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No.33559の一覧
[0] エヴァらの◆ぼくらの×エヴァ(クロスオーバー)◆[コズエユキエ](2012/07/18 09:52)
[1] 「契約」[コズエユキエ](2012/06/27 22:40)
[2] 「最初の戦い」[コズエユキエ](2012/06/29 17:09)
[3] 【幕間】[コズエユキエ](2012/06/29 19:41)
[4] 「密会」[コズエユキエ](2012/08/03 23:45)
[5] 「相田ケンスケ」[コズエユキエ](2012/07/05 22:43)
[6] 「相田ケンスケ その弐」[コズエユキエ](2012/07/07 15:36)
[8] 【幕間】[コズエユキエ](2012/07/13 23:15)
[9] 「尋問」[コズエユキエ](2012/07/14 16:33)
[11] 「洞木ヒカリ」[コズエユキエ](2012/08/02 10:38)
[12] 「邂逅」[コズエユキエ](2012/08/07 09:58)
[13] 【幕間】[コズエユキエ](2012/08/14 00:52)
[14] 「綾波レイ」[コズエユキエ](2012/08/17 15:48)
[15] 「綾波レイ その弐」[コズエユキエ](2012/08/25 20:32)
[16] 「渚カヲル その壱」[コズエユキエ](2012/10/08 18:06)
[17] 【誰かのおはなし】-壱-[コズエユキエ](2012/10/28 13:06)
[18] 「渚カヲル その弐」[コズエユキエ](2014/04/15 16:51)
[19] 「惣流・アスカ・ラングレー その壱」[コズエユキエ](2013/06/30 17:24)
[20] 「惣流・アスカ・ラングレー その弐」[コズエユキエ](2013/07/02 23:21)
[21] 「勝者のおはなし」[コズエユキエ](2013/08/05 12:22)
[22] 「青葉シゲルの手紙」 [コズエユキエ](2013/07/10 22:40)
[23] 日向マコトの記録『生き写しの地球』から[コズエユキエ](2014/04/16 13:10)
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[33559] エヴァらの◆ぼくらの×エヴァ(クロスオーバー)◆
Name: コズエユキエ◆e573f24f ID:96c80f91 次を表示する
Date: 2012/07/18 09:52
中学二年生の夏。僕たちは、親に頼み込んで自然教室に来ていた。
太平洋に浮かぶ小さな島「三友島」
合宿と勉強会を兼ねた、夏休みにピッタリの企画だった。


参加しているのは、僕…碇シンジと、学校の友達。
第壱中学校2年A組の、よくつるむ仲間たちだ。



「ねえ見てシンジくん、カニがいるよ…」
「そうだね、三友島の自然も、捨てたものじゃないね」

屈みこんで熱心にカニを見ているのは、渚カヲル。
髪や目の色がみんなと違うけど、僕たちはあまり気にしてない。
仲間の一人だ。




「中学生にもなって、海で自然観察だってよ…明らかにナメてるよな」
砂浜でケンスケがぼやく。彼も僕の友達。
ミリタリーが大好きな変わり者だけど、あながち自然が嫌いなわけじゃないっていうのは、
顔を見れば分かる。


「相田には似合ってるって」
アスカが笑いながら言った。
彼女は惣流.アスカ.ラングレー。名前のとおり、ドイツからの転校生。
小学校の終わり頃になってから来たんだけど、僕とはすぐに仲良くなった。

「似合ってるのは、委員長だろ」
「へ?…なに?」
名前が出たからか、砂をいじっていた委員長が振り向く。
あだ名のとおり、学級委員長をしてるしっかり者だ。
本当は『洞木ヒカリ』っていうんだけど、みんな『委員長』と呼んでる。
(おかげで、すぐに下の名前が出てこない)


その後ろで黙って泳いでいるのは、綾波レイ。
僕とは時々話すけど、他のみんなとはあまり関わらない。
クラスでもちょっと浮いた女の子だ。


「綾波!!あまり遠くに行くと、危なくない?」
「碇くんには…関係無いでしょ」

僕はちょっと凹んだ。
何せずっとこの調子で、同じクラスになってから少しも打ち解けられてない。
社交的なアスカが仲間に引き入れたけど、僕とアスカ以外とはあまり話もしない。

「もしもし…兄ちゃんやで。今自由観察の時間なんや…ナツミは元気にしとるか?」

岩に座ってケータイで話してるのは、鈴原トウジ。
妹思いの、僕の親友。
いつもつるんでるせいか、トウジとケンスケと僕で、『三馬鹿トリオ』なんて言われちゃったりしてる。


「みんなも…此処へ連れてきてあげたいな」
カヲルがふと、顔を上げていった。
「みんなって、シンジくんの家族かい?」
「うん…まあね」

「おーい!!男子もこっち来て泳がない?」

アスカが波打ち際で手を振っている。

「ヒカリの水着が見られるわよー!!鈴原に見せたいんだってー!!」
「ちょ、ちょっとアスカ…やめてってば…」

委員長の顔が赤くなってる。
トウジはケータイを切ると「ん?可愛え水着やなあ」なんて月並みな感想を漏らした。

「コラ!あんたに見せたいって3時間もかかって選んだやつなのよ?そんな当たり前の感想言うんじゃないわよ」
「じゃあ何て言えばええねん!!大体お前はなあ…」

「あーあ、また始まったよ」
まいったね、という風にカヲルくんが微笑んだ。
アスカとトウジはこんな感じで、よく言い争ってる。
まあ…仲良しだからこそだと思うけど。


「あー!!!」

そのとき、委員長が叫んだ。
「どうした?」

ケンスケが駆け寄ると、彼女は岩場の隙間を指さして言った。

「こんな所に置いたの誰ぇ?」

そこでは、今晩遊ぶはずだった花火が、すっかり水に浸かっていた。

「なんだ…これから盛り上がるところだったのにな…」

カヲルくんが残念そうに肩を落とす。
「あたしのヘビ花火も濡れちゃった?」
アスカが花火をつまみ上げて確認する。


「そろそろ、宿舎に戻ってもいいんじゃない?」
いつの間に上がったのか、綾波が髪を拭きながら言う。
「でも…まだ遊び足りない感じ…」
アスカは花火がダメになったせいで不満そうだ。


「ああ、ワイもまだ帰りたくないわ」
「だよな」
トウジとケンスケも同じようだ。


「だったら…」

カヲルが、砂浜の向こうを指さす。

「向こうに洞窟があるの、知ってる?」

「洞窟?」

僕が聞き返すと、うなずいた。

「そういえば…聞いたことはあるわね」

アスカがつぶやくと、「行ってみない?」とカヲルが笑った。

「おお、行く行く!!」ケンスケはもうノリノリだ。

「シンジはどうする?シンジが嫌なら…別にええけど」
トウジはどうやら、僕に合わせるつもりのようだ。

「僕は…行ってみたい、かな」

「決まりぃ!!そうと決まれば速く行こうぜ!」
「もー、これだから三馬鹿トリオは…」

アスカはぶつくさ文句を言いながらも、僕達の後に着いてきた。

「…怒られても、知らないわよ」

綾波も、着替えて走ってくる。

こうして僕たちは、カヲルくんの言う「洞窟」に足を運ぶことになった。







洞窟はひんやりとしていて、
気持ちが良かった。



「暗い…なんだか怖い…」
アスカが珍しく震えている。
彼女は妙に鋭いところがあるから、ちょっと不安なのかもしれない。

「だーいじょうぶだって、いざとなったら来た道を戻ればいいんだからさ」

ケンスケは相変わらずのんきだ。

「何かあったら、あんたが責任取りなさいよ」

委員長がむくれている。


「お、見ろや…光やで」

トウジが指差す先にはわずかに光が漏れており、
部屋のような空間が見える。



僕たちはその部屋に降り立った。
ケンスケは興奮して、パシャパシャと写真を撮っている。
パソコンがたくさんあり、後は椅子だけ。


「綾波の部屋みたいだ…」
「どういう意味なの?」

綾波の住んでいる部屋も、ベッドとわずかな棚くらいしかなかったはずだ。
この部屋とよく似ているような気がする。


「あ…」

カヲル君が振り向く。
そこには、銀髪をオールバックにした上品そうな初老の男性が立っていた。
彼は背中のリュックサックを下ろし、僕たちを柔らかな笑みで見つめる。


「君たちは…誰かね?」
「あ、あの…僕たちは…」

僕がオドオドしながら話そうとすると、
ずいっとアスカが進み出て話し始めた。


「私たちは、自然学校で此処へ来ていたんですけど、洞窟があるって聞いて来たんです。
 不快になったのなら、ごめんなさい」


外面だけは無駄にいい(失礼)なアスカは、
てきぱきと状況を説明する。


「そうか…ここを知っているのかい?」
「この洞窟、地元の人ならみんな知ってるし…」

カヲルがパソコンを眺めながらつぶやく。


「そうか…そうなのか…」

老人はリュックを下ろすと、
机に浅く腰掛けて言った。


「君たち、ゲームやらないかい?」


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