いろいろな並行世界の中でも異星人やらエイリアンに襲われる、異文化コミュニケーションの盛んすぎる国、日本。噂では、並行世界の未来を受信して送信している「SAKUSYA」とよばれる電波ちゃんが多いためとも、日本人の肉が一番おいしいと言われていると…それは食人族だったか、まぁ…なんやかんやで襲われては救われる国である。他の平行世界からすれば珍しく(?)日本原産、いや違った、日本を震源にした世界征服をもくろむ宇宙人ではなく、なんとお隣中国からのご出身の宇宙怪獣から襲われるのが今回の世界での日本の立ち回りだ。しかも主人公が来た時には既に半殺しされた後という始末。主人公大変だよね…もちろん俺も。その日本だが変わっていない点は元の世界と同じく、経済大国で米の僕であるという点だ。お米がおいしいからだと考える輩がいるが決して違う…よね?しかしそれ以外にも基幹史実と違う点が多々見られる。一つ、1944年に終わり、その後の世界情勢を形作ったWW2では、日本ではなくドイツのベルリンに核を落とされ、代わりに日本は条件付き降伏をしているという点。言ってみれば半属国化はしているがまだ半分残っているとこが違うという点。二つ、ソ連が太平洋戦争に参加していないことを含め、日本は北方領土、樺太全島を領有したままである点。千島列島は弥太郎総裁のおかげで、日露戦争時に相手の顔を立てるために「樺太全島と千島列島の交換」という形で決着がついたことにより、その後ソ連領に編入されている。また冷戦構造が続く今でも、国民のソ連への感情は悪くなく唯一の障害がアメリカということになる。三つ、日本は国号を大日本帝国から日本帝国に変えており、皇帝の下に征夷大将軍が、その下に政府がある三重政治体系を持つ珍しい国になっている点。上二つが象徴のようになっているのはこの世界でも同じであり、武家がおり、史実の大日本帝国がアメリカに負け、そのまま有り続けた感じに近い。政治については…後に説明しよう。四つ、史実より世界全体が科学力、特に宇宙工学を中心に上がっており、日本もその流れから航空宇宙軍を持っているという点人型兵器を作れる技術があることからも人類の力を軍事に注ぎ込んでいることがわかる。民間の技術もそれに付随する形で高いのだが、人類の減少等で需要が軍事にとられているため、贅沢品の市場が小さい。(正確に言えば小さくなり始めている)五つ、日本が純粋な軍を保持している点これは条件付き降伏と言うこともあり、法改正、憲法の改正はこの世界でも行われたわけだが、その変えられた度合いがまったく違い、大日本帝国憲法にまだ近い。その中には『軍の所持』いわゆる9条が無く、それを守るためにあった日米安保もアメリカに頼りっ切りという状況ではないのだ。どちらかと言えば、マブラヴ史実においてBETAの脅威が年々高まるにつれて、10年事にある日米安保更新時に少しづつアメリカの影響力が強まってきた流れ、と言える。そのため日本帝国軍の規模は日本国力に準じた規模を誇っており、海軍では戦艦を軸にした変容な編成(日米安保時の条約に日本側に戦艦による打撃力を頼るとして、戦艦保有を義務付けている)によって海外遠征能力を削られてはいるが、その規模は世界第3位――英国軍がBETA欧州侵攻で増強、欧州の企業群が英国に退避して英国国力が増している――を誇り、陸軍にしたってその規模は70万人を超している。それ以外にも航空宇宙軍を組織しており、その規模は年々拡大している。といってもアメリカの誘導線上であり、航空宇宙軍の装備の米製比率は全軍の中で一番高いのだが。まあケチはつくが十分大国、地域覇権国家を名乗れる規模であり、その分の国際影響力はとても強く、特に東南アジアからオセアニア、南米との繋がりも強くなっている。六つ、史実と同じく経済大国として世界に君臨してはいる日本。史実よりも早くアメリカの力によって軍を含めた復興が出来た見返りに、若干経済力は落ちているという点が違うのだ。言ってみれば軍事にも国費を割かなければならず、国力総てを経済に傾倒出来なかったからだろう。その分国際影響力は増しており、その貿易先の比率もアメリカがダントツ…ではあるが史実よりも少なく、東南アジアや南米など様々な国に輸出を行ってはいる。が先の理由で規模だけは下がっており、実際の数値で表せば史実の約7割ほどのGDPであり、1981年時点の名目GDPは約7300億USドル、それに対してアメリカは史実より多い3兆4000億USドルとなっている。(ちなみに2002年時点でのアメリカ、名目GDP12兆USドルに追いつくためには$ベースで日本は単純計算、経済成長率年平均14%を維持せねばならず、目標達成の7割でも12%を維持し続けなければならない・・・)しかし1980年代初頭の日本は世界の不安の中、その工業力を活かして武器弾薬、物資、そして日本帝国お得意となる合成食料を大量に輸出している最中のため、史実以上に日本に取って天国だった時代とも言える。その日本を救い、80年代後期から続く悪夢の大不況を回避するためにもあの財閥会議の後、財閥は一致団結して急激に動き出した。(一致団結できない者がどこかに消えたとも言えるが…)神器の接続技術の開発始動などを皮きりに、日本の皇家や摂家から借りた大量の資産の運用など、平行世界での何千人もの経験を知っている俺が中心と成って指令を下し、財閥は未来情報を有効に使った資産運用で莫大な利益を短期間で出していたのだ。特にBETAの動きを利用してのものが大きい。まだなにも防ぐ手立てがない以上、奪われるのは癪なので、そこにいる人、資源の獲得を格安で行うことで少なくない利益を上げたというわけだ。そうして3か月を過ごしたことになる…たかが3か月だが、マブラヴ史実でも3か月で桜花作戦を成功させるところまで出来たのだ。されど3カ月と言えるだろう。その半年間の金稼ぎ以外にも簡単に出来る技術の改良や、アドバイスだけで進むプロジェクトなどを筆頭に、4年以内に儲けを出せる事業を中心に行動している。まず、何をするにでも投資する金額をアップしなきゃ始まらない。儲けと売れるほどの技術を利用して各企業の関係を改善、友好的な買収に繋げていかなければ、日本の中でもギクシャクしてしまうからなのだが……出る杭は打たれる日本の中でその抑圧の中、どれだけ飛び出せる環境を作るかが大切になってくるだろうからだ。まあ、こうして良いスタートダッシュをきれたことは財閥にとって大きな物になるのは間違いないだろう。それほど財閥は活気づいているのだ。そんなことで財閥の新しい軌道はどうにか定まってきたけど、一つだけ気づいてしまったことがある。新技術の習得だけで時間ってめちゃめちゃ食うのね♪正直舐めてた(笑)オリジナルせんじゅつきで俺TUEEEE!!作戦だが、戦術機開発ってBETAの驚異の中でさえ次世代の機体には普通、10年くらいはかかるもの。わかってたけど未来知識でどこまで短縮できるかだよなぁ…そうしたことが原因で集められたのは光菱重工や関連子会社などの各兵器開発責任者や、日本の国産次世代機開発研究機構に出向くことになっている社員達である。いわゆる日本の戦術機関係の第一人者達、つまり日本の最先端技術を担っている人材達。この社員達はこの3カ月間、ある戦術機の開発と俺の知識を実用化するために基礎技術習得訓練(?)してもらったいたのだ。「戦術機」ーTactical Surface Fighterー『戦術歩行戦闘機』の略称で現有兵器の花形とも言える兵器。光線級によって絶望的になってしまった航空支援等、三次元起動を主とした高速機動を実現した人型新概念兵器であり、その高い任務適応能力を使った他の兵器体系では態様できない事態を全て、この兵器だけで満たそうと見込まれている兵器のことでもある。言ってしまえば、この世界の対BETA戦で唯一対抗出来ている正面主力兵器体系のことである。形としては全長は17~20m、第三世代機で重量は約60トン程度。外見としては人の形から肩を大きくして手足を長くし、括れが半端じゃないほどできた人型に、武器を背負わせた…と言えば良いのかな?重さを考えると人を戦術機並の大きさにした場合、約120トンくらいになりそうなので…そう考えると軽いが、航空兵器としてはいささか重すぎるという感じだ。しかしお尻の当たりに付いている噴射跳躍システムの推力が、史実世界の驚きの倍以上に高いため、高い機動性を実現出来ているのがこの兵器を最強たらしめている所以である。この跳躍ユニットと徒歩を駆使できる戦術機によって、補給が絶望的なアリの巣のようなハイヴを攻略しようと考えられているわけだ。では肝心のお値段はっ!!世界でもっともポピュラーなFー4が40億円!!…高いよね。第二世代最強のFー15Cが70億強、第三世代機の不知火が約110億。ちなみにF-22は160億以上!!!※完全にこの数値は独自設定であり、時価単位ではなく1ドル=100円ほどの時の価値感覚です※この価格からして戦闘機の倍ほどのお値段である戦術機だが甲21号作戦の時、全作戦参加機数約1500機。全機揃えるのに軽く12兆円を超える計算…史実にその予算を使えるなら自衛隊に正規空母を完全装備で3隻ほどプレゼントしたいほどの予算をつぎ込んで、部隊は半壊、作戦的に失敗とはやってられないと思うのもうなずける。だがこの戦術機こそ対BETA線の切り札なのだから、通常兵器であればこれ以上のコストがかかるのだからこれしかない、というのが今の人類の現状なのだ。ならばなぜ戦術機のお値段がこんなに高くなるか、だがこれは戦闘機に足と腕生やして装甲を厚くしたようなもんだから、と言えるだろう。複雑な構造である人型で、ヘリを凌駕する機動性と人のような複雑な動きの二つを実現した兵器。重量比で比べてしまえば戦闘機の重量は20トンくらいとして単純に3倍、60トン近い重さの兵器であれば自然にお値段は高くなり。しかも兵器と言う複雑な電子機器を内蔵した人類の矛は、それ以上に機構が複雑なために、乗数倍にコストが跳ね上がる。それを努力と根性でコストを約倍にまで落としたところは涙を流して褒め称えたいと思う。だがしかしだ。不知火一機より10式戦車1ダースを製造して改良したほうが良くね?って思う人いるよね?俺もそう思ってたけどさ…だがしかしっ!!!ってことがあるわけだ。ここでいきなりだが光線級の紹介と一つの仮説を長々と紹介したいと思う。長いから読み飛ばしたほうが良いよ!※読み飛ばし推奨説明文※「光線級」俗称ではルクスやらマグヌスルクスと呼ばれる目玉が少女漫画並みにクリクリしている怪物。その光線級ってのは基本、直線で捉えられる物に対して強い2次元機動をする戦車なんかを的にするタイプミサイルや砲弾など、光線級の視覚内(観測圏内)で"動いている"高脅威目標から順に反射で迎撃するタイプこの2タイプの動作プログラムが体内にある…とされる。(あまりに考察が長いため※マークまで読み飛ばし推奨)そもそも光線級は資源の切り出しを主任務とされていたBETAであると見られているBETA。だがその生息から資源を採掘している他のBETAを、宇宙空間から飛来する小隕石群から守る働きも担っていた、とも少数意見だが近年考えられるようになってきている。その動作を改良することでBETAは降りかかる弾を撃墜するプログラムに昇華したと俺は数多くのデータから断定したのだ。そのため、BETAの動作プログラムの目標動作予測プログラムは、目標の動作に対して、重力による影響、慣性等の影響等、隕石の迎撃に必要な要素を最優先に考慮されていると考えられる。そうでなければ、隕石の迎撃など出来るわけがないしあそこまで即座に人類の行動に対処できない。(これは上位存在が人類を災害とみなしている一つの理由として、それまでのプログラムで対応できてしまうためだとも考えられる)そしてまた仮説で申し訳ないのだが、この迎撃プログラムは、光線級の持つレーダーのような知覚器官と、それらを複合した光線級の各個体が情報を共有することで導き出されていると考えられる。(以後これを共有迎撃システム群と呼ぶ)それによって目標を指定範囲内に収め、照準用の初期レーザーで捉え、それから光線級の目線移動(反射)によって撃破している。この反射は隕石迎撃プログラムを派生させたものであるからして、目標対象物前方に「反射の指定範囲」が置かれているものと予測されており、目線移動も直線的だ。そのため光線級達個人(?)が形成するこの反射というものは、脅威的な精度を持つ共有迎撃システム群より精度が悪いと思われる。これによって、危険度が高いターゲットを即座に選別し、個体に割り振り動作プログラムを変更して攻撃しているのでは?と予測できるわけだ。そのため、一直線上にいる多目標を薙ぐことはなく、たまたまの誘爆、空気の広範囲のプラズマで焼いてしか対応できていないことも、この予測を裏図ける重要な証拠の足り得る。つまりは何段階にも定められた防衛圏内に入った高脅威目標、(電子機器を持つ個体を優先される)を、共有迎撃システム群によって知覚。それから各個体に目標指定範囲を振り分けられ、どちらかのプログラムを駆使して、各個体の働きだけで照準レーザーで捕捉し迎撃・撃破している。というのがこの仮説の本筋だ。このことが正しいとすれば、光線級の苦手なものは、光線級の持つプログラムにそぐわない、隕石の運動からかけ離れたものと考えられる。つまりは慣性運動に頼らない急激な前後左右上下に動き、緩急がついた"生物のような"ものだ。そうでなければ、弾道ミサイルや戦闘機等戦術機よりも早く予測が難しい兵器を全機撃墜できるのにも関わらず、戦術機が撃墜しずらいという理由が無くなってしまう。武くんの超絶技巧を駆使してもだ。それによって、光線級の攻撃を避けるには相手の予測する「目標指定範囲」に入る前に方向を変化させ、次に範囲を選定された時には予測された方向とちがった場所にいることが一番となる。つまり、戦術機みたいに、戦車のような二次元的な機動か反射で対応できる超速か、のどちらでもなく、ちょこまか動く兵器は光線級にとってはいちいち標準合わせるのがめんどくさいものってわけだ。その動作プログラムの切り替え時間が他の戦力を生かす貴重な時間ともなる。だからこそ、第一世代戦術機を一番多く破壊したのが光線級であることを除いても、第二世代機のようなちょこまか動くタイプの戦術機が開発されたわけだ。これに対処するには迎撃総合システム自体を変えるか、人類を生物として見なすしかないため、そう変わらないだろうと予測できる。※※※※話が長くなったがその光線級対策と、三次元機動が必要なハイヴ内作戦において、最も適しうる兵器として生み出されたのが戦術機なのである。その開発経緯からも対光線級と対ハイヴ攻略任務が主である兵器であり、他の任務は従である…そのはずだったのだが人類の現状がそれを変えてしまった。人間があの見つけられたら100発100中狙った獲物は逃さないを時で行く光線級に狙われた場合どうするか?そう、パニくるよね。そんな心理的な問題から、直線的な加速に頼った回避行動をとる衛士が後を絶たず、その武器を活かしきれずに撃墜されてしまう問題が急増しているのだ。そうして戦闘機とさして変わらず撃ち落とされる戦術機は、本来持つスペックを発揮できずに撃墜、スクラップになっているのが今の現状なのだ。―――人類で唯一、光線級に対抗できる兵器であるにもかかわらず、だ。それでもその人型という点から最前線での重機にもなる万能機でもあるわけで重宝されている。……そんな器用貧乏兵器の戦術機だがここまで聞いてみると「だからそんな兵器いらなくね?今は負けてるんだから地上兵器量産&強化だろJK」って思うかもしれない。だが現時点で地上に置いて、BETAよりも足の速い兵器は戦術機しかいないのだ。待て待て、飛行機とか、ヘリとかあるじゃん。と聞こえてきそうなものだが、最低でも地上100m以上を飛ばなければならない飛行機は論外として、戦闘ヘリと比べて見ても、常に高度60以上を取らなければならないヘリと、物陰に隠れることができ、地上での歩行が可能な戦術機とでは露出度と戦域滞在時間が違うのだ。なにせ光線は直線。光線級危険範囲で見ても60メートルと20メートルでは安全区域が3倍以上違い、地上が平坦でない(山、森、地面の凹凸、ビル等)ために戦術機の安全性はそれ以上に上がる。それに常に飛んでなければならないヘリでは戦域に長期にわたって滞在ができず、火力・行動自由度などからしても力不足になる。そして最強の陸上兵器として君臨し続けてきた戦車だが、BETAの速度と走破性、どのような非整地であっても時速80キロで一日中移動できるBETAと比べれば、人間が動かせるどの地上兵器では追いかけっこで負けてしまうわけだ。戦車だってその走破性からして、BETAには勝てない。ましてや走るコースが決まっている装甲車などと一緒に渋滞中に喰われてしまうこともざらだ。ここまで説明してきたように、戦争において部隊の移動速度というのは勝つための重要なファクターである。その考えの元で見れば、BETAに唯一対応できるのは戦術機だけであり、高度40M以下での匍匐飛行、場所も選ばない地上への緊急着陸、という運動性と機動性に加え、スナイパーのように山岳地帯から一方的な匍匐射撃が可能。そして作戦自由度という点に置いても、敵の速度に合わせて後退しながらの包囲殲滅や迂回打撃。後方に生きて戻り、武器弾薬を戦術機自体が補給して即座に戦場に戻ってこれる唯一の兵器と言うのは、今のところかなり理想論となっているが、魅力的であり、戦術機を対BETA戦、最強の兵器に押し上げる要因になっている。他にはこの世界の技術がこんなトンデモ兵器を実用化するまで進化していることが大きく、整備性についても2~3日と言った短期間ならば修理をせずとも動かせる。(まぁ、そのツケが後になってくるのだが、急場を凌ぐ必要性が多い前線では、使いつぶせるだけまだましだ。)政治的にもハイヴという敵の兵器製造基地を攻略する見込みのある戦術機は欲しがられるもので、歩兵からしても目の前で滞在し続けてくれるヒーローという心理的面も大きい等々いろいろある。そんな戦術機、日本人(特に男性)が早く国産化してほしいと願っている兵器を実現化させるためにエキスパートを集め、2つの計画についての会議を行うことになったのは、この年の3月のことだった。まず一つは、1982年までに実用化させなければならないとされる82式戦術機、通称瑞鶴についてのものだった。この機体の特徴(欠点だけだが)については前回話したが、史実通りの物を完成させたところで即座に時代遅れの代物となることがほぼ決定している点が、もっとも欠点として上げられるだろう。日本の歴史から言えば、ドレッドノートによって完成した瞬間から旧対化した香取型戦艦のようなもの。技術差があったからと言って、そんなところまで真似しなくても良いと思うんだが。だからこそそんなミスを犯さないようにこの計画をどうにかするか、そんなための会議を行ったのだ。といっても77年に撃震のライセンス生産を開始したばかりの国内メーカー。それらにとって史実通りの瑞鶴のままでも無理のある代物であるのは自明の理。それをさらに強化することは俺と言う存在がいたとして無茶があり、いまさら「国産でやりますからアメリカさん、今回の契約は無しの方向でお願いしや~す」と言っても通じないことはだれしもが分かる事だった。だからこそ会議の内容は機体の妥協点等を煮詰め、どうにか未来に置いても“使える機体”に出来るよう、どうにかして斯衛、その上に属する城内省に認めさせるところから始まったのだ。だがそのような根本的な部分から改めなければならないとすれば、それにはそれなりの正当な理由が必要となる。なにせ78年に斯衛が「国産」として頼んだことが始まった今回の戦術機開発計画。その当時は当然「まだ2年もたっていないのに国産だとっ?ふざけてんのか!!ちょんまげ野郎ッッ!!」とまで言ったかは定かではないが光菱、冨獄、河崎三社の軍需メーカー大手三社は怒ったものだ。だが悲しいことにこの世界、上からの無理な命令は今に始まった物ではない。どうにか現行戦術機、F-4Jの改修強化案頭を城内省に了承させ、血管が切れないように社員が我慢しつつ、話を丸く収めたメーカー側にとってはいまさら期日を伸ばしてほしいとは言えない事情があった。それが国防に関わるものだとも分かっていたし、こちらから提示した妥協論(現実論だが)に話を合わせてもらったからだ。しかし今の光菱としては、俺と言う存在がいるため、時代遅れの代物を作るのは、機体の親である立場からしても御免こうむりたい。そんな流れになっていたのだ。そうして再度の妥協案のために「時間をもらえるならば想定以上の物を作れる」という実証技術をどう見せるか、うたがわれないようにするために会議が開かれたのが、本当の理由なのだ。そうして政府、軍、そして最大の敵となる将家を筆頭とする城内省を説得するための席が設けられたわけだが…まあ……予想通り荒れに荒れた。一部の者がボイコットを敢行するまで、話はもう少しで暴力沙汰か?となるほど熱したほどで、簡単に言ってしまえば「おまえらが国産機が出来ないと言ったから、こっちは改良機でがまんしてやったんだぜ?だったら期日を満たせよバカ野郎」と言ってきたのだ。こちらからすれば「第1世代機のままであれば良いけど、お前ら比べるのアメリカ製ばっかじゃん。あっち開発国だぜ?技術差がありすぎなんですけど。それにあと何年もしないうちに第2世代機とか言うチョー強い機体達が出てくるのになに言ってんの?バカなの?現実見ろよ。」……と言ってやりたかったが現実問題、あちらに言い分と立場が上であるのは事実。それを見直させるのは城内省のプライドの高さも相まって、難事と言ってよいものだったわけだ。ではどうしたか?まずはいわゆる遅滞戦術だ。1979年には始動していた計画をやり直すとは言えない以上、これからの技術進歩の観点からして計画の延長が必要じゃないか、とかけあったのだ。これには時代の流れが助けてくれた。その時代の流れというのが1980年に配備されたソ連製戦術機MIG23、その登場だった。――MIG23。1980年のその年に、ウラジオストクでの航空ショーにて「初の国産戦術機にして最新最強の戦術機」という肩書きと共に登場した初のソ連製戦術機であるその機体は開発したソ連の思惑通り、世界を驚愕させることになる。アメリカが開発中のF-14と似たプロポーションをしている本機は、その航空ショーにおいて第1世代機を超える近接能力と機動性、そして運動性を見せつけ、奇しくもアメリカが求めていた『第2世代機』という方向性を、アメリカよりも早く実現させていたからだ。だがマブラヴの歴史としては…結局のところ2年もたたないうちにアメリカに亡命したソ連軍人によってその情報が露呈。万能とは程遠く、整備性が低いことがあきらかになり肩透かしも良い所のこの機体は、その問題点からソ連自身も自覚し、MIG27として再設計されている。今では相変わらず1.5世代機や準第2世代機としてしか西側からは見られていない不遇の機体でもあるだが、概念的には第1世代戦術機のコンセプトである装甲防御ではなく、第2世代機の機動防御を目指しているのは外見からも分かる通り、目指すべき方向性は決して間違っていない。だからこそこの機体を使って情報策略を、城内省と軍に仕掛けようと光菱は考えたのだ。それは1980年当時は「アメリカ製の牙城崩れる?」との見出しでソ連製の導入を試みようとする歴史の流れ(西側諸国も打診したほど)―――現にアメリカは史実でもその火消しに多量の金と情報公開を強いることになる―――を日本がミスリード、各社テレビ、新聞会社から商社までつかって、さらに過大に評したのだ。それによって触発されるように各国がアメリカに対し、今開発中の第2世代戦術機の情報開示を要求。さらにMIG23の脅威度が色あせないうちに、MIG23の外見から見られる特徴と示されるデータ、そしてソ連から回されたとした過大評価された情報(もちろん俺からの情報がほとんど)を城内省に開示したのだ。※この情報を軍や城内省が信じたのは、これは元々日本とソ連との仲は史実よりも冷え切っていないことが大きく、今現在はアメリカの庇護化に入った日本に対して『敵国』に属するがそれは表向きでしかなかったからだった…情報の確証度が高かったためでもあるが…)この情報に城内省、並びに軍は驚く。今実現しようとしている戦術機が配備後すぐに陳腐化することが目に見えていたからだ。そうした混乱に乗じる形で光菱は俺が持つデータを視覚データにして、媒体化。さらに演算能力による規格外のトライ&エラーを敢行。つまりは仮想空間で実験を繰り返し、この混乱で不安がっていた軍や政府を納得できる案を作り上げたのだ。(もちろん説得用の見せかけで…現実はお寒い限りだが時間稼ぎにはなった)これに加え、戦術機開発の日本における現状、所謂前提だが、結局のところ、ライセンス生産以上の能力を持つ企業が日本三大軍需企業以外いないというところが特徴の一つでありそれが上手く作用したのだ。冨獄、河崎、そして光菱。日本の軍需を戦前から協力して満たしてきたこの三社。その企業達が協力して話を進めれば大きな政治的発言力を得られるのだ。こうして新型ソ連機の誕生と、最初から付きまとっていた技術格差と無理のあるスケジュール、そしてアメリカが開示した第2世代機の情報によって、『今の第1世代に準じたコンセプトのままでは、将来早期に陳腐化してしまうとし第1世代改修機のままの早期配備計画の見直す』という流れを作ることに成功する。他にも、4年前に配備し始めた撃震もその余波を受けることは避けられず、奇しくも軍、斯衛、両軍ともにこちら側の言い分が正当なものだと認めざる得ないものとなったのだ。ここまで行けばこちらのもので、先の"正当な理由"のもと各派閥に対し説得工作を始め、資産運用で貸しのある将家の上位名家を筆頭に、名だけとなった借金だらけの将家達を次々買収―訂正―後援して、城内省への説得工作を繰り広げ、「光菱んところが新しい技術を開発中らしいし、企業側に時間をあげるのも良いんじゃないか?第2世代と第1世代では求める方向からして違うみたいだし、さ。いや、俺も悔しいよ?でも失敗作掴まされるよりかは良いじゃん?大将軍様の義のためにもさ、な?あいつら謝ってんだしさ。それとも第2世代機のライセンス生産しちゃう?」企業側、冨獄と河崎に対しては、「開発に関してはこちらも全面協力するし、新しい技術も開示する。それに生産ラインはそっちが主で良いよ。迷惑掛けたしね」とまで持ちかけたことで、多勢を占め本来の1980年当時のような「予算ももう決まっちゃってるし、このままの流れでいくしかないか…こっちから話の路線を改めると、ほら見たことかって相手側からチクチクつっこまれるし。マジで陰湿…」といったような日本の悪癖による流れ作業にはならなかったのだ。そうしてどうにか配備延期が決定し、大規模な計画見直しが打ち出された瑞鶴は配備年を84年まで繰り下げることが決定したのだ。だが、問題はそこですまなかった。済むはずがなかったのだ。なぜか?問題の先送りでしかないからだ。そもそもこの瑞鶴には問題がありすぎた。時期的な物もそうだが瑞鶴の求めるコンセプトに問題があったのだ。結局のところ第1世代戦術機の改修を前提にした斯衛の機体。それをどうにか改造したとして基本構造からして限界が見えている。だが、かといってあまりに無視した改造ではこれまでの瑞鶴の開発費用と時間が無駄になる。加えて国内配備しかあり得ないこの機体に、如何に技術を結集したとして世界の戦況にはほとんど影響はでないし金と時間の無駄。開き直って史実通りの瑞鶴として作ったとしても、日本に必要な代物とは思えないし、後で作る革新的な技術を盛り込んだ国産戦術機を開発した時に、斯衛から「光菱はあの時本気ではなかったのでは?」といらぬ軋轢を生んでしまう。結局のところ斯衛の見栄、それに各種理由…技術的成長と日本としての国の維持が付きまとって計画された瑞鶴。そんな形でありとあらゆる意味で難しいジレンマに陥ったわけだ。この大きな、そして光菱に降りかかった最初の問題に対し、結局のところ開発部はまったく違う方向に計画はシフトさせていくことになる。それは瑞鶴本来求められていた方向性をさらに拡張させたものと言って良いだろう。瑞鶴は国産化が不可能になった時から、F-4を基準にした改修機、それも時間をかけずにスペックを上げ、尚且つ兵器としてコストの見合う機体として作られた経歴がある。だからこそ、その存在意義を大幅拡大し、既存機である戦術機を如何に早く、そして低コストの改修でスペックを上げられるかに的を絞った、元来の改修機体開発計画ではなく、日本の現有戦術機を含んだ戦術改修総合計画にしたのだ。その名の通り「不死鳥計画」と言う名になった本計画はマブラヴ史実におけるF-15のフェニックス構想踏襲したものに近く、『瑞鶴』と限定した機体にするのではなく、現行改修機A案―――第1世代機であるF-4およびF-4Jを第2世代機基準ギリギリにシフトさせるために外部追加パーツ(跳躍ユニット、電子装備)などを用いて、第2世代を目指す。あくまで現行機を改修した上で配備するリサイクル機体―――※1984年より配備開始予定既存戦術機の製造ラインを流用したカスタム機であるB案――第2世代基準より少し下ほどのスペックだがA案よりも抜本的に改修を施し、内部も新規製造部品を多く使った、新規生産第2世代機――※1985年より配備開始予定の二つの案を同時並行して開発し、その追加パーツの部分のほとんどを共通させようというのだ。これであれば、いままでの瑞鶴の開発データが無駄になることもなく"なにかあったな"ぐらいの疑いで済むだろう。何より配備から5年ほど(1977年配備)で実質的に陳腐化する第1世代機のF-4J激震を材料に、日本帝国陸軍も斯衛と同じく新規機体を購入することができる大きな魅力あるのだ。「こんな無茶な計画を4年というハイペースで出来たものだな?というか不死鳥計画って…」とマリヱにも突っ込まれたが今までの瑞鶴計画で得られたデータに加え、いろいろな戦術機などのロボットの技術から設計図が俺の脳内にあったからだ。万歳チートな身体。そんなもんで新素材による装甲材から来る機体軽量と、電磁伸縮炭素帯、出力ユニット、跳躍ユニットの改良によって浮いた機体重量分が多く、ソフト面でも機体制御などの情報演算分野において俺の脳スペックが人外の域、「スパコンってなに?電卓?」に達しているために、改良が早く済んだのだ。また将来の方向性を知っている分、内部スペースの利用方法を未来からカンニングしていたこともあり、第2世代機の基本であるOBWの搭載を考慮した影響(B案のみ)で、更新費用は少なくて済むことも総合的な費用削減に大きく繋がってくる。こうして斯衛と陸軍という予算上で対立する両軍において共通機体を導入することが可能と成り、効率的な製造が可能となったのだ。まあアメリカからすれば、日本のロイヤルガーディアン用のF-4改修計画が途中から勝手に変更されて、拡大。「なにやってんの?」と言った心境で迷惑この上ないだろう…とそう思うかもしれない。だが、アメリカは今も世界各国へF-4ライセンス生産を推し進めており、第1世代機にはもはや関心がないらしく、「製造機数は増えるし、その分ライセンス料を適切に払ってもらえれば別に良いんじゃない?ほら第2世代機の開発進めようぜ♪」ということらしい。こちらからしたら「なに、この時代のアメリカちょろいわwww」といった感じだが、ソ連へのSU-27での技術譲渡の件や、国産化する気満々だった80年代後半の日本に対しF-15のライセンス生産を許している時点で、この世界のアメリカはそこらへんが優しいのだろう。たぶん…MIG21も結局はF-4改修機であり、積極的に輸出をしているソ連を見逃しているアメリカからすれば、その分BETAを殺してもらえれば、と思っているのだろうか。なにはともあれ瑞鶴計画変更と、陸軍機の改修を早期に実現できるのだから、良しとしよう。結局のところ日本は2000年まで第1世代機である瑞鶴と撃震のまま、日本侵攻を迎えたのだから、その歴史を戦術機方面だけでも変える目途がたったのだからね―――それがある計画の踏み台としても、だ。~続く****************瑞鶴に関して「そのまま放置」→「踏み台」になりました。なんという金の無駄遣いwww※ 樺太日本領については、設定集において日本が抱える戦線が3つあり、九州、新潟、樺太となっている描写があり、海上防衛ラインもなぜか、樺太を含んでいることから日本領にさせていただきました。普通ならおかしいですし、筆者の勘違いである可能性が高いのですが、とってつけたような言い訳を付け加え、日本に編入させていただいております。では次回にて