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No.13837の一覧
[0] DQD ~ドラゴンクエストダンジョン~ (現実→オリジナルDQ世界)[ryu@ma](2010/10/02 23:31)
[1] DQD   1話[ryu@ma](2009/11/10 23:28)
[2] DQD   2話[ryu@ma](2009/11/10 23:42)
[3] DQD   3話[ryu@ma](2009/11/11 23:03)
[4] DQD   4話[ryu@ma](2009/11/12 22:35)
[5] DQD   5話[ryu@ma](2009/11/14 00:01)
[6] DQD   6話[ryu@ma](2009/11/14 22:32)
[7] DQD   7話[ryu@ma](2009/11/15 23:14)
[8] DQD   8話[ryu@ma](2010/01/03 22:37)
[9] DQD   9話[ryu@ma](2010/01/03 22:37)
[10] DQD   10話[ryu@ma](2010/01/03 22:38)
[11] DQD   11話[ryu@ma](2010/01/03 22:38)
[12] DQD   12話[ryu@ma](2010/10/07 22:18)
[13] DQD   13話[ryu@ma](2010/10/07 22:19)
[14] DQD   14話[ryu@ma](2010/10/07 22:21)
[15] DQD   15話[ryu@ma](2010/10/07 22:22)
[16] DQD   16話[ryu@ma](2010/10/07 22:24)
[17] DQD   17話[ryu@ma](2010/01/31 22:16)
[18] DQD   18話[ryu@ma](2010/01/31 22:08)
[19] DQD   19話[ryu@ma](2010/02/07 22:28)
[20] DQD   20話[ryu@ma](2010/02/14 21:42)
[21] DQD   21話[ryu@ma](2010/02/28 23:54)
[22] DQD   22話[ryu@ma](2010/03/28 23:23)
[23] DQD   23話[ryu@ma](2010/03/28 23:23)
[24] DQD   24話[ryu@ma](2010/03/28 23:24)
[25] DQD   25話[ryu@ma](2010/03/28 23:35)
[26] DQD   26話[ryu@ma](2010/05/10 23:13)
[27] DQD   27話[ryu@ma](2010/04/14 23:31)
[28] DQD   27.5話[ryu@ma](2010/05/10 22:56)
[29] DQD   28話[ryu@ma](2010/05/10 23:18)
[30] DQD   29話[ryu@ma](2010/05/28 22:28)
[31] DQD   30話[ryu@ma](2010/06/13 00:30)
[32] DQD   31話[ryu@ma](2010/07/06 22:16)
[33] DQD   32話[ryu@ma](2010/09/03 20:36)
[34] DQD   33話[ryu@ma](2010/10/02 23:14)
[35] DQD   34話[ryu@ma](2010/10/02 23:11)
[36] DQD   35話[ryu@ma](2010/10/02 23:21)
[37] DQD   35.5話[ryu@ma](2010/10/07 22:12)
[38] DQD   36話[ryu@ma](2010/11/21 00:45)
[39] DQD   37話[ryu@ma](2010/12/07 23:00)
[40] DQD   38話[ryu@ma](2010/12/30 22:26)
[41] DQD   39話[ryu@ma](2011/01/26 23:03)
[42] DQD   40話[ryu@ma](2011/02/09 22:18)
[43] DQD   41話[ryu@ma](2011/03/02 22:31)
[44] DQD   42話[ryu@ma](2011/05/15 22:07)
[45] DQD   43話[ryu@ma](2011/09/25 22:54)
[46] DQD   44話[ryu@ma](2011/12/30 21:36)
[47] DQD   45話[ryu@ma](2012/05/04 21:57)
[48] DQD   46話[ryu@ma](2012/05/04 21:50)
[49] DQD   47話[ryu@ma](2013/03/22 23:00)
[50] DQD   47.5話[ryu@ma](2013/03/22 22:57)
[51] DQD   48話[ryu@ma](2013/10/11 22:33)
[52] DQD   設定[ryu@ma](2010/10/07 22:13)
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[13837] DQD   40話
Name: ryu@ma◆6f6c290b ID:a11fdd2d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/09 22:18
DQD   40話

ドミールの里、それは円環状に連なる山脈の切れ間に存在する村だ。
その場所は『竜の門』とよばれ、山脈の円環内へ入るのを防ぐ番人のような役割をしている。というのも山脈内部に広がる森には危険なモンスターも存在しているからだ。
ドミールの里自体、竜神信仰の地でもあり、特に『聖竜グレイナル』は実存する神の一柱として敬われていた。

ドミールの里の周囲は外敵の侵入を阻む高い柵に囲まれており、内部は土の地肌の地面に木造の建物があった。ゴッドサイドと比べると田舎というか古臭い様式の建物が多く、通りを歩く人の姿も少なかった。
もっとも世界でも最大級の都市であるゴッドサイドと比べる事自体間違っているのだろうが、ゴッドサイドとその宿場町しか知らないトールにはその判断が付かなかった。

入り口は北と南にあり、南の入り口からは連なる山脈が見える。その中で一際高い山が自然と目に入った。頂上付近からは噴煙がモクモクと空へと昇っており、あの山が活火山であることを証明していた。
あの山こそがドミール山、トールが目指す場所だった。



ドミールの里に着いたトールはまずは情報収集をする事にした。
事前に調べたが情報に齟齬がないか確かめたかったからだ。やはり実際に見聞きした事の方がいい。その方が安心できるからだ。
ただゲームのように村人にいきなり話しかけたりはしない。トールはここではよそ者でしかないのだ。
実際、ほんの少し里を歩いただけで感じることだが、里人のトールを見る目はどこかよそよそしい、というか排他的に感じる。
このままよそ者のトールが話しかけたとしても、トールが知りたい事を素直に答えてくれるとは思えなかった。

ならばどうするのかと言えば、酒場という場所がある。酒場はこの世界では情報交換の場でもあり、その店員は話をするのも仕事の一つでもあるのだ。
それに聞く内容もそれほど大したことではないと思っている。
事前に調べた事があっているかの確認と、この辺りにいるモンスターがどの程度の強さなのかを知りたかった。
後、出来ればドミール山までの案内が頼めればと思った。

『聖竜グレイナル』を信仰してここにいるのなら、ドミール山まで行っている者もいるはずだ。それならばその者に案内役を頼めないかと思った。
もっとも目的が『聖竜グレイナル』の鱗を手に入れる事だから、その辺りが理由で断られるかもしれないとは思ったが、それはまず見つけてから考える事だろう。
もしここで駄目なら、確認する事は諦めて調べた事が真実だと信じて進むしかないだろう。



とにかく最終確認として情報を得るためにトールは酒場を探す事にした。
そして見つけた酒場は、この村唯一つの宿屋でもあった。一階が酒場と経営者の住居、そして二階が宿屋になっていた。
イス4脚付きのテーブルが4組とカウンターに6脚のイスがある。それほど大きな酒場とは思えなかった。
午前中のためか酒場には客はおらず、店主らしき中年の男が一人いた。

「いらっしゃい」

入ってきたトールに気づいて、店主は食器の整理の手を止めて言った。

「ドミール山について聞きたいんですけど」

「ああ、ドミール山ね」

店主はそれだけ言うと、何かを促すように酒場の壁にあるメニューの辺りに視線を向ける。トールもそれで店主が何を言いたいのかは理解が出来た。

「アルコールの入っていない飲み物を一つ」

同時に10Gほどをカウンターの上に置く。

「ミルクならあるが」

「じゃあそれで」

店主はコップにミルクを注ぐとトールの前に差し出した。トールはそれを飲み干すと一息ついてから口を開いた。

「それでドミール山についてだけど――」

事前にドミール山について調べた事を聞いてみると、今度は答えてくれた。
ドミール山の場所やドミール山にいる『聖竜グレイナス』がドミールの里の者たちにとって信仰の対象であることなど、調べた事におおよそ間違いはなかった。
周囲のモンスターについては村の周辺や平原ならそれほど強いモンスターはいないが、森に入ると命の保障は出来ないと言われた。
少なくとも里でも戦士として有数の腕を持つ者がパーティーを組まなくては危険という認識があった。
『聖竜グレイナス』についてはあまり聞かなかった。信仰の対象について事細かに聴く事が良いか悪いかの判断付かなかったからだ。
後、ドミール山への道案内役がいるか聞いてみたが、基本的にドミールの里ではドミール山に近づく者を止める事はあっても案内はしないということだ。ただしそれでも行くという者を無理やり止める事もしないらしい。

「無理……ですか」

「というよりも、余程の理由がない限り里の者でもあの山には近づかない。危険だという理由もあるが聖域である事のほうが重要だ。理由がなければ近づかないよ」

「そうですか」

元々案内役はいれば儲けもの程度の考えだったため、それほどショックはなかった。
後は『竜の火酒』というかお酒に付いて聞いてみた。これはDQⅨからの知識で図書館で調べたわけではないが、もしあるようなら『聖竜グレイナル』へのご機嫌取りになるかもしれないし、戦うにしても酔っ払った相手の方が有利になるだろうと思えた。

『竜の火酒』については、存在そのものはあるらしい。
『聖竜グレイナル』の献上品として造られている物であり、余っても里人で分けられる為、一般販売はしていない。そもそも原料自体がなかなか手に入りづらく高価なものも多いため、量がたくさん造れるものではないらしい。もちろん酒場にも置いていない。
もし手に入れたいなら、里人に交渉して手に入れることになるだろうが、顔見しりでもない旅人では分けてはもらえないだろうとも言われた。

これで聞きたい事はだいたい聞いた。道具なども買い終えている以上、基本的にドミールの里で何かすることはない。そろそろドミール山に向かっても良いだろう。

「これからドミール山に行くつもりかい」

「そのつもりです」

「そうかい。それなら里長のところに一度訪ねておいたほうがいいと思うぞ」

「里長のところ?」

「そうだ。挨拶の一つくらいしておいた方がいい。まあどうするかはお前さんの自由だがね」

それだけ言うと店主は又店の掃除をし始めた。
トールは店主の言葉を吟味するように考えてから酒場を後にした。


トールは続いて里長の家も訪ねる事にした。酒場の店主がわざわざ最後に忠告のように話してくれた事が気になったのだ。
わざわざ里長の所に行ったほうがいいと言うことは、つまり行けと言われているような気がした
里長の家は村の中央にあり、他の建物より少しだけ大きかった。
訪ねたトールを里長は快く迎え入れてくれた。
競技会のことはトルネコ商会から前もって話を聞いているらしく、競技会の参加者たちがドミール山に向かう事に関しては、里からは特に言う事はないらしい。

ただこうして訪ねてきた者には、忠告している事があるとの事だった。
話す事はトールが酒場で聞いた事とあまり変わりのないことでもあった。
それはドミール山脈の麓に拡がる森の事だが、森を跳梁跋扈するモンスターは冒険者といえども危険であり、迷いの森といわれるほど険しい森だという事だった。
それとくれぐれも『聖竜グレイナル』に対して無礼な真似は慎むようにとのことだった。これはおぬしためでもあるのだと念を押すように言われた。
まあこれは『聖竜グレイナル』を信仰するドミールの里の里長なら当然言ってもいい言葉だろう。

後は気をつけるように、命あってのものだとも言われた。
とりあえず里長からの話はこれだけだったが、トールがふと思いついたことを尋ねてみた。『竜の火酒』の事だ。何とか別けてもらう事が出来ないかを聞いてみた。
里長は少し驚いたような表情を浮かべた後、一瓶1000Gで売る用意があると言われた。
『竜の火酒』は通年あまり量は作られないが、今年はトルネコ商会のほうから依頼があり、多めに作ったとのことだ。
つまり、ここで『竜の火酒』を手に入れることは、正しい選択なのだとトルネコ商会が保障してくれたようなものだろう。

トールは一瓶『竜の火酒』を手に入れると、その後ドミールの里から旅立った。


****


ドミールの里から南にあるドミール山に向かって歩み始める。
もちろん『聖水』と『トヘロス』は使っておく。
そして『しのびあし』で歩いていった。『ルラムーン草』の時は自転車に乗っていたため使えなかったが、徒歩で進んでいくには、有効なスキルだった。
平原を歩いているうちはまだ周りの景色を見る余裕はあった。仲間たちもトールの後を付いてくる。
そして二時間もすると森への入り口に差し迫っていた。

(何か薄気味悪いなあ)

それが森を眺めて最初に感じたことだった。
だが引き返すという選択はありえないし、森を迂回するという事も出来ない。目的地であるドミール山の洞窟は森に囲まれているからだ。
薄暗い森を目の前にしてトールはゴクリと唾を飲み込むと、「よしっ」と自分に言い聞かせるように呟いてから森の中に入っていった。

『ルラムーン草』を取りに言った時の森とは木の密度が違っていた。
無秩序に生えた木々は葉を生い茂らせ、頭上を覆いかくし日の光をさえぎる。時折木の葉の隙間から少しだけ差し込む光が、今が昼間だと教えていた。
地面は隆起し、木の根は地面から突き出ているものもある。やはり自転車で行くには困難な場所だった。遠くからは鳥や獣の鳴き声が聞こえてくる。

薄暗い森の雰囲気も合わさって、薄気味悪さは倍増して感じる。
それでも引き返す気はないため進むしかない。ただ幸いなのは何となくだが道のようなものが存在している事だ。
明らかに踏み固められたような場所、始めは獣道かとも思ったが多分そうではない。
これはかってドミールの里の者がドミール山に行くために通っていた道ではないのかと思った。

ドミールの里からドミール山に行くのは『キメラの翼』でも可能との事だが、儀式の時は今でもこの森を通ってドミール山に行くらしい。その時に通る道の跡ではないのかと思えた。
それに良く見てみると足跡らしきものを見つける事が出来た。さすがにこれがドミールの里の者の足跡とはトールも思っていない。
この足跡はもっと新しいものだからだ。
それでは誰の足跡かと言えば、多分他の競技会の参加者の足跡だろう。

トールがゴッドサイドの迷宮でレベル上げをしている間にも、何人かの競技者が第二試練を合格してドミール山に向かったのを知っていた。
そうでなくても、この森に入る者の目的地などドミール山以外にはないといってもいいだろう。
それならばこの足跡を信じて進んでいくのもいいだろう。
もちろん万が一のことを考えて、方位磁石で方向を確認しながら、木に進んだ方向を矢印で刻むぐらいのことはしていく。
とりあえず進んでいく方向があるのは有り難かった。
旅の初心者であるトールにとって、森の中を進んでいく際に方向を決めるのにも苦労しそうだったのだ。ゴッドサイドで得た大雑把な地図と方位磁石だけで森を通り抜けられるとはさすがに思っていなかった。

(ラッキーだよな)

少し笑みを浮かべるとトールは森の中を進んで行った。



足跡のあるほうに進んで行くとしても、そんなに簡単なことではない。時間が経っているためなのか、薄くなっているものや消えているものもあるからだ。
まあ大抵の足跡がついている場所は、通り道のような所に出来ているためそこを進んでいけば良いが、その通り道のような所は決して一本道ではなく、分かれ道が出来ているところもある。
そういう場合こそ足跡のある道を選んで進んでいくのだ。
ただモンスターもいる森のため、足跡ばかりに気をとられるわけにもいかない。何時如何なる時にモンスターが襲い掛かってくるか分からないからだ。

『聖水』、『トヘロス』、『しのびあし』とモンスターと出会わないための対策はしているが、完全なものではない。『聖水』、『トヘロス』は使ってしまえば効果が切れるまで何もしなくて良いが、『しのびあし』はそうはいかない。
スキルで使っているが、勝手に効果があるものではない。使おうとして意識しなければいけないのだ。

この森の中で『しのびあし』と『索敵能力』を併用するのは、今のトールでは難しかった。どうしてもどちらかに意識が傾むき、そうなる自然に『索敵能力』の方に比重が傾いていった。
トールにとって使い慣れた能力であるし、『しのびあし』は『聖水』や『トヘロス』である程度代わりになるからだ。
何より見知らぬ敵からの奇襲が怖かったという事もあった。
他に気をとられてモンスターに襲われて死にましたでは話にならない。

そういうわけでトールは『索敵能力』であたりを警戒しながら進むことにした。
もちろん仲間にも役割分担がある。
ドランはそれほど高くは飛べないがそれでもその小さな羽根で飛ぶ事も出来るため頭上を飛んで周囲を警戒する。スラきちとガボが足跡を探して進む方向を探るようにした。
そのため歩みは随分と遅いものになった。

周囲を警戒しながら進むというのは精神的に疲れる。
木々が生い茂り見通しが利かないこの森では、『索敵能力』は確かに役に立つ。モンスターがどの方向にいるのかなど感じ取れ、それに対し警戒も出来る。ただここはゴッドサイドの迷宮ではない。
あの迷宮ではモンスターは基本的に人を襲ってくるし、レベル差があれば逃げ出す。それに地図のあるため警戒するべき方向を限定する事が出来る。

だが森では周囲全てに気を配らなければいけないし、気配を感じ取れたモンスターも必ずしも襲いかかってくるわけではないのだ。
そしてやはり視界が利かないのが一番痛い。
『ルラムーン草』を取りに行った時も森の中に入ったが、あの森はまだ見通しが利いた。自転車で移動できるスペースも十分にあった。そのためモンスターが近づいてくれば、分かる事が出来た。

だがこの森では近くに来られなければ、その姿を見ることは出来ないだろう。
その代わり木々に触れる音などが聞こえるだろうが、普段でも風などで木の葉のざわめく音が聞こえるため、聞き分ける事が出来るかどうかが問題だ。
まあ、トールには『索敵能力』があるため近づいてくるモンスターに全く気がつかないと言う事はないだろう。

それに例え不意打ちを食らったとしても一撃で倒されるほど、今のトールは弱くない。というよりトールはもう十分に強い、強者に数えられる部類の人間だ。
そのトールを一撃でどうにか出来るモンスターがいるのなら、それはそれで問題だろう。ただ油断や慢心は不慮の事故の元だ。トールは既にそれで痛い目にあっている。それゆえの警戒心だった。



時折遠くでモンスターの気配を察知しても、向こうから向かってこない限りは無視するかたちで進んでいく。気にはなるが、これはしょうがない事だ。
モンスターを追うために一度道を外れたら、再びこの道筋に戻ってこられるかどうか不安だからだ。
ただモンスターにも本能があるためか、一匹しか気配を感じない時は、まず襲ってこない。ただそれが群れの時は違ってくる。
数にものを言わせて突っ込んできたり、周りを囲うようにして襲ってきた。



この森で初めて出会ったモンスターは『あばれザル』だ。巨大なサルのモンスターで2mを越える巨体をしている。それが一匹だけでなく何匹もが群れになって波状攻撃で襲い掛かってきた。
『索敵能力』のあるトール相手に不意打ちにはならなかったが、数による圧力は無視できない。
トールが前衛に立ち、スラきち、ドラン、ガボは後方で援護するのが、今の彼らの戦闘スタイルだった。
まずはトールが『ライディン』を迫り来る『あばれザル』たちに向かって放つ。
近くに来ていた『あばれザル』はこれで倒せるが、後方からその屍を乗り越えて更に『あばれザル』が襲い掛かってくる。
すぐさまトールは剣を抜き迎え撃つ。振り下ろされる拳を、振り回される腕を掻い潜り、一閃する。それは『あばれザル』の命を絶つ一撃だった。
仲間たちも見ているだけではない。スラきちは補助魔法でサポートをする。ドランは『おたけび』や『やけつくいき』で相手の動きを止める。ガボは幻影の狼を呼び出し、『ほえろ』で動きを止めたり、『かみつけ』、『ぶつかれ』で攻撃したりした。
複数のモンスターの襲われるのは、迷宮で『においぶくろ』をつかってモンスターをおびき寄せているから初めてではないが、迷宮では場所を限定して正面からのみモンスターが来るようにしていたため、森のように全方向に注意しなくてはいけないのは苦労した。

『あばれザル』はまだ単純だったが、『リカント』、『リカントマムル』たちは狡猾だった。
『リカント』、『リカントマムル』は狼の獣人のモンスターで、『リカントマムル』の方が『リカント』よりも上位固体で群れのボス的な存在となっていた。
トールたちの周囲を取り囲むように包囲してから襲い掛かってきたため、その対応には苦労した。

他にも『リザードマン』はワニ顔をした爬虫類の獣人で鎧を着込み剣や斧などの武器を持っており、スキルの技を使ってきたりした。
又、『トロル』といった3mを超える巨人もいた。『トロル』は基本的に一匹で行動しているのだが、巨大な棍棒から繰り出される攻撃は、トールと言えどもまともに食らえば傷を負うほどのものだった。

それらの襲撃を全て跳ね返してトールたちは進んで行った。大きな傷を負うこともなく進んでいけたのは、結局のところトールが強いからだろう。レベル上げとスキル上げに費やした日々は伊達ではなかったのだ。



モンスターと戦いながらも道らしき場所を進んでいく。
途中で夜営の跡らしきものを見かけた。道順自体は多分間違ってはいないのだろうと思えた。
そうしているうちに、木の葉の隙間から差し込んでいた光もなくなっていく。日が暮れて夜が来るのだ。
月の光も届かない暗闇の森の中を進んでいくのは危険以外のなにものでもない。
少しでも休みやすそうな場所を探すと夜営の準備に取り掛かる。とはいっても『ルラムーン草』を取りにいったときと同じように簡単なことしか出来ない。
乾いた木を集め『まどうしの杖』で火をつけ、周囲に聖水を振りまく。年中温暖なゴッドサイドとは違い、この辺りは日が暮れるとともに肌寒くなり、夜になると随分と冷えてきた。
火で温まりながら用意しておいた出来合いの食べ物を取り出して食べる。体力の回復も兼ねて『やくそう』もついでに食べておく。
暗闇の森で不安なはずなのに、火があるだけでそれが和らぐのが少し不思議な感じがした。
一日中動きづめで随分と疲れた。迷宮探索を一日中することは多々あるが、緊張感が違うのだろう。肉体的よりも精神的な疲れの方が大きかった。
食事が終わったら、後は明日のためにさっさと休んだ方が良いだろう。今回は仲間たちも疲れているのが分かった。だが皆が一斉に寝るわけにもいかないため、交代しながら寝る事にした。



日が昇れば出発だ。また道らしき場所を進んでいく。
時折モンスターが襲いかかってくるが、それを撃退しながらも進んでいく。
はたして自分が進んでいる道が正しいのかどうか、それが分からないまま進んでいくのは不安だったが、かといって方位磁石と地図を頼りに木々を掻き分けて進んでいこうとは思わなかった。

そうして歩いている時だった。
トールの索敵能力が前方にモンスターが一匹いることを知らせてきた。
他にはモンスターはおらずたった一匹のようだった。この森で出会ったモンスターで一匹で行動するのは『トロル』だ。だが、何か違うとトールの勘が告げていた。
奇妙なプレッシャーを感じている自分にトールは気づいた。

どうするのか。そんなことを考えている間にもモンスターはこちらに向かって来ていた。
逃げるのなら道を逆戻りするか、左右の森の中になるが、それでも逃げ切れるかは分からない。
それよりもまず逃げるという考えが頭に浮かんだ事が驚いた。

そんな事を考えている間にモンスターは視認出来るまでに近づいていた。
そこにいたのは一匹の『リザードマン』だが、本来2mほどの大きさのはずの『リザードマン』が目の前の『リザードマン』は一回り大きい。『トロル』相手でも引けを取らない大きさだろう。鎧を着込み右手には奇妙な斧を持っている。

感じるのは圧倒的な威圧感。ここにいたって、トールも目の前の相手がやばい相手だと理解した。
逃げる。こうなっては『キメラの翼』を使うのも仕方ない。そう思ったのだが、それは一歩遅かった。

『グガァァァァァァァ!』

『リザードマン』の『おたけび』が森に木霊した。
トールは何とか耐えるが、スラきち、ドラン、ガボはショックで固まってしまった。これではすぐに逃げることは出来ない。これで逃げるということは、仲間を見捨てると言う事になるからだ。
『キメラの翼』を使うにも、『魔法の筒』で吸い込むにも、一瞬だが時間が要る。
その一瞬の時間で『リザードマン』は突っ込んできた。
『大きな小袋』から道具を取り出して使う時間があるのか。トールはないと判断した。
そして次には戦う事を選択する。
剣を抜くと、『リザードマン』が振り下ろす斧を受け止めた。避けることは出来ない。後ろにはショックで固まった仲間がいるからだ。

ギィギィギィギィギィギィ……

トールと『リザードマン』の力比べか続く。
周りから見るものがいれば不可思議な光景にしか見えないだろう。普通なら力負けするだろうが、トールはレベルが十分に上がっている。そして『闘気法』を使って力を増しているのだ。
そして更に力を増幅して『リザードマン』を押し返した。
突然の力に押し負けた『リザードマン』は後ろによろめく。追い討ちをかけるようにトールが切りかかるが『リザードマン』は大きく後ろに飛びのいてそれを避ける。だが,トールの追撃は終わらない。

「ライデイン!」

距離が開いたの見て放った雷の呪文が『リザードマン』を襲うが、身を丸めるようにしてそれに耐えた。
隙が出来るなら、一気にたたみ掛けようと思ったが、『リザードマン』の目はまだ死んでいなかった。いやそれどころか不用意に近づけば、手痛い反撃を受ける気さえした。

この『リザードマン』は強い。それだけは確かだった。普通の『リザードマン』ではないのだろう。そういうモンスターについては思い当たる事があった。

固体優良種、略して固優種といわれる特別なモンスターのことだ。
固優種のモンスターは同種のモンスターより知恵があったり力が強かったりと群れのリーダーになるようなモンスターらしい。ゲームで言うなら中ボスのような存在といっていいだろう。

目の前の『リザードマン』は多分、固優種なのだろう。
だからといってもう逃げることは出来ない。仲間たちのショックはまだ抜けていない。目の前の『リザードマン』から目を離すことも出来ない。
もう戦って勝つしかないのだから。




――― ステータス ―――
トール  おとこ
レベル:33
職:盗賊
HP:318
MP:101
ちから:105+5=110
すばやさ:84+60+5=149(+10%)
みのまもり:45+5=50
きようさ:94+70+40=204(+10%)
みりょく:53
こうげき魔力:41
かいふく魔力:51
うん:92

・装備
頭:かげのターバン(守+13)
身体上:しっこくのマント(守+42、みかわし率+3%)
身体下:ブルージーンズ(守+11)
手:あおのグローブ(守+5、器+40)
足:ちんもくのブーツ(守+9、素+5)
アクセサリー: いやしのうでわ(守+4、自動回復大)
武器:光の剣(攻+70)
盾:ライトシールド(守+10)

こうげき力:217
しゅび力:145

言語スキル:4(会話2、読解2、筆記)【熟練度:42】
盗賊スキル:9(索敵能力UP、すばやさ+10、ぬすむ、器用さ+20、リレミト、ピオリム、しのびあし、盗人斬り、ボミオス、すばやさ+50、とうぞくのはな、器用さ+50)【熟練度:5】
剣スキル:☆(剣装備時攻撃力+5、ドラゴン斬り、メタル斬り、剣装備時攻撃力+10、ミラクルソード、はやぶさ斬り、剣装備時攻撃力+20、会心率UP、魔神斬り、ギガスラッシュ)【熟練度:4】
素手スキル:2(未装備時攻撃力+10、あしばらい)【熟練度:85】
ゆうきスキル:6(自動レベルアップ、ホイミ、デイン、トヘロス、べホイミ、ライデイン、いなづま斬り、マホステ、消費MP4分の3)【熟練度:65】

特殊技能:闘気法(オーラブレード、ためる)、スカウト、アバン流刀殺法(大地斬、海波斬、空裂斬、アバンストラッシュ(偽)、常時ちから+5、常時身の守り+5)

経験値:229632




――― 仲間のステータス ―――
スラきち  ?
レベル:25
種族:スライム
HP:28
MP:38+15
ちから:14
すばやさ:41
みのまもり:26
かしこさ:51
うん:53
こうげき魔力:9+15
かいふく魔力:9

装備:
防具:角つきスライムアーマー(攻+8、守+25)
アクセサリー:ソーサリーリング(攻魔+15、MP+15)

こうげき力:14
しゅび力:26

言語スキル:1(会話1)
スライムスキル:5(自動レベルアップ、ホイミ、スクルト、ルカナン、リレミト、メラミ、フバーハ)



ドラン  ?
レベル:16
種族:ドラゴンキッズ
HP:126
MP:0
ちから:87
すばやさ:71
みのまもり:53
かしこさ:36
うん:59
こうげき魔力:4
かいふく魔力:4

装備:
武器:魔よけのツメ(攻+43)【4000G】
防具:けがわのマント(守+15)
アクセサリー:命の指輪(守+6、自動回復)

こうげき力:130
しゅび力:74

言語スキル:0
ドラゴンキッズスキル:5(自動レベルアップ、ひのいき、つめたいいき、あまいいき、おたけび、かえんのいき、こごえるいき、やけつくいき)



――― ステータス ―――
ガボ  オス
レベル:14
種族:聖白狼
HP:97
MP:32
ちから:43
すばやさ:51
みのまもり:24
かしこさ:22
うん:40
こうげき魔力:10
かいふく魔力:7

装備:
防具:けがわのマント(守+15)
アクセサリー:命の指輪(守+6、自動回復)

こうげき力:41
しゅび力:45

言語スキル:0
聖白狼スキル:2(自動レベルアップ、ほえろ、かみつけ、ぶつかれ)


所持金:13375G (預かり所:450000G)

Gコイン:26570


・持ち物『大きな小袋』
道具:やくそう(15個)、上やくそう(21個)、特やくそう(22個)、毒けし草(31個)、上毒けし草(5個)、特毒けし草(10個)、まんげつそう(4個)、きつけそう(11個)、おもいでのすず(5個)、せいすい(16個)、いのちのいし(4個)、まほうのせいすい(42個)、けんじゃのせいすい(4個)ばんのうくすり(3個)、ゆめみの花(5個)、キメラの翼(1個)いのりのゆびわ(2個)、ドラゴンシールド(守+25)1個、毒針(攻+1)、プラチナソード(攻+51)、ちからのルビー(攻+9)1個、銀のむねあて(守+25)、しっぷうのバンダナ(守+11、速+20、回魔+8)、まよけの聖印(守+4、即死無効)、まどうしのつえ(攻+7)1個


大事な道具:モンスター袋、リリルーラの粉、オクルーラの秘石、自動地図、魔法の筒4本、従魔の輪2個、竜の火酒、スカウトリング

小さなメダル:8枚

・預かり所
前回と変わりなし。




――― あとがき ―――

ドミールの森で強敵との遭遇となりました。
まあ『リザードマン』といえば誰かは分かる人は簡単に分かると思いますけどね。


前回の3種錬金釜についてですが、週を渡って使ったと思ってください。自分でも指摘されて気づかされた設定です。
以後気をつけます。


それでは、また会いましょう。



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