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No.12234の一覧
[0] 鬼才と進む道【お知らせ追加】[春夜](2011/09/19 16:04)
[1] プロローグ[春夜](2009/10/12 19:45)
[2] 【第一部】第一話 オペレーション・ルシファー[春夜](2009/10/15 21:19)
[3] 【第一部】第二話 魔女と鬼才[春夜](2009/10/15 21:18)
[4] 【第一部】第三話 オルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊[春夜](2009/10/15 21:17)
[5] 【第一部】第四話 教導隊の顔[春夜](2009/10/18 11:10)
[6] 【第一部】第五話 嵐の前[春夜](2009/10/15 21:15)
[7] 【第一部】第六話 AH[春夜](2009/10/15 21:15)
[8] 【第一部】第七話 AH――そして[春夜](2009/10/15 21:14)
[9] 【第一部】第八話 追憶――海[春夜](2009/10/15 21:13)
[10] 【第一部】第九話 充填期間[春夜](2009/10/15 21:12)
[11] 【第一部】第十話 巣立ちの日[春夜](2009/10/15 21:11)
[12] 【第一部】第十一話 変遷[春夜](2010/01/11 22:11)
[13] 外伝 第一話 戦う理由[春夜](2009/10/06 22:33)
[14] 外伝 第二話 追憶――誕生日【社霞誕生日記念SS】[春夜](2009/12/05 19:56)
[15] 外伝 第三話 オルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊の日常?[春夜](2009/10/28 23:03)
[16] 【第二部】第一話 白銀来る[春夜](2009/11/05 21:25)
[17] 【第二部】第二話 違和感[春夜](2009/11/07 23:05)
[18] 【第二部】第三話 九州戦線[春夜](2009/11/12 19:19)
[19] 【第二部】第四話 齟齬[春夜](2009/11/24 20:40)
[20] 【第二部】第五話 横浜基地[春夜](2009/12/05 23:13)
[21] 【第二部】第六話 2001年11月11日[春夜](2010/01/11 22:14)
[22] 【第二部】第七話 訓練兵を鍛えようin横浜[春夜](2009/12/21 19:47)
[23] 【第二部】第八話 クーデター 序 ――それぞれの思い[春夜](2010/01/23 23:02)
[24] 【第二部】第九話 クーデター 破 ――それぞれの思惑[春夜](2010/01/23 22:59)
[25] 【第二部】第十話 クーデター 急 ――銀[春夜](2010/02/17 09:34)
[26] 【第二部】第十一話 long long time ago[春夜](2010/02/21 14:13)
[27] 【第二部】第十二話 追憶──天を照らす星[春夜](2010/02/25 20:51)
[28] 【第二部】第十三話 偽りの宝物[春夜](2010/03/07 22:01)
[29] 【第二部】第十四話 偽りの英雄[春夜](2010/03/12 17:17)
[30] 【第二部】第十五話 偽りの平穏[春夜](2010/03/18 17:20)
[31] 【第二部】第十六話 集う道[春夜](2010/05/08 22:20)
[32] 【第二部】第十七話 追憶──終わりと始まり[春夜](2010/05/29 01:22)
[33] 【第二部】第十八話 絡まる思い[春夜](2010/09/15 18:12)
[34] 【第二部】第十九話 乖離[春夜](2010/09/15 18:13)
[35] 【第二部】第二十話 間隙[春夜](2010/09/28 23:12)
[36] 【第二部】最終話 次へ[春夜](2010/11/06 23:56)
[37] 設定集[春夜](2010/02/25 20:52)
[38] 【ネタ】オルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊の天敵[春夜](2009/11/05 20:33)
[39] 【ネタ】Short Short[春夜](2009/10/10 10:52)
[40] 【IF】もしも彼女が~~たら その一[春夜](2010/03/12 17:21)
[41] 【第三部】プロローグ[春夜](2011/01/01 23:48)
[42] 【第三部】第一話 フロリダ基地襲撃[春夜](2011/09/14 17:08)
[51] 外伝第四話 壱玖玖漆[春夜](2011/09/18 14:47)
[52] 打ち切り? のお知らせ 2012/05/17追記[春夜](2012/05/17 00:30)
[53] 追加のお知らせ[春夜](2013/08/08 05:08)
[54] 【第二部】二十一話[春夜](2013/08/08 05:04)
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[12234] 【ネタ】オルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊の天敵
Name: 春夜◆0856b548 ID:7c291c8b 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/05 20:33
 MFC。みんなご存じミリアファンクラブ。最近会員数が六桁目に入ったと噂のミリアファンクラブ。そのトップ――シングル№で構成された定例の幹部会がフロリダ基地某所で行われていた。
「連中の攻勢は日に日に激しくなっている」
「既に第十八支部と第百三支部がやられた」
「保安局員は既に掌握済みだ……心配ない」
「だが奴らはたったの四人だというのだぞ」
「あの程度の能力。我らには遠く及ばない」
「だが、潰すこともできないのが辛い所だ」
「そんなことをしたらミリアたんに嫌われてしまう」
 うむ。と全員頷くシングル№ども。実に変t……紳士的である。
「やはりダミーを用意するしか……」
「MDBの所在をつかまれるのだけは避けなければ」
「幸い向こうに情報のエキスパートはいない。そう簡単には……」
 ちなみに、これは全くの余談ではあるがフロリダ基地にはオルタネイティヴ予備計画のために優秀な人材がそろっている。そして、その中にはもちろん情報――電子戦のエキスパートもいる。だが何故彼らはいないと断言できるか。それはオルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊側にはいないという話である。全く持って余談であるが。
「ではこれからも付かず離れずミリアたんを見守りましょう」
「御意……にしてもゼロ様はどこにいかれたのやら」
「最近お姿を見ませんな……」

「敢えて言わせて貰おう! エミリナ=アディソンであると!」
(え~~)
 武以下四名、全員で心の中で投げやりに突っ込む。
 ミリアの執務室のあるフロアのブリーフィングルーム。セキュリティーの観点でもオルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊の打ち合わせにはここが一番都合のいい場所である。
 彼らが見ているのは次に教導することになった部隊の映像。一人の能力が高くて他のメンバーが追いつけないのでどうにかして欲しいらしい。確かに滅茶苦茶だった。
「あ、今反転噴射倒立した」
「……XM3無しで着地の硬直を消してるぞ?」
「あれって完全マニュアル操縦ですよね」
 小隊同士の模擬戦らしいのだが、実質一対四である。何しろ件のエミリナ女史があほみたいに強くて他の三機が追いつけていない。そして三機が到達した頃には既に相手の三機が落とされていた。よってまた四対一。
「……人間?」
 全員が同じことを思った。
「人間……のはずだよ。多分」
 ミリアすら自信なさげである。実は戦術機の形した新種のBETAでしたと言われたら全員納得しそうである。
「で、今度この部隊を教導するんだが」
 仕切り直すように武がいう。手元にあるのはその資料。主にエミリナ=アディソンの。
「階級は中尉……しかしこの階級は本人が昇進を嫌ってむかつく上官を殴り何度も降格した結果で、本来なら佐官クラス」
「何で処罰受けないのかな?」
 シルヴィアがふと思いついたように口にする。それに対してギルバートが資料に目を落としながら簡潔に答える。
「噂では上層部に多大なコネがあるらしい」
 別に大した興味がないのかふーんと言って流すシルヴィア。
「記録ではインフィニティーズのF-22A先行量産機とのDACTでF-15Eで一人生き残り相手の二機連携を撃破したとか」
「…………人間?」
 改めて全員が同じことを思った。F-15EでF-22Aに勝っただけでも眉唾物なのに相手が教導隊を教導するインフィニティーズ。しかも最終的には二対一である。余談だがその時のF-22Aの衛士はユウヤとレオンだったとか。
「……段々私も人間じゃないような気がしてきたよ」
 人間離れした知能を持つミリアですらそう称したくなるハイスペックぶりだった。
「ふ……そんなに褒められると照れるな」
 その言葉に全員が一斉に振り向く。視線が集中するのは部屋の入口。しかしそこには誰もいない。
「どこをみている? 私はここだ」
「なっ!」
 全員が絶句する。音もなく、当然のように彼女はブリーフィングルームの中央――ミリアの正面に立っていた。
「ミリアっ」
 この女が何を目的にしているのかわからない。だが最悪の事態を想定して彼らは動く。武はミリアと彼女の間に立ち、盾になるように。シルヴィアとケビン、ギルバートはそれぞれが射線に入らないように、ミリアを射線にいれないように拳銃を構える。
 くどいようだがオルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊の隊員はいずれも精鋭である。戦術機による戦闘に特化していると思われがちだが、中でもそれが頭一つ高いのであり、他の能力も軒並み平均を上回っている。その彼らが。
「あ」
「む」
「わ」
「へ」
 一瞬で無力化された。まるでコマ落ちした映画のように全員が地面にひれ伏す。そして一拍遅れてカランカランと弾薬が抜かれた拳銃が転がる。立っているのは入ってきた女とミリアのみ。
「やれやれ……私たちの出会いを妨げようとするからこうなる」
「ぐ……」
 何をされたのかさっぱりわからなかった。だが、確実なのは今武たちは動けずに、この女が何かしようとしたら止めることはできないということ。
「会いたかった……会いたかったぞ。ミリア=グレイ……」
「私は別に会いたくないわね」
 彼女がいるからか外向きの口調で受け答えるミリア。
「ああ、そんなつれない態度も素敵だ……」
 一歩、また一歩と近づく女。それを武たちは地に伏したまま見送るしかない。
「抱きしめたい……いや、むしろ抱きしめる! ミリアたん!」
『MFCかああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!』
 全員の声が揃った。シンクロ率で表すなら200%をあげてもいいぐらいに。

「と、言う訳でエミリナ=アディソンだ。こうしてミリアたんに会えたことにおとめ座の私はセンチメンタリズムな運命を感じずにはいられない」
「いや、無理に押し行ってきたから」
「そんな道理、私の無理でこじ開ける!」
「うん、知ってる」
 初っ端からテンションマックスなエミリナと疲れたように適当に突っ込む武。ちなみに他の隊員は疲労困憊でまたも地面に伏している。取りあえず全員背中が上下しているので息をしているのは確かだが。
 あの後、ミリアに抱きつこうとするエミリナを阻止するために頑張って全員立ち上がったが、何をされたのかもよくわからない攻撃で次々と地に伏す体勢に逆戻りだった。予備の拳銃で撃っても何かパラパラ地面に粉末が落ちるだけだった。それでも全員果敢に立ち向かうがやっぱり何をされたのかよくわからない攻撃で次々と宙を舞い、地面に叩き伏せられた。そんな中偶然届いた一発の弾丸。それは狙い違わず彼女の胸に当たり――。
『危ない危ない……ミリアたんの写真と私の巨乳がなければ即死だった』
 というふざけたセリフと共に完全に武たちは無力化された。
 そんでもってミリアは思いっきり抱きすくめられていた。その時顔を胸に押し付けられていたミリアがこの騒ぎが終わった後自分の胸を見下ろして溜息をついていたのは仕方のないことだと思う。
 どうにか立ち上がる気力を得た武はソファーに座ってエミリナと対面している。ちなみに他の三人は。「銃弾素手で受け止めるとかあり得ないだろ……」「何でMFCの人たちってミリアの写真があれば即死級の攻撃でも平気なんでしょうか……」「っていうかあの胸なによ……私よりもデカイって普通にショック何だけど……」と良い感じで落ち込んでいて使い物にならない。
「で、今回はどのようなご用件で? ぜひとも中尉にはアポイントメントという概念の存在と、社会常識を学んできてほしいのですが」
 武らしくもなく会話に皮肉が交じる。っていうか皮肉しか言いたくない気分だった。
「付け加えるなら今回の騒ぎでのもろもろの経費は貴女の給料から差し引くのであしからず」
 ミリアが冷たい態度で接すると。
「ああ、ミリアたんの冷たい視線……ハアハア」
 となる。とんでもない変t……紳士、いや淑女と言いかえるべきか。これが淑女だったら○V女優だって深窓の令嬢だろと言いたいが。そしてミリアがいると話が全く進まないので執務室に帰らせた。
「ふむ、ミリアたんがいないのでは意味がないな。帰るか」
「待てこのクソ(ピーーーーーーーッ」
 怒りとか色んな感情が混ざった結果お見せできない言葉を発してしまった武ちゃん。シルヴィアが若干引いている。
「全く。こんな淑女を言うことかいて(ピーーーーーーーッで(ピーーーーーーーッで(ピーーーーーーーッ、(ピーーーーーーーッな(ピーーーーーーーッだと? お前の頭は(ピーーーーーーーッなのか?」
「言ってねえ!? しかも淑女はあり得ない!」
 まさに放送禁止用語のオンパレード。これが淑女だったら(以下略。
 そんなやり取りが数分会った後。
「ああ、そう要件ね。要件。一番はミリアたんに会うことで。二番がミリアたんに抱きつくこと。三番がミリアたんをふもふもすることで四番がミリアたんにクンカクンカすることで五番が――」
「ミリアに対すること以外で!」
 埒が明かないので武が叫ぶ。宗像相手でこういう輩には耐性があるつもりだったが、次元が違いすぎる。
「ああ、さっきそこのお嬢ちゃんとにゃんにゃんするが付け加えられた」
「全力でお断りします」
 即答だった。
「ふむ……では後は。ああ、今度教導してもらうからその挨拶」
「わざわざ直接足を運ばなくても――」
「っていう口実でミリアたんに会いに来た」
 もう突っ込む気力も起きなかった。ついに武も地面に倒れ伏す。うわごとのように「純夏ぁ……俺は今最大の敵と戦っているよ……霞……俺に力を貸してくれ……」とか呟いているが、誰にも聞かれなかった。
 代わりに復活したのはシルヴィア。
「っていうかどうやって入ってきたんですか」
「普通に」
「普通に入れるフロアじゃないでしょう!?」
「ふ……何、新人のセキュリティー要員の前で胸を強調してな。私い、ここのフロアに入るパスが欲しいなあ。って言ったら簡単にくれたぞ。彼は私がレズだと知らなかったらしい」
 実際にはもっといろいろ言葉がついていたが、要約するとそうなったらしい。
「っていうかレズって言うの別に聞きたくなかった……」
「なるほど。試してみたいと。良いだろう。理想郷を見せてやるぞ?」
 サイト的な意味じゃなくて。そしてその言葉に身の危険を深刻に感じたシルヴィアはギルバートにパス。
「で、この部屋にはどうやって?」
「普通に。貰ったパスを使って」
「……この部屋のセキュリティー権限は基地司令とグレイ博士しか持っていない。いくらセキュリティー要員でも」
「うん。だから基地司令の爺にこの前のことばらされたくなかったらここのパスよこせって」
「バカな!?」
 そんなにあっさりパスを与えてしまったということが信じられずに叫ぶギルバート。上層部にコネがあるというのは本当だったのか、と考えると。
「馬鹿だよな。適当にカマかけただけで私は何も知らないのに勝手に色々喋ってくれたし」
 その言葉に人の上に立つ人間とは何だろうと考え始めてしまったギルバートに代わって相対するは……ケビン。既に勝負は見えていた。
「ほう……なかなか可愛らしい少年だ。どうだ? お姉さんと良いことしないか?」
「え、えぇぇ!?」
 真っ赤になってあたふたするケビンに追撃。
「もちろん君は女装だが」
「そんな世界に生きたくありません!」
 ケビン、未知の世界に撃沈。
 結果。オルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊VSエミリナ=アディソン。
 体術 × ○
 口論 × ○
 という結果に終わった。

『……あ~私頭痛くなってきました』
『……私も先日から若干胃が』
『お、俺もです』
「奇遇だな……俺も頭と胃が痛い……」
 あれから数日。エミリナの率いる小隊との模擬戦。何というか彼女のインパクトはオルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊の隊員たちに思った以上のダメージを負わせていたらしい。主に精神面で。
「こういう言い方はあまり好きじゃないが……相手はF-15E四機だ! XMシリーズも積んでない、数も少ない。機体も第三世代じゃない! こんな楽なシチュエーションがあったか? 無かっただろ? 大丈夫だ。気負わずにやれ! そうすれば俺たちに負けは無い!」
『は、はい!』
 そう言って発破をかけるが、全員が同時に思っていた。
(でもあの人また無茶苦茶やるんだろうな~)
 と。

 で五分後。
 Mk-57中隊支援砲が火を噴く。それはシルヴィアが思い描いた通りの軌道を描き、イメージ通りにF-15Eを貫く……と、言うところでその的が僅かに動く。その僅かな動作で完璧にかわされた。敵をただ的にしてしまうシルヴィアの狙撃。それはこの戦場においては効果を発揮していなかった。
『あ、あり得ない……今のかわすって人間じゃないでしょ』
 F-15SE二機と格闘戦を繰り広げていた最中で、そんな際どい回避を披露したのだ。シルヴィアのぼやきは全員共通の思いだった。
 今回の模擬戦。始まりからおかしかった。何がと言えば開始早々相手の三機が撃沈。理由は友軍誤射。下手人が誰など議論する必要すらなかった。
(ああ、あの人だ)
 何の打ち合わせもなく全員がそう思った。
 そして接敵。
 囮としてケビンのF-15SEが突出する。レーダーに反応は無し。だが唐突にダミービルを突き破り中から出てくる。当然エミリナのF-15Eだ。ステルスなど知ったことか! と言いたげに正確にこちらの位置を把握して各個撃破に持ち込もうとしてくる。それを避けるために武たちはある程度固まって行動することを余儀なくされた。
 僅か五分。その五分でオルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊の彼らは悟った。
(こいつ、人間じゃないって絶対!)
 あり得ない動きが多すぎる。と、油断していると。
『人呼んで、エミリナ・スペシャル!』
 ダミービルの向こう側。センサーの影からF-15Eが躍りかかる。反転噴射倒立跳躍からヘッドオンで短刀を抜いての格闘戦。
『っ! 舐めるなあ!』
 F-15SEのチューンされた主腕が衛士の意志に呼応してブレードマウントからXCIWS-3 試作近接戦闘長刀を引き抜く。市街地演習場ではビルが乱立しており、長刀での戦いは本来なら愚策。だが、ここの地形――交差点に加え周囲のダミービルは一部崩れている。このスペースがあればXCIWS-3 試作近接戦闘長刀を振るのに支障はない。そう判断しケビンはボルトで解放されたXCIWS-3 試作近接戦闘長刀を両手でつかみ、まっすぐ振り下ろす。
 強化された主腕の出力、重力による加速。その二つの力を込められた長刀は真っ直ぐ水平噴射で向かってくるF-15Eに振り下ろされる。F-15SEの理論最速攻撃。だがそれはF-15Eの理論無視の動きによって必殺を逃す。
 長刀を短刀で受け止める。確かに避けることは困難だろう。だが十分な速度を持ったそれは短刀のガードごとF-15Eに致命的打撃を与える――はずだった。しかし実際には唐突に目の前からF-15Eがいなくなる。
『消えた!?』
『どこを見ている。少年!』
 オープン回線で響く声。もちろん通信回線越しではいる方向など分からない。だが、ケビンは自分の中に芽生えた確信に従って機体を動かす。
 前転するように機体を動かすと先ほどまでケビンがいた場所にF-15Eが着地する。水平噴射から垂直噴射、噴射降下の三つをXMシリーズでも無い旧式のOSで先行入力、キャンセルがあるかのようにスムーズに行う。
『良い反応だ。少年!』
 そう言いながら僅かに機体を動かす。その瞬間57mm弾がまたも空を切る。
 今更だが、F-15SEはステルス機能が搭載されている。それは装甲の形状から気を使ってステルスを実装しているF-22AやYF-23にはやや劣るものの、十分な隠ぺい性を誇る。そして、シルヴィアの技能も相まって彼女の機体は移動の痕跡も残さず撃たれる瞬間までどこにいるのか全く分からない。その弾丸を避ける。それも一度ならず二度までも。
『化け物……っ!』
 思わず歯噛みする。だがそこでムキになって乱射したりはしない。そこで撃っても効果は期待できない。素早く機体を反転させ、次の狙撃ポジションの確保に向かう。
『副長! 足止めよろしく!』
『任された。……隊長。どうやらアンブッシュは見破られたようです。ルート変更されました』
「みたいだな……っていうか本気でどうやってこっちを検知してるんだ?」
 その理由が彼らにわずかに残るミリアの匂いがするからという本気で人間やめてるとしか思えない能力だと知る事は幸いにも彼らには無かった。
『見つけたぞ、白銀武! ブラックリストの筆頭候補ぉ!』
「心当たりがない!」
 正面からの高速機動戦闘――つまりは武の得意分野。
「行くぞ! 人類失格!」
『来たまえ! MFCの怨敵!』
 武の手が一瞬で複雑な動作をレバーに入力する。水平噴射跳躍、そして兵装選択、XCIWS-3 試作近接戦闘長刀。背部兵装担架がせり上がり長刀のグリップが肩上に来る。それを掴み――投擲する。
『何と!』
 ダーツのように飛ぶそれをエミリナは跳躍してかわす。そう、この市街地演習場は狭い場所が多い。今二人が対峙していた大通りも同様。余程無理をしない限り戦術機がそのまますれ違うのも大変な場所だ。そこでわざわざ左右に回避はしない。ならば逃げ道は上のみ。
「喰らえ!」
 YF-23の特徴である四基の兵装担架。そこに搭載された二つの突撃砲。そして手にした突撃砲。計三門。後衛装備ならその倍は行くが、十分な火力である。その全てが同時に弾丸を吐きだす。
 無数の弾丸。普通なら回避の叶わないそれは。
『今日の私は!』
 異常によって回避される。
『阿修羅すら凌駕する存在だ!』
「この距離で、避けた!?」
 もう驚くことにも飽きてきた感があるが、至近距離かつ飛び上がった直後への射撃を鼻歌交じりでかわされる。……やはり人間じゃない。

 以下描写が面倒なので会話だけでお楽しみください。
『どうした! 動きが悪いぞ!』
「一瞬で背後に!?」
『ぬん!』
「お、俺の長刀をもぎ取って!?」
『喰らうが良い! 九段突き!』
「そ、それって九頭りゅ――うわあああああああ!」
 武、撃沈。
『ちょ、早すぎる!』
『抱きしめたいな! お嬢ちゃん!』
『く、来るな!』
『出来ないな!』
『何で!?』
『求めてる人がいるからだ! 具体的には百合的な展開を!』
『いやあああ!』
 シルヴィア、撃沈。
『……来るか』
『ただの男に用は無い!』
『ぐっ!』
 ギルバート、撃沈。
『やばい……S-11使いたい』
『なるほど、辱めを受けるぐらいなら死を選ぶか』
『辱めるって自覚はあるんだ!』
『だがそう言うのは最初だけだ……次第に向こうから求めるようになる!』
『なりたくな……うわあああああ!』
 ケビン、撃沈。

 結果。オルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊VSエミリナ=アディソン。
 体術 × ○
 口論 × ○
 戦術機   × ○

 となった。

 これから三日ほどオルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊隊員がショックで寝込み、スケジュールに多大な影響が出たと言うのは当たり前と言えば当たり前の話である。
 そしてこの日以来オルタネイティヴ計画特務戦術機甲小隊隊員にはエミリナ=アディソンに対する苦手意識がしっかりと刷り込まれた。
 また、エミリナが最初に来た時ミリアを抱きすくめた感触を元に抱き枕を開発――忠実に再現されたそれはMFCの資金源の一つになるまで広まった。純粋に寝具としても有用だったのでMFC製と言う事に気付かずミリアも使用していたが……それに気がついて色々と騒動が起こるのは当分先のことであった。

あとがき
あれ……気がついたらエミリナがグラハ……Mr.ブシドーっぽく……。最初はもっとエロお姉さんって感じで気がついたら×××板に行かなくちゃいけない発言連発してたから削って伏字にしたらこんなキャラに……。ちなみに当SS最強の衛士はこの人です(ぇ
追記
言い訳をさせて下さい。酔った勢いのまま書いたらこんな怪文章になってしまいました。って言うか一時間で書いた俺のテンションがすげえ……
あまりにひどいので削除したいのですが臭いものにふたをする的な発想もどうかと思うので自戒の意味も込めてネタとして残しておきます。

11/5 あまりの後悔にネタに変更……昨日は何かテンションがおかしかった
11/4 投稿


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