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No.12590の一覧
[0] 【完結】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- (冥夜エンドAfter、悠陽ルート)[牛歩](2009/11/07 22:17)
[1] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第02話[牛歩](2009/10/10 16:47)
[2] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第03話[牛歩](2009/10/10 17:43)
[3] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第04話[牛歩](2009/11/07 22:55)
[4] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第05話[牛歩](2009/10/12 01:48)
[5] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第06話[牛歩](2009/10/17 21:52)
[6] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 第07話[牛歩](2009/10/12 01:51)
[7] 【ネタ】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- 最終話[牛歩](2009/11/14 21:39)
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[12590] 【完結】Muv-Luv Unlimited -円環の欠片- (冥夜エンドAfter、悠陽ルート)
Name: 牛歩◆42d60b86 ID:27c2e476 次を表示する
Date: 2009/11/07 22:17
Muv-Luv
Unlimited
-円環の欠片-


これは、ありえたかもしれない一篇の物語。



2003年7月、御剣冥夜と香月夕呼、社霞らを乗せた移民船団がバーナード星系を目指し、地球を後にした。
それに伴い、国連軍横浜基地は移民船団への物資・人員の打ち上げ拠点としての役割を終え、その規模を縮小する。
日本から供出されていた人員も少なくない数が帝国軍や政府、各研究機関に復帰することになった。
そうして帝国に復帰した彼らは、米国の狗、という国連に対するレッテルに直面する。
研究者は碌な予算も与えられずに飼い殺しにされ、軍人であれば最前線に送られたのだ。

その帰還組の中には白銀武ら元207B訓練部隊の面々も含まれていた。
しかし彼女らの後ろ盾達は最前線送りを認めず、4人は帝都守備隊に配属されることになる。
そう、香月夕呼という強力なバックボーンを失った白銀武を除いた、榊千鶴、珠瀬壬姫、彩峰慧、鎧衣美琴の4人である。
彼女達4人と別れた武は、他の元・横浜基地所属の衛士達と共に、甲21号目標に対する第一防衛ラインに配属された。
それは異様な部隊だった。近代化改装の施されていないF-4J撃震と帰還組衛士からなる、最もハイヴに近い場所を守備する部隊。
その意味するところはただ一つ。

『死ね』

太平洋戦争の頃から、日本の軍の陰湿な部分は変わっていなかった。
上官の命令に従い、何も知らずに二二六事件に参加した一般兵士らにしたように。
敵地で撃墜されながらも、万難排し生還した戦闘機パイロット達にしたように。
世界最大の戦艦、武蔵の沈没後にその乗組員達にしたように。

そして配備から半月と置かずに、佐渡島ハイヴから旅団規模のBETAが襲来した。
彼らは、戦った。彼らを見捨てた祖国への憤りを胸に抱きつつも、生きる為に。隣に立つ戦友を守る為に。
みすぼらしい最前線の仮設基地で彼らを待つ、同じ元・横浜基地所属のCPや整備兵らを守る為に。
しかし支援砲撃もない中、旧式の装備で排除できるほど、否、生き残れるほどBETAは甘くない。
1人、また1人と欠けていき、補給もままならない中で銃弾が尽きると更にそれは加速する。
そしてBETAの津波が去った後に立っていた戦術機は、たった1機のみだった。
変態とまで言わしめたその機動をもってして、白銀武はただ一人、生き残ったのだ。



全滅したと思われた、第一防衛ラインの衛士の帰還。
当初は温かく迎えた帝国軍であったが、武の所属部隊を知ると途端に冷淡になった。
初陣であったにも拘らず、ただ一人生き残れたのは逃げたからに違いないと主張する青年将校まで現れる始末だった。
更に悪いことに、その話を耳にした基地指令は、碌に捜査もせずに武を敵前逃亡の疑いで逮捕、投獄してしまう。
後になって事実を知った指令は引っ込みがつかず、証拠探し、もとい証拠作りとして彼の乗機のボイスレコーダと操縦ログの徹底的な精査を行い、粗捜しをする。
その結果わかったのは、ボイスレコーダからはBETA上陸直後に錯乱した彼が一騎駆けを行い、結果的にそれが陽動として当初は有効に機能していたこと。
しかし多少引き付けた所で大勢に影響はなく、もっとも危険な囮であった筈の彼を残し、全滅してしまったこと。
そして操縦ログからは、異様なまでに多い無駄な入力と、光線級を恐れぬかのような跳躍の多用。

捜査の結果は、接敵直後の一騎駆けを軍令違反としての5日間の独房入り。
これが白銀武の正式な罪状となった。
敵前逃亡のままであれば銃殺であることを考えれば、無罪判決に等しい。
なにせその決定が下ったのが彼の投獄から5日目であり、決定と同時に釈放されたのだから。
投獄した人間たちの経歴に傷をつけないために、白銀武のそれに汚点がひとつ、書き加えられたのだ。


独房から出た武を、懐かしい人物が待っていた。
神宮寺まりも中尉。彼女は富士教導隊からの迎えだった。
富士教導隊を取りまとめる大隊長は、かつての部下が参加した武の操縦ログ調査の結果を聞き、先日復帰したまりもから武の人物像や腕前を聞き出していた。
その結果、彼に並々ならぬ興味を抱き、所属先部隊の消滅により、事実上無所属となっていた彼を引き取ったのだ。
武が無事釈放されたのは、この隊長の働きかけが何よりも大きかった。

富士駐屯地。教導隊の本拠地に着いて、最初に武が案内されたのは一つの作戦会議室だった。
そこで待ち構えていた軍人達の視線を受け、たじろぐ武だったが、まりもに促されて着任の挨拶を行う。
駐屯地指令は返礼もそこそこに同席する富士教導隊の大隊長および中隊長を軽く紹介する。
一通りの紹介が終わったあと、大隊長は先日の戦闘について武に質問を始めた。
その特異な機動、無意味にしか見えない動作中の入力について。
質疑はいつしか教導隊の技官も混じえての議論となる。武は幾度も繰り返し、言葉を変えて己の機動概念を語った。
繰り返し聞くことにより、その概念は既存のそれとはまったくもって異質であることを彼らは理解する。

それまでの平面的な機動に跳躍という縦の動きを加えた、三次元機動という新たな概念。
実戦証明のされたその新たな機動概念に加え、武の欲する画期的な機能の有用性もまた彼らを興奮させた。
入力待ちをなくす為の先行入力。
不意打ちに対応するためのキャンセル。
操作を簡略化し、衛士への負担を下げるコンボ。

これを受けてOSの試験的な改造が決定された。


教導隊はその名のとおり、兵士を教え導く部隊だ。その為、新らしい戦術を、新しい機動概念を常に求め続けているのだ。
それらを実現する為の予算と権限を多少なりとも保持していた。
その限られた範囲内での試験であったために、比較的容易であった先行入力と、先行入力限定のキャンセルが組み込まれた。
シミュレータに続いて行われた実機での試験でもそのOSは良好な結果を残し、技術廠での本格的な開発が開始される。
武はまりもと共にテストパイロットしてOSの開発に参加、提唱者として計画を牽引していった。
しかし順調に推移していた開発はやがてひとつの壁にぶつかる。
それはOSの肥大化に伴う演算能力不足からくる、応答性の低下。
即応性を求めた新OSにとって致命的な欠陥だった。
米国製の最新型CPUを使用しても処理が間に合わず、計画は頓挫したかに思われた。
だが、それは技術廠内部で冷や飯を食っていた、元・横浜基地所属の技官たちによって解決される。

『量子電導脳』

かつて香月夕呼が探求し、完成には至らなかったモノ。
しかしそれはこの時点でも米国製の最新型CPUを遥かに上回る演算処理能力を持ち、何より新OSの欲する並列処理能力に長けていた。
冷遇されていた元・横浜基地所属の技官達は新OSが行き詰ったと見るや、彼らの持つ技術を売り込んだのだ。
そしてG元素が使えないにも拘らず、極めて短期間のうちに新OS用に再設計し、完成させたみせた。
ソフトウェアとハードウェアが揃い、開発開始からわずか半年で新OSは完成する。
試製〇四式基幹算譜という名を与えられたそれは、富士教導隊において試験されることが決定していた。

教導隊での試験運用開始においても武とまりもの元・国連軍というレッテルは一部から感情的な反感を買うが、彼らはその新たな力を持って反感をねじ伏せる。
教導隊のトップガン達はその力を身を持って知り、以降は三次元機動の習得に励んだ。


2004年6月、武が教導隊に来てもうすぐ1年が過ぎようとした頃、佐渡島から再び大規模な侵攻が開始された。
越後山脈に隠れる形で厚木基地から飛び立った武ら富士教導隊1個大隊は群馬県水上町で降下、NOEで第一防衛ラインの援護に向かう。
崩壊寸前だった防衛ラインは彼らの参戦によって持ち直し、小型種こそ取りこぼしたものの中型種や大型種はほぼ水際で食い止めて見せた。
国連軍からの出戻り部隊が壊滅し、最終防衛ラインまで達した、あの1年前の侵攻に勝るとも劣らぬ数であったにも拘らず、第一防衛ラインは耐え切って見せたのだ。
その原動力は富士教導隊であり、彼らが用いた新たな機動にあることは誰の目にも明らかであった。
こうして実戦証明を終えた試製〇四式基幹算譜は現場の衛士達からの絶大な支持を持って、〇四式基幹算譜と名を改め正式採用された。


それからわずか半月後、フェイズ4に達していた甲26号目標エヴェンスクハイヴが攻略される。
バビロン作戦がついに動き始めたのだ。
G弾を用いたハイヴの攻略は横浜同様の重力異常を発生させる。
それは帝国内部に一刻の猶予もないことを知らしめ、〇四式基幹算譜導入の追い風となった。
急ピッチで帝国軍の戦術機への〇四式基幹算譜の搭載と、それを操縦する衛士に三次元機動の普及が進められる中、斯衛軍にもそれらを普及すべく武に出向命令が下る。
そこで政威大将軍たる煌武院 悠陽に拝謁した武は前日教え込まれた作法も忘れ、ただ立ち尽くし、かつて愛した女性の名を呟く。

冥夜、と。

悠陽は、御剣冥夜とよく似たその顔にやさしい笑みを湛えて彼を迎えた。
まりもの機転でその場をしのいだ武は、悠陽たっての希望で行われた個人的な教導の場において悠陽と冥夜、二人の関係を知ることになる。
そして1ヶ月の出向期間の間、武と悠陽はその仲を深めた。
また、武はこの期間に斯衛軍独特の、長刀を軸とした近接戦での機動を学び、三次元機動をより高みへと昇華させた。



2004年12月、帝国軍の全戦術機の〇四式基幹算譜への換装と全衛士の習熟訓練の完了を持って、1つの作戦が発動される。
甲21号作戦。
佐渡島奪還作戦であるそれは、帝国軍が主体となって通常戦力で行われることになっていたが、それが頓挫した場合はすぐに国連の名の下に、G弾が使用される事になっていた。
富士教導隊はその腕を買われ、ハイヴ突入部隊として選抜した一個中隊を出すこととなる。その中には武の名もあった。

そして甲21号作戦は状況を開始する。
戦艦の艦砲射撃と海神の強襲上陸、それに続いて上陸した機甲師団が電磁投射砲を持って、地上のBETAを一掃する。
〇四式電磁投射砲。試製九九式電磁投射砲から5年。
それだけの歳月を掛けて完成したそれの圧倒的な火力こそが、〇四式基幹算譜と共に独力でのハイヴ攻略を帝国軍に決意させたものだった。
それは期待通りの戦果を挙げ、やがて地上陽動は十分と判断されると同時にハイヴ突入が開始される。
しかし全突入部隊が地下茎に侵攻を開始してから時置かずして、想定外の大深度から圧倒的多数のBETAが奇襲をしかける。
これを受け状況は混乱し、戦線は崩壊しかけるも、総予備として控えていた斯衛軍の参戦をもって戦線の維持に成功、地上陽動部隊は想定外のBETA急襲を凌ぎきった。

地上部隊への急襲と時同じくして、武ら突入部隊もまた、ドリフトを埋め尽くすほどのBETAの急襲をうける。
幾つもの突入部隊が力及ばず全滅する中、武たち富士教導隊選抜中隊もまた、全身全霊を持って対処することになる。
電磁投射砲の一点集中砲火でBETAの津波に穴を穿ち、そこへ無反動砲でS-11を投射。S-11にセットされた遅延信管は数多のBETAの中に埋もれながらも正常に作動し、津波の如く押し寄せるBETAの大群を中から吹き飛ばす。
それによって抉じ開けられた隙間を強行突破、中隊は数を減らしながらも反応炉フロアへと向かう。
その後も〇四式電磁投射砲の打撃力とS-11の破壊力、〇四式基幹算譜の機動力と仲間の挺身を以って前進を続け、富士教導隊選抜中隊は、実にその半数を反応炉フロアに到達させることに成功する。
かくして、遂に甲21号目標、佐渡島ハイヴの反応炉は破壊された。

武たち突入部隊はメインシャフトを通って地上に帰還、オープンチャンネルで反応炉破壊成功の知らせを全軍に伝えるが、そこには喜びを分かち合う者はいなかった。
反応炉を失ったBETAは帝都方面を目指して侵攻を開始しており、それの対応に皆追われていたのだ。
燃料、弾薬をほぼ使い果たしていた富士教導隊選抜中隊の面々もまた、補給後すぐに防衛戦に参加する。
しかし武はその中にいなかった。
彼の乗機たる不知火弐型は地上に出るだけの燃料がなく、反応炉フロアに置いて来ていたのだ。

戦術機母艦で臍をかむ武の下に月詠 真那が訪れる。
再会の挨拶もそこそこに、彼女は武に渡すものがあるので付いて来いと言う。
辿り着いた場所で彼を待っていたのは、紫の武御雷だった。
彼の帝国軍への転属に伴い斯衛軍に、悠陽の元に返されたはずのそれは再び彼の前に現れた。
月詠は悠陽の言葉を伝える。これは冥夜から武への贈り物だ。だから、返すと。
その言葉を武は喜ぶが、紫の機体に乗ることは帝国軍で1年を過ごし、その意味と重さを知った彼を躊躇させる。
その彼に月詠は頭を下げる。
この国を、殿下を守ってほしいと。冥夜様の気持ちを無駄にしないでほしいと。
突然のことに戸惑いを隠せぬ武だったが、白の3人組にまで頭を下げられるに至り、心を決める。
冥夜と悠陽の想いを、月詠らの願いを武は力強く頷いて受け取った。



新潟は混乱の極致にあった。
佐渡島から文字通り飛んで戻って来る機甲部隊が逐次戦闘に加わっていった為、防衛線の崩壊こそ防がれていたものの、今までにない圧倒的物量に押し潰されるのは時間の問題だった。
指揮系統は混乱し、それ故に支援砲撃は誤射を恐れてできない。
急速に拡大する損害に衛士達の心に絶望の色が広がり始めたとき、紫の武御雷が僅か4機の供を連れて現れた。
破竹の勢いでBETAを狩る5機の武御雷。そしてオープンチャンネルで流される悠陽からの激励の言葉。
音声のみであった為にそれは将軍自らの出撃と受け止められ、士気は弥が上にも高揚する。

衛士らは折れかかった心を再度奮い立たせ、立ち向かう。
弾薬が尽きれば長刀で。長刀が折れればナイフで、それも折れればただ機動のみを持ってBETAを引き付け、そして燃料が尽きる頃には密集したBETAの中に突入し、S-11を持ってして自決する。
管制官たちも声よ嗄れよとばかりに言葉の限りを尽くし、時には指揮所の中を駆け回って指揮系統を立て直していく。
そして戦艦内の司令部でも作戦が早急に立て直され、なし崩し的に始まった防衛戦はその形を整えていく。
指揮系統の回復とともに支援砲撃が始まる。補給を終えた戦艦からの艦砲射撃もまた、再開される。
最終的には甲21号作戦に参加した斯衛軍が補給を終えてその総力を持って参戦し、更には第2次防衛ラインの機甲師団が、その防衛ラインを押し上げて半数の戦術機を派遣するに至り、ついに本土の防衛はなされた。

戦闘が終わったとき、参加した部隊の平均損耗率は実に7割を超えており、その損害はあまりにも大きかった。
しかし、帝国軍は、帝国民は歓喜した。その血を代価として、失われた国土を取り返したのだから。
そして武は反応炉を破壊した英雄の1人として帰還する。もはや彼に対する、蔑みの言葉はなかった。彼を、蔑視する者はいなかった。




■後書き■

ここまで御読み頂き、ありがとうございます。
牛歩です。名前のとおり、執筆速度が牛です。
このSSを書こうと思い立ったのが2年位前なのですが、書くに当たってプロットを書いておこうと思ったら。。。
はい、書き終わるまで2年が経ってました。
書いているうちにプロットが何時の間にか粗筋レベルになり、1500行以上になってしまうという何とも間抜けな結果に。。。
その間の自分の執筆速度を鑑みると、SSとして書き上げるなど不可能だと判断しました。
なので、このままHDDの肥やしにするよりは、誰かに見てもらいたい!と思いまして、チラシの裏に投稿させて頂きました。
200行程度を目安に、もう一度だけ校正してから切りの良い所で順次投稿させて頂きます。

粗雑な粗筋ですが、最後まで宜しくお願いします。


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