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No.32048の一覧
[0] エヴァちーと【チート・ハーレム・アンチ・多重クロス】[主城](2013/12/29 22:27)
[1] プロローグ[主城](2012/12/15 11:32)
[2] 第壱話 使徒、襲来 Aパート[主城](2012/12/15 11:37)
[3] 第壱話 使徒、襲来 Bパート[主城](2012/12/15 11:44)
[4] 第壱話 使徒、襲来 Cパート[主城](2012/12/15 11:51)
[5] 第弐話 見知らぬ、天井 Aパート[主城](2012/12/15 11:58)
[6] 第弐話 見知らぬ、天井 Bパート[主城](2012/12/15 12:06)
[7] 第参話 鳴らない、電話 Aパート[主城](2012/12/15 12:14)
[8] 第参話 鳴らない、電話 Bパート[主城](2012/12/15 12:25)
[9] 第四話 雨、逃げ出した後[主城](2012/12/15 12:40)
[10] 第伍話 レイ、心のむこうに Aパート[主城](2012/12/15 12:54)
[11] 第伍話 レイ、心のむこうに Bパート[主城](2012/12/15 13:01)
[12] 第六話 決戦、第3新東京市 Aパート[主城](2012/12/15 13:13)
[13] 第六話 決戦、第3新東京市 Bパート[主城](2012/12/15 13:21)
[14] 第六話 決戦、第3新東京市 Cパート[主城](2012/12/15 13:39)
[15] 第七話 人の造りしもの[主城](2012/12/17 13:13)
[16] 第八話 アスカ、来日 Aパート[主城](2012/12/20 09:44)
[17] 第八話 アスカ、来日 Bパート[主城](2012/12/31 23:26)
[18] 第八話 アスカ、来日 Cパート(書きかけ)[主城](2013/12/29 22:25)
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[32048] 第壱話 使徒、襲来 Aパート
Name: 主城◆ce8e3040 ID:08b1074e 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/12/15 11:37
エヴァちーと 第壱話 使徒、襲来 Aパート[改訂版]


<<本日12時30分。東海地方を中心とした関東・中部全域に非常事態宣言が発令されました。住民の皆様は、速やかに指定のシェルターへの避難をお願いします。繰り返しお伝えします・・・・・・>>

シンジはプラットフォームのスピーカーから繰り返し発せられるアナウンスを呆然と聞いていた。そして、いよいよこれからとんでもない自体が自分の身にふりかかるのだと思うと諤々と足が震えてきた。

「大丈夫ですかー?ご主人様。うわ、手がこんなに冷たい~」

「む?おお、ほんとじゃ、シンジぃ大丈夫かえ?」

ただただ立ち尽くしていたシンジの手を二人の女の子が握った。

この二人こそ先ほどチートシステム(神の操作)によって召喚された袁術と張勲の主従コンビである。

「あっ・・・ありがとう。美羽、七乃さん・・・」

シンジは自己紹介の際に二人から『真名』を預かっていた。

真名とは家族や親友など自分が信頼できると思えた人物にその証として預けるとても神聖な名前であり、それこそ他人が勝手に呼べば殺されても文句は言えないものだそうだ。

シンジはそれを聞いたとき「まだ自分がそんな大切な物を預かるのは早いのでは無いか」と焦ったのだが、『神の洗脳(笑)』を受けている二人からしてみればシンジはこの世の『誰よりも敬愛する唯一の主人(おとこ)』であるのでまったく問題にしなかった。

そして、非常事態宣言が発令されて電車が最寄り駅に止まるまでの十数分、シンジは二人からの過剰なアプローチに戸惑いまくっていたのだった。

美羽はシンジの膝上に座りご機嫌であったし、七乃はシンジのすぐ隣に密着して座り、肩に頭を乗せてみたり、いたずらにシンジの耳に息を吹きかけてみたり、シンジの手を自分の太ももの上に持っていって「あー、ご主人様のス・ケ・ベ♪」とシンジの顔を真っ赤にさせ、14歳の純情をおちょくって遊んでみたりしていた。

チートによって『精神力がアップ』していなければ逃げ出していたことだろう。
シンジは顔を真っ赤にしながらも、しっかりと手で七乃をFSS※1していたのだった。

「のう、シンジ。あの鉄のカゴ(電車)中もここもなんで誰もおらんのじゃろう?」

「なんでだろうね・・・・・・みんなシェルターに行っちゃったのかな」

「しぇるた??妾達もそのしぇるたとやらに行くのかえ?シンジ、妾は喉が渇いたのじゃ・・・行く前に蜂蜜水が欲しいのじゃー」

「えーと、、、迎えの人がいるんだよ・・・。ここは待ち合わせの駅の二駅前なんだけどね。とりあえず電話してここ・・・えっと『強羅駅』にいるのを連絡しようと思う。それと蜂蜜水ね・・・ここに売ってるかな?・・・」

「とりあえず外に出て見ませんか?状況を確認することは大事ですよ」

七乃は以前蜀との戦いの時、斥候を出し忘れ大敗、敗走した過去があり、さすがに2度同じ失敗をするほど愚かではなかった。彼女は普通に優秀な『腹黒』バスガイドさんなのである。

「そうだね、とりあえず改札を出ようか・・・あ・・・これでいいかな?」

シンジはプラットフォームに置いてある自動販売機に「はちみつレモン」が売っているのを見つけた。とりあえず一つ買い、プルタグを開けてあげ美羽に渡す。

「はい、これは蜂蜜水じゃないんだけど」

「蜂蜜水じゃないのなら嫌なのじゃけど・・・っておおおおおぉ!!なんじゃこのさわやかな喉ごしは!!とっても美味しいのじゃ!!」

「えー?美羽様ずるいー、ご主人様、私も飲みたいなー」

七乃がシンジにおねだりする。さすがのシンジでも缶ジュース一本くらいの甲斐性は持っており、すぐに買ってあげた。

「わー♪確かに美味しいですねー。それとお金があればここに人がいなくても物が買えるというのは便利ですね。・・・庶民たちの仕事が無くなりそうですけど」

「人がいなくても買えるのはコレくらいのものだよ。それも自動販売機が多いのは日本、この国だけだそうだし・・・。って・・・早く外に出よう」

シンジはにこにこジュースを飲んでいる二人を促しながら改札を通った。
非常事態だからか改札は解放されており、チケットの回収などなかった。

この後、美羽と七乃にはベンチに座って待っていてもらい、自分は駅の周囲を見て回った。やはり人が誰もおらず、そして駅に併設されていた避難シェルターの扉は固く閉ざされ、叩いて見ても大声で呼んでも中からの反応はなかった。インターフォンらしきものも無いのはなんでだろうか??

公衆電話を見つけたので、手紙に同封されていた女性の写真の裏に書かれている電話番号にかけてみたが、残念ながら電話は繋がらなかった。

仕方なく二人の元に戻ると、『厠』へ行きたいというので構内のトイレを案内した。
すると七乃がシンジの元にすぐ戻ってきて、便器の使い方がわからないので教えて欲しいと言ってくる。さすがに女子トイレに入りたくはなかったが、七乃に無理矢理引っ張られ教えることに・・・。というか七乃さん冗談でもいきなりスカート捲らないで下さい(汗

美羽は水洗トイレに感動し、七乃はトイレットペーパーの便利さと柔らかさの感動をシンジに具体的に説明し、再びシンジの顔を赤くさせていた。もちろんわざとである。

そして今度はおなかがすいたと言い出したので、シンジは駅内のキヨスク(店員が慌てて避難したのか店じまいせずそのままだった)にて、お金をちゃんと小銭トレーの中に入れ、パンとお茶を3人分頂き、それぞれ二人に渡した。

「このメロンパンというのも美味しいのじゃ、ここは天国じゃの~♪七乃!!」

「ですね~美羽様。洛陽にもこのような「ぱん」なるものを売っている店があるとかないとか聞いてましたが、、、この「かれーぱん」ほどのものがあったでしょうかね」

シンジはとりあえず二人が喜んでくれているようで一安心した。

美少女召喚というだけあり、美羽はまるでお姫様(爆)のように愛らしく、七乃はなぜかバスガイドのような格好をしているが、しかしそれがやけに似合っており、無論彼女も美人である。背の高さは美羽がシンジより頭一つ分小さく、七乃が頭一つ分高かった。

そして思春期まっただ中のシンジにとって七乃のミニスカ姿は目の毒だったが、
その毒に食事をしながらもチラチラ目がいってしまうのは男の性であり許して欲しい。
精神力が高まっているシンジにとって太ももガン見くらいはお手の物なのだ※2。

とはいえ、少なくとも成人女性である七乃がいることの安心感、そして明らかに年下であり守らなければならないと思う美羽がいることは、シンジの精神安定に貢献しており、先ほどまであった『怯え』はいつのまにか消えていた。

食事が終わると美羽は眠たくなったのじゃーとシンジの膝を枕にしてお昼寝を始めた。

現状、電話も通じず、シェルターにも入れないため、シンジ達は(来るかどうかもわからない)迎えを待つほかすることが無かった。

シンジは暇つぶしも兼ねてチートシステムを起動した。

電車と同じようにシンジの隣に密着して座っている七乃も興味シンシンと画面を覗いている。どうやらこのチートシステムは第三者にも見ることができるようだった(※3)。

(七乃さんは身内だからいいけど、他の人に見られたら不味いだろうなぁ・・・人前ではコレは起動しない方が良さそうだね)

「ご主人様・・・少しよろしいですか」

七乃がシンジに声をかけてきた。シンジが顔を向けると、七乃が真剣な表情でこちらを見ていた。シンジは七乃が大事な話をしようとしているのだと理解し、背筋を伸ばして七乃の顔を見返す。

「今、その画面に私と美羽様を呼ぶ際に必要なぽっ、ぽいんと?が掲示されていたのですが、私と美羽様が二人で3万ポイントなんですよね・・・でも他の人たちはもっとぽいんとが高いです・・・」

たしかに、恋姫世界の女の子達の中では七乃(+美羽)はポイントがもっとも低かった。

一番近い公孫サンで5万、張三姉妹は3人セットで30万、顔良と文醜コンビで15万というポイント数だった。

「こういう事を話すのは本当はいけないことだし、私にとって悔しいことなのですが、ご主人様には話しておかなくてはなりません。それは私にとって美羽様は力を与えてくれる大事な方ですが、それと同時に私の『枷』にもなっているからです。美羽様大事のあまり視野が狭くなったり、美羽様を優先するあまり本来の仕事が疎かになり内政を停滞・・・いいえ悪化させてしまいました。最後は配下にしていた『孫呉』の人たちに反乱を起こされ、私と美羽様は国を追われてしまったのです。恐らくですがそのような経歴のためぽいんとが他の方々より低いのだと思います。もちろん、この世界に呼ばれて美羽様は袁家の後継者という縛りから解放され、私も美羽様を守るために袁家に巣くっていた醜悪な輩達と裏で謀争せずによくなりほっとしています。なので、元の世界よりは多少は私もマシになれると思うのですが、それでも自分の力不足は痛感しています。ご主人様には私よりももっと優秀な側近達が必要だと献策させていただきます。美羽様に私しかいなかったというのは不幸だっと思います。ご主人様には私たちの愚を繰り返して欲しくありません」

シンジは七乃の言葉を聞き、そして恥じた。シンジは実はこの二人以外、というか自分では女の子を召喚するのを止めようと思っていたのだ。二人に関しても心のどこかでは『神が勝手に召喚した』存在だと責任転嫁していたところがあった。

しかし七乃はシンジのことを真剣に考えて、『自分では力不足』なので別の人物を召喚して側近とするようにと言ってくれたのである。それは『神』ですら予想してなかった。

「七乃さん・・・「七乃!」・・・美羽起きてたのか・・・」

「七乃、妾は七乃が側にいてくれて幸せだったのじゃ!決して不幸だなんぞ思ったことはない!七乃はあそこで唯一、妾のためだけにいてくれた人じゃ。他の連中は妾を利用して欲を満たそうとするゲスな連中だけじゃった。あんなところ妾はもう戻りとうはない、シンジと七乃と一緒に暮らせれば、、、それとはちみつレモンがあれば十分じゃ!」

「!!っ、あ、、、ありがとうございます」

「それにだいたいあの孫策め!孫堅が死んだ後、孫呉がバラバラになろうとしているのを七乃が救ってあげ、『袁家のゴミ共に対抗させる』ため一党全員に給金を払ったり、黄巾賊討伐のために兵を集めるのを手助けしたりといろいろ裏から支援してあげていたのに、妾と七乃に感謝をするどころかろくに仕事もせずフラフラ城下で遊んで、最後は反乱して、まるで妾達が全ての元凶のように刃を向けてきた馬鹿の乳だけ女なのじゃ!!」

「・・・美羽様・・・」

「だいたいあの周瑜が密かに七乃が支援していることに気がつかぬ訳が無い!自分たちの給金がそれこそ『高い税で苦しんでいる民達』から出ておるのを知っておったし、妾達を諫めてそれを止めようとはしなかったからの。結局は自分たちだけが成り上がれればいいと、都合の悪いことは無視したのじゃ。だから金と支援は黙って受け取っておいて、妾達をゴミクズごと悪として攻めたのじゃ。ふん、結局そのような連中では天下を統一するなんぞ戯れ言、到底無理なことじゃろうがな・・・悲しいかな結局は妾達の負け犬の遠吠えにに過ぎぬのが悔しいのじゃ・・・」

七乃は美羽が全て・・・ではないが、大まかには理解していたことに驚いた。
驚いたと同時にさすがは袁逢様の子であったと感じた。

「いいえ、美羽様。まだ『負け』ではないです。結果としてあのゴミどもを粛正できましたし、私たちはご主人様とこうして別の生きる道を示されているのです。これから一緒に幸せになりましょう!」

「ふむ!そうじゃな七乃!過去の話はもうやめじゃ、妾の怒濤の快進撃はここから始まるのじゃー」

「いよ、美羽様!格好いいぞこのこのー」

シンジを挟んで二人の主従が少し涙ぐみながらも笑い合った。

シンジにとってはよくわからない所もあったが、美羽と七乃が見た目幼女とバスガイドというだけではなく、二人ともとても頭が良く優秀な人物なんだと理解した※4。
そしてこの二人と供にこれから頑張っていくぞ!と心に誓ったのである。

シンジは再びチートシステムの画面に目を向けた。

リストには美羽が『馬鹿の乳だけ女』と評した孫策もあり、彼女のポイント数はなんと500万だ。シンジはこのシステムのポイント割り振りに少し疑問を感じたのだった。

二人の話を聞く限り、この孫策という人物は仕事もあまりしないようだし、七乃が密かに孫策達を支援していたことにも全く気がついていなかったようだ。そのような人物がこんなにも七乃たちとポイントが離れていているのはどういうことなのだろう??

シンジが頭をひねっていると七乃が「孫策さんは私が十人束になってもかないません」と言った。そして「私でだいたい一般の兵士十人くらいなら負けません」と説明してくれた。単純計算で孫策は一般の兵士百人を同時に相手しても負けないくらい強いということだった。七乃に確認したところその通りと頷いた。・・・・・・ありえない強さだ(汗)

ちなみにポイントが5000万の呂布は噂では3万の黄巾賊に一人で勝ったらしい。

それに孫策は人を引きつける魅力(カリスマ)があり、彼女の元には優秀な人材が集まっていたそうだ。容姿も非常に優れており、悔しいかな自分は彼女より少し劣って※5いるとのこと。それこそ胸の大きさは七乃の倍(!)以上はあるとのことだ。

シンジはその言葉に七乃の胸を凝視してしまった。そう言う七乃だってとても立派な双胸を持っていたからである。というかこれの倍って・・・逆にそれは怖くないだろうか。

「んーご主人様、私の胸が気になりますかぁ♪どうぞ触ってくださいねー」

「うん、、、ってしないよ!」

シンジは慌てて目線を画面に戻した。
まだ「じゃあ一つ揉ませてもらおうか」と言うほど精神力は高くない。

すると、突然画面になにか新たな窓(ウインドウ)が浮かび上がってきた。


<<分岐その1 ミサトの車(ルノー)に乗る?乗らない?>>
『これより1時間後、君を葛城ミサトが車にて迎えにくる。その車に乗り父親の元に行くのか、それとも彼女の迎えを待たず、別の方法で向かうか否か選択してもらいたい。なお、彼女の車に乗らない場合は原典破壊ボーナスとして300万ポイント進呈する』


・・・はい??

シンジは突然現れた画面に目を丸くした。

迎えの車?葛城ミサトは確かあの写真の女性で・・・たしか神様が悪く言っていた人だったような?ええと、後1時間でここに来てくれるのか・・・ってもう待ち合わせ時間から1時間以上たってるよね・・・いくら僕が非常事態で二駅前で降ろされたからって、時間かかりすぎじゃない??

「ご主人様?すみませんが、私たちにも見せてくれませんか?」

「ああ、ごめんね。はい」

七乃と美羽は画面を覗き込んだ。ちなみに後から聞いた話だとちゃんと漢文に訳されているらしい。神様特製は伊達じゃない。

「なるほどー・・・それでご主人様はどうするつもりですかー?」

「え・・・そりゃ、待ち合わせしてるんだから待つつもりだけど・・・」

「シンジ~~それはいくらなんでもダメダメなのじゃぁ・・・」

「ですねー美羽様。ダメダメですー」

「うっ・・・なんで??」

「それはですね。ご主人様には神様からその『ちーとしすてむ』をもらったわけですよね。それによって私たちが召喚されてここにいます」

「うん」

「つまり神様はシンジさん、ご主人様を助けたいからでしょう?そんな神様がなんの意味もなくこのような重要な分岐をわざわざ教えてくるわけないじゃないですか?恐らく葛城ミサトという女性と一緒に向かえばなにか酷い目に遭うのだと思います。彼女を待たずここから移動した場合、300万ぽいんと?もらえるというのも、こっちを選んでくれと言っているようなものじゃないですか?※6」

「あの・・・逆に困難な道だからポイントをくれるのだとは考えられない?」

「あーー確かにそれはそうかもしれませんが、もう一度繰り返しますがご主人様を助けてくれる神様が300万ぽいんともくれるということは、そのぽいんとで十分乗り越えることができるということも考えられますよ。まあ、そもそもその葛城ミサトさんに私たちのことをどうやって説明するんですか?できないでしょう??ここで置いていかれても困りますよーー」

確かに、七乃や美羽はことは説明できないし、彼女達をおいていくこともできない。
彼女たちは当然ながら戸籍もないし、下手に追求されたら大事になってしまう。

シンジは約束をすっぽかし(実際はミサトが2時間半遅刻するので自業自得)してしまうのを申し訳なく思ったが、とりあえず二人のこともあるので分岐は『車に乗らない』を選択した。画面上で『乗らない』を押したところ、ガラスが割れたような音がしてその画面は閉じた。

システム自体も消えてしまったので、再びチートシステムを起動して画面を確認したところ、残ポイントが313500Pになっていた。これだけあればなんとかいけそうなきがする。

シンジはシステムを閉じ、二人にここから移動する旨伝える。ここでのんびりしていたら件の葛城さんが迎えに来てしまう!!

駅から出ると美羽が「うーーー暑いのじゃぁぁぁ」と力なく叫んだ。

確かに美羽は着物?ような服を幾重にも重ねて着ており冷房の効いていない外ではかなり暑いようだった。とはいえ、今町は誰一人歩いておらず、ましてや替えの服を買うなんてできそうもない。いや・・・チートシステムを探せばあるのかもしれないが・・・。

ちなみに高貴な生まれの躾なのか、美羽は暑い暑い言いながらも服は一枚も脱がなかった。

駅から坂を少し下ったところに小さな公園があったので、奥の木陰になっているベンチに一旦座ることにした。これからどうするかみんなで知恵を出し合わないといけない。

シンジは再びチートシステムを起動するのだった。


<<補足:ここで友人はリアルに1時間の長考をすることに。エヴァ知識ほぼゼロのくせにミサトの車に乗らないという選択をネタで行ったため、一体これからどういう展開になるのかがよくわからず、マジで困っていましたw。一応この先の展開は教えましたが、このシンジ君『ネルフ』すらよく知らないわけでwどうせーちゅうんじゃ!・・・では、その長考の結果をご覧ください>>


「まずご主人様、先ほども言ったのですが、私たち以外の人を呼ぶべきです」

七乃が最初にそう切り出した。さすがのシンジももう呼ぶことに躊躇はなかった。

「でも・・・一体誰を呼んだらいいのかな・・・リストには名前と必要ポイント数しか書かれていないんだ。二人と同じ世界の人なら七乃さんでどういう人かわかりますか?」

「ええと・・・孫呉の人だったらだいたい・・・あともちろん麗羽(袁紹)様、斗詩(顔良)ちゃん、猪々子(文醜)ちゃんは嫌なくらい知ってますし・・・あと・・・そうですねー曹操さんが優秀なのはご主人様も知ってますよね?」

「え?ああ、うん。僕が知っている曹操は男だから少し違うと思うけど・・・多分すごい人なんだろうね。というか、劉備、関羽、張飛、孔明ってどうなの?僕の知る限りではこの中で一番有名な人たちなんだけど・・・」

「・・・そうですね・・・私も彼女たちの軍に敗れてますから、優秀なんだろうとは思いますが、、、私の個人的な見解ではまず主君の劉備は愚か者、関羽は視野狭窄、張飛はお子様、孔明はすごい才を見せていましたが・・・でも孫家の周瑜さんには劣ると思います。・・・ご主人様、どちらにしても今回呼ぶ人は私たちの世界の人は避けた方がいいと思いますよ」

「へ?なんで??」

「この世界と私たちの世界では時代が違いすぎます。ご主人様が自己紹介の時に教えてくれた際に私たちの世界は今よりもはるか昔の時代だとおっしゃってましたよね。ですから見るモノ聞くモノすべて私たちの知らないモノばかりです。しばらくして慣れてくれば大丈夫ですけど、今の火急の事態には不適だと思います」

「たっ・・・確かにね」

シンジは七乃の鋭い指摘に思わず声を失った※7。

「じゃ・・・じゃあ、どうしよう・・・」

「のうシンジ、この一覧の者達の『履歴』は見れないのかえ?人材を登用するとき七乃はまずその者が過去にどのような学問・武術を納め、以前はどこに仕官していたかというものが書かれた竹簡を山と積んで読んでいたのじゃ。履歴がわからなければ選びようにも選べないのじゃ」

「美羽様~なんて賢い献策でしょう♪エライエライ(なでなで)」

七乃が美羽の頭をこれでもかというくらい撫でている。
美羽もえっへんとばかりふんぞり返っていた。

確かに美羽の言う通りであり、シンジは早速『情報』の画面を開いてみた。

(確か一人1000Pでプロフィールが開示できるんだっけ・・・あっ一括で開示もできる!!って50万ポイントもいるの!!どうしよう・・・)

シンジは七乃にまた意見を聞こうかと思ったが、さすがになんでもかんでも頼るのは情けないので、今回は自分で考えてみた。結局情報がわからなければどうにもならないということで50万Pを使い女の子達全員のプロフィールを開示した。

「へぇーすごい。一人一人画像も出るんだ・・・学歴、職歴、身長、体重、スリーサイズ、趣味、好きな食べ物、性癖・・・って情報細か!!」

「おおーこの桜咲刹那という剣士かっこいいのじゃー♪背中に翼が生えておるぞ!!」

「でも胸も腰も細すぎですねー、案山子です。これじゃ夜伽はかなり頑張らないとご主人様に飽きられちゃいますよ。今後に期待というところですかー」

ちなみに、ネギまのリストは『人気投票順』に並んでおり、桜咲刹那が1番にリストされていた。2番目がヒロインの明日菜、3番目に木乃香後は亜子、のどかと続いている。

シンジはとりあえず不必要な所は飛ばして読んでいった。
しかし、あまりに情報量が多くすべての人物を読んで選ぶのは難しすぎた。

すると横から画面を覗いていた美羽が「シンジ、名前の前に変な形の印があるのじゃが、何じゃろう?」と言うので見てみると、確かに何人かの名前の先頭に『ハートマーク』が付けられてあった。

「そうだ!確か神様が次に誰を呼んだらいいのかオススメを教えてくれるって言っていたような・・・。とりあえずこのマークのある人からプロフィールを読んでみよう※8」

この『ネギま』のリストでのオススメは次の3名。雪広あやか、超鈴音、葉加瀬聡美。

(えーと雪広さんはお金持ちの娘さんで・・・超さんは未来人!?タイムマシンをオプションで付けれるのか・・・ってそんなのアリなの?、それと葉加瀬さんも凄い!プラントで『人型ロボット(ガイノイド)』が生産できるってオプションがある!・・・ちょっと待った。確かに凄いけど今必要かと言えばそうじゃない。今僕に必要なのは悲しいかなお金と二人を任せられる保護者だよね。父さんが美羽や七乃を受け入れてくれるかどうか・・・こんな話を信じる分けがないし・・・よし!この3人の中なら雪広さんで決まりだ!それでお金目的で心が痛いけどオプションの『雪広財閥当主の次女』を付けさせてもらって・・・ん?仮契約カード『花盛りのブルジョワ』の有無?『どんな人物にでもアポなしで面会できる能力』?えーと役に立つのかよくわからないけど、この人の持ち物なら付けてあげた方がいいよね!全部でうわ290万Pだ。うう、こんなに一気にポイントを使うなんてドキドキするよー・・・せーの、えい!!)

シンジは雪広あやかを選択し召喚した。しかし、特に何も起こらなかった。
てっきり時計と同じように目の前に光とともに現れるのかと身構えていたのだが・・・。

「あれ・・・来ない?ここで待っていれば大丈夫なのかな??

「・・・・・・私たちが二人で3万・・・彼女一人で290万か・・・・・・」

七乃がその悲しい現実を空に向かって愚痴っていた。いや確かに3万は低いかも。

「七乃元気を出すのじゃぁ、それだけ妾達はお買い得だということじゃぞ!」

美羽の意味不明な励ましに七乃は「美羽様~」と感動の涙を流していた。

「そうですよ七乃さん、このポイントって僕はかなり恣意的な印象を受けました。そもそも神様の主観で決めているみたいだし、必ずしもポイントが高いから有能ってわけでもないと思います。だって一番の桜咲さんなんて500万ポイントですけど、羽があって空が飛べるものすごく強い剣士だけって感じです。2番目の神楽坂さんの『完全魔法無効化能力』もすごいと思いますけど、そもそもこの世界には『魔法が無い(?)』わけですから、ほとんど役に立たないですよ。それでいて480万ポイント・・・ほらやっぱりおかしいでしょう」

「・・・何気に彼女の特技欄に咸卦法(魔力と気の融合)習得とか凄いこと書いてますけど・・・それにあーてぃふぁくとの欄の「ハマノツルギ」とか説明を読むと尋常じゃ無いくらい強い武器を持ってるみたいですよ・・・(ジト目)」

七乃の武器は一般の兵士が持っている武器よりちょい良いくらいの剣だった。その剣もどうやら召喚時にオプションを神様がつけ忘れたのか所持していなかったのだ。

「ええと、オプションは後から追加もできるんで七乃さんの武器召喚しましょうか?ちょっと待ってください。この『袁術親衛隊正式採用鋼剣』ですよね。ポイントは10Pですからすぐにでも!※9」

「ご主人様やめてください!これ以上私を落とさないで!!」

結局七乃に止められ、七乃の剣は召喚しなかった。まあ、実際そんなもの持ち歩いていたら警察に銃刀法違反で逮捕されてしまうのだが(コスプレと思われるかな?)。

そんなやりとりをしていると、一台の黒塗りリムジンが公園の入り口に止まった。

そして運転手が先に出てきて、後方のドアを開ける。
車からは綺麗な金髪ストレートの長い髪を持った長身でスタイル抜群の美少女が降りてきた。それは先ほどチートシステムの画面で見た『雪広あやか』当人であった。

あやかはシンジを目視すると座っているベンチまで小走りで近づいてきた。

「お待たせしましたわ、シンジ様。私はあなた様の力となるべくこの世界に召喚されました。容姿端麗、頭脳明晰、全てに優れた完璧超人ことこの雪広あやかがこれから誠心誠意お仕えさせていただきますわ!!ほーほっほっほ!!」

あやかは顔を紅潮させシンジに自己紹介した。最後の高笑いは多少照れ隠しも混ざっていたが。『神の洗脳』により彼女のネギ先生(ショタ)への愛情はシンジ(年下の婚約者(フィアンセ))に変換されていたため、すでにシンジへの好感度はMAXに達していた。

「・・・のう七乃・・・どことなく麗羽のことを思い出したのじゃが・・・」

「美羽様・・・さすがにアレよりはマシだと思いますよ」

美羽・七乃主従がアヤカをジト目で評している間に、シンジは自分たちが置かれている現状をアヤカに説明した。アヤカも召喚の際にある程度神より情報を脳にインプットされているので、一通りシンジから説明を受ければほぼ把握したようだった。

「わかりましたわ、シンジ様。現在第三新東京市には非常事態宣言が発令されていまして、このまま外でウロウロするのは危険です。ここには雪広家の別邸がありますし、そこに個人シェルターも完備されていますのでまずそちらへ移動しましょう。その後のことはそれから考えるのが良いと思います」

シンジがあやか召喚の際に『雪広財閥当主の次女』のオプションを付けているので、この世界(日本)には雪広財閥が存在している。雪広財閥は、あやかの高祖父が創立した雪広商会を基盤に、政府の保護を得て海運業を独占。造船業・鉱業・貿易などあらゆる分野に進出し莫大な富を築いた。現在雪広商事、雪広化学、雪広重工業、雪広マテリアルなど様々な会社を経営している。セカンドインパクトの混乱の際にグループ上場企業の株式の大半を雪広家が自社株買いしており、一時期力が落ちていた創業家の支配が復活していた。無論、白人至上主義のゼーレなどに雪広家は加わってはいない※10。

また当然ながら雪広家が存在しているので、あやかはこの世界に戸籍を持っている。

あやかに促されシンジ達はベンチから立ち上がり、黒塗りリムジンに乗り込んだ。
革張りのシートにキラキラの小さいシャンデリアなどとてつもなく豪華な内装だった。

お姫様である美羽や七乃は「綺麗じゃのー」「綺麗ですねー」くらいの感想であるが、叔父の家の庭のバラック小屋で一人貧しい自炊生活をしていたシンジからすると、別世界の光景であった。

細長いリムジンの車内は運転席、助手席を除いてもまだ10名程度乗れるのではないかという広さでだったが、あやかたち三人はシンジに密着するかたちで後ろに座っていた。
右隣にあやか、左隣に七乃、膝上に美羽である。

「あっ・・・あの・・・」

シンジは美人二人に挟まれてドキマギしていたのだが、あやかと七乃は互いに笑顔を顔に張り付かせたまま見えない火花を散らしていた。シンジには早急に『恋愛原子核』にポイントを使うことをオススメする。このまま女の子を召喚し続けると刺されるぞ※11。

4人もいて、なぜか静かな車内に居心地の悪さを感じていたシンジは火花を散らし続ける二人から視線をそらすように窓の外に目を向けた。窓の外には怒り肩の緑の巨大な化け物が悠然と街中を歩いていた。

「うわーー!!ちょっちょっとみんなアレを見て!!」

シンジは驚愕して化け物へ指をさした。その声ににらみ合っていたあやかと七乃も驚いてシンジの指した窓の外を見る。

「おおーなんじゃあの化け物わーーー!!」

真っ先にジンジの膝上から飛び降りた美羽が窓ガラスに顔を貼り付けて見ている。
あやかと七乃は驚きのあまり声も出ないようだった。

「あれが『使徒(?)』・・・僕が戦う相手か・・・」

「おお??なにか飛んで来たのじゃ!っと思ったらすぐ落ちたのじゃ・・・弱いのぅ」

国連軍の戦闘機が両翼からミサイルを発射したものの、使徒には通用せず、そのまま戦闘機は何か(ATフィールド)にぶつかり落ちていった。戦闘機は先ほどまでシンジ達がいた強羅駅の方へ落ちていったようだが・・・

「とにかく別邸まで急ぎましょう、瀬婆須(ドライバー)!飛ばして!!」

「了解しましたお嬢(あやか)様」

リムジンがアクセル全開で走り出した。・・・というか早すぎない?曲がれるのコレ?

シンジは使徒よりもこの車が事故らないかの方が心配になった。
美羽や七乃はのんきに「すごい早いのじゃー」「わー早いですねー」と言っていたが。

ドライバーさんの運転のおかげ?で、あれから十分ほどで雪広の別邸に到着した。
別邸といっても一軒家では無く、7階建ての中規模なビルディングで一見普通のオフィスビルのようだった。そしてなぜかそのビルだけがポツンと一棟だけ建っていた。

リムジンはビルの地下の駐車場に入り、エントランスの前でゆっくりと停車した。

シンジが車が普通のビルの中に入ったことを不思議に思っていると、

「もちろん普通の屋敷も麻帆良の他、各地にあるのですが、ここ第三新東京市では非常事態宣言発令時には中心部の建物がジオフロント、つまりこの下の地下空間に収納されるようになっているのです。そのため雪広家でも別邸をビルディングの形にして非常時はビルごと地下に避難できるようにしてあるのですわ」

「でも、今発令中なのにまだ収納されてなかったよね?なんでなの??」

「それはもちろんシンジ様をここへ案内するからに決まっていますわ!一度収納されていたのを、このビルだけ上に戻して、車でお迎えに行ったのです」

それはそれはシステムを管理しているネルフにとってははた迷惑な話だっただろう。しかし雪広財閥はここ第三新東京市においてネルフの有力なスポンサーの一つであり、ゼーレの影響の薄い極東の地では彼らの傘下の企業だけではこのような巨大プロジェクトを開発できなかったのだ。無論ジオフロント内は身内だけで工事を行ったのではあるが。

ガガガ・・・とビル全体から地鳴りのような音が聞こえてきた。
あやかによるとビルが再度地下に下がりジオフロント内に収納されたのだそうだ。

ビルが地下に下がり終えたと同時にどこか遠くの方で爆発音がした気がするが、その音に反応して顔を向けたのはシンジだけだった。

(あれ気のせいかな?)

シンジがうむむと首をひねっている間に3人はさっさとエントランスからロビー内に入っていったようだ。

「あら?シンジ様いかがなさいましたか?早くいらっしゃって下さいませ。美羽さん、七乃さん。お疲れでしょう。とりあえずお茶に致しませんか。今家のものに情報を集めさせています。それに『あちら側』もすぐ動いて来ると思いますし・・・」

シンジは慌てて3人の元へ向かった。
地下のロビーだからかロビー内はそれほど広くなく、少し大きなエレベーターが一基正面に設置されていた。エレベーターに乗り最上階の7階へ、扉が開くと左右両脇にメイドさんたちが整列して「いらっしゃいませシンジ様、おかえりなさいませお嬢様」と言って揃っておじぎをしてくれた。

シンジはその光景にあっけに取られていたが、それが城では普通だった美羽は「うむ、ご苦労様なのじゃ」とご機嫌であった。誰も美羽に対して頭を下げていたわけでは無かったが、小さな女の子がえばって歩く姿は微笑ましかったので問題にはならなかった。

シンジは恐縮しながら『メイドの道』を歩きアヤカの家の玄関をくぐるのであった。

(うう緊張する・・・これからあの『使徒』をどうしたらいいのだろう??・・・)


さて、シンジ達が雪広の別邸でお茶を飲んでほっと一息ついている頃、件の写真の女『葛城ミサト』はもの凄く焦っていた。今日は自ら志願してサードチルドレンを迎えに行くことになっていたのだが2時間寝坊し、慌てて新車のルノーを激走させて第三新東京市駅へ、シンジがいない(というか人っ子一人としていない)ことにさらに慌ててネルフ本部にいる部下の日向に電話をしたところ、非常事態宣言が発令されていてシンジの電車は二駅前の強羅駅で止まったことが伝えられる。再びルノーを爆走させて強羅駅に滑り込んだところに戦闘機が墜落、それは間一髪逃れたが強羅駅にもシンジはいない・・・。駅内を探し回ってもどこにもおらず、顔を真っ青にして再度日向に電話、さずがの日向も慌てて後ろを振り向く・・・が、現在発令所には国連軍の将官達が指示を出しており、いくらなんでも「葛城一尉がサードチルドレンを待ち合わせの時間から2時間半以上遅れて迎えに行ったところ、接触できませんでした」などと報告することはできない。そんなことを言えばネルフは馬鹿の集まりかと勘違いされる。

日向は冷や汗を流しながら顔を正面に戻した。

(マズイですよ~葛城さん・・・とっとりあえずサードチルドレン・・・シンジ君が今どこに居るのかマギで検索を・・・ってマヤちゃんにばれるかな・・・)

日向は隣の隣の席で真剣な表情でモニターを見つめる童顔の同僚をチラリと見る。

現在、強羅防衛戦を『使徒』が突破、第三新東京市へ向かって進行している。国連軍の将官達はN2爆雷の投下の準備を指示、先ほど爆撃機が厚木基地を飛び立ったという大変緊迫した状況であった※12。

とはいえ、ネルフの作戦部である日向には今特に仕事は無く、そんでもって上司も不在・・・。同僚達に申し訳なく思いながら愛する上司の尻ぬぐいのため(貴重な)マギのシステムを使ってシンジの検索を行った。

結果としてはすぐに見つかった。

強羅駅の監視カメラにシンジ君とバスガイドの格好をした女性、着物?を着たお姫様のような女の子の3人が電車を降り、シンジ君が二人にジュースを買って上げたり、その後電話(ミサトの携帯電話だった)をしたり、シェルターに入ろうと奮闘したり、結局できずに駅に戻って3人で昼食を食べたり、その後駅の近くの公園へ移動し、(日向の見たところ)彼らは途方に暮れていたようだったが、そこに黒塗りのリムジンが現れ、そのリムジンから美少女が出てきてシンジ達と何かを話したかと思ったら、一緒にリムジンに乗って走り出した。車のナンバーから車の所有者が『雪広家』であることが判明。そして車は雪広家が所有する第三新東京市のビルの中へと入っていったのだった。

(そういえばなぜか雪広家が自分たちのビルを外に出すよう言ってきてたっけ・・・青葉が「このくそ忙しいのになんで金持ちの我が儘を通さなきゃいけないの」って愚痴ってたっけ。あれってまさか『シンジ君』を迎えに行くため??なのかな。それってサードチルドレンの情報が外部に漏れてた!?ってことかも・・・これって)

「やばいですよ~葛城さん・・・シンジ君1時間は強羅駅で待ってましたから、、、」

「ん?日向、葛城一尉がどうかしたのか?」

隣の席の青葉がこちらを向いて声をかけてくる。

「いっいや、なんでもない・・・こともないが、、、今はマズイ、後で話すよ」

「・・・そうか。それならいいが・・・そろそろ国連軍の攻撃も佳境のようだぞ」

「ああ(とりあえずN2落として貰って使徒が死んだら笑い話?で済むかな)」

そんなネルフの存在意義を無くすようなことを考えながら日向は正面の巨大モニターに視線を向けた。何十億もする最新型のビジョンであり、発令所のどこからでも見ることができる。そこには悠々とこちらへ向かって歩いている使徒の姿が映っていた。


「十五年ぶりだな」

「ああ、間違いない・・・・・・使徒だ」

すでに何時間も前から使徒の姿は確認できていたし、だからこそ国連軍が懸命に防衛活動をしているのだが、なぜか今になってこのような台詞を吐いている司令(ヒゲ)と副司令(ろうじん)である。

『目標は依然健在です!第三新東京市に向かい進行しています!!』

『航空隊の戦力では、足止めが出来ません!!』

「総力戦だ。厚美、入間の航空隊も全部あげろ!!」

「出し惜しみは無しだ!! 何としてでも目標を潰すんだ!!」

国連軍の将官達がオペレーターからの報告に顔真っ赤にして指示を怒鳴る。
しかし、悲しいかな緑の化け物に対して有効なダメージは全く与えられていなかった。

「やはり、ATフィールドか?」

「ああ、使徒に対して、通常兵器では役に立たんよ」

司令(ヒゲ)と副司令(ろうじん)のコンビはのんきにそう囁きあっていた。

いまから自分たちも当初のストーリーから大幅に外れた、とんでもない自体に巻き込まれることになるわけだが、神では無い彼らにそんなことがわかるわけは無い※13。

「もういい!!航空隊、地上の戦車部隊も後方に下げろ!上空で待機している爆撃機にN2投下を指示しろ!!」

国連軍の将官はとうとう自分たちの切り札である『N2爆雷』の使用を決断した。

戦闘機や戦闘ヘリ、戦車、装甲車たちが慌てて使徒から離れていく。

『N2投下しました!!!!』

使徒上空の爆撃機からN2爆雷が投下された。

使徒に着弾した瞬間、画面は光で真っ白になり、そして何も映らなくなった。

「碇君見たかね?これが我々の切り札、N2爆雷の威力だ!」

「これで君の所の新兵器の出番は無くなったな」

後ろに座っているヒゲに国連軍の将官達は勝利を確信して言い放った。

『爆心地中央にエネルギー反応!!目標健在です!!』

オペレーターから悲鳴のような報告が伝えられる。

「馬鹿な・・・N2が効かないとは・・・」

「化け物め・・・・・・」

国連軍の将官達はがっくりと肩を落とした。
中には床に崩れ落ちてしまうほど落ち込んだものもいた。

「予想通り自己修復か」

「・・・・・・ああ、そうでなければ単独兵器として役に立たんよ」

「完全な個体。自己完結型の生命体か」

ヒゲと老人が哀れな将官達を見ながら囁きあう。
そもそもこの二人には将官達の存在すら眼中に無かったのかもしれない。

正面の画面が復旧し、使徒の様子を伝えていたが、いきなり使徒からの攻撃で映像を映していたへりが撃墜され、画面は再びブラックアウトしてしまった。

「ほう・・・大したものだ。機能が増幅したようだぞ」

「確かに、それに知恵もついたようだ。修復が終われば来るぞ」


「は・・・・・・しかし、、、いえ、了解しました。はい、、、それでは」

国連軍の将官のもとに一本の電話が入った。

そして将官は不服なのを隠そうともせずヒゲに対して、

「碇君、総司令部より通達だ。只今をもって指揮権をネルフへ移す。お手並み拝見させて貰おう」

「我々の所有する兵器が目標に対して有効な手を持ち得なかったことは認めよう。しかし、君たちならあの化け物に勝てるのかね?」

ヒゲいやネルフ司令碇ゲンドウは立ち上がり、薄笑いを浮かべ、サングラスを手で直しながら「そのためのネルフです」と答えた。内心ちょっといい気になっていた。

「まあ、がんばりたまえ」

なんとなくヒゲにむかついた将官達はそそくさと発令所を出て行った。

「さて、碇。予定どおり指揮権がこちらに来たわけだがどうする?」

老人だ、副司令だ、いや冬月コウゾウだ!も心持ち気合いを入れた様子でゲンドウに問いかけてきた。いよいよ計画が始動ということもありテンションが上がっているようだ。

「初号期を起動させる」

「初号期か?パイロットがいないぞ」

「問題ない。間もなく予備が届く」

日向は伝えるなら今しかないと席から立ち上がり後ろを向いた。

「報告いたします。サードチルドレンの件ですが、葛城一尉が彼を迎えに行くことになっており、実際に迎えに(2時間半後)行ったのですが、サードチルドレンと接触ができませんでした。現在サードチルドレンは市中心部の雪広家所有のビル内にいるものと思われます。雪広へ彼を引き渡すよう連絡してもよろしいでしょうか!」

日向のその報告にゲンドウと冬月はあっけに取られたようにポカンと聞いていた。

「・・・なぜサードチルドレンが『あの』雪広の所に保護されているのだ?」

冬月のあまりに当然なその疑問に日向は言葉が詰まる。しかし、上官に対し嘘をつくわけにもいかない。愛する上司の不手際を話すのは心が痛いが話さないと自分が罰せられる。

「えーと、そう、まず非常事態宣言が発令されましてサードチルドレンが乗っていた電車が待ち合わせの駅の二駅前の強羅駅で止まったのです」

「それは何時かね?」

「・・・12時38分です」

「ふむ、葛城一尉が強羅駅に到着したのは何時かね?」

「・・・・・・15時16分です」

見つめ合う日向と冬月。その瞬間好きだと気付いてしまいそうな勢いである。

「・・・葛城一尉のことはいまはいい!それでなぜサードチルドレンが雪広の所にいるのかを報告したまえ!」

「はっはい!サードチルドレンは強羅駅にておそらく電車内で知り合ったと思われる女性と少女の三人で1時間ほど待っていたようです」

日向は正面の画面に先ほど検索しておいた監視カメラの画像を表示させた。

発令所に居た職員全員が(なぜバスガイドとお姫様?が一緒にいるの?)と思ったが世界を救うという高い志をもった職員たちの鉄の精神力でそれをつっこむ声は抑えられた。

「サードチルドレンは葛城一尉の携帯に連絡したり、駅に併設されているシェルターに入ろうとしたりしていましたができず、その後3人で昼食を取ったあと近くの公園へ移動しました。その30分後公園へリムジンが到着、リムジンから出てきた少女と接触後、全員リムジンへ乗り雪広家が所有するビルへ向かいました。車のナンバーから雪広家の個人用の車のようです。それと出てきた少女は雪広家当主の次女の雪広あやか嬢と確認が取れています。・・・えーと以上です」

「・・・報告を聞く限りでは非常事態が発令されているのに外にいたサードチルドレン達を好意で保護したように見えるが・・・んっそういえば先ほど妙な話が合ったな?」

「はい・・・発令後地下に収まっていた自社ビルを急いで外に出すよう雪広家から連絡がありまして、副司令に確認をとりました。了解を得ましたのでそのビルだけ上にだしましたが・・・」

青葉が冬月の疑問に答えた。

「車ですが、先ほど調べたところまっすぐにサードチルドレンがいた公園に向かっています。まるでそこにサードチルドレンがいるのがわかっていて、わざわざ迎えに行ったように見えます。それと現在はそのビルは再び地下へ待避完了しているようです・・・」

「雪広家へ連絡。サードチルドレンを引き渡すように言え」

黙って聞いていたゲンドウが口を開き、そう日向に指示をだした。

「碇いいのか?この雪広の動きはなにか裏がありそうだぞ?先に事情を調べた方が良いのでは無いか?今雪広財閥と関係をこじらせるのはマイナスにしかならん。それにもし拒否でもされたらどうするのだ?」

「問題ない。雪広がこちらの何をつかんでいるのかわからんが、今のシンジは何も知らん。父親である私が保護者として引き渡しを言うのを拒否をすれば逆にあちら側が立場が悪くなる。だから拒否はしないでしょう」

「うむむ、そうだな。とはいえ雪広について諜報部を動かすのはいいだろな」

「それは任せる」

冬月は早速電話を取り雪広を調べるように諜報部に指示を出した。

ゲンドウはいまだ正面のモニターに映っているシンジの姿をジッと睨んでいた。
そしてあの無能の葛城一尉の処分は減棒何ヶ月にしようかと考えていた。


Bパートへ続く


※1 FSS=太ももスリスリ 友人は乳より太ももが大好きです。
※2 友人は以下略。精神力(げんき)があればセクハラもできる!セクハラ王に俺はなる!
※3 実際はシンジと召喚された女の子のみ見ることができます。
※4 友人の逆襲(笑)どこかのSSでこういう話を読んだらしい。
   周瑜からすると『そんなん知らんがな』ばりのいいがかりだけど(爆)
※5 少し・・・
※6 いいえ、全くの適当、思いつきです。
※7 これは私が指摘しました。友人はなぜか恋姫から選ぼうとしてたので^^;
※8 友人のあまりの長考に仕方なく再度アドバイスをしました。
※9 七乃って武器にこだわりがなかったんですね。大将軍(笑)なのに。
※10 雪広財閥出現のため、某○菱グループが消滅しています。
   この設定はニコニコ鉄道様より参考にさせていただきました<(_ _)>
※11 後でシンジ君には夢の中で教えておきます。
※12 作品によってはここには戦自の将官がいることになってますが、
   ネルフは国連の組織なのでそれはおかしいと思い国連軍にしました。
※13 僕はアンチは嫌いです。本当だよ。でも友人がこいつが・・・・・・w



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