「やあ、ようこそ、バーボンハウスへ。この包帯はサービスだから、まずは巻いて落ち着いて欲しい。
うん、「また」なんだ、済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない
でも、この病室を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、そう思ってこの病院を作ったんだ。
じゃあ、注文を聞こうか」
そこまで告げて、僕はベッドサイドに置かれた椅子へと腰を下ろした。
ベッドに寝たままの彼女は、その顔に困惑の色を浮かべて僕を見る。
「え?…注文?」
「そうさ、さあ、注文をどうぞ」
彼女は暫く考えていたようだったが、やがて答えがまとまったのか、そっと口を開く。
「金霧島を、ロックで」
「渋っ!」
エヴァ、乗ってみました
第二話 SWITCH!あの子のハートを打ち砕け!
前回までのあらすじ。
今時IT色ゼロなエロ写真付きの短文に誘われてルカの街に来てバンゲリとかいう母さんとエレクトラのカクテルでゴーレム倒したら水着に白衣の流行最先端なお姉様と同居する事になった。
以上、碇シンジの日記より抜粋。
よく分からないけど、朝起きたらリツコさんに。
「見舞いに行くよ!40秒で準備しな!」
とか言われて、知らない子のお見舞いをする事になった。
正直僕は寝起き最悪なので、気が付いたら病室にいた感じだ。
でもリツコさん曰く「明らかに寝ぼけていたけど、家事は完璧だった」との事。
時々自分が恐ろしくなるね!
まあそれはともかく、病室には何かすっごい可愛い子がいた。
うん、すっごい可愛い。
なんか母さんに顔の感じが似てるかな。
ハッハ、クローンだったりして。
「おぉ…髪が青い」
青い髪の人なんて初めて見た…ひょっとしてヤンキー?
しかもよく見たら瞳も赤だ。
青髪に赤のカラコン、しかも包帯巻いて入院中。
…そういえば。
リツコさんも金髪だ。
オーケイ分かった。
不良姉妹だな?
もしくはネルフの女幹部は髪を染めなければならないとか、そういう規約があるんだろう。
思い出してみれば、ミサトさんの髪も若干紫がかっていた気がする。
目の前の女の子はどう見ても僕と同じ位の年齢だ。
この年から英才教育なんて…
父さん、恐ろしい男!
と、いうような事をリツコさんに伝えたら、窓の外に向けて秋山ばりの奈落式エクスプロイダーを決められるところだった。
久しぶりに真剣に謝った。
とりあえず、目の前の子に言っておく。
「ヒーローの素質ありだね!」
「…ヒーロー?」
アニメとか漫画のヒーローって大抵特殊な髪の色してるしね。
「あ、ヒロインか、僕と一緒に戦う?あと僕に足りないのは相棒だと思うんだよね!」
よく考えてみたら僕にはヒーローものにお約束の共闘してくれる相棒がいないんだ!
バットマンにおけるロビンみたいな!
でも僕の言ってる事はどうやら100%女の子に伝わってなかったみたいだ。
ちょっと表情が読み辛いけど、困惑した顔で僕を見ている。
「赤木博士…どうすれば…」
「あまり気にしないで、外国人と話してるつもりでいると良いかもしれないわね」
リツコさんはそう言いながら女の子の怪我の状態を確かめていた。
…いや、待て。
今この子何て言った?
赤木…博士…だと?
「リツコさんの事博士って呼んでるの!?そっか!ロボットモノだからそれでいいんだ…はか「シンジ君?怒るわよ?」
「本当に申し訳ございませんでした」
もし人生がネトゲだったら、僕の土下座スキルは今人類TOPだと思う。
リツコさんは僕の華麗な土下座を見て感心し、写メに残した後呆れて言った。
「自己紹介くらいしなさい」
ごもっともです。
「僕は碇シンジ、趣味は料理と体育座りとアメコミ収集、一番好きなヒーローはパニッシャー、一番好きなヒロインはエレクトラ、一番嫌いなのはデアデビル」
女の子は自己紹介する僕を目を白黒させて見ていた。
これって後で聞いたんだけど、こんなによく喋る人間を見たのが初めてで混乱してたらしい。
「あら何で?」
「いくら視覚が無いとは言えあれは無いと思うんですよね、力も地味だし」
あの全身真っ赤な衣装は無いよね。
頭の耳みたいなのもアレだし。
僕とリツコさんがアメコミ談義に花を咲かせていたら、着いていけない女の子はやっぱりぽかんとしていた。
「…であでびる?」
ちょっと言い方が可愛いと思ったのは内緒だ。
とりあえずこっちの自己紹介も済んだし…済んだよね?僕は子のこの事も聞いておく事にした。
「ところで君の名前は?」
何故か少し考えて、女の子は口を開く。
「…綾波レイ」
綾波レイ。
なんかこの子には凄く似合ってる名前だと思った。
少なくとも僕が碇シンジってのより似合ってる。
大体一人っ子なのにジっておかしいよね。
せめてイチだろう。
まあバーローって言わなきゃいけなくなるくらいならジのまんまでいいけどさ。
そういえば小学校の頃、まさか僕って死に別れた兄とかいるんじゃ…って碇シンジ次男説を考えていた時期もあった。
すぐにどうでもいいって事に気づいたけどね。
「レイって呼んでいい?」
「構わないわ」
「じゃあレイたんって呼んでいい?」
「…だめ」
「そんな!何で!酷い!」
「…なんとなく」
絶対似合うと思うんだけどなあ…
マヤさん辺りもマヤたんとか似合いそうだよね、あの人ぼけっとしてるし。
「じゃあ一時的にレイって呼ぶね、レイは趣味ってある?」
とりあえず、レイが自分からは何も話そうとしないので聞いてみたら、またまた物凄く困った顔をされた。
「趣味…無いわ」
「えぇ!?じゃあ暇な時とかは何してるの?一人ジェンガとか?」
「別に…何も」
信じられない!
こんな事言ったら厨房乙とか言われそうだけど、人間暇な時間のほうが多い筈なんだ!
きっと今僕はガラスの仮面ばりの驚き顔を浮かべているに違いない。
「人生損してるよ!どれ位損かって言うと最終的にブラックパンサーを選んだストーム位損してるよ!」
「貴方の言ってる事が…理解出来ないわ」
うおー!
この子何にも知らないのか!
ダメだ、アニメ・漫画路線が使用不可になると僕のボキャブラリーは稼働率13%まで落ち込む。
そういえば前の学校で無視されてた原因も話が通じないからだった気が…やばい、黒歴史がふつふつと。
そんな事を思い出していたら、リツコさんが新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のような爽やかな顔でレイに言った。
「あ、しなくていいわよ」
…あれ?僕の扱い悪くね?
その後、レイと話してみたら僕の予想以上に何も知らない子だった。
何と!僕より一般常識に疎いんだ!
…言ってて悲しくなってきた、やめよう。
そんな訳でレイと色々話していたら、医師に話を聞きに行っていたリツコさんが戻ってきた。
どうやらレイは退院していいみたいだ。
「明日から学校に行って貰うけど、シンジ君とレイは同じクラスだから、シンジ君、レイは怪我してるから助けてあげてね」
「ハッハ、ジェントルだから余裕です」
「レイは…諦めてね、色々と」
「どういう意味さ!」
「はい、頑張ります」
「第一印象オワタ!」
どうやらレイに変な第一印象を与えてしまったらしい。
でも…明日から学校かあ…
正直あまり良い思い出はないから行きたくないんだけど。
いじめられてた所為でほとんど行ってなかったしね。
「じゃあ昼に保安部の人たちが来るから、送ってもらって頂戴」
「分かりました」
「それじゃ、私達は行くわね」
そう言えば今日ってまたバンゲリの実験があるらしい。
リツコさんが病室を出て行ったので慌てて僕も追う。
出る間際に挨拶も忘れない。
「またね!レイたん!」
レイたんは何事も無かったように本を読んでいた。
…
「ま、またね、レイたん」
…
「…またね、レイ」
手を振ってくれた。
「諦めないからな!」
僕は涙目で病室を後にするのだった。
レイたんはとっても冷淡でした。
ハッハ、つまんね。
ちょっと首吊ってくる。
そしてリツコさんに追い着くと、ずっと思っていた事を口に出す。
「リツコさんリツコさん」
「何かしら?」
「レイって僕の母さんにすっごい似てる、リツコさんは僕の母さん見た事あります?」
「あ、あるわよ?」
…む?何かリツコさん焦ってる?
気のせいかな。
「似てると思いません?もしかしたら遠い親戚だったりして~ハハハ」
そんな訳ないよねーって笑ってたら、リツコさんが足を止めてる事に気付く。
不思議に思って振り向くと、リツコさんがじっとこっちを見ていた。
そしておっかなびっくりな感じで聞いてくる。
「もしかして…わざと言ってる?」
「何がです?」
何の話だろう。
僕が凄く困っていたら、リツコさんは溜息をついて歩き出した。
「いや、何でもないわ…」
いみふ…
まあともかく。
明日から学校ですよ。
嫌だなぁ…
あとがき
凄く…
凄く…短いです。
学校編まで入れようとしたんですが、何となく分けたらこんな短さになった、反省はしてない。
まあほら、導入ですから、第二話の。
レイたんをやっと出せました。
まあ自分レイもアスカもそこまで好きじゃないんですが、大人組みと違って無茶させやすいので書きやすくて好きです。
あとレイたんは冷淡、という言葉か妙に気に入ってしまった俺はギャグセンスゼロだと思います。
うん、ちょっと首吊ってくる。
そういえば、HDを荒らしていたら中から色々SSが出てきました。
シンジが猫逆行する話とか、ナルトでナデシコ劇場版やろうとして失敗した話とか。
もしかしたらテスト板にうpするかもしれません。
でも書き直すの面倒なんでしないかもしれません。
こんな俺はYU☆TO☆RIだと思う。
話名の意味は全く無い。
学園ものやらヒーローものアニメの題名っぽくしようとしたらこうなったなんて事は全く無い。
*何度も訂正すみません…