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No.33の一覧
[0] コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/08/01 01:33)
[1] Re:コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/08/01 12:39)
[2] Re[2]:コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/08/01 13:34)
[3] Re[3]:コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/08/13 02:16)
[4] Re[4]:コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/08/19 19:17)
[5] Re[5]:コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/09/12 01:25)
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[33] Re[4]:コレもEOEあとのシンジ君
Name: たいら 前を表示する / 次を表示する
Date: 2003/08/19 19:17
そして、月日は流れ、2014年・3月。

某所の一角にある執務室にて。
「…なるほど、こう変わったわけね…」
神無月シンは集めさせた最新の情報に眼を通して呟いた。
「全て予想の範囲内ですね」
傍に立っていたシオンがそう答える。
「所詮あの髭に出来ることっていったらこのくらいのものだよ」
シンはデスクの上にその調査書類を無造作に放り投げる。
そこに記されてるのはSSSランクを含めたネルフの詳細な情報である。
「こっちの準備はどうなってるの?」
「”クサナギ”と”アマテラス”はすでに完成しています。”スサノオ”もラミエル戦までには間に合うかと。ただ”カナヤゴ”にはもう少し時間がかかりそうです」
シオンはそう報告する。
「各機動兵器は?」
「ベースの102を元に、103と105はロールアウトしています。フレームの異なる207と303もサキエル戦までには完成するでしょう」
「となると問題は”G”だけだね」
「”G”も完成はサキエル襲来前に終わるはずですが?」
シンの言葉に疑問符を浮かべるシオン。
「違う、問題はパイロットのほうだよ」
「あなたが乗るのでは?」
「それでもいいんだけどね…ちょっと思うことがあってねぇ」
シンはなにやら複雑そうな顔を見せた。




「ただいまぁ!」
何処にでもある平凡な一家屋(ただしそれなりに大きい)に明るく元気な声が響く。
碇シンジ改め神無月シンジ、12歳。
小学校卒業を間近に控えた、笑顔が素敵で実に将来が楽しみなナイスガイ(死語)である。
親代わりの兄・姉たちに愛情たっぷりと育てられた彼は本来持つ輝きを損なうことなく成長し、学校でも人気者であった。
「体を鍛えて損は無い。そして何でも学べ、きっと役に立つ」
という教育方針の家庭で育った彼は、教えた教師代わりの兄姉がよかったのかはたまた才能があったのか、小学生離れした体力と知力の持ち主でもあったのだ。
それに加え本来持つ優しさとそれなりに整った顔立ちが見せる柔和な笑顔で特に女子の注目をも一身に集めていたりする。
「あれ? 誰もいないや」
いつもなら一人の兄に15人の姉という大家族である以上、誰かは必ず家にいるのだが…今日はどうも違ったようだ。
「シエルねえさんもエルねえさんもリエねえさんもいないなんて珍しいなあ」
そんなことを思いつつも、自分の部屋にランドセルを放り込むとおやつを求めてシンジはキッチンに向かうのだった。
用意されていたドーナツを見つけ、頬張りながらリビングに来たシンジはテーブルに置かれたメモに気づく。
「何だろう?」
そこにはこう記されていた。
『シンジにとても大事な話がある。五時ごろ誰かが迎えに家に戻るから今日は遊びに行かず家に居なさい シン&シオン』
「? にいさんたち僕に何の用だろう?」
確かに色々連れまわされて少々死ぬような思いもしたが、それも今では楽しい家族の思い出である。
シンジは血こそ繋がっていないが、この兄・姉たちを心のそこから本当の家族と思っていた。全幅の信頼を置いているのである。
すでにシンジの頭の中では、自分を駅のホームに置き去りにしたり何処ぞに溶け込んだ身勝手極まりない遺伝子提供者のことなど微塵にも残ってもはいない。




そして今、シオンに連れられてシンジは今まで来たこともない場所にいた。
「…すごいや…」
いくら知識があろうとまだ12歳。
見たことも想像もつかない技術のある場所に連れてこられればこんな平凡な感嘆しかでてこない。
漫画やアニメに出てきそうな秘密基地に実際に足を踏み入れれば。
事実として兄や姉が何でも出来そうな人種とは思っていたが、さすがにコレはシンジにも予想できなかった。

そしてシンジは執務室でシンと向かい合っていた。
「にいさん、お話って何?」
「その前に聞いておきたいことがある。碇ゲンドウって覚えてるか?」
「? 碇ゲンドウ………ああぁ、僕の一応”遺伝子提供者”の片割れの名前ですね」
少し間を空けてシンジは答えた。が、それはとても嫌そうな顔で心底どうでもいいといった感じの声での返答だった。
「まあそーいうことだ。一応それを頭の片隅に置いた上でコレ、読んでくれ」
そういってシンジが手渡されたのは厚い紙の束だった。
「これですか? なんかやたら多くて難しそうですけど…」
やや文句を口にしながらもシンジはその束を読み始める。
そこには…


セカンドインパクト

使徒

EVA

ゼーレ

ネルフ

人類補完計画

などといった、世界で最高クラスの機密が余すことなく記されていたのだ。
それらを読み進めていくうちにシンジの顔が無表情から次第に激怒を必死に抑えている形相へと変わって行った…

「ふざけるな!!!」
読み終えた瞬間、シンジは怒りのあまり机を思い切り叩いて叫んだ。
普段が温和な分、滅多に見せることのないその怒りは並大抵のものではなかった。
「自分勝手な欲望で他の生命全て巻き込むなんて何様のつもりだ! そんな身勝手なことの為に僕は…」
あの男の血を引くと言うリ湯だけでその計画に否応なしに巻き込まれることを知ってしまったシンジの怒りは止まらない。
「落ち着けシンジ。俺たちは可愛い弟をそんなことに巻き込ませるつもりは断固として無いぞ」
シンはそん弟に優しく語り掛ける。
「にいさん…」
見慣れた顔にある真実と優しさに気が付いたシンジは、ようやく落ち着きを取り戻す。
「でも相手が国連じゃあ無理やりにでも連れて行かれるんじゃ…」
「その心配は無用よ。実はあなたというか”碇シンジ”は戸籍の上ではもう鬼籍に入っているから」
「なるほど」
シオンの言葉にある程度納得してしまうシンジ。
(そうだ…僕は”碇”シンジなんかじゃない。僕は”神無月”シンジだ。僕の家族はシン兄さんとシオンねえさんたちだ。あの髭なんかじゃない!)
今見た資料の碇ゲンドウの顔を思い出したシンジはその顔を頭の中で真っ黒に塗りつぶし、その上のスペースに兄と姉を改めて念入りに書き込んだ。

「あ、でもにいさん。これだけ知っているのに誰にも知らせたりはしなないんですか?」
「それはもっともな疑問だね。ただコイツラは表向き”だけ”国連の機関だからうかつにパッシングできないんだよ」
「かといって放っておいたら間違いなくこの計画は実現してしまうわね」
シンとシオンはそう言い切る。
「じゃあ…」
打つ手無しなのか…とシンジが半ば思い始めたとき、シンは言った。
「だからといって俺はこれっぽっちも手をこまねいて見ているつもりは無いぞ」
「え?」
「その後の話も含めて俺は今日シンジを呼んだんだ」
シンはじっとシンジを見据える。
「知ってしまえばお前はもう今までのような単純で平凡な生活だけを過ごすことは出来なくなる。その覚悟があるなら先の話をしよう。だがその覚悟が無いなら今見たことは全て忘れろ。お前には何も言わず、俺たちだけで進めるから。今までずっとそのために動いてきたからな」
「………」
(…なるほど、僕をああやって歳不相応に鍛え上げて来たのはこのためだったのか…)
思っていた以上にシンジは冷静に現状を把握・分析していた。
(…悔しいが僕があの髭の遺伝子を受け継いでる事実は消せない。だから寝惚けた計画を止める義理は少しはあるよな…それに今知ってしまったことだけでも見知らぬ真似なんてできない…何より僕の力が、敬愛するにいさんねえさんの役にたつなら…)
ぎゅっと強く手を握り締めるシンジ。
(弱い自分に負けちゃだめだ。僕はあのにいさんねえさんの弟だ!僕に出来ることがあるならそれをすべきなんだ!!)

「…その先まで、お話、聞かせてください…」
そういってシンジは兄と姉を正面から見据える。
その目つきは、まさに一人の男の目だった。

「わかった、ついてこい」
シンとシオンは執務室を出て行く。
「はい!」
シンジは大きな返事と共にその後を追った。


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