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No.3797の一覧
[0] 俺はここで生きていく (現実→オリジナルなドラクエっぽい世界) [ノンオイル](2009/03/29 23:44)
[1] 序章 第一話[ノンオイル](2008/12/19 22:25)
[2] 序章 第二話[ノンオイル](2009/02/24 02:50)
[3] 序章 第三話[ノンオイル](2009/02/24 02:50)
[4] 序章 第四話[ノンオイル](2008/12/19 22:26)
[5] 序章 第五話[ノンオイル](2009/02/24 02:49)
[6] 序章 第六話[ノンオイル](2009/02/24 02:49)
[7] 序章 第七話[ノンオイル](2009/02/24 02:51)
[8] 序章 第八話[ノンオイル](2008/12/19 22:27)
[9] 序章 第九話[ノンオイル](2008/12/19 22:28)
[10] 序章 第十話[ノンオイル](2008/12/19 22:29)
[11] 序章 第十一話[ノンオイル](2008/12/19 22:29)
[12] 序章 第十二話[ノンオイル](2008/12/19 22:30)
[13] 序章 第十三話[ノンオイル](2008/12/19 22:31)
[14] 第一章 第十四話[ノンオイル](2008/12/19 22:33)
[15] 第一章 第十五話[ノンオイル](2009/02/24 02:44)
[16] 第一章 第十六話[ノンオイル](2008/12/19 22:34)
[17] 第一章 第十七話[ノンオイル](2008/12/19 22:34)
[18] 第一章 第十八話[ノンオイル](2008/12/19 22:34)
[19] 第一章 第十九話[ノンオイル](2008/12/19 22:35)
[20] 第一章 第二十話[ノンオイル](2009/02/24 03:14)
[21] 第一章 第二十一話[ノンオイル](2009/02/24 03:14)
[22] 【オマケその一】 魔法について ―― とある魔法使いの手記 3/29  【それぞれの魔法について】 追加[ノンオイル](2009/03/29 23:42)
[23] 第一章 第二十二話[ノンオイル](2009/02/28 19:22)
[24] 第一章 第二十三話[ノンオイル](2009/03/17 21:41)
[25] 第一章 第二十四話[ノンオイル](2009/03/19 18:13)
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[3797] 序章 第二話
Name: ノンオイル◆eaa5853a ID:f9d90455 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/02/24 02:50
悠人だ。
普通じゃできない、ファンタジーの世界に召喚されるというある意味自分が望んでいた体験をすることができた。
そんな望外の幸運と、その結果もう二度と元の世界に戻れないかもしれないという不運。
足したらプラスとマイナス、どっちに傾くんだろうな。
圧倒的にマイナスに傾きそうな気がするのは俺の気のせいなのか…。

「気のせいですよ」

うるさいっ!!
心の中まで突っ込むな!
ってか、心が読めるのか?

「いえ、アナタ口に出してます」

…どうやら相当参っているらしい。
これからどうなってしまうんだろう。






           俺はここで生きていく 

           ~ 序章 第二話 ~






「残念ですが、覚悟を決めてこの世界で生きていくしかありませんね。でも、大丈夫ですよ、この世界もそんなに悪いものではありません」

チビ!慰めてくれるのか。
お前のこと性格悪いかも、なんて誤解してたかもしれないな、悪かったよ。

「それに、アナタみたいな何の力もないような人はすぐにモンスターにやられて死んじゃいますんで、悩んだり落ち込んだりしなくてすむようになりますよ」

前言撤回だ!
やっぱしこいつ性格悪ぃ!!って、それよりも。

「魔王は復活してないんじゃなかったんじゃねーかよ!?」

なんでモンスターがいるんだ!?

「魔王は確かにモンスターを生み出しますが、すべてのモンスターがそうだというわけではありませんからね」

「どういうことだ?」

チビはふぅ~、と息を吐きつつ、手のかかる生徒に対するように話す。
…我慢、我慢だ俺。

「少しは想像力を働かせてください。モンスターを生み出せる存在は魔王だけ、というわけではないのですよ。魔王の側近で力のあるものだって生み出せます。それに噂では魔王と呼ばれる存在は1体というわけでもないらしいのです」

なるほどね。
ってことは、この世界で生きていくには、少なくとも自衛できる程度の実力をもってないと駄目ってことだな。
しかしなぁ…、今まで武道の経験なんて小学校の頃に数年剣道をかじった程度だし、そもそもかなり昔だからもうとっくに忘れてるんだよな。
運動神経だってそこまで良いとは思えないし。
ん?まてよ!

「なあなあ」

「はい、なんでしょうか?」

「俺って、魔王を倒すために呼ぶ魔法陣でよばれたんだよな?ってことは…」

なにかすごい能力が隠されてたりするんじゃないのか、そう続けようとした俺にヤツは何か可愛そうなものを見るような目でこっちを見る。

「そんな都合のいいことあるわけないでしょう。魔法陣がしっかり完成していて、さらに正規の手順で召喚された人物ならそういう力のある方が選ばれたでしょうが、アナタは手違いで呼ばれた存在。100%ないとは言い切れませんが、そんな力があるかどうかなんて、アナタ自身が一番よくわかるのではないですか?」

……くっ、悔しくなんてないんだからな!
チビっこい毒舌家にぐぅの音がでないまでに言い込められた俺はしばらく傷心を癒すために部屋の隅に移動し体育座りした。
手元に落ちていた本を何とはなしにパラパラとめくる。
世界が違っていて読めるのかね、とは思ったが、幸いなぜか日本語で書かれていて読むことができた。
軽く眺めただけだが、どうやら魔法に関する論文や、所謂魔法書といった類の物らしい。
ん!?
パラパラ流していく最中、見覚えのある言葉、そしてこんな所にあるはずのない言葉を見た気がしてそのページを探す。
………あった。
他の本もいくつか見る。
やっぱりだ。
……そうか、そうだったんだ。

「ここ、ドラクエの世界だったんだな……」

最初の本にはスクルトと。
そして他の本にはルーラ、マヌーサ、メダパニと。
俺の目に映ったのはドラクエ世界でおなじみの、ある意味有名すぎる魔法の名前のオンパレードだった。





「ドラ……クエ?何ですか、それは」

「あぁ、それは…」

いつの間にかすぐ後ろまでチビが飛んで来ていて、肩の後ろから俺の読んでいた本を覗き込んでいた。
不思議そうな顔をして小首を傾げている。
…少し可愛いなんて思ったのはきっと気の迷いだな、うん。
って、そんなことはどうでもいい!
どうやって説明したものかなぁ。
馬鹿正直に自分の世界にあるゲームの名前だって言うのは簡単だ。
もちろん、俺のやったことのあるドラクエとこの世界が同じだったり繋がりがあったりするのかはわからない。
だけど、そんなことは関係ない。
こうして床に少し積もってる砂を手に握ってみれば感触はある。
持っている本の手触りだって、覚えのあるものだし、すこし埃っぽい部屋の臭いだって、全部が全部現実だ。
顔を左に向けるとチビと目が合う。
俺の一連の行動をきょとんとした表情で見ている。
コイツ…こういう表情だと少し幼く見えるのな。
このチビだって現実だ。
そして、まだ会ったことはないが、この世界には現実として生きている人達が大勢いるはず。
自分の元いた世界のゲームの世界だなんて、人が聞いたらいい思いをするわけないし、何より俺自身がそんなことを言いたくない。

「俺の世界にはさ、ドラクエっていう、神話……のような物が伝わっててさ。その神話で出てきた魔法の名前が、この本に書いてあった名前と同じなんだよな。だから、ついドラクエの世界か、ってさ」

「そう…ですか。ただの偶然なのかもしれませんが、もしかしたら、過去にこちらの世界からそちらの世界に移動した人がいて、そのドラクエという神話を作ったのかもしれませんね」

チビは手を組みつつ小さな顎に手をあて考え込むように言った。

「あはは、かもな!」

俺は軽く流したが、…いや、ありえる……のか?
もしそうなら戻る方法もある…ということになるけど……うーん??
まぁ、このことは追々考えていけばいいだろう。





「それより!やっぱし魔法あるんだよな!俺にも使えないかな!?」

んなごちゃごちゃしたことより、やっぱしこれだろ!
異世界に行ったらやりたいことランキングのトップ3に確実に入るぜ、これは!(俺調べ)

「そうですね…、よほど才能がない、ということがない限り使えると思いますよ」

おおおおおおお!
やっぱし最初はメラかな、んで、ヒャド、ギラときて……ホイミとか回復魔法も使ってみてーよな!
デイン系はさすがに無理かなぁ、俺勇者とかじゃないらしいし。
ちょっとひねって僧侶系の攻撃呪文のバギとかも面白そうだな。うわ、夢が広がるな!
うっし、テンションあがってきたああああああああああっ!

「早速つかってみたいな!どうやったら使えるんだ!?」

少し身を乗り出しすぎたのか、チビは身を引いて逃げる。

「さぁ?」

さぁって、おいおい。

「お前は魔法使えないのか?」

飛んでるのに。
飛んでいるのは魔法じゃないのか?でも、トベルーラっていう魔法もあったような…?
アレは別のだったっけ。

「も、もちろん使えますよ。でも、人間とは魔法の覚え方が違うらしいので、わたしには人間に教えることはできないのですよ」

ふぅん、そんなものなのか。
ま!そんなことじゃ今の俺の魔法に対する探究心はなくならないけどな!

「んじゃ、とりあえず人のいるところに行くかな。人のいるところ……となると、街か」

そこまで考えた時、ふと気づく。
そういえば、この部屋窓がないから気づかなかったが、もうかなり時間たってるんじゃないか?
心なしか腹も減ってきた気がするし。
周りを見渡しても食料なんて欠片もありそうもない。
ちょっと……まてよ?
な~んかまたいやーな予感がしてきたんだが…。

「な…なぁ、この塔のすぐ傍に街があるんだよな?もちろん」

恐る恐る聞くと、このチビめっ、にっこりイイ笑顔でいいやがった。

「知るわけないじゃないですか。わたしだってさっき数百年ぶりに起きたのですから」

なんですと!?

「そういえば、その辺の話は全然してなかったですね。」





「わたしはグレゴリのジジ…もうジジィでいいですよね、あんなヤツ。ジジィに呪い…いえ、契約をさせられて、この魔法陣で何者かが召喚されるまで眠りにつかされて、召喚された人物に服従を誓わせられ、その人物の奴隷となって働かさせられることになったのです」

チビはヨヨヨと泣き崩れる。
たぶん嘘泣きだな、アレ。
けど、今までの言動、あれで俺に服従誓って奴隷となって働いてたつもりなのか?
確かに話はしてくれたけど。
まぁ、だからといって同情心が沸かないわけもないけどな。
チビの話が本当なら、アイツは数百年も眠っていたことになる。
妖精の寿命がどうなのかは知らないが…、辛いよな。
周りの家族とかいなくなってる可能性のほうが高いし…。

「だから、不本意ながら。ほんっとうに不本意ながら、わたしはアナタに服従を誓い、アナタの奴隷となることになってしまっているのですよ」

チビはソッポを向きながら吐き捨てる。
本当に嫌そうだな、アレ。

「なるほどな~。んじゃ、肩揉め!」

ニヤリと笑って嫌らしく命じてみる。

「誰がやりますか。一昨日来てください!」

ゲシッ
いてぇ、肩蹴られた。
ってか、どこが服従してるんだ?
グレゴリってジジィ、召喚の魔法の時の失敗といい、実は大したことないやつなのか。

「いてーな、冗談だっつーの!ったく、少しはしおらしくなったと思ったら…。まぁいいや、ところで、その呪いって解除方法ってないのか?」

「…いえ、呪いではなく契約ですので、例えばアナタがその契約を破棄する、と言えばわたしは自由になれます。まぁ、わたしのような可憐な妖精を手放すような人なんていないでしょうが。もう諦めました」

呪いと契約の違いがよくわからないが…うん、それなら。

「んじゃ、契約を破棄する。チビは今から自由でいいぜ」

「えっ?」

チビは何を言われたかわからないといった表情でこっちを見る。
こんな毒舌で主人を足蹴にするような奴隷?なんていらない、っていう気持ちもないわけではないけど。
それでも、意に沿わない命令をされる立場になるなんて自分に置き換えるとぞっとしねーしなぁ。

「そんな契約なんてなかった事にしていいぞ」

「ほ、ほん…とうですか?」

おずおずとこっちを上目遣いで見上げてくる。
ぐ、その表情は卑怯だ、何がとはいわないが。

「あ、あぁ」

そんなそぶりを見せないように努力しつつ頷いてやる。

「…ありがとです」

そう言って、少し赤くなってはにかむチビは文句無しに可愛かった。
少しもったいなかったかな?





「それじゃ、アナタの気が変わらないうちに、さっさと契約を破棄しちゃいましょう」

さっぱりした顔でチビは軽く微笑む。
今まで仏頂面が多かっただけに威力でかいなー、と関係ないことを考えながら聞きかえす。

「あれ、さっきのじゃ駄目なのか?」

「曲がりなりにも契約ですからね。しっかり自分の姓名を宣言して、その名の下に契約を破棄する、と言わないと効力がないのですよ。……そういえば、まだ名前も聞いてなかったですね」

こっちもチビって呼んでたしなぁ。
そういうことなら、その形式に則ってやってみますか。
…ちょっと照れるな。

「えっと…それじゃ。我、四十万悠人、我が名の下に契約を破棄する。…これでいいのか?」

頬が熱くなるのを自覚しつつチビに聞く。
漫画とかの受け売りっぽい宣言だったが、こんなんでいいのだろうか?

「ええ、上出来です。我、リア・ビュセール、我が名の下に契約を破棄します」
宣言が終わったと同時に身体が少し軽くなった気がした。

「…はい、これでわたし達の契約は破棄されました。ありがとうございました」

律儀に頭をさげるチビ…リアに少し視線をそらしつつ手をひらひら振る。

「へぇ、リア・ビュセールね。結構いい名前じゃないか。リアって呼ばせてもらうな」

「アナタはシジマ・ユート…さんですか。変な、いえ、珍しい名前ですね。珍妙なアナタにはお似合いの名前ですよ。シジマさんでいいですか?」

性格はどうやらさっきまでのが素らしいな。
俺は先ほどのリアの様子を思い返して苦笑しつつ

「ユートでいいよ。名前はそっちなんだ」

「ユートですか…わかりました。姓と名が逆なのですね、そちらの世界では」
まぁ、日本くらいなものだけどな。





これで自由になったんだし、リアはきっとどこか俺とは別のところに行くだろう。
右も左もわからない俺としてはもう少し一緒に行動して欲しいところだけど、数百年も眠っていたのだ、何か思うところもあるだろうし、強要はできない。

「しっかし、別れ際に名前を教えあうなんて…なんか間抜けだな、俺たち」

少し可笑しくなって笑いながら話しかけると、リアはきょとんとして聞き返す。

「別れ際…ですか?私はもう少しユートについていくつもりですよ」

「そりゃ俺としちゃ助かるけど…いいのか?戻るところとか、行きたい所とか」

そう俺が聞くと、リアは少し寂しそうに微笑む。

「もう数百年たってますからね…。わたしの知っていた頃とは世界も変わってしまっているでしょうし、家族も…。だから何処かに行くあてもないのですよ」

しまった、蒸し返すような話じゃなかったな。
少し考えればわかることなのに俺は…。
軽く後悔したが、言ってしまったものは仕方ない、これからの行動で元気付けてやればいいだけだ。





そんなユートの様子を見つつリアは密かに思う。

(別に故郷には戻る気はなかったからどうでもいいのですが。意外とお人好しですね。まぁ、好都合なのでそういうことにしておきましょう)

少しクスリと笑ってしまったが、幸運にもユートには気づかれなかったようだ。
それにしても、と思う。

(あからさまに同情を誘うように話したとはいえ、今まで結構辛らつな事を言っていたのに、すぐに契約を破棄してくれるとは。人の中にはこんな人もいるのですね…。安全な所まで着いていくだけのつもりでしたが、少しユートに興味が沸いてきました。少し一緒に行動するのもよさそうです。これから楽しくなりそうですね)





「そ、そうか。んじゃ、気分変えてさっそく出発するか!早く街にたどり着かないと、最悪餓死なんて事になりかねないしな!」

俺は心持ち音量を上げて音頭をとる。
リアはそんな俺の様子を少し苦笑しつつ俺の方に寄ってきてそのまま肩に座る。

「さっ、それじゃお行きなさい!」

「って、おま、それなんか違わないか!?こら!降りろっ!」

振り落とそうと軽く肩を揺するがしっかりこちらの服をつかんで離さない。
挙句の果てには膝蹴りを後頭部をくらってしまい、仕方ないので諦めた。
ったく、リアの蹴り、結構痛いんだぞ。
俺は溜息を吐きつつ歩き出し、研究室の扉に手をかけながら隣を横目で見る。
そこでは少し笑いながら前を見つめるリアがいる。
……楽しそうだから、まぁいいか。
さぁ、冒険の始まりだ!
俺は心の中で気合を入れて、扉を開け放った。


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