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No.13837の一覧
[0] DQD ~ドラゴンクエストダンジョン~ (現実→オリジナルDQ世界)[ryu@ma](2010/10/02 23:31)
[1] DQD   1話[ryu@ma](2009/11/10 23:28)
[2] DQD   2話[ryu@ma](2009/11/10 23:42)
[3] DQD   3話[ryu@ma](2009/11/11 23:03)
[4] DQD   4話[ryu@ma](2009/11/12 22:35)
[5] DQD   5話[ryu@ma](2009/11/14 00:01)
[6] DQD   6話[ryu@ma](2009/11/14 22:32)
[7] DQD   7話[ryu@ma](2009/11/15 23:14)
[8] DQD   8話[ryu@ma](2010/01/03 22:37)
[9] DQD   9話[ryu@ma](2010/01/03 22:37)
[10] DQD   10話[ryu@ma](2010/01/03 22:38)
[11] DQD   11話[ryu@ma](2010/01/03 22:38)
[12] DQD   12話[ryu@ma](2010/10/07 22:18)
[13] DQD   13話[ryu@ma](2010/10/07 22:19)
[14] DQD   14話[ryu@ma](2010/10/07 22:21)
[15] DQD   15話[ryu@ma](2010/10/07 22:22)
[16] DQD   16話[ryu@ma](2010/10/07 22:24)
[17] DQD   17話[ryu@ma](2010/01/31 22:16)
[18] DQD   18話[ryu@ma](2010/01/31 22:08)
[19] DQD   19話[ryu@ma](2010/02/07 22:28)
[20] DQD   20話[ryu@ma](2010/02/14 21:42)
[21] DQD   21話[ryu@ma](2010/02/28 23:54)
[22] DQD   22話[ryu@ma](2010/03/28 23:23)
[23] DQD   23話[ryu@ma](2010/03/28 23:23)
[24] DQD   24話[ryu@ma](2010/03/28 23:24)
[25] DQD   25話[ryu@ma](2010/03/28 23:35)
[26] DQD   26話[ryu@ma](2010/05/10 23:13)
[27] DQD   27話[ryu@ma](2010/04/14 23:31)
[28] DQD   27.5話[ryu@ma](2010/05/10 22:56)
[29] DQD   28話[ryu@ma](2010/05/10 23:18)
[30] DQD   29話[ryu@ma](2010/05/28 22:28)
[31] DQD   30話[ryu@ma](2010/06/13 00:30)
[32] DQD   31話[ryu@ma](2010/07/06 22:16)
[33] DQD   32話[ryu@ma](2010/09/03 20:36)
[34] DQD   33話[ryu@ma](2010/10/02 23:14)
[35] DQD   34話[ryu@ma](2010/10/02 23:11)
[36] DQD   35話[ryu@ma](2010/10/02 23:21)
[37] DQD   35.5話[ryu@ma](2010/10/07 22:12)
[38] DQD   36話[ryu@ma](2010/11/21 00:45)
[39] DQD   37話[ryu@ma](2010/12/07 23:00)
[40] DQD   38話[ryu@ma](2010/12/30 22:26)
[41] DQD   39話[ryu@ma](2011/01/26 23:03)
[42] DQD   40話[ryu@ma](2011/02/09 22:18)
[43] DQD   41話[ryu@ma](2011/03/02 22:31)
[44] DQD   42話[ryu@ma](2011/05/15 22:07)
[45] DQD   43話[ryu@ma](2011/09/25 22:54)
[46] DQD   44話[ryu@ma](2011/12/30 21:36)
[47] DQD   45話[ryu@ma](2012/05/04 21:57)
[48] DQD   46話[ryu@ma](2012/05/04 21:50)
[49] DQD   47話[ryu@ma](2013/03/22 23:00)
[50] DQD   47.5話[ryu@ma](2013/03/22 22:57)
[51] DQD   48話[ryu@ma](2013/10/11 22:33)
[52] DQD   設定[ryu@ma](2010/10/07 22:13)
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[13837] DQD   45話
Name: ryu@ma◆6f6c290b ID:a11fdd2d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/05/04 21:57
DQD   45話

『神託祭』、4年に一度ゴッドサイドで行なわれる大祭だ。
神からの『神託』を果たすために人が集う事で出来たこの街では、今も4年に一度『神託』が降りる。
最もその内容は千差万別だ。地震などの災害の事から何気ない天気のことなど統一性はない。ただ『神託』された事柄は間違いなく当たるのだ。
この『神託』のための儀式が行なわれる10日間が『神託祭』と呼ばれ、街では一際賑わいを見せる事になるのだ。

いつも賑やかな街がこの時は更に輪をかけて賑やかになる。
世界中から人が集まり、様々な催し物や執り行わる。
トルネコ商会のトーナメントもそんな催し物の一つと言ってもいいだろう。
場所はエルシオン学園の側にある闘技場で行なわれる。

闘技場と言っても本来の使い方をする事は稀で、実際は催し物の会場として使われることも多い。、又、闘技場は結界などが張られているため、エルシオン学園の実技の授業などにも使われていた。
トールもヒュンケルとの修練でエルシオン学園に来るため、外から闘技場を見た事はあるが、実際に中に入ったことはなかった。

トーナメントは『神託祭』の初日から行なわれる。日程が後になるほど、祭りの独特の雰囲気に気をとられてしまうかもしれないため、このあたりに関しては助かったとトールは思っている。
『神託祭』を始めて体験するトールにも街を包む高揚感というものが感じ取れた。

宿屋には昨夜からトールの応援のためにと、同じ宿にいるビアンカ、アリーナ、ソフィアの他にマーニャとミネアの姉妹、ソロにシンシアたちがパーティーを開いてくれた。流石にフローラは大会の当事者の一人でもあるためその場にはいなかったが、それはしょうがないというものだろう。

そして『神託祭』初日の朝、トールが朝食を終える頃に、トルネコ商会から迎えのメイドが馬車でやって来た。
皆の声援を受けてトールは闘技場へ向かうのだった。



馬車に乗るのはこれで二度目だが、あまり揺れはなくスムーズに進んでいく。
普通の馬車もそうなのか、トルネコ商会の馬車ゆえに特別性なのか、トールは普段馬車など使わないため今の時点で真実は分からないが、後者の様な気がした。
そんな道中、不意に迎えのメイドから一つの忠告の言葉があった。
それは闘技場に一度入ると、それより先の闘技場からの出入りは禁止になるという事だ。これを破れば失格となるため、もし何か用があるのなら、一時間ほど猶予があるため、この馬車を利用して街を廻っても良いとのことだった。
トールとしては前日までに用意は終わっていたため、そのまま闘技場に向かった。


****


遠くから見ても大きいと思ったが、実際に近くで見る闘技場はトールが思っていたよりも更に大きく感じた。野球のドーム球場ぐらいの大きさはあるように思えた。
正門から中に入ると直ぐに一つの部屋に案内される。そこにはいつのも老執事がいた。入ってきたトールを一礼して老紳士は迎え入れると、それと入れ替えるように迎えのメイドも一礼をして側の扉の側にに控えるように立った。

「お待ちしておりました、トール様。それではこれよりトーナメントに関して説明をしたいと思いますがよろしいですか?」

トールが頷くと老紳士はこれからの予定を話し始めた。
まず、これより先は敗北するか、ただ一人の勝者、つまり優勝するまではこの闘技場から外にでる事は禁止。
対戦相手は、これよりこの場でくじで決定。ただしその際の対戦相手は、実際に闘技場で会うまでお互いに分からない。
二回戦以降も再びくじにより対戦相手を決める。最後までこの方式で対戦相手を決めていく。
試合中に怪我をした場合、敗者は『トルネコ商会』の方で回復させるが、勝者の回復は各自で行う。この際次の試合で戦う事が出来ないと思えるなら棄権もできる。
最上級の回復士を用意しているため、大凡の怪我、それこそ死んでしまうような怪我でも治せるが、それでも確実とはいえない。その際の責任については『トルネコ商会』では負わない。納得できない場合棄権もできる。
道具に関しては前もって言っていた通り、『大きな小袋』の所持は禁止、自分で持てる範囲で所持する事とし、各自の『大きな小袋』は大会の終了までトルネコ商会で厳重に保管する。
後、このトーナメントには観客も入り、各試合の勝者や優勝者に関する賭けも行われる。
このトーナメント自体『神託祭』の催し物の一つという括りらしい。

トールは人前で戦うという事には少し躊躇を感じてしてしまう。だが文句を言ってもどうにかなるような事でもない。トールとしては納得するしかなかった。
一通り話した老執事はトールに質問がないかを尋ねてきたが、トールとしては特に聞くこともなかったためその旨を伝えると、続いて老執事からくじの入った箱が差し出された。
トーナメントの相手を決めるためのものだろう。トールはその内の一つを引いた。

『3-A』

トールの引いたくじにはそう書かれてあった。前の数字が何試合目かを表し、次のアルファベットのA,Bが対戦の時に闘技場へ入る入口の場所を示していた。つまり第三試合でAの入口から入場するという事だった。

その後は老執事に『大きな小袋』を渡すように言われた。荷物に関しては『トルネコ商会』の方で責任を持って管理するとの事だった。

持っておく持ち物についてはあらかじめ考えてあった。
装備について現状から大きく変わりはない。
ただ盾については『ドラゴンシールド』と『聖騎士のたて』のどちらにするかだった。二つとも防御力は変わりはないが、『ドラゴンシールド』は炎などの特技を軽減し、『聖騎士のたて』は魔法を軽減する。人相手にするならば特性上『聖騎士のたて』の方がいいだろう。炎などの特技よりも魔法を使う人間のほうが多いからだ。


盾: ドラゴンシールド(守+25) → 聖騎士のたて(守+25)


一時は他の武器防具も予備として持っていく事を考えたが、戦う時にかさ張り邪魔になるため止めておいた。もし装備が壊れるような事があるなら、それは運がないか、相手の実力が上だという事だろう。

後はアイテムだ。
入れる袋は、何時もスラきちを入れている『モンスター袋』を利用する。いつも使っている事から分かるとおり、丈夫で大きさも邪魔にならない。
ただあまり大きくないためアイテムは厳選しいといけない。結果以下の物を『モンスター袋』の中に入れた。


袋:いのりのゆびわ(2個)、けんじゃのせいすい(5個)、特やくそう(5個)、いのちのいし(3個)、ばんのうくすり(3個)


まず『いのりのゆびわ』はMP回復として入れておく。試合の合間の回復も自分でしなければいけないことを考えると、何度もつかえる『いのりのゆびわ』が最適になるだろう。
『けんじゃのせいすい』もMP回復だが、回復量が多い事を考えて戦闘中はこちらを使う方がいいだろう。
『特やくそう』はもしもの回復手段として用意しておく。
『いのちのいし』については本当に保険でしかない。ザラキやメガンテ等の即死呪文は禁呪扱いのため、使える者がこの大会に出ているとは思えないし、使えたとしても人相手に使うはずはないと思ってはいるが、これは念のために入れておいた。
『ばんのうくすり』は何か状態異常が起きたときのための対処法だ。

あまり多くは持ちこめなかったが、これぐらいあれば十分だろうとも思えた。
後は『大きな小袋』を老執事に渡すと、メイドに控え室まで案内された。



案内されたのは広めの待合室だった。ソファーとテーブルぐらいしか置いていないシンプルな部屋だったが、少しぐらいなら身体を動かしても問題ない広さがあった。
そこで少し時間がたつとドアのノックとともに声がした。開会式をするらしく闘技場へ向かってほしいとのことだった。
そして案内されて薄暗い通路を通り抜けると、観客席の歓声がこだまする闘技場に入る事になった。
直径50mほどの円形の闘技場にトールたち参加者が一人、又一人と入っていく。計15人、一月前と変わることなく全員が集まった。

「皆様ようこそおいでくださいました」

そこに声が響いた。聞いた事のある声、ルドマンの声だった。闘技場の最上部の特別展望台にその姿が見える。

「これより未来の、そしてこの街の新たなる英雄たちによるトーナメントを行いたいと思います。剣、魔法、彼らが魅せる世界をお楽しみください。それではこれより開会を宣言します」

観客の歓声が一層強まった。耳の奥がしびれるほどの歓声だ。
少し引いてしまっているのをトールは感じた。
思っていたよりもずっと人が多い。これほど大勢の前で闘うことになるのかと思うと何となく落ち着かない感じがした。
他にもトーナメントの説明などの話があり、開会式は問題なく終わった。
そして歓声が止まない闘技場をを背にして一度控え室まで戻る。
後は自分の番が来るまで、この場で待機するだけだ。ただ広めに作ってある控え室なので、準備運動ぐらいするのに差し支えはなかった。
軽く身体をほぐしながら待つ。時折歓声が大きくなるのが聞こえるのは、見せ場があったか、勝負がついたからだろう。
自分が3試合目であることを考えると、もうそろそろ時間のような気がした。そしてそれは当たっていた。

「トール様、お時間です」

メイドの一人が控え室の扉の向こうから呼びかけてきた。
トールは「分かった」とだけ言う。用意はもう済んでいた。
落ち着くために大きく深呼吸をして「よしっ」と自分に言い聞かせるように呟いてから、トールは闘技場に向かっていった。


****


「では、これより一回戦、第三試合を開始します。西門からはトール、そして東門からはアモス」

トールが闘技場に入るとほぼ同時にアナウンスが流れた。
円形の闘技場でトールの反対側にはアモスの姿が見える。全身を覆う鎧に巨大な盾が印象的だった。
親しいとはいえないが顔見知りといきなり一回戦から戦う事になるとは思わなかった。最終試練の大会出場者15人の中で知り合いは自分も含めて6人。
勝ち続ければ顔見知りと戦うこともあるだろうとは思っていたが、初っ端からだとは思わなかった。やはり戦うにしても見知らぬ他人の方がまだ戦いやすい。
だが、こうなってはしょうがない。ただ全力を尽くすのみだ。

トールとアモス、お互いが対戦相手を見る。
観客席からはトールやアモスの名を叫んでいる者もいる。この大会には『トルネコ商会』が胴元として賭けの対象にもなっている。各試合での勝者もそうだし、最終的な優勝者の賭けもある。
だみ声で叫んでいる者は多分そういう賭け事をしている者たちの声でもあるのだろう。
ただその中でも、トールの名を呼ぶ聞き覚えのある女性の声もあった。ビアンカ、マーニャ、アリーナ、ソフィア、ミネアの声。応援に来てくれるとは聞いてはいたが、実際声を聞くと心強く感じた。



「それでは双方、ともに力を尽くさんことを。ファイト!」

審判からのアナウンスで試合は始まった。歓声が大きくなる。

アモスは身を隠すような巨大な盾に前に斧を抜き構え、トールの様子を慎重に探るようにしている。防御主体の重戦士といったところだ。
生半可な攻撃では防がれるか、避けられるかされるだろう。
少なくともすぐには攻撃を仕掛けてこないようだった。
そしてそれはトールにとっては好機だった。
トールとアモスとの距離は30m程。もしもこの距離がもう少し短ければ、もしもアモスが開始早々突っ込んでくるのであれば、トールの対応も違っていただろう。
だがアモスのこの対応は、トールにとってチャンスであり逃すわけにはいかなかった。
避けられない、又は避けがたい一撃で攻撃すればいいのだ。
トールは一瞬で魔力の溜め、そして呪文を唱えた。

「ギガデイン!」

呪文を聞いたアモスは自分の愚策に気づき、すぐさま動くがもはや遅かった。
掲げられたトールの手から極大の雷がほとばしる。宙を、地面を雷が駆け巡りアモスを襲う。

ズガガガガーンッ!

荒れ狂う雷にアモスが吹き飛ばされる。だが盾で防御したのか意識までは失っていない。だがすぐさま反撃に移れる程無事でもなかった。

トールはここで油断はしない。相手は今までの試練を潜り抜けてここまで来たのだ。どんな奥の手があるのか分かったものではない。
よくバトルものでは相手の本気を引き出しぶつかり合うなんてことを行うが、トールからしてみれば愚の骨頂でしなかい。相手に何もさせないで勝つ。それが出きるならそうするべきなのだ。
トールはもう一度魔力を溜め、そして速やかに呪文を唱えた。

「ギガデイン!」

荒れ狂う雷が試合の勝負を決めた。


****


歓声を背にトールは闘技場から出る。
とりあえずは無傷で勝利する事が出来た。今回勝てたのは戦闘スタイルの差もあるが、何よりレベルの差もあったのだろう。
レベル40といえばゲームならそろそろラスボスに挑んでもいいくらいだ。もちろんパーティーを組んだ場合でありソロプレイではまだまだだが、それでも強者と言っていいレベルだ。
トールは基本的に仲間はモンスターだけ連れて迷宮探索をしているため、他の冒険者のレベルには疎いものがあった。
だが今回の事で分かった事は、自分は自分が思っているよりも強かったという事だ。
もちろんそれで慢心するつもりはない。多少のレベル差もスキルでひっくり返す事が出来るからだ。

ただ今回に限ってはトールとアモスがお互いに中途半端に相手の情報を持っていた事も影響があったと思う。
トールが以前ハッサンたちと話していた時に聞いたアモスとついさっき戦ったアモスは、レベルなどに多少の違いはあってもそれほど違いはなかった。
だがトールはその時とは大きく変わっている。職もレベルも、だ。戦い方もあらゆる事が出来るようになっていた。アモスはトールの職が『盗賊』で素早さを主体とした攻撃をすると思っていたのだろう。
この違いが出たのだろう。そうでないなら結果は変わらなかったかもしれないが、これほど一方的にはならなかったに違いない。

とにかく一回戦を勝つ事が出来たのはおおきい。心に余裕を持つ事は出来た。
トールは次の対戦を思い気持ちを新たにしたのだった。



控え室の戻ると又くじを引かされた。二回戦、引いたくじは『2-B』。
後、5試合ほどあるが、一試合の時間は長くない。多分2時間ほどで次の試合になるだろう。
まずは減ったMPの回復のために『いのりのゆびわ』を数度使う。指輪は壊れることなく無事だ。当たりの品かもしれない。
とりあえずこれでも体調的には問題ないだろう。
トールはソファーに横になり身体を休める。
怪我一つなく試合は終わったが、やはり精神的に疲れてはいる。試合に集中した結果だ。
一息ついてからトールは目を閉じた。

次に目を覚ましたのは、扉をたたく音からだった。
一回戦の全てが終わったという知らせだった。時間的には後2,30分で自分の試合になるだろう。それにしてもこの少ない時間内でも眠れる事が出来るとは、案外自分は図太いのかもしれないとトールは思った。
眠気覚ましに水を一杯飲んでから、少し身体を動かしながら自分の番を待つ。思ったより落ち着いている自分がいた。
その内に扉のノックとともに係りのものから声がかかる。

「トール様、まもなく試合の時間です。ご用意はよろしいですか」

トールは「大丈夫だ」と応えて、部屋から出る。トールの第二試合が始まりだった。


****


闘技場は相変わらず歓声の包まれている。その歓声がトールの入場で更に大きくなった。

「二回戦、第二試合を始めます。西門よりはデイジィ、そして東門よりはトール」

アナウンスにトールは自分が入ってきた門と反対の方の門を見ると、軽鎧を着込んだ金髪の女性がいる。
トールとは直接の面識がない冒険者だ。ただ最終試験に残り、一回戦も勝ち上がったのだが腕は確かなのだろう。
細身で釣り目気味の美女、見た目だけでは強さが判別できないのはこの世界では当たり前の事だった。
姿格好、何となく見覚えがある気はするが、答えがでるまでの時間がなかった。

「それでは双方、ともに力を尽くさんことを、ファイト!」

開始の合図でトールは思考を中断して戦いへと意識を変える。
デイジィはすぐさま剣を抜くと、地面を蹴ってトールに迫ってきた。手にしている特徴的な鍔のある細身の剣はトールもイラストなどで見た事はあった。

『はやぶさの剣』

実物を見たのは始めてだった。軽くて強い特別な金属で作られ、はやぶさのごとき速さで攻撃できるといわれている剣だ。迷宮で手に入れたにしろ、金銭で買ったにしろ、並大抵のことで手に入る代物ではなかった。

トールもすぐさま剣を抜き、迎撃の態勢に入る。

「はやぶさ斬り」

デイジィは特技の連撃と、はやぶさの剣の効果で、一息で4連続の斬撃を仕掛けてくる。トールは剣と盾で受け止め、又は受け流そうとするが、流石に全てを防ぎきる事はできなかった。
そしてデイジィすぐさま離れ、一定の距離をとる。ヒットアンドウェイだ。絶妙な間合いを計り、トールが呪文を唱えようとすればその邪魔をしてきたりもする。
はやぶさの剣を使っているためか、手数では敵わない。トールは『闘気法』を使って身体能力を上げてはいるが、この大会で最終試練に残れるレベルになると、相手も普通に闘気を扱えるようになっている。『闘気法』はなにもアバン流の専売特許というわけでもないのだ。
『闘気法』で一瞬の内に強化できるのはある程度までだ。それ以上の強化はやはり溜めの時間が必要だった。

スピード勝負では負けている。だが、ただそれだけだった。数合剣をきり合わせて分かった事がある。
それは力、つまり攻撃力が足りないという事だ。今までは速さでそれをカバーしてきたのだろう。または仲間のフォローもあったのかもしれない。だが、デイジィ一人ではそれを補えていなかった。
あるいは『闘気法』で力を増す事でその欠点を補ってきたのかもしれないが、今度はトールの方がその隙を許さなかった。
そして速さで敵わないなら相手を遅く、そして自分を速くすればいい。トールにはそれが出来た。つまり『ボミオス』と『ピオリム』を使えばいいということだ。
もちろん呪文を唱える時は隙ができる。それが素早さを身上とする相手なら尚更隙となるだろう。だが急所さえ守りきれれば問題はなかった。
トールにとってデイジィの攻撃はその程度のことだった。
速さを重視した戦士であるデイジィと万能型であるトールの違い、そして何と言っても決定的なのがレベルの差。
呪文により素早さが逆転した瞬間、この勝負は終わりを告げた。

二回戦、第二試合はトールの勝利で幕を閉じた。




――― ステータス ―――
トール  おとこ
レベル:40
職:戦士
HP:374+40=414(+10%)
MP:130
ちから:123+20+5=148(+10%)
すばやさ:100+70+5=175
みのまもり:56+5=61
きようさ:113+70+80=263
みりょく:69+10=79
こうげき魔力:50+20+10=80
かいふく魔力:64+20+10=94
うん:134+40=174

・装備
頭:かげのターバン(守+13)
身体上:げんまのよろい(守+47、攻魔+10、回魔+10)
身体下:たまはがねのひざあて(守+16)
手:くらやみミトン(守+10、器+80)
足:ちんもくのブーツ(守+9、素+5)
アクセサリー: いやしのうでわ(守+4、自動回復大)
武器:光の剣(攻+70)
盾: 聖騎士のたて(守+25)

こうげき力:253
しゅび力:185

言語スキル:4(会話2、読解2、筆記)【熟練度:61】
戦士スキル:(かばう、ちから+10、HP+10)【熟練度:3】
盗賊スキル:☆(索敵能力UP、すばやさ+10、ぬすむ、器用さ+20、リレミト、ピオリム、しのびあし、盗人斬り、ボミオス、すばやさ+50、とうぞくのはな、器用さ+50、かぎあけ、常時索敵)【熟練度:0】
武闘家スキル:3(おたけび、すばやさ+10、ちから+10)【熟練度:0】
魔法使いスキル:3(魔結界、こうげき魔力+20、ぶきみなひかり)【熟練度:0】
僧侶スキル:3(かみのおつげ、かいふく魔力+20、おはらい)【熟練度:0】
芸人スキル:3(ボケ、身かわし率UP、ツッコミ)【熟練度:0】
商人スキル:7(うん+10、アイテム入手率UP、HP+10、あなほり、インパス、HP+20、うん+30)【熟練度:0】
魔物ハンタースキル:3(まものならし、みりょく+10、あまいいき)【熟練度:0】
剣スキル:☆(剣装備時攻撃力+5、ドラゴン斬り、メタル斬り、剣装備時攻撃力+10、ミラクルソード、はやぶさ斬り、剣装備時攻撃力+20、会心率UP、魔神斬り、ギガスラッシュ、得意武器になった)【熟練度:56】
素手スキル:5(未装備時攻撃力+10、あしばらい、しっぷうきゃく、会心率UP、急所突き)【熟練度:57】
盾スキル:5(ガードアタック、盾ガード率+2%、大ぼうぎょ、盾ガード率+2%、ビッグガード)【熟練度:86】
ゆうきスキル:8(自動レベルアップ、ホイミ、デイン、トヘロス、べホイミ、ライデイン、いなづま斬り、マホステ、消費MP4分の3、ザオラル、べホマ、ギガデイン、ベホマズン)【熟練度:18】

特殊技能:闘気法(オーラブレード、ためる)、スカウト、アバン流刀殺法(大地斬、海波斬、空裂斬、アバンストラッシュ(偽)、常時ちから+5、常時身の守り+5)、トールブレード

経験値:596977


持ち物:モンスター袋、いのりのゆびわ(2個)、けんじゃのせいすい(5個)、特やくそう(5個)、いのちのいし(3個)、ばんのうくすり(3個)



――― 仲間のステータス ―――
前回と変わらず




所持金:93210G (預かり所:900000G)

Gコイン:26430


・持ち物『大きな小袋』
道具:やくそう(15個)、上やくそう(28個)、いやしそう(4個)、特やくそう(27個)、毒けし草(30個)、上毒けし草(5個)、特毒けし草(10個)、まんげつそう(4個)、きつけそう(11個)、おもいでのすず(5個)、せいすい(14個)、まほうのせいすい(113個)、けんじゃのせいすい(2個)、ゆめみの花(5個)、天使のすず(4個)、めざめのはな(4個)、キメラの翼(1個)、毒針(攻+1)、プラチナソード(攻+51)、ちからのルビー(攻+9)1個、銀のむねあて(守+25)、しっぷうのバンダナ(守+11、速+20、回魔+8)、聖竜のうろこ(守+8、状態異常耐性有)、ドラゴンシールド(守+25)、げんまのたて(守+23、攻魔+12、回魔+12)


大事な道具:モンスター袋、リリルーラの粉、オクルーラの秘石、自動地図、魔法の筒4本、従魔の輪2個、スカウトリング


小さなメダル:8枚


・預かり所
前回と変わらず




――― あとがき ―――

お久しぶりです。何とか2011年内に更新できました。
相変わらず文が上手くできなかったりまとまらなかったりと、なかなか先に進みませんでした。

今回はトーナメントの一回戦と二回戦です。
はじめはもっと色々な戦いをさせるつもりでしたが、トールのレベルやスキルの事を考えると、ある程度余裕があるのはしょうがない気がしたので今回のようになりました。
ちなみにトールの二回戦の相手であるデイジィはアニメの勇者アベル伝説のキャラです。

次回は準決勝からになります。

それでは、また会いましょう。



後前回のスラきちのかしこさは記入ミスです。失礼しました。



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