DQD 16話
「おはよう」
「あ、ああ、おはよう」
迷宮の入り口付近で、アリーナはいつも通りの挨拶をしてきたが不機嫌さが隠しきれていない。
トールもどもりながら挨拶を返したが、何となく肩身が狭いように感じる。
いつもなら他愛ない話をしながら迷宮に向かうのだが、今回はいつもとは違う。
アリーナの後ろにはトールが知らぬはずの二人がいる。
当初何らかの理由で不承不承ながら二人を連れてきたのかと思ったが、どうやらそうではないようだ。
アリーナはまるで後ろの二人などいないかのように振舞う。
アリーナは二人を無視してここまで来て、二人は勝手に後を着いてきただけなのだろう。
雰囲気は険悪だ。
一緒に迷宮を探索して3日、それなりに親しくなった事もあり、アリーナがイライラしているが分かった。
ふと後ろの二人に目を向けると、クリフトと目が合った。
まるで敵を見るような目で睨まれる。
トールには何が何だか分からない。
確かにクリフトにしてみれば、トールは何処の馬の骨とも知れない男にすぎないかもしれないが、敵を見るような目をされる覚えもない。
第一今回の事はハッサンの言葉が正しければ、御付の爺さん(多分ブライだろう)も知っている事のはずなのだ。
だとすれば、文句を言われる筋合いもないはずだ。
ククールの方はといえば、まるで自分は無関係だと言わんばかりに、気楽そうに一歩下がった場所でこちらを眺めている。
何を考えているか、トールには見ただけで判断はつかない。
「行きましょう、トール」
相変わらず後ろを無視して、アリーナは話しかける。
こうなるとトールにしても何も聞くことは出来ない。
アリーナはその態度で、何も聞くなと言っているのだ。ならば少なくとも今この場で聞くことではないだろうし、聞いても答えてくれないだろう。
クリフトとククールの二人が冒険者かどうかは分からないが、迷宮内に入ってしまえば、撒く事もできるだろう。
「分かったよ、アリーナ」
「貴様、姫様を呼び捨てにするとは何事だ!」
トールが言った瞬間のクリフトの怒鳴り声。空気が凍ったような気がした。
クリフト自身も自分が勢いで言ってしまった事に気づき、顔をしかめる。
少なくともアリーナがここにいる以上言って欲しくない一言、アリーナが激昂するには十分だった。
「黙りなさい、クリフト」
言われたクリフトは俯くが、直ぐに顔を挙げアリーナを見る。
「いえ、言わせていただきます」
どうやらクリフトは開き直ったようだった。
この後はアリーナとクリフト、二人の怒鳴りあいだ。
アリーナが、「もう子供じゃない」「かまうな」などの事を言えば、クリフトは「姫としての立場を考慮して行動してください」「ほうっておけません」などと言う。
話はかみ合わず平行線でただ自分の主張をするのみ、会話に終息はみられない。
(なんでこうなった)
目の前で怒鳴りあうアリーナとクリフトを見ながら、トールはそう思うしかなかった。
「何ともまあ、面倒くさくて面白い事になったな」
呆然と見ていたトールに声がかけられた。振り向くとそこにはククールがいた。アリーナとクリフトの諍いで、その存在を忘れきっていた。
「あなたは……」
「俺はククールっていうが、まあ覚えなくて良い。どうせこの場だけだしな。それに俺も男の名前を覚える気はないからな」
身も蓋もない言い方だが、一理あるかもしれない。ならば名乗る必要はないだろう。
「それならいいですが、何とかなりませんか、あれ」
トールは視線で言い争う二人を指す。
「無理だな。君が如何思って俺にそう言ったかは知らんが、あの二人の間柄に俺は全く関係がない。今回もクリフト、あの緑の名前な、あいつとは同期で、まあ友人だが、あいつが良く口にするお姫様って言うのがどんな子なのか見に来ただけだからな……、まあ、たしかに美少女だがまだまだ若いな。後5,6年ってところかな」
ククールは顎に手をあて、自分の言った事を噛み締めるようにうんうんと頷いていた。
「ようするに俺は傍観者だ。初めは賑やかしのつもりだったが、クリフトが暴走した所為でする事がなくなった。で、君は止めないのか」
「僕が……ですか」
「あのお嬢様とはパーティー組んでるんだろ。なら俺よりは止める資格があると思うけどな」
「……そうですね。でもあなたもあの人とは友人同士じゃないんですか。ならあなたにもその止める資格っていうのがあると思いますけどね」
「……なるほど、そうとも言えるな。確かそうだ。話も堂々巡りのようだし、このままここで聞いているのもいいかげん飽きてきた。そろそろ止め時かもしれないな。じゃあ君はあのお嬢様を引き離せ。俺はあの馬鹿を引き離す。それでさっさと迷宮にでも入れ」
「そうします」
トールは返事をすると、二人の方へ歩き出した。
トール自身もいい加減二人の言い争いに嫌気がさしていた。ククールの提案に否定するところはない。
ならば相手の気が変わらぬうちに事を終えた方が良いに決まっている。
二人は未だに怒鳴りあっていた。
「わたしは、もうあの頃みたいな子供じゃないの。もういい加減にして」
「いいえ、姫様はまだまだ子供です。国に帰るべきです」
「わたしは冒険者よ」
「そんなもの止めれば良い。いえ止めるべきです」
「わたしは絶対に――」
「もういいから行こう」
トールは話しているアリーナの手を取る。
「でも――」
「いいから黙って、アリーナ」
アリーナの言葉を遮るように言う。
「お前、又姫様を呼び捨てで――」
「はい、そこまでにしとこうか、クリフト」
一瞬の間隙をついてククールは、アリーナとクリフトの間に入る。
「何をする、ククール」
「何ってそれはこっちのセリフだぞ。諍いぐらいならしてもいいが、あれは言ってはいけない言葉だな。少なくとも俺たちの口からは言うのは論外だ。冒険者を推奨している教会が冒険者を止めろなんていうのは駄目だろう。それでも言いたいなら、昨日の内に教会を止めとくべきだったな」
ククールの言葉にクリフトは押し黙る。
その内にククールはクリフトの見えない背中側で、トールにさっさと行けとでも言うかのように、手を振っていた。
それに気づいたトールは、アリーナの手を握ったまま引っ張るようにしてアリーナを迷宮に連れて行った。
「あ、待て」
「追いかけて如何する」
追おうとしていたクリフトはククールのその言葉で立ち止まる。
「さっきまで散々言い争っても説得できなかったんだろう。これから追いかけて説得できるのか。というより、あのお嬢様が冒険者になっている時点でもう説得は不可能。やるならその前、冒険者になる前じゃないと意味がないだろう。それでも行く気ならもう止めない。好きにしろ」
そう言ってククールはクリフトの前から退く。だがクリフトは動かなかった。
「こんなこと言う気じゃなかった。ただ心配なだけだったんだ。ただ、あの無礼者が……」
「パーティーなんだから呼び捨てにぐらいするだろう」
「……確かにそうかもしれないが……」
「後悔してるのなら、謝るんだな。とりあえずはそれからだろう」
「そうですね」
クリフトはククールの言葉にため息をつきながらも頷いた。
****
「トール、痛い」
「あ、ごめん」
アリーナの声にトールは慌てて掴んでいた腕を放した。何となく気不味い雰囲気で時が流れる。
階段室に入って少し経つが、他の足音が聞こえるような事はない。
クリフトが態々追ってくるような事がなくて、トールはホッとしていた。
目の前のアリーナの表情は俯いて良くは分からないが、落ち込んでいるようにも見える。
「大丈夫か」
俯くアリーナを少し覗き込むようにしながらトールは言う。
「無理なら止めた方が良い。まだ外にいるかもしれないから直ぐには出ないほうがいいかもしれないけど、無理しても碌な事はないぞ」
「ううん。大丈夫だから。別に体調は如何って事ないから」
「……それならいいけど」
口ではそう言うものの、本音を言えば精神的に参っているときもやばいとトールは思っている。
だが今のアリーナにそれを言っても、素直に応じるかどうかといえば、更に意固地になるような気がした。
何より今までアリーナは一度もトールの方を向こうとはしていない。何というか壁のようなものを感じた。
それは初めて会った時でさえ感じなかったものだった。
それならばこの場は、アリーナの言葉を信じた事にして様子を見たほうが良いと判断した。
「じゃあ行こうか」
トールの言葉にアリーナはただ頷いてそのまま階段を降りていった。
トールは一度ため息をついてその後をついて行くのだった。
****
はっきり言えばアリーナの動きは精彩さを欠いていた。明らかに動きが遅く感じる。
アリーナの戦闘法はその素早さを生かしての速攻と連打だ。一撃は軽いが、それを手数で補う。
それでも1,2,3階程度のモンスターなら問題はないし、4,5階でも一対一なら問題ないだろう。
このまま放っておくべきだろうか、その判断がつかない。
6階に降りるだけなら、このままでも何とかなるだろう。
そうなればこの依頼も終わりパーティーは解散。その後どうするかはアリーナ自身の問題だ。
だがそれで良いのかという思いもある。
望んで組んだパーティーではないにしても、仲間であったアリーナをこのままにして別れても良いのかと思う。
迷宮に入ってからアリーナは一度もトールの方を向こうとはしない。ただただ先へ先へと進んでいく。
これは顔も見たくない、又は見せたくないと言う事なのだろう。
たった数日だが、トールとしてはアリーナと友人になれたと思っている。
ならばこうなった理由は、迷宮に入る前の出来事の性なのだろう。
この場合如何すれば良いのか、まだ若いトールには判断がつかなかった。
そうしているうちに、この日何度目かの戦闘が行われていた。いつもならば安心してみていられた戦闘だった。だがここに来てとうとうトールは動く事になった。
それは一度倒れたキングコブラが起き上がって背後からアリーナに襲い掛かったのだ。
いつもなら倒せているはずのキングコブラが倒せていなかった事、そして背後からのキングコブラに全く反応しなかった事、アリーナが本調子でない事は明らかになった。
トールは一瞬でキングコブラを斬り捨てた。
本来は手出し無用だったが、流石に無視するわけにもいかなかった。咄嗟の事で身体のほうが勝手に動いたのだ。
だがこれでもうアリーナをこのまま進ませるわけには行かなくなった。
もし今のが一人ならとんでもない事になっていたかもしれないのだ。
「アリーナ、今日はもう止めよう」
「……大丈夫、まだやれるわ」
相変わらずアリーナはトールの方を向かない。
アリーナのその様子に、トールは髪を掻き揚げため息をつく。それと同時にイライラとしてきた。
こっちが気をつかってるのにグダグダしやがって、と言う気持ちが強くなる。
普段なら時間が解決してくれるのを待つのだが、迷宮ではそんな事を言っていられない。
故にトールは実力行使に出た。
アリーナの手を取ると、来た道を引き返し一番近くにある小部屋の中に入った。そこは一度調べた場所でモンスターがいない事は分かっていたからだ。
「何なの、一体」
「ここなら回りを気にしないで話せるだろ」
トールはアリーナの手を放して言う。
「話って……」
「全くないなんて事はないだろう。仮にアリーナになくても僕にはある」
少しイラついていたためか語尾が強くなった事にトールは気が付いたがどうしようもなかった。
「一体どういうつもりだ。まったく身が入っていないように見えるぞ。そんなふうでやっていけるほど冒険者は甘くないだろ」
「……」
アリーナは黙ったまま、トールの方を見る事もない。
「今朝の事が原因か?」
トールのその言葉にアリーナの方がピクリと動く。
反応が会ったという事は正しいという事だろう。
ならば問題は何についてか、だ。
考えでは二つ。クリフトとの関係の事か、さもなければ自分との関係だろうとトールは考える。
アリーナとクリフトとの関係について知っている事はあくまでゲームのDQでの事だ。この世界はそれとは違う。つまり二人の関係も違っている可能性が高い。
今のトールがそれを考えても仕方ないし、アリーナに指摘して良いかどうかも判断に迷う。
それならば、まずは自分の事をはっきりとしておけば良い。少なくとも当事者である以上それを聞くのに不都合はないだろう。
「アリーナ、君がやんごとない身分だって事は前から分かっている」
「えっ!」
この時になってようやくアリーナはトールの方を見た。
アリーナが自分の身分を隠したがっているのは分かっていた。
今回の事はそれがトールにばれた事が原因の一つではないかと思っていたが、どうやらトールの考えは当たっていたようだ。
「どうして……もしかしてハッ……」
「ハッサンさんは違うぞ。いや、全く違うとは言い切れないが、気づいたのはアリーナが自己紹介をしようとしたときだ。姓を言いかけて言い直しただろう。それで何となくあたりはついていた。それからハッサンさんに確認したんだ。といってもどの国のどういう身分かは聞いてないけどね」
実際はゲームとしての知識が原因なのだが、その事をこの場で言ってもしょうがないだろう。
「今朝で改めてそれを確認したようなものだが、やっぱりそれが原因か?」
「……」
アリーナは答えない。この場合の沈黙は肯定と考えても良いだろう。
だがこの場合自分がどう行動するのが正しいのか、トールには分からない。
まだ15年ほどしか生きていないのだ。いやこの場合年月は関係ないのかもしれない。人が人の事を理解するのは難しいのだ。
それならばどうするのか。自分の気持ちをぶつけるしかないだろう。例え関係がこじれたままで別れる事になっても、納得する事ができるのではないかと思う。
「アリーナ、はっきり言えば僕にとっては君が何処の誰でも大した問題じゃないんだ。今回パーティーを組んだのも、依頼の一つでしかなかった。だけど僕が始めてパーティーを組んだのがアリーナだし、そのおかげで友人になれたとも思っている。君は違うのか、アリーナ。僕は君の友人になりえないのかい。それならこれ以上話す事はない。さっさと目的を達成して終わらせよう。そうすればもう顔をあわせる事もない」
「……わたしも……友達だと思いたい」
少し時間が経った後ポツリとアリーナは呟く。一度は上げた顔も再び俯いてしまっている。
「でもわたし、騙してたし……」
「気にしない」
アリーナの言葉を遮るようにトールは強く言う。
「というより、知ってた事だから騙す騙されるって言う話じゃないだろう」
「それはそうかもしれないけど……」
「それにそもそも誰にでも秘密の一つや二つぐらい持っているものだろう。友達になら全ての事を話すって言うのかい。違うだろう。友人どころか肉親にさえ言えない秘密を持っている人だっているだろう。僕にだって人に言えない秘密の一つや二つ持ってる。アリーナにとって人に言いたくない秘密って言うのが今朝の事だって言うだけだよ。まあ、後はその秘密を知った時に受け入れられるかどうかって事で、僕は受け入れられた、ただそれだけのことだよ」
「こじつけの様に聞こえるけど」
「こじつけでも納得できるなら問題ないだろう。納得できない?」
「……納得できる、いえ納得したわ。そうね、初めから知ってて付き合っていてくれたのなら、何の問題もないわね」
結局のところ、アリーナは後ろめたさと真実を知った時トールの態度が変わってしまったら、と言う考えからからトールを真正面から見る事が出来なかったのだ。
だから少し話したことで、理解する事が出来た。すくなくともトールのアリーナへの態度に変わりはないのだから。
アリーナはトールに微笑んだ。
その後、直ぐに迷宮探索をするのではなく二人で話をした。このパーティーはあくまで一時的なものであり、あと少しの事だと改めて理解したからだ。
アリーナは自分やクリフトの事も話した。
アリーナはある国のお姫様であり、クリフトはアリーナの乳母の息子であり幼馴染でもあった。
だが7歳の頃アリーナの生活を一変させる出来事が起きた。弟が生まれたのだ。それも腹違いの弟だ。
アリーナの実母はアリーナを生んで直ぐに死んでしまい、その後数年間、父である王は誰も娶らなかったが、王としての責務と貴族達の薦めもあり後妻を娶った。その後妻が生んだのだ。
そこで問題がでてくるのが、生まれたのが男子だという事だ。通常王位を継ぐのは歳ではなく男女で決められ、余程の事がない限り男子が継ぐ。
アリーナの国でもそれは変わりなかった。
ただその後アリーナは生母の故郷に預けられる事になった。
父とも、乳母とも離れ、そして国付きの神官見習いとなっていた幼馴染のクリフトとも離れ離れになり、お目付け役のブライだけをつれて、祖父母がいるとはいえ見知らぬ土地で暮らすアリーナは、それまでの活発さはなりを潜めた。
そんなある日、アリーナは拳聖といわれるブロキーナと会った。
ブロキーナは母方の祖父と友人同士であり、そこに居を構え弟子に武術を教えていた。元々活発でお転婆とも言われていたアリーナは武術に興味を持った。落ち込んでいたアリーナを何とか元気つけるために、わざと出会わせたのかもしれないと後のアリーナは思っている。
ただ武術の興味を持ったのはアリーナ自身の意思だった。
勿論直ぐに弟子入りが許されたわけではない。色々なテストなどをさせられてやっと許された。その時既に弟子としていたのが、ハッサンだった。
ハッサンとの関係を一言で言えば兄弟のようだというのが一番しっくり来るだろう。それ故、ハッサンはアリーナ本人を目の前にするとどうしても甘くなってしまう。
今回もハッサンがアリーナの前にあまり姿を見せないのは、ハッサン本人がその甘さを自覚しているからだ。
それは師であるブロキーナにしてもあまり変わらない。鍛練の時はともかく、普段は孫に甘い祖父そのものだった。
アリーナ自身にも才能があったのか武術にのめり込み、次第に武術で生きていきたいと思うようになる。
幸か不幸か今のアリーナは王位継承権などないかのように扱われていた。
向こうがその気ならこっちも好きにさせてもらう。そのための準備の一つとしてアリーナはこの迷宮に来た。
クリフトとはその後も時折会ってはいたが、アリーナは次第に武術にのめり込み、クリフトもまた神官としての修行が厳しくなり、そしてその後聖堂騎士団に入ったため段々と疎遠になっていた。
そうは言っても大切な幼馴染とは思っている。
この街に来たときもアリーナを心配してクリフトは会いに来ている。だが心配しすぎだとも思う。
そしてアリーナを『姫』としていさせようとする。クリフトにとっては今のアリーナの扱われ方に不満を持っていたからだ。
それはアリーナの望みとは真逆だが、それはクリフトにとっては正しい事なのだろう。だから事あるごとに反発してしまう。
結局今朝の事もいつもの事といえばそうだったのだが、トールの存在で少しややこしい事になったとの事だった。
アリーナから話を聞いてトールは改めてこの世界の人間関係について考えさせられた。
何となくだがアリーナとクリフトの関係が遠いのように感じられた。
ゲームではアリーナとクリフトは同じ時を同じ城の中ですごしていたが、この世界では違う。
そのかわりにハッサンは同じ師に習う兄弟子として接してきたため、親愛を感じているのが分かる。
これも元の前提となる人間関係が違っているためだろう。
ゲームでは少なくともアリーナに弟はいなかった。
アリーナやビアンカと会った時にゲームでの事をよく考えてしまうが、実際はあまり当てにならないと近頃は改めて思い知らされていた。多分この考えは間違いではないだろう。
顔と名前を知っているぐらいに思っていたほうが、混乱はないのかもしれない。
アリーナの事を聞いた後は、トールも自分のことを話した。とは言っても全てを話せるわけじゃない。
もし話すとすればそれはトールが本当にパーティーを組むべき人にだとトールは思っている。
トールの出自はぼかしながらも、やるべき事、即ち『神龍に会う』という目的だけはしっかりと話した。
結局この日はそのまま地上に戻り、お互いにいろいろなことを話した。
そして次の日、二人は6階にたどり着いた。
何時か再びパーティーを組むことを約束して、二人は分かれたのだった。
取得アイテム(後に折半)
やくそう:5、毒消し草:2、まんげつそう:1、せいすい:2、皮のこしまき:1。
――― ステータス ―――
トール おとこ
レベル:14
職:盗賊
HP:80
MP:41
ちから:36
すばやさ:31+10(+10%)
みのまもり:16
きようさ:42+15+20(+10%)
みりょく:26
こうげき魔力:17
かいふく魔力:21
うん:25
こうげき力:78
しゅび力:39
言語スキル:2(会話、読解、筆記)【熟練度:52】
盗賊スキル:3(索敵能力UP、常時すばやさ+10、ぬすむ、器用さ+20、リレミト)【熟練度:43】
剣スキル:4(剣装備時攻撃力+5、ドラゴン斬り、メタル斬り、剣装備時攻撃力+10)【熟練度:99】
ゆうきスキル:2(自動レベルアップ、ホイミ、デイン)【熟練度:94】
特殊技能:闘気法(オーラブレード、ためる)
経験値:10736
所持金:2978G
持ち物:やくそう(42個)、毒けし草(22個)、おもいでのすず(5個)、スライムゼリー(1個)、まんげつそう(2個)、せいすい(2個)
解散時
――― パーティーステータス ―――
アリーナ おんな
レベル:8
職:武闘家
・装備品
頭:ヘアーバンド(守+2、攻魔+2) / 身体上:たびびとのふく(守+4) / 身体下:けいこぎズボン(守+5) / 手:皮のてぶくろ(守+2、器+15) / 足:皮のブーツ(守+2) / アクセサリー:竜のうろこ(守+5) / 武器:鉄の爪(攻+17)
HP:47
MP:0
攻撃力:47
防御力:43
武闘家スキル:2(おたけび、常時すばやさ+5、常時ちから+10)
素手スキル:6(未装備時攻撃力+10、あしばらい、しっぷうきゃく、素手時の会心率アップ、きゅうしょづき、まわしげり)
爪スキル:3(爪装備時攻撃力+5、ウイングブロウ、裂鋼拳)
オーラスキル:1(自動レベルアップ、常時みりょく+10)
特殊技能:武神流(ためる、波動拳)
――― あとがき ―――
今回もトールは基本傍観であまり戦っていません。次回からのトールの迷宮探索は一人だけです。
トールはアリーナの事を通して、この世界の人物と自分がゲームで知っている人物との違いを改めて思い知るという話でした。
それでは、また会いましょう。