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No.523の一覧
[0] よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/25 22:19)
[1] Re:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/25 22:19)
[2] Re[2]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/25 22:19)
[3] Re[3]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/25 22:20)
[4] Re[4]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/25 22:20)
[5] Re[5]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/25 22:21)
[6] Re[6]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/25 22:21)
[7] Re[7]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/25 22:21)
[8] Re[8]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/25 22:25)
[9] Re:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/26 22:38)
[10] Re[2]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/04/28 00:50)
[11] Re[9]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/03 23:10)
[12] Re[10]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/03 23:10)
[13] Re[11]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/03 23:11)
[14] Re[12]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/06 23:37)
[15] Re[13]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/08/12 01:18)
[16] Re[14]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/10 00:39)
[17] Re[15]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/27 23:06)
[18] Re[16]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/14 00:57)
[19] Re[17]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/19 13:53)
[20] Re[18]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/25 01:58)
[21] Re[19]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/27 22:52)
[22] Re[20]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/31 23:42)
[23] Re[3]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/05/31 21:15)
[24] Re[21]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/01 23:44)
[25] Re[22]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/04 20:07)
[26] Re[23]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/05 21:48)
[27] Re[24]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/07 20:34)
[28] Re[25]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/09 23:41)
[29] Re[26]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/12 00:39)
[30] Re[27]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/15 20:10)
[31] Re[28]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/15 20:55)
[32] Re[29]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/17 20:54)
[33] Re[30]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/18 13:35)
[34] Re[31]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/18 20:11)
[35] Re[32]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/23 20:45)
[36] Re[33]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/06/24 00:17)
[37] Re[34]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/07/15 00:39)
[38] Re[35]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/07/22 00:45)
[39] Re[36]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/07/28 15:10)
[40] Re[37]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/08/12 01:20)
[41] Re[38]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/08/05 22:18)
[42] Re[39]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/08/11 23:29)
[43] Re[40]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/08/13 17:28)
[44] Re[41]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/08/14 00:49)
[45] Re[42]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/08/15 01:40)
[46] Re[43]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/08/23 04:30)
[47] Re[44]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/08/23 22:53)
[48] Re[45]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/08/31 03:01)
[49] Re[46]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/09/01 00:08)
[50] Re[47]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/09/05 00:30)
[51] Re[48]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/09/12 21:04)
[52] Re[49]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/09/18 18:51)
[53] Re[50]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/09/18 18:53)
[54] Re[51]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/09/30 12:32)
[55] Re[52]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/10/06 20:30)
[56] Re[53]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/10/06 20:32)
[57] Re[54]:よこしまなる者 96話から[キロール](2005/10/12 22:51)
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[523] Re[18]:よこしまなる者 96話から
Name: キロール 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/05/25 01:58
 ≪おキヌ≫
 誰? 誰なの?
頭の中には私の知らない映像が断片的に流れ込んでくる。
私には確かに二年以上前の記憶がない。
でもこの映像は私とはきっと関係ない。
何しろ時代劇のような農村風景の記憶などあるはずがない。
そしてもう一つの風景。
こちらは現代のようで、一人の男性を中心に暖かな空間が広がる風景。
だけど私にはわからない。
こんな風景知らない。
覚えていない。
 
痛い。頭が痛い。
体が言うことを利かない。
ただ体は身に覚えのない記憶を求めて駅へと向かっていた。
怖い。
自分が自分じゃなくなる様で怖い。
手にした東京行きの切符を持って思う。
                   ・
                   ・
東京に来たからといって何かあてがあるわけでもない。
鈍く痛む頭を抑えながら夢遊病者のように街を歩くだけ。
見慣れたような、見慣れていないような奇妙な風景。
そしてそのうちまるで何かに呼ばれているような気がしてフラフラと路地裏へ、路地裏へと歩いていく。
 
どれほど歩いただろうか? 人気が全くない路地で私は正気に返る。
 
「ここは何処?」
 
もちろんこたえなど返ってこない。
 
いいえ、私の周囲にいきなり幽霊達が取り囲むように現れました。
そしてそんな中でもあまりに強力な視線をかんじそちらをみやると自分よりはるか足元から私を見上げる冷たく光る赤い眼が二つ。
 
「いやぁぁああぁ!」
 
助けて。
助けて。
 
いつも胸元にしていた珠のネックレスが淡い光を放ったが私は意識を失うことをやめられなかった。
                   ・
                   ・
                   ・
 ≪横島≫
 「……つまりおキヌちゃんは自分の足で東京に向かっていると? それも氷室さんの家に連絡もなく」
 
突然の電話。それはおキヌちゃんの失踪を知らせるものだった。
 
「はい。駅員さんがフラフラとした足取りで歩いていくのを見かけてくれていました」
 
「わかりました。こちらでも探してみ……」
 
突然頭の中に声が響く。
 
『……助けて……助けて』
 
間違いない。おキヌちゃんの声だ。
何故いきなり?
……考えている時ではないか。
幸いおおよその位置まで何故かはわからないがわかる。
何かのわなかもしれないが意図がわからないし捨て置くわけにもいかない。
 
「こちらで探して見つかり次第連絡をいれます」
 
そして体が強い力で引っ張られる感覚がする。
早々に電話を切り上げる。
念のために頭の中の声のことは伏せておいた。
そしてすぐさま頭の中に浮かんだ場所に向かって移動する。
自分を引っ張る力に抵抗せず受け入れると俺の体は強制転移を始めた。
                   ・
                   ・
                   ・
 ≪令子≫
 「最近都内の悪霊たちが活性化している? ……確かに依頼は増えているようだけど」
 
「ああ。まだ情報公開はしていないがね」
 
西条さんと偶々街中で出会い世間話をしている中でその話題が上った。
 
「場所的には新宿などの繁華街が中心で今のところ被害は飲食店などに限られ人的被害も少ないが捨て置くわけにもいかないからね」
 
「悪霊の活性化……それもある程度目的があるようにも思える共通事項。死霊術師かしら?」
 
「予断はよくないがそのせんも十分に考えられるね。ただ、死霊術師だったとすれば目的がわからないな」
 
確かに。飲食店を襲って何かいいことがあるとは思えないし。
 
「死霊術師は正直厄介だからね。場合によっては横島君の力を借りることもあるかもしれないが……」
 
「頼りっきりになったら組織としてやっていけないからね」
 
「その通りだ。組織にとってモラルハザードは致命傷だからね。とはいえうちの隊員は装備面はともかく能力的に恵まれた隊員は非常に少ないから特殊なケースになるとどうもね」
 
まぁ、西条さんやママみたいにG・Sとしてやっていくだけの能力があってオカルトGメンに入隊する方が稀よね。
 
「とはいえ面子に拘って市民に犠牲を出すわけにもいかないからいざという時はよろしく頼むよ」
 
「もちろんよ」
 
突如西条さんの携帯が鳴り響く。
 
「僕だが……なに!? わかった。すぐ現場に向かう。君達は必要なお札量を計算してくれ」
 
「何があったの?」
 
「新宿で尋常じゃない霊団が観測されたらしい。僕はすぐ現場に向かわなければならない」
 
「私も一緒にいくわ」
 
「頼んだ」
 
西条さんの車に乗って新宿に向かう。
                   ・
                   ・
                   ・
 ≪おキヌ≫
 私の周りを何百という幽霊が取り囲んでいますがネックレスにつけられた珠、【守】という文字が浮かび上がった珠が光を放ち、その光が幽霊の侵入を阻んでくれています。
ですがその光はどんどん弱くなり、逆に幽霊達は増えるばかり。
そしてとうとう光が途切れてしまいます。
私が死を覚悟すると突如として体が抱きしめられ、いえ、これは守ってくれている?
 
「そうか。おキヌちゃんの霊力に反応して文珠が【助】に書き換えられて俺に届いたのか。……いきなりで信用してくれないかもしれないけど、助けに来たよ」
 
この人、私の名前を知っています。
そして男の人はネックレスについていた珠と同じ珠をかざすとそれが先ほどよりも強い光の壁となりました。
 
この男の人は頭の中の映像に出てきた男の人の笑顔で、……頭が痛い。
割れるように頭が痛い。
痛いのに何で心がこんなに安らぐのだろう?
何故心がこんなに恐怖を覚えているのだろう?
でもわかったことがある。
 
「周りの幽霊さん達にあまりひどいことしないでください。あの人たちは何か赤くて怖い目をした小さな生き物に操られているだけなんです」
 
何故だろう。
何でこんなに幽霊達の気持ちがわかるんだろう?
何でこの男の人がこの状況をどうにかできることに疑問を抱かないんだろう?
わからない。
頭が痛い。
 
「……やっぱり死霊術師の才能があるみたいだな」
 
え?
 
「安心して。ひどいことはしないよ」
 
男の人は笛を取り出してそれを奏で始めました。
聞いたことのある音色。
魂が揺さぶられる。
笛の音に反応して私たちを取り囲む幽霊達がまばらになっていく。
でも完全に消えたわけではない。
数を減らしたとはいえ微妙な均衡を保ち続けてしまいます。
でも消えた幽霊達は皆安らかな表情で天に召され、そうでないものたちは彼等を羨望の目で見上げる。
笛の音色と共に私の中でも今まであいまいになっていた記憶が次々に鮮明になっていった。
 
どうしてこの男人に見覚えがあるんだろう?
この男の人を知っているから。
横島忠夫さん。
誰よりも強く優しい人。
 
どうして横島さんの力を知っているのだろう?
ずっと見てきたから。
横島さんの後ろで。横で。そして上で。
 
どうしてこんなにも幽霊達の気持ちがわかるのだろう?
それは、……私が、……幽霊だったから!
私は300年前死津喪比女を封じるために死んだ幽霊だったから!
 
フラッシュバック。
今まで思い出せなかったことが怒涛の勢いで流れ出してくる。
 
「この笛の音色。横島君が来ているのか?」
 
この声、西条さんの声。
 
横島さんは笛を吹きながら文珠を作り出しました。
【道】
幽霊さんたちを押しのける形でトンネルができ、そこから真っ直ぐに西条さんと美神さんの元に続く道ができました。
私は横島さんの邪魔にならないように二人の元に駆けつけます。
 
「おキヌちゃん!? どうしてここに?」
 
「美神さん。西条さん。ネクロマンサーの笛を持っていませんか?」
 
「え!?」
 
「横島さんが私の我侭を聞いてくれて、私に死霊術師の才能があるらしくて、とにかく役に立ちたいんです!」
 
自分でもなにを言っているのかわからない。
 
「一応この事件についてからは持ち合わせているが……僕には使うことができなかったがね」
 
西条さんの手から半ばひったくるように笛を受け取るとそのまま笛を吹き始めます。
思いは幽霊だったころ。
寂しくて、哀しくて、でも横島さんたちが光をくれたこと。
その思いを込めて吹きます。
死霊術師の先生が言っていました。
霊の悲しみを知り、死の苦しみを知り、思いやる心こそがその極意と。
私は知っています。
だからこの笛は音を出してくれるはず。
 
~♪
 
出ました!
私の笛の音は横島さんの笛の音とは違う音ですがそれでも、だからこそ音は重なり合い、はもり、均衡していた幽霊への支配と開放の戦いは開放に向かい一気に加速していきます。
 
幽霊のカーテンが解けたとき、一匹のネズミが逃げ出そうとしていきました。
 
「あのネズミが幽霊を操っていたんです!」
 
横島さんの霊波刀と西条さんの拳銃がほとんど同時にネズミをしとめた瞬間、意識がブラックアウトしてしまいました。
                   ・
                   ・
                   ・
 ≪令子≫
 「それでおキヌちゃんの容態は?」
 
白井総合病院に運ばれたおキヌちゃんの周りにうちの事務所のメンバーや氷室神社の家族、そしておキヌちゃんと係わり合いを持つ皆が集まってきたわ。
 
「医学的にいえば問題はない。少々疲労がたまっているようだがじきに眼を覚ますだろう」
 
院長が出た後横島さんがドクターカオスに説明を求めます。
 
「カオス、どう見る?」
 
「情報が少なすぎるので予断になるのだが……おそらく不適合を起こしていたんじゃなかったのかと思う」
 
「……どういう意味だ?」
 
「きっかけがなく横島達のことを思い出すことができず、それでも深層意識は思い出したがっていたがそのまま一年も時間がたってしまっている間におキヌではなく氷室キヌとしての人格も形成されていたのだと思う。おキヌとしての記憶を取り戻すということは氷室キヌとしての人格を塗りつぶす形になりかねんから氷室キヌは一種の精神分裂症、もしくは夢遊病の症状を示しておキヌの記憶にひきづられるまま東京に出てきた。私の作ったお守りで結合を深めているとはいえ、強力な霊能力の割りに幽体と身体の結びつきの弱いところに目をつけられネズミの死霊術師に目をつけられたというところではないかな?」
 
「それで、キヌは大丈夫なのでしょうか?」
 
心配そうに尋ねる神主さん。
ドクターカオスは首を横に振るう。
 
「わからん。なにしろ三百年分の記憶だからな。最悪このまま眼を覚まさなかったり、精神が崩壊している可能性もないではない。眼を覚ましたとしてもそれがおキヌなのか、氷室キヌなのか、全く別の人格を形成してしまうのか」
 
「キヌ……」
 
神主さんはそれっきり黙ってしまいます。
早苗ちゃんやお母さんも心配そう。
 
それから十分くらいたっただろうか?
おキヌちゃんがうめいてから眼を覚ます。
 
「おキヌちゃん! わたすがわかるか?」
 
「早苗姉さん……父さんも母さんも心配かけてごめんなさい。もう大丈夫だから」
 
氷室一家がおキヌちゃんに抱きついて涙を流します。
一年ちょっとかもしれないけどしっかり家族しているんだ。良かった。
少なくとも氷室キヌとしての記憶はある模様。
 
ゆっくりとおキヌちゃんが私達のほうに向かう。
 
「横島さん。皆さん。遅くなっちゃいましたけどただいま戻りました」
 
おキヌちゃんでもあるんだ!
真っ先に冥子が氷室一家の中に入りおキヌちゃんに抱きついた。
 
窓の外から一気に大歓声。
見るといつのまにやらご近所浮遊霊親ぼく会の皆やジェームス伝次郎、石神なんかが集まってきていた。
その後はてんやわんやでおキヌちゃんの帰還を祝う宴すらここで開きかねない大騒ぎ。
ここは病院だっつうのに。
でもこれがおキヌちゃんなのよね。
 
「お帰りなさい。おキヌちゃん」
 
私もきっと会心の笑顔だったと思う。


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