「ここは・・・どこなんだろう・・・」
どこかにゆられているような感じで、きもちのいいなにかが全身を覆っている。
今の自分状態がどうだときかれたらこうとしかいえない。
「きもちがいい・・・水の中にとけているみたいだ・・・」
あまりの気持ちよさに頭がぼ~っとしている。
(あなたはだれ・・・?)
頭の中に声がひびいてくる。
「そういうきみこそだれ・・・?」
まだ声でしかない存在に逆に聞き返す。
(私の名前は碇ユイ・・・エヴァンゲリオン初号機にいた魂・・・)
「エ・・・エヴァンゲリオン・・・?・・・・碇・・・ユイ?・・・・っ!まさか!」
きいたことのある単語をきき覚醒する意識。そう、自分に聞き間違いがなければ現実にはありえないことがおこっているのだ。
(あなたはわたしをしっているの?)
「・・・わたしの知る碇ユイなのであれば・・・知っているとおもいます。あなたの息子の名前は「シンジ」ですか?」
(そうよ・・・。息子をしっているの?)
「しってますよ・・・違う意味ですけどね。」
どうやら本当にここはエヴァの世界らしい。なぜ自分がここにいるのか少し前の自分の過去をおもいだそうとしていた。
(えーっと、たしか朝起きて、仕事の準備して、ご飯たべて、家をでて・・・)
その日の行動を順に確認していく。
(仕事行くときにたしか・・・・そうだ!ネコだ!ネコが車に轢かれそうになったから反射的にとびだして・・・そこまでしか覚えてないな・・・)
(ネコを助けたんですか?)
「そうそうネコたすけて・・・ってなんで考えてることわかるんですか?!」
自分の考えてたことをずばりあてられ動揺する。
(ここは世界のみんなが溶けたLCLの世界ですもの・・・。考えてることは全部つたわりますわ・・・)
「世界がLCLに?・・・まさか?!サードインパクト!?人類補完計画がおこったのか!?」
(あなたはどうやらここの世界の人じゃなさそうですね・・・。でも魂がここにきてしまったということは・・・)
「え?魂?もしかして俺って死んじゃったの?で、でもなんでここに・・・」
魂というセリフが聞こえて動揺する。
(あなたのさきほどの記憶からの推測ですが、おそらくあなたはネコを助けようとして車に轢かれて死んでしまったのでしょう。そして、
サードインパクトが原因であなたの魂はこちらの世界にきてしまったのではないかと思います)
「・・・・・・・・・・・」
なにもいえなかった。死んだこともショックだがまさかエヴァの世界にきてしまうことなどだれも想像できることではない。
(・・・どうしますか?)
「え?」
どうするときかれてもなにをすればいいのかわからないのでどうしようもない。
(このままずっと一つになっていくこともできますよ?)
「・・・・他になにかあるんですか?」
いまの状態からなにができるのかきいてみたかった。
(もうひとつは私のお願い事になります)
「お願い事?」
(この世界は特定の人しか望んでない世界です。私も、そして息子も望んではいないでしょう。そのために私は過去にいきます)
「過去に・・・」
(ですが、私はまた初号機にとりこまれるでしょう。使徒やゼーレの人と戦うのにはしかたがないとおもうんです)
「・・・・・・・」
その声にはいままでとちがい悲しさが十分なくらい伝わってきた。それはそうだろう、自分の息子を戦いにだし、夫を狂気にはしらせるのだから。
(ですから私に協力してほしいのです。この世界にしないために・・・)
「・・・そのとき俺はどうなるんですか?」
(私の場合は過去の私の魂と一つになることだけでいいのです。あなたの場合私が過去にいくときの力でサルベージします)
「・・・わかりました。一緒に過去にいきましょう。一度なくなった命ですしね。それに・・・」
(それに?)
「ここに・・・この世界に俺がきたのはそのためかもしれないと思うからなんです。」
なぜ、そう思うのかはわからない・・・が、そう思えてくるのだから。
(ありがとう・・・。どうか、主人と、息子と・・・人類の未来をおねがいします・・・)
「行く前にお願いがこっちからもあるんですけど・・・」
(なんでしょう?)
「俺にもエヴァをお願いします。戦いでも彼らをささえてやりたいんです。それで、年齢も一緒にしてください。あと、送る日を
あなたがエヴァに取り込まれてからの日にしてください。いろいろ準備しときたいことがあるとおもいますので」
エヴァにもせっかくだから乗ってみたいという気持ちはあった。しかし、シンジ達の戦いを直接サポートしてやりたい
という気持ちもあったのだ。
(わかりました。エヴァに取り込まれる日までに準備しておきましょう)
「おねがいします」
(あなたのお名前は?)
肝心なことを忘れていた。けっこうどこかぬけているのかもしれない。
「・・・前の世界の俺は死にました。なら俺は生まれ変わります。この世界の「天道 アキラ」として」
(わかったわ・・・。あなたの決意しっかりうけとりました。つく場所は私の家にします。家の庭の木の下にわたしの準備しておいた
ものをうめておきます。あと、わたしのもつ記憶も一緒にあなたにおくりましょう)
「わかりました」
(それでは、あなたを過去におくります。)
「ええ、ではユイさん、またあいましょう」
(ええ、それではまた・・・アキラ君)
声が聞こえなくなるとアキラの意識はどこかに飛んで行くような感覚をうけたかとおもうと、そのまま意識をなくしていくのであった。
2004年
(・・・ここは・・・)
アキラの意識がもどると、ある一軒家の庭にねっころがっていた。
そして、おきあがり、自分が子供姿なのを家のガラスを見てきづき、理解した。
(そうか・・・過去にもどってきたのか・・・だとすると日付は2004年で場所は碇家か)
あたりをキョロキョロし目的の木をみつける
(あの木の下か)
アキラは木の下まで行くと、つい最近掘ったような跡があるのをみつけた。
(これか?)
アキラは手で掘った跡を掘り返していくと中からクッキーの箱がでてきた
(これにはいってるのか?クッキーの箱しかなかったのかなぁ・・・)
と、くだらないことを思いながら箱をあけると中にはカードと封筒がはいっていた。
先に封筒をあけると中から手紙があり、ひろげてよみはじめた。
「アキラ君へ、
あなたがこれをよむときは、わたしはこのときもうエヴァの中にいるでしょう。あなたがお願いしていたエヴァですが、
完成しております。ですが、いますぐに乗ることはできないでしょう。おそらくネルフ(今はゲヒルン)の管轄にあるため
あなたはエヴァにすら近づけないでしょう。しかし、他の人が乗れないようにするための封印と、ある仕掛けをほどこしました。
仕掛けが起動するまではなにもできないはずです。封印はあなたがエヴァの前にいくと解けるようになります。
カードの方は生活費として2000万あります。これが、わたしにできる全てです。
どうか、子供達の未来をよろしくおねがいします。
碇 ユイ」
読み終ると手紙とカードをポケットにいれ、彼は碇家を後にした。
そして、家の前の道路の先をみつめる
(・・・ここから、俺の第二の人生がはじまる・・・今度はすぐに死ぬかもしれない。でも、俺はユイさんに誓ったんだ。
絶対に未来をあんな世界にしないと・・・そして、シンジ達が心から笑えるような世界にするんだ・・・絶対に!)
アキラは前をみすえた。その瞳には強い意志がはっきりと見て取れた
そして、彼は歩きだす。彼自ら選んだ茨の道を・・・・
そして、時はすぎて2015年------------------
"福音"の名をもつエヴァの鼓動がまた動き出す。
つづく
<あとがき>
はじめまして、はじめてSSを書いてみることになりましたheriosuです小説を執筆することじたい
はじめてなのでおかしいところなどいろいろありましたら、ご指導などよろしくおねがいします。