【8月15日ц-04前線補給基地】「………」俺は管制ユニットの席に着座し、機体情報のパスワードや侵入の形跡を辿りながら煙草を吹かす。先日、ラトロワ中佐から渡された手紙の内容を信じるのなら少なくとも警戒をしておく事に越した事は無い。そんな事を思っての行動だ。機体情報は既に欧州国連本部へと送ってあり、情報を得るにはこの機体を狙う以外に道は無い。今の所は問題ないが……やれやれ、厄介な事ばっかりが付き纏うもんだ。「ハァ……飯でも食いに行こう…」そう言えば派遣部隊には各々に基地内待機という名目の自由時間が振り分けられていた筈。分かりやすく言えば有給だ。ホルス試験小隊には24時間の自由時間が振り分けられており、エレナはそれを利用して愛用のカメラを持って基地内から撮れる風景の撮影に向かっている。そういや、このアクセス用のパスワード変更も特に用事も無いからやってたんだよな……。「おっちゃん、ボルシチとピロシキ、熱々に頼むよ」「ちょっと待ってな……あいよ」ちょうど焼いていたのか、2分程度で熱々のピロシキが出てくる。俺はそれに口笛一回、少し囃すようにコックに言う。「お♪今日も美味そうだね~」「ハン、褒めたって何もでねェぞ?」「ハハッ、晩飯も期待しておくよ!」注文した品が乗ったトレーを受け取り、食堂を見回して席を探す。席は……丁度いい奴が居た。「ブリッジス、相席いいか?」「……ああ」スプーンでビーフシチューを気だるそうに混ぜていたユウヤの向かいを陣取り、食事を始める。見た限りではかなり不機嫌……というか、正確に言うならダルそうだ。まぁ、十中八九、理由はハッキリとしているんだが。「おいおい、時化た面してんなよヒーロー?」「……余計に不機嫌になりそうだ」ユウヤがスプーンと指を使って投石器のように飛ばしてきた人参を俺はボルシチを食おうと持ったスプーンで弾き返す。見事にシチューの皿の中にピッチャー返しされた人参をユウヤは不機嫌そうに飲み込む。「………なんだ?」「いや、なんか普段と雰囲気が違うからな……試験の事か?」「……ああ、弐型の事でな」「弐型ねぇ……タリサに聞いた話じゃあの射撃はBETAから離れてやったんだろ?帝国軍機の性質上だと……気にしてんの、近接戦闘じゃねーか?」「………あのチョビ…」「そう怒るな、酒の席で嬉しそうに言ってたんだぜ?それに、機体開発の実機試験の項目は似たようなモンだ、砲戦能力試験に近接格闘能力試験とか、予想できるさ」「そうかい………一つ聞きたい、アンタは元米軍だけどBETAとの近接戦に違和感は無いのか?」額を押さえるユウヤに苦笑しつつササッとボルシチとピロシキを流し込む。ついでに紅茶にジャムを入れて即席のロシアンティーにしてからゆっくりと腕を組む。ユウヤの質問は聞き方からして純粋な興味からだろう。ユウヤは弐型にゾッコンらしいし、そんな男が中途半端な機体を仕上げるとは思えんから……現場の声ってのが聞きたいのだろうか?多分、米軍から前線に出てる人間の意見の方が自分に参考しやすいと判断したのだろうな。「そうだな…俺は射撃の成績は平凡だったからな、味方撃ちをしたくないから部隊の最先方の突撃前衛を選んだのが事の始まりだ」俺が国連に転属してから配属された部隊は出撃による損耗なのか前衛が半壊状態だったのですんなりと突撃前衛として配属された。それ以来、12年間ずっとこのポジションだ。もう違和感など感じる事すら無い。むしろ下手に弾をバラ撒くと味方撃ちをしそうで気にしてしまう。その点、見えるのはBETAだけの突撃前衛は俺向きっちゃあ俺向きなポジションだった。「ブレードによる格闘も俺にしたら普通だし、むしろ違和感を感じるのが分からんな……ただ、一つだけ言える」「?」「笑いたくなる程しぶとい、台所に出て来る黒い悪魔以上に」「………それはしぶといな」マジな顔でそこだけは確実に言っておく。それで一回、見事に殺されかけた経験があるからだ。要撃級が無数の36㎜で全身を穴だらけにされ、白い体色が自身に流れる紫の体液色に染まって沈黙したと思った瞬間に懐に潜られて強烈な一撃を食らった。俺からしたらゲーム感覚のJIVES―――統合仮想情報演習システム―――やシミュレーターに出てくるBETAはアッサリと死ぬ。ユウヤも俺も、米軍の教練を受けて衛士になったからJIVESよりシミュレーターの方が馴染み深いだろうが大して変わらん。間近で見る生物としての渋とさが無いのだ。これがゲームと思い込んで戦術機操作をしていた俺にとっては現実とシミュレーターとの誤差が結構な錯覚を生み出すから恐ろしかったものだ。「BETAは半身が吹っ飛んでも這い蹲って突っ込んでくる奴も居るし、格闘戦はBETAの中に突っ込む訳だから誤射の可能性もある」「それだけだとあまりいい聞こえ方がしないな」「まーな……だが、篁中尉の武御雷とブレードでガチンコしたお前なら分かるだろ?あのレベルは滅多に居ないが前線国家じゃあんな戦いがそこらであるぜ」「……ああ、十分に理解してるさ」「それを理解してんなら良いさ、米軍上がりは格闘戦を軽視しがちだからな……ま、レールガンなんてシロモンを混戦域にぶっ放しておいて今更ビビル事ねーか?」俺の言葉に苦笑するユウヤ、俺もそれを見届けて紅茶を口に含んだその瞬間だった。折角の団欒を完全に破壊する聞きなれた警報が響いたのは。《防衛基準体勢2発令、防衛基準体勢2発令。全基地要員は主要部署へ集合し、指示を待て。各試験小隊員は戦術機ハンガー横の仮設ブリーフィングルームへ。繰り返す、防衛基準体勢―――》「「……!!」」そんないきなりの放送に紅茶を咽るように飲み干し、俺とユウヤは顔を見合わせると席を立ち上がって一気に駆け出す。お互い、忙しくなりそうだと思いながら。そしてこの後、ブリーフィングを受けて以来は俺は機体に四六時中張り付いていたので話が出来なかったが整備員達から聞いた話ではアルゴス01…ユウヤの出撃中止がされた。理由はユウヤの近接戦経験の皆無……それをボーニングから派遣されていたハイネマンとかいう技術者とソビエトのサンダーク中尉が弐型をチェイサーとしての出撃を強行決定したらしい。俺からしたら誰かも知れぬ人物からの警告もあったのでレールガンを運用する弐型の急遽参戦は非常にキナ臭いとしか思えない…が、俺達だって無関係じゃなかった。味方は身内のみ、狙われるのは俺とエレナの機体。そして敵はソビエトの闇……現状としては戦場が混乱に至る“何か”が起これば、何かしらのアクションがあるはずだ。それ以外でこの機体の情報を得る機会は無い。俺だって態々、警備兵を増やしたり四六時中ずっと機内待機していた訳じゃないのだ。そろそろ、痺れを切らす頃合だろう。―――そう思って過ごした数日間の後に出撃が下される。そして出撃してから72分が経過、試験項目を68%ほど消費した頃の事だった。緊急通信が全部隊へ入り、それを聞いた全員が息を呑んだであろう。『軍団規模を超えるBETA群がц-04前線補給基地より13キロ離れた北西一帯に出現した』という、オペレーターの悲痛な叫びに。 ◇「CP!さっきの情報は本当か!?」『こ、こちらCP!嘘を言う必要があるのか!?司令部は基地放棄を決定、試験小隊は補給を受けれるのならサッサと受けて避難しろ!!』「了解だクソったれ!観測班は何やってたんだ!?」俺は管制ユニット内壁を苛立たしげに殴りつけ、思わず声を張り上げる。“やりやがった”、それが第一感想だ。恐らく、お偉いさん方はほくそ笑んでるだろう。待ちに待った大混乱、何をしていても気にしている時間など無い状況だろう。『ホルス01!我が隊は残存するBETAを狩ってから迎撃に向かう、貴官達には一個小隊を護衛につけるので戦域より避難してくれ!』「少佐、護衛はいい!そっちの戦力に回せ!」『なっ…!?しかし、我が国は君達を招いた側として無事に帰す義務が…』何時の間にか隣に並び殺到する戦車級へ突撃砲を放っていたオムスク01、アントーニー少佐が怒鳴る。額に浮かぶ汗や焦った顔には裏が見えない……完全に、とは言えないがまだ信用できる……が、信頼はしない。何時、こちらに銃を向けるかも分からない状況だ。ある意味、あの俺に対する助言とも言える手紙が招く疑心暗鬼状態なのかも知れない。「こんなのは横浜やドーバー、それにスエズで何度も経験してんだ!自分と仲間の心配してやがれ!!」『っ……!分かった!』『少佐、制圧完了しました!指示を!!』『了解!オムスク大隊各機、小隊規模を崩さずBETAに当たれ!エスコートは中止だ!!』『『『了解!!』』』「聞いていたなエレナ!遊びは終わり、次は本番だ!」「了解!」光線級が存在しない事をCPに確認し、2機が並んで飛び立つ。目指す場所は試験部隊の集結地点であるポイントだ。広域マップを広げると放棄が決定したц-04前線補給基地からヘリや車両が出発していくのを確認する。急行した車両部隊やMLRS・戦車部隊による砲撃によって逃げるだけの時間を作っているのだろう事は分かる。だが、基地を完全に放棄するって事は基地に残る貴重な装備も失うという事だ。この損害は大きいだろう………装備?「……まさか!」あの基地に残されるであろう装備、レールガンの存在を思い出して思わず声を上げる。まさか、アレを得る為にこうしたのだろうか?有り得なくは無い……だが、それ以上に愕然とする。何人もの命、装備、基地を犠牲にしてまで自国の理になる行動を取ろうとする国家に、そしてそれを実行している存在に。「おいおいおい!冗談になってねェぞ!?」『ええ、ホントにふざけた戦況ですよ!』NOEから氷上をスケートで滑るかのように噴射地表面滑走へと移行、左右に機体を振りながら点在する突撃級の背面に36㎜を撃ち込み、駆け抜ける。恐らく、この点在するBETAは混乱の隙に抜けていった固体だろう。排除し、先を急ぐ。今はおやっさんや整備員の皆、それとCPに待機していたCP将校の無事さえ確認できればそれで良い。そう思いながら飛び続ける。追加で届いた情報だと基地放棄はほぼ完了、各部隊も順次離脱に成功しているらしい。『……大尉!前方にヘリ確認!恐らくは基地要員を乗せている物かと思います!』「了解、サイドに着け!」ソ連軍の輸送ヘリの横に着き、通信を繋ぐ。基地の情報も知りたかったのもあるが、おやっさん達が無事かも気になっていた。そんな思いを秘めながら平行飛行、ヘリのパイロットと情報交換をしている最中、聞き覚えのあるが響く。ヴィンセントだ、聞き間違える筈が無い。そう思い、パイロットに変わって貰おうとその旨を伝えようと通信を繋いだ瞬間、叫び声にも似た言葉でヴィンセントの声が響いた。『クラウス!聞こえるか!?中尉がヤバイ!!』「こちらホルス01、クラウス!どういう事だヴィンセント!中尉って篁中尉か!?」『あ、ああ!篁中尉が基地に残った!99式電磁投射砲を破棄するとか…』「あ、あのサムライガールは何やってんだ!?」『分かってる!本気でやばい!ありゃぁ死ぬのも厭わないぜ!!』混乱で思わず変な事を口走ったが即座に意識を戻す、基地にBETAが侵攻するまで15分あるか無いかだ。……まだ、間に合うかも知れない。「あーもうっ!後で上物のスコッチ奢れよなぁ!!」『あ、軍曹!私はカメラフィルムがいーです!』「分かった、頼む!…………後でユウヤに請求してくれ!」最後の一言、それにヴィンセントらしさを感じたがそんな暇は無い。反転、着地、そして飛行開始。途中、何機もの戦術機やヘリとすれ違う度に声を掛けられるが全て振り切る。今は一秒ですら時間が惜しい。その中にはジャール大隊に所属する教え子からの言葉もあった。『ラトロワ中佐がまだ基地に残っている』と…。『大尉!基地に爆撃が行われました!更に続報、光線級種の出現です!』「分かってる!胸糞悪い光がここからでも……ん?」基地まであと15キロ程度、一度大きくジャンプして基地を見渡すと二つの噴射光が入り乱れているのが確認できた。一瞬だけ、一瞬だけだったが見えた噴射光はBETAを相手するような物じゃなく、アラスカで見慣れた戦術機同士がお互いに喰らいつこうとする動きだ。そして、先程聞いたばかりの基地に残ったラトロワ中佐の存在、俺へ情報を告げる仲介役になった中佐の存在。そして、対人戦闘機動に見える二つの噴射光。その3つが嫌な音を立てて噛み合わさる音が……聞こえた気がした。「―――エレナ、基地の様子がおかしい……急ぐぞ!」「了解…!」急ぐ、急ぐ、急ぐ。時速500キロを超える戦術機のスピードなら数十秒で着く距離でもなお急ぐ。嫌な予感がするからだ。レーダーには1機はジャール01、ラトロワ中佐。もう1機はUNKNOWNと表示されている。基地内部へと突入、爆撃で半壊したコンテナや滑走路、炭化したBETAの死体。それらが出迎えてくれる中を走り抜ける。そして、基地内に120㎜を発射した鈍い轟音が響くと同時に半壊したハンガーが完全に崩れ去り、視界が開く………そこには、半壊したジャール01のSu-37M2と、その前に立つ紫のSu-37UBが突撃砲を向ける光景があった。 ブツンッそれを見た瞬間、何かが切れる鈍い音がする。それは俺が“ブチ切れた”という証拠なのだが……俺も含めて誰も知らない事だった。「させるかぁぁぁぁぁぁあ!!!」120㎜、36㎜弾を紫のSu-37UBへとロックして放ち、半壊した中佐のSu-37M2と引き離す。中佐の機体と襲撃者である紫のSu-37UBの間に俺が割り込み停止、そしてエレナが俺の背後に機体を停めて中佐の救助作業に入る。その間、俺は悠然と立つ襲撃者を睨み付けた。「……エレナ、中佐は!」『今確認しました、気を失ってますが無事です!私の方に乗せます!』「良し……エレナ、中佐を連れて下がれ」『な……!大尉!?危険です!』動揺するエレナの声、俺の言った事はこの場からの逃走を意味する物だ。ジャール大隊を率いるラトロワ中佐の戦術機操縦の腕は総合的に見てEXAMを装備した機体に乗る俺が多少勝る程度だろう。それほどの技量を持つ相手を傷一つなく仕留めた機体が恐らくは敵になり、一騎打ち……普通は、御免被る展開だ。「分かってる、正直言ってかなり面倒な事に巻き込まれてるんだ……エレナ」『…はい』今回の基地放棄……冷静になった思考で考えても出来過ぎだ。そして、目の前で中佐を殺そうとしたSu-37UB……紅の姉妹という存在が所属する部隊の特殊性。それに加えて、俺の予想が正しければ紅の姉妹も第三計画と深い関係性があるソ連の“裏側”の存在だ。ただの衛士が首を突っ込んではいけない……そんな部分だ。ただ、既に突っ込んでしまった。ソ連という国の裏側に、そして俺の持つ手札の中に対抗できる切り札(ジョーカー)は一枚だけだ。しかもこのジョーカーは後々にどんな影響を及ぼすか予想すら出来ない……魔女の釜の中の様な不確定要素の塊だ。故に問う、巻き込んでしまった俺へ付いて来てくれるのかを。「……付いて来てくれるか?」『ここまで着いて来た相棒に言う言葉ですか大尉?―――――地獄の底まで、お供しますよ』小さくウインクを返す思わずエレナに苦笑してしまう。普段は小言が五月蝿い副官だが幼さ故の茶目っ気も中々にある。俺は多分、文字通り地獄の底まで彼女を巻き込む。だからこそ、その言葉がこんな状況ではとても嬉しく感じてるのだが。「エレナ、お前は通信施設を確保して横浜基地副司令の香月博士へ通信を入れてくれ。伝える内容は『第四計画』『カガミ スミカ』『150億を掌に』だ、それで保護下に置いて貰えると思う」『それは……いえ、深くは聞きません………大尉』「なんだ?」時間はあまり無い。何の用事か急かして聞くと何処か顔を赤くしたエレナがごにょごよと口を動かしたくらいで何も聞こえない。俺は受信音量を上げようとコンソールに手を伸ばした瞬間、小さいがしっかりと聞こえた。『また、頭…撫でて下さい……』「―――――」『な、なんで呆けた顔するんですか!?』顔を赤くして声を張り上げるエレナに呆然としていた思考が元に戻る。いや、『生きて帰って来て下さい』くらいだと思ってたが……あれだ、非常に参った。「……了解、約束する。また後でな」『………ッ!』通信に写っていたエレアが一度大きく頭を下げ、戦場を一気に離れていく。Su-37UBは反応すらしない……完全に俺を標的に絞った、そういう事だろう。「さて……お相手は必要かな、お嬢さん?」エレナ機がレーダーから消えた後にそう告げる。目の前のSu-37UBは何も言わない。救難チャンネルを含めた全チャンネルで通信しているから声は届いているだろう。つまりは無視しているか、もしくは切ってるか……まぁ、あの二人のバックに立つ奴等には声は聞こえているだろう。『踊りは結構だそうですよ?普通の踊りは…』【SOUND ONLY】と表示された表示された画面から声が届き、それと同時にSu-37UBが持つ突撃砲は完全に俺をロックする。それに対し、俺は極めて冷静を保ったつもりで話し続ける。「……こんな回りくどい手をしたのも責任を問われる事なく機体を入手したかったからか?」『……はて?何の事ですかな?私には検討も‥』「こんな状況で白々しいぜ。どうせ俺の意思でここに来させ、そして機体を確保してデータを確保。混乱に乗じて、全てを知る者は闇の中…」『……』「侵攻するBETAの群れに向かって行っちまったんだから、何があっても国連は責任を問えないよな?たとえ機体を失い、死んだとしてもだ」『……お見事、我々も光州のような出来事は御免ですのでねぇ』「ああ、嫌な予感がしてたがここまでドンピシャだと嫌気が差すぜ」何処か愉快そうに声を弾ませる通信先の男、よほどここまで読んでいたのに此処に来た俺を笑いたいのかどうかは知らない。だが、コイツは根本から間違えている事が一つあった。「お前達は俺が邪魔、裏を知った俺を消して旨みだけを戴こう……そう言う訳か……納得した、どうせエレナにも追手を出すんだろ?中佐もどうせ同じだ」『ええ、その通り。では、無駄だとは思いますが……抵抗は少ないほうが機体に傷が少なくて済みますのでね』「そうかい………テメーらの間違いはたった一つ、たった一つのシンプルな答えだ」『?』Su-37UBがチェーンソーを展開し、眼前に掲げるように振動するソレを翳す。俺は弾の少ない突撃砲を捨て、最後のブレードを手に取って構える。F-18/EXが深く腰を落とし、正面にブレードを構える姿は異様な威圧感が発せられていた。俺は煮えくり返りそうな腸を押さえ、隠そうともしない殺気を全開に振りまく。久し振りに切れた、もう理性の糸一本も残っちゃいない。高まる跳躍ユニットの吸気音と共にゆっくりと息を吐き出す。そして、ゆっくりと…腹の底から吐き出すように言った。「テメーは俺を怒らせた」あとがき展開速いけど次回でクライマックス……かなぁ基本的なストーリーはTEと変化ないですしねー。