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No.5245の一覧
[0] エヴァ、乗ってみました (最新話4-5:投稿)[ユスケ](2010/12/20 03:06)
[1] エヴァ、乗ってみました 2[ユスケ](2009/04/17 03:35)
[2] エヴァ、乗ってみました 3[ユスケ](2009/04/17 03:35)
[3] エヴァ、乗ってみました 4[ユスケ](2009/04/17 03:36)
[4] エヴァ、乗ってみました 5[ユスケ](2009/04/17 03:36)
[5] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 1[ユスケ](2009/03/02 01:04)
[6] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 2[ユスケ](2009/03/02 01:05)
[7] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 3[ユスケ](2009/03/02 01:02)
[8] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 4[ユスケ](2009/03/06 19:56)
[9] SWITCH!あの子のハートを打ち砕け! 5[ユスケ](2009/04/17 03:36)
[10] ハハキタク、スグカエレ 1[ユスケ](2009/04/18 02:22)
[11] ハハキタク、スグカエレ 2[ユスケ](2009/04/20 19:10)
[12] ハハキタク、スグカエレ 3[ユスケ](2009/07/05 23:09)
[13] ハハキタク、スグカエレ 4[ユスケ](2009/08/29 13:53)
[14] ハハキタク、スグカエレ 5[ユスケ](2009/08/28 19:09)
[15] 人の創りしうんたらかんたら 1[ユスケ](2009/09/03 18:30)
[16] 人の創りしうんたらかんたら 2[ユスケ](2009/11/08 04:53)
[17] 人の創りしうんたらかんたら 3[ユスケ](2010/02/11 03:32)
[18] 人の創りしうんたらかんたら 4[ユスケ](2010/03/02 22:05)
[19] 人の創りしうんたらかんたら 5[ユスケ](2010/12/20 15:58)
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[5245] 人の創りしうんたらかんたら 3
Name: ユスケ◆3c37f4d8 ID:41e4cd5d 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/02/11 03:32
SIDE-ユイ

「レイちゃん」

「レイちゃん?」

返事がない、ただの屍のようだ。

目の前でフルーツパフェを見つめたまま、全く動かないレイちゃん。

実験が終わった後、二人で食事をするのが最近は恒例行事になっている。

シンちゃんが休養に入ってもう10日程になるが、その間もレイちゃんはいつも通りの日程だ。

いつものように学校に行き、その足でNERVへ、そして実験や訓練をこなし帰宅。

シンちゃんが居ても居なくても、レイちゃんの毎日は変わらない。

筈なのだが、日に日に元気が無くなってきているのはどういう事なのか。

まあ、分かり切っているのだが…

つい三日ほど前に赤木博士からレイちゃんに関する実験や調整の全権を委任された。

その内容を見た時、かなり衝撃を受けたのだが、一番驚いたのは私への全権委任を決めたのが赤木博士本人だという事だ。

てっきり、嫌われているのだから自分の仕事を私に投げたりは絶対にしないと思っていたのだが。

もしかしたらそんなに嫌われてないかも!

そんな風に浮かれていたら、冷静に考えて絶望した。

つまりこうだ。

シンジ君の事はお任せください、と。

担当を完全に分ける事によって、私のシンちゃんへの発言権を限りなく減らした訳だ。

はぁ…

まあ文句は言えない。

少しずつ改善していけば良いのである。

まずはレイちゃんと仲良くなりたい!

そう思って、こうして二人でご飯を食べたりしている訳だが…

最近気付いてしまった。

目の前で別の世界に行っているレイちゃんの中で、シンちゃんが占める割合はかなり大きいという事だ。

本人は全く気付いていないだろうが。

「食べないならさくらんぼ貰うわよ~」

そう言っても反応がないのでパフェの天辺にのったさくらんぼを摘まんで口に入れる。

「ん~美味し」

ちらりとレイちゃんを見るが、全く気付いていない。

これ、そろそろシンちゃんの休養を解かないとレイちゃん消えてなくなるんじゃないだろうか。

「レイちゃ~ん」

最後の足掻きとばかりに手をぶんぶんと振ってアピール。

失敗に終わった。

「う~」

八つ当たりにカウンターへ言ってフルーツパフェを5個注文した。

そして、そろそろ4個目のパフェを制覇しようかとしている時、ふと顔を上げるとレイちゃんがこっちを見ていた。

「あ、瞑想終わった?」

「すいません、ぼーっとしていました」

そう言って、レイちゃんもパフェに手をつけ始める。

う~ん。

言おうか言うまいか。

迷うくらいなら言ってしまおう、という訳で単刀直入に聞いてみる。

「シンちゃんに会えなくて寂しいんでしょ~」

てっきり否定されるものだと思っていたのだが、そんな事はなかった。

「よく分かりません」

「あらら」

最近気付いたのだが、レイちゃんは基本的に嘘をつくだとか、遠まわしに言うだとか、そういった事を一切しない。

自分に素直なのだと思っていたのだが、そういう訳でもない。

何というか…そういう選択肢をまだ知らないのだ。

そこが可愛いのだけれど。

「シンちゃんといると楽しい?」

「分からないですけど…退屈はしません」

これも最近気付いたのだが、レイちゃんが抱いているのは恋愛感情じゃない。

純粋に好きか嫌いかどうでもいいかなのである。

つまりシンちゃんの事がすっごい好き、LOVEじゃなくてLIKEの方で。

恋愛感情などまだ無いのだろう。

今までの人生の事を考えれば情緒面で成長が遅れていても仕方がない。

「仲良いのねえ」

私としてはそこら辺はあまり干渉せずにいこうと思っている。

自分で何でも感じてほしいし、内心シンちゃんに会いたいのだろうが、自分から行動してほしいからだ。

そう思ってパフェを食べていたら、レイちゃんがぼそりと言った。

「…なんです」

「え?」

「初めてなんです、友達って言われたの」

そう言って、レイちゃんもまたパフェを食べ始める。

「そっかぁ…」

どうやら、シンちゃんがいれば何とかなりそうだ。

まあそのシンちゃんに会えないのが問題なわけだが、どうしたものやら…

考えながら5個目のパフェに手を伸ばすと、掴もうとしたそれは目で追えぬ速さでレイちゃんに奪い取られた。

そして、レイちゃんはそのまま私のパフェを食べ始める。

「レ、レイちゃんなんで~?」

なんとか返してもらおうと手を伸ばすと、レイちゃんは冷たい目でこう言った。

「さくらんぼ泥棒」




そして、二人の女性が計7個ものパフェを食べつくすその光景を見ていた少数の職員が胸焼けを起こし、食事を取らずに帰宅した事を二人は知らない。












エヴァ、乗ってみました

第四話 人の創りしうんたらかんたら その3












SIDE-シンジ


ゴムボールを投げる。

壁にぶつかって返ってくる。

キャッチする。

また投げる。

壁にぶつかって返ってくる。

キャッチする。

その度にニトロとマクロが宙のボールを追い駆けるけど、僕のナックルボールに触る事も出来ないようだ。

そうやって走り回る二匹を見続けて、早2時間。

お分かり頂けただろうか?



「暇だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」



そう言って床に寝ころんでボールを放り投げると、ボールを拾ってきたマクロが投げて投げてと言わんばかりに僕の方を見つめてきた。

どうでもいいけど…犬かお前は。

拾い損ねたニトロがお腹の上でごろごろと転がり始める。

はいはい…投げますよ。

仕方ないのでボールを投げようと体を起こすと。



部屋の入口にリツコさんが立っていた。



「…何してるの?」

その顔には憐みの表情が浮かんでいた。

「ど、どこから見てました?」

「ナックルボールを習得したあたりから」

「1時間位前じゃないですかああああああああああああああああああああああ!恥ずかしいいいいいいいいいいいいいいい!」

っていうか見てる方も暇だなおい。

ごろごろと床を転がって、恥ずかしさを解消したところで改めて話しかける。

「あれ?リツコさん仕事は?」

今はまだ午前11時。

本来ならまだ仕事の時間の筈だし、今日は実験があるから帰ってくるのは真夜中だって言ってた気が…

「この天気でしょ、肝心のパーツが到着してなくてね、どうせなら久し振りに休みを取ったらってマヤが」

そう言いながらリツコさんは自分の部屋へと入って行った。

そして五分ほど経って着替えてきたリツコさんは、あらためて僕に口を開く。

「で、何してたの?」

「聞きますか」

貴女は鬼か。

「暇なのね…」

「最近NEETも楽じゃないなって思うようになりました」

「また一つ大人になったわね、おめでとう」

そう言いながらリツコさんは新聞を片手にソファーに座る。

それを見て僕はとりあえずコーヒーでも入れてあげる事にした。

リツコさんみたいな人って、コーヒー片手に新聞読みながら眼鏡を掛け直すとか、そういうの似合ってカッコイイよね!

「いいんです、小学校の卒業文集に将来の夢は働かずに暮らしたいって書いたんです、夢が叶いました」

「重症ね…」

僕がいれたコーヒーをありがとうと言って飲み始めるリツコさん。

んーこんなのが似合う大人になりたい…

でもそもそもコーヒーが苦くて嫌いな僕であった。

甘党だしなあ…

そんな事を考えていたらニトロとマクロがまた足元にじゃれついてくる。

正確にはマクロがじゃれついてくる。

それを一歩離れた場所でニトロが見ているのだ。

最近気付いたけど、マクロは超無邪気でニトロはちょっとおすましさんな感じだ。

でも遊び始めたらダッシュで来るあたり、大人ぶってるだけみたいだ。

むう、遊んでやりたいけどごめんな…僕ガラスの肘だからこれ以上ナックルボールは投げられないよ…

もう2~3巻で藪医者だって判明するから、それまで待機ね。

仕方ない、ゲームでもしよう。

タケミナカタ倒してオザワのとどめでも刺して来ようかな…

そう言ってゲームの準備を始めると、ニトロとマクロが横から覗き込んでくる。

この二匹はメガテンシリーズに高確率で食いついてくる不思議な生き物だ。

最近実は猫じゃないんじゃないかって思い始めた。

起動画面を見たリツコさんが暫くして聞いてくる。

「主人公が喋るゲームの方が好きなんじゃなかった?」

「ですよ?」

「昨日もドラクエやってたじゃない」

「へへっ、小さなメダル見付けたら「あっ」って言うんです」

「末期乙」

同情の眼で見られた、鬱だ、死のう。

そのまま人生において約10年ぶりの鬱状態でゲームをしていたら、やがてリツコさんが話しかけてきた。

「シンジ君」

「はいっ」

振り向くと、さっき家での服に着替えたばかりだというのに、何時の間にか外出用の服に着替え直していた。

しかも仕事用でも買い物とかの用事用でもない。

何ていうか、オサレ着?

ジーンズ履いてるの初めて見たなぁ。

どっかいくのかなって思っていたら、リツコさんはにまーっとミサトさんみたいな笑みを浮かべてこう言った。

「暇なら買い物ついでにお姉さんとデートにでも行く?」

「いくます!」

突然部屋に入ってきた母親からエロ本を隠す反応を超えた速度で僕は返事を返していた。

ゲームを片付け、服を着替え、ニトロとマクロを肩に乗せて仙人モードに突入する。

所要時間1分48秒。

大人になって…帰ってくるぜ…



















みんなも分かってたと思うけど、人間そうそう大人になんてなれないんだぜ…

「あ、これ可愛い」

そう言って黒い猫用首輪を手に取ったリツコさんに、逆にその白バージョンを取って見せてみる。

「こっちの方が良くないです?」

「甲乙つけがたいわね…」

結局どっちも買うリツコさん。

よく考えたら色違いの二匹が居るんだからそれぞれに付けさせればいいんだよね。

「キャー!このお皿すっごい可愛い!」

そう言って丸みが付いた中々可愛いペット用のお皿を手に取ったリツコさん。

「ホントだ!買いますか!?」

「遅い!もう買った!」

「早っ」

既にもう買っていた。

「あ!このブラシ!…」

以下略。



分かるとは思うけど、今僕たちはペットショップにいる。

ニトロとマクロの色々な用品を買いに来たんだよね、実はこのペットショップは日頃からお世話になってて、たまに食べさせる栄養補助用のキャットフードなんかもここで揃えてるんだ。

リツコさんはペット用のエステというものに興味があったみたいで、それに預けている間に色々物色してるってわけ。

実はミサトさんが家に来た時にやっていたテレビでそういう特集があって、ミサトさんとかは。

「ペットのくせにエステなんて…生意気な…」

何て言っていて、リツコさんも。

「そこまでしなくてもねえ…」

と苦笑していたんだけど、実は興味があったみたいだ。

まあペットに関しては出来る限り自分で世話したい人だから、ほんとに一度やってみたかっただけだろうけど。

意外と時間がかかるみたいで、ペットショップを物色した後も二人で近所の店をちらほら周ったりしていた。

まあまあ時間がたって引き取りに行くと、戻ってきた二匹の毛艶が目に見えて変わっている事に気付いたリツコさんは、何故かとても悔しそうにしていた。

そういえばよく一緒にお風呂入ってるもんね…

そして、店を出てみてから気付く。

「買い過ぎたと言わざるを得ないわね…」

デスヨネ。

ていうか二人で5袋も持ってて、内3袋がペット用品っておかしいよね。

時計を見てみればもう1時だ。

「あ、ご飯どうします?どこかで食べますか?店の中じゃ食べれないけど」

ニトロとマクロが居るから店の中は今日は無理だね。

そう言うと、リツコさんは辺りを見渡して唸った。

「うーん…」

「どうしたんです?」

「いや、へたな物食べるより家に帰ってシンジ君の料理食べた方が美味しいのよね」

感謝のキワミ!

でも今から帰って作ったら変な時間になっちゃうよ。

それにせっかく外に出てきてるのに家に帰って食べるってのもね。

僕は頭脳をフル回転してここら辺のお店の情報を思い出す。

検索を始めよう。

少し考えてたら、前に学校で洞木さんが教えてくれたお店の事を思い出した。

「そう言えば学校の近くに、美味しいワッフルとかサンドウィッチとかのお店あるってクラスの子が言ってた気が」

それなら天気もいいから外で食べれるよね。

リツコさんも頷いて、僕の方からニトロを抱き上げて車へと歩き始める。

「じゃあそれ買って公園にでも行って食べちゃいましょうか」

「了解であります!」

空を見上げてみれば、いつも通りの激しい日光。

でも気分がいいと意外と気にならないもんだね。
















頬にざらっとした感触を感じて、覚醒する。

頬の方を見てみれば、肩の乗ったマクロがうにゃ~と鳴きながら僕を見ていた。

辺りを見渡すと、ここはどうやら公園のようだった。

そういえば芝生の上で昼食をとってたんだっけ。

途中から記憶がない。

「…寝てたのか」

どうやら座ったまま寝ちゃったらしい。

リツコさんはどこだろうと思って立ち上がろうとしたところで、膝の上の重みに気付く。

ふと見れば、リツコさんがそこに頭を載せて寝ていた。

俗に言う膝枕ってやつだ。

おーこれは役得ですな。

あれ…普通逆じゃね…

まあいいけどね。

十分嬉しいけどね!

とりあえずリツコさんのお腹の上で寝ているニトロを抱き上げて、ついでに時計を見る。

現在午後5時。

うわー結構経ってるなあ。

こりゃ起こさないとまずそうだ。

ニトロを頭の上に乗っけて、リツコさんの頭を撫でながら声をかける。

「リツコさん」

全然起きる気配がない。

暫くそんな事をしていたら対抗心を燃やしたのかマクロまで頭の上に乗ろうとしてきたので、僕は二匹とも首根っこをつかんで地面に下ろした。

その後もリツコさんに声をかけるけど、全く起きる気配はない。

どうしよう…

そういえば昔もこんな事あったな。

あの時は逆だったけど。

…あれ?

昔の僕、リツコさんに膝枕されてんじゃん。

うおー!何であの時に堪能しておかなかったんだ…

昔の自分を殺したい…

考えてみれば、リツコさんといいナオコさんといいお世話になったなあ。

色んな人に預けられたけど、僕が先生の家に預けられる前に最後に預けられた相手はリツコさんだった。

男の子が簡単に泣くなって言われて、それから色々あったけど、僕はあれから一度も泣いてない。

もう一度、全然起きる気配がないリツコさんに声をかける。

「りっこおねーちゃん」

昔はこう呼んだなぁ。

言い付け、守ってますよ。

「あーあ」

思わず溜息をつく。

先生の家に預けられて、全然楽しい事なんてなかった。

ずーっと笑っていたけど、楽しい事なんて何もなかった。

第三真東京市に来てからだ。

こんなに人生楽しくなってきたのは。

リツコさんちに預けられてからなんだ。

僕の家庭事情なんて、あの年の子供からしたら苛めの対象にしかならなかった。

都市部なら親が居ないなんて珍しくもないんだけど、インパクトの影響が少ない田舎じゃ珍しい。

それに誰が言い出したのか、碇は父親に捨てられたんだって噂、まあ間違っちゃいないんだけどさ。

まあ、あっちじゃ面白い事なんて何一つなかったから、ヘラヘラ笑って楽しんでるふりをした。

何時の間にか笑顔も顔にこびり付いちゃったけど、こっちに来てからは割と本気で笑ってる。

何も知らないレイたんはすっごい面白い子だし、初めての友達だし。

洞木さんやトウジ君、名前忘れたけど眼鏡の極まってる子も含めて、学校もいい人ばっかり。

NERVでも、ミサトさんは今までの人生で最高のツッコミだし。

マヤたんは可愛いし。

日向さんとはゲームの貸し借りする仲だし。

青葉さんもすっごい話面白い。

冬月先生にも色々と我儘聞いてもらってる。

父さんや母さんも、昔はちょっと恨んだけど、この年になって改めて見てみるとぶっ飛んでて面白い人達だ。

そして、リツコさん。

こっちに来る時、真っ先に思ったのはリツコさんに会えるかなって事だった。

それが今じゃ居候させてもらってて、一番近い人になってる。

僕は今一番幸せだ。

だから思わずにはいられないんだよね。

『今日から離れて暮らす事になる』

父さんがそう言った時。

「本当に母さんとか、お姉ちゃんとか、血の繋がりが無くても、一緒に居ておかしくない関係だったらな」

僕がもうちょっと遠慮なしなアホの子だったら。

『この街には親戚もいない、お前にも当て等あるまい』

勇気を出して言えたのに。

「あの時、りっこおねーちゃん家って言えたのに」

思わずにはいられないんだ。

あの時リツコさんちに預けられていたらなぁ…って。

まあ、今更だけどさ。

「ずーっと、使徒来ないかな」

そうすればずっと今の生活が続くんじゃないかな。

「流石に不謹慎か」

そんな事を考えていたら、5分程して膝の上のリツコさんが身じろぎした。

視線を落とすと、リツコさんがうっすらと目をあけている。

「あ、起きました?」

「久し振りに熟睡したわ」

そう言ってリツコさんは体を起こす。

そこにマクロが走り寄って、リツコさんはそっと抱きあげて頬を擦り寄せた。

「忙しいですもんね、ほんと熟睡でしたよ」

「んー膝枕効果かしらね、ふぁ~ねむ」

「そろそろ帰ります?」

時間も時間だしね。

リツコさんも時計を見て軽く呆けた後、ぽりぽりと頭をかいて呟いた。

「そうねえ」

そのまま車へと乗り込んで、家路についた。

帰りの車の中で、さっき考えていた事を思い出してぼーっとリツコさんを見ていたら、視線に気づいたのかリツコさんが口を開いた。

「どうかした?」

「いえいえ、何でもないです」

そう言って僕は膝の上の二匹の相手をし始める。

その時だった。

リツコさんがぼそりと呟く。

「別に」

「はい?」

何だろうと思ってリツコさんを見たら、意地の悪そうな顔でニヤニヤと笑っていた。

じわっと嫌な汗が背筋を伝った瞬間、リツコさんは続けてこう言った。








「りっこおねーちゃんでもいいのよ?」








…え?








「お」

「お?」

「お」

「お?」



「起きてたんですかあああぁあぁぁああぁあああああ!」



「あら、寝てるなんて言わなかったわよ?」

しれっとした顔でリツコさんはそう述べる。

そりゃ言わねえだろ!

ぎゃああああああああああああああああああああああ!恥ずかしいいいいいいいいいい!

あんな独白聞かれてたのか!

「ていうか普通そういうの聞いてても心の中にしまっときませんか!?」

「現実って非情よねぇ…」

非情ってレベルじゃねえぞ!

「穴があったら入りたい…」

そう言って崩れ落ちると、二匹が同情するような声でうなーと鳴いた。

ごめんな、君らに励まされると逆効果なんだ…

そのまま一人でゲシュタルト崩壊していたら、リツコさんがクスクス笑いながら口を開いた。

「シンジ君」

「何ですか、きっと今の赤っ恥を起点に脅され続けて肉奴隷化して、僕は人生を棒に振るんだああぁぁああぁぁあぁあぁああぁあぁあぁあれ…悪くない気も…」

「確実に頭は悪そうね、モチツケ」

「はい」

落ち着け僕、さすがにそれはねーよ。

正直顔真っ赤状態の僕の頭をぽんぽんと撫でて、リツコさんはこう言った。



「使徒が来なくなっても、出ていって欲しくなったら言うから、その時まで安心して私の家政婦さんしてなさい」



うん。

やっぱあれだ。

僕は今が一番幸せだ。

だからもしもなんて、IFの話は考えるのはやめよう。



「はい!」



だから、僕は自分でもわかるくらいの笑顔で返事をした。






















~あとがき~

久しぶりの投稿です、申し訳ない。

そしてこのまま大学行ってきます…

卒研は無事通りました。

来年は院生です。

ちょっと書く時間少なくなってますが、携帯でポツポツ書いたりしております。

とりあえず書き上げた分はPCで書き直した後上げていきたいと思います。

まあユスケの更新速度には全く期待せずに、ふとした時に、例えば戦線に出る前とかに「そういえば昔こんなSSがあってよ…」程度に思い出してもらえたら光栄でs(ry

新学期始まるまでは今までほどは忙しくないので、次投稿が遅れたらネトゲ帰参者御用達の、入院してたって言い訳をする事にしますね!( ^ω^)

次の更新はきっと恒例の誤字訂s(ry

いや…今回は無い筈だ…


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