Muv-LuvSS投稿掲示板




No.12590の一覧
[0] 【完結】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- (冥夜エンドAfter、悠陽ルート)[牛歩](2009/11/07 22:17)
[1] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第02話[牛歩](2009/10/10 16:47)
[2] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第03話[牛歩](2009/10/10 17:43)
[3] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第04話[牛歩](2009/11/07 22:55)
[4] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第05話[牛歩](2009/10/12 01:48)
[5] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第06話[牛歩](2009/10/17 21:52)
[6] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第07話[牛歩](2009/10/12 01:51)
[7] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 最終話[牛歩](2009/11/14 21:39)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[12590] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第04話
Name: 牛歩◆42d60b86 ID:27c2e476 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/07 22:55
政威大将軍煌武院悠陽の元、御前会議が開かれる。
そこには軍人達だけではなく、各省庁の代表達の姿もあった。
議題は今後の国防と復興の方針について。
京都鎮守府を拠点とし、西日本でBETAを迎撃することは既に規定事項であり、特に異論もなく可決される。
上陸の予想される九州北部沿岸および山口県北西部沿岸において戦艦による艦砲射撃で漸減し、電磁投射砲の斉射で殲滅する。
例え数が多かろうと、電磁投射砲の斉射と後退、支援砲撃を繰り返し、更にはS11弾頭の地雷を駆使し、北九州-京都間約500kmを使って殺しつくす算段だった。

もう一方の復興に関しては大いに揉めた。
復興と一言で言っても、実際に行うべきことは多岐にわたり、それには莫大な予算を必要とする。
工業地帯の復興や鉄道、電気、ガス、水道、更には医療施設といったインフラの整備。
それに必要十分な予算を確保出来ぬ事は明白であった為に、何を優先するかで大いに揉めたのだ。
装備品を京都鎮守府の近くで調達できることもあり、帝国軍代表は重工業の多い中京工業地帯の復興と鉄道網の整備を優先するよう、主張する。
それに対し、内務省は鹿島臨海工業地帯で軍需物資の生産は足りており、それを運ぶ鉄道網といったインフラや、人口回復の為にも福祉を優先すべきと主張する。
その両者を勘案し、大蔵省の代表は鉄道網の復旧を優先するのは決定事項としても、中京工業地帯の復興と福祉の充実、予算的にどちらかしか不可能であると告げる。
鹿島だけでは弾薬の供給も満足に出来ぬのは甲21号作戦及び第二次明星作戦より明白であり、中京工業地帯の復興なくしては国防が成り立たぬと主張する斯衛軍代表。
短期的な視点より、長期的な視線に立っての福祉の充実を、人口の回復を行わなければ、いずれその弾薬を作る為の税金を納める国民が、使う兵士が居なくなると内務省や厚生省の代表達は反論する。

話が平行線になり始めた時、悠陽の横で所在なさげにしていた武が口を開く。
予算が足りないなら、他の歳出を抑えて回せばいい。
何を分かりきった事を、という目で睨まれて武はわずかに口元を引きつらせるが、武は防衛費を削減して工業地帯の復興に一時的に回すことを提案する。
当然、防衛線を維持できぬと帝国軍、斯衛軍の両代表は反発するが、それに対する案も武は用意していた。
EUや大東亜連合、何ならソ連でも良い。電磁投射砲の対BETA試射場として北九州を開放する。
もちろん弾代や燃料代から戦術機まで、全てあちら持ち。
向こうとしては最新装備がどこまでBETAに通用するか試せるし、帝国の運用ノウハウも実地で習得することが出来る。
こちらとしてはBETAを撃退できる上、電磁投射砲を売り込むまたとないチャンスに出来る。

試験運用だけでは半年から1年程度で帰ってしまう。その後はどうするのかという斯衛軍代表からの問いかけに、武はそれも考えてあると返す。
オーストラリアやニュージーランドといった、後方に位置する国家の軍を、国連軍として受け入れるのだと。
彼らはBETA大戦において兵を積極的に出していないことから、前線各国から度々責められている。
それらの国々は後方国家から食料を購入している以上、今まで大きな声にならなかったが、今後もそうとは限らない。
現在人類はBETAに対し攻勢に出ており、米国は先日リヨンハイヴを攻略した。
今後、前線国家が国土を回復するにつれ食糧の輸出量は減少し、国際的地位が下落することは明白だ。
かといってむやみに自国の国民の血を流すのは早々受け入れられるものではない。
だから帝国が安全な戦場を提供するのだと。
遠距離から電磁投射砲を撃ち、危険が迫ったら遠慮なく撤退して構わないという条件で彼らを受け入れ、北九州の防衛を任せようというのだ。

武の案に帝国軍代表は、帝国は帝国軍が独力で守る、守れると怒りを顕にする。
しかし大蔵省代表は歳出の削減になると諸手を挙げて賛成し、外務省代表もオーストラリアやニュージーランドも乗ってくるだろうと賛成の意を表する。
斯衛軍代表もまた、面子だけに拘っては横浜の二の舞となりかねぬ、と消極的賛成。
横浜は二度のG弾使用により、爆心地より3km圏内への12時間以上の滞在を禁止された、死の大地と化していた。
草木も生えず、鳥も獣も近寄らない。第二次明星作戦終了後、横浜に進駐した米軍もまた、身体障害者を量産して早々に退散していた。
その横浜を例に出されると帝国軍代表も黙るしかなく、武の案は受け入れられた。

こうして御前会議は以下の結論を出した。

復興において優先されるのは、まず第一に鉄道網を中心とした各種インフラの復旧、次いで人口増加のための福祉制度の拡充。
そして重工業を中心とした中京工業地帯の復興となった。
ただし中京工業地帯の復興は国連軍受け入れによって浮いた防衛費により始め、復興が軌道に乗り次第、生産する兵器等の輸出による税収に移行するものとされた。

会議の後、悠陽と共に私室に戻った武は大きな溜息をつき、会議前に悠陽から頼まれた役割を果たせたことに安堵した。
今回の御前会議にて焦点になるであろう箇所を、悠陽は会議前から把握していた。
その為、武を引っ張り出してその対策を提案させることで、彼が己の伴侶に相応しい見識を持っているように演出したのだ。
その期待に答えてみせた武を、悠陽は満面の笑みで褒め煽てるのだった。






各国首脳に対し、大日本帝国政威大将軍煌武院悠陽より、電磁投射砲試射会の招待状が送られる。
それに対し各国首脳は日本の現状を正確に把握しており、戦術機の派遣の条件を色々と付けようとした。
が、派遣する戦術機の数と条件で電磁投射砲の販売順序と販売数を決めると暗に言われては日本の出した条件で派遣するしかなかった。
もっとも、そんな首脳陣の思惑など与り知らぬ現場の衛士達は喜び勇んで駆けつけたのだが。
なにせ弾代や燃料代といった実費さえ負担すれば、最新兵器である電磁投射砲を好きなだけ撃たせてくれるというのだ。
しかもそこで要望を出せば、可能な限りカスタマイズし、後々の輸出時には各国仕様として反映したものを製造、販売してくれるという。
更にはBETAが攻めてきた場合、帝国軍の防衛線を下げてまで実戦試験を優先的に実施してくれるという。
これには各軍のトップガンたちは舌なめずりした。
彼らの中には帝国の意図を理解している者もいたが、電磁投射砲でBETAを薙ぎ払うという誘惑には勝てなかったのだ。

かくして近場は極東連合や統一中華戦線、ソビエトから。遠くはEUやアフリカ連合まで。
珍しい所ではイギリスの斯衛軍や、ヴァチカンの衛兵部隊など。
世界各国の軍の所有する、新旧全ての戦術機がわずか10日で、集合地点とされた大分に到着する。
旧式の機体はアフリカ連合等のF-4から、最新のものでは米国のF-22までが一同に揃った風景は、壮観なるものであった。
今回の電磁投射砲試射会において、講師の一人としてその風景を見ていた篁唯依大尉は、かつての国連軍ユーコン基地を思い出していた。

各国は旧大分市や旧別府市といった別府湾湾岸の各所に仮設基地を構え、電磁投射砲の試験を開始する。
帝国の電磁投射砲は帝国軍で使用しているF-4J撃震やF-15J陽炎、そして不知火にしか対応していなかったため、まずは各国の機体とのマッチングが行われた。
言語の壁や仕様の違いから作業は難航したものの、翌週には試射の準備が整い、各々が指定された演習場で試射を開始した。
そして4ヶ月が過ぎ、各軍の要求を元に電磁投射砲の改良が進む中、遂に鉄源ハイヴのBETAは東進を開始した。



当初の想定通り玄界灘から上陸を始めたBETAに対し、各軍派遣部隊は電磁投射砲を持って迎撃にあたる。
その圧倒的な制圧力に現場の衛士達のみならず、後方の整備士やCP達も興奮を隠せない。
しかしそんな中、BETAが響灘東部、下関の北にある福江からも上陸を開始したという報告が入る。

その知らせを受けた帝国軍からの要請により、米国のF-22が急行、その後を帝国軍の不知火やいくつかの国の機体が続く。
同じ第3世代機である不知火やタイフーンを瞬く間に引き離していくF-22の巡航速度に、玄界灘に残った各軍の衛士らは羨望の視線を送るが、すぐに前を向きなおした。
戦術機の数が半減した分、彼らのノルマは確実に増加したのだから。

戦術機の半減は電磁投射砲の半減と同義であり、制圧力の半減を意味する。
時間と共にBETAと機甲部隊との距離は近づいていき、補給のタイミングはシビアになっていく。
当初から撤退許可が下りていることもあり、トルコ共和国陸軍ドーゥル大尉は後退のタイミングを計るが、運悪く貸与されている電磁投射砲のうちの一門が動作不良を起こしてしまう。
均衡が崩れ、開いた穴を目指し殺到するBETA。
それを阻止すべく、ドーゥルは他の電磁投射砲を持つ機体に援護射撃を指示しようとするが、逆に援護射撃を禁ずる指示を出すことになる。
何故ならば、その射線上には複数の友軍部隊がいたのだから。
電磁投射砲は威力が高過ぎ、友軍まで吹き飛ばしてしまう。
そのため突撃砲や滑空砲での援護に入るが、元々トルコ軍派遣部隊は少数である為、防ぎきれない。
後退のタイミングを誤ったことを悔い、部下の、自らの戦死も覚悟したドーゥルであったが、そこに帝国軍機甲部隊が救援に入る。
九死に一生を得て一息つくドーゥルの元に、篁唯依から通信が入った。
ドーゥルの部隊を助けたのは、彼女の部隊だったのだ。
再会を喜ぶ言葉を交換した後、唯依は自分達が殿を務めるので後退するよう、ドーゥルに進言する。
彼女の部隊が電磁投射砲を持っていないのを確認しているドーゥルは共に後退するように説得するが、唯依は微笑んでそれを辞退する。
死ぬ気か、と怒りを顕にするドーゥルに対し、唯依は不敵な笑みを浮かべて告げる。
帝国が佐渡島ハイヴを落としたもうひとつの原動力、三次元機動の、〇四式基幹算譜の力を舐めないで頂きたい、と。
ドーゥルは嵩張る電磁投射砲を装備した機体は小回りが利かず、接近戦に向かないことは理解していたし、彼女の部下達の尋常ならざる動きも一目見て理解した。
そして唯依の不敵に哂う眼を今一度睨むと、ドーゥルは彼女の言葉を信じて頷き、後退した。


それはその後、防衛線を構成する各地で見られた光景だった。
弾幕が薄くなったことから距離を詰められ、再度距離をとるべく後退する派遣部隊と、逆に前に出てそれを援護する帝国の部隊。
当初からの取り決めとはいえ、派遣部隊の面々は帝国軍を盾に後退することに後ろ髪を引かれ、振り向いたときに見た光景に刮目することとなる。
そこにあったのは不知火やF-15J陽炎が不可思議な機動を持ってBETAを翻弄し、圧倒する姿。
もちろん普通の突撃砲や長刀を持っての戦闘だ。倒しているBETAの数など高が知れており、ゆっくりと後退している為に同時接敵数は増加の一途を辿っている。
なのに、堕ちない。中らない。
跳んで、撃って、駆けて、斬って、また跳んで。
一箇所に留まらず、常に動きながらの攻撃。正に攻防一体。
その動きに、衛士であるならば注目せずにはいられない。
そして疑問に思わずにはいられない。
何故、あのタイミングで回避できる?何故、跳ぶことが出来る?
その疑問は防衛線終了後、帝国軍衛士らにぶつけられる事になる。


戦闘終了後、帰還した大分仮設基地で、派遣部隊の面々から鬼気迫る勢いで迫られた帝国軍衛士を代表して沙霧は答えた。
〇四式基幹算譜を持ってすれば、誰にでもあの動きが可能なのだと。
〇四式基幹算譜を正しく使いこなせば、支援砲撃と電磁投射砲によって漸減されたBETAなど、恐れるに足らぬと。
派遣部隊の衛士達はそれを聞いて、帝国軍の衛士達をシミュレータ室に連れ込むと次々と対戦を挑んでは完敗していく。
しかし、負けた彼らは、心底嬉しくてたまらないといったように笑っていた。
この新OSがあれば、BETAに殺される仲間が激減すると。
そしてなにより、電磁投射砲と〇四式基幹算譜を持ってすれば、通常兵力のみでハイヴを攻略できると、派遣部隊の誰もが考えた。
しかしその淡い希望は、後からシミュレータ室に来た米国軍の衛士、アルフレッド・ウォーケンによって否定される。
電磁投射砲が普及すれば、防衛線が破られることはなくなるだろうが、ハイヴ攻略は違う。
フェイズ4のハイヴを一つ落とすだけで帝国軍は壊滅、しかも反応炉破壊後のBETAを処分しきれず、最終的には横浜でG弾を使用している。
また、反応炉を破壊した部隊の戦術機の中には燃料を使い果たし、未帰還となった機もあるという。
それはより大規模であり、進攻距離の長くなるフェイズ5以上のハイヴにおいては、戦闘機動を行いつつ反応炉に到達することが事実上不可能であることを意味していた。
ウォーケンに話を振られた沙霧は、苦い顔でその言葉を肯定する。
確かに電磁投射砲と〇四式基幹算譜を以ってして帝国は佐渡島ハイヴを攻略したが、その攻略戦から続く一連の戦いにおいて、帝国軍は壊滅的打撃を被り、G弾の使用を止めれらなかった。
それゆえ、軍の再建の為に徴兵年齢は16歳まで引き下げられてしまったのだと。

先程までの熱気は去り、シミュレータ室に重い空気が流れる。
それを打ち破るようにウォーケンは胸を張って宣言する。
だが、心配する必要はない。人類にはG弾がある。
その力を持ってすれば、少ない犠牲でハイヴを落とせることは、フェイズ6に達していたリヨンハイヴ攻略で証明されていると。
それにアフリカや中南米、オセアニア各国の衛士らが同調したことで、室内は一応の活気を取り戻す。
しかしEUや中東の衛士らは、取り戻した自らの故郷が異常重力地帯と化してしまうことを思うと、表情に苦いものが混じることを禁じえなかった。


派遣部隊から新OSの報告を受けた各国、各軍上層部は〇四式基幹算譜に興味を示す。
ハイヴ攻略は厳しいものの、戦術機の運動性を高めることで、その帰還率が飛躍的に向上するという謳い文句は本物であったという派遣部隊からの報告が彼らを動かした。
XM3の盗作疑惑もあり、これまで積極的に帝国に問い合わせていなかった彼らも、現場からの強烈な要請を受けて帝国に対し、新たな接触を試みる。
この問い合わせの山に、帝国の官僚たちは歓喜した。
盗作疑惑のおかげで海外には売れないものと諦めていた〇四式基幹算譜が売れる目処がついたのだから。

だが、ここで帝国はすぐには各国に対し〇四式基幹算譜を提供しなかった。
〇四式基幹算譜を提供する代わりに、大分に国連軍の基地を設置して兵器実験場にすることを提案したのだ。
もちろん鉄源ハイヴから侵攻してくるBETA迎撃もまた、この基地の重要な任務となる。
当初は後方国家に提案するつもりであった、多国籍軍を国連軍として受け入れるというカードを、帝国はここで切った。
BETAとの実戦試験もできるという条件は、かつてのエヴェンスクハイヴとユーコン基地の関係に近い。
そのため各軍としても受け入れやすく、また戦力提供量に応じた〇四式基幹算譜の値引きという条件もまた、魅力的だった。
こうして2005年9月、別府湾沿岸の各国駐屯地を一括する形で極東国連軍大分基地は誕生した。
もっとも、それは連絡事務所となっていた旧大分市市庁舎に国連旗がたなびく様になっただけのものではあったが。

大日本帝国首脳部は電磁投射砲と〇四式基幹算譜の販売での外貨獲得に目処がつき、また国連基地の大分への誘致に成功したことで帝国軍再建に幾分の時間的余裕を手に入れたことで、やっと一息つくことができたのだった。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.022232055664062