【2001年6月7日~アラスカ国連軍、ユーコン陸軍基地シミュレータールーム~】「お?お?おおおおお!?」『ろ、ロクに機動が…きゃあ!?』シミュレーターによって生み出された市街地を2機のF-18/Eが駆け抜ける……と言うよりは一歩一歩確かめる様に歩き、転倒する。その稚拙な…訓練兵でもしない様な間抜けな醜態を正規兵――しかも開発衛士――が晒しているのだ。下手な笑劇よりかは笑えるだろう。――――――だが、その動きは見る者が見れば驚嘆に値する物であると気付くであろう。『異質』である、と。「ハッ…ハハハ……!すげぇ、すげぇぞコレ!」『い、違和感がありますけど……動き易い?』《まだバグ取りも完全じゃねぇが大方完成してる。後はこのデータを参照して更にバグ取りだ》管制室からおやっさんの声が聞こえるが特に気にもならず俺は機体を動かし続ける。予想以上に…いや、予想外の性能だ。今までの機動を初代ガンダムの先行量産型○ムとするならこれは逆シャアのジェ○ンだ。今までとは明らかに高い即応性や無くなったラグ。人馬一体、二人で一人、そんな感じだ。「おーい!エレナ、これならレーザーも完璧に避けれるぞ!」『何を言ってるんですか!私は大尉みたいに変態さんじゃ無いんですよ!?』《まだ完成形じゃねぇがな、即応性・機動性25%増しは保障するぜ?あとな、お前くらいだよレーザーをポンポン避けるのは…》「失礼だなお前ら!?」……因みにだがこのOSには“コンボ”は実装していない。理由は武がアンリミにせよ、オルタにせよ……コンボは『あの世界』の武では無いと発想すら出ないだろうからだ。搭載したのは機体の即応性の高速化とキャンセルのみ。キャンセルなら転倒の際に制御が奪われて死に掛けたor死んだ、という実例がこの世界にはあるので大丈夫だと俺は思う。兎も角今は、このOSを制御下に置く事が目標だ。「〈ガクンッ!〉っお!?」シミュレーターのF-18/Eが転倒を再現し、機体の制御が奪われる。即座にキャンセルを発動、倒れこみながら突撃砲を発砲して網膜に写される接近中の戦車級を撃ち抜く。「―――――良し」起き上がり、跳躍ユニットを使用して大きくジャンプ。空色のF-18/Eが空と同化し、次の瞬間には一気に地表へと降下。背部兵装担架からブレードを選択、目の前の要撃級を叩き潰す様に切裂き、バックステップ。そしてそのまま突き進み、前方から迫る突撃級の群れを引き付けジャンプ。反転降下で飛び越え、加速。そんな動作を、今までの常識では考えきれない様な機動を難なく行う。その速さに、俺は唇が歪んだ形を取るのを押さえれそうに無かった。完成形が想像できる、未完成なOS。そのOSが見せるであろう可能性に……俺は小さく、隠す様に微笑んだ。 ◇【2001年7月2日~太平洋日本近海、国連軍輸送艦“スティルヴァ”】「大尉ー!日本が見えましたよ~!」「ああ、うん…」「……凄い名誉ですよね!国連軍教導隊にあの機動を享受するなんて!」「うん…」「…………“EXAM”の実戦証明も有りますし…絶対に成功させましょう!」「………………帰りたいよぅ、あのヨーロッパの地に…」私の隣で膝を抱えて丸まりながらBETA地獄のヨーロッパに帰りたい、とか呟いている大尉。その物騒な発言に私は思わず溜め息を吐く。私と大尉、それにF-18/EXと整備チームの皆は在日国連軍最大の基地である横浜基地へと向かってます。理由はあれから様々なデータ取りを行って完成したOS、EXAM(大尉命名)の実戦証明の為とその教導の為。教導隊への指導……かなりの名誉だけど大尉はかなりの落ち込み具合です。なんか、「アカン、アカンのや……“読まれた”らぁぁぁ!?」と叫んでコロコロとまた転がってましたが…何なんですかね? Δ ▽【日本帝国神奈川県横浜 第11国連極東方面軍 横浜基地】こんにちは、こんばんは、おはよう。正門の門兵,sのチェックを受け、横浜基地の敷地へと入った俺です。―――――皆さん………正直言って死にたいですorz(これから先に起こるであろう出来事への不安で)「失礼します。バーラット中尉とマクダビッシュ少尉ですしょうか?」「あ、はい。貴女は?」「私は当横浜基地の副司令である香月大佐の秘書官、イリーナ・ピアティフと申します。当基地の案内役を勤めさせて戴きます」orzの体勢から声が聞こえた方へと顔を向け、足から視線を上に上げていく。皆さん、生ピアティフ中尉ですよ!…………モロ博士の関係者じゃねぇかぁぁぁぁぁぁぁぁ!?「―――これはご丁寧に。私はクラウス・バーラット中尉です、短い間ですがよろしく」「エレナ・マクダビッシュ少尉であります!よろしくお願いします!」「此方こそ、よろしくお願いします。―――ようこそ、横浜基地へ」微笑み、歓迎の言葉を告げた彼女の後へと続いて各種施設の説明を受ける。野外訓練場、PX、使用する個室、共用シャワールーム、戦術機シュミレーター施設etcetc…(因みにだが使用するPXは幸運な事に京塚のおばちゃんが担当する場所だった)その最中で回った戦術機ハンガーを見ていた際にUNブルーの吹雪が5機格納されていた事から時期的に207A隊の機体なのかな?とか思ったくらいで、特にトラブルは無かったのが救いだ。「アラスカほどじゃ無いですけど大きい基地ですね、大尉」「仮にも極東最大の基地だからな……ただ、基地の空気が緩すぎる。仮にもここはソ連・インド・ヨーロッパと並ぶ最前線なのにな」「そーですよねぇ。大尉って傍から見たらふざけてても常に一定の緊張感は持ってましたし」「此処は日本帝国軍や付近の国連軍基地によって守られている場所ですから……そう感じるのは、無理もありませんね」ピアティフ中尉の言葉に俺は頷く。確かに、帝国軍が常に最前線へと身を晒しているからこそのこの空気だ……俺が何時ぞやに居た基地は直接BETAが攻めてくるからなぁ。俺の記憶が正しければ帝国軍による佐渡島からのBETA防衛線は二重に敷かれているからその間に防衛体制を完全に整えるのくらいは訳無い。この基地の規模で大体、2~300機の戦術機ならスクランブル(緊急発進)で1時間もあれば全機出撃可能だろうしね。(1時間で瓦解する防衛ラインだったら日本は滅亡してるし)「あの、ピアティフ中尉。国連軍特別教導隊、でしたっけ?その皆さんとの顔合わせは何時に?」「それは明日より教導を開始する予定ですから、その際に顔合わせをすると思います」「ああ、中尉。その中に鳴海って男は居ないか?」「――――ッ!………確かに、鳴海孝之中尉がいらっしゃいますが…お知り合いですか?」「ええ、明星の際に。……あの馬鹿、ちゃんと生きてたか……」俺の問いにピアティフ中尉の表情が一瞬だけ固まり、続けた言葉で小さい笑みを零す。いや、気になったから聞いてみたけどやっぱり生きてたのか……………… や べ ぇ す で に 本 編 か ら 脱 線 し て る「鳴海中尉もお喜びになると思いますよ?では、本日は此処までとします。今晩はごゆっくりとお休み下さい」「了解デス」笑顔のピアティフ中尉と別れ、PXで蕎麦を流し込み、部屋に戻ってベットに入って―――…ちょっとだけ、枕を湿らせた。【横浜基地~????~】『……以上がバーラット中尉とマクダビッシュ少尉を第三者の視点で見た私の感想です』「そ、ありがとピアティフ。下がりなさい」『ハッ』「さて、と……随分と面白い事になったわね~」白衣の女性が通信をしている間に温く冷めたコーヒーを喉の奥へと流し込み、椅子へと深く腰を落とす。机の上には二人の詳細な情報がこと細かに記されている書類が乱雑に置かれている。「あ~んなゴミでふざけた物を作ったから調べて見たけど……面白いわね、この男。――――それで社、“読め”た?」女性は、嗜虐的な笑みを浮かべて自身の傍に居る少女へと目をやる。その視線を受けたウサギを連想させる少女、社霞はゆっくりと呟く。何処か、困惑した様子で。「博士…」「何、社?」「距離が遠いのと、何か混乱気味なのがあるんですけど、読めました」「へ~…内容は?」「――――魔法少女、って……なんですか?」「…………は?」後書き 魔法少女リリカル霞、始まりません。 疲れてるのかな、俺~なぜなに人物紹介~【クラウス・バーラット(28歳)】本作主人公。階級は(何時まで持つかは分からないが)中尉、兵科は衛士。コールサインはホルス01。・現実よりマブラヴの世界へと転生した転生者であり、元々は大学生。・本人は原作への介入を余り良くは思わないらしい(でもついつい介入しちゃう、悔しい!けどビクn)。・地味にエースだけど本人はあまり興味無い。俺TUEEEEEEEE!は何度と死に掛けた所為か、そんな感情を持たなくなった。・お姫様と部下に好意を抱かれてるが、ガン無視である。・中身(精神)は既におっさん。・レーザー避ける変態。・結構感情で動く、特に命が掛かっている場合。【エレナ・マクダビッシュ(17歳)】本作のヒロイン(?)。階級は少尉、兵科は衛士。コールサインはホルス02。・彼女がクラウスを呼ぶ際の愛称は『大尉』。・主人公との付き合いは2年ほどだが、既に女房的位置である。・10回を超える実戦経験を持つ準エースである。・兄がイギリス陸軍に所属しているらしい。【おやっさん(本名及び年齢不明)】主人公属するNFCA計画の整備チーム主任。・主人公曰く、「野生のアストナー○」・OSも作れるし、機体を要求どおりに設計も出来る凄い人。【お姫様(今だ詳細不明)】イギリス王国の本物のお姫様。主人公に命を救われた。