形を成す体制が完了。

さすがは米軍、海外での大部隊遠征に慣れており、その力を十分に見せ付けてもらった。


「また、国連派遣軍のほうも米軍の実力もそうですが、日本の久坂中将の働きかけもあり、良好な関係を各国の義勇軍と築けていると報告がありました。」

「さすが、久坂さん。今回の派兵で一番必要な人は本当に彼だよな。死なないでほしい日本帝国軍人ナンバー1だね。」

この中東国連派遣軍の総指揮は国際派兵になれた米軍の大将に、兵站・国際問題に対処できる能力を持った日本の中将を副官につけたものとなった。

今回の派兵問題、日米双方による義勇軍の主導からしても当然の人事であるが、…マジでそんな人材、今の日本にとっては貴重すぎるから絶対帰って来いよっ!!っていう願いをしたのは言うまでもないだろう。

「しかし素人考えでありますが、国連派遣軍を各国別々に運用していることは、効率的とは言い難いと思うのですが…」

「(我もそう思うぞ)」

「しょうがないよ。この派兵の主な目的は前線で不足した砲撃支援を補うためのものなんだ。
各国の部隊が各部隊に散るのは仕方ないし、ただでさえ寄せ集め部隊なんだ。分散させたほうが責任問題をはっきり出来て、いくらかマシだと思うよ。」


この人事によって出された作戦方針は所詮後方部隊ということと各国の寄せ集め集団ということで前線国の部隊に厄介になりながら、散会。

連携が保たれると見込まれる規模で固まり、各戦線に足らなくなった砲兵部隊と工兵部隊をまわす程度のもので、実際の戦果を上げた部隊は米軍を除いて、調子にのって全滅寸前までに陥ったリビア派遣の機甲部隊ぐらいだろう。

「また、この国連派遣についてまだ"あちら側"からの抗議が出されており、与党幹部と乱闘騒ぎにまで発展したと報告が…」

「またかよ。まったく…国の方針として行っているのだから、それを批判するにしてももっと有益な抗議をしてほしいよ」

ちなみに今回の派兵だが、当然と言うべきか揉めた。議会炎上というほどに。

現政権側の俺らからしたら、この義勇軍派遣はこれまでの国家方針からして、しなければならない必須事項だ。が、あちら側からすれば「金だけで十分だろう軍を派遣する必要はない」と極左からすれば「侵略行為」極右からすれば「自軍拡充」の観点から批判してきたのだ。

だが、国連を主導したい日本がそのような「金だけ」の行動をとれば、世界を主導することなど夢でしかない。命をかけない者に己の命運を預けられる訳が無い。

それに加えて、日本軍に今の現状を直接見てもらうことのほうが重要であるという風に考えているのだ。

最近の好景気によって日本帝国軍全体に蔓延し始めた、硬直思考と勘違いを正し、国際協調に必要なコミュニケーション能力を持った将官・士官の育成。

それが戦場と会議室とを直接リンク出来るネットワークを作った意味でもあるし、そこから学び取ってほしかったのだ。今、日本の軍に求められている物を。


しかし、軍の中で現政権を気に喰わない者も多くいるのも事実で、それに近づいて、俺らに反対する勢力が今回の派兵を邪魔してきたのが、藤崎さんの言う「あちら側」と呼んだ勢力。


それが将家。それを隠れ蓑に五摂家を祀り上げて、こちらの動きを阻害しようとする「将道右派」と呼ばれる集団だ。

中身は将家に繋がりを持ち、この日本の上層にいる戦後財を成した人物達であり、思考は「出る杭は打ちプライドも高い」という、戦後の日本人の塊だ。

相手の言い分としては
「国内軍備を整えなければならない現状、国外に出せる余裕がない」という表向きな言い訳と、日本帝国陸軍が補給任務なんて地味な任務をしたくないというバカなものだ。


それに加えて正論も用意しているやつも乗ってきたから始末に負えない。これは軍の幕僚から吹き込まれたと見るべきだが…

・遠征能力が削られた今の帝国軍では戦略単位での行動を行う力がない。

・前線国家の戦力回復と釘打った、国内配備予定のF-4J撃震を改修してまでの戦術機の輸出政策は、戦術機不足の現状からも許容できるものではない。

・中東を含めた前線国家の環境に合わせた機体改修をする費用はどこから出るものなのか。今後使わない改修をするのはデメリットはどうするのか。


等々、人の方針に批判することだけには長け、その部分についてどうすれば良いのかという対案を出してこない屑である。

(容赦がないな、お主よ。一応正論なのだから屑ではなかろうに。)

(でもしょうがないじゃん。

国際協調という打ち出された国家方針に対して、全員が賛成したんだぜ?国会で、だ。ならば前向きに議論し、それを形作るのが政治家であり、官僚のはずなんじゃないの?

その議論の場で出てきた発言が
「野党だから」とか「責任を我々をなすりつけるのはやめてほしい」とか「予算問題からして」に始まり、最後には「そもそも我々は国民の声を代弁したのであって」で終わったんだよ?

自分の気に入らない部分があるんなら、相手の言い分のおかしな部分を上げて、それを修正し代案を出すことが両者にとって良い方向に導く第一手であり組織を代表する者なんだじゃないの?

こんなの正に無能が国の中枢にまだいることを物語るケースじゃん。

軍の方には、時代遅れとなりつつある第1世代機を売ってるのは2年後の更新をスムーズにするためだと説明して、納得してもらってんだからさ。)

(思考の途中から愚痴になっていることにはつっこんでおこう。自分の敵に対して強く言い過ぎるのは悪いくせだぞ?)

(もちろん、表には出さないよ。たぶん…)

(しっかりしてもらわなければ困るぞ。

……で先の国連派兵についてだが具体的な案を出したのであろうな?そうでなければ奴らが言うとおり、責任を共有しようという無能だぞ?)


(もちろんだよ。具体的には、民間の方を主軸に収めたものだね。

物資支援、民間企業の土建屋の力を合わせて、イラク、シリアにあるユーフラテス川を使った防御陣地を構築している途中なんだ。で、それが出来上がるまで遅滞戦術を行うことになっている。

そのために日本派遣軍の工兵部隊と補給部隊による後方支援部隊と、民間とで動いているわけで、純粋な規模だけではアメリカに次ぐほどの人員が派遣されているんだ。余裕のない前線国家は後方が杜撰だからね。)


(で実際の戦闘部隊は?軍が納得しないのだろう?)

そこにもしっかりと対策を立てているから安心してほしいマリヱさん


(F-4の輸出仕様を簡易的に砂漠仕様である中東用にして、アメリカ軍と日本の戦術機部隊に回して使っているのだ。

F-4なら前線でアメリカと共同して運用できるから補給等の心配がないし、どちらかと言えばアメリカの凄い所を学んできてほしいものだけどね。)

先の戦術機輸出問題で取り上げられた問題は、国連軍に所属の日本の部隊が運用する機体数も織り込まれており、その表だけ見れば国民から見れば国内戦術機の数が激減していることになる。

この処置は国連という一組織にアメリカ、日本などの連合部隊で運用するために成されたもので、日本の戦術機輸出数を増加させることにも繋がる策だ。


(後方部隊ではなかったのか?なぜ虎の子の戦術機甲部隊を…)

(今回、使用された戦術機は派兵が終わり次第、その場に「放棄」されるものなんだ。こちらが取りたいのは実践データと実戦経験だから、あちらもそれをよんで「放棄」されるまで部隊を大事に扱ってくれると思うよ?)

この派遣軍に多く含まれるのは、兵站、工兵、砲兵、衛士であり、日本国内で充足されている衛士のほとんどは前線で実戦を経験することになる。

これは海外のために衛士を使い潰す、というわけではなく。
前線軍の戦術機部隊を危険な任務につかせ、お客さんである日本の戦闘童貞部隊に掃討任務に就かせるためであり。

前線での戦術機の運用数は格段に上がる。

これに米軍との共同作戦と言うことで、ライバル心による士気の向上と、世界最強の米軍の強さを学び、尚且つ、死亡率の低い任務と言うことで練度の向上が見込め、

日本の輸出仕様のF-4と日本用のF-4J撃震との混在になってしまうが、運用する場所が限られている場合、一括で修理・補給ができる。

これは後方部隊がおざなりになっている前線国家の戦術機をも、日米の強力な後方兵站部隊によって修理することができるということであり、以前までであれば「共食い」されていた戦術機もまた活躍することができるのだ。

他にも日本の輸出仕様のF-4の売り上げにも繋がり、
日本の派遣部隊において、戦術機一機を衛士何名かで運用することで衛士のストレスを減らしつつ、衛士充足率を上げることが可能であり、その分余った分を中東に改修して売れるのだ。


これは単純な数学の問題であり、派遣される数が同じであっても、運用効率を上げる方法(大型前線補給基地の建設・整備部隊の集約・補給物資の定期運送・衛士充足率の向上)を確立すれば、稼働率・一機当たりの戦場使用時間も上がり、

それに加えて義勇軍の戦術機数を含むことで、戦域当たり、一つの部隊としてまとまって動かす機数が増加。その分、損耗率が下がるため

今までの中東が持っている分+日本の輸出分から、もろもろの理由から来る損耗度軽減をかけてやり。

それを1年ほど続ければ、中東側の戦術機数は約1.6倍まで膨れ上がることになるのだ。

代わりとして、製造しているF-4輸出仕様半分と、国内の撃震を次々改修して売り出しているので損耗を含め、日本の本土にある戦術機数は一時的で下がってしまう。(補充用の新規機体が国内に配備)

が、その分余る衛士数は部隊の充足率を上げるためや教育の充実に繋がるため、派遣活動が終了した部隊から教官を派遣することで、国内での衛士訓練を行っている教育機関に実機と実戦を知る者を回すことができる。

これは単純な戦術機数が増えてほしい軍上層部からしてみれば許せない問題であり、実際に苦情が多く寄せられたが、

前線に攻撃部隊を派遣したいといったのはそちらで、このままの部隊稼働率を維持したまま、派遣部隊における部隊当たりの衛士充足率を下げれば死傷者の上昇に繋がると説明した。

それに加え、前線への戦術機供給量が減ればその分、遠征している部隊に負担がかかると説明したら「ぐぬぬ」としか返ってこなかった。


またこれは経済的な利益い繋がってくる。

こうすることで価値のある状態のまま、第1世代国産戦術機F-4を前線国家に払い下げすることができるのであり、
一時的に下げた日本帝国の戦術機数を、その儲け分を使ってされに開発を促進しつつ、85年からの翔鷹の増産に繋げることで、より一層のコスト削減と量産数を確保できることが見込めるのだ。

まぁ…売られた機体以外にも、部隊交換時にまだ使えるとされた戦術機が"なぜか"使用不能とされ、それを"偶然"現地軍が回収してしまうことが多発する事件が露見すれば将道右派と呼ばれる者達は発狂しそうなものだが。

(あくどいの…)

(国益に則して、だからね。)


そうだ、そうだ。国益に則してると言えば今回の中東派兵の目的のほうも大切だった。

「あっ、そうだ。藤崎さん。油田のほうどうだって?無理させてるんでしょ?たしか。」

「今回の目的である中東の油田の方ですが、各油田プラントとも良好に稼働しており、以前から指摘されていたペルシャ湾の海底侵攻の兆候はBETAの攻勢がトルコ方面に反れた影響で未だないそうです。

油田開発については、光菱石油を筆頭とした日本石油連合と石油メジャーから数社が。
それに加わる形でマレーシアのペトロナス、ブラジルのペトロブラス、メキシコのペメックスが協力して中東各国の開発を行っており、石油備蓄基地のほうも随時完成する見込みです。」

これは1980年から続く中東の油田を守るために世界と、さらに光菱が介入し続けた結果であり、4年前から石油を年間使用量以上に抜き出しており、世界各国の石油備蓄基地で備蓄を開始しているのだ。


「良かった…海底侵攻とか洒落にならないからね。BETAの攻勢をトルコ方面によせて、対岸側には地雷群が大量に施設終えたことが大きいのかな。」


「国連派遣海軍のほうも、機雷の散布や米軍のトマホーク、日本の巡航ミサイルが大きな戦果を出しているようで、光線級のいない地域限定ですが効果を上げているようです。

…日本の海軍将兵が前に出ようとするきらいがありましたが、こちら側の将兵が抑えてくれているようで、部隊のほうは第4次派遣部隊と交代するのは明日になる予定です。
これにより新しい砲艦を持つ派遣部隊は全てになるとみられています。」


「まぁ~今回のローテーションの海外派兵も訓練と思って強くなってもらいたいよ。実際に撃ってみることが最大の訓練だからね。

海軍のほうは最初から海外派兵に積極的だったのは、外征訓練と実戦訓練を国際貢献という名で堂々とできるからなんだけど。

こちら側としても無人機とかの新兵器やら今後必要になってくるデータがとれたとか、光菱重工の派遣社員も言ってたし。」


「また今回の動きによって世界の石油消費量が若干ですが増加しており、以前まで進んでいた前線国家以外の資源国家が将来を見込んでの輸出を渋っていた動きを牽制できているようで、ここ1年の石油価格をおおもね安定しております。

また、OPECの提言もあり世界各国で備蓄を進行度が上がっており、代替えエネルギー産業と合わせて投資が活発になっているようです。

中東方面では以上になります。」

(頑張ってはいるのだな…)

(そんだけやって史実より被害数減少と侵攻を反らすことだけって結果なんだよね…マジで止まらない。何十万ものBETAが毎日、日夜問わず、攻めてきてるんだぜ?こんだけやっても止まらないとか、マジ半端じゃないアイツラ。宇宙人かよ)

(宇宙人だが?)

(ほら、言葉のあやって奴だ。それにまずいのは本当だし、このままだとユーフラテス川防衛陣地も持って4年かな。ってぐらいだし。イスカンダル復活ぐらい望まないと無理かも…)

(……さらっととんでもないことを言うな。お主は)



「―――もう一方の欧州方面についてです。

《東欧州社会主義同盟》傘下の東欧各国が協力して対応している状況ですが…こちらの結果は芳しくないと御報告が来ております。」

「…国連の部隊の被害は?」

「国連欧州派遣軍内では南アフリカ第24砲兵連隊がすでに壊滅的被害を被っており、他国の部隊でも防衛線を抜けた小型BETAによる被害が続出している状態です。

かわりに米軍・仏軍・英軍の合同戦術機甲部隊が前線を押し上げており、日本帝国・欧州派遣部隊もこの動きに協力してあたったと報告がありました。

―――これに関して追加報告ですが興味深い報告がありまして、その時に日本の戦術機甲部隊が使っていた83式自動擲弾砲にアメリカや西独軍が興味を示していると派遣社員から報告がありました。」

ーー《83式支援擲弾砲》ーー120㎜滑空砲専用に改良した試作兵器で、ドラムマガジンがついた戦術機用の支援砲撃用兵器だ。

「使ってくれたんだ、戦術機用のグレネードランチャー。
日本の技研が支援火器開発あきらめてたところに、ちょっとアドバイスして持っていかせたものなのだからあんまり期待はしてなかったんだけど。」

それの売り込みは今度にして、今は欧州の状況についてだ。

今回の欧州国連派遣軍だが、中東とは違って南アフリカ諸国や南米を中心に義勇軍を組んでいる。

欧州各国軍以外の新興国家は、まだ後方に属する国家で東西に分かれて合同訓練をしてから前線に出ているので部隊の運用に大きな問題はでていない。

が…西進の脅威は後方国家の軍隊では予想以上だったらしいんだよね…

「また、BETAは欧州に対して東ドイツ、チェコスロバキア方向の北側ルートと、カルパティア山脈に邪魔をされてなのか、ルーマニアのプルト川を目指す南側ルートに明確に分かれて西進している状況となっております。

戦況のほうは…どちらとも頑張っている、としか言えない状況ですね。」


藤崎さんが言葉を濁すのも無理もない。

肝心の戦況の方は1980年から1884年にかけて北部戦線ではポーランド全域とチェコの半分を喪失、そのまま東ドイツ国境戦を蝕み、もはや1984年いっぱいには西ドイツ国境線まで届こうというところだ。

南部方面はルーマニア、スロバキア、ハンガリーにかけたカルパティア山脈とプルト川を使って義勇軍と共同してかろうじて保っている状態であり、予断を許さないところにまで陥っている。

両方の戦線が今は繋がっているため、欧州戦線全てが協力できる形にはなっていることで今は持ちこたえているわけなんだが……マブラヴ史実ではこれから先、BETAの主攻である北部のほうがドイツ平原を主戦場とした影響で戦況が悪くなり、戦線が崩壊。

そこから南部にかけてBETAが流入し、簡単にハンガリー盆地一帯を奪われてしまう。


―――1985年、ブタペストハイヴができる2カ月前のことだ。


それを防ぐために国連を通じてスロバキアとオーストリア国境線近く、カルパティア山脈とアルプス山脈が繋がる一帯に新たな防衛ラインを築き上げている途中であり、将来的にも北部と南部のBETAの合流させないことになっている。


ここまで戦況が悪化した原因は東西陣営の仲がなかなか氷解しないためだ。

パレオロゴス作戦の大敗の原因がどっちにあるかで未だに東西の仲が悪い。特に北部の要、東西ドイツで。そんなことしている場合かっ!!!って感じだ。マジで。

それの顕著な例として1982年の東欧諸国支援策として他国を経由した形の密約会談が挙げられる。

西側諸国に内緒の物資支援の見返りに、西側諸国との融和を密約しようと思ったら、東西ドイツの官僚どもが言い合いになって…会議が異常に長引いた。

今の東ドイツの現状からは同情するけど、ほんとため息がでるよ…


※東ドイツについては「マブラヴ シュヴァルツェスマーケン」で調べるとわかると思います。まだ途中ですし、筆者が読んでいないのでなんとも言えないのですが…※


そんな東西ドイツも1982年の夏、先の京都協定の働きもあってようやく協力するようになったのだが、東側が陥落寸前『時すでに遅し』の状態に陥っている。

そんな西欧諸国は今、EU軍遠征と東側陣営を援助しつつ、後方で最後の力をしぼってEU統合軍の新編成部隊の編成を準備している途中なのだ。

と、藤崎さん続けて。

「では、失礼して、次は欧州の経済状況ですが、これは日本の支援などでによってある程度の余裕が生まれたようです。

EU内の軍事工場の拡大化と、両ドイツ国境線一帯を使った防衛ラインの建造も順調に進んでおり、日本のゼネコンと欧州の企業等が共同しているのが大きいかと。

これによって世界で類を見ないほどの大規模広域公共事業にまで発展しており、欧州不況を緩和しているとアメリカの経済ジャーナルも発表しておりました。」


―――ちなみに、この防衛ラインのことを、フランスは第2次マジノ線とか言っているのだが…他国からの目は冷ややかであることは言うまでもないだろう。

マブラヴ内の史実では1985年には雪崩のように西ドイツ、フランスの両大国が相次いで陥落している事実からすると笑えないネーミングセンスでもある。


等々、藤崎さんの報告は続き、

「ギリシャのほうはもっとひどく、おとなりのトルコの陥落は目前にせまっており、急いでボスポラス海峡を使って国連共同基地を作っている。」ことや、

「東欧の南側は支援する大国がない分、こちらとの協力に積極的。

ルーマニアの資源とのバーター取引が大きくなっており、F-4融通や、防衛陣地構築のための新型コンクリート資材になぜか重火器類が入っていたことは上手く隠せている。」

など、報告があり藤崎さんは次回方針を決める実務者会談のほうに
出て行っちゃった。お疲れ様である。…こっちが上だから御苦労さまかな?


「そんなことはどうでも良い。
それよりもさきほどの報告だ。以前からわかっていたことだが、義勇軍の派遣が戦況に大きな影響を与えていない以上どうするのだ?これではこれからの義勇軍の状況も先細りになろうぞ?」

あらあらマリヱさん怒ってます。まああそこまで金を動かし、義勇軍を派兵して、この惨場じゃ、怒るのも仕方ないかな


「あーーーコホン…それも大変なんだけど、それ以前に深刻な問題が、BETAとの前線国家には"金"が集まらないってことなんだよ。」

「……ふむ、続けろ。」

傾聴に値する話だと、考えてくれたようだ。感謝の極みッ!!


「続けるよ。1981年より開始された《ダンケルク作戦》…いわゆる欧州各国海外脱出計画により各国の企業が海外に拠点を移してしまうことから、必然的に欧州、中東の経済は混乱真っ只中なのはわかるよね?いくら計画的に行っているとはいえ夜逃げみたいなものなんだから。

それのせいもあって税収はダダ下がり、戦時であっても将来発生する敵国から奪う賠償金や土地がない以上、戦時国債が売れない。

そんなこんなで不十分な状態での戦時体制に移行するしかできないため、十分な戦力を確保することができないのが常なんだ。いくら欧州でもね。

それに加えて、逃げた企業は国賊呼ばわりされて問題になってるから価値が下がっている。日本企業が安く買えるから良いみたいだけど、その分欧州の資産は目減りしちゃうんだよね。」

今の世界、BETAという敵が現れてから人類の生活の進歩は急激に鈍り始めている。

それの主な原因はBETAという"脅威"に対するために死に金になりやすい軍事に金をつぎ込んでしまい、国力をすり減らして、回復不可能となる国が続出してるためだ。

そもそも戦争が外交の一手段に挙げられるのは、国益に基づく外国との交渉であるためで、勝利しても利益があげられない場合、それは失敗であるといえる。

その点から言えばBETAとの戦争は利益の上がらない戦争のため、いくら軍需で儲けても再生産ができないために、全体で見れば経済は縮小してしまうという"失敗"なのだ。


その失敗を取り返せる強い下地を作ることが重要と俺は考えたため、国際協調路線に乗った日本の介入。資源、人材の買い漁り、合成食料生産による、食料高騰の阻止と、経済、軍事の潤滑剤と成り得るコンピュータ関連事業等で全世界平均の一人当たりの国民総所得(GNI)を上げようとしていたわけだ。

それが少ない効果になろうとも、だが。

「しかし、日本が融資すれば…」

「やっているんだ。前回言った前線国家の特産を買い取るルートを確立したりとか国連を介しての支援とか地味に結果を残してるんだけどね。

でもさ。いくら光菱グループを中心に国連を通じて呼びかけはやったとして、将来に対して不安が残る場所に投資したい人間がいると思う?」

「う…しない、な。利益が出ない投資などするはずがない」

「でしょ?思いやりで融資する人もいないわけじゃないんだけど、その根本的な問題が解決できなければ、金が前線諸国に集まるわけないんだよ。

首相が人気だから大企業とかは融資してくれているみたいだけど、国民のほとんどはやっぱり、今好調の日本国内のほうに投資しているし、その方が健全で日本の国益にはなってる。」

「では…」

「まぁ~慌てなさんな。そんな現状を打開する素敵な策がある!!ってわけじゃないんだけど、その金を集める手段がないわけじゃ~ないんだ。」

裏技だけど

「…それとはなんだ?もったいぶらずに教えても良いではないかっ!!」


「はいはいわかったよ。そんなに焦らずとも教えるさ。う~ん、どこから話したら良いものか…そうだね、今光菱財閥とその協力企業は欧州、中東、インド東南アジアなどの前線国家に対して大規模な投資をしているのはさっきも言ったよね?」

「ああそう言っておったな。それでも金が足りんとも言っておった。」

「もちろん、それだけでは足りない。でも今前線国家では外貨、投資してもらえればなんだってする…とまではいかないけど、外国企業の誘致などには積極的なんだ。

なんたってBETAという脅威がせまってるわけだから、海外への避難民やその恐怖による経済の低迷なんかもあるし、近隣諸国と戦争している暇はない。

そこでこちらが推薦する地域…国境線近くなどの理由で開発があまり進んでこなかった地域を経済特区にしてもらい、

そこで光菱や日本企業連、アメリカの友好企業、南米や豪、インドネシアなどにおいて、日本企業が数割株を持つ後方国家の友好企業をまとめてある地域に誘致。

もともと将来は交通の要衝や良港になり得る土地ばかりの土地を、国際企業を誘致した工場群にすることで、生産性を上げよう…ってやつだね。」

「理想論ではないのか?そもそもインフラはどうする?聞いた限りでは失敗しそうなものだぞ?」

「もちろん前線に比較的近いんだ。危険性は高い。だけど前線国家である以上、危険は常に付きまとう。
なら、1980年からのODAに幾分かインフラが進んでいるその地区をこちらで開発して価値のある物にしてやろうというんだ。」

「いつからスタートしておるんだ。お主は…」

「海外への国際路線で多額のODAや円借款をさせたけど、そのほとんどはインフラ開発や工場建設だよ。その周辺の地域に日本の企業を進出させるためにね。」

他にもカンバ湾を持つインドのスラート、エジプトのカイロと道が通じ、アカバ湾の港ヨルダンのアカバなど、今は開発されていないが将来は大きな都市と成り得る土地など腐るほどある。

そこにこちらから投資、ODAによって前線までのインフラ拡張と並んで都市開発を推し進め、さらに企業を誘致すれば経済としても軍事としても好転する良い手だ。

それに近いと言っても比較論で700~800キロメートルの地方都市だから、海外へ避難しようとしていた者をこちらに誘致して、各国企業の工場や、周辺農地で働かせられるし、そこから運ばれる食糧や製品が、前線国家の外貨となるのだ。


「そうして、周辺諸国内で生まれる国際都市をさらに空港網やシーレーンなどで結んでやらば流通量は増やせるし、その分その都市が開発されれば、こちらとしても利益がでる。その都市の不動産を持っているわけだしね。

その不動産を守るためにも周辺諸国共同でのインフラと要塞線の構築。ならびにそれによって守られる地域の土地や、建物を買うことを推し進めて、不動産という安全性の高い商品を国内の銀行を通じて国民に紹介使用っていうわけ。

また最初に値崩れを起こされたら、溜まったものではないから、財閥の株価分の借金を国内の銀行からしてでも、投資してるんだけどね。」

他にも石油備蓄投資や株式、前線国家の国債やら、文化財、資源等買える物は全て購入ルートを作ってるし、先言った都市の重要であればあるほど、その地域に人が集まるわけで、崩壊という危険性はあるけど、守り続ければ大きな価値はグングン上がる商品を作りだしたのだ。


「もちろん、それが早期に実現するわけないから、今は日本の急成長ぶりによって、低利子の日本国債と政府発行紙幣を全世界への価値ある土地買いや、前線国家の国債の買いで時間を持たせているんだけどね…」

「……実情はお寒いかぎりではないか」

「まあ言っちゃえば、最初に日本の借金で前線諸国の開発、戦線維持費にあてているわけで

その間に、日本で物資や高技術による商品を海外に売って得た過剰黒字分を海外の広大な土地購入に充ててるわけで、平和な世界だったら立派な侵略行為なんだけどね。

BETAが消えてなくなれば完全な経済植民地化なわけだし、現に今の日本企業の進出での土地購入も、そう危惧されるレベルに達してる。」

「戦争をしているから…許される諸御用というやつだな」

「まあね。他にも日本光菱銀行と光菱商事の人脈を活かして、世界中で欧州BETA戦時国債や中東石油予約債を世界中に売りまわっているからあと2~3年は前線に金が回るはずなんだ。

なんせここ五年で日本の国家地方行政のプライマリーバランスは日本の高成長と、こちらが国の資産を運用したおかげで実質黒字。

本来なら赤字国債を発行する必要も、政府発行紙幣も刷る必要もないところを世界への投資…海外の前線国家の国債を買うために刷っているわけで

その他もろもろ含めて、年間十数兆円のお金が日本だけで前線国家に投資されているおり、他にも表に見えないところの貿易なんかを含めれば倍ほどが前線の都市、インフラ開発なんかに費やされてる。そりゃあ持つでしょ。」


「しかし、やはりというべきか、そのままでの利益ははとても低いのではないか。先も言っていたであろう。不安なものを人は投資しないと。」

「確かにそうなんだ。でもね、日本には"福引き"って素晴らしいものがあるよね?」

「…なんか嫌な予感がするのだが?」

まさにマリヱの予感通り、完全な悪だくみであり、俺は国家ぐるみの詐欺を企てたのだ。

それは特別債と称して、種類の違うの債権を複数入れた福引き形式の特殊な債権を売り、その中に危険度の高い債券を意図的に混ぜ込ませたもので

リーマンショックの裏の原因となった金融商法を使って、あの手この手で売りまいているわけだ。ーーー完全に詐欺だ。

その中には目玉の、各国の資源備蓄や石油に関する利付け債。それ以外にも欧州、中東が保存している文化芸術品や宝石類を含むことで客を引き寄せる魅力を散りばめられているそれは、本来であれば買わないものを中に込められており、その分、前線に金が貸し出される仕組みだ。


それに引き寄せられた顧客を中心に、日本でも10年以上の貯金を考えている家庭の投資先にしたりと、どんな手を使っても売っている。

これは中東や欧州の民間企業の将来発行する株を代貨にした「緊急戦時国債」を隠すダミーでもあり、欧州が世界各地に進出している各社の販売網をそのまま戴き、将来的に有望な欧州企業各社を傘下に入れるためでもある。

ちゃんと国益も考えてますよ、ってことだ。

「そんなこんなで、ネット通販や金融取引がネットで行えるようになったことで、中南米やアフリカ諸国の新興裕福層やアメリカを中心に大量の《戦時国債》を売り付けることができたわけだ。

そして投資が進めば欧州、中東株価も下がらず経済がある程度の時間だけだが、安定する。税収も安定できるんだ。」

そして、一度投資してしまったら、負けは許さないのが投資家だ。

アフリカや中南米の政府は、その国家の国民が投資してしまった欧州、中東の負けを許さないだろう。

以前はアメリカからの目をそむけるための支援だったが、国民が投資してしまったからには、国家規模の大規模の経済援助、有償融資が前線国家を助けになる。

「そして、国連がそれを促進させる発言をすれば、3年ほどだが、前線国家に金が集まるわけだ。とんでもなく、めんどくさかったけどね!!!!」


以前までは前線国家にはBETAの影響で投資が先細りしがちで、資産が目減りしていた。

そりゃあそうだ。BETAに蹂躙される可能性の高い場所に投資などしていられない。その影響によってほとんどの国家がGDP を維持するのがせいいっぱいとなり、だいたいがマイナス成長になってしまうわけだ。

だが、先のふくびき形式の特別債が金融業界で流行、いつのまにか自分が前線国家の株や土地、資源の取引権を持っていたケースが続出した今、

守り通せれば価値が跳ね上がる資産に対して、日本だけでなく世界中からの追加融資が組まれており、前線国家はその身を海外に売りつつも、自己を成長、BETAと戦い続けている。


両者の目的と利益が一致したほうが両者にとっても得になる典型的な例であり、無理やり集めた金ではあるが、利益を出している現状、その流れはBETAに前線国家が負けない限り続くだろう。





まぁ・・・欧州や中東を経済植民地にしたいってのもあるけどね(ニヤリッ

「ふむ。金は集まり、後方で戦力と陣地を整えているということか。義勇軍の先細りの心配もここ数年なら心配なさそうだな。

……前線での悲劇がこれで減れば良いのだが、な」


BETAと戦って以来、人類の人口増加は鈍化し続けている。

それの意味することは、その増加分をうち消すほどの数値、ひどい時は年間億単位の人々がBETAに喰われているということだ。

それ以外にも、国がBETAの影響で不安定になり、社会の不安感が増すことで、治安の悪化という悪循環が起こり、それによる二次被害(強盗殺人から感染病など)がとんでもないことになっているからだ。


とくにひどいのがBETAと今も戦っている前線国家だ。

情報が公開されている欧州だけでもお涙ちょうだいのドラマがノンフィクションで繰り広げられている。

なにせ、戦線が崩壊してしまった後での軍の時間稼ぎの常套手段が、殿部隊への死守命令。これならば良いほうで、もっとひどい時には民間人を見捨てての撤退などが行われているのだ。


そう、命を時間に換えた手段が最終手段なのである。


それだけ言えば、他国からしたら「負けているんのだから仕方ない」と言えるだろうが、内情を除けば言葉もでなくなる。

なにせ、そこからの退避は一握りの人間となるため、昨日までは助け合いを説いていた市長が市民に銃を乱射する事件や、自暴自棄となった隣人が強姦事件を起こすなどが絶えない、正に地獄絵図が発生する。

そうして取り残された人たちは何万単位でBETAの腹に収められ、軍からBETAへの「おやつ」にされるわけだ。


史実以上に兵力の充実を見せるこの世界の欧州でも、前線を抜いた旅団規模のBETAが西ドイツに侵攻した事件において、住民の退避が間に合わず、西ドイツの体育館に籠城していた幼い生徒たちが戦車級になぶられる事件が発生している。

その映像を見た時は、自動的働いた感情抑制操作プログラムによって仕事に支障はでなかったが、その映像を夢の中で情報の整理として何度も見る機会があるため、BETAへの復讐心が俺の中で滾り続けている。


このように、一年ごとに日本の何倍もの土地と日本全国の人口が、2年も絶たずに惨殺されている、という事実からしても人類が滅亡に進んでいるだけが実感できてしまう。

そんな心配からか、マリヱが疑問を投げかけくる。

「後悔しているのか?」と。

なにせいくらオレがテコ入れしたとしてもまだ4年。本格的に海外に介入し始めたのが3年前。

新しい概念や革新的な技術を含む兵器というのは開発に時間がかかるものであり、頭の中に設計図があったとしても、この時代の製造技術レベルに合わせて量産性も考慮したデチューン仕様にしなければならず、いろんなことに時間がかかってしまっている。

未来を変えるためにもいろいろな計画を立ち上げ、それが結果に結びつくまで時間が掛っていることは知っている。

だが、どれかが間違っているかもしれないと不安になるのは…仕方ないだろう。

いろいろと手を汚させて作り上げた今の環境…それがこれしか結果でないとは。

「もう一度聞く。後悔しているのか?」

聞きづらいことをズバって聞いてくるもんだ。そこがマリヱの良いところなんだけど。


「―――いや、それはない。これまでの決定と言うのは、その時の俺と俺を信じる部下とで決断したものなんだ。そのとき最善と考えて行ったことを否定したくないさ。」

そう言いきれる。反省はあるし不安もある。だが俺は人生後悔はしないように生きる主義なんだ。

「そう、か…」

「それに俺はこの世界にいるのは、孝明くんの意志を受け継いだからこそいるんだ。

そのこと自体、俺がやろうとしたわけでもないとしても孝明くんの精神を塗りつぶしたことには変わりない。
だからこそ、その意志だけでも受け継ぎ、BETAを滅ぼすことにまい進しなければならない。

それに加えた弥太郎さんのオーダー、俺自身の命を守ることがかかってるんだ。こんなことではくじけてられないよ。」

「ならば良い、ならば良いのだ…」


「最初から汚れている俺なんだ。最後まで汚れてやるさ。」

だからこそ、一つ一つ実現していかなかればならない。さきほどの決意のためにも



つづく

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次元管理電脳より追加報告

欧州戦況情報が追加されました。NEW!

《欧州戦況》
主人公が来てからの未来状況変化を表しました。


※アメリカを100とした暫定的数値です。※

「京都協定」の効果を表示しています。

〈戦力〉がプラス3ポイント上昇しました。NEW!
「53→48」となる未来が

「53
→49(※2年後、国連による直接的働きを抜いた数)
→52(※国連の直接的ポイントを追加した数)」

に変化しました。

〈兵站〉がプラス13ポイント上昇しました。NEW!
「46→39」となる未来が「46→39→52」に変化しました。

〈資金〉がプラス6ポイント上昇しました。NEW!
「71→49」となる未来が「71→57→63」に変化しました。

資産が5ポイント減少しました。NEW!
「89→63」となる未来が「89→73→68」に変化しました。

国土が2ポイント上昇しました。NEW!
「42→31」となる未来が「42→34→36」に変化しました。


・総合的な戦況報告
「滅亡的」→「敗戦確実」に変化しました。NEW!


※戦略的撤退の成功確立が《絶望的》から《肯定的》に変化しました

※欧州連合は戦力、国力の短期的維持に成功する見込みです。
南部・北部戦線共に苦境に陥っていますが、戦線の短期的維持は可能です。



〈人口〉が変化しました。NEW!

1980年時、欧州全域の総人口約5億9000万だったものが1984年現在、約5億200万にまで減少しております。

4年間の減少数(死者・移民)ですが史実では約2億5000万減の3億4000万人となる予定が主人公の介入により改善。5億人の維持に成功しております。

理由としてですが戦線の維持による移民・死者数が減少したこと、出生数が増加したことが含まれており、主戦場であった東欧近辺の国民はユーゴスラビアより東側陣営、北アフリカ地区に移民する流れが強まっております。


《戦況の変化理由》

後方からの物資援助、義勇軍派遣、資産の目減りがゆるやかになったこと、貿易の活性化、海外から働きかけによりEU内での不和がおさまったことがあげられます。


以上、次元管理電脳からの追加報告を終了します。


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筆者です。

またしても長くなりました。戦況について少々甘いのは…御愛嬌ということでおねがいします。

※イラストをpixivにて挙げました。

今回の中東の戦況を世界地図にて表したものです。

「中東1982~1984年戦況地図」
「1982~1984年欧州戦況図」 の二つです。

ケータイの方は「光菱財閥 イラスト」で作品群が見つかると思います。


イラストの感想等ありましたら、気軽にコメント頂けたらと思います。


では次回にて




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