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No.33の一覧
[0] コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/08/01 01:33)
[1] Re:コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/08/01 12:39)
[2] Re[2]:コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/08/01 13:34)
[3] Re[3]:コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/08/13 02:16)
[4] Re[4]:コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/08/19 19:17)
[5] Re[5]:コレもEOEあとのシンジ君[たいら](2003/09/12 01:25)
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[33] Re[3]:コレもEOEあとのシンジ君
Name: たいら 前を表示する / 次を表示する
Date: 2003/08/13 02:16
…見た目からして実に「個性的」な美女・美少女が全部で14人。
それは俺の記憶もいくらか与えたせいなのか?

それぞれの自己紹介を一通り聞いてから、俺は皆にとりあえずの計画を伝える。

「…とまあ、おおむねこんな感じでやろうと思う。戻る前にこっちで必要な装備は出来る限り作っていくけど、協力のほうよろしくね」
「「「「「「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」」」」」」
物分りがよくて助かる。


そして俺たちは戦艦やら機動兵器を幾つも作り上げた。…システムの都合で完成に時間がかかりそうなものだけ向こうで完成させるつもりで、出来る限りハイピッチで作業を進める。
こんな(娯楽が)何も無い世界から早く抜け出したいからね。
それはどうやら皆同じ考えのようで。
まあ俺が生み出したんだからある程度は記憶と知識を与えているから当然だよね。

そして過去に戻る決意をしてから主観時間でおおよそ半年…
ようやく準備が完成した。
「それじゃあ行きますか。2005年へと」

作り出した次元の裂け目に、用意した装備と皆で意気揚揚と入っていく。
俺が消えればこの次元は崩壊するみたいだけど、まあ今の次点で殆ど崩壊してるからあとくされは無い。
さよなら、赤い世界。もう会うことも無いけど。
俺は異なる世界で楽しく生きるよ。前みたいな生き方はごめんだからね。
それに向こうに居るかつての「僕」にもこんな思いはさせないよ…




そして黒い黒いトンネルを抜けると
「そこは雪国だった」
「?」×15
皆が不思議そうに俺を見るけど、まあこれはお約束だよね、やっぱり言わないと。
今僕らの目の前に広がるのは緑の大地と青い空と…海。
還ってきたんだ…その景色がその事実を強く思い浮かべさせる。
「現在時刻と現在地は?」
『2005年の日本デス』
メインAIがすぐに報告する。
「じゃあさっそく行動に移ろう。まずこの基地を落ち着けないとね」
そう、俺たちは機動兵器と戦艦を格納する大型基地ごと時間を超えてきたのだ。

予定通りの場所に基地を固定する。
隠蔽技術は完璧だから見つかる心配は無いし、第一にこの時代の武器で敗れるような防御システムは搭載してない。
「じゃあさっそく『プロジェクト』を開始しよう。皆予定どおりに頼むよ」
皆がそれぞれの持ち場に散っていく。

そして俺はシオンと共にある場所へと向かう。
そう、ここから始めるために。
かつての自分との決別を。




ひっ、ひっく…
人気の無い小さな裏山で、幼い子供が膝を抱えて泣いている。
「ん? こんなところでどうしたんだい?」
突然声をかけられたのに驚いたのか、その子供はびくりと大きく体を震わせ、怯えた眼で突然の来訪者を見あげる。
「ああ、驚かせてごめん。そんなつもりはなかったんだよ」
見た目からして十代後半から二十歳あたりでそれなりに引き締まった体をしていた少し薄い茶色の髪と黒い眼の男はごめんごめんといいながら、その子供の50センチほどとなりに腰をおろす。
「君はなんでこんなところで泣いているの? もし迷子になったのなら家まで送っていくよ?」
「………」
子供は戸惑っていた。『妻殺しの息子』と忌み嫌われている自分にこんな優しく話し掛けてくる相手にはじめて出会ったのだから。
「…どうやら、何かワケがありそうだね」
そういいながらも男は優しい目で子供を見ていた。
「俺はこの辺りに住んではいない。まあ通りすがりだね。何かいいたいことがあるなら聞くことぐらいはできるよ。いいたいことを溜め込んでいても何も解決はしない、それは大人も子供も関係ない」
「…でも」
「まあ誰かに話すだけでもすっきりすることがあるってことさ。聞くだけなら通りすがりの赤の他人でもできるし、そのほうがいいときだっとてあるんだよ」
男の目は子供をまっすぐ見ている。一人の人間として。
(…なんでだろう…このひとは、信じられる気がする)
その眼をみた子供は、男が自分を『妻殺しの息子』というレッテルではなく自分を一人の対等な相手として見てることを心で感じていた。
「…実は…」
そしてその子供はぽつりぽつりと自分のことを話し始める。
名前は碇シンジといい、母を失い、父に捨てられ、今居る場所では『妻殺しの息子』として大人たちには忌み嫌われ同年代の子供たちからはイジメられていることを…
「そうか…辛かっただろう…」
男はシンジをぎゅっと抱きしめた。
「お、お兄さん?」
突然のことに慌てるシンジ。しかしそのぬくもりに心地よさを感じたので嫌がる真似はしなかった。
「…実は俺もな、幼い頃に身勝手な両親に捨てられたんだ」
「ええ!?」
「確かにそのときは絶望したよ…でも俺は生きてきた、それでも必死に。なぜそうしたのかは覚えてないけど、多分このまま何もせずに終わるのが嫌だったんだと思う。そのおかげか今は、大切な人や仲間がいるよ。人生ってヤツはそう捨てたものでもないって思えるようになった」
「お兄さん…」
「…シンジを見たら、急に昔を思い出してな。特にそうやって泣いてるところなんか昔の俺によく似ていた」
そういって男は苦笑する。
「で、シンジ」
そして真剣な目で男はシンジを見据える。
「…俺はお前の父親にはなれない。だが、兄・家族にはなれる。だから俺といっしょにくるか? 少なくとも俺は、俺たちはお前を捨てたりしない。昔の俺みたいな思いは絶対にさせない、約束する」
「…え?」
突然の申し出に眼を白黒させることしか出来ないシンジ。
だが、それはとても魅力的な言葉だった。
出会ったばかりだが、この男の言葉は信じられると理性でなく心がもう認めていたから。
男は立ち上がってシンジを見る。そしておもむろに手を伸ばした。
その意味は子供のシンジにもわかった。
この手をとることは、目の前の男と家族となって共にすごしていくことになることを。
幼い頭で必死に考えるシンジ。
(…このまま先生の場所に戻っても今までどおりの苦しい生活が続くだけ。それなら…)
そして…
ぐっ
今までの弱弱しい顔を拭い払い、シンジは決意を秘めた眼で、男の手を握り返した。
「…それじゃあ今から俺たちは家族だな。ああ申し送れた、俺の名前は神無月シンだ。これからはシン兄さんって呼べよ」
シンは子供のように無邪気に笑ってシンジの頭をなでる。
「…はい、シン、にいさん…」
照れくさそうに言うシンジだが、それはどこか嬉しそうで。
もう二人が出会ったときの悲壮な感じはどこにもなかった。
「じゃあ、いこうか」
シンはシンジの手をとって歩き出す。先生の家とは反対方向に。
だがシンジはもう一度も振り返ることは無かった。
(…僕も変わるんだ、シン兄さんみたいに…)
その決意は本物だった。

「シンさん」
裏山を降りたところで二人を待っていたのは紫色の髪を持つシンと同じくらいの綺麗な女性だった。
「シンジ、彼女は神無月シオン。つまりお前のお姉さんだ」
「え? じゃあ…」
「そう、俺たちの家族だよ」
「はじめまして、シンジ君。神無月シオンです。これからよろしくね。お姉ちゃんの言うことはちゃんと聞かないとダメだぞ」
微笑みながらシオンはシンジを抱きしめる。
(…あったかい)
「…碇シンジです。これからよろしくお願いします、シオン姉さん」
「ええ」
そして停めてあった車に乗り込んで三人はその場を後にした…

シンが運転する車の助手席で、シオンにだっこされるかたちで眠っているシンジ。
久しく忘れていた温もりに包まれたその顔は幸せだった。
「…で、髭の監視は」
「全部処理してあります」


時に2005年。
NERVは、最大の切り札と最大の鍵の片割れを永遠に失ったことになる。
それがこの先の流れをどう歪めていくのか。
臆病者の楽園に隠れ潜む輩は知る由も無かった…


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