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No.11659の一覧
[0] [完結]冒険の書に記録しますか?(現実→DQ3っぽい世界)[社符瑠](2009/11/14 12:14)
[1] 01[社符瑠](2009/09/06 23:15)
[2] 02[社符瑠](2009/09/08 21:33)
[3] 03[社符瑠](2009/09/10 21:43)
[4] 04[社符瑠](2009/09/12 16:05)
[5] 05[社符瑠](2009/09/13 19:02)
[6] 06[社符瑠](2009/09/16 21:46)
[7] 07 アーリハーン編終わり[社符瑠](2009/09/19 17:44)
[8] 08[社符瑠](2009/09/28 21:10)
[9] 09[社符瑠](2009/09/28 21:12)
[10] 10[社符瑠](2009/09/28 21:30)
[11] 11[社符瑠](2009/10/01 21:16)
[12] 12[社符瑠](2009/10/07 21:14)
[13] 13 ロマルア編(とりあえず)終わり[社符瑠](2009/10/07 21:50)
[14] 14[社符瑠](2009/10/10 15:39)
[15] 15[社符瑠](2009/10/13 21:20)
[16] 16[社符瑠](2009/10/16 21:10)
[17] 17[社符瑠](2009/10/19 21:04)
[18] 18[社符瑠](2009/10/22 21:16)
[19] 19[社符瑠](2009/10/25 18:00)
[20] 20 ダァマで仲間と合流&精霊達とラーミア編終わり[社符瑠](2009/10/28 21:36)
[21] 21[社符瑠](2009/10/31 22:07)
[22] 22[社符瑠](2009/11/03 22:57)
[23] 23[社符瑠](2009/11/14 11:47)
[24] 24 らすとばとる[社符瑠](2009/11/14 12:25)
[25] 25 えんでぃんぐ[社符瑠](2009/11/14 11:55)
[26] 26 あとがき[社符瑠](2009/11/14 12:07)
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[11659] 01
Name: 社符瑠◆3455d794 ID:5aa505be 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/06 23:15


「次のレベルに必要な経験値は15です。」
「おいこらちょっと待て、とりあえず事情を説明しろ。」


どこもかしこもボロボロで、大きな穴の空いた天井からは日の光がさんさんと降り注ぐ石造りの建物に俺は居た。


「これまでの冒険を、冒険の書に記録しますか?」
「はいはい、記録でも何でもするから、なんで俺をここに連れてきたのか説明しろ。」
「冒険の書に記録しました。 では、冒険の続きを頑張ってください。」
「説明しろって言っているだろうが!」
「おお、魔法使いよ、よくきてくれました。」
「誰が魔法使いだ、このやろう。」
「次のレベルに必要な経験値は15です。」
「いい加減にしろよ?」
「これまでの冒険を、冒険の書に記録しますか?」
「そんなのはどうでもいいから、説明しろよ!」
「冒険の書に記録しませんでした。 では、冒険の続きを頑張ってください。」


ばきぃっ

俺の右ストレートがさっきから同じ事しか言わない誘拐犯の顔面に当たる。


「殴ったね!? 親父にもぶたれた事ないのに!」
「なんでファンタジー全開の妖精っぽい何かがそのセリフを知っているんだ?」
「私は妖精っぽい何かじゃないわ、精霊よ!」
「どうでもいいから、説明しろよ」
「今のセリフを知っているのは、ちょっと前まであなたの世界にいたからよ。」
「いや、それはどうでもいい。 俺をココに連れてきた理由を言え。」
「えー。」


ばきぃっ

俺の右ストレートが以下略。


「話す! 話すからもう殴らないで!」
「よし、言え。」
「私はこの世界の精霊でルヴィスと言います。」
「お前の事はどうでもいい。」
「この世界で生まれたんだけど、他の世界の文化に興味があって色んな世界を旅して回っていたの。」
「何で俺をココに連れてきたのか言えよ。」
「この世界を留守にするのは少しの時間だけのつもりだったんだけど…」
「それでさっさと家に帰せ。」
「あなたの世界が面白すぎて、気が付いたらこの世界悪いモンスターに乗っ取られちゃってね?」
「…」
「それで、戦える素質のある子を探しては連れてきているの。 ちなみにあなたは44番m」


ばきぃっ ばきぃっ ばきぃっ ばきぃっ ・・・ ・・・ ・・・


とりあえず44回殴った。



――――――――――



「それで、お前が拉致した43人は何処に居るんだ?」
「みんなモンスター退治の旅に出たわ。」
「ほう、こんなわけのわからない世界でよくもまあ戦おうなどと思えたものだな。」
「『他所の世界から来た子は、私の祈りによって何らかの力を手に入れている』って言ったら、殆どの子は『よっしゃ』とか『キタコレ』とかいって旅立ったわ。」
「何らかの力? 異世界へ来たら不思議パワーに目覚めましたとか、ありきたりな感じだな?」
「ありきたりとか言われても、事実だから。」
「で、俺の場合は魔法が使えるっていうのがそうなのか?」
「違うわよ?」
「ん? でもさっき俺のことを魔法使いって言ってなかったか?」
「『なんらかの力』って言ったでしょ? どんな力かわかっていたらそんな言い方しないわよ。」
「んん?」


意味がわからん。


「この世界はあなたたちの世界のドラクエ3ってゲームに似ているのよ。」
「は? どらくえすりー?」
「そう、ドラクエ3。」
「なんでドラクエ3?」
「さぁ? この世界の情報があなたの世界に流れたか、あなたの世界でドラクエ3が生まれたからこの世界が生まれたのか、ただの偶然か、私にはわからないわ。」
「わからないのか?」
「世界が生まれる瞬間なんて見たこと無いもの。」
「ほー。」


っと、世界がどうやって生まれるかなんて、正直どうでもいい。


「まぁ、そんな事よりも」
「そんな事よりも?」
「この世界がドラクエ3に似ているのと俺の『なんらかの力』について続きを言え。」
「そう言えばその話だったわね。」
「ああ、その話だった。」
「この世界では誰もが職業を持っているの、で、あなたは魔法使いだったわけよ。」
「俺の職業が魔法使い…」
「そうよ。」


ドラクエの魔法使いって貧弱なイメージしか無いな。
下手に魔法使うより戦士や武道家が攻撃したほうがMPの消費もないしダメージもでかかったような記憶しかない。


「で、『なんらかの力』はなんだ?」
「さぁ? って、殴らないで!」


右の拳を見てルヴィスが叫ぶ。


「俺の力はなんだ?」
「さっきも言ったと思うけど、わかっていたら『なんらかの力』なんて言わないわよ。」
「どんな力かわからないのに43人は旅に出たのか?」
「そうよぅ。 あ、でも」
「でも?」
「5人の力はココでどんな物かわかったわ。」
「ココで?」
「ええ、確か…
 日の光に当たると空が飛べる。
 影に入ると怪力になる。
 すごく遠い場所も見える。
 ものすごく速く走れる。
 1歩ごとに1ずつ経験値が入る。」
「おお、なかなかいいな。 特に最後の、戦わなくてもレベルが上がると言うのは楽そうだ。」
「とにかく色々やってみたらどんな力かわかると思うわ。」



歩いたり走ったり遠くを見ようとしたり、柱を殴ったりジャンプしてみたり空を飛ぼうと手を振ってみたり…



「何もわからないな。」
「そうね。」


ばきぃっ


「すっかり暗くなったし、今日はもう寝て明日旅にでることにする。」
「しくしくしく…」



――――――――――



翌朝


「それじゃあ、行ってくる。」
「あ!待って。」
「ん?」
「これまでの冒険を、冒険の書に記録しますか?」
「なんでだよ?」
「だって、旅に出る前にセーブは基本でしょう? 意味無いけど。」
「…意味無いのかよ」
「ええ。」
「はぁ。 まあいいや、はいって言っておいてやろう。」
「冒険の書に記録しました。 では、冒険の続きを頑張ってください。」
「はいはい、行ってくるよ。」
「気をつけてね!」


精霊ルヴィスと別れの挨拶を交わし、無駄に広い建物から出る。
石造りの建物は外から見たらお城のような形をしていた。 ボロボロだけど。

建物の外は廃墟だった。 すると、今出てきた建物は城で、この廃墟は城下町だったのだろうか?

ドラクエ3だけに限らないが、ゲームって建物も人も数え切れるくらいしか出てこない。
しかし、この廃墟は結構広く、壊れた建築物も少なくとも100軒以上ある。 ゲームでは省略されていると言う事か?


「ピギィ!」
「ピギ!」
「ピギギ!」
「ピギャー!」
「ピギッギ!」


げげぇっ! なんで街の中にスライムが5匹もいるんだよ!


「ピッギャー!!」


1匹がそう叫ぶと、残り4匹が俺に向かってくる。


「メラ!」


指先から火の玉が出る。 昨日寝る前に実験しておいて良かった。
俺は指先の火の玉をスライムに放つ! メラはスライムを確殺だったはず…って、当たらない!?


「呪文は必中じゃないのかよ!」
「ピギー!」


ドカ! ボコ! バキ! ドグシャー!







・・



・・・



「やっと目が覚めたようね。」


気が付いたら今朝起きた時に見たボロボロの天井だった。


「ぅ、ぁ、」
「感謝しなさいよ? ザメハしてあげたんだから。」
「俺は二度寝したのか?」
「違うわよ。」
「じゃあ何で寝ていたんだ?」
「さあ? あなたは旅に出て一時間もたってないのに気が付いたらそこで寝ていたのよ。」
「うん?」
「だから、気が付いたらそこで寝ていたのよ。」
「いやまて、俺が旅に出たってどういうことだ?」


俺は今から旅に出るところだったんだぞ?


「あなた、寝すぎてボケたんじゃないでしょうね?」
「なるほど、寝ぼけた状態で旅に出たのか。」
「そうなの?」
「わからん。」


その一時間くらいの記憶がまったく無い。


「とにかく、行ってくる。」
「あ!待って。」
「ん?」
「これまでの冒険を、冒険の書に記録しますか?」
「またか?」
「うん、本当なら何の意味も無い事なんだけど…」
「なんだ?」
「勘よ、女の勘。 とにかく『はい』って言いなさい。」
「はいはいっと、行ってくらー。」
「冒険の書に記録しました。 では、冒険の続きを頑張ってください。」







・・



・・・



「ザメハかけたんだからいい加減に起きなさいよ。」


気が付いたらルヴィスが俺の顔を覗き込んでいた。


「ぁ?」
「勘が当たったわ。」
「うん? 俺は三度寝したのか?」
「違うわよ。」
「じゃあ何でまた寝ていたんだ?」


まさか、この建物には罠があって、外に出ようとしたら強制睡眠なのか?


「あなたは確かに建物の外に出たわ。」
「うん?」
「そして、一時間位したらそこでまた寝ていたのよ。」
「いやまて、どういうことだ?」
「これよ。」


そう行ってルヴィスは『冒険の書』を俺に見せた。


「それがどうした?」
「あなたの『力』は『死んだら冒険の書に記録した時点の状態に戻る』事なのかもしれないわ。」





090906/初投稿


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