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No.7152の一覧
[0] 煉獄のディーヴァ[厨芥](2009/06/27 12:37)
[1] 第一話 使徒襲来 a[厨芥](2009/06/27 06:34)
[2] 第一話 使徒襲来 b[厨芥](2009/06/27 06:38)
[3] 第二話 見知らぬ、天井 a[厨芥](2009/06/27 06:42)
[4] 第二話 見知らぬ、天井 b[厨芥](2009/06/27 06:45)
[5] 第三話 鳴らない、電話 a[厨芥](2009/06/27 06:48)
[6] 第三話 鳴らない、電話 b[厨芥](2009/06/27 06:53)
[7] 第四話 雨、逃げ出した後[厨芥](2009/06/27 07:02)
[8] 第五話 レイ、心の向こうに[厨芥](2009/06/27 07:06)
[9] 第六話 決戦、第3新東京市[厨芥](2009/06/27 12:17)
[10] 第七話 人の造りしもの a[厨芥](2009/06/27 12:17)
[11] 第七話 人の造りしもの b[厨芥](2009/06/27 12:18)
[12] 第八話 アスカ、来日 a [厨芥](2009/06/27 12:30)
[13] 第八話 アスカ、来日 b[厨芥](2009/06/27 12:30)
[14] 第九話 瞬間、心、重ねて a[厨芥](2009/06/27 12:35)
[15] 第九話 瞬間、心、重ねて b (改訂済みは、ここまで)[厨芥](2009/06/27 12:37)
[16] 第十話 マグマダイバー A[厨芥](2009/04/20 08:39)
[17] 第十話 マグマダイバー B[厨芥](2009/04/25 07:47)
[18] 第十話 マグマダイバー C[厨芥](2009/04/26 11:52)
[19] 第十一話 静止した闇のなかで A[厨芥](2009/04/30 06:51)
[20] 第十一話 静止した闇のなかで B[厨芥](2009/05/02 06:54)
[21] 第十一話 静止した闇のなかで C[厨芥](2009/05/02 06:52)
[22] 第十二話 奇跡の価値は A[厨芥](2009/05/10 22:18)
[23] 第十二話 奇跡の価値は B[厨芥](2009/05/12 07:00)
[24] 第十二話 奇跡の価値は C[厨芥](2009/05/23 06:50)
[25] 第十二話 奇跡の価値は D[厨芥](2009/05/25 06:52)
[26] 第十三話 使徒、侵入 A[厨芥](2009/06/02 06:36)
[27] 第十三話 使徒、侵入 B[厨芥](2009/06/08 06:20)
[28] 第十四話 ゼーレ、魂の座 [厨芥](2009/06/17 06:10)
[29] 第十五話 嘘と沈黙 A[厨芥](2009/07/05 13:22)
[30] 第十五話 嘘と沈黙 B[厨芥](2009/07/05 13:23)
[31] 第十五話 嘘と沈黙 C[厨芥](2009/07/14 06:08)
[32] 第十六話 死に至る病、そして A[厨芥](2009/08/01 05:17)
[33] 第十六話 死に至る病、そして B[厨芥](2009/08/06 06:44)
[34] 第十六話 死に至る病、そして C[厨芥](2009/08/15 10:31)
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[7152] 第十話 マグマダイバー C
Name: 厨芥◆61a07ed2 ID:b056234f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/04/26 11:52
シンジが内心に葛藤を抱える間にも、事態は進んでいく。

聞くばかりの通信機越しに、届くはずのない緊張と不安の匂いを感じる。
今はただ、耳を澄ますことしかできない。
エヴァという力がこの手にあっても、地上のシンジは無力だった。



「現在、深度170、沈降速度20。
 視界ゼロの為CTモニターに切り替えるわ、透明度は120」

『降下続行。
 深度400、450、500、・・・・・・。
 ・・・950、1000、1020、安全深度オーバー』

『1300到達、目標予測地点通過』

「反応なし、そっちはどう?」

『対流が早いわね……。再計算、急いで。
 アスカ、作戦続行。いけるわね?』

「OK」

『深度1400、第2循環パイプに亀裂発生。
 1480、限界深度、オーバー』

『目標予測修正値、出ました。…1780、です』

『380はいくらなんでも、無理です!
 今回は計測器ではない、人が乗っているんですよ!!』

『続行を。 ……アスカ?』

「やるわよ。
 さっさと終わらせて、シャワー浴びなきゃ。 汗臭くなっちゃう」

『近くにいい温泉があるわ。終わったら行きましょう。
 ……この作戦の責任者は私です。続けてください』



(アスカ、ミサトさん……。どうか……)
 
作戦に口出しする権利も力もないシンジにできるのは、祈ることぐらいだ。
思い浮かべるのは、早く捕獲を成功させ上がってきてほしいということ。
問題なく終わることばかりをただ無心に願う。 


********************************


『……深度1600、弐号機プログレッシブナイフを喪失』

『誘導レーザー照射。
 シンジ君、万一に備えておいて』

「はい」

「深度1780到着! いたわ、目標をレーダーで確認」

『お互いに対流で流されているから、接触のチャンスは一度だと思って』

「分かってる。任せて」

『目標接触まで、後30』

「相対速度2,2。軸線に乗ったわ。
 電磁柵展開、問題なし」


緊張はピンと張った糸に似ている。
通信の合間の僅かな息使いにさえ繊細に震える。

弐号機がナイフを落としたと聞いた時には、一瞬息を止めた。
プログナイフの投てきの準備をしろと言われた時には、背筋が凍えた。

レーザーポイントとマギの試算数値を、何度も何度も見直して待つなかで聞こえた、発見の報告。
良かったと安堵して、思わずエヴァの手からナイフを取り落とすところだった。

でも、まだミサトからの命令の解除はないので、ナイフは手離せない。
けれど少しばかり出来た心の余裕に、シンジは肩に入っていた力を緩めて息を継いだ。


「キャッチ成功!
 目標、捕獲しました」

『速やかに、浮上準備』

「は~い」


緊張感の薄れたアスカの返事。

ここまでは少しの邪魔も、相手を危険にさらすと思うからできなかったけれど。
気持ちよく耳に入ってきた声に、シンジもここでようやく通信を送れる気になる。


「アスカ、大丈夫?」

「あったり前よ、案ずるより生むが易し、ってね。
 でもこれじゃプラグスーツと言うよりサウナスーツよ。
 ダイエットなんていらないって、いうのに。
 あぁ、早いとこ温泉に入りたい」

「そうだね、早く、」



成功したと思った。
軽口をたたけるくらいに、気が緩んだ。

——— けれど、その時 。



『使徒のパターンに変化』

『アスカ、状況は!』

「動いてる!!」

『まずいわ、羽化を始めたのよ。計算より早すぎる』

『捕獲中止、キャッチャーを破棄。
 作戦変更、使徒殲滅戦に移行します。
 弐号機は撤収作業をしつつ戦闘準備』


「了解!」


『索敵用レーザー照射。
 マギの試算は使徒の行動予測にすべてまわして。
 リツコ、頼んだわよ。

 弐号機は、バラスト放出。
 安全深度までは、浮上を優先します』

『深度、1400、1350、1300・・・』

『目標、三時方向60』

『アスカ!』

「OK、AT・フィールド全開!!」

『急速、浮上!!』

「使徒に口!…くっう、」

『弐号機、左足損傷』

『フィードバック遮断!』

『この状況下で口? 信じられない構造ね』

「…耐熱処置、完了」



立て続けに入ってくる通信。
耳に意識を集中し、シンジは一言も聞きもらすまいとする。

アスカは今、無手だ。
弐号機に届けるべきナイフは、まだシンジの手元にある。


********************************


『深度、1050』

『上昇一時停止。 初号機、プログナイフ投下!』

「はい」


全神経をとがらせての投擲。

シンジの投げた威力が、そのままアスカの手元に届くわけではない。
けれど、少しでも早く、少しでも確実に、彼女の戦いを助けられるようにと、祈る思いでシンジは手を離す。


『ナイフ到達まで、後50』

『高温高圧、これだけの極限状態に耐えているのよ。
 プログナイフだけじゃ駄目だわ』



「アスカ……」

(どうする? どうすればいいだろう?)

シンジには見えないけれど、アスカはきっと全力を尽くして戦っているのだろう。
弐号機をサポートするミサトも、リツコだってそうだ。

火口で待機するシンジには、アスカを助ける手段はない。
だが、だからと言って、なにもせずにはいられない。
シンジの焦る気持ちに、初号機の掴んでいた火口の縁が砕けて溶岩に落ちる。

(使徒もこうして砕けたらいいのに!
 ……砕けたら……、……?
 火口内の使徒は、火口の中でも大丈夫なくらい硬くて…。
 じゃぁ、硬くなければいいのか……、反対は? 脆くする?
 なんか、少し前に同じようなことを話したような気が、)


「ナイフ駄目なら、それ以上の、力…。
 他の武器は無理よね? あ、でも、…高温…?」

「そうか、アスカ! プールでの!!」

「アレね!
 冷却液の圧力をすべて三番にまわして」


急激な温度変化がもたらす、分子間の結合の強度について。
それは、アスカがあのプールサイドでシンジに話したことだった。

そして、アスカの短い要請にも、司令部は的確に答えたのだろう。
戦いの気配と、少しして、「やったわ」という小さな勝利の歓声が弐号機から聞こえた。
ミサトからの労いの声も交わされる。

シンジも、もう何度目かの安堵の息をもらす。
これで後は、無事に弐号機が戻ってくるのを見るだけだ。



そう、思った。しかし、———。



『パターンブルー消滅確認』

「えっ、なに、あっ、………まさか」

『冷却材循環パイプに破損! 2番から、4番』

『誘導レーザー照射!
 観測機用アンカーを、打ち込んで、はやく!!
 弐号機右足のフィードバックを遮断。
 ……アスカ、わかるわね?』

「……っ、でも!」

『お願いよ、アスカ。
 私と一緒に温泉に入るって、約束したでしょう?』

「あたしの、……弐号機。
 ……ごめん、ごめんね…、ごめ、…んな、さい」

『弐号機右足部、D型装備解除……。
 深度950、アンカー接触まで、あと420』

『弐号機左腕のフィードバックを遮断』

「……くっ」


一時の安心など、紙屑のように吹き飛ぶ。

——— 状況は、最悪だった。


残った冷却パイプで守らなければいけない部分の為に、他を諦めなければならない。
少しでも生きる確率を上げるためには、迷う時間すら与えられない。

アスカとミサトのやり取りに、シンジは口元をとっさに覆って声を漏らさないように塞ぐ。
見なくてもわかる。
わかるからこそ、声をあげるべきではないと判断しての行動だった。

アスカが弐号機を大事にしていると思い知らされる場面を、シンジはもう何度も目にしている。
なのにそのアスカが、自らの手で弐号機を壊すしかない、その選択を選ぶしかないという現状。

命じるミサトの声も受け入れたアスカの声も…、どんなに冷静を装っていても泣いていると思った。


シンジは、溶岩を睨む。
この下で苦しむアスカの痛みを思う。
体の痛み、心の痛み…、シンジの想像を絶するだろう、今アスカに圧し掛かっているその恐怖も。

絶対に今のシンジより辛いのはアスカなのだから、シンジは声をだしてはいけなかった。
口を覆う手が震えて歯が掌を噛み、頬に喰い込む指に涙が滲む。
けれど、ここで声を上げ泣くことが許されるのは、シンジではない。


回線からは、気丈に励まし続けるミサトの声と、途切れがちにも答えようとするアスカの声がずっと聞こえている。



『アスカ、アスカ、アンカーが到着したら、右手でとってね。
 回流もあるから難しいと思うけど、ちゃんと近くに降ろすから』

「…うん。……大丈夫、ほら、使徒だって…。
 あたし、一度で、……捕まえた、じゃない?
 アンカーぐらい、片手で十分よ」

『そうね、アスカなら十分ね』

「ミサト? …温泉の約束、忘れないでね。
 あたし、露天風呂って、一度入ってみたかった、の。
 ……ねぇ、せっかく、行くんだから、高級旅館に、してね」

『ええ、……そう、そうね、シンジ君も一緒に、皆で行きましょう』

「いっしょに…、約束、ね」




『アンカー接触まで、あと265。
 ……冷却材循環パイプ、1番に亀裂』





シンジの視界に、赤い濁流が躍る。





「あっ…、せっかく頑張ったのに…やだな、ここまでなの?」





指先に一つの影。





「………シンジ?
 ………………バカ、無理しちゃって」



そして。

手繰り寄せ、握りしめた手のなかには、泣き顔で笑う、少女の面影。



********************************

 
その後、引き揚げられたエヴァンゲリオン両機は、即時ネルフへと空輸された。

シンジとアスカも、火口に待ち構えていた医療班にがっちり捕獲される。
仮施設のはずなのに、血液検査その他諸々、心電図までとられた。


 
その結果、——— 何故か、アスカの希望通りの高級温泉旅館に、シンジ達は居た。

くったりしたミサトと、思ったよりも元気にはしゃぐアスカ。
アスカは和風の廊下や、格子のかかった窓を面白そうにのぞいている。


……輸送機に吊るされた弐号機を見送る時は、肩を震わせて泣いていたと思う。
けれど、最後まで顔をそむけて、シンジにはけっして涙を見せなかった。


強がりか、空元気なのかもしれないが、こうして笑っているアスカを見ると安心する。
ミサトもきっとそう思ったから、無理を言ってこの旅館に連れて来たのだろうか。

ここに来る少し前、ミサトが必死に話し込んでいた相手は、シンジも見知っている三隈の部下だった。
この旅館や、一緒についてきた医師の手配は彼に頼んだのだと思う。
また借りを作って後で泣きを見るのもわかっているはずなのに、そこで無理をするのがミサトらしかった。




「シンジ、ねぇ、これ浴衣ってやつよね?
 お風呂入ったら、これに着替えるのかしら?
 着方わかんないわ。ミサトは知ってるかな。
 これが旅館の見取り図? 場所案内図?
 お風呂もいろいろあるって、書いてある。
 あ、ここ露天風呂もあるわよね、もちろん」
 
「露天風呂かぁ、はいったことないや」

「え、そうなの? 日本人て、皆お風呂好きなんじゃないの?」

「お風呂は嫌いじゃないけどさ。
 普通の、一般家庭には露天風呂なんてついてないし」

「そりゃそうでしょうけど。
 じゃっ、あんたはあたしに感謝してよね。
 あたしがリクエストしたんだから」

「えー、ミサトさんが予約してくれたんじゃないか」

「そのミサトに頼んだのが、あ、た、し!
 リクエストしなかったら、入れなかったかもしれないでしょ。
 何よ、シンジ、あたしに感謝するのが不満だってわけ?」

「そんなことないって。
 うん、感謝してるってば」



「探索は、ひとまず終わりにして。
 アスカ、シンジ君、食事の前にひと風呂はいらない?」


板張りの廊下の感触を素足で確かめたり、浴衣を広げたり、見取り図を眺めたり。
動き回るアスカについてまわるシンジに、お茶を飲みながらパソコンを開いていたミサトが声をかける。
仕事がひと段落ついたのだろう、ミサトは肩を回しながらやわらかく笑っている。

ミサトの誘いに反対する理由はなく、二人は揃って元気に同意した。
 
 
********************************


男湯と書かれた青い暖簾をくぐる。
明るい脱衣所には、籐の籠と乱れ箱が、整然と木の棚に並んでいる。

シンジは見渡して、足元に目を落す。
肩?  に手ぬぐいを下げたペンペンが、「クゥ」と同意か催促かわからない声を上げる。
このペンペンは、気を利かせた加持が送って来たらしい。
加持当人は居ないため、男湯へのシンジの同行者はペンペンだけだ。

屋外の風呂という、未知の状況に、シンジは少し落ち着かない。


(えーと、お風呂に入る前に水をコップに2杯は飲むこと。
 長湯はしないこと。
 お風呂からでたら、すぐバイタルチェックに向かう。
 ……あと、なんだっけ?)

旅館についてきてくれた医師の説明を思い浮かべながら、服を脱いでいく。
「早くしろ」と言わんばかりに手を振るペンペンが、風呂の入り口で律儀に待っていた。




石を積んだ湯船。
生け垣と竹垣に囲われた外湯には、当たり前だが天井はない。
夕焼けに染まり始めた空は高く、解放感は抜群だ。
手を伸ばしても足を伸ばしても、どこにもぶつけずにすむほどに湯場も広い。
シンジの目の前を、気持ちよさそうにペンペンが泳いでいく。


「はぁ~ぁ、極楽ってこういうことをいうのかも。
 風呂がこんなに気持ちいいものだなんて、知らなかった」


目の前を横切るペンペンに倣って、泳いでみようかという悪戯心がわきかける。
シンジとペンペンのほかは誰もいないし、見咎められる心配もない。
水泳は苦手なためプールでは泳ぐのは好きじゃないが、この浅い風呂ならば試してみたいとも思う。

シンジが抗いがたい誘惑に、湯の中にうつぶせに手を伸ばしかけた時だった。


「シンジくーん、聞こえる~?」

「は、はい!」

「ボディーシャンプー、投げてくれる?」

「持ってきたの、無くなっちゃった」

「うん、……行くよ!」

「りょーかい」


ミサトの声のタイミングの良さに、シンジは少々焦りながら携帯用シャンプーのミニボトルを探す。
湯船で遊ぶなど子供っぽいところがばれたわけではないが、微妙に恥ずかしい。
竹垣の向こうが外ではなく、女湯だったのをわすれていたことも、その恥ずかしさに一役かっていた。

顔が熱いのは、湯の温度のせいか、それとも羞恥のせいか。
見つけたボトルを投げ上げるにも、少々余計な力が入ってしまった。

そしてシンジは、投げ上げたボトルの軌跡を見送って、さらに体温をあげる会話を聞くことになる。


「痛っいって、バカ。どこ投げてんのよ、ヘタクソ」

「う…、ごめん」

「もぉ、変なとこに当てないでよね…」

「どれどれ~?
 おねぇさんが見てあげましょう、赤くなってるかな?」

「あ、あん、ちょっと、ミサト!」

「あー、アスカの肌って、すっごくプクプクしてて面白ーい」

「やーだ、くすぐったいってば」

「じゃ、ここは?」

「きゃ、そんなとこ触んないでよぉ」

「いーじゃない、減るもんじゃないし」

「や、や、もお、反撃よ。こうだっ!」

「こらこら、もんだら大きくなっちゃうでしょ?」


(な、なにを揉んだら…………)

顔に上がっていた血液が、半分急に下がってシンジは湯の中にしゃがみこむ。
上がった水飛沫に驚いたペンペンがよって来る。


「クウェ?」

「え、なっ、なんでもないよ、……うん」


(膨張してしまった……恥ずかしい…) 
 
夕焼けを映す、澄んだオレンジの水面がゆらゆらと揺れる。
頭の先まで湯に潜ったシンジは上へと上がる気泡をこぼして、ペンペンが悠々と周回していくのを見送った。

 

              第十話 マグマダイバー 完


        次回、「静止した闇の中で」 



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